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解 説 4

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解 説 4
実設計に
即した
車載LAN
第
4回
FlexRay
仕様
解説
ウェイクアップとスタートアップ
システムの記事
ここでは,クラスタ(FlexRay ネットワークにつながった複数
佐藤道夫
4)その後,ホストからウェイクアップ信号を受け取ると
ウェイクアップ状態 注 3 に入る
のノードの集まり)がスリープ状態(パワー OFF)からどのよう
2)∼ 4)の 状 態 遷 移 は , す べ て CHI( controller host
にして通常の通信状態に遷移するのかを説明する.FlexRay
の仕様では,パワー ON した後,待機状態(ウェイクアップ),
interface)を介して,ホストからのコマンドによって行わ
通信準備状態(スタートアップ)の順番でクラスタがスリープか
れます.つまり,通信コントローラが POC を操作するこ
ら復帰するように定められている.この一連のプロセスはすべ
とはありません.
てホスト・マイコンによって制御される.
(編集部)
● 二つのチャネルが同時にウェイクアップしてはならない
さて,クラスタをウェイクアップするには,最低限の必
今回は,FlexRay ネットワーク上のあるノードがパワー
ON した後,そのノードを含めたクラスタがどのようにし
てノーマル状態に遷移し,通常の通信を行えるようになる
パワーON
のかを見ていきます.
通信コントローラの
コンフィグレーション
1 ウェイクアップ
FlexRay の場合,通信準備(スタートアップ)を行う前
ホストによる
コンフィグレーション
パワーON後,次の条件が成立すると,ど
の状態であっても停止状態に遷移する
¡BIST(built-in self-test)エラーや動作
チェック・エラーなど,製品固有のエラー
状態になった場合
¡ホストにより検出されたエラーのうち,
FREEZEコマンドがCHI経由でPOCに送
られることになった場合
¡POCなどにより検出される致命的なエラー
状態になった場合
に,まずクラスタをウェイクアップ 注 1 するために,次の
レディ状態
(ready)
ような手順をとります.
停止
(halt)
致命的な
エラー発生時
1)ノードがパワー OFF からパワー ON に遷移
2)通信コントローラの内部状態遷移制御(POC : Protocol
Operation Control)に従って,コントローラそのもの
のコンフィグレーション(初期設定)とホスト(マイコ
ウェイク
アップ
ン)によるコンフィグレーションを行う(図 1)
スタート
アップ
3)コンフィグレーション終了後,レディ状態 注 2 に遷移
ホスト・コマンド
による遷移
注 1 :ウェイクアップとは,あるノードがスリープ状態から復帰したという
ことをクラスタに知らせるため,ノード内の通信コントローラがチャ
ネルにウェイクアップ信号を送信すること.スタートアップはウェイ
クアップしている複数のノードが正常に通信するために同期や整合を
とること.
注 2 :レディ状態は,すべての初期設定が終わった後,ウェイクアップまた
はスタートアップに入ることができる状態を指す.ノードがパワーON
した後,通常通信に入るまでに,かならずこの状態を通る.
注 3 :ウェイクアップ状態に入らず,レディ状態から直接スタートアップ状態
に遷移することも可能だが,これはシステム設計者の考えかたによる.
条件に依存する遷移
ノーマル・
アクティブ
問題がないと
判断された場合
ノーマル・
パッシブ
エラー・カウンタの
しきい値を超えた場合
内部条件に依存する遷移
コンフィグレーションで定義されて
いるホスト・コマンド,または条件
に依存する遷移
図1
通信コントローラの内部状態遷移
通信コントローラの POC に従って,コンフィグレーションやウェイクアップ,
スタートアップを行う.
Design Wave Magazine 2005 November
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要条件を満たす必要があります(図 2).まず,すべてのノ
外部(例えば外部スイッチなど)からの信号によってウェイ
ードのレシーバ(物理層レベルのバス・ドライバ IC に内蔵
クアップする必要があります.
されている)に電源が供給されなくてはなりません.レシ
ここで,デュアルチャネル(A チャネルと B チャネルを
ーバに電源が供給され,バス(チャネル)を介してウェイク
備えた)ノードのウェイクアップの例を図 3 に示します.こ
アップ信号が入ってくると,そのノード内のほかの部品も
の例では,クラスタは三つのノードで構成されています.
スリープから復帰します.なお,クラスタ全体がウェイク
FlexRay では,デュアルチャネル・ノードのウェイクア
アップするには,複数あるノードのうち少なくとも一つは
ップを行う場合,仕様の中で以下のことを規定しています.
¡ウェイクアップ信号をチャネル A,B の両方に同時に送
信してはならない
ホストからのコマンドにより,状態を遷移
ノード(概略)
¡一つのノードがチャネル A,B の両方をウェイクアップ
ホスト(マイコン)
してはならない
かりに,チャネル A とチャネル B の両方に同時にウェイ
通信コントローラ
クアップ信号を送信できたとします.この場合,もし欠陥
CHI(controller host interface)
のあるノードが異常なウェイクアップ信号を送信したら,
プロトコル・エンジン
両方のチャネルが同時に通信障害に陥ることになります.
バス・ガーディアンA
バス・ガーディアンB
これを防ぐために,上記のルールが定められています.
バス・ドライバA
バス・ドライバB
● ウェイクアップにはホストによる適切な制御が必要
トランシーバ
レシーバ
トランシーバ
レシーバ
図 3 の例では,ノード A がチャネル A のコールドスター
ト・ノード,ノード B がチャネル B のコールドスタート・
チャネルA
ノードになっています.ここでコールドスタート・ノード
チャネルB
どちらか一方のチャネルから
ウェイクアップ信号を送信
図2
とは,前述の「外部信号によるウェイクアップを必要とす
レシーバ電源ON
るノード」を指します.クラスタの通信スタートアップ手
順を初期化することのできるノードです.
ウェイクアップの条件
クラスタをウェイクアップするには,レシーバに電源が供給されている,複数
あるノードのうちの少なくとも一つは外部からの信号によってウェイクアップ
する必要があるなど,最低限の必要条件を満たさなければならない.
ローカル・
ウェイクアップ・イベント
例えば,ノード A はパワー OFF またはリセットした後
に発生したローカルなイベント(そのノードが備える外部
チャネルAの
ウェイクアップ
コールドスタート
禁止モードに入る
ノードA
パワーOFF/ コンフィグ
ウェイクアップ・ ウェイク
レディ状態
レディ状態
(コールドスタート・ノード)
リセット
レーション
リスン
アップ送信
チャネルA,B
ノードB
(コールドスタート・ノード)
チャネルA,B
パワーOFF/リセット
図3
コールドスタート・リスン
コンフィグ
コールドスタート・
レディ状態
レーション
リスン
パワーOFF/リセット
チャネルA,B
チャネルB
統合リスン
コンフィグ
ウェイクアップ・ ウェイク
コールドスタート・
レディ状態
レディ状態
レーション
リスン
アップ送信
リスン
ノードC
チャネルA
コールドスタート
禁止モードを出る
ウェイク
アップ信号
ウェイク
アップ信号
二つのチャネルのウェイクアップ方法
ノード A,B はコールドスタート・ノードとする.ノード A がウェイクアップを完了しても,ノード B のウェイクアップが完了するまでスタートアップの開始を
遅らせるようにしている.
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Design Wave Magazine 2005 November
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