...

4`ー 超伝導コイル系の概要

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

4`ー 超伝導コイル系の概要
第4章 磁場コイル系
第4章 磁場コイル系
4.1 超伝導コイル系の概要
ルには超伝導導体を用いる.
超伝導コイル系は,トロイダル磁場(TF)コイル,ポ
(3)コイルの重要な項目は,R&Dプログラムの中で開発
ロィダル磁場(PF)コイル,中心ソレノイド(CS)コイ
され,実証試験されたものを必ず使う.例えば,超伝
ル,不整磁場補正コイル,コイル支持構造物および電流
導素線や撚線構造は,CSおよびTFモデルコイル計画
をコイルに供給するフィーダより構成されて,プラズマ
[1−5]において採用され,実験により実証されたもの
の閉じ込めおよび制御を行うための磁場を発生するもの
を採用する.
である.コイル系は次の基本理念のもとで設計された.
なお,CSモデルコイルは2000年4月から8月まで第1
(1)コイルは分解修理に時間がかかるので,半永久的に使
回目の性能評価実験[6,7]が行われ,当初の目標どおり
用できるように設計する.また,コストが少し高く
の性能であることが確認された.また,TFモデルコイル
なっても,より信頼性のあるものとする.
は2001年7月に通電実験が行われ,定格通電電流値まで
(2)常伝導導体で作ったコイルは消費電力が大きいため,
クエンチすることなく通電することができた.9月以降
長時間プラズマ燃焼実験を行うことができず,また将
引き続き性能評価実験が行われる予定である.さらに,
来のエネルギー発生装置として成立しないので,コイ
下記の設計ガイドラインを設けた.
0500!∠
,螺
凶55ε〃θ∠γ
ρFノ
π00/乙
蕊
“.ド南
ρヂ2
告
皿
\
×
刈
観κ
1
>
輪ミ一
ρ1ヲ
、
一偽
k粕
、・義
偽『
紮
一
更 ㎏
qqQ
受b
ヤ鴫
Tl I
1
1
禰
・臼1『・
z葱
1
k勉
1
孟’
、
b
,%’
r爽’愉7
受k
− 1
へ1
・4
偽
kK
ρF4
ノ7/90昭 1∠
労%
’
}_
0脳wrγ5σρρ0斤7
一業==慧=鵠一
獣
㌧1.
ρF5
ii
ピ鱗…三鰻
至
マ至,
ρF6
Fig,4.1−1 Elevation view of ITER superconducting coil system、
21
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
導体接続部を配置できるので,パンケーキ構造を採用し
Table4.14 0vera渦magnet system parameters.
Number ofTF coils
た.これにより,CSコイルは6個のコイルに分割され,
18
∼41GJ
それぞれ独立に運転することができ,装置の運転シナリ
Maxim銭mfield in TF coils
lL8T
Centering force per TF coil
403MN
205MN
オの自由度が増えた.また,独立構造のためCSコイル
は,不具合が生じた場合,取り出して,容易に修理を行
Magnetic energy in TF coils
Vertical force per half TF coil
TF e三ectrical(lischarge time constant
CS peakfield
Totalweig紅t ofmagnet system
うことができるようになった.また,TFコイル,不整磁
ll S
場補正コイルおよび上部4個のPFコイルも,取り出し
て修理が行えるように設計されている.また,すべての
13.5T
∼IO,135t
コイルの冷媒には,圧力約0.6MPa,温度4∼5Kの超臨
界ヘリウムが用いられる.
(1)コイルは,3万回のプラズマ運転(プラズマ電流:15
本章において,超伝導導体,コイル巻線部,コイル支
MA,燃焼時間:400秒,繰り返し時問:1,800秒,核融
持構造物およびフィーダについて詳細に述べる.
合出力(totalfusionpower):500MW)に耐えられるこ
(2〉プラズマ・ディスラプションにおいても,超伝導コイ
4.2 超伝導導体
前節で述べたように,TFおよびCSコイルの超伝導導
ルはクエンチしないこと.
体はそれぞれのモデルコイルに用いられた超伝導素線お
(3)コイル系に深刻な故障が発生しても,放射性物質の障
よび撚線構造とほぼ同じものが用いられている.超伝導
と.
壁を壊さないこと.
さらに,以下の要求事項を満足するコイルが設計され
Table4.2−1 Nb3Sn strand specification.
た.
Criticalcurrent(lensity@12T,4.2K,0.1μV/cm,no external strain applie(1
>650A/mm2
(1〉冷凍および昇温回数:100回,TFコイル通電運転回
HysteresisLoss@±:3T
数:1,000回,TFコイルの急速電流放電回数150
<400mJ/cm3non−Cu
%value@12T,4.2K,between O.1to1μV/cm
回,TFコイルのクエンチ回数:10回
>20
(2)TFコイルの急速電流放電後,コイル系の運転が48時
Range ofspecifie(l diameter
間以内に再開できること.
Cu:non−Cu
1.0−1.5
以上の基本概念のもとで設計されたコイル系を,Flg.
Twist pitch right hand helix
4。14およびTable41.1に示す.ITER装置全体は1998年
Production unitlength
15mm
>4km
O.7−O.9mm
RRR
の設計FDR98[8]と比較するとコンパクト化が行われ,
>120
<1.6×10−loΩm
TFコイルは20イ固力・ら18個に,PFコイルは7{固力・ら6イ固
に変更になった.また,1998年の設計からの大きな変更
Cr platingthickness
点は,TFコイルの向心力をCSコイルおよび支持構造物
で受け持たせる構造(バッキング支持)から,TFコイル
2(+1−0)μm
650℃一200h
Total heat treatment(luratlon
の内側直線部(インボード部)において18個のコイルが
一体化されて支持する構造(ウェッジ支持〉になったこ
<400h
Table4.2−2 NbTi strand specification、
とである.TFコイルのポロイダル磁場による面外力は,
Critical NbTi current(lensity@5T,4.2K
内側(インボード部)では直線部の摩擦力と上下曲線部
Filament diameter
の勇断キーで,外側(アウトボード部)では4つのコイ
OuterNi coating th三ckRess
ル問支持構造物で支持される.これに伴い,CSコイルは
%value@5T,4.2K:,betweenO.l andμV/cm
TFコイルから独立したので,CSコイルの巻線構造も変
Strand diameter
更になった.バッキング支持の場合,CSコイルの外周側
Cu:non.Cu
においてTFコイルの向心力を支持するため導体接続部
Twist pitch right hand hehx
10mm
は外周部に置くことができず,コイルの上下に配置され
PrOdUCtiOn UnitIength
>5km
るので,CSコイルはレイヤー構造であり,1個の非常に
RRR
細長いコイルであった.ウェッジ支持の場合,外周部に
22
>2,900A/mm2
≦5mm
2(+1−0)μm
>20
0.7−0.9mm
>1.0
>150
第4章 磁場コイル系
材および導体の運転温度の選択は,運転磁場の設定,超
面をクロムメッキ[14−16]されたNb3Sn素線を3本撚り
伝導導体の選定および冷凍システムの設計に依存する.
から始めて5段階に撚られ,6本の4次撚線には結合電
流損失を低減するためにそれぞれ0.l mm厚さのインコ
各コイルの導体設計[9,10]について,以下に示す.
使用されるNb3SnおよびN’bTi超伝導素線の仕様を
ネルテープが巻かれ,中心チャンネルの周りに撚られて
Table4.2−1とTable4.2−2にそれぞれ示す.Nb3Sn素線は,
いる.最終撚線の周りには製造過程における保護のため
TFおよびCSモデルコイルにおいて,それぞれの仕様で
開発され,両方のモデルコイル用として約28トン製造さ
0.l mm厚さのステンレステープが巻かれている.クエン
れ,品質保証技術を含めた量産技術が確立された
場合ではi50K,撚線のみの場合では250K以下になるよ
[11,12].Nb3Sn素線の場合,重要な項目は臨界電流密度
うに,安定化銅が含まれている.この条件は,他のコイ
とヒステリシス損失であるので,これらの項目のモデル
ルの導体においても,同じである.この撚線は円筒状の
チ時の最高温度は撚線とジャケットの熱容量を考慮する
コイルにおける実績と仕様値および今回の仕様をFig。
金属製ジャケット(コンジット)の中に入れられる.ジャ
4.2−1に示す.図からわかるように,今回の仕様はモデル
ケットの厚さは1.5∼2mmで,撚線部のボイド率は約
コイル開発の実績をもとにTFとCSの両方で使える仕様
34%である.ジャケットの材料にステンレスが選ばれた
として一本化されたもので,妥当かつ合理的であると考
えられる.
01ρou乙!1尺 」,40κεr
4.2.1 卜ロイダル磁場コイル用導体
TFコイルの最高磁場には約12Tが要求されているの
0酒θ乙6解?,4ρρ1〈ro
で,高磁場用“A15”型の結晶構造[13]を持つ超伝導材
oε〃1’1?,4∠ 7uθε
で,そのうち現在最も一般的によく開発されている
Nb3Snを約4.5Kで運転することが選択された.最高磁場
が11丁以下の場合,:NbTiを1.8Kの超流動ヘリウムで運
転することも検討されたが,磁場を下げることはプラズ
3Uθ一〇,4θ乙f 躍ノ∼,4ρρノ〈10
マ運転への制約が大きくなるので除外された.絶縁材の
機械的強度の観点から,導体はラジアルプレートと呼ば
o鴻θ乙ε
れるステンレス鋼の板の丸型溝に埋め込まれ,モデルコ
Fig.4.2−2
イルと同様に,円筒状ステンレス製ジャケットに入れら
Nb3Sn cable−in−conduit type conductor with stainless
steel jacket for TF coiIs、6sub−cabIes are wrapped
れたケーブル・イン・コンジット(CIC)型導体である.
with lnconei tape(0.1mm thickness)tQ contrQl AC
Iosses and arranged around a central coo[ing chan−
この導体は,Fi轡42−2に示すように,冷媒の圧力損失を
neItoreducepressuredroP.
低減するために,中心にスパイラル状の中心チャンネル
がある.導体の主要諸元をTable4.2−3に示す.撚線は表
Table42−3 Conductor parameters forTF coiIs.
7(》0
8
盲6。。
斗
雇
ζ500
)じレ》
ぐ㌧
Ψ1
1.▽
留
毯40{)
“P一1
輪ワ㌔ζ
マ
▼
旬
11.8T
Cable outer(1iameter
Diameter ofcentral hole(id×o(i)
鴛 2(X)
由
0 0
o●o 肥o
● %oOOo o
●
0
HP−II
出
ηr麟
Conductor outer(1iameter
や
Jacket material
ご
Max.unit length ofconductor
ささむ フむリ マ ロ タ Critlcal Curre陥t Density@12T,0.1V/cm,4.2K(A/mm2)
Fig、4.2−1
5K
一〇.50%
6
40.2mm
6×8mm2
● o o
口
δ置()・
2 0
68kA
Nominalpeakfield
Operatingtemperature
No.of final stage subcables
▼
iT∈R
の
Nb3Sn
Operatlngcurrent
Nominal operating strain
“▼ワ
屡
・甥 3(x》
Superconducting materia1
43.4mm
316LN
780m
0.36
Characteristics and specifications of Nb3Sn strands,
SC strand weight/m of con(1uctor
HP−l and HP−ll arespecificationsforTFandCSmodel
id:inner diameter,Od:OUter diameter
coils,respectively.
23
4.27kg/m
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
のは,ラジアルプレートもステンレス製(316LN)であ
それに対応する電流密度の低下は約3%であるので,装
り,熱収縮率を同じにして導体とラジアルプレートの間
置全体の設計にほとんど影響がないと考えられる.
の電気絶縁材を冷凍・昇温中において保護するためであ
4.2.2 中心ソレノイドコイル用導体
る.ちなみに,TFモデルコイルのジャケット材はステン
CSコイルの最高磁場は約13Tなので,超伝導素線は,
レス鋼(SUS316LN),TFインサートコイルの場合は純
TFコイルと同様に,Nb3Snで,表面はクロムメッキが施
チタン(Ti)が採用された.Nb3Snは機械的歪に対して
されている.大きな導体には大きな集中応力がジャケッ
その性能が著しく低下する.Nb3Snの熱収縮率はインコ
トに発生するという機械的問題と,空間的制約からコイ
ロイgo8やTiに近く,ステンレスとは差が大きいた
ルをコンパクトにするために,高い電流密度が要求され
め,ステンレスの場合は冷却時の性能低下を補うために
ることから最適化を行った結果,定格運転電流値は42
Nb3Sn素線を多めに使う必要がある.インコロイ908や
∼46kAが選ばれた.導体の形状は,CSモデルコイルと
同様に,ジャケットの外形が角型で,超伝導撚線は円形
Tiに対して,その追加分のNb3Snの量は約7%であり,
∼
も
¥) レ 49.5
49.5
ウ
ゆ0
矯q卦
鴨軌ヤ
5∼o!η1θ33 5』∼θθ/ Oo{ノ∠)1θ Joo女θ∼
1ηooloヌ 908
ピ7ノー∬ノ
Fig。4.2−3
CS conductorjacketoptions,Cableconfiguration is similartothatofTFconductor。lncoloy908(left):extruded lncoloy908
jacket with a square outer section、Stainless steel(center):extruded stainless steel jacket with a square outer section、Dou−
blejacket(right):innertitaniumcircularlacket,which undergoestheNb3Sn heattreatment,andouterstainlesssteeljacket
made up oftwo U−channels which apPlied around the innerjacket afterthe heattreatment・
Table4.2−4 Conductor parameters for CS coiis、
Incoloy908
Stainless Stee1
Double Jacket
Nb3Sn
Nb3Sn
Nb3Sn
Operatingcurrent(kA)
41.8
41.8
42.2
Nominalpeakfield(T)
13.5
13.5
13.0
Type ofstrand
Operatingtemperature(K)
4.7
4.7
4.7
NOminal operating strain(%)
一〇.15
一〇.50
一〇.10
No.of final stage subcables
Cable diameter(mm)
6
6
33.2
30.7
6×8
6×8
6×8
49。5×49.5
49.5×49.5
49×49
Diameter ofcentral hole(id×od)(mm×mm)
Conductor extemaldimensions(mm×mm)
Jacketmaterial
6
31.8
Incoloy908
Stainless steel
Ti
Max.unit length ofconductor(m)
881
881
891
Cross−section ratio of Cu stran(1s to overa1夏stran(ls
0.30
0.24
0.34
SC stran(l weight/m ofconductor(kg/m)
2.83
3.39
2.47
Each of the CS modules has522turns(540turns for the thin Ti tube option).
24
第4章磁場コイル系
で,中心チャンネルを有する.現在のところ,Fig.4.2−3
4.2.3ポロイダル磁場コイル用導体
に示すように,ジャケットの異なる3つのオプション
PFコイルの最高磁場は6.4Tなので,超伝導材料は安
((1)インコロイ,(2)ステンレス,(3)二重構造)がある.ま
た,それらの主要諸元をTable424に示す.(1)インコロ
価なNbTiが選ばれた.超伝導撚線の構造はTFおよび
CSコイル用導体と同じように,5段階に撚られ,6本の
イ(lncoloy908)の場合,モデルコイルに採用され実績
4次撚線が中心チャンネルの周りに撚られている.この
があり,析出型超合金で疲労にも十分耐えられる機械的
撚線は,ステンレスの角型丸穴付きジャケットの中に入
強度を持っている.しかし,Nb3Sn生成熱処理時,雰囲
れられる.導体の図と主要諸元をFig.4.2−4とTable42−5
気の酸素濃度をα1ppm以下に保たなければ,ジャケッ
に示す.Nb3Snとの違いは,素線の表面処理がクロム
トにSAGBO割れ[17,18]が生じるので,熱処理装置およ
メッキではなく,ニッケルメッキである。N’bTiの臨界温
び方法が複雑になるという欠点がある.また,ジャケッ
度は:N’b3Snと比べて低いので,運転温度と臨界温度の差
トに割れが発生するとそのコイル全体が使用できなると
が小さい.そこで,素線間の電流のアンバランスをより
いうリスクがある.(2)ステンレスの場合,熱処理および
小さくする必要があるため,素線間の電気抵抗をより小
巻線において,装置および方法は他のものと比べて簡単
さくできるので,ニッケルメッキが選ばれた[21,22].ま
であるので,ジャケット材料およびこれらの製作コスト
た,コストもニッケルメッキの方が低い.TFコイルの下
が低減できる.しかし,前述のように,Nb3Snは機械的
側のPFコイルはトラブルが発生しても簡単には交換や
歪に対して超伝導特性の劣化が著しいという性質を持っ
修理ができないので,もし一つのダブルパンケーキが使
ている.そこで,一般のステンレスを使用した場合,イ
えなくなった場合でも,残りの部分だけで運転できるよ
ンコロイやTiに比べて,Nb3Sn素線を他のものと比べて
うに設計されている.これをバックアップモードと呼ん
20∼40%多くする必要がある.また,それに伴い,同じ
でいて,この場合の値がTable4.2−5の括弧内に示されて
外形サイズを保つなら,ジャケットの断面積を小さくし
いる.しかし,この場合,運転温度は,Table4.2.5に示
なければならないので,ジャケットの応力がインコロイ
すように,一部のPFコイルで少し下げられる.定格運転
と比べて約10%大きくなる.運転時の繰り返し応力に対
して,ステンレスが十分に耐えられるという確証は今の
電流値は,CSコイルと同様な理由で,45kAに設計され
た.コイルによって最大磁場が異なるので,それに対応
ところない.また,6個のCSコイルは,冷却および運転
した設計になっている.
によりコイル間に隙間ができないように,組み立て時に
4.2.4 補正コイル用導体
垂直方向にタイプレート(4.4.8節参照)と呼ばれるステ
不整磁場補正コイル用導体の撚線は,PFl,6コイルの
ンレス板で上下から圧縮される.ステンレスのジャケッ
導体の4次撚線を用いる.この円形断面の撚線はステン
トの場合,タイプレートをステンレスより熱収縮率の大
きな材料に変更する必要がある.(3)二重構造(ステンレ
瀕oκε7
ス+Ti)の場合,熱処理は熱収縮率が近いTiの薄肉円形
ジャケットで行い,巻線時にU型ステンレスを取り付け
3Uρε1∼00〈10UO71〃6 &
ρU1∼∠『 00ρρf1? 37’兄4〈105
て,機械的に支持する構造である.ジャケット材には,
日本で開発されたJK−2[19,20]という特殊なステンレス
が採用されている.このJK−2は低温において十分な強度
と熱収縮率がNb3Snに近いものを持っている.しか
し,巻線時にU型ステンレスを取り付けて,溶接をしな
ければならないので,工程が複雑になり,時間がかかる.
これはコスト高につながる.以上,3つのオプションを
0,4θ乙ε 多ψγ?,4ρρ1〈ノ6
紹介したが,現在のところ,モデルコイルの実績により,
インコロイ案が最も確実なオプションである.しかし,
0ε〈17尺,4乙 7Uθε 5{ノ8−0鴻θ∠ε 協得,4ρρノ〈ノ0
現在進められているR&Dの結果によっては,コスト低
減のためステンレスや二重構造が採用される可能性があ
Fig.4.2−4
NbTi cable−in−conduit type conductor with stainless
steel lacket for PF coils.The cabIe configuration is
る.
similarto that used with Nb3Sn with6sub−cable ar−
ranged around a central cooling channeL
25
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
Table4.2−5 Conductor parameters for PF coils。
PF2,3,4(backup)
Superconducting material
Operatingcurrent(kA)
Nominal peakfield(T)
Operating temperature(K)
No。of final stage subcables
Cable diameter(mm)
Diameter ofcentral ho夏e(id×o(1)(mm×mm)
Con(luctor extemal dimensions(mm×mm)
Jacketmaterial
Max,unitlength ofconductor(m)
PF5(backup)
PFl,PF6(backup)
NbTi
NbTi
NbTi
45.0(52。0)
45.0(52.0)
45.0(52.0)
4.0(4.0)
5.0(5.0)
6.0(6.4)
5.0(5.0)
5.0(5.0)
5.0(4.7)
6
6
6
34.5
35.4
38.2
10×12
10×12
10×12
52.3×52.3
5L9×51.9
53,8×53,8
stainless stee1
StalnleSS Steel
stainless stee1
PF2−560PF3−884PF4−807
PF5−727
PFl−392PF6−723
Cross−section ratio of Cu strands to overall stran(ls
0.24
0.13
0
SC strand weight/m ofconductor(kg/m)
2.93
3.56
4.88
ノ鴻oκε7
Table42−6 Conductor parameters for correction coiIs.
5Uρ∠『ノ?00〃0{ノ071〈〆0 57’1モ》ノ1〃03
Superconducting material
NbTi
Operatingcurrent
Nominalpeakfield
Operatingtemperature
10kA
No.of final stage subcables
5.O K
5
Cable dimension
14。8×14.8mm2
Conductor extemal dimensions
19.2×19.2mm2
Jacketmater童al
Max.unit length ofconductor
014θ乙ε昭斤,4ρρ1〈ノ0
6.O T
Cross−section ratio ofCu stran(ls tooverallstran(is
SC strand weight/m ofcon(1uctor
StainleSS Stee1
364m
0
1.O kg/m
Fig.42−5 NbTi cable−in−conduit type conductor with thin stain−
iess steel jacket for correction coils.The cable is formed
レノイド(CS)コイルの電磁力のうち上下力を支持して,
square with square jacket.
トカマク装置の骨格を構成する機械要素になっている.
トーラス中心側の水平面でのTFコイルの断面を
レス316LN(厚さ:2.2mm)の薄肉角型ジャケットに入
Fig。43−1に示す.1998年設計[8]と比較して,導体電流
れられ,矩形に加工したCIC型導体である.本導体
値を60kA(12.5T)から68kA(ll.8T)に増加させる
は,他のコイルの導体と比べると小型で,中心チャンネ
ことによって,ターン数が192ターンから134ターンに減
ルはない.導体の図および主要諸元をFig4.2−5および
少し,巻線の断面を最適化した.TF巻線の諸元をTa−
Table4。2−6に示す.
ble4.3−1に示す.また,プラズマディスラプション時の
コイル容器の交流損失が増加したため,コイル容器の内
4.3 コイル巻線部
面には容器に発生する熱を少なくする冷却ループの本数
4.3.1 卜ロイダル磁場コイル巻線
を増やして冷却能力を上げた.
TFコイルの巻線は,電磁力を支持する金属製コイル
TF巻線はダブルパンケーキ巻線された強制冷却
容器の中に収納されている.そのTFコイル容器は4.4節
(CIC)型導体を,電磁力の支持のために支持板(Radial
で述べるように,ポロイダル磁場(PF)コイルや中心ソ
Plate)に組み込む点が特徴である.ジャケット(電線管)
26
第4章 磁場コイル系
go9
\飛》ぐ\,
¥
te
Radial Plate
\ミ\\
適粟
\
1、
鮫ざs
Conduc重or
204.8
’TFCase
Iing
Case CooIlng
Conduit
Cable
\、、\
1)\ト\・モ
・\
嬉\・。
・\
7α8匿
\ミ・\
iii
①
懸閣
lube
TUrn I nsulation
の
R30S45\
Radial Plate
\
\、\ \熱
Cover
\ 、
巡621.6
、甲、
Fig.4,3−2
633.4
Cross section of radial plate concept.The conductor
is insulated and inserted into the groove in the radiai
plate.Thegrooveisclosedbyastainlesssteelcover
and the cover is welded.
Fig.4、3−1 Crosssectlon ofTFcoilsatinboard leg,Seven radial
pIates form awinding packwhich is inserted in acase.
Cooling tube is mounted in the case.
Table4,3−1 Major parameters of TF coiI winding.
(じ
Number ofTF coils
18
Type ofSC strand
Nb3Sn
Maximumfieldin TFcoils
1L8T
Operatlng temperature in TF coils
Operatingstrain
一〇.5%
Operating current in TF coils
68kA
Magnetic Energy in TF coils
41GJ
Equiva圭ent(1ischarge time constant
15s
Number ofturns
134
Length of the coil center line
彦
5.O K
・難驚
Pancake Joint
ヤ
乞 醸幅
“’ Electrical lnsulation
麟1 襖
凝
罠奪弊怜 ・
34.1m
/ アilさ
に撚線が挿入された強制冷却型導体は,Fig.4.3−2に示す
養
美
ように,一本ずつ電気絶縁して支持板の溝に挿入[23]さ
れ,蓋が溶接される.その後,個別に絶縁されたダブル
ξ\稻焦繋r
パンケーキを7枚組み立て,対地絶縁を施すとTF巻線
は完成する.
この支持板を用いた巻線方式は,一見複雑であるよう
ooling Pipe forWinding
に思われるが,Nb3Sn導体を用いた高磁界コイルの絶縁
物の応力を下げるために1970年代に米国で考案された方
式である.まず,LCT計画のWestinghouseコイル[24]
として1980年代に開発が進んだ.その後,日本原子力研
Fig.4.3−3
Terminal components ofTF coil at bottom side.Feed−
ers and cooling Pipes are connected at this region、 ・
究所で導体の円形化や,絶縁の多重化などの改良[25]が
なされ,ITERのTFコイルの設計案として採用された.
ITERのR&DとしてEUの協力によりTFモデルコイル
の加工のコストを下げる工夫がさらに行われている.
の開発と評価実験[26]が実施され,支持板を用いた巻線
TFコイルのターミナルは,Fig。4。3−3に示すように,
方式の製作性は実証された.実用化のためには,支持板
TFコイルの下部に置かれている.Fig.4.3−3は,部品の詳
27
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
細を示すために巻線部を表示せずに,冷媒供給やパン
ケーキ間接続,フィーダ接続のみを示す.このターミナ
Tlum lnsulation
Ground lnsulation
Armor Conduit
ル部は工場で巻線と同時に製作および試験検査される.
4.3.2 中心ソレノイドコイル巻線
導体のコンジット材はインコロイ角型導体からなる案
Cablee
と,二重構造案[27]の2案の機械的成立性を検討した.
解析の結果,どちらの導体案も電磁応力が設計条件を満
足した.
CSコイルのうち二重構造導体を用いた巻線断面を
Fig.4.34に示し,CS巻線の諸元をTable4.3−2に示す.CS
コイルを通常のダブルパンケーキ巻方式で製作すると,
導体の長さが270mと短い.ITERの導体製造長は900m
であるので,1本の導体を3本に切って巻線して再び接
Fig.4.3−4
Cross section of CS winding(double jacket option).
Each module has ground insulation.
続することになってしまう.導体接続を減らすために,
普通のダブルパンケーキを3個あわせた6層パンケーキ
巻線方式を検討したところ,製造上の問題は少ないこと
Table4.3−2 Major parameters of CS coil winding.
が判明した.このことから,導体接続の数を1/3に減らし
Number ofCS
た6層パンケーキ巻線方式を採用することとした.導体
Type ofSC strand
接続の方法は,CSおよびTFモデルコイルに用いられた
Maxlmum fleld(IM/EOB)
6
Nb3Sn
13.5T/12.8T
Operatingtemperature
バットジョイント[28]とラップジョイント[29]が検討さ
4.7K
Operating current(IM/EOB)
れている.
4L8kA/46.O kA
Equivalent(1ischarge time constant
CSコイルの実証のために行ったR&DであるCSモデ
11.5s
522
Number ofturns
ルコイルの製作および評価試験は完了し,満足のいく成
果を得た.CSモデルコイルはレイヤー巻線方式である
が,超伝導撚線の動作は実証されたことになる.実機で
丁以下にすることができた.PFコイルは,製造実績の多
採用された6層パンケーキ巻線方式は,特殊な巻線方式
いNbTiコイルであるため,コイル製造上の間題点は少
ではないため,実機製作時の前に行う試作巻線で製作性
ない.PF巻線の諸元をTable4.3−3に示す.
は十分に実証できると考えられる.
:PF6コイルの完成予想図をFig.4.3−5に示す.対地絶縁
4.3.3ポロイダル磁場コイル巻線
された巻線に冷媒を供給する配管が配置されている状態
PF巻線は,二重絶縁と冗長性を有するダブルパン
を示している.小口径PFコイルは大型ヘリカル装置
ケーキ巻線[30]である.すべてのPF導体はNbTi撚線と
(LHD)の:PFコイル[31]とほとんど同一規模であるた
ステンレス製角型ジャケットで構成される強制冷却型導
め,EDA期間内では:NbTiコイルのR&Dは行われてこ
体である.安価なNbTi導体の採用するために,ポロイダ
なかった.今後のCTA期間には,CSモデルコイル内に
ル磁界のシステム設計の段階で,巻線のアスペクト比を
PF導体を用いたインサートコイルを製作し,導体の性
大きくすることによって,PF導体の最大運転磁場を6.O
能確認するR&D計画が進行している.ロシアがNbTi
Table4.3−3 MajorparametersofPFcoilwinding.
PF Coil
Con(luctorLength(m)
ConductorUnitLengtL(m)
PFl
PF2
PF3
6280
392
5603
560
14140
884
12905
807
11639
727
11564
723
PF4
PF5
PF6
Conductors ln Hand
2
2
2
2
2
2
28
Number ofConductor
Number of TurnsNr×Nz,Total
252
16
15.75×16
10
10。70×10
107
16
11.75×16
188。
16
10.75×16
172
16
13.75×16
220
16
26.75×16
428
第4章 磁場コイル系
Pancake Joint
一一二二\
(、
、ノ
(、
だ、、 \
\一、
イ
Feeder Cooling Pipe 日ectrical lnsulation Break Header
Fig.4,3−5 Assembly view of PF6winding.PF coils are wound as a double pancakes and joints are located at outside、Coolant is sup−
plied at inner diameter and retumed from outer diameter.
Table4.3−4 0perating condition of the correction coils.
Tbp Correction Co祠 Side Correction Coil
徴黛\
Max.Operatingcurrent(kA)
Top coi1
Side coil
BQttomcoil
10
10
10
140
200
180
<6
←
←
←
←
←
←
Max。Current capaclty percoii(kA)
ぐコ葺ラ
Max.Totalfield(T)
Similar toPF coils
Current wave form
Max。Operating voltage toground(kV)
±3
mE肝ε灯廻}1
鯵
鵡
ら発生する不整磁場を補正するために用いる補正コイル
システムは,Fig.4。3−6に示すように,18個(3種類)のサ
ドルコイルから構成され,TFコイルの上部,側面,下部
に直接取りつける.補正コイルの要求性能をTable4.3−4
Bottom Correction Coil
に示す.上部補正コイルの巻線の断面をFig.4.3−7に示す
ように,単純なダブルパンケーキであるが,巻線面は平
Fig.4.3−6 Correction Coil layout.There are6top CCs,6side
面ではなく,3次元巻線機が必要である.
CCs and6bottom CCs,arranged toroidally around the
machine.
4.4 コイル支持構造
撚線の製造,EUが導体を製管してインサートコイルを
TFコイルには主として以下の2種類の電磁力が掛か
製作し,日本が2003年頃に性能評価実験を行う計画であ
る.TFコイル電流とトロイダル磁界との相互作用によ
る.
る面内力,およびTFコイル電流とポロイダル磁場(PF)
4.3.4 補正コイル巻線
との相互作用による面外力であり,TFコイルケースは
TFコイルとPFコイルの製造および据え付けの誤差か
これら電磁力を支えるコイルシステムの主要な支持構造
29
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
TiUrn lnSUlatiOn
のためのアタッチメントを示す.
Ground Insulation
4.4.1 卜ロイダル磁場(TF)コイルケース
Cable Conduit
TFコイルケースはトロイダル方向2分割の半ケース
セクタからなり,各々はポロイダル方向に7セグメント
の溶接接続構造である.半ケースセクタ内にTF巻線を
設置・固定し,半ケースセクタ問の突き合わせ部を片側
からポロイダル方向に一周溶接(電子溶接とサブマージ
アーク溶接の併用)する.コイルケース材料は,高応力
領域のインボード部(直線,上下曲がり部)には高強度
改良型ステンレス鋼(例えば,JJl[20])鍛造材を,比較
Fig、4。3−7 Cross section of top correction coiL The tum,layer
andground insulationwill use multipIe layers ofglass in−
的低応力領域のアウトボード部には316LNステンレス鋼
terleavedwith polyimidefiIm.Thegroundinsulationthick−
鋳造材の使用を検討している.解析により,インボート
nesswiIIbe8mm.
部のケースの最小厚さは,7∼8cmである.また,コイル
ケース内壁には核発熱,渦電流損による発熱除去のため
物である.ポロイダル磁場(PF)コイル,中心ソレノイ
ド(CS)コイルおよび真空容器(VV)はすべてTFコイ
のヘリウム冷却チャンネルが形成される.
ルケースに取り付けられ,垂直方向,トロイダル方向に
TFコイルケースの製作性の開発がEUで行われ,大型
は剛構造で支持される.しかし,半径方向には熱収縮,
鍛造,鋳造部材(各々30,20トン)から実規模形状のケー
電磁力変形を許容する柔構造支持とする.これら機器に
ス主要部位を製作・検証した[5].コイルケース製作に
掛かる電磁力のトータルはバランスし,TFコイルの外
鍛造,鋳造部材を適用することは,従来の板材溶接成型
側の機器への電磁力による荷重伝達はほとんどない.
に比べて製作コスト削減で大きなメリットである.ま
Fig。4。4−1にTFコイルケースの全体構造と機器取り付け
た,素材の信頼性確保の観点から,両部材の低温での機
{ノρρerρreoomρre55’0η5亡rααμrθ
ρF15μ 0πA亡ε∂Cわmθη亡
◎
αρρα0α亡θr’η亡eκo〃5亡rαcωre
セ
の
Oo
9
9330
ρF25αρρor亡A亡亡∂0力me
o●
710rold∂ノFleノσCa5e
9
0σ
■9
θσ
G◎
し魂ρρθr’η亡eヂme(ガa亡θ 亡er
9
’η亡eroO〃5亡rσC亡μre
こノρρθr’ηηθr
加tercO〃5亡rαασrθ
アγ7erη7a’5力’1
’ρηer5μρ
レlacuuη7レ1e55eA
肋erma1∫がe/
5μ 0κρヨd
0σ亡er5αρρo
!
PF3/PF45αρρ
!。
A亡亡∂cんmθ
Lowθr’η亡eヂmed’β亡
の
。93σ
εθr
加亡θrσo〃5なuc亡σr
9 9
・ ムower
G旧viり〆5αρρor亡Lθ9
σ
θ9
σo
四1ηdドηg Pacた7「αm’η∂亡’0ρρ0π
σθ
o
θ
ρF55σρρor亡メ、亡亡∂
亡
加ηθr’η亡θヂco〃5trαc亡{ノ,
LOWθr
Pヂecomρre55’0η5亡rσC亡α
乙owθr Oα亡er’η亡erco〃5亡rαo亡μre
Fig.4.4−1 TF coil case assembly with aII attachments and inner and outer intercoil structures.
30
第4章 磁場コイル系
械的強度特性を調査した[32].鍛造部材では,0.2%耐力
o
1,000MPa,破壊靱性200MPaml/2,良好な疲労亀裂進展
Oo o
無
速度特性を有し,一方,アウトボード部に使用される鋳
造部材では,耐力約750MPaで,強度的にコイルケース
ヘの適用は十分可能な結果であった.ケース部材の溶接
性については,鍛造部材/鋳造部材間の溶接,半ケース
セクタ間の突き合わせ部の片側ポロイダル方向一周溶接
が実施[33]され,良好な結果を得ている.
4.4.2 インボード構造
TFコイルには向心力が作用する.この向心力によっ
κ∠『γ隅4γ3AOπ
5㍑ε4πκfγ写
てTFコイルのインボード直線ノーズ部にはトロイダル
方向に圧縮力が生じ,向心力支持のためコイルケース板
厚を厚くする必要が生じる.概ね向心力の40%はTFコ
ρ冊εα脳ρε∫570《ノρ”》‘5
イルの巻線部で,60%はコイルケースで支持される.イ
ンボード直線ウェッジ部は,上記負荷条件に耐えるため
隣接コイル接触面は高精度に機械加工が施されコイル組
み立て時の局所的ギャップは0.4∼O.6mm以下に,機械
加工時の平面度は0.2−0.3mm以下に維持される.その
Fig。4.4−2 Deta目ed Inner lntercoil Structure(IIS)with precom−
結果,接触面端部のピーク応力は590MPaに抑えられ
board curved regions,immediately above and belowthe
pression ring and shear keys.IIS are situated at the in−
inboard straight leg of TF co闘s.
る.また,TFコイル問は渦電流防止のためトロイダル方
向に電気的に絶縁する必要から,圧縮荷重590MPaに耐
えられる薄肉ガラスエポキシをコイル間に挿入すること
ド側直線部の上下端部2ヶ所にプレロードリングをそれ
または容器表面にセラミックコーティングを施すことが
ぞれ2本設置することにより行われる[35].プレロード
考えられている.面外力である転倒モーメント負荷時の
リングは組み立て時にボルトの締め付けによってリング
コイル間に働く勇断力伝達のための最小摩擦係数は0,2
に引張り荷重を与え,各TFコイルケースには60∼70
MNの半径方向圧縮力を生じさせTFコイル全体を一体
と設定され[34],それ以上を保証されることが望まし
化する.さらにプレロードを効果的にするために,リン
い.
4.4.3 インボード側コイル間支持構造物(”S)
グ材料の縦弾性係数はコイルケース材料のそれよりも十
インボード側コイル間支持構造物(IIS)はTFコイル
分低く抑える必要がある.そのためプレロードは組み立
直線部の上下に位置するインボード曲がり部に設置さ
て精度にそれ程影響されない.また,リングは設置ス
れ,Fig.4.4−2に示すように,4本セットの円形断面絶縁
ペースが限定されるため,高強度材料にするとともに,
勇断キーで構成されコイル側面に機械加工されたキー溝
一周抵抗確保のため電気的高抵抗材料にする必要があ
に沿って挿入,固定される.各キーに掛かる勇断荷重は
る.このような要求を満たすリング材料として,S一ガラ
15∼19MNである.
ス繊維を使用する一軸方向性ガラスエポキシ複合材が考
TFコイルインボード側も曲がり部では,コイル励磁
時の半径方向拡張によって隣接コイル間にトロイダル方
で制限され,TFコイルの面外力変形による応力にはそ
向にギャップが生ずる.拡張によるコイルの変形量はさ
れ程影響されない.Table生4−1にリングの主要な機械的
ほど大きくなくとも,キーとキー溝間に約α35mmのト
仕様を示す.一軸方向性ガラスエポキシ複合材の機械的
ロイダル方向ギャップを形成する.さらに,プラズマ運
強度確認のためのR&Dを計画している.プレロードリ
転時にはキーに働く勇断力は最大l mmのトロイダル方
ングによってIIS全体の剛性は増加し,インボード曲が
えられる.リングの応力は常温組み立て時の引張り強度
向ギャップに相当する.そこで,このような効果を抑え,
り部での発生応力を低減し,その結果TFコイルケース
かつキーがキー溝に密着して作用するために,コイル組
の機械的疲労強度を増加できる[36]..
み立て時にコイル間に予備圧縮力(プレロード)を与え
4.4.4 アウトボード側コイル間支持構造(OIS)
る構造を設けた.プレロード構造はTFコイルインボー
アウトボード側各TFコイル間に4個のコイル間支持
31
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
Table4.4−1 Mechanical parametersforpre−compression rings。
Material
Peaktensilestressatroomtemperature
Cross−sectionalare&oftworings
Radial(1ispl段cementtoapplypre−compression
Fibreglass
587MPa
O.22m2
∼23mm
属410080∠7 2κ7
24ρ「「1,
1
瑳嶋
o擁ρr〃ε〃ひ7
亀
弩』■
00び8∠f5’OfOF’αρ協㍑ρ
ヂ,懲瑠f5 \
7σo
Fig.4.4−3Crosssectionoffrictionjointconsistingofinsulatedfingerplatesandbolts・
各々のOISには20MNの垂直方向勢断力とともに,TF
TFコイル面外力負荷時のTFコイル/VV本体間のトロ
イダル方向相対変形角を小さく抑え,VV支持脚に掛か
る負荷を低減するためである.VV支持脚は,VV本体/
TFコイル間の半径方向相対変位を許容し,トロイダル
構造(OIS)が設置され,各々上部ポートの上,ダイバー
タポートの下部,中央ポートの上下部に位置する.中央
ポート上下部のOISはコイル外側の面外力を支持し,
コイル外側支持脚の半径方向拡張変形に伴い,約8MN
方向剛性の高い多層板バネ構造であり,自重,地震力,
のトロイダル方向引張り力が掛かる.中央ポート近傍に
電磁力に耐える設計とした.また,支持脚中央位置には
おける2個の0王Sの支持領域は真空容器(VV)ポートサ
80Kヘリウムガス流路を設けてVVからTFコイルヘの
イズにより制限されるため,OISとTFケース間の取り
熱侵入量を低減する.
付けコーナー部には高繰り返し応力が生じる.このた
4.4.6 重力支持脚
め,OISとTFケース間の取り付けコーナー部は応力集
Fig.4.4−4にトカマク本体の支持脚構造を示す.支持脚
中を避ける曲率半径の比較的大きいスムース形状を採用
している[34].現設計のOIS形状は,Fig。44−3に示すよ
は各TFコイルのアウトボード部,PF4とPF5の間に設
置され,渦電流防止のためTFコイル/支持脚上部問に
うに板厚130mmの絶縁されたシェアパネルを相互に重
電気絶縁構造が施される.重力支持脚は多層板バネ構造
ね絶縁ボルトで締結するフィンガー(フリクション)ジョ
で構成され,コイルシステムの熱収縮/熱膨張による半
イント構造である.フィンガージョイントの両端部は
径方向変位を許容できる設計であるが,TFコイルの面
外力や地震力によるトロイダル方向曲げモーメントに対
TFコイルケース側面からのパネルに溶接される.また,
フィンガージョイントの代替案として,TFコイルケー
しては高い剛性を持つ構造である.支持脚下部はクライ
スに一体化されるボックス構造を提案した.両サイドの
オスタットに一体化された高剛性のトーラス支持リング
TFコイルケースに一体化されたボックス構造端部に接
上面に接続される.トーラス支持リングは支持脚から伝
続ピースを介して絶縁キー,絶縁ボルトで締結する構成
達される曲げモーメントは支持するものの,水平地震力
である.ボックス構造の利点として組み立て時の現地溶
は水平タイプレートを介して建家へ伝達する.自重は,、
接が不要であるが,一方キー接続部の高い機械加工精度
トーラス支持リング下部に設置された18本の円筒支持柱
が要求される.両設計の採用は今後製作性,製作コスト
を介して建家床面に伝達される.支持脚多層板バネ構造
を検討して決定される.
部の上部から600mm下の位置で各板に80Klヘリウムガ
4.4.5真空容器(W)支持脚
真空容器はTFコイルケース内壁に設置され,その支
ス流路を設けてサーマルアンカーを構成し,常温のトー
ラス支持リシグからTFコイルヘの侵入熱を減少させる
持はTFコイル重力支持脚からの距離を最小限にするよ
構造としている.重力支持脚の解析評価[36]では,自重,
うに中央ポート位置の下側に取り付けられる.これは,
地震力,TFコイルの熱変形や電磁力による強制変位量
32
第4章 磁場コイル系
FUEXIBU三Pしバ『『ES
⊂) の
CしAMPING PLバ『ES
TF Co難Case
〕鋤,
の
0
0 0
0 0
0 0
0 0
0 0
0
鶴/期曲
’\ \
Ring
・/
く\
Fig.4.4−5 PF2coil clamp structure with flexible plates(winding
pack not shown).
丸,
\, \、、・ ”〆・
峯賦’ ノラ
に固定される.スライディング支持構造は低摩擦材料
■『
(Fiberslip)をクランプ板とTFコイルケース表面間に設
置する.
Support CQlumn
/
4.4.8 中心ソレノイド(CS)コイル予備圧縮(プレロー
ド)構造
CSコイルは装置中心に設置され,PFコイル同様,基
本的に半径方向電磁力に対しては自己支持であり,垂直
ね、.誘
’!
方向荷重はTFコイルケースのインボード上下部で支持
Fig.4.4−4 TFgravitysupportassemblyofsupportpedestalwith
される.コイルは6個のモジュールを軸方向にスペーサ
fIexibleplates,ringsupPortandsupPortcoIumn.
を介して積層したコイル巻線部で構成され,プラズマ初
期励磁時(lnitial Magnetization:王M)の垂直方向電磁力は
全モジュール圧縮荷重が作用するが,プラズマ燃焼時
(EndofBuml EOB〉では上下両端モジュールには中心か
を考慮し,すべての荷重組み合わせモードに耐える設計
である.
4.4.7ポロイダル磁場(PF)コイル支持
ら上下方向に離反するように作用する.6巻線モジュー
PFコイルは基本的に半径方向電磁力に対しては自己
支持であり,多層板バネ構造またはスライディング支持
ルの軸方向一体化を維持するためモジュール間に常時圧
縮荷重を保持する必要がある.このため,熱収縮率の低
によってコイルの半径方向変位を許容する構成となって
いインコロイ908または改良型ステンレスJK2鋼[19,20]
いる.垂直方向荷重についてはコイル支持構造を介して
を巻線導体ジャケット材に,巻線部の上下端を比較的熱
TFコイルケースで支持される.代表的なコイル支持構
収縮率の高いステンレス316LN材でコイル軸方向に接続
造をFig.44−5に示す.支持構造設計ではTFコイルのト
するタイプレートをコイル内外周に設置する[27].Fig.
ロイダル方向変形に伴う,TFコイルからPFコイルヘの
44−6に予備圧縮構造を示す.コイル冷凍時に両部材の熱
トロイダル方向曲げモーメントを考慮しなければならな
収縮率の違いにより巻線内部軸方向に予備圧縮力を発生
い.PF2からPF5コイルはトーラス18ヶ所で支持される
させる.巻線内部軸方向に一様な圧縮力を負荷させるた
が,PFlとPF6コイルは内側に位置するため,トーラス
め,CSプレロード構造はモジュール巻線部両端に設置
9ヶ所で支持される.各PFコイル支持構造では,PF
される上下フランジ,バッファ板,上下フランジ間を
ウェッジとボルトで接続する12枚のタイプレート(内外
コイル巻線部をタイロッドでリンクされた上下の板でク
ランプし,PF2からPF5コイルについては片方のクラン
周各6枚)からなる.上下フランジは剛構造でACロス
プ板を多層板バネ構造を介してTFコイルケースに固定
低減のためトロイダル方向に電気的に12分割される。巻
する.一方,PFlと:PF6コイルでは限られたスペースの
線部内外周のタイプレート設置領域の全周の少なくとも
30%は,各モジュールの電流リード,ヘリウム冷却配管
ためスライディング支持構造を介してTFコイルケース
33
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
・藻
Buffer
§
ZOIle
Pre−compression
BoxTypeOIS
Ring Structure
ε l I
・難1
l「学
1
Shear Keys
7805
Two Friction
JoilltType
彗
1
OIS Seglllellts
,肇触
ゑ
ズ
羅鼻
睦撃
離
レ
一
鰯
Tie
Plates
レ
、
鰍
ノ
輔
《.
1噂
隻匁
黎
刀
Qf CS Structure
Support
鑓1雛.【鞍
r ∼
!
Box Type OIS
Pre−conlpressi on
圏
RinσStructure
o
Lower Key
Block
ザ
5
Fig,4.4−7
Fig.4.4−6
TF Gravity
・名/ U.一『箋……
7805
漁 星諮「
IsometricView
Shear Keys 溝程
簿
Finite element modei foroverall TF coil ana[ysis,in−
CS support assembly of CS supports and pre−load
cluding TF intercoil structures and gravity supPorts.
structure,attachedto TF inboard case.Isometricview
BoxtypeαSconsistsof80−mmthicktoroidaI pIates
and160−mmthicksideplates.FrictionjointtypeOIS
(left),crosssection(right).
segmentsconsistsof132−mmthickshearpanelsand
80−mmthickwebplates、TFgravitysupportconsists
スペース用に開ける構造とする.このように組み立てら
of21plates witb30−mm thickness.
れたcsコイルは,Fig.4.4.6に示すように,TFコイル
ケース上部からCSサポート,多層板バネ構造を介して
組み立て時の半径方向予備圧縮力,コイル冷凍熱荷重,
吊り下げられる.CSコイルの自重,垂直方向荷重は支持
TFコイル励磁による面内電磁力,CSコイル初期励磁
されるが,コイルの半径方向変位は拘束しない構造であ
(IM)およびプラズマ燃焼(EOB)時の面外電磁力を考慮
る.一方,コイル下部では地震時の水平荷重に対するコ
した.プラズマ電流15MA,17MAの両プラズマ運転シ
イル中心位置保持機構を設け,これをTFコイルケース
ナリオによる電磁力について評価した.
下部から支持する構造である.
TFコイルインボード上下部の曲がり部に高応力が発
生し,面外電磁力によってインボード上下部の曲がり部
4.4、9 コイル支持構造応力解析[34]
はウェッジ支持効果は減少し,支持なし曲がり梁のよう
(1)全体支持構造
一例として,コイル支持構造の全体構造解析結果を紹
な変形挙動を呈する.上下部の曲がり部は各々PF1,PF
介する.TFコイルおよび全体支持構造の有限要素法に
6の効果によりトロイダル方向のそれぞれ反対方向に曲
よるTFコイル系全体応力解析モデルをFig.4.4−7に示
げられ,コイル直線部端部と勇断キー部間のコイルケー
す.モデルは面外力支持用TFコイル間支持構造および
ス側面に最大応力が発生する.一方,中間部に位置する
重力支持構造を含むが,インボード上下部のトーラス予
アウトボードコイル間支持構造(OIS)近傍のコイルケー
備圧縮リングは含まれていない.しかし,予備圧縮リン
ス側面にも高応力が発生する.Table4.4−2にTFコイル
グの剛性に相当する半径方向反力を考慮することによっ
転倒モーメントによって中間部の上下2つのOISが受け
てその効果をモデル化した.TFコイル巻線部は3軸等
る勢断力を示す.この過大な勇断力はTFコイルケース
価剛性材料でモデル化され,また,負荷条件では,常温
とOISに曲げモーメントと局所応力を発生させ,両部材
34
第4章 磁場コイル系
Table4.4−2 ShearloadsonOIS(15MAscenario,atendofbum),
UpPerOISsegment
LowerOIS Segment
Radial shear
Vertical shear
1ユMN
1.55MN
0.73MN
Sy㎜肥廿ic(ユ}ndmoほ
a翫dg60fW張1}di[男
1.83MN
齢
Key垂3亘odくStfuこれu’e
W¢dge虫mdure
Maximum shear
BuffeτZα1e
UpPer intermediate OISsegment
22.7MN
Ou吐erTieP監ate
CSIU
Lower intermediate OISsegment
Spacer
Io罵rTie凹ate
25.6MN
c32u
接続コーナー部に最大応力が生じる.接続コーナー部を
500mmの曲率半径形状とし,支持部材板厚を増加させ
Spacer
F玉xed at Bo縫onlSU監{a(:e in
ることによって,ピーク応力の低減と緩和を図る構造と
Ve『蕊ca【1二》i鼠痴on
している.
Rg.4.4−8 Finite elementmode[forglobal CSstructureanalysis.
TFコイルケース材料のインボード部(SS316L:N’鍛造
材)およびアウトボード(SS316LN鋳造材〉に対して,材
料内の初期欠陥を仮定して疲労強度評価を行った.イン
詳細解析は巻線部内の導体ジャケットおよび絶縁材の詳
ボード部(SS316LN鍛造材および溶接部)には製作/組
細応力分布,評価を目的に,2次元軸対称モデルで行っ
み立て時の初期残留応力(70−200MPa)効果を考慮して
た.
疲労評価を行った.疲労評価の結果を,比較的厳しい部
CSコイルで構造強度的に厳しい部位は導体ジャケッ
位についてTable4.4−3に示す.実際のトカマク運転回数
ト,特にパンケーキ内のターン渡り部で上下にターン位
(30,000回)の2倍の安全率で評価される設計要求運転回
置がずれる箇所であり,したがって,CSコイルの構造強
数60,000回に対し,いずれの部位でもこれを十分上回っ
度は渡り部ジャケットの疲労強度によって決まる.コイ
た結果となり,強度上安全であることが検証された.
ル予備圧縮支持構造,CS全体支持構造の各部位は応力,
上記結果は,プラズマ電流15MAのプラズマ運転シナ
疲労強度の点で十分安全な設計である.
リオによる電磁力についての評価結果である.17MA
のプラズマ運転シナリオでは,各部応力はプラズマ電流
4.5 フィーダ
に比例して増加するため,17MAのプラズマ運転でもコ
コイルに電流と冷媒を供給するフィーダ(Feeder)は,
クライオスタット内フィーダ(ln−cryostatFeeder)およ
イル支持構造は疲労強度上十分安全であると言える.
び,クライオスタット貫通部(Cryostat Feedthrough),
(2)中心ソレノイドコイル支持構造
電流リードおよび冷凍配管,制御弁を有するコイル端子
主要負荷荷重は,支持構造にフープ応力を発生させる
半径方向の拡張電磁力と,上下のコイルモジュールから
箱(CoilTerminalBox:CTB)から構成される.
中央面への垂直方向圧縮電磁力である.CSコイル解析
は,コイル巻線部と予備圧縮支持構造の機械的挙動を評
フィーダ設計では,FDR98と比較して,トカマク装置
が小型化したためクライオスタット内が狭くなった.一
価する「全体解析」と巻線部内導体の「詳細解析」が行
方,コイルのインダクタンスが低下しコイル端子電圧が
われた.全体解析は,Fig.4.4−8に示すような3次元モデ
下がった.そのためTFコイルは2個直列に接続するこ
ルを用いて非軸対称効果を調べる目的であり,導体巻線
とができ,電流と冷媒を供給するTFコイル用フィーダ
部を等価剛性の異方性材料で代表させ,主として支持構
はFDR98の20本から9本に減った.PFコイルは,コイ
ル修理がクライオスタット内で可能になったため,各
造の荷重伝達と発生応力を評価する解析である.一方,
Table4.4−3 Fatigue Iife in the TF coil case and OIS(15MA scenario).
Location
Type and area(mm2〉ofpostulated.initial defect
Allowable number of stress cycles
Bottom o{inboard leg,side wal1
Sub−surface defect in forged base metal,10mm2
256,000
Bottom ofinboard leg,side wa11
Sub−surface defect in weld,20mm2
99,000
OIS pane1(at attachment to case wan)
Sub−sur董ace defect in cast base meta1,30mm2
156,000
35
プラズマ・核融合学会誌 第78巻増刊「ITER工学設計」 2002年1月
Table4.5−1 Numbersand locatbnofin−cryostatfeeders,cryostatfeedthrough,CTB,otherboxesandlocaゆanelforthemagnetsystem.
Components 2001−1−9
In−cryostatFeeder(IF)
Cryostat Feed−through(CF)
Local Panel
CTB/SCVB /IFB
Instrumentation
9
3
3
3
6
3
3
2
1
2
9
3
3
2
3
3
3
2
1
2
9
3
3
2
3
3
3
2
1
2
9
3
3
2
3
3
3
2
1
2
Tota1
35
31
31
31
TF Coil
PF Coil(PF1,PF2,PF3)
PF Coll(PF4,PF5,PF6)
Correction Coi1(Top)
Correction Coil(Si(1e,Bottom)
CS CQi生(CSIU,CS2U,CS3U)
CS Coi重(CSIL,CS2L,CS3L)
Structure Cooling(TF)
Structure Cooling(CS)
Location ofCF,Upper/Lower
Lower
Upper
Lower
Upper
Lower
Lower
Lower
Upper
Lower
Lower
\sideC.rreCti.nc.il/
Bottom
Correction Coil
TFCo闘
PF6
TFCoiI
PF4
CSCo羽
Separation Plate
Cooling Pipe
φ
Tb CryostatWa”
PF5
(
藩
SC Bus Bar
lnStrUmenatiOn
Wires
Feeder Cross Section
Fig.4、5−1 in−cryostatfeedersforTFcoils,CScoii,PFcoil and correction coil atbottom of machine。
PFコイルが1本のフィーダで十分である.その結果
である.一方,超伝導コイルヘのフィーダの部品の配置
フィーダの総数はFDA98の約半分に減らすことができ
設計は,装置全体の配置計画および組み立て計画の影響
た.Table4.5−1にITERで使用する各部品の数量を示す.
を大きく受けるため,クライオスタット内機器配置計画
フィーダに用いる部品は,日本原子力研究所とドイッ
および電源系や冷凍系との調整作業を継続的に行ってい
のカールスルー工研究所(FZK)で準備さされたモデル
く必要がある.
コイル試験装置に用いられフィーダ部品を応用したもの
36
第4章 磁場コイル系
4.5.1 クライオスタット内フィーダ
フィーダは,Fig.4。5−2に示すように,クライオスタット
クライオスタット内フィーダは,1対の超伝導ブス
および生体遮蔽体を貫通してクライオスタット貫通部
バー(NbTi),1対の冷却管,超伝導ブスバーの短絡を防
(S−bendBox)経てCTBに至る.クライオスタット貰通
止するためのセパレイター,’計測線,さらにこれらを収
部の機能は,冷却によるコイルおよびフィーダの熱収縮
納する保護ダクトから構成されている.マグネットの下
と地震時の変位を吸収する.電源から導かれた常温の銅
のクライオスタット内フィーダとその断面をFig。4。5−1
ブスバーはこの電流リード常温端に結合され,一方冷凍
に示す.フィーダ用超伝導導体はPF用撚線を流用した
機から導かれた冷凍配管もCTB内の配管に結合されて
:NbTi導体である.TFコイルは18個のコイルが直列接続
おり,CTBはコイル系と電源および冷凍系との取り合い
するため,9本のフィーダと9本のジャンパー線で回路
を構成している.
が構成されている.CSコイルは6本のフィーダが必要
CTBの真空と,コイル,フィーダおよびクライオス
であるが,下部からは3本のフィーダが出ている.PF
タット貫通部の真空は分離されており,CTB内の機器の
コイルは各1本のフィーダを用いる.補正コイルは,上
修理が必要となった場合でも,クライオスタット内のコ
部および側部,下部に6個づつのコイルで構成され,合
イル系をわざわざ昇温しなくても修理が行える.補修に
計で18個のコイルから成る.しかも,対角のコイルは直
要する期間を大幅に短縮できる.
列接続されるため,フィーダは複雑な配線になってい
CTB内に収納される1対の電流リードは,ピットの高
さを5mと低くできるため,横置きの強制冷却型電流
リードを採用している.現在の設計においては,電流
る.
4.5.2 クライオスタット貫通部とコイル端子箱
リードは実績のある従来型の銅を用いた設計[37]を採用
コイル端子箱(CTB)はコイル系と冷凍系および電源
系とを結び付ける装置でクライオスタット外のピット領
しているが,将来,高温超伝導材を利用した電流リード
域に配置され,冷凍配管や制御弁,電流リード,計測線
が利用できるようになると,電流リード用の冷凍能力を
のフィードスルーなどを装備している.コイルから出た
大きく削減する可能性がある.高温超伝導材電流リード
Biological Shield
Cryostat Feedthough
(S−Bend Box)
ControI Valve
Coi口brminal Box
(CTB)
lnte『face to
Cryoplant
/
DryBox
ln ce to Cryostat
/
Safety Valve
Current Lead
Fig.4.5−2 Cryostat Feedthough(CF)and Coil Terminal Box(CTB)for TF coiL
37
f ; :7' ^ "
a) -Fj
p'
, A CJ
[39] >
F
t ;
f F 'i L38]
LC
, A
f;'
+
;
);
i:
+_--・-" ,*
-)V;
l
)1/-J
,ji
78
flJ
rITER I-
;**fJ 2002Lf I
l
national 30, 567 (1990).
fj
L20] K. Ishio et al.. P,'oc. 15th International Conf on Magnet
; tL )
Tech. (1998) p.989.
L2l] M.D. Sumption etal.. Cryogenics 39, 197 (1999).
[22] A. Nijhuis et al., Cryogenics 41, I (2001).
[1]
[2]
[3]
[4]
r
{ 4
T 7 +t
: f :_ I Ll
36,309(2001).
[23] K. Okuno et al., 2lst SOFT, Madrid 2000 (to be pub-
H. Tsuji et al., Nucl. Fusion 41, 645 (2001).
lished ).
H. Tsuji et al., Fusion Eng. Des. 55, 153 (2001).
[24] D.S. Beard etal.. Fusion Eng. Des. 7, 1&2, I (1988).
E. Salpietro et al., Proc. 15th lrtternational Conf on Mag-
[25] Y. Takahashi et al.. Fusion Technol. 1992, 942 (1993).
net Tech. (1998) p.353.
L26] R. Maix et al., IEEE Trans. Appl. Supercond. 10, 584
L5] N. Mitchell and E. Salpietro, Fusion Eng. Des. 55, 171
(2000).
(2001).
L6]
L7]
7 : {i
[27] K. Yoshida etal., IEEE Trans. Appl. Supercond. 10, 576
u 4
rITER-CS
, ",
L8]
L9]
: f ;_
]IilLI f"
E,' 'T')1/ ' 1
;J 4L+ r
!;5
4
:
*
; :
35, 357 (2000).
(2000).
)1/ CS E:' T')V '
:7illl"
'
)1/q)
[28] Y. Takahashi et al., IEEE Trans. Appl. Supercond. 10,
36 No 6 (2001)
=' L
: -'-'-
580 (2000).
73 Suppl.,79
[29] P. Libeyre et al., Proceedings ofMT]5 (1998) P.421.
(1997).
[30] K.Yoshida etal., Fuion Technol. 1998, 807 (1998).
N. Mitchell et al., IEEE Trans. Magn. 32, 2997 (1996).
L3l] {
LIO] H. Tsuji et al.. Fusion Eng. Des. 55, 141 (2001).
L1l]
IH
4
-
F J ;
?"
'
nrl
-*-'・--
:
*
4
: y ; '7 '
/'
:A c
' "
74Suppl., 63
(1998).
B 119-B, 1263 (1999).
[32] A, Nyilas, D.R. Harries and G. Bevilacqua, Adv. Cryo-
L12] N. Mitchell et al., Proc. 15th International Conf on Mag-
genic Engineering 46, 443 (2000).
net Tech. (1998) p.347.
[33] R. Maix etal., 2lstSOFT, Madrid2000(to bepublished).
L13] D. Dew-Hughes, Cryogenics 15, 435 (1975).
[34] C. Jong etal., 2lst SOFT, Madrid 2000 (to bepublished).
L14] M. Ono et al., IEEE Trans. Appl. Supercond. 7, 215
[35] K. Okuno et al., 2lst SOFT, Madrid 2000 (to be
(1997).
pubrished ).
[15] A. Niihuis and H.H.J. ten Kate, Adv. in Cryogenic En-
L36] /- ) :-= t n
gineering 46, 1083 (2000).
A E:'f
[16] Y. Takahashi et al., IEEE Trans. Appl. Supercond. 11,
p.379.
1546 (2001).
4 l : h
, '
-'-'" 2 ., m
:
7
:jJ
/
) ?"
t
i u L )
;
f
7 ;
_
4
; (2001)
L37] Y. Takahashi et al., Proceedings ofthe 16th Inte'"national
L17] T. Kato et al., Adv. in Cryogenic Engineering 44, 9
Clyogenic Engineering Conference (1996) p.795.
(1998).
[38] T.Andoetal., 2lstSOFT,Madrid2000(tobepublished).
L18] N. Mitchell et al., Proc. 15th International Conf on Mag-
L39] R. Heller etal., 21StSOFT, Madrid2000 (to bepublished).
net Tech. (1998) p.ll63.
L19] H. Nakaiima, K. Yoshida and S. Shimamoto, ISIJ Inter-
38
Fly UP