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芸 術 科( 美 術 Ⅰ ) 学 習 指 導 案 広島県立安芸府中高等学校 教諭
芸 術 科( 美 術 Ⅰ ) 学 習 指 導 案 広島県立安芸府中高等学校 教諭 神原 菜穂子 1 実施日:平成 24 年 7 月 20 日(金)第3・4校時 2 学年・学級:第1学年4・5組(30 名) 3 題材名: 4 題材について 伴大納言絵巻の秘密を探ろう! (1)題材観 本題材は,高等学校学習指導要領芸術(美術Ⅰ)「B 鑑賞」ア,エを受けて設定したもので ある。 絵巻は,本来,詞書と絵を交互に構成し,物語と絵を交互に鑑賞するものである。本題材 の「伴大納言絵巻」も応天門炎上事件を巡る政治ドキュメンタリーが,詞書と絵で生き生き と描かれており,日本三大絵巻の一つとして評価が高い。物語自体の面白さはもちろん,そ こに描かれている民衆の豊かな表情,時間と空間の流れを演出する画面構成の巧みさを感じ ることができる。 そのため,本題材は,絵を見てよさを感じるだけでなく,物語の内容を理解してそれがど のように表現に現れているのかを深く考察させるのに適している。 (2)生徒観 本クラスの生徒は,中学校の美術科で絵巻についての学習を経験していない生徒が多く, 数名の生徒が「鳥獣人物戯画」の学習をした経験をもっている程度である。絵巻についての 知識は少ない。 また,1学期の鑑賞では,福田繁雄のポスターを鑑賞し,自己の考えを皆の前で発表した り,他者の意見を共有したりする活動を行っている。その際には,積極的に発言が飛び交い, 意欲的に鑑賞の授業に取り組む姿勢が見られた。 (3)指導観 美術Ⅰを選択している生徒は,日本の美術文化を理解したり,よさや美しさを感じ取った りすることが難しい。そこで,作品を造形要素からの視点で分析的に捉えることにより,日 本美術の表現の巧みさを感じ取れるようにした。一人で考察したり,グループで考察したり することにより,より深く思考させたい。 また,伴大納言絵巻は,絵と詞書で構成されているため,生徒には話の内容を理解させた 上で絵を鑑賞させたい。確実に話を理解することにより,より深く絵の部分について考察す ることができると考える。 5 6 題材の目標 絵巻の表現に関心をもち,その一部を「形」 「色彩」 「構成」の観点から鑑賞することにより日 本の美術文化について理解を深める。 題材の評価規準 ア関心・意欲・態度 エ鑑賞 日本の伝統的な表現の特質に関心をも 伴大納言絵巻に見られる表現の工夫を ち,絵巻の表現とその文化について理解 読み解き,その特徴を分析することに しようとしている。 より,日本の美術文化についてのよさ や美しさについて理解を深めている。 7 指導と評価の計画(全 2 時間) 評価 学習内容(時数) 関 発構 創 鑑 評価規準 評価方法 絵巻の表現に関心をもち,積極的に 観察 感じ取ろうとしている。 ○ 絵巻を鑑賞する(2) ◎ 「形」 「色彩」 「構成」の観点から絵 ワークシー 巻を鑑賞し,特徴を分析してよさや ト 美しさへの理解を深めている。 8 本時の展開 (1)本時の目標 3つの観点(「形」「色彩」「構成」)から伴大納言絵巻を意欲的に分析し,その特徴や特質 を理解する。 (2)観点別評価規準 絵巻の表現に関心をもち,積極的に感じ取ろうとしている。 (ア) 「形」 「色彩」 「構成」の観点から絵巻を鑑賞し,特徴を分析して理解を深める。 (エ) (3)準備物 教科書(日本文教出版) 伴大納言絵巻(12 紙から 13 紙)のコピー 「伴大納言絵巻」の話の概要プリント ワークシート (4)学習の展開 学習活動 導 入 3 分 評価規準 評価方法 指導上の留意事項 本時の目標を確認する。 造形的な視点から絵巻を鑑賞し,よさや美しさを感じ取る。 プリントを見て何をしている場面な 理由とともに何をしている場面かを考えさせ る。 のかを考える。 グループで討議し,グループでの答え 描かれているものを根拠に,必ず全員の意見 を出させ,グループ内で共通した意見をまと を出す。 めさせるようにする。 どのような場面かを知る。 (絵巻の一部分であることを知る) 展 開 82 分 絵巻の特徴を知る。 物語の最も面白い部分であり,構成の工夫が 見られる部分である。このあとの展開の中で その工夫に気付いてほしいため,異時同図法 で描かれていることは述べず, 「子供の喧嘩 を大人が止めているところ」という説明に留 めておく。 ① 制作年代 ② 形(詞書+絵が交互に構成) ③ 右から左へ読む 「伴大納言絵巻」の話の概要を読む。 第 12 紙と第 13 紙が物語のどの部分に当たる のかを描かれているものと比較させながら読 ませる。 教科書(第 12 紙∼13 紙)を見て3つ の観点から作品を分析する。 ①形 ②色彩 ③構成 悩んでいる生徒には,話を思い出させるよう なヒントを与え,効果的に話を視覚化してい る部分を探すよう指導する。 (話が分かりやすく伝わるための工夫) 意見に自信がもてるように,机間指導をして グループで討議し,グループでの答え 深く分析している意見や視点を根拠にしてい 観察 ワークシート を出す。 る意見には○をつけていく。 発表する。 出た意見を分類し,皆の意見をまとめる。 (出た答えを尊重し,否定しない。 ) 気付いてほしかった点に気付けなかった場合 は,補足をする。 まとめを聞く。 「形」 大胆なデフォルメ 表情とポーズの豊かさ 「色彩」 強調させるための色彩対比 「構成」視線の誘導(異時同図法) 終 結 15 分 本時の振り返り(感想を書く。 ) ワークシート 子供の喧嘩の一連の動きから噂が 広まる人の動きまで水紋のように 広がっていく様子をここでしっか り押さえたい。