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いちき串木野市環境基本計画

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いちき串木野市環境基本計画
いちき串木野市環境基本計画
平成 23年 3 月
いちき串木野市
は じ め に
いちき串木野市は、白砂青松が続く吹上浜の海岸線、東シナ海と霊
峰冠岳を含む山々に囲まれた地形がもたらす清らかな地下水や温泉、
温暖な気候など豊かな自然に恵まれた環境にあります。
本市は、平成 17 年 10 月 11 日に、旧串木野市と旧市来町の 1 市 1
町が合併し、いちき串木野市として誕生して以来、
「人が輝き 文化の
薫る
世界に拓かれたまち」を将来都市像とした“いちき串木野市第
1 次総合計画”に根ざした様々な環境行政に取り組んで参りました。
しかし、近年の地球温暖化問題など、私たちを取り巻く環境は大きな
転換期を迎えており、地域社会においても、大量生産、大量消費型の生活様式や意識を見
直し、自然と共生する持続可能な環境共生型社会の構築が求められるなど、多くの課題が
浮上しています。
このような幅広い環境問題に対応すべく、この度本市の環境行政のマスタープランとも
いえる“いちき串木野市環境基本計画”を策定致しました。本計画では、
「みんなではぐく
む、水と緑と共生するまち・いちき串木野」を望ましい環境像に掲げており、その実現に
向けて取り組むべき施策や重点施策、市民、事業者、市民団体、市のそれぞれの果たすべ
き役割や連携の方針などを盛り込んでいます。
今後は、本計画に基づき、市民、事業者、市民団体、市が共通の認識の下、それぞれの
立場で、また協働して問題の解決に取り組んで参りたいと考えております。皆様の御理解
と御協力をお願い致します。
最後になりましたが、本計画の策定に当たり、慎重なる御審議をいただきました、いち
き串木野市環境審議会の皆様をはじめ、貴重な意見をお寄せいただきました市民の皆様に
心より感謝申し上げます。
平成 23 年 3 月
いちき串木野市長
田畑
誠一
目
次
はじめに
第1章 環境基本計画とは ·················································································· 1
1.計画策定の趣旨等 ····················································································· 1
(1)計画策定の目的 ·················································································· 1
(2)いちき串木野市のプロフィール ····························································· 2
(3)環境をめぐる社会情勢 ········································································· 6
2.計画策定の基本的事項 ··············································································· 7
(1)計画の位置づけ ·················································································· 7
(2)環境の対象範囲、対象地域 ··································································· 7
(3)計画期間 ··························································································· 8
第2章 どんな環境を目指すのか ········································································· 9
1.望ましい環境像 ························································································ 9
2.環境目標 ······························································································· 10
(1)自然環境:豊かな自然環境の保全とふれあいの推進································ 10
(2)生活環境・地球環境:環境負荷の少ない環境にやさしい暮らしの実践 ······· 10
(3)快適環境:自然環境資源、文化資源を活かした快適な生活空間の確保 ······· 11
(4)環境保全体制:環境を守り活かす地域づくりの推進································ 11
第3章 施策の展開 ························································································· 12
1.施策の体系 ···························································································· 12
2.基本施策 ······························································································· 13
(1)自然環境:豊かな自然環境の保全とふれあいの推進································ 13
(2)生活環境・地球環境:環境負荷の少ない環境にやさしい暮らしの実践 ······· 24
(3)快適環境:自然環境資源、文化資源を活かした快適な生活空間の確保 ······· 37
(4)環境保全体制:環境を守り活かす地域づくりの推進································ 42
3.重点施策-マイバッグ運動の推進 ······························································ 48
(1)いちき串木野市におけるマイバッグ運動の現状······································ 48
(2)基本的方向 ······················································································ 49
(3)進捗指標と数値目標 ·········································································· 49
(4)スケジュール ··················································································· 49
第4章 計画を一歩一歩進めていくために ··························································· 50
1.計画の推進体制 ······················································································ 50
(1)庁内の計画推進体制の整備 ································································· 50
2.計画の進行管理 ······················································································ 51
(1)進行管理の考え方 ············································································· 51
(2)計画の進捗状況の評価と公表 ······························································ 51
資料編
1.計画策定の経緯 ················································································· 資-1
2.いちき串木野市環境基本条例 ······························································· 資-2
3.いちき串木野市環境審議会名簿 ···························································· 資-5
4.アンケート調査の概要 ········································································ 資-6
5.パブリックコメント(市民意見提出手続)による意見と回答 ···················· 資-7
6.用語の解説 ······················································································· 資-8
第1章
環境基本計画とは
1.計画策定の趣旨等
(1)計画策定の目的
今日の環境問題は、地球温暖化問題や生物多様性の消失など、人類全体で取り組まな
ければならない地球規模的な広がりを持つものとなってきていますが、私たち一人ひと
りの認識はまだまだ薄いと言わざるを得ない状況にあります。
本市は海、森林、河川等の自然環境に恵まれており、これらの自然環境は本市の市民
生活や産業等に大きく貢献してきており、今後のまちづくりを進めるうえで、生活環境
や産業振興などのさまざまな場面での環境負荷の軽減を意識した施策の展開が必要と
なります。
そのため、環境と共生するライフスタイルづくりを目指すとともに、下水道の普及拡
大、廃棄物処理システムの活用など自然環境保全に向けた取組を強化する必要がありま
す。
いちき串木野市ではこれらの状況に鑑み、平成 19 年 3 月に「いちき串木野市環境基
本条例」を制定し、本市の環境の保全についての基本理念を定めるとともに、環境の保
全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画「環境基本計画」
を策定することを定めています。
本計画は、条例で示された「健全で恵み豊かな環境の確保と将来世代への継承」、
「
循
環型社会※の構築」
、
「地球環境保全の推進」の環境保全の基本理念に則り、環境の保全
に関する施策を総合的かつ計画的に推進することで、現在及び将来の市民の健康で文化
的な生活の確保に寄与することを目的とするものです。
※循環型社会:有限である資源を効率的に利用するとともに、排出された廃棄物等についてはできるだけ
資源として適正に利用するなど再生産を行って、持続可能な形で循環させながら、利用し
ていく社会のこと。
1
(2)いちき串木野市のプロフィール
■
沿革・地勢
いちき串木野市は、明治の分割・合併以来、それまで独自の歩みを続けてきた市来町、
串木野市が、平成 17 年(2005 年)に合併し、誕生しました。
本市の面積は 112.04km2、東経 130°16'27"、北緯 31°42'30"の鹿児島県、薩摩半島
の北西部、日本三大砂丘の一つである吹上浜の北端に位置します。
本市は市街地の西側を東シナ海に、北側と東側を山々に囲まれており、五反田川、八
房川、大里川等の河川が東から西へ流れ下り、海へ注いでいます。
宅地や田畑の分布は平坦な西の海岸線沿いや河川沿いに限られており、丘陵地から山
地にかけては、樹林地や果樹園に占められます。
また、本市は西海型気候区に属し、気温の日変化、年変化の小さい比較的温暖で、降
雨量にも恵まれた地域です。
資料:いちき串木野市ホームページ「市のあゆみ」より
■図 沿革
2
資料:自然環境保全基礎調査
■図
■
環境省 GIS データより編集
いちき串木野市の地勢図
人口
平成 20 年における 10 月 1 日現在の県推計人口による本市の総人口は 31,697 人であ
り、過去 15 年間の推移の中で、確実に減少傾向にあります。また、総人口における 65
歳以上の割合を示す高齢化率についても、平成 20 年現在で約 3 割に達しており、今後
も人口減少、少子高齢化の傾向が強まるものと考えられます。
また、本市の人口は主に海岸部に集中しており、ここより伸びる幹線道路、JR、南
九州西回り自動車道沿いに人口集中地区が拡大しています。
3
65歳以上の割合(%)
人口(人)
40,000
35,624 35,534
35,294 34,936 34,781 34,544 34,266 33,997 33,866 33,597 33,323
32,993 32,619 32,177
31,697
30,000
100
80
60
20,000
40
10,000
20
0
0
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
年 度
人口
65歳以上の割合
資料:平成 21 年度「統計 いちき串木野」
国勢調査及び県推計人口 10 月 1 日
■図
総人口の経年変化グラフ
資料:地図で見る統計(統計GIS)
平成 17 年度国勢調査
■図 人口分布状況
4
■
環境に関する市民、事業者の意向
市民アンケート調査※結果によると、よりよい環境づくりを進めていくための市民活
動への参加意向は、条件付きの参加も含めて半数を超える状況にあります。
また、事業所においては、約 8 割もの事業所が、何らかの形で地域活動へ参加したい
との意向を示しています。
その他, 50, 5.2%
自分は参加した
くないので、地域
の代表にまかせ
る, 81, 8.4%
地域環境の問題
解決や環境づくり
のために、会合
や行事などに積
極的に参加した
い, 52,
5.4%
無回答, 208,
時間などが許す
21.6%
限り、環境づくり
の市民活動に参
加
したい, 278,
28.9%
事業者や行政と
連携した取り組
みであれば参加
したい, 170,
17.7%
自分の利害に直
接関わる問題な
らば参加する,
123,
12.8%
■図
市民活動への参加の意向(市民)
その他, 2, 4.3%
参加したくない, 1,
2.2%
地域環境の問題
解決や環境づくり
のために、会合や
行事などに積極
的に参加したい, 2,
4.3%
■図
無回答, 6,
13.0%
事業所の利害に
直接関わる問題
ならば参加する,
9,
19.6%
時間などが許す
限り、環境づくり
の地域活動に
参加したい,
26,
56.5%
地域活動への参加の意向(事業所)
※アンケート調査:環境基本計画策定のための基礎調査として行ったもの。市民 1,000 人、事業所 100 社、
小学生 268 人を対象に、平成 22 年 6 月、環境意識、環境保全行動の実施状況等を尋ね
る調査を行っている。
5
(3)環境をめぐる社会情勢
今、人類は大きな岐路に立っています。
地球温暖化、資源・エネルギーの枯渇、生物多様性の劣化など、地球規模での環境変
化や国際的な経済動向が、私たちの日々の暮らしにまで影響を与えることを実感するよ
うになり、これまでのような大量生産、大量消費、大量廃棄に代表される経済社会の発
展のあり方から地球環境と両立できる経済発展の追求に舵を切ろうとしています。
国の「21 世紀環境立国戦略※」では、
「地球温暖化の危機」、
「資源の浪費による危機」
、
「生態系の危機」を地球環境を脅かす 3 つの危機としてとり挙げ、これらに対応した持
続可能な社会の構築が急務であるとしています。
また、平成 20 年に閣議決定された低炭素社会づくりのための行動計画、循環型社会
づくりに関する種々の施策、平成 20 年に成立した自然共生型社会づくりの要となる生
物多様性基本法など、環境行政は近年、めまぐるしい展開を示しています。
このような中、同じ地球に生きる者として、共通の運命を自覚し、私たち一人ひとり
が環境保全に向けて具体的な行動を起こすことが求められています。
※21 世紀環境立国戦略:平成 19 年に閣議決定された、国内挙げて取り組むべき環境政策。重点的に着手
すべき課題として、「気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップ」、「生
物多様性の保全による自然の恵みの享受と継承」
、
「3R を通じた持続可能な資源循
環」をはじめ 8 つの戦略を提示している。
6
2.計画策定の基本的事項
(1)計画の位置づけ
いちき串木野市環境基本計画は、いちき串木野市環境基本条例第 8 条に規定された計
画であり、いちき串木野市第一次総合計画(地方自治法第 2 条)を上位計画とした環境
に関する政策の指針となる計画です。
■図
いちき串木野市環境基本計画の位置づけ
(2)環境の対象範囲、対象地域
計画の対象とする地域は、いちき串木野市全域とします。ただし、いちき串木野市単
独では解決できない広域的な問題等については、薩摩川内市、日置市等の周辺自治体や
県、国と連携、協力して取り組んでいきます。
また、本計画で取り扱う環境の要素は自然環境、生活環境・地球環境、快適環境、環
境保全体制とします。
■
対象とする環境要素
自然環境
…植生・植物、動物、自然景観等
生活環境・地球環境…大気環境(大気質、騒音・振動、悪臭)、水質環境、
土壌環境、ごみ処理、地球温暖化等
快適環境
…文化財、伝統芸能、公園・緑地等
環境保全体制
…環境関連条例・要綱、環境行政組織、環境教育・学習、
市民団体等
7
(3)計画期間
計画の期間は、平成 23 年度から平成 32 年度までの 10 年間とします。
なお、5 年後の平成 27 年度には中間見直し、10 年後の平成 32 年度には全面改定を
行いますが、計画の進捗状況や社会状況の変化、環境問題に関する大きな変化などが生
じた場合には、必要に応じて改定を検討します。
前
平成(年度)
23
(2011)
24
期
25
中
26
27
期
28
後
29
30
期
31
32
(2020)
計 画 期 間
▲
▲
▲
計画初年度
中間見直し
目標年度
8
第2章
どんな環境を目指すのか
1.望ましい環境像
みんなではぐくむ、水と緑と共生するまち・いちき串木野
「いちき串木野市
第 1 次総合計画」では、将来都市像の実現を図るための基本方針
の一つに、
“共生・協働のまちづくり”を挙げています。
また、本市の未来を担う子供たち(小学校 6 年生)を対象に行ったアンケート調査で
は、いちき串木野市の望ましい環境の姿として、「川や池の水がきれいなまち」、「空気
がきれいなまち」
、
「自然とふれあう場所が多いまち」、
「花や緑の多いまち」など、自然
が美しいまちが望まれています。
本市は、吹上浜県立自然公園に属する変化に富んだ海岸線やクロマツの林、自然植生
が市街地の住環境に隣接して存在する、自然環境に大変恵まれたまちです。この恵まれ
た環境条件と総合計画のコンセプト※、市民意向を活かし、具体化するものとして、
「み
んなではぐくむ、水と緑と共生するまち・いちき串木野」を望ましい環境像とします。
■
いちき串木野市の望ましい環境の姿
かんきょう
問3
あなたは、いちき串木野市がどんな 環 境 のまちだったらいいなと思いますか。
じゅうよう
特に 重 要 と思うもの3つ以内に○をつけてください。
総回答数
267
0
100
200
178
川や池の水がきれいなまち 124
空気がきれいなまち 101
自然とふれあう場所が多いまち
公園などが多く整備され、花や
緑の多いまち 97
76
ごみのポイすてなどのないまち
野鳥や昆虫などの生き物が多い
まち 57
41
まちなみの美しいまち 歴史を感じるまち 33
静かで騒音のないまち 31
田畑に囲まれたまち 6
10
無回答 資料:平成 22 年度
※コンセプト:全体を貫く基本的な概念。
9
子供(小学生)アンケート調査結果より
2.環境目標
望ましい環境像「みんなではぐくむ、水と緑と共生するまち・いちき串木野」を実現
するための目標として、次の 4 つの環境目標を設定します。
■
4 つの環境目標
対象とする環境
環境目標
自然環境
豊かな自然環境の保全とふれあいの推進
生活環境・地球環境
環境負荷の少ない環境にやさしい暮らしの実践
快適環境
自然環境資源、文化資源を活かした快適な生活空間の確保
環境保全体制
環境を守り活かす地域づくりの推進
(1)自然環境:豊かな自然環境の保全とふれあいの推進
動植物、自然景観等の自然環境に関する環境目標とします。
いちき串木野市は海、山、温泉などの豊かな自然に恵まれています。これら豊かな自
然は、私たちに安らぎと健康を与え、持続可能な社会生活を営む上でかけがえのない財
産であるとともに、その自然景観は地域の宝です。
そのため、この豊かな自然と景観を大切に守り育てるとともに、本市の魅力として活
用していくことが求められています。
目標達成のため、以下の基本施策を設定します。
<自然環境に関する基本施策>
①貴重な自然を守る
②里地・里山・里海を守り育てる
(2)生活環境・地球環境:環境負荷の少ない環境にやさしい暮らしの実践
大気環境、水環境、土壌環境、ごみ処理、地球温暖化問題等の生活環境・地球環境に
関する環境目標とします。
これらの環境要素は、健康的で文化的な生活を享受するために欠けてはならないもの
です。また、これらの環境は私たちの毎日の生活や経済活動により消費される資源やエ
ネルギー、生活排水等の環境負荷により影響を受けます。環境負荷の低減、循環型社会
の構築、低炭素型社会づくりをキーワードに、私たち一人ひとりの生活スタイルを見直
し、できることから実践する体制を推進します。
目標達成のため、以下の基本施策を設定します。
10
<生活環境・地球環境に関する基本施策>
①良好な生活基盤を確保する
②循環型社会を形成する
③低炭素型社会を形成する
(3)快適環境:自然環境資源、文化資源を活かした快適な生活空間の確保
文化財、伝統芸能、公園・緑地等の快適環境に関する環境目標とします。
いちき串木野市は、市街地等の生活空間に隣接して、吹上浜県立自然公園等の豊かな
自然に恵まれています。また、南九州を代表する遺跡である「市来貝塚」等の史跡や、
「市来の七夕踊」
、
「ガウンガウン祭り」、
「太郎太郎祭り」等の数多くの伝統芸能が継承
されています。物の豊かさから心の豊かさへ、これら資源を活かして景観的にも精神的
にも快適な生活空間の確保を目指します。
目標達成のため、以下の基本施策を設定します。
<快適環境に関する基本施策>
①潤いのある町並みを創る
②伝統・歴史・文化を活かす
(4)環境保全体制:環境を守り活かす地域づくりの推進
環境関連条例・要綱、環境行政組織、環境教育・学習、市民団体等の環境保全体制に
関する環境目標とします。
環境保全や創造のための取組は、行政だけではできません。市民や事業者、市民団体
など、あらゆる主体の協働によって初めて実現できるものです。また、環境保全・創造
活動を通じて地域社会とつながること、隣人との親交を深めることは、精神的な豊かさ
を得る上でも重要なことと考えます。環境を守り、その行為によって心の豊かさも得る、
このような地域づくりを目指します。
目標達成のため、以下の基本施策を設定します。
<環境保全体制に関する基本施策>
①環境教育・学習に取り組む
②環境保全・創造活動に取り組む
11
第3章
施策の展開
いちき串木野市が抱える環境問題はさまざまです。これら課題を解決し、
「環境目標」
を達成していくためには、自然環境、生活環境・地球環境、快適環境、環境保全体制の
全ての環境分野を網羅した総合的かつ計画的な取組が必要となります。
“基本施策”では、それぞれの環境分野が抱える課題と、具体的な施策について示し
ます。
また、その中でも特に市、市民、市民団体、事業者との協働による取組効果の高い「マ
イバッグ運動の推進」を“重点施策”として設定し、優先的に推進します。
1.施策の体系
■図 施策の体系図
12
2.基本施策
(1)自然環境:豊かな自然環境の保全とふれあいの推進
1)貴重な自然を守る
①現況と課題
■
優れた自然環境
いちき串木野市は、海、山、川の多様な自然環境に恵まれています。優れた自然環境
も多く、海岸部の吹上浜県立自然公園ほか、県指定の天然記念物に指定されている仙人
岩の植物群落キクシノブ・ヤッコソウ自生地、環境省の自然環境保全基礎調査で優れた
景観資源として挙げられている節理・岩脈の見られる岬(長崎鼻)、砂丘(吹上浜)な
どがあります。しかし、近年、日本三大砂丘の一つに数えられる吹上浜の海岸線の浸食
が問題となるなど、法的規制のかかる地域も含め、積極的な保全措置を行う必要が生じ
ています。
––––
–
資料:自然環境保全基礎調査 環境省 GIS データより編集
鹿児島県鳥獣保護区等位置図(平成 21 年度)
鹿児島県土地利用基本計画図
指定文化財一覧表
■図
いちき串木野市における優れた自然環境の分布
13
■
絶滅のおそれのある希少な生物が生息しています
鹿児島県レッドデータブック記載種のうち、本市に確認記録のあるもの、あるいは生
息可能性の高いものを抽出した結果、99 種もの動植物の生息・生育が指摘されていま
す。
多くは冠岳や沿岸部など、本市の特殊な環境に依存するものです。このうち、アカウ
ミガメについては昭和 63 年に「鹿児島県ウミガメ保護条例」が制定されており、ウミ
ガメ保護監視員の設置や連絡協議会が開催されています。
一方、これらの種の生育・生息を脅かすものとして、外来生物※の進入が問題視され
ていますが、希少種の生息・生育の実態も含め、現況の把握は行われていない状況です。
イカルチドリ
ベッコウトンボ
コバノミツバツツジ
ヒロクチカノコガイ
※外来生物:もともとその地域にいなかったのに、人間活動によって他地域から入ってきた生物のことを
指す。近年外来生物が引き起こす悪影響が問題となっており、日本固有の生態系への影響、
人の生命・身体への影響、農林水産業への影響が懸念されている。例えばハイイロゴケグモ、
セアカゴケグモ等の毒を持つ生物など。
14
■
本市に関する鹿児島県レッドデータブック記載種リスト(動物編)
▽哺乳類
№
1
種名
ホンドギツネ
県カテゴリー 環境省カテゴリー
絶滅危惧Ⅱ類
なし
地名等
薩摩半島南部で情報
▽鳥類
№
種名
県カテゴリー 環境省カテゴリー
地名等
1
ツクシガモ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠB類 旧串木野市八房川で記録
2
クマタカ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠB類 県内の山地ほぼ全域で確認
3
ヘラシギ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠB類 吹上浜で記録
4
コアジサシ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
旧串木野市で記録
5
オオタカ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
旧串木野市で記録
6
ハヤブサ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県内全域に生息
7
イカルチドリ
絶滅危惧Ⅱ類
なし
県内各地の比較的大きな河川
▽ 爬虫類
№
1
種名
アカウミガメ
県カテゴリー 環境省カテゴリー
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
地名等
吹上浜、県内全域の砂浜
▽昆虫類
№
種名
県カテゴリー 環境省カテゴリー
地名等
1
ベッコウトンボ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
県内各地に分布。
旧串木野市、旧市来町で記録
2
ヨドシロヘリハンミョウ 絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
八房川で確認
3
カワラハンミョウ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
吹上浜で確認
4
オオウラギンヒョウモン 絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
旧串木野市、旧市来町に記録(分布図
による)
5
タイワンツバメシジミ
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
旧串木野市から薩摩半島の中部で生息
6
ハラビロハンミョウ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
吹上浜で確認
7
ニッポンハナダカバチ
絶滅危惧Ⅱ類
情報不足
県本土
8
オナガアゲハ
絶滅危惧Ⅱ類
なし
串木野地方で採集(分布図による)
15
▽汽水・淡水産魚類
№
種名
県カテゴリー 環境省カテゴリー
地名等
1
アオギス
絶滅危惧Ⅰ類
なし
吹上浜沿岸
2
トビハゼ
絶滅危惧Ⅱ類
沖縄島のものは
絶滅のおそれの 薩摩半島西部
ある地域個体群
3
チクゼンハゼ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類 薩摩半島西部
▽陸産貝類・淡水汽水産貝類
№
種名
県カテゴリー 環境省カテゴリー
地名等
1
オキヒラシイノミガイ
絶滅
なし
薩摩地方で記録
2
ベッコウフネアマガイ
(ホソフネアマガイ)
絶滅危惧Ⅰ類
なし
九州南部の東シナ海沿岸の河川河口域
で確認
3
ツブカワザンショウガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
薩摩地方に分布
4
クリイロカワザンショウガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
薩摩地方に分布
5
サツマクリイロカワザンショウガイ 絶滅危惧Ⅰ類
なし
東シナ海沿岸の九州南部に分布
6
クロクリイロカワザンショウガイ 絶滅危惧Ⅰ類
なし
薩摩地方に分布
7
ヨシダカワザンショウガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
薩摩地方に分布
8
ムシヤドリカワザンショウガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
薩摩地方の河川の河口汽水域に分布
9
オカミミガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
北薩地方の河口汽水域干潟に分布
10 シイノミミミガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
薩摩地方に分布
11 ナラビオカミミガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
北薩地方に分布
12 キヌカツギハマシイノミガイ
絶滅危惧Ⅰ類
なし
東シナ海沿岸の九州南部に分布
13 ハナコギセル
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
薩摩地方に分布
14 ヒロクチカノコガイ
絶滅危惧Ⅱ類
なし
薩摩地方に分布
15 ミヤコドリ
絶滅危惧Ⅱ類
なし
九州南部に分布
16 シリブトゴマガイ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
薩摩半島半部に分布
17 ヒメマルマメタニシ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
薩摩地方に分布
18 クリイロコミミガイ
絶滅危惧Ⅱ類
なし
薩摩地方に分布
19 ヒロクチコギセル
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
薩摩地方に分布
20 テラマチベッコウ
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
薩摩半島に分布
21 レンズガイ
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
薩摩地方に分布
22 チクヤケマイマイ
絶滅危惧Ⅱ類
なし
北薩に分布
23 ニセマツカサガイ
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
薩摩地方に分布
24 カラスガイ
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
薩摩地方に分布
▽汽水・淡水産十脚甲殻類
№
1
種名
ヒメケフサイソガニ
県カテゴリー 環境省カテゴリー
絶滅危惧Ⅰ類
なし
16
地名等
八房川で確認
■
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
本市に関する鹿児島県レッドデータブック記載種リスト(植物編)
種名
タマミズキ
ニセヨゴレイタチシダ
アオカズラ
サイコクヌカボ
ハヤトミツバツツジ
イワガサ
トキワカワゴケソウ
オグラノフサモ
シマスナビキソウ,タイワンルリソウ
ビロードムラサキ
ダンギク
マルバテイショウソウ
ダルマギク
アワボスゲ
シマテンツキ
ショウキズイセン
ヒナラン
キリシマエビネ
ユウシュンラン
ガンゼキラン
カネコシダ
シノブ
キクシノブ
オオタニワタリ
ホソバウマノスズクサ
ウンゼンカンアオイ
タチハコベ
ハナガガシ
コバノミツバツツジ
タコノアシ
ザイフリボク
ミソハギ
ツリバナ
ヤマジソ
ウスギモクセイ,サツマモクセイ
ノタヌキモ
イヌタヌキモ
ツルギキョウ
サツマアザミ
ヒナヒゴタイ
ヘツカニガキ
スブタ
ミズヒキモ
ツクシクロイヌノヒゲ
ジングウスゲ
ウンヌケモドキ
オオアブラススキ
ツクシショウジョウバカマ
セイタカスズムシソウ
エビネ
キエビネ
キバナノセッコク
ミズトンボ
ヒノタニリュウビンタイ
地名等
県カテゴリー 環境省カテゴリー
絶滅危惧Ⅰ類
なし
県北部
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
市来
絶滅危惧Ⅰ類
なし
冠岳
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠB類 市来(標本はない)
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠA類 冠岳
絶滅危惧Ⅰ類
なし
冠岳
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠA類 薩摩半島南部
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
南九州地域(標本はない)
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠA類 市来
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
冠岳
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
羽鳥~串木野
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠB類 県西部
絶滅危惧Ⅰ類
なし
串木野
絶滅危惧Ⅰ類
なし
串木野(標本はない)
絶滅危惧Ⅰ類
なし
南九州
絶滅危惧Ⅰ類
なし
県各地に点在
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠB類 冠岳(仙人岩)
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠA類 冠岳
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅱ類
冠岳
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧ⅠA類 冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類 薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
なし
薩摩
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類 県内各地
絶滅危惧Ⅱ類
なし
市来
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北西部地域
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北部から薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類 冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
なし
県北部山地
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
市来
絶滅危惧Ⅱ類
なし
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
なし
市来
絶滅危惧Ⅱ類
なし
県北部、薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
県北西部
絶滅危惧Ⅱ類
なし
県北部
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北西部、薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北部、薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
なし
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
なし
薩摩
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
市来
絶滅危惧Ⅱ類
なし
南九州
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北部から薩摩半島
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北部
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
県北西部(北薩)
絶滅危惧Ⅱ類
なし
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
なし
薩摩半島中南部
絶滅危惧Ⅱ類
なし
南九州
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類 冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠB類 冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
冠岳
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧ⅠA類 冠岳
17
(匹)
80
60
76
57
57
49
43
40
36
40
41
43
33
31
20
20
15
11
11
0
H6
H7
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 (年度)
ウミガメ
※この調査は日数・時間帯が限定されているため、総上陸数を示すものではない。
資料:鹿児島県ホームページ 「鹿児島県のウミガメ上陸状況(過去 15 年間)
」
■図
■
ウミガメの上陸状況
自然を学びふれあえる施設の活用
山間部には冠岳歴史自然の里、沿岸部には吹上浜県立自然公園の公園施設の他、浜釣
りや磯釣りといったさまざまな親水施設が整備されています。特に沿岸部は市街地に隣
接しており、市民のアクセスも良いことから、レジャー的要素の強い整備が多くなされ
ています。
一方、市民アンケート調査によると、「野鳥や昆虫等とのふれあい」、「水や水辺との
ふれあい」に関する満足度(市民アンケートで「かなり満足」+「やや満足」と答えた
回答者数)は 3 割程度です。施設、資源はあるものの、うまく活用されていないといっ
た指摘もあります。
■
自然とのふれあいについての満足度
問2 あなたは、お住まいの周辺環境の現在の状況についてどのようにお感じですか。
項目ごとにそれぞれ1つ選び番号に○をつけてください。
かなり満足
やや満足
どちらともいえない
やや不満
かなり不満
不明
0%
20%
野鳥や昆虫等とのふれあい 7.8
40%
23.2
60%
45.1
80%
11.2 2.9 9.8
14.1
31.0
水や水辺とのふれあい 5.4
100%
19.6
40.9
18.0
21.9
25.0
資料:平成 22 年度
18
3.9 12.2
n=962
市民アンケート調査結果より
資料:いちき串木野市観光マップ
■図
自然環境とふれあえる野外レクリエーション施設
<課題>
・海岸線の浸食に伴う景観や生態系への影響の軽減
・希少な動植物の現況把握と、現況に基づく保全措置の検討及び外来生物の
侵入による希少な動植物への影響回避
・自然を学び、ふれあえる既設の施設や資源の効果的な利用
19
等
②市の取組
■
優れた自然環境、希少な動植物の保全
施策名
具体的な取組
市有林の適切な管理
森林組合と連携して、火災・風水害・盗伐・不法投棄等の対策を行
い、市有林の適切な管理を行う。
保安林の機能維持と活 潮害防備、保健などの公益的機能を有する松林を、松くい虫の被害か
ら守るため、薬剤散布を行い、健全な状態に保全する。
用
海岸線の浸食対策
土砂の供給源対策や飛砂防止対策、工事や浚渫による廃砂の活用な
ど、海岸環境保全対策を検討するとともに、環境整備の際の工法を生
態系に配慮したものとする。
自然環境調査の実施
鹿児島県の自然環境調査事業に協力するとともに、情報の収集に努め
る。
外来生物対策の推進
鹿児島県と協力して市内の外来生物による被害の状況を把握するとと
もに、市民への情報提供、啓発に努める。
ウミガメ保護監視活動 鹿児島県や地域との連携により、県事業の「ウミガメ保護監視員設置
の推進
事業」等の保護対策を推進する。
■
環境教育、啓発的利用の推進
施策名
具体的な取組
自然観察会・自然体験 冠岳歴史自然の里、吹上浜県立自然公園の公園施設等を利用して、自
型学習の実施
然観察会・自然体験型学習を実施する。
③進捗指標と数値目標
進捗指標
ウミガメ保護監視
員の登録数
現状
目標
4人
6人
備考
④市民、事業者の取組
・地域の自然に目を向け、その役割や歴史、生物等に親しめるイベントを
市民
企画、参加します。
・自然林や野生生物等の自然保護活動に参加します。
・自然環境を保護する事業の支援に努めます。
事業者
・事業活動を行う際は、自然環境の保全に配慮するよう努めます。
・地域の自然に親しむためのイベントに参加・協力します。
20
2)里地・里山・里海を守り育てる
①現況と課題
■
里地・里山・里海が荒廃しています
いちき串木野市は平地に乏しく、河川沿いのわずかな低平地に水田、畑地が、傾斜地
に果樹園が分布しています。これらの農山村では、担い手の流出、高齢化により、手入
れの行き届かない果樹園や耕作放棄地が増加しています。また、林業についても同様で、
手入れ不足から、自然環境保持等の森林が持つ多くの機能までもが失われつつあります。
このような中、イノシシ、シカによる鳥獣被害も発生しています。
また、市民アンケートでは、景観、いきもの、水辺など、自然環境に関する不満の原
因として、樹林地の荒廃、魚やカニ、野鳥や昆虫等の生物資源の減少が挙げられている
ほか、事業所アンケートでも、環境施策のうち最も重要と思われるものに、「生き物や
森林の保全等豊かな自然環境の保全」が挙げられています。
一方、沿岸部では、漁業振興の面から、水産資源の回復が大きな課題となっています。
魚礁の設置、藻場造成等により、幼稚魚や磯根資源の保護・育成に努める必要がありま
す。
傾斜地の農地
耕作放棄地
(ha)
60,000
52,193
50,000
11,219
45,933
9,519
40,000
11,118
8,892
30,000
樹園地
畑
田
20,000
29,856
27,522
平成12年
平成17年
10,000
0
資料:統計いちき串木野(平成 21 年度)
■図
経営耕地面積の推移
21
<課題>
・耕作放棄地の増加、樹林地の荒廃により低下しつつある生態系機能の回復
・沿岸部における藻場造成、魚族資源の回復
②市の取組
■
農村環境の保全・再生の推進
施策名
鳥獣害防止施設整備
具体的な取組
有害鳥獣による被害作物の減少を目指し、防護用電気柵の設置費用の
補助を行う。
自然環境の保全、生産環境の整備、快適な生活空間の実現を目指し、
いちき串木野市農村環
農業農村整備を総合的、効率的に実施するために「いちき串木野市農
境整備計画策定
村環境整備計画」を策定する。
市民が野菜、花等の栽培を通じて、自然に触れ合い、農業に対する理
いちき串木野市民農園
解を深めること等を目的に、市が設置するいちき串木野市民農園の貸
貸付
付を行う。
いきものと共生する農 土地区画整理事業などの大規模基盤整備の際には、ホタル水路などの
村環境の整備
多自然型水路の整備など、環境に優しい方法の検討を行う。
観光農園の設置推進
耕作・管理放棄地の有効利用を図るため、観光農園の設置を推進す
る。
農業体験の促進
食と農の大切さと、地域の良さを伝えることを目的として、子供と共
に農家体験をする機会やしくみをつくる。
森林の優れた景観、多面的機能を活かして、森林公園施設等の整備を
森林資源の保存と活用 推進し、市民の森林・林業に対する理解を深めるため、木材加工等の
活動を推進する。
荒廃樹林地の保全・管 放棄果樹園、竹林等の手入れ不足により荒廃した森林や山林の管理を
理
市民、事業者の協働により推進する。
グリーンツーリズムの 修学旅行の受け入れや農家民泊体験などを推進し、農山村と都市との
推進
交流や地域活性化を図る。
22
■
沿海域の保全・活用の推進
施策名
魚類種苗の放流
魚礁漁場の整備
具体的な取組
栽培漁業の一環として行っている漁協の種苗放流に対して、稚魚購入
費等の経費を補助することにより、魚族資源の確保と水揚量の拡大を
図る。
水産動物の産卵・育成の場として重要な藻場の分布状況等を調査・把
握し、機能の維持・回復に資する環境保全活動を行うとともに、漁礁
の設置による水産資源の増大と豊かな生態系の維持回復を図る。
ブルーツーリズムの推
漁村への滞在を通じて都市との交流や地域活性化を図る。
進
③進捗指標と数値目標
進捗指標
市民農園の
利用者数
現状
目標
44 件
48 件
備考
④市民、事業者の取組
・植林や間伐など、森林管理活動に参加します。
市民
・市民農園の活用など、野菜作りを通じて里地・里山の保全活動に参加し
ます。
事業者
・環境保全型農業※1、資源循環型農業※2 の取組に努めます。
※1 環境保全型農業:農業の持つ、物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり
等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業。
※2 資源循環型農業:農業による廃棄資材を推肥化(炭化)することにより、廃棄物から有用な資材を作
り、資源を循環させる農業。
23
(2)生活環境・地球環境:環境負荷の少ない環境にやさしい暮らしの実践
1)良好な生活基盤を確保する
①現況と課題
■
大気環境(大気質、騒音・振動、悪臭)
大気質の監視については、羽島に一般環境大気測定局、隣接する薩摩川内市に自動車
排出ガス測定局があり、常時観測を行っています。本市の大気質の状況は経年的に良好
な状況を保っていますが、大気汚染に係わる環境基準の設定されている光化学オキシダ
ントについては、基準値超過が確認されています。これは、中国大陸における窒素酸化
物の発生量の増加に起因していると考えられます。
騒音・振動については、公害苦情の発生状況では毎年数件の問題が発生しています。
また、九州新幹線に関する騒音については、環境基準を達成していない状況にあります。
苦情件数
(件数)
5
4
3
3
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
0
0
H15
H16
H17
H18
H19
H20
1
0
騒音
資料:鹿児島県
■図
■表
(年度)
振動
環境白書
騒音・振動苦情件数
新幹線鉄道(九州新幹線)騒音調査結果
測定地点
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
いちき串木野市冠岳
類型(基準)
測定値
Ⅰ(70以下)
73
Ⅰ(70以下)
72
Ⅰ(70以下)
72
Ⅰ(70以下)
71
※H18,19 年は、環境省からの委託により県が測定したものであり、県の責任により
取りまとめたものである。
資料:鹿児島県ホームペ-ジ
平成 21 年度九州新幹線に関する騒音・振動測定結果について
24
悪臭については、経年的に公害苦情の発生がみられますが、件数は少なく、そのほと
んどが野焼き等によるものです。
苦情件数
(件数)
5
4
4
3
3
4
3
3
2
1
0
0
H15
H16
H17
H18
H19
H20 (年度)
悪臭
資料:鹿児島県
環境白書
■図 悪臭苦情件数
■
水環境
市内主要河川の五反田川、八房川、大里川で環境基準の類型指定が行われています。
五反田川の下流域は、感潮域で水が停滞しやすいこともあり、環境基準を時折超過す
る状況がみられますが、市内河川の水質は概ね良好です。
また、「川や池、海の水のきれいさ」に関する市民の満足度は、地区により大きな差
が認められます。最も満足度の低かった上名地区では満足約 2 割に対して、不満足約 4
割(五反田川流域が想定される)となっています。不満の原因は水質に関するもののみ
でなく、ごみの散乱状況や雑草の繁茂など、管理に関するものにも及んでいます。
河川水質汚濁の主な要因である、家庭からの汚水に関する処理人口普及率は平成 20
年度現在で、約6割であり、処理施設の普及は十分とはいえない状況にあります。
(人)
40,000
35,000
生活排水未処理率
30,000
25,000
未処理
58.4%
56.3%
54.2%
52.3%
46.7%
48.1%
43.8%
42.1%
40.1%
単独処理浄化槽
汲み取り
生
活排水処理率
(計画収集人口)
20,000
自家処理
処 理
15,000
57.9%
58.9%
51.9%
56.2%
41.6%
45.8%
47.7%
53.3%
43.7%
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
10,000
下水道
漁業集落排水
合併浄化槽
5,000
0
(年度)
資料:環境省 廃棄物処理技術情報より一部抜粋
漁業集落排水の実績は鹿児島県環境白書より
■図
汚水処理人口普及率
25
資料:鹿児島県 環境白書
鹿児島県生活排水処理施設整備構想図
■図
■
公共水域水質調査地点における水質測定結果と類型指定状況及び
生活排水処理施設整備構想図
土壌環境(地下水)
鹿児島県では、水質汚濁防止法第 15 条の規定により、県内の地下水の水質について、
概況調査、汚染井戸周辺地区調査、定期モニタリング調査の 3 種類の調査を行うことで、
監視、対策を行っています。調査対象地区は、工場・事業場の立地状況や地下水の利用
の状況等を勘案して行っています。
また、鹿児島県では、土壌汚染防止法に基づく審査、指導等を行っていますが、平成
21 年 3 月末現在、いちき串木野市をはじめ、県内に指定区域は存在しません。
26
<課題>
・光化学オキシダントの基準値超過の対応の確認
・九州新幹線に関する騒音の環境基準の達成
・五反田川下流水質の定常的な環境基準の達成
・水辺環境の美化
②市の取組
■
大気環境の保全対策を推進する
施策名
野焼きの禁止の徹底
具体的な取組
市の広報紙などを通じて、野焼き禁止の内容を市民に通知する。
光化学オキシダント対 光化学オキシダントの基準値超過の際の緊急時措置の発令など、適切
応の構築
な措置を行うための監視、発令体制を整える。
交通騒音・振動対策
自動車交通等による騒音・振動に係わる対策を推進するため、県を始
めとする関係機関との連携強化を図る。
公害の未然防止
大気汚染や騒音・振動、悪臭等は、関係機関との連携により、監視指
導を行い、公害の未然防止と適切な対応を図る。
■
水環境の保全対策を推進する
施策名
具体的な取組
水質汚濁物質発生源対 市の広報紙などを通じて、家庭における生活排水対策の呼びかけを行
策の推進
う。
公害防止対策の推進
河川・工場排水等の水質検査を検討するなど、関係機関との連携によ
り、監視指導を行い、公害の未然防止と適切な対応を図る。
公共下水道の普及促進
市内水洗化率の向上を目指し、管渠整備、施設の維持管理に努めると
ともに、各戸に対しては、下水道への早期接続を呼びかける。
合併処理浄化槽の普及
合併処理浄化槽設置において補助を行い、施設の普及に努める。
促進
水辺環境の美化
海岸や河川の堰堤の草刈り、ごみ拾い等を市民、行政、事業者の協働
のもと行う。
漁業集落排水事業の推 戸崎地区の管渠整備、維持管理、水洗化率の向上に向け、漁業集落配
進
水施設を設置、運用する。
27
③進捗指標と数値目標
進捗指標
現状
目標
汚水処理人口普及率
65.9%
70%
備考
現状値を平成 21 年度現在の数値
とする
④市民、事業者の取組
・下水道、漁業集落排水施設の供用開始の際には、速やかに接続します。
・施設化計画のない地域では、合併浄化槽の設置を検討します。
・単独処理浄化槽から合併浄化槽への変更を検討します。
・ごみの自家焼却(野焼き)を行わないようにします。
市民
・環境について考え、日常的にできる生活排水対策の実践に努めます。
・河川浄化に関する学習会に参加するなど、情報の収集に努めます。
・地区の一斉清掃活動に参加します。
・テレビ、ピアノ、ペット等の近隣騒音に気をつけます。
・ごみ、タバコ、空き缶のポイ捨てはしません。
事業者
・工場・事業場における排水の適正管理に努めます。
・家畜糞尿の堆肥化を図るなど、適正な処理と利用に努めます。
28
2)循環型社会を形成する
①現況と課題
■
ごみ処理の状況
本市の可燃ごみは「串木野環境センター」で焼却処理されており、焼却残さは「串木
野一般廃棄物埋め立て処分場」
、
「市来一般廃棄物最終処分場」で埋め立て処分されてい
ます。近年この最終処分場の残余容量が残り少なくなっており、新たな適地を確保する
などの対応が緊急の課題となっています。
■
ごみ処理量及びリサイクル率
指定ごみ袋制度を導入し、市民に廃棄物の分別収集の徹底を図り、資源ごみの回収に
努めていますが、事業場からのごみ排出量に明らかな減少傾向が認められないなど、ご
みの減量はままならない状況にあります。
また、アンケート調査結果によると、「日常生活でできるだけごみを出さない」よう
配慮している市民は、7 割を超えるものの、「過剰包装を断る」、「使い捨て商品を買わ
ない」、「買い物袋(マイバッグ)の持参」、「生ごみのコンポスト化※」など、効果の見
込まれる個別行動を常に実行している市民は 1~2 割程度となっています。
また、事業所の取り組む環境保全行動のうち、「ごみの減量」、「紙の使用量削減」へ
の取組率は 6 割程度です。
(t)
(%)
15,000
100
80
10,000
60
12,136
12,393
12,366
11,424
11,729
10,720
10,244
10,093
焼却処理量
再生利用量
リサイクル率
10,073
40
5,000
0
12.0
13.4
14.7
745
1,460
1,590
1,737
1,385
H16
H17
H18
H19
H20
5.8
5.2
5.5
6.6
6.0
746
685
717
804
H12
H13
H14
H15
12.1
20
0
(年度)
資料:環境省
■図
廃棄物処理技術情報
ごみ排出量とリサイクル率の推移
※コンポスト化:生ごみ等を、微生物によって発酵、分解させ堆肥化し、肥料や農業に再利用すること。
29
(g)
2,000
1,673 1,738 1,734
1,585
1,440
1,500
874
1,000
745
740
742
H18
H19
H20
500
0
H12
H13
H14
H15
H16
H17
(年度)
生活系ごみ1人1日当たりの排出量
資料:環境省
■図
廃棄物処理技術情報
生活系ごみ 1 人 1 日当たりの排出量
(g)
500
400
364
371
383
371
335
300
200
246
262
246
H18
H19
H20
135
100
0
H12
H13
H14
H15
H16
H17
(年度)
事業系ごみ1人1日当たりの排出量
資料:環境省
■図
廃棄物処理技術情報
事業系ごみ 1 人 1 日当たりの排出量
<課題>
・恒久的なごみ処理システムの運行
・効果的なごみ減量の推進
②市の取組
■
ごみの適正処理を遵守する
施策名
具体的な取組
最終処分場の延命化と
最終処分場の延命化を図るとともに、適地の確保を行う。
適地の確保
一般廃棄物処理基本計 一般廃棄物処理基本計画の策定を行い、本計画に従い、ごみの適正処
画の策定
理を推進する。
30
■
3R※を推進する
施策名
具体的な取組
電気式生ごみ処理機購
家庭用電気式生ごみ処理機購入補助を実施する。
入設置補助
資源ごみ回収活動団体 廃品回収を実施した市民団体に補助金を交付し、市民の環境問題に対
補助事業
する意識の向上を目指す。
環境センターの運用・ 市民や企業から出されるごみを抑制するとともに、資源・不燃ごみは
管理
可能な限り再利用・資源化し、可燃ごみは焼却処理する。
資源ごみ分別収集の推 市の広報紙や「まちづくり出前講座」を通じて、指定ごみ袋制度、資
源ごみの分別方法等の周知、徹底を図る。
進
九州7県で行っている「九州統一マイバッグキャンペーン」に参加し、
マイバッグ運動の推進 市民・事業者・市民団体との協力体制の確立を軸に、学習会の開催や
協賛店の登録などの運動を推進する。
産業廃棄物処理におけ
産業廃棄物の処理については、鹿児島県と連携の上、企業責任におい
るマニフェスト制度の
て処理するマニフェスト制度等を推進する。
推進
③進捗指標と数値目標
進捗指標
生活系ごみの 1 日一
人当たりの排出量
現状
目標
950g
530g
備考
※3R:Reduce(リデュース)
:削減する、Reuse(リュース)
:再使用する、Recycle
(リサイクル)
:再資源化することの英語の頭文字3つをとったもの。
31
④市民、事業者の取組
・
「缶・雑びん」、
「ペットボトル」
、
「プラスチック容器」、
「発泡スチロール
容器」、「段ボール」、「新聞・チラシ」、「雑誌」
、「紙パック」等は資源ご
み収集に出すか、回収協力店に出します。
市民
・生ごみの堆肥化(コンポスト化)を行います。
・買い物にはマイバッグを持参し、レジ袋を断ります。
・使用できるものはフリーマーケット等で活用します。
・長期間使用できる商品・耐久消費財を選びます。
・過剰包装を断ります。
・レジ袋の有料化、マイバッグ使用者への経費還元の仕組づくり(エコポ
イント等)を検討する。
事業者
・個売り、量り売りなど、容器包装削減を検討します。
・九州統一マイバッグキャンペーンの「一斉行動参加店」への参加を表明
します。
・ごみの減量化・リサイクル協力店などへの参加に努めます。
32
3)低炭素型社会を形成する
①現況と課題
「平成 19 年度いちき串木野市地域省エネルギービジョン」
、「いちき串木野市地球温
暖化防止活動実行計画」の 2 つの計画を策定し、市域及び庁内のさまざまな活動によっ
て発生する、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減を計画的、総合的に進めて
います。
■
省エネルギー対策、活動の実績
市民の取り組む環境保全行動のうち、蛍光ランプの使用は、現在実行していない割合
が高い一方、
「今後実行したい」の回答率も高く、実施により高い効果が見込まれます。
また、市内に複数の駅が存在する特性を活かし、カーシェアリング※1、パークアンドライ
ド※2 等の駅の活用を促進するための取組も必要です。
■
新エネルギー対策、活動の実績
風力をはじめとする再生可能エネルギーの賦存量は豊富であり、平成 16 年度の買電
事業用風力発電用施設の設置の他、バイオマスタウン構想※3 を掲げ、平成 20 年度から
は地元の焼酎メーカーより出される焼酎かすを用いたメタン発酵及び肥料化施設を稼
働させています。
また、アンケート調査結果によると、事業所の取り組む環境保全行動のうち、省エネ
ルギー対策に関するものは比較的よく実施されているが、新エネルギーに関するものの
実施率は低い状況にあります。
■
エネルギーに関する広報活動
川内原子力発電所に隣接する電源地域であることから、エネルギーに関する広報活動
と情報の提供を行っていく必要があります。
<課題>
・市民をまき込んだ効果的な施策の展開
・駅の活用を促進する
※1 カ ー シ ェ ア リ ン グ:登録を行った会員間で特定の自動車を、共同に使用するサービス、システム
のこと。
※2 パ ー ク ア ン ド ラ イ ド :自宅から自家用車で最寄りの駅、またはバス停まで行き、車を駐車させた後、
バスや鉄道等の公共交通機関を利用して、目的地に向かうシステム。
※3 バイオマスタウン構想:域内において、広く地域の関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用ま
で効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され、安定的か
つ適正なバイオマス利活用が行われることを目指し、市町村等が作成する構
想。
33
②市の取組
■
市庁内の率先的な取組の推進
施策名
具体的な取組
いちき串木野市地球温
市の事務事業について、市職員一人ひとりが本計画に基づく地球温暖
暖化防止活動実行計画
化防止活動を実践することにより、温室効果ガスの排出抑制など環境
の推進
への負荷の低減を図る。
(事務事業編)
■
省エネルギー対策の推進
施策名
具体的な取組
省エネルギービジョン 省エネルギービジョンに基づく省エネルギー活動を行政、市民、事業
に基づく省エネルギー 者がそれぞれに、また協働して推進することで、環境への負荷の低減
活動の推進
を図る。
地産地消の推進と確立
地元食材を学校給食用食材として、利活用推進を図るとともに、地場
農産物を活用した加工品の製作に取り組む。
環境に配慮した消費行 環境家計簿・省エネナビ等の利用、家庭用高効率機器の普及啓発、エコ
動の推進
ドライブの普及啓発などの市民の省エネルギー行動を推進する。
ウッドタウン串木野市営住宅建設をはじめとして、地域の地場産材の
エコな市営住宅整備の
木材等を利用した、ぬくもりのある、人・地球にやさしいエコな住宅
推進
整備を図る。
省エネ型蛍光ランプの
省エネ型蛍光ランプ設置を補助対象とし、普及を図る。
普及
駅の活用促進
駅周辺の駐車場を確保し、カーシェアリング、パークアンドライド等
の仕組みづくりを行う。
34
■
新エネルギーの活用促進
施策名
具体的な取組
市民や事業者に対する普及啓発・情報提供、市民や事業者に対する導
新エネルギーに関する
入支援の推進、市を中心とした公共施設などへの率先的な導入を行う
普及・啓発
など、新エネルギーに関する普及・啓発プロジェクトを推進する。
市民・事業者が新エネルギー・省エネルギーを身近に実感できる環境
新エネルギー推進市民
と参加しやすいメニューを行政が用意し、市全体で地球温暖化防止に
会議の運営
向けた取組を推進する。
公用車への低公害車等
行政による先導的な導入と情報提供により、買い替え時のアイドリン
クリーンエネルギーの
グストップ車及びクリーンエネルギー自動車の普及促進を図る。
導入
川内原子力発電所に関 広報紙の配布や原子力発電所の見学会を開催し正しい知識の普及に努
める。
する情報の提供
バイオマスタウン構想 地元の焼酎メーカーより出される焼酎かすを用いたメタン発酵及び肥
料化施設の利用促進を図る。
の推進
西薩中核工業団地での 西薩中核工業団地での再生可能エネルギー※の利用率を高め、「日本
エコタウン研究の推進 一環境負荷が低い工業団地」の推進を図る。
■
森林の保全再生による二酸化炭素吸収源の確保
施策名
具体的な取組
市有林の適切な管理
森林組合と連携して、火災・風水害・盗伐・不法投棄等の対策を行
(自然環境項目と重複) い、市有林の適切な管理を行う。
保安林の機能維持と活
潮害防備、保健などの公益的機能を有する松林を、松くい虫の被害か
用
ら守るため、薬剤散布を行い、健全な状態に保全する。
(自然環境項目と重複)
③進捗指標と数値目標
進捗指標
太陽光発電システ
ムの設置件数
現状
目標
319 件
366 件
備考
※再生可能エネルギー:有限で枯渇の危険性を有する石油・石炭などの化石燃料や原子力と対比して、自然
環境の中で繰り返し起こる現象から取り出すエネルギーの総称。太陽光や太陽熱
などの自然エネルギーと、廃棄物の焼却熱利用などのリサイクルエネルギーより
なる。
35
コラム
バイオマスタウン構想:焼酎かすの有効利用
■焼酎かすの発生量
焼酎製造過程で発生する焼酎かすは、いちき串木野市内で約 10 万トン、将来の
焼酎増産を視野に入れると、今後はさらに発生量が増えるものと考えられます。
■焼酎かすは有効資源
市内焼酎製造会社3社を含む西薩クリーンサンセット事業協同組合では、焼酎
かすを利用して家畜飼料や肥料を製造しているほか、メタンガスを製造し、燃料
としての利用を行っています。
④市民、事業者の取組
市民
・近いところへの移動には徒歩、自転車を利用します。
・通勤の際には公共交通機関を利用するなど、マイカーの使用自粛に努め
ます。
・車の運転では経済速度を心がけ、急な加減速をしないなど、エコドライ
ブに努めます。
・車の購入では、環境に優しい自動車(低燃費車)を検討します。
・新築・改築時には、太陽光発電、太陽熱温水、風力発電、雨水貯留タン
クなどの利用を検討します。
・ビール瓶や牛乳瓶等、再使用可能な容器を購入します。
・エコマーク商品を進んで購入します。
・テレビや照明はこまめにスイッチを切ります。
・白熱灯を蛍光灯に替えます。
・ルームエアコン使用時は適正温度を心がけます。
・風呂の追い炊きを少なくします。
・駐停車の際にはできるだけ、エンジンをかけっぱなしにしないようにし
ます。
事業者
・ノーマイカーデーをつくるなど、徒歩、自転車、公共交通機関での通勤
を奨励します。
・業務用車両を低燃費車に移行するなど、環境に優しい車種の導入を検討
します。
・他社との共同配送、鉄道輸送の検討など、物流システムの効率化に努め
ます。
・エコドライブを実践します。
・照明は適正な時間帯、場所に限定します。
・エコマーク商品を利用します。
・省エネルギー型の照明や電気製品を導入します。
・省エネルギー型の空調設備を積極的に導入します。
・窓にペアガラス※を設置します。
・グリーン購入を行います。
※ペアガラス:二重ガラス、複層ガラス
36
(3)快適環境:自然環境資源、文化資源を活かした快適な生活空間の確保
1)潤いのある町並みを創る
①現況と課題
■
公園緑地の整備状況と水辺の活用
総公園数は 39 箇所、97.71ha で、市民一人当たりの公園面積は 30.95 ㎡(平成 20
年 3 月 1 日現在)ですが、都市公園数は 23 箇所、23.79ha で、都市計画区域内の市民
一人当たりの公園面積は 12.44 ㎡(平成 19 年 3 月 31 日現在)と、鹿児島県の 12.70
㎡(平成 20 年 3 月 31 日現在)とほぼ同程度となっています。
市街地後背地及び隣接地には、里山や吹上浜県立自然公園の風光明媚な海浜があるほ
か、市街地内を流れる五反田川、八房川、大里川などの環境資源に恵まれています。こ
れらの資源を活用し、レクリエーションの拠点、防災系統の配置、良好な都市景観の形
成に活用の検討を図っていく必要があります。
また、アンケート調査によると、事業所の取り組む環境保全行動のうち、
「市民団体・
市が行う緑化保全活動」
、
「歴史的町並み景観を保存する活動」など、快適な環境整備に
関して「実施を検討中」の事業所が多く存在しています。
■
市街地内の空き家・空き地
アンケート調査によると、市民の「町並み景観の美しさ」に関する満足度は、「どち
らともいえない」が 4 割を超えるなど、関心の薄い項目となっています。また、不満の
主な原因として、古く活気のない商店街が多いことが挙げられています。
実際に、市街地内には、所有者の管理不十分な建物や危険廃屋が点在しており、市内
の景観や住環境を悪化させています。また、空き家・空き地の存在は、不法投棄を誘発
する原因ともなっています。
<課題>
・市街地に隣接する自然公園の緑や水辺を良好な住環境の形成に活用する
・市街地等における空き家・空き地の管理
37
②市の取組
■
不法投棄対策、地域美化活動の促進
施策名
具体的な取組
※
不法投棄の防止
市の衛生自治団体連合会 などを通じて、市街地等における空き家、
空き地をも含む地域住民による不法投棄に対する監視体制の強化を図
る。
地区清掃活動の促進
定期的に行われている地区清掃活動を支援する。
■
みどり、水辺環境の整備と、自然環境の活用促進
施策名
具体的な取組
ごみ処理施設の周辺環 周辺協議会を定期的に実施し、ごみ処理施設の周辺環境整備と保全を
境整備と保全
行う。
公園・緑地の整備
吹上浜県立自然公園や海岸環境の整備促進など、地域特性を活かした
公園・緑地の整備を検討するとともに、既存公園については、施設内
容や維持・管理方法を利用者である地域住民を交えて検討し、魅力向
上に努める。
市街地周辺部の田園や山林などの緑、河川・海岸等の水辺空間を活か
地域特性を生かした創 した美しい景観の維持・保全に努めるとともに、地域拠点となる駅周
辺等の公共空間においては、花や緑の植栽を行うなど、市民が楽しめ
造性豊かな景観形成
る景観の形成を図る。
③進捗指標と数値目標
進捗指標
現状
目標
備考
市民一人当たりの
公園面積(都市計画
区域内)
12.44 ㎡
13.00 ㎡
「鹿児島県環境基本計画」にお
ける平成 22 年度目標値は、13.2
㎡/人を設定
④市民、事業者の取組
市民
事業者
・ごみ、空き缶拾い、雑草刈り、水路清掃等の美化活動を行います。
・花壇づくり、生け垣、植樹等の緑化活動を行います。
・敷地内、壁面、屋上等の緑化を積極的に行います。
※衛生自治団体連合会:各自治公民館長と婦人会長によって組織される会であり、不法投棄の監視などの
衛生組織活動の活発な運営を図るなど、公衆衛生の普及実践をもって住民の福祉
増進に寄与することを目的とする。
38
2)伝統・歴史・文化を活かす
①現況と課題
縄文時代後期の南九州を代表する遺跡である「市来貝塚」をはじめ、固有の歴史を有
するほか、「市来の七夕踊」など、多数の伝統芸能が継承されています。さらに近年で
は地域おこしの一環として、さまざまな催しが行われています。しかし、市民の認識は
十分ではなく、伝統芸能の継承にさえも危機感が持たれています。
また、市民アンケートによると、「文化財、遺跡等の保存・整備状況」、「歴史や伝統
に関するまちの雰囲気」に関する満足度は、
「満足」と「不満足」が拮抗し、
「どちらと
もいえない」が約5割に達するなど、関心の薄い項目となっています。
地かえて祭り
串木野浜競馬大会
七夕踊
太郎太郎祭り
39
■
伝統・歴史・文化に関する満足度
問2 あなたは、お住まいの周辺環境の現在の状況についてどのようにお感じですか。
項目ごとにそれぞれ1つ選び番号に○をつけてください。
かなり満足
やや満足
どちらともいえない
やや不満
かなり不満
不明
0%
20%
文化財、遺跡等の保存・整備状況 3.2 14.1
40%
60%
54.2
80%
100%
15.8 1.5 11.2
17.3
17.3
歴史や伝統に関するまちの雰囲気 4.0 16.5
48.0
20.5
17.6 3.1 10.8
20.7
資料:平成 22 年度
n=962
市民アンケート調査結果より
<課題>
・歴史・文化に対する市民の意識の高揚と史跡や伝統文化の保護と活用を図る
②市の取組
■
歴史文化の保存と活用、環境保全の一体的推進
施策名
文化財の保存活用
具体的な取組
郷土史の編纂を行うとともに、指定文化財の整備を行う。
歴史・文化施設の整備
市民文化センターの整備。歴史民俗資料室の整備充実を図る。
充実
公民館活動や子供会活動などで行っている地域文化を活用した住民参
伝統文化・芸能に親し
加型体験活動を支援、推進することで、伝統文化の保護、地域連帯感
む
の情操を図る。
歴史的景観資源の保
全・再生・活用
歴史的街並景観の保全・再生・活用を進める。
市来貝塚、串木野城跡 歴史文化に対する市民の意識の高揚と、活用を図るため、県内を代表
の公園整備
する史跡の公園整備等を行う。
40
③進捗指標と数値目標
進捗指標
歴史や伝統に関す
るまちの雰囲気を
満足とする人の割
合
現状
20.5%
目標
備考
68.5%
平成 22 年度市民アンケートにお
ける環境の現状について「どち
らともいえない」が「かなり満
足」
「やや満足」に移行した場合
を想定
④市民、事業者の取組
市民
・伝統行事、祭り等への参加・保存活動を行います。
・文化財保護のための活動を行います。
・埋蔵文化財の発掘調査や有形・無形文化財などを保護する取組に協力す
事業者
るとともに、土地利用や事業の実施にあたっては、文化財の保護などに
努めます。
41
(4)環境保全体制:環境を守り活かす地域づくりの推進
1)環境教育・学習に取り組む
①現況と課題
■
環境に関するモラル
市民アンケートでは、市民の環境に関するモラルについての満足度が低く、子供に身
につけてほしい行動についても、環境に優しい生活習慣や環境保全意識の重要性、地域
の大切さを理解するといった毎日の生活や地域活動に関するものが挙げられています。
一方、子供から見た大人に治してほしい点についても、ごみのポイ捨てをしないなど、
モラルに関する内容が多く挙げられています。
また、海岸部では近隣市町村の釣り人によるごみのポイ捨てが後を絶たず、環境悪化
をもたらしている状況もあり、市内外における環境教育が重要視されています。
■
事業者の求める環境情報
アンケート調査結果によると、事業所が市に求める情報として、「環境問題の現状」、
「環境保全のために企業ができる行動」が多く挙げられており、環境保全活動を行う意
思はあるものの、事業者として何ができるかといった情報が不足している状況がうかが
われます。
また、ISO14001※1 やエコアクション 21※2 などの環境マネジメントシステムの認知度
は低く、市内の事業所のうち、ISO14001 を取得している事業所は、平成 22 年 1 月 20
日現在で 4 社となっています。実施事業所は少ないものの、関心は高く、積極的な情報
提供が必要です。
■
環境管理企画(ISO14001)認定事業所
事業所名
登録年月日
三井串木野鉱山株式会社 串木野鉱山
平成 15 年 5 月 26 日
濱田酒造株式会社
平成 18 年 12 月 4 日
若松酒造株式会社
平成 20 年 10 月 28 日
株式会社上野組
平成 19 年 9 月 22 日
資料:平成 21 年版
※1
※2
ISO14001
環境白書より
:ISO(国際標準化機構)が定めた環境マネジメントシステム。環境に視点をお
いた経営管理システムで、事業所ごとに環境保全に関する目標・方針・計画を定
め、実施し、達成状況を点検しつつ、全体の見直しやさらなる環境配慮の実施
に取り組んでいくというもの。
エコアクション 21:広範な中小企業、学校、公共機関に対して、「環境への取組を効果的・効率的に
行うシステムを構築・運用・維持し、環境への目標を持ち、行動し、結果をとり
まとめ、評価し、報告する」ための方法として、環境省が策定したエコアクシ
ョン 21 ガイドラインに基づく、事業者のための認証・登録制度。
42
<課題>
・市民、事業者等、それぞれの主体のための学習の機会の充実
・市民、事業者および近隣市町村をも含む環境モラルの育成
②市の取組
■
学校における環境教育の推進
施策名
学校支援事業の推進
■
具体的な取組
地域住民・企業による学校の環境整備事業の支援、地域住民による学
校における児童の農業体験学習の支援を行う。
地域における環境教育・学習の推進
施策名
具体的な取組
いちき串木野市婦人団 公共用水域の水質浄化、託児ボランティア、マイバック運動の推進、
体連絡協議会活動にお 畑でできた食材を使った保存食作り、環境保全に関する講習会の開催
ける環境学習の推進
など、環境保全活動を推進する。
子供達のための自然観察やリサイクル活動など、地域の中で身近な環
こどもエコクラブ活動※ 境活動を行うクラブの活動の拡大推進を図るため、会報の編集、保険
の推進
の手続き等の事務支援を行う。
図書資料の整備
図書館、市役所、公民館等に環境白書や環境関連書籍を整備し、誰も
が活用できるようにし、環境を学べる学習拠点の一つとして整備す
る。
国等関係機関の補助制 国等の関係機関の補助制度に関して、市の広報紙、ホームページ等を
度に関する情報提供
通じて情報の提供に努める。
エコイベントの開催
「いちき串木野づくし産業まつり~地かえて祭り~」等イベントの場
を利用して、「環境問題」についても考えていただくエコイベントと
して実施する。
市民の生涯学習活動を支援することを目的とし、市職員が講師とな
職員によるまちづくり
り、ごみ処理の方法など環境分野を含む講座を要請に応じて開催す
出前講座
る。
環境報告書の作成
環境の現況や課題をとりまとめた環境報告書をとりまとめ、公表す
る。
環境学習プログラムの 「環境問題の現状」、「環境保全のための行動」など、市民や事業者
整備
を対象とした情報提供のための学習プログラムの紹介、整備を行う。
※こどもエコクラブ活動:子供(幼児から高校生)が誰でも参加できる環境クラブで、環境省の支援事業
の 1 つ。鹿児島県ではかごしま県民交流センターの 6 階「生命と環境の学習館」
内に事務所があり、リサイクル活動、清掃活動、自然観察、水質調査、環境学
習会などが取り組まれている。
43
③進捗指標と数値目標
進捗指標
まちづくり出前講
座の活用数
現状
目標
41 件
50 件
備考
コラム
まちづくり出前講座
市職員が講師となって市民の知りたい、聴きたい、学びたいといった要望に
対応するために講座を開き、生涯学習活動を支援するものです。
実施方法
市内に在住・勤務・在学している5人以上の方で構成された団体・グル
ープの要請により、要請団体(申込者)の指定する場所に職員が出向い
て実施します。
申込方法
出前講座を開催したい日の 20 日前までに、社会教育課・公立公民館に
おいてある「申込書」に記入し、社会教育課(市来庁舎)へ提出してく
ださい。
講座内容
正しいごみの出し方、我が家の防火、考古学入門、やさしい新エネ・省
エネ活用術、公共下水道とは、など。
そ の 他
講師料は無料ですが、講座に必要な会場使用料、材料費等は主催者(申
込者)で用意していただくことがあります。
44
④市民、事業者の取組
市民
・公民館での交流活動、学習活動に参加します。
・環境問題に関する講演会やシンポジウムへ参加します。
・事業所内外での環境保全活動の実施・参加(植樹、バイオマス※施設整備
事業者
など)
、地域への公開などを検討します。
・消費者に対して、環境に係わる情報を提供します。
※バイオマス:バイオ(bio)生物、マス(mass)量を示す言葉より成り、再生可能な生物由来の
有機性資源で化石資源を除いたもの。主な活用方法としては、農業分野における飼肥料と
しての利用や汚泥のレンガ原料としての利用があるほか、燃焼して発電を行ったり、アル
コール発酵、メタン発酵などによる燃料化などのエネルギー利用などもある。
45
2)環境保全・創造活動に取り組む
①現況と課題
■
環境保全活動への参加意向
アンケート調査結果によると、市民の市民活動への参加意向は高く(p5 上図参照)、
身近な生活環境の清掃などについては、地域住民主体で行うべきという意見が多くみら
れます。また、森づくりや里山の管理、耕作放棄地対策などは行政指導で行うことが望
ましいといった意見が多くみられました。
また、よりよい環境作りを進めていくための地域活動に約 8 割の事業所が参加意向を
示しています(p5 下図参照)。
■
環境保全活動の現状
各市民団体の活動は活発であるが、団体間での交流は少なく、横のつながりが弱い状
況がみられます。また、市民団体と行政の連携が十分とは言えません。
<課題>
・行政、市民、事業者内、さらに、各主体間でのネットワーク、協働体制の構築
②市の取組
■
市民活動への支援強化とネットワーク化
施策名
具体的な取組
環境マネジメントシス 市内事業者に対して、ISO14001やエコアクション21等の環境マネジメ
テム導入支援
ントシステム認証取得に向けた啓発事業を推進する。
“いちき串木野市市民
の手による美しいまち
づくり推進条例”の推
進
ポイ捨て禁止、愛がん動物のふんの放置禁止、飲食物容器の散乱放置
禁止、祭り・大会などの主催者の責務、印刷物の散乱放置禁止、土地
建物などの適正管理に関する条例の規定を遵守し、指導を行うこと
で、美しい自然や、清潔で快適な生活環境の保全を図る。
市民活動団体の活動拠 集会施設やホームページ等を利用して、市民活動団体の登録、情報の
点の整備
公開・交流を図るための拠点施設を整備する。
③進捗指標と数値目標
進捗指標
こどもエコクラブ
活動の登録団体数
現状
目標
1件
2件
46
備考
④市民、事業者の取組
・地域活動に積極的に参加し、交流を深めます。
市民
・地域の清掃活動や資源物の回収活動に子供、大人を問わず参加します。
・環境に関する活動を行っている団体のイベントに参加・協力します。
・資源回収、フリーマーケット等のリサイクル活動を行います。
・環境マネジメントシステム(ISO14001 規格の取得、エコアクション 21
の実施等)の導入を検討します。
・地区清掃活動などの地域活動に参加・協力します。
事業者
・地域活動に参加し、地域住民との交流を深めます。
・市民団体の企画するイベント等に参加・協力します。
・地域ボランティア活動等に積極的に参加します。
・社員のボランティア活動に対して支援を行います。
47
3.重点施策-マイバッグ運動の推進
施策の推進には各主体の協働が欠かせません。中でも特に市、市民、市民団体、事業
者との協働体制がなければ、取組効果の上がらない「マイバッグ運動の推進」について、
“重点施策”として設定し、優先的に推進することとします。
(1)いちき串木野市におけるマイバッグ運動の現状
レジ袋を含む容器包装は、家庭から排出されるごみのうち、かなりの割合を占めてい
ます。これらの削減・軽減は循環型社会形成のための理念の一つ、「ごみを減らす(リ
デュース)
」の重要な課題です。
また、市民アンケート調査によると、マイバッグを全く使用していない人は、3 割程
であるのに対し、これらの人の今後の意向では約 6 割の人が「実行したい」と回答する
など、啓発による実施率の向上が見込まれます。
現状
今後の意向(将来)
※現状で“実行していない”
と回答した人の今後の意
向を示す
資料:平成 22 年度
48
市民アンケート調査結果より
(2)基本的方向
鹿児島県を含む九州7県では、現在、県民、事業者、行政が一体となって,レジ袋の
削減等に取り組む「九州統一マイバッグキャンペーン」を実施しています。
いちき串木野市も本キャンペーンに参加し、恒常的に取り組みます。
1)マイバッグ運動の普及啓発
・マイバッグに関する学習会の開催
・マイバッグの作り方講習会の開催
・学校教育への導入
・広報活動の実施
2)マイバッグ運動の協力体制の確立
・事業者への協力依頼の要請
・レジ袋の削減策の検討
・協力店の紹介
(3)進捗指標と数値目標
進捗指標
マイバッグ持参者
の割合
現状
目標
54%
74%
備考
平成 22 年度市民アンケートにお
ける実施意向を反映させた数値
(4)スケジュール
マイバッグ運動の推進のスケジュールでは、大まかな方向性の検討を平成 23 年度(初
年度)に、その後、計画前期(平成 24 年度から 26 年度)にかけて、枠組みを整えて
いくこととします。
49
第4章
計画を一歩一歩進めていくために
1.計画の推進体制
(1)庁内の計画推進体制の整備
いちき串木野市環境基本計画の推進は、
「いちき串木野市環境審議会」及び市、市民、
市民団体、事業者が連携して、下図のような体制のもと、着実な展開を図ります。
1)いちき串木野市環境審議会
いちき串木野市環境審議会は、
「いちき串木野市環境審議会条例」
(平成 18 年 3 月 15
条例第 1 号)に基づくもので、学識経験者、市内の公共的団体の代表、関係行政機関の
職員、市議会議員、市職員等から構成されます。環境保全に関する重要事項について審
議するとともに、提言や助言を行います。
2)庁内体制
各部署で実施される施策について、事務局である生活環境課が実施、進捗状況を把握
するとともに、市内部の調整会議へ報告を行います。この内容をもとに庁内で施策の進
行状況を管理するとともに、進行状況に応じて施策の見直し等について調整・検討しま
す。
また、毎年進捗状況等を「いちき串木野市環境審議会」へ報告することとします。
■図 体制図
50
2.計画の進行管理
(1)進行管理の考え方
計画の進行管理にあたっては、PDCA サイクル[Plan(計画)
、Do(実施)、Check
(点検・評価)
、Action(見直し・改善)
]による継続的な改善と推進を図ります。
環境基本計画の総合的なマネジメントシステムとして、行政評価※の仕組みを利用し
た管理を検討します。
*A を模式的に作成して張り込む
■図
行政評価を取り入れた進行管理の考え方
(2)計画の進捗状況の評価と公表
各項目の進捗指標等は、基本的に毎年確認を行うこととします。また、進捗指標のう
ち、アンケート調査に基づき目標を設定しているものについては、環境モニター制度等
により把握します。
環境基本計画の進捗状況は、毎年、年次報告書としてとりまとめ、広く公表し、市民
の意見を求めます。この年次報告書の中には、市が推進した事業のみではなく、市民や
事業者が実施した取組、運動についても可能な限り掲載するものとします。
公表の方法としては、市の主要公共施設において閲覧可能とするとともに、公式ホー
ムページへの掲載により行います。
※行政評価:行政が実施している政策、施策や事務事業について成果指標等を用いて有効性、効率性、必
要性を評価することで、政策の質的向上を図るための行財政改革の一手法。
51
資
料
編
1.計画策定の経緯 ·································· 資-1
2.いちき串木野市環境基本条例 ······················ 資-2
3.いちき串木野市環境審議会名簿 ···················· 資-5
4.アンケート調査の概要 ···························· 資-6
5.パブリックコメント(市民意見提出手続)による
意見と回答 ···································· 資-7
6.用語の解説 ······································ 資-8
1.計画策定の経緯
日
付
平成 22 年 6 月 4 日
~6 月 18 日
平成 22 年 6 月 8 日
~6 月 22 日
平成 22 年 6 月
平成 22 年 7 月 28 日
平成 22 年 11 月 26 日
平成 23 年 1 月 20 日
~2 月 4 日(16 日間)
平成 23 年 2 月 18 日
経
緯
内
容
事業者アンケート調査
事業者 100 社(回収率 46.0%)
市民アンケート調査
市民 1,000 人(回 収率 96.2%)
子どもアンケート調査
第 1 回いちき串木野市環境審
議会
第 2 回いちき串木野市環境審
議会
パブリックコメントの実施
小学 6 年生 268 名
(回収率 99.6%)
進捗状況について
骨子(素案)について
市公式ホームページにて意見
の募集
第 3 回いちき串木野市環境審
パブリックコメントの結果報
議会
告、審議
資-1
2.いちき串木野市環境基本条例
○いちき串木野市環境基本条例
平成 19 年3月 30 日条例第 11 号
いちき串木野市環境基本条例
(目的)
第1条 この条例は、本市の環境の保全について基本理念を定め、並びに市、事業者及び
市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本的事項を定めるこ
とにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来
の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところに
よる。
(1)
環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の
支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2)
地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、
海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響
を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康
で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3)
公害
事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、
水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚
染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)
及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに
人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被
害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全は、市民の健康で文化的な生活を保つために必要な健全で恵み豊かな
環境を確保し、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければな
らない。
2
環境の保全は、市、事業者及び市民が公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に取
り組み、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会を構築することを目的
として行われなければならない。
3
地球環境の保全は、人類共通の課題であるとともに、市民の健康で文化的な生活を
将来にわたって確保する上での課題であることから、すべての事業活動及び日常生活
において、積極的に推進されなければならない。
資-2
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の
保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施する責務を有する。
2
市は、基本理念にのっとり、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、
環境への負荷の低減その他環境の保全に努めなければならない。
3
市は、環境の保全に関する教育及び情報の提供その他広報活動を通じて、市民の環
境に対する意識の高揚に努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴う環境への負荷の低減その他
環境の保全について、自己の責任及び負担において、必要な措置を講ずる責務を有す
る。
2
事業者は、自然環境及び生活環境への配慮その他環境の保全に自ら努めるとともに、
市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生
活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2
市民は、環境の保全に関する活動への積極的な参加に努めるとともに、市が実施す
る環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(施策の基本方針)
第7条 市は、環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項を
基本として行うものとする。
(1)
人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全さ
れるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持される
こと。
(2)
生態系及び生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、河川、海岸等
における多様な自然環境が適正に保全されること。
(3)
人と自然との豊かな触れ合いが保たれ、ゆとりと潤いのある快適な環境が保全さ
れること。
(4)
自然と調和した良好な都市景観及び居住環境が形成されること。
(5)
公害の防止、廃棄物の発生の抑制、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用
等環境への負荷の低減が図られること。
(6)
環境の保全に関する教育及び情報の提供その他広報活動の推進により、環境に対
する意識の高揚が図られること。
(7)
地球環境の保全に適切な配慮がなされること。
(環境基本計画)
資-3
第8条 市長は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の
保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。
2
市長は、環境基本計画の策定に当たっては、いちき串木野市環境審議会の意見を聴
かなければならない。
3
市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。
4
前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(国及び他の地方公共団体との連携)
第9条 市は、環境の保全を図るため必要があると認めるときは、国及び他の地方公共団
体と連携してその施策を推進するとともに、国及び他の地方公共団体に対し必要な措
置を講ずるよう要請するものとする。
(自発的活動の促進)
第 10 条
市は、環境の保全に係る活動を自発的に行うものに対し、その活動が促進され
るよう必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第 11 条
市は、環境の保全に関する情報を事業者及び市民に提供するため、必要な措置
を講ずるものとする。
(規制の措置)
第 12 条
市は、公害の防止、自然環境の適正な保全その他の環境の保全を図るため、必
要な規制の措置を講じなければならない。
(推進体制)
第 13 条
市は、市の機関相互の緊密な連携及び施策の調整を図り、環境の保全について
の施策を推進するための体制を整備するものとする。
2
市は、事業者、市民又はこれらの者の組織する民間団体等と協議して、環境の保全
についての施策を積極的に推進するための体制を整備するものとする。
(委任)
第 14 条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別
に定める。
附
則
この条例は、公布の日から施行する。
資-4
3.いちき串木野市環境審議会名簿
№
氏
名
所
1
宇都
隆雄
議 会
2
中里
純人
議 会
3
東
節代
学識経験者
行政相談委員
4
松下
兵衛
市内の公共的団体の代表
市公連
5
東
育代
市内の公共的団体の代表
市婦連
6
松田
昭和
市内の公共的団体の代表
衛自連
7
川崎
弘一
市内の公共的団体の代表
商工会議所
8
留盛
寛
市内の公共的団体の代表
商工会
9
中原
賢一
関係行政機関の職員
保健所
10
生野
正行
市職員
総務課長
11
南竹
一敏
市職員
政策課長
資-5
属
備
考
会 長
4.アンケート調査の概要
項目
市民
事業者
配布
平成 22 年 6 月 8 日(火)
〆切
同年 6 月 22 日(火)
(留置期間 約 2 週間)
送付
平成 22 年 6 月 4 日(金)
〆切
同年 6 月 18 日(金)
(留置期間 約 2 週間)
(留置期間
調査
方法
行政嘱託員による配布、回
収
郵送法
学校を通じて配布・回収
調査
対象
20 歳以上のいちき串木野市
在住者
(二段階無作為抽出)
〈地区、年齢〉
事業所リストより無作為抽
出
市内公立小学校に依頼
調査
数量
配布数:1,000 人
回収数:962 人
(回収率:96.2%)
配布数:100 社
回収数:46 社
(回収率:46.0%)
配布数:小学 6 年生
回収数:267 名
(回収率:99.6%)
①属性
②おすまいの地域の環境に
ついて
③環境の保全や創造のため
の行動について
④子どもたちに身につけて
ほしい環境保全・創造行
動について
⑤守るべき環境、改善すべ
き環境について
⑥市の施策について
⑦自由意見
①属性
②貴事業所における環境保
全対策の取組状況と今後
の意向について
③環境保全に関する施策に
ついて
④環境保全に関する取組や
目標設定について
⑤行政に対する支援策につ
いて
①属性
②環境保全行動の実施状況
③めざす環境の姿
④周辺環境の評価
⑤大人にやめてほしいこと
⑥環境用語の認知度
⑦自由意見
調査
期間
設問
項目
資-6
小学校
約 2 週間)
268 名
5.パブリックコメント(市民意見提出手続)による意見と回答
パブリックコメントでは、1名、6件の意見が提出された。
意見
NO.
1
意見詳細
要約
対応方針
〈自然環境に関する基本施策〉について
第一次総合計画基本構想における「海洋活力ゾーン」と「癒しの森ゾーン」が、
今回の環境基本計画においての、主な自然環境対象域になると考えられます。
「海洋活力ゾーン」と「癒しの森ゾーン」をつなぐ重要な自然が五反田川・八房
川・大里川などの河川です。これら海・川・山の自然環境を生態系として、一体
的に保全していくことが求められます。
海・川・山の自然環境を生
態系として、一体的に保全
していくことが重要である
との意見(①、②、③、④
の総括部分)
-
2
① 河川について
小学生に対するアンケートでも、「川や池の水がきれいなまち」が、「いちき串
木野市の望ましい環境の姿」として筆頭にあがっています。水系は人体の血管
網にも例えられますが、河川はそれ自体、「農と住の調和ゾーン」、および「都市
形成ゾーン」の中を貫流しており、河川の自然環境を保全することは、これら二 河川環境における、総合 現在の施策を通じ
つのゾーンの生活環境を良好に保つことにつながります。近年、五反田川下流 的施策が必要であるとい て推進していきま
域での水質の汚濁が問題になっています。生活排水や産業排水の流入が指摘 う意見
す。
されていますが、下水処理施策の強化や水質汚濁防止に関する条例制定など
が必要と考えます。併せて、市と住民が協働して、清掃活動や自然観察会を実
施するなどの啓発活動が、河川の自然環境の保全にとって非常に重要だと考え
ます。また、このような活動は、子供達への大事な教育的財産ともなり得ます。
3
② 森林について
いちき串木野市は、全国的にも知られた水産都市であります。第一次総合計
画基本構想において、「癒しの森ゾーン」の振興方向について、森林の持つ「魚
付き林」の機能に触れたことは、水産都市ならではの着目点として、評価に値す
るものと考えます。このことから、我がいちき串木野市が水産都市であることを
踏まえ、市有林を「いちき串木野市環境基本計画」策定に合わせて、「みどりの
日」を中心に「魚付き林」に指定し、案内板の設置など、森林保全活動を強化し
たらどうかと考えます。折しも、本年は市制5周年であり、国際森林年でもあるこ
とから、好機ではないかと考えます。併せて、小中学生を対象に「みどりの少年
団」を結成し、植樹祭などを実施したらどうかと考えます。なお、「魚付き林」指定
については、もとより県知事が指定を行う「魚付き保安林」とは別物であり、あく
までも森林保全活動の一環であることを付言したいと思います。
4
③ 海浜について
「自然とのふれあいについての満足度」アンケートでは、市民の半数近くが「ど
ちらともいえない」と回答しています。自然や海浜に対する、市民の意欲の減退
がむしろ危惧されます。海浜域は、市街地に隣接しており、防災や水産業の拠
自然環境への、市民の関 現在の施策を通じ
点施設を優先するがために、ウミガメなどの海浜生物の生存が脅かされている
心を高める必要があると て推進していきま
のではないでしょうか。五反田川や八房川・大里川の汽水域には、かつてはトビ
の意見
す。
ハゼやシオマネキなどが生息していましたが、現在では絶滅しているようです。
防災や港湾施設の整備の推進と、野生生物の保護は表裏の関係にあり、環境
アセスメントなどを実施して慎重に推進しなければなりませんが、このような現
状についての市民の関心の薄さは、事の是非以上に深刻に思えてなりません。
5
6
④「第3章施策の展開
2.基本施策
(2)生活環境・地球環境」
における
■森林の、保全再生による二酸化炭素吸収源の確保のなかの、「市有林の適
切な管理」の具体的な取組のひとつとして、「市有林を『魚付き林』に指定し、森
林組合と連携して・・・」と記述する。
森林保全のため
市有林を「魚付き林」に指
の手法の1つとし
定し、案内板の設置をす
て、行政施策検討
るなどして、森林保全活動
の際の参考にさせ
を強化する。
て頂きます。
森林保全のため
の手法の1つとし
意見NO.3の内容と同様 て、行政施策検討
の際の参考にさせ
て頂きます。
〈快適環境に関する基本施策〉について
■伝統・歴史・文化に関する満足度
「居住地周辺環境の状況について」のアンケートにおいて、「文化財、遺跡等
の保存・整備状況」に関する回答状況は、半数以上が「どちらともいえない」と回
答しており、遺跡の保全に対して関心を示さない市民の現状が浮き彫りになっ 伝統・歴史・文化に関す
ています。今回の基本計画案のなかで、「・歴史、文化に対する市民の意識の る、市民の関心を高める
高揚と、史跡や伝統文化の保護と活用を図る」ことを〈課題〉として掲げているこ 必要があるとの意見
とは、このような市民意識を変えなければいけないという、危機感の現れという
意味で重要だと考えます。住民にとっては、この話し合いが社会教育上、極めて
重要なまちづくりプロセスになりうると考えられるからです。
資-7
現在の施策を通じ
て推進していきま
す。
6.用語の解説
ア 行
衛生自治団体連合会
各自治公民館長と婦人会長によって組織される会であり、不法投棄の監視などの衛
生組織活動の活発な運営を図るなど、公衆衛生の普及実践をもって住民の福祉増進に
寄与することを目的とする。
カ 行
カーシェアリング
登録を行った会員間で特定の自動車を、共同に使用するサービス、システムのこと。
外来生物
もともとその地域にいなかったのに、人間活動によって他地域から入ってきた生物
のことを指す。近年外来生物が引き起こす悪影響が問題となっており、日本固有の生
態系への影響、人の生命・身体への影響、農林水産業への影響が懸念されている。例
えばハイイロゴケグモ、セアカゴケグモ等の毒を持つ生物など。
環境保全型農業
農業の持つ、物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり
等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業。
行政評価
行政が実施している政策、施策や事務事業について成果指標等を用いて有効性、効
率性、必要性を評価することで、政策の質的向上を図るための行財政改革の一手法。
こどもエコクラブ活動
子供(幼児から高校生)が誰でも参加できる環境クラブで、環境省の支援事業の 1
つ。鹿児島県ではかごしま県民交流センターの 6 階「生命と環境の学習館」内に事務
所があり、リサイクル活動、清掃活動、自然観察、水質調査、環境学習会などが取り
組まれている。
コンセプト
全体を貫く基本的な概念。
コンポスト化
生ごみ等を、微生物によって発酵、分解させ堆肥化し、肥料や農業に再利用すること。
資-8
サ 行
再生可能エネルギー
有限で枯渇の危険性を有する石油・石炭などの化石燃料や原子力と対比して、自然
環境の中で繰り返し起こる現象から取り出すエネルギーの総称。太陽光や太陽熱など
の自然エネルギーと、廃棄物の焼却熱利用などのリサイクルエネルギーよりなる。
3R
Reduce(リデュース)
:削減する、Reuse(リュース)
:再使用する、R
ecycle(リサイクル)
:再資源化することの英語の頭文字3つをとったもの。
資源循環型農業
農業による廃棄資材を推肥化(炭化)することにより、廃棄物から有用な資材を作
り、資源を循環させる農業。
循環型社会
有限である資源を効率的に利用するとともに、排出された廃棄物等についてはでき
るだけ資源として適正に利用するなど再生産を行って、持続可能な形で循環させなが
ら、利用していく社会のこと。
ナ 行
21 世紀環境立国戦略
平成 19 年に閣議決定された、国内挙げて取り組むべき環境政策。重点的に着手す
べき課題として、「気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップ」、
「生物多様
性の保全による自然の恵みの享受と継承」、「3R を通じた持続可能な資源循環」をは
じめ 8 つの戦略を提示している。
ハ 行
バイオマス
バイオ(bio)生物、マス(mass)量を示す言葉より成り、再生可能な生物
由来の有機性資源で化石資源を除いたもの。主な活用方法としては、農業分野におけ
る飼肥料としての利用や汚泥のレンガ原料としての利用があるほか、燃焼して発電を
行ったり、アルコール発酵、メタン発酵などによる燃料化などのエネルギー利用など
もある。
バイオマスタウン構想
域内において、広く地域の関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用まで効率
資-9
的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオ
マス利活用が行われることを目指し、市町村等が作成する構想。
パークアンドライド
自宅から自家用車で最寄りの駅、またはバス停まで行き、車を駐車させた後、バス
や鉄道等の公共交通機関を利用して、目的地に向かうシステム。
ペアガラス
二重ガラス、複層ガラス。
資-10
Fly UP