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書き込み可能スナップショット(チェックポイント)

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書き込み可能スナップショット(チェックポイント)
EMC Celerra Version 5.6 Technical Primer:
書き込み可能スナップショット
(チェックポイント)を使用した
ファイル・システム、アプリケーション、
および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
US ホワイトペーパー翻訳版
要約
変更を行うことは通常は非常に望ましいことであり、それが運用効率の向上につながります。ただし、
何らかの異常が発生した場合、変更を行ったことによって非常に高いコストが発生する場合がありま
す。では、アプリケーションまたはNASファイル・システムへの変更の実装に伴うリスクを最小限に
抑えるには、どのようにすれば良いのでしょうか。この問いの答えを導き出すのに中心的な役割を果
たしているのが、Celerra® DART 5.6 に用意されている、読み取り/書き込みNASファイル・システ
ム・スナップショット(チェックポイント)機能です。この読み取り/書き込みスナップショットは
「サンドボックス」として使用することを目的としており、この機能を使用すると、変更を実装する
前に簡単にテストできます。また、災害復旧テスト用の便利なメカニズムを提供します。
2008 年 7 月
Copyright © 2008 EMC Corporation.不許複製
EMC Corporation は、この資料に記載される情報が、発効日時点で正確であるとみなします。情
報は予告なく変更されることがあります。
この資料に記載されている情報は、「現状有姿」の条件で提供されます。EMC Corporation は、
この資料に記載される情報に関する、どのような内容についても表明保証条項を設けず、特に、
商品性や特定の目的に対する適応性に対する黙示の保証はいたしません。
この資料に記載される、いかなる EMC ソフトウェアの使用、複製、頒布も、当該ソフトウェア・
ライセンスが必要です。
最新の EMC 製品名については、EMC.com で EMC Corporation の商標を参照してください。
他のすべての名称ならびに製品についての商標は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。
パーツ番号 H4424-J
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
2
目次
エグゼクティブ・サマリー................................................................................... 4
ビジネス上の問題 ........................................................................................................................ 4
技術的な問題................................................................................................................................ 4
機能の概要 ................................................................................................................................... 5
新機能 .......................................................................................................................................... 5
はじめに ............................................................................................................... 5
対象読者....................................................................................................................................... 6
用語 .............................................................................................................................................. 6
詳細情報 ............................................................................................................... 7
アーキテクチャ ............................................................................................................................ 7
制限 ............................................................................................................................................ 12
以前のリリースのとの互換性 .................................................................................................... 14
結論..................................................................................................................... 14
関連資料 ............................................................................................................ 14
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
3
エグゼクティブ・サマリー
保守時間に費やせる時間が減り続ける中、ビジネスの要求はますます厳しくなっています。IT 組
織がこの 2 つの状況に効率的に対処するにはどうすれば良いのでしょうか。
IT 組織には、計画的なダウンタイム時間を増やす余裕はもうありません。IT スタッフは、アプ
リケーションの変更要求であっても、災害復旧計画の有効性の証明を求める要求であっても、テ
スト済みの安全な方法で変更および調整を行う時間がますます少なくなる中で、以前と同じレベ
ルのサービスを迅速に提供することが期待されています。この現実と、企業に対するデータの重
要性が増し続けていることを合わせて考えると、ほとんどの企業において、データ消失のリスク
が数年前よりも格段に高くなっていると判断できます。
本番環境以外で変更を行い、本番環境と同じデータに対して徹底的にテストしてから、その変更
を実装する方法を見つける、というアプローチからこの課題に取り組むのも 1 つの方法でしょう。
しかし、どうしたら、こうしたテスト(「サンドボックス」)環境をすばやく、しかも効率的に
構築できるのでしょうか。
このホワイト・ペーパーでは、新しいEMC® Celerra®テクノロジーである書き込み可能チェック
ポイントを使用して、このテスト/サンドボックス環境をすばやく、かつ最適なストレージ効率
で構築する方法について説明します。書き込み可能チェックポイントにより、サーバおよびスト
レージ管理者が、本番環境を再生成する(「サンドボックス」を構築する」)ための時間を短縮
し、要求された変更または災害復旧計画が確実に動作するようにして、変更または災害のリスク
を緩和できます。
ビジネス上の問題
お客様がシステムの可用性について心配しているのは確かなことです。システムが停止すると、
原因が何であれ、その代償は非常に高いものになります。お客様のストレージの可用性を高める
のに役立つのが EMC Celerra NAS(ネットワーク接続型ストレージ)です。Celerra は、今日のハ
ードウェアおよびサイト障害のリスクを軽減するのに役立ちますが、お客様は、アプリケーショ
ン・データの破損、または変更が原因で発生するアプリケーション異常など、その他のシステム
停止が原因によるリスクを緩和するためのソリューションをますます求めてきています。企業の
災害復旧戦略のテストを実行する場合でさえも、アプリケーションの可用性やユーザーの生産性、
そして最終的には収益に影響を及ぼすことがあります。これらの種類の停止は、ビジネスにとっ
て高いコストが発生するのです。
技術的な問題
ソフトウェア・パッチ、データベースの変更、構成の変更、保守スクリプトなど、アプリケーシ
ョンに対する変更は、本番環境に実装する前に、すばやく簡単に、かつ信頼できる方法で「テス
ト」する必要があります。「サンドボックス」環境で変更をテストすると、不適切なアプリケー
ション動作、または変更による停止を最小限に抑えられます。
このようなサンドボックスの可用性と、必要不可欠なテスト環境が反映されているサンドボック
スを簡単に構築できることが重要です。これにより、テストのコストを削減できるからです。お
客様は、サンドボックスを作成するための管理およびストレージ要件を軽減することで、サンド
ボックス・テストに関連づけられているハードおよびソフト両方のコストを削減できます。
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
4
機能の概要
Celerra DART 5.6 は、Celerra SnapSure™機能を使用するときに「書き込み可能チェックポイン
ト」と呼ばれる機能を提供します。この機能を使用すると、Celerra 管理者がアプリケーションの
ファイル・システムのスケジュールされた、またはスケジュールされていないチェックポイント
(スナップショット)を使用して、次の方法でリスクを軽減し、効率を高めることができます。
•
アプリケーションのテスト:システム管理者が、PFS(本番ファイル・システム)の書き込
み可能チェックポイントを作成して、アプリケーションの変更または更新をテストします。
お客様は、書き込み可能チェックポイントに対して変更を行い、これらの変更が正しいこと
を確認したら、PFS に対して同じ変更を直接適用するか、書き込み可能チェックポイントを
PFS にリストアして、変更したポイント・イン・タイム・ビューに PFS を復元できます。変
更を実際のデータで徹底的にテストしてから実装できるため、停止のリスクが軽減します。
また、管理者はデータのコピーを生成する必要がありません。これにより、ストレージの効
率性と生産性が向上します。
•
DR(災害復旧)テスト:書き込み可能チェックポイントは DR シナリオのシミュレートに役
立ちます。また、DR テスト中に PFS へのアクセスを停止することはありません。これを行
うには、書き込み可能チェックポイントを、レプリケートされたファイル・システムのデス
ティネーション・ファイル・システム上に作成し、DR テスト・シナリオをその書き込み可
能チェックポイントに適用します。本番サイトをオフラインにしたりレプリケーション・セ
ッションを中断したりすることなく、災害シナリオを実際の本番データでシミュレートでき
るため、停止のリスクが軽減します。また、管理者はデータのコピーを生成する必要がなく、
デスティネーション・システムで EMC Celerra Replicator™によって保持されているコピーを
利用できます。これにより、ストレージの効率性と生産性が向上します。
•
アプリケーション・コンシステンシ・チェック:アプリケーション・テストのシナリオと同
様、書き込み可能チェックポイントを使用して、データベース・テーブルなどのアプリケー
ション・データのコンシステンシをチェックできます。たとえば、書き込み可能チェックポ
イントは、標準の読み取り専用チェックポイントに含まれるデータがコンシステント状態で
あるかどうかを確認する際に役立ちます。これを確認してから、そのデータをバックアップ
のソースとして使用できます。書き込み可能チェックポイントは標準の読み取り専用チェッ
クポイントから作成でき、アプリケーションのコンシステンシ・チェックは書き込み可能チ
ェックポイント上で実行できます。
•
一般的な開発とテスト:ファイル・システム・データを管理するスクリプトの開発、テスト
などの処理を、書き込み可能チェックポイントで実行できます。これにより、処理を PFS で
実装できるようになるまで、本番環境を保護しながら実際のデータでテストを実行できます。
新機能
書き込み可能チェックポイントは、Celerra DART 5.6 で初めて導入された機能です。以前ののチ
ェックポイント機能はすべて、これまでどおりに使用できます。
はじめに
このホワイト・ペーパーでは、Celerra DART 5.6 の新しい書き込み可能チェックポイント機能を
紹介します。主な内容を次に示します。
• 書き込み可能チェックポイントのビジネスおよび技術上の推奨要因
•
書き込み可能チェックポイントとは
•
一般的な導入シナリオで書き込み可能チェックポイントを使用してビジネス上の問題を解決
する方法
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システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
5
•
書き込み可能チェックポイントの動作方法に関する技術概要
•
書き込み可能チェックポイントで避けること
•
書き込み可能チェックポイント使用時のストレージに関する考慮事項
•
書き込み可能チェックポイントの制限事項
対象読者
このホワイト・ペーパーは、IT プランナ、ストレージの設計者と管理者など、EMC ネットワー
ク・ストレージ環境の評価、確保、運用、または設計にかかわるお客様を対象としています。
用語
ベースライン・チェックポイント:書き込み可能チェックポイントの基礎としての役割を果たす
読み取り専用チェックポイント。ベースライン・チェックポイントは、書き込み可能チェックポ
イントに依存関係によってリンクしており、書き込み可能チェックポイントが削除された時点で、
標準の読み取り専用チェックポイントに変わります。
チェックポイント:ファイル・システム(PFS)の読み取り専用論理ポイント・イン・タイム・
イメージ。スナップショット、チェックポイント・ファイル・システム、SnapSureファイル・シ
ステムと呼ばれることもあります。
CVFS(チェックポイント仮想ファイル・システム)、SVFS(スナップショット仮想ファイル・
システム):NFS または CIFS クライアントが、仮想チェックポイント・ディレクトリ・エント
リにアクセスすることで、ファイル・システムのディレクトリのオンライン・スナップショット
に読み取り専用アクセスできるようにするファイル・システム。CVFS と SVFS は同義語です。
DART(リアルタイム・データ・アクセス):CelerraシステムのData Moverで実行されるオペレ
ーティング・システム・ソフトウェア。ファイル・システム向けに最適化されたリアルタイムの
マルチスレッド・オペレーティング・システムで、標準プロトコルに対してサービスを提供しま
す。
Data Mover:Celerra Network Serverのキャビネット・コンポーネント。ストレージ・デバイスか
らファイルを取得し、そのファイルをネットワーク上のクライアントが使用できるようにする独
自のオペレーティング・システムを実行します。これは、ブレードとも呼ばれます。Data Mover
は、内部的には「DART」と呼ばれることがあります。DARTはプラットフォーム上で実行され
るソフトウェアだからです。
PFS(本番ファイル・システム、またはプライマリ・ファイル・システム):本番データが格納
されているCelerraファイル・システム。PFSには1つ以上のチェックポイントが含まれます。また、
チェックポイントが含まれていないこともあります。チェックポイント・ストレージとは別に独
自のストレージを持ち、Symmetrix®ボリュームまたはCLARiX® LUN上に構築され、Celerra
Network ServerのData Moverにマウントされます。
更新:チェックポイントの前のポイント・イン・タイム・ビューを破棄し、PFS の現在のポイン
ト・イン・タイム・ビューに置き換えるチェックポイント処理。
SCSF(共有フォルダのシャドウ・コピー):Microsoft Window の機能。この機能を使用すると、
Windows XP および Windows Server 2003 クライアントが、自分のファイルおよびフォルダの
SnapSure ポイント・イン・タイム・イメージに直接アクセスして、ポイント・イン・タイム・デ
ータをリカバリできます。
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
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SnapSure:PFSの読み取り専用のポイント・イン・タイム・ビュー(チェックポイント)を提供
する機能。
SnapSure SavVol:元のポイント・イン・タイム・データ・ブロックがトランザクションによっ
て変更される前に、SnapSureがPFSからそのブロックをコピーする先のCelerraボリューム。
SnapSureは、SavVolのコンテンツと変更されていないPFSブロックを使用して、PFSのチェックポ
イントを維持します。
書き込み可能チェックポイント:読み取り/書き込みのチェックポイント。書き込み可能チェッ
クポイントは必ず、べースラインと呼ばれる読み取り専用チェックポイントから作成されます。
詳細情報
アーキテクチャ
書き込み可能チェックポイントは、PFS の書き込み可能ポイント・イン・タイム・ビューです。
他の EMC SnapSure の標準の読み取り専用チェックポイントと同様、書き込み可能チェックポイ
ントに記録されたファイル・システム・ビューは、CIFS、NFS、FTP などの従来のネットワー
ク・ファイル共有プロトコルを介してネットワーク・クライアントで共有できます。標準の読み
取り専用チェックポイントと書き込み可能チェックポイントが異なるのは、書き込み可能チェッ
クポイントは、ネットワーク・クライアントが変更(書き込み)できるため、PFS のポイント・
タイム・ビューが完全には反映されないという点です。この機能は、PFS データを PFS 自体で動
作させずに試すための「簡単な」メカニズムとして極めて大きな価値をもたらします。また、書
き込まれたデータのみがストレージを使用するという点で非常に効率的です。ほとんどの場合、
PFS を完全にコピーしなくても、サンドボックス環境を作成することができます。
導入シナリオ
SnapSure 書き込みチェックポイントを使用すると、次のような一般的なビジネス・ニーズに対応
できます。
• データベース変更のリスクの軽減
•
アプリケーション変更のリスクの軽減
•
災害復旧のテスト
•
ファイル・システムの再構築
•
新しいデータ管理プロセス/手順の開発
•
データ・マイニングまたはレポート作成
書き込み可能チェックポイントはサンドボックス(テスト・ファイル・システム)として使用す
ることも可能で、また、変更の実装とテストを行い完成させてから、簡単なリストア操作によっ
てPFSに戻すための拠点として使用することも可能です。図 1は、書き込み可能チェックポイン
トを使用して、本番データベース環境に影響を与えることなく、データベースの変更のテストま
たはデータベースのマイニングを行う方法を示しています。このシナリオの概要については、ホ
ワイト・ペーパー「Accelerate Oracle Database 10g Creation and Deployment Using VMware
Infrastructure and EMC Celerra Writeable Checkpoints - Applied Technology」を参照してください。
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
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baseline ckpt
writeable ckpt
PFS
Production
Databases
Test Database
図1:アプリケーション・レベルのテスト、マイニング、またはレポー
ト作成での書き込み可能チェックポイントの使用。データベース・アプ
リケーションを表示
また、図 1は、PFSに変更をリストアする前にその変更を完成させるための拠点として書き込み
可能チェックポイントを使用するときにも適用できます。ただし、このような導入シナリオでは、
PFSへのクライアント・アクセスを中断してからベースライン・チェックポイントを作成するこ
と、また、そのクライアント・アクセスはリストア処理が完了するまで中断したままにしておく
ことをお勧めします。この推奨事項に従えば、新しいクライアント・データがリストア処理によ
って上書きされることはなくなります。
アプリケーション・レベルのテストの他に、組織の多くが定期的に災害復旧テストを行っていま
す。また通常、DR計画は定期監査に合格しなければなりません。図 2は、DRテストおよび監査
で書き込み可能チェックポイントを使用する方法を示しています。ここでは、書き込み可能チェ
ックポイントがデスティネーション・ファイル・システムで作成されています。この書き込み可
能チェックポイントはクラッシュ・コンシステントになります。そして、DRテスト・クライア
ントが、NFS、CIFS、FTPなどのネットワーク・ファイル・システム・プロトコルを介して書き
込み可能チェックポイントに接続して、災害時の復旧をシミュレートします。この構成は、レプ
リケーション・セッションまたは本番環境に影響を与えることがないため、非常に便利です。
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テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
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Celerra Replicator
PFS
Destination
File System
(read-only)
baseline ckpt
writeable ckpt
Production Environment
DR Environment
図2:災害復旧テストまたは監査での書き込み可能チェックポイントの使用
書き込み可能チェックポイントからもバックアップを行えますが、バックアップでは書き込みを
必要としないため、バックアップ・シナリオでは標準の読み取り専用 SnapSure チェックポイン
トを使用することを強くお勧めします。
SnapSure 書き込み可能チェックポイント・テクノロジー
すべての書き込み可能チェックポイントが「ベースライン」の読み取り専用チェックポイントか
ら作成されます。Celerra DART 5.6 アーキテクチャを使用すると、ベースライン・チェックポイ
ントごとに 1 つの書き込み可能チェックポイントを使用できます。図 3は、PFS、標準の読み取
り専用チェックポイント、べースライン・チェックポイント、書き込み可能チェックポイント間
の関係を示しています。
PFS
ckpt
(base)
ckpt
(base)
ckpt
write.
ckpt
write.
ckpt
ckpt
(base)
ckpt
write.
ckpt
SavVol
図3:PFS、チェックポイント、ベースライン・チェックポイン
ト、書き込み可能チェックポイントの関係
すべてのタイプのチェックポイントで使用されているデータはSavVolと呼ばれる特別なストレー
ジ・コンテナに格納されています。SavVolはPFSごとに 1 つあり、そのサイズは、PFSデータが
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テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
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変更される速度と格納されているチェックポイントの数によって、PFSより小さい、大きい、ま
たはPFSと同じのいずれかになります。また、書き込み可能チェックポイントのデータもSavVol
に格納されています。
図 4は、DART入力/出力(I/O)スタックにおけるCelerra SnapSureの場所を示します。このスタッ
クでSnapSureはファイル・システムの下位、ボリューム・マネージャの上位に位置しているため、
その目的を果たすことができます。ネットワーク・ファイル・システム・クライアントがファイ
ル・システム・メタデータ(ファイル情報、ディレクトリなど)の読み取りおよび変更を行うと
き、またはファイルにデータを書き込むとき、SnapSureは、ファイル・システムとディスク間の
読み取りおよび書き込みブロックをインターセプトし、データをスタックに渡す前にデータ処理
に関する選択を行います。たとえば、PFSへの書き込みが発生した場合、SnapSureは、書き込み
処理を行う前に、PFSのチェックポイントが古いデータにアクセスし続けられるよう古いデータ
をコピーする必要があると判断します。SnapSureは、上位または下位のレイヤーに関する知識が
なくてもこうした選択を行える場所に配置されています。
CIFS, NFS, FTP
requests
Network File Protocols
CIFS
FTP
NFS
File System
Celerra Replicator
Celerra SnapSure
Volume Manager
図 4 : DART I/O ス タ ッ ク で の
SnapSure の位置
Celerra ネットワーク接続ストレージ環境では、ネットワーク・クライアントはファイル・システ
ムのみを確認し、Celerra SnapSure をサポートする基盤となるブロック・レベルのテクノロジー
は確認しません。SnapSure 内部の詳細については、「Using SnapSure on Celerra」テクニカル・モ
ジュールを参照してください。
書き込み可能チェックポイントからの読み取り
書き込み可能チェックポイントは、作成された時点ではべースライン・チェックポイントとまっ
たく同じように見えます。したがって、データが書き込まれるまでスペースは消費されません
(ブロック・マップを除く)。データが書き込み可能チェックポイントから読み取られた時点で、
その書き込み可能チェックポイントに対する明示的なデータ書き込みがない場合は、ベースライ
ン・チェックポイントが作成されてからデータが変更されているかどうかに応じて、DART が、
ベースライン・チェックポイント、より新しい読み取り専用チェックポイント、または PFS から
データを取得します。
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テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
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Celerra SnapSure 内部の詳細についてはこのドキュメントでは取り上げていませんが、書き込み
可能チェックポイントがスペースの使用効率に非常に優れていること、また、書き込みがあるま
ではほとんどスペースを使用しないことを理解することが重要です。
書き込み可能チェックポイントへの書き込み
書き込み可能チェックポイントへの書き込みは PFS への書き込みと異なります。新しく書き込ま
れたデータは常に書き込み可能チェックポイントに割り当てられ、所有されます。そのデータの
以降の読み取りは書き込み可能チェックポイントから直接サービスされます。一方、PFS への書
き込みは常に PFS が所有しますが、これが追加ストレージの割り当てにつながるとは限りません。
書き込み可能チェックポイントの効率の良さはここにあります。書き込み可能チェックポイント
にデータが書き込まれるまで、その書き込みチェックポイントにはストレージが割り当てられま
せん。さらに、書き込み可能チェックポイントが使用するストレージ容量は、書き込み可能チェ
ックポイントに書き込まれた固有のデータ量と直接関連しており、サンドボックス/テスト環境
を構築するには理想的です。
書き込み可能チェックポイントからのリストア
書き込み可能チェックポイントから PFS をリストアできます。書き込み可能チェックポイントか
らの PFS のリストアは、標準の読み取り専用チェックポイントから PFS をリストアするのと似
ています。リストアでは、PFS と書き込み可能チェックポイント間で共通のデータは影響を受け
ませんが、共有されていないデータは、対応するデータを書き込み可能チェックポイントから
PFS にコピーすると上書きされます。
SavVol のサイズ変更
書き込み可能チェックポイントは、同じ PFS にある標準の読み取り専用チェックポイントとスト
レージ(SavVol)を共有しています。書き込み可能チェックポイントに書き込まれたデータはす
べて SavVol に格納されます。したがって、書き込み可能チェックポイントは SavVol サイズ要件
に直接かかわっています。書き込み可能チェックポイントを作成する前に、すべてのクライアン
ト書き込みに対応できるだけのスペースがあること、または、SavVol の自動拡張により書き込
みに対応できることを必ず確認してください。
具体的な SavVol サイズ要件は、書き込み可能チェックポイントの使用目的によって異なります。
たとえば、書き込み可能チェックポイントへの固有の書き込みが少ない場合は、必要なスペース
が少なくてすむことを意味し、書き込み可能チェックポイントへの固有の書き込みが増えると、
より多くのスペースが必要になることを意味します。また、同じデータの再書き込みは最初の書
き込みのみがカウントされます。すべてのデータ・ブロックが書き込まれ、すべての inode が変
更される極端なシナリオでは、必要な SavVol スペースの容量は、ベースライン・チェックポイ
ントが作成された時点での PFS のサイズと同じになります。ただし、このようなシナリオは非常
に稀です。書き込みアクティビティを正確に予測できない状況では、SavVol の自動拡張機能を
使用して SavVol の割り当て超過を回避します。
書き込み可能チェックポイントで避けること
書き込み可能チェックポイントは、標準の読み取り専用チェックポイントとは異なり、他のチェ
ックポイントまたは PFS に属するデータを利用します。したがって、書き込み可能チェックポイ
ントのみを、バックアップ手段として使用するのは避けてください。災害復旧対策として、フ
ル・バックアップと増分バックアップを標準で、さらにファイル・システム・レプリケーション
をオプションで定期的に行うようにします。、それでもやはり、書き込みチェックポイントは、
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読み取り専用チェックポイントと同じように、バックアップのソースとして使用し、包括的な災
害復旧戦略を補完できます。
書き込み可能チェックポイントはテストを対象としています。本番データ・ストアとしては使用
しないでください。
期待されるパフォーマンス
書き込み可能チェックポイントのパフォーマンスは、最初のエンジニアリング・テストでは PFS
と比較すると高くなっています。PFS と書き込み可能チェックポイントにおける実際のパフォー
マンスの差は PFS とその SavVol のボリューム・レイアウトに大きく左右されます。ほとんどの
場合、書き込み可能チェックポイントのパフォーマンスは、標準の読み取り専用チェックポイン
トのパフォーマンスと同様、チェックポイント検索のオーバーヘッドによって PFS よりも低くな
ると期待されます。なお、書き込み可能チェックポイントは本番環境で使用することを目的とし
たものではないことを留意してください。
他の Celerra 機能との関係
CIFS、NFS、NMFS(Nested Mount File Systems)、NDMP(統合チェックポイントなし)、
server_archive、mount/unmount、fsck, fs_copy/nas_copy、およびMPFS1はすべて書き込み可能チェ
ックポイントでサポートされています。書き込み可能チェックポイントはPFSあたりの最大チェ
ックポイント数には考慮されないため、書き込み可能チェックポイントを使用しても、PFSで作
成できる読み取り専用チェックポイント数(現在リリースされている製品ではPFSあたり 96)に
は影響しません。
制限
書き込み可能チェックポイントの重要な制限事項をいくつか次に示します。
•
書き込み可能チェックポイントはファイル・システムなので、Data Mover およびキャビネッ
トあたりの最大ファイル・システム数には考慮されません。
•
PFS あたり 16 の書き込み可能チェックポイントを作成できます。
•
標準の読み取り専用チェックポイントとは異なり、書き込み可能チェックポイントまたはそ
のベースライン・チェックポイントは更新できません。書き込み可能チェックポイントは、
そのベースライン・チェックポイントのポイント・イン・タイム・ビューに内部的に接続さ
れています。したがって、書き込み可能チェックポイントと、そのベースライン・チェック
ポイントを同時に更新すると、このポリシーに違反することになります。また、書き込み可
能チェックポイントを更新すると、そのチェックポイントに行われた変更が上書きされてし
まいます。このため、ベースラインと書き込み可能チェックポイントの両方を更新すること
はできません。書き込み可能チェックポイントを削除すれば、読み取り専用チェック(その
ベースライン)を更新し、そこに新しい書き込み可能チェックポイントを作成できます。
•
PFS では許可されているのに、書き込み可能チェックポイントで許可されていないファイ
ル・システム操作があります。書き込み可能チェックポイントで許可されていない操作を次
に示します。
ƒ CDMS(Celerra Data Migration Service):CDMS は、本番ファイル・システムの移行で使
用することを目的としています。一方、書き込み可能チェックポイントは、本番ファイ
ル・システムで使用するためのものではありません。
1
MPFSで書き込み可能チェックポイントを使用するには、MPFSチームからの承認された要求(RPQ)が必要で
す。この要求は、EMCまたはパートナー・アカウント・チームがお客様の代わりにエンジニアリングに提出できます。
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
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ƒ CVFS(チェックポイント仮想ファイル・システム)、SCSF(共有フォルダのシャドウ・
コピー):このテクノロジーを使用すると、called .ckpt(CVFS の場合)と呼ばれる隠し
ディレクトリ、または Microsoft Windows Previous Versions Client(SCSF の場合)を使用
して、チェックポイントに含まれる古いバージョンのファイル/ディレクトリにアクセス
できます。書き込み可能チェックポイントからは、.ckpt ディレクトリ(CVFS の場合)ま
たは Previous Versions Client(SCSF の場合)にファイル/ディレクトリのバージョンが表
示されません。
ƒ ファイル・システムの拡張(書き込み可能チェックポイント):書き込み可能チェックポ
イントは、ベースライン・チェックポイント作成時のサイズなど、PFS の特性を継承しま
す。これらの特性を変更することはできません。
ƒ EMC MirrorView™。
ƒ SnapSure 作成:書き込み可能チェックポイントのチェックポイント(スナップショッ
ト)を作成することはできません。
ƒ SnapSure 更新:書き込み可能チェックポイントまたはそのベースラインは更新できませ
ん。
ƒ SnapSure のスケジュール設定:SnapSure スケジュールで書き込み可能チェックポイント
を作成できません。ただし、SnapSure スケジュールで作成した読み取り専用チェックポ
イントには書き込み可能チェックポイントを作成できます。スケジュールされたベースラ
イン・チェックポイントの書き込み可能チェックポイントが、基盤となるチェックポイン
トのスケジュールされた更新の妨げになることがあります。したがって、こうした書き込
み可能チェックポイントは、必要がなくなったらすぐに削除してください。
ƒ EMC SRDF®(Symmetrix Remote Data Facility)。
ƒ VTLU(仮想テープ・ライブラリ・ユニット):書き込み可能チェックポイントはバック
アップ先としては適切ではありません。
ƒ EMC TimeFinder®/RDF。
•
次の処理については、書き込み可能チェックポイントは制限つきでサポートしています。ま
た、制限事項もあります。
ƒ EMC Celerra FLR(ファイル・レベル保存機能):書き込み可能チェックポイントは、ベ
ースライン・チェックポイント作成時の PFS の FLR 属性を継承します。この継承された
FLR ステータスは変更できません。ただし、FLR 対応書き込み可能チェックポイントで
は、個別のファイルの FLR 属性を設定できます。
ƒ EMC Celerra FileMover(DHSM):書き込み可能チェックポイントは、ベースライン・チ
ェックポイント作成時の PFS の FileMover 属性を継承します。この継承された DHSM 構
成は変更できません。また、書き込み可能チェックポイントのすべての読み取りについて、
SavVol が過剰に使用されないようにパススルー・ポリシーが施行されます。
ƒ EMC Celerra Replicator™:書き込み可能チェックポイントは、Celerra Replicator セッショ
ンではソースまたはデスティネーションとしての機能を果たすことはできません。つまり、
書き込み許可チェックポイントを Replicator 内部チェックポイントに作成することはでき
ません。ただし、これをソース(本番)およびデスティネーション(セカンダリ)ファイ
ル・システムに作成することはできます。
ƒ Replicator コピー:Replicator コピー操作(fs_copy および nas_copy コマンド)は、書き込
み可能チェックポイントでサポートされますが、これは書き込み可能チェックポイントが
読み取り専用としてマウントされ、さらに、増分コピーではなくフル・コピーが許可され
ている場合だけに限ります。
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システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
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ƒ NDMP:書き込み可能チェックポイントは、NDMP バックアップの統合チェックポイント
としての機能を果たすことはできません。NDMP 統合チェックポイントは、標準の読み
取り専用チェックポイントして作成されます。
以前のリリースのとの互換性
書き込み可能チェックポイント機能は、Data Mover外部のエンティティ(DARTソフトウェアの
別のバージョンを実行しているData Moverなど)とは相互に作用しません。したがって、リリー
ス 5.3、5.4、5.5 との互換性はありません。
結論
Celerra の書き込み可能チェックポイント機能により、サーバおよびストレージ管理者が少ない手
間で多くのことを行えるようになります。たとえば、この機能を使用すると、アプリケーショ
ン・テストおよび災害復旧テストまたは監査などの目的で、サンドボックス環境でのプロビジョ
ニングを簡単に行うことができます。また、テスト中に実際に書き込みがあったストレージのみ
をプロビジョニングすれば良いため、ストレージの使用に過度の影響を与えることなくサンドボ
ックス環境を作成できます。
このテクノロジーで使用できるアプリケーションには事実上制限がありません。また、サーバ仮
想化と組み合わせることでより大きなメリットがもたらされ、サンドボックス・ファイル・シス
テム(サーバ/アプリケーション・データ)とサンドボックス・マシン(オペレーティング・シ
ステムとアプリケーション)の両方をすばやくプロビジョニングできます。
この点を考慮して、ご使用の環境で使用できそうな Celerra 書き込み可能チェックポイント・テ
クノロジーのアプリケーションを考えてみてください。
関連資料
名前:Accelerate Oracle Database 10g Creation and Deployment Using VMware Infrastructure and EMC
Celerra Writeable Checkpoints - Applied Technology
種類:ホワイト・ペーパー
URL:http://powerlink.emc.comまたはhttp://vmware.com
対象読者:顧客
技術的な難易度:中
名前:Using SnapSure on Celerra
種類:技術書
URL:5.6 ドキュメントの CD を参照
対象読者:顧客
技術的な難易度:高
名前:Celerra Manager Online Help System
種類:技術書(ヘルプ・システム)
URL:5.6 Celerra ドキュメントの CD または Celerra Manager を参照
対象読者:顧客
技術的な難易度:高
名前:Celerra Network Server Command Reference Manual
種類:技術書
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
14
URL:5.6 Celerra ドキュメントの CD を参照
対象読者:顧客
技術的な難易度:高
名前:fs_ckptのマニュアル・ページ
種類:技術書(ヘルプ・システム)
URL:CLI で「man server_ldap」を実行
対象読者:顧客
技術的な難易度:高
EMC Celerra 5.6 Technical Primer:書き込み可能スナップショット(チェックポイント)を使用したファイル・
システム、アプリケーション、および災害復旧のテスト
テクノロジーの概念とビジネス上の考慮事項
15
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