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曲目解説 - 兵庫芸術文化センター管弦楽団

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曲目解説 - 兵庫芸術文化センター管弦楽団
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阪神・淡路大震災20年
第75回定期演奏会プログラム/これさえ見ればわかる!今回の聴きどころ
第75回定期演奏会
マーラー:交響曲
第2番
これさえ
見れば
わかる!
「復活」(約90分)
ハ短調 Gustav Mahler:Symphony No. 2 in C minor, "Auferstehung"
第2楽章 アンダンテ・モデラート Andante moderato
青年作曲家が歌い上げる、永遠の生への讃歌
「第1交響曲《巨人》」
に続いてマーラーが放った、全5楽章、90分近い演奏時間をもつ
大交響曲。
彼の
「第3番」
(約100分)
には及ばずとも、
ブルックナーの
「第8番」
(75分∼90分)
などと並ぶ、史上最長の交響曲の一つである。
第3楽章 静かに流れるような動きで In ruhig fließender Bewegung
これは、マーラーが生涯にわたり交響曲の中で追求した「人生とは何か?死とは何か?」
第4楽章 「原光」
:きわめて荘重に、
しかし素朴に “Urlicht”:Sehr Feierlich, aber schlicht
という思索が、最も明快な形で織り込まれた作品だ。第1楽章では「生と死」
を問いかけ、
第5楽章 イン・テンポ・デ・スケルツォ Im tempo des scherzo
名曲コンサート
第1楽章 アレグロ・マエストーソ Allegro maestoso
東条 碩夫
(音楽評論家)
定期演奏会
PROGRAM
第2∼4楽章での「回想、苦悩、希望」
を経て、第5楽章では「最後の審判」
と、そのあとに
与えられる
「永遠の生」
を描いていく。
「成りしものは、必ず滅びる。
だが、滅びしものは、蘇る。
おのの
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指揮・芸術監督:佐渡
裕
Yutaka Sado, Conductor & Artistic Director
ノ:並河
寿美
Hisami Namikawa, Soprano
メゾ・ソプ ラノ:清水
華澄
Kasumi Shimizu, Mezzo Soprano
ソ
プ
ラ
合 唱 指 揮:矢澤定明 Sadaaki Yazawa, Chorus Master
唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団 Produce Opera Chorus, Hyogo
合
:オープニング記念第9合唱団 Opening Beethoven 9th Commemorative Chorus
管
弦
楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団 Hyogo Performing Arts Center Orchestra
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2015
1/16(金)・17(土)・18(日)
開演 : 16日
(金)、
18日(日)3:00PM / 17日(土)5:46PM
1995(平成7)年1月17日5:46AMに起こった阪神・淡路大震災から20年。
追悼の想いと未来への希望を込め、本公演を上演いたします。
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主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
※演奏時間は目安となります。前後する可能性がありますので予めご了承ください。
04
恐れ慄くのをやめよ!生きる用意をせよ!われは死なん、生きんがために!」
と大合唱および
2人の女声ソリストが絶唱し、
大編成のオーケストラが全力を挙げて歓呼する最後の熱狂的な
クライマックスは、圧巻である。
「必 聴ポイント」
ライター
おすすめ
マーラー:交響曲 第2番
ハ短調「復活」
大編成のオーケストラが咆哮、陶酔と法悦
ホルンとトランペットは各6本、舞台裏にも各4本。マーラー特有の巨大なスケールをもった
管弦楽法は豪壮を極める。第1楽章と第5楽章は、音楽史上空前の壮絶な音楽。
遠方から響く
「最後の審判」
を告げる声
舞台外から金管や打楽器を響かせ、演奏を立体的に構成するのはマーラーの得意わざ。
カンタータ「嘆きの歌」や、交響曲の「1番」
「3番」
「6番」などでも効果を上げている。
復活の合唱は無伴奏の最弱音で神秘的に開始
「最後の審判」の激烈な動揺が遠ざかり、木管群がおののく夜鶯の声を奏するうちに、聖者
たちと天上の者たちが歌う「復活」の歌が微かに聞こえて来る。最も印象的な瞬間だ。
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阪神・淡路大震災20年
第75回定期演奏会 PROGRAM NOTE
第 75 回定期演奏会
第3楽章
並行して書かれた「魚に説教するパドゥアの聖アントニウス」のそれと同一のもの。
曲目解説ー演奏をより深く楽しむために 東条 碩夫(音楽評論家)
歌曲は、
「教会に民衆が来ないため、アントニウスは仕方なく池の魚に向かって説教、
定期演奏会
かいぎゃく
スケルツォ
(諧謔)楽章。主題は、歌曲集「少年の魔法の角笛」の1曲で、
この交響曲と
魚は集まって説教を聞いたが、魚は所詮魚に過ぎなかった・・・・」
という皮肉と空しさと
に満ちた内容だが、
ここでは歌詞は歌われない。
第2番
「復活」
ハ短調
全曲初演:1895年12月13日 ベルリン
第4楽章
すぐ続いてメゾ・ソプラノが歌い出す美しい旋律は、
これも
「少年の魔法の角笛」
から
の「原光」
(歌詞は別掲)。彼の第2番から第4番までの交響曲は、同歌曲集との関連が
ふたたび花咲くために、汝は播かれたり
1894年3月29日、敬愛する先輩の大指揮者ハンス・フォン・ビューローの葬儀に
第5楽章
るつぼ
前楽章から切れ目なく続くこの終楽章は、演奏に30分以上を要する、凄絶な坩堝の
トック作詩の頌歌を聞き、電光のような啓示を受けた。
6年前から作曲を進めながら、
世界である。
冒頭から強烈な曲想で始まり、舞台裏からのファンファーレと交錯しつつ、
どのような形を採るべきか迷っていた
「第2交響曲」
の終楽章の構想が、
それをきっかけ
何度かの劇的な起伏を経て、ついに大合唱とともに最後の宏壮無比な復活への讃歌
に、一気に加速したのである。彼はその詩を独自に改作し、
自身の音楽を付して、壮大
に到達する。
な終曲をつくりあげた。
これが、
この大交響曲が
「復活」
と呼ばれるゆえんである。全曲
が最終的に完成をみたのは、同年12月のことであった。
第1楽章
初稿は「葬礼」
と題され、
「 第1交響曲《巨人》
における主人公の死を悼む」
と説明され
ていた。マーラーはこれを1891年にピアノでビューローに弾いて聴かせたが、
老ビューローはその破壊的な迫力に「これが音楽だというのなら、私にはもう音楽と
いうものは解らん」
と叫んだと伝えられる。現行版の第1楽章は多少形が変えられて
いるが、
これもまた、激烈に怒号する曲想と重々しい葬送行進曲とが交錯する、物凄い
音楽である。
第2楽章
一転して緩やかな、牧歌風の曲想となる――「死せる人の過去の日々、すべてが陽光
と幸福に満ちた日々の回想」
(マーラーの手紙)。彼はなお「第1楽章のあと、気分を
転換するために5分間程度の休みをおいた方がいい」
(同前)
と述べているが、
あまり
効果がないので、今日ではこれに従う指揮者はほとんどいない。
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非常に深いため、総称して
「角笛交響曲」
と呼ばれることがある。
立ち会っていたマーラーは、
「蘇らん、
まこと汝は蘇らん」
と少年合唱が歌うクロプシュ
しょうか
名曲コンサート
マーラー:交響曲
楽器編成
ソプラノ独唱、
メゾ・ソプラノ独唱、合唱、
フルート4
(ピッコロ持ち替え4)、
オーボエ4
(イングリッシュ・ホルン
持ち替え2)、クラリネット4(E♭クラリネット持ち替え、バス・クラリネット持ち替え)、E♭クラリネット、
バスーン4
(コントラ・ファゴット持ち替え2)、ホルン6、
トランペット6、
トロンボーン3、バス・トロンボーン、
テューバ、
ティンパニ2、
大太鼓、
シンバル、
トライアングル、
小太鼓、
グロッケン、
タムタム2、
鐘3、
むち、
ハープ2、
オルガン、弦楽5部 ※バンダ:ホルン4、
トランペット4、
ティンパニ、大太鼓、
シンバル、
トライアングル
Prof ile
Gustav
Mahler
グスタフ・マーラー (1860∼1911)
ボヘミア(現チェコ)のカリシュト生まれ。
「 大地の歌」
を含む
11の大規模な交響曲(最後の1曲は未完)や多くの歌曲などを
残した大作曲家。生前は必ずしもその音楽が理解されず、
「い
つか私の時代が来るだろう」
という名セリフを残して未来に希
望を託した。ハンガリー歌劇場監督、ハンブルク市立歌劇場指
揮者、
ウィーン宮廷(現・国立)歌劇場総監督、
メトロポリタン歌
劇場指揮者などを歴任した、史上屈指の大指揮者でもある。
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マーラー
交響曲 第2番
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14.12.09
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第75回定期演奏会 交響曲 第2番 歌詞対訳
「復活」 Symphony No. 2 in C minor, "Auferstehung"
ハ短調 O glaube, mein Herz o glaube:
4.Satz:“Urlicht”
第4楽章「原光」
Es geht dir nichts verloren!
お前は何も失わない!
お前のものはお前のもの そうお前のものだ
(aus “Des Knaben Wunderhorn”)
『少年の魔法の角笛』
(
より)
Dein ist Dein ja Dein,
O Röschen rot!
小さな赤いバラよ !
Dein, was du geliebt, was du gestritten!
お前のものだ お前が愛しみお前が奪い取ったものは!
Der Mensch liegt in größer Not!
人は困窮の中にいる !
O glaube: Du wardst nicht umsonst geboren!
ああ 信じるのだ お前が生まれたことには意味がある!
人は苦悩の中にいる!
Hast nicht umsonst gelebt, gelitten!
Je lieber möcht’ ich im Himmel sein,
je lieber möcht’ ich im Himmel sein!
Da kam ich auf einen breiten Weg.
Da kam ein Engelein und wollt’ mich abweisen.
Auch Nein! Ich ließ mich nicht abweisen!
Auch Nein! Ich ließ mich nicht abweisen:
Ich bin von Gott und will wieder zu Gott!
Der liebe Gott, der liebe Gott
wird mir ein Lichtchen geben,
wird leuchten mir bis in das ewig selig Leben!
was du gesehnt!
Was entstanden ist, das muß vergehen!
生まれ出づるものは 消え去らねばならぬ
Was vergangen, auferstehen!
消え去ったものは よみがえる!
そこへ天使が現れ 私を退けようとした
Hör’ auf zu beben!
恐れることはない!
いいえ ! そうはさせなかった !
Hör’ auf zu beben!
恐れることはない!
いいえ!そうはさせなかった !
Bereite dich!
備えよ!
私は神のもとから来た者、再び神のもとへ戻りたい !
Bereite dich zu leben!
生きるために備えるのだ!
私に 小さな光を与えるだろう
O Schmerz! Du Alldurchdringer!
ああ 痛みよ!すべてを貫く痛み!
永遠の幸福な命にいたるまで私を照らしてくれるだろう !
Dir bin ich entrungen!
ますます 私は天にいたい !
すると私は一本の広い道に立っていた。
愛する神は 愛する神は
Nun bist du bezwungen!
Mit Flügeln, die ich mir errungen,
Aufersteh’n, ja aufersteh’n
wirst du, mein Staub, nach kurzer Ruh’!
無駄に生き 無駄にもがいたのではない!
ますます 私は天にいたい
O Tod! Du Allbezwinger!
5.Satz: “Auferstehung”
お前が憧れたものは!
名曲コンサート
Der Mensch liegt in größer Pein!
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ああ 信じるのだ 我が心よ 信じるのだ
定期演奏会
※合唱パート(太字)と独唱パート(細字)を分けています ( 翻訳:大津 亜矢子 )
第5楽章「復活」
In heißem Liebesstreben werd’ich entschweben
zum Licht, zu dem kein Aug’ gedrungen!
私はお前をふりほどいた!
ああ 死よ!すべてを制圧する死よ!
今やお前は制圧された!
私が獲得した翼で
熱い愛のひたむきさを胸に 私は浮かび上がるだろう
誰の眼も届かぬ光のもとへ
よみがえる そう よみがえる
Mit flügeln, die ich mir
私が獲得した翼で お前はよみがえる 私の塵よ 短い静寂のあとに
errungen werde ich entschweben
私は浮かびあがるだろう
Unsterblich Leben! Unsterblich Leben
永遠の命!永遠の命を
wird der dich rief, dich rief dir geben!
お前を お前を呼ぶ者が お前に与えるだろう!
Sterben werd’ich, um zu leben!
私は死に行く 生きるために!
Sterben werd’ich, um zu leben!
私は死に行く 生きるために!
Wieder aufzublüh’n, wirst du gesä’t!
再び花開くために お前は蒔かれた
Aufersteh’n, ja aufersteh’n wirst du,
よみがえる そうお前はよみがえるだろう
Wieder aufzublüh’n, wirst du gesä’t!
再び花開くために お前は蒔かれた
mein Herz, in einem Nu!
私の心よ たちまちにしてお前は!
Der Herr der Ernte
収穫の神は
Was du geschlagen,
お前が打ち勝ったものが
der Herr der Ernte geht
収穫の神は行き
Was du geschlagen,
お前が打ち勝ったものが
und sammelt Garben uns ein,
そして私たちわら束を集める
die starben!
死んだ私たちわら束を!
zu Gott, zu Gott, zu Gott es dich tragen!
神へ 神へ 神へとお前を導くのだ!
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