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聖学院学術情報発信システム : SERVE
Title Author(s) Citation URL 大学教育・学生支援推進事業大学教育推進プログラム【テーマA】事業結 果報告書 聖学院大学人文学部欧米文化学科 平成 21 年度~平成 23 年度, 2015.3 http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/detail.php?item_i d=5206 Rights 聖学院学術情報発信システム : SERVE SEigakuin Repository and academic archiVE 聖学院大学 人文学部欧米文化学科 大学教育・学生支援推進事業 大学教育推進プログラム【テーマA】 事業結果報告書 取組名称:生きるための人文学に向けた学びの基礎力 取組期間:平成21年度∼平成23年度(3年間) 【取組の概要】 本取組は、初年次教育において、 「読む力」 「考える力」 「調べる力」 「書く力」という学生の4つ の学びの基礎力育成を目指す。その育成に際しては、少人数のゼミ形式のもと、オリジナルテキス トを用いたゼミ・個別指導・課題添削が中心となり、また e-ポートフォリオを導入し、学生の学習 状況の把握につとめる。そうした指導を総合的に運営するためのターミナルとして、専門職員の常 駐するリーディングラボを設置し、学生の指導をサポートする。 【取組の実施状況】 1. 取組の実施体制 本取組は、3学部6学科(2012 年3月末日 時点)からなる本大学のうち、欧米文化学科単 独での取組である。その実施体制は当初、右図 のような体制を予定していた。開始後、22 年 1月、取組主体を明確にするため、欧米文化学 科内に「GP 推進室」が設けられ、取組責任者 が欧米文化学科長から GP 推進室長(欧米文化 学科専任教員が兼任)へ変更になった。これは、 取組を迅速に進めるうえで有効な改善であっ た。そうした変更はあったが、概ね当初の計画 通りの体制で事業を運営できた。22 年1月以 降、学内に部屋を1室設け、リーディングラボ (兼 GP 推進室)を設置し、そこに専従職員 を各年度3名配置、取組の総合拠点とした。 2. 取組の実施内容 ①基礎ゼミテキストおよび e-ポートフォリオの作成 本取組では、初年次∼2 年次前半の 3 学期において、 「基礎ゼミ」を必修科目として設置し、学ぶ 力の基礎を身につけることを目指す。学生の全体的な学力低下の背景にあるのは「読む力」の低下 である。そのため、文章や統計・画像資料を正しく批判的に読解する能力の育成を重視し、そこか 1/9 ら段階的に、考える力、課題を発見し調べる力、書く力を育成する。 ⇒1 年必修科目「基礎ゼミ A・B」 、2 年必修科目「欧米文化入門」を新設し、抜本的なカリキュラ ム改革をした。 基礎ゼミ運営のため、それに見合うテキストが必要である。学科教員によってオリジナルテキス トを作成し、全学生に配布する。また、基礎力の育成のためには、学んだ記録を学生自身が残し、 自己点検するポートフォリオが有効である。教員が学生の課題達成度を確認・評価し、学生が自分 の成長を確認して新しい課題を発見できる e-ポートフォリオシステムを開発する。 ®基礎ゼミ用テキストとして、欧米文化学科の教員達によるオリジナルの教科書である『「はじ める」教科書 初年次のための欧米文化の学び方』を刊行した(22 年 3 月。全 128 頁) 。内容 は、読む力・考える力・書く力・調べる力を基礎ゼミで育成できるよう構成されている。2年 次科目にも対応するため、新たな章を追加した改訂版を刊行した(23 年 3 月) 。 基礎ゼミは、A を春学期、B を秋学期に開講し、各5名の教員がクラスを担当した。欧米文化学 科1年生のうち、日本人学生をレベル別に5クラスに分け(アドヴァイザー・グループとは無関係 にクラス分け) 、科目を運営し、留学生は別クラスにした。 従来、欧米文化学科では、欧米文化入門におけるリレー講義以外、専任教員担当の1年生必修科目 が選択必修であるため、1年生の学生把握が不十分であったが、基礎ゼミの導入によって、「アド ヴァイザー・グループによる学生把握」と「基礎ゼミによる学生把握」という二面からの学生把握 が可能となった。 【基礎ゼミ A】 : 「読む力」と「考える力」のトレーニング 本科目は、大学での学びに必要な基礎力を身につけ、2年生以降の専門科目や演習科目に備える ための演習科目である。特に、読む力と考える力の習得のためテキストの読解方法や、読解に必要 な予備知識の習得、批判的な思考の方法などを学ぶ。本科目をとおして、学びに必要な読解力と思 考力と同時に、日常的に文章を読む習慣そのものが身につくことをめざし、以下の講義計画とした。 1. ガイダンス 2. 文章に読んだ足跡をつける 3. 小テスト1(論説文基礎概念)/文章を段落ごとに要約する(1) 4. 文章を段落ごとに要約する(2) 5. 小テスト2(論説文基礎概念)/文章全体の要旨を作成する(1) 6. 文章全体の要旨を作成する(2) 7. 小テスト3(論説文基礎概念)/難しい文章を平易に翻訳する 8. 論理の基礎を学ぶ 9. 小テスト4(論説文基礎概念)/論理のチェックをする 10. 新聞の読み比べ 11. 小テスト5(論理トレーニング)/グラフ・画像を読む (1) 12. グラフ・画像を読む (2) 13. 小テスト6(論理トレーニング) 14. 総合演習 15. 期末テスト 2/9 本学科に入学する学生には、学士力習得に先立ち、その基礎となる力を習得させる必要がある。 それは、 「読む力」 「読み取る力」 広い意味でのリテラシー である。それは本来であれば、中 等教育にて習得が終えられているであろう力であるが、現在、それが身についていない状態で大学 に入学する学生が多数見られる。 中でも、物語を読む力はまだしも、評論・論説を「理解して読む」力、およびより高度に「批判 的に読む力」の凋落は著しい。何より、そうした力が不足しているため、大学における専門講義を 十分理解することができていないことも、本学のさまざまな調査から浮かびあがっている。また、 その力の欠如が、学生の教育時間の減少に結びついていると考えられる。つまり、学生に「学ぶ力」 そのものが欠如しているのである。そのため、入学後の学生に教育すべきは、学ぶ力それ自体の基 礎であろう。 また、近年の学生(特に人文学を学ぶ学生)は統計資料を読む力が低いのも特徴である。加えて、 インターネットリテラシーや、ヴィジュアルリテラシーなど、現代社会に特有の、新たに要請され るリテラシー能力も多く存在する。 そこで基礎ゼミは、初年次教育「能力型教養」の基礎の育成を重視し、とりわけ、 (専門教育に 不可欠の) 「読む力」 、およびそれが土台となって可能になる「考える力」 「調べる力」 「書く力」を 育成し、体系的な教育課程を構築することを目的として実施した。 【基礎ゼミ B】 : 「調べる力」と「書く力」のトレーニング 基礎ゼミ B は、調べる力と書く力を習得させることを目指し、2000 字程度のレポートの提出を 最終目標とした。題材選びの段階から個別に面談指導を繰り返し、資料収集についてのアドバイス、 論理的な思考の訓練、レポートの構成についてのアドバイスなどを行った。早い段階でテーマを決 めることができて順調に準備できる学生と、方向性がなかなか定まらない学生の差を縮める手立て として、中間発表を課した。この中間発表は、人前で話をし、質疑応答を行う訓練の第一歩でもあ る。 2000 字のレポートというのは、大学生のレポートとしては短いようであるが、レポートとして の形式(論理構成、文体、注や参考文献の記載方法)を整えること、引用等のルールを習得するこ とに学生の注意を集中させるために、内容を充実させることについては期待値を低めに設定してい る。 学生たちが選んだテーマは、欧米文化学科の学びに関連するものから現代社会の諸問題に関する ものまで多岐にわたる(資料参照) 。履修中の他の科目で芽生えた問題関心をレポートのテーマに 選ぶ学生も多く、英語教員を目指す学生の多くが、教職関係の科目との連携で教育問題に取り組ん でいるのもそうした傾向の現れであるように思われる。学生が同時期にどのような科目を履修し、 どのような問題に目を向けているかをさらに汲み取って指導につなげることができれば、学びを有 機的に結合させることが可能となり、学習効果が上がるのではないかと思われる。 また、基礎ゼミ B では、学外から講演者を招いて視野を広げたり、キャリアや人生の組み立て方 を考えるための講座も用意している。さらに、ハロウィーンのイベントを開催して、異文化体験を しながら、グループワークを通してコミュケーション力を高める試みも行なった。 3/9 資料 基礎ゼミレポート タイトル一覧(抜粋) 欧米の歴史に関するもの コルドバの文化と歴史 英雄ネルソン提督 ドイツ騎士団はなぜ国家となりえたのか? ヴェルサイユの王妃 ユダヤ人迫害について カタルーニャの歴史的なアイデンティティ 百年戦争の英雄 南部連合の誕生と崩壊 公民権法成立を機に黒人差別はどうなったか イギリスの重商主義におけるアメリカ植民地の影響 南北戦争以前とその後の住人たちの生活について キング牧師とマルコムX マヤ文明と人類滅亡説について 国際社会・比較文化に関するもの パレスチナ問題におけるイギリスとアメリカ 現代社会において、なぜ豊かな国と貧しい国が生まれるのか? 世界の貧困 児童労働について 世界恐慌が世界に与えた影響 企業が日本の大学生に求めるコミュニケーション能力 -アメリカとの比較− 韓国と日本の文化の差 欧米人のしぐさについて なぜ日本人は礼儀正しく勤勉、そして排他的な国民と言われるのか 『菊と刀』を中心に 思想・宗教・神話に関するもの 世界における葬式文化 カトリック、とプロテスタント 無意識について 北欧神話の現在のあり方 他神話との比較から見るクツゥルー神話 ギリシャ神話で最も偉大な英雄は誰か イマヌエル・カントの哲学の思想とは 人生の上手な生き方 4/9 文学・芸術に関するレポート 笛吹男と黒死病 妖精について グリム童話とディズニー映画の白雪姫の違い 日本のアニメとマンガと海外 イギリス映画に見られる階級社会 ワーキングクラスを中心に 映画『魔法にかけられて』の読み取り 日本と欧米の特撮文化の違い ジャズ音楽とその歴史的背景 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の歴史 アール・デコ建築 その背景と文化形成 西洋美術 −バロックとロココについて− イタリア ルネサンスにおける自然の創造活動 ルーヴル美術館の魅力 差別から生まれた芸術 ウォルト・ディズニーが作り上げた完璧な遊園地 生活文化に関するもの エリザベートと摂食障害 料理の TPO と現代の食生活 お酒の習慣について 欧米のお菓子が日本に与えた影響 -ショートケーキを中心に ファーストフード 美食の国フランスについて チョコレートの歴史 紅茶と文化 ベースボールを通してみるアメリカの歴史 プロサッカーチームを率いる監督 −モウリーミョ 勝利をもたらす秘訣とは?− 映画が影響を与えるアメリカのファッション ベトナムのアオザイと日本の着物の違い 日本のファッション 50 年 化粧 デニムの歴史 色彩からみた欧米の祭 −フランス五月祭− 5/9 教育 森の幼稚園にみる豊かさ 小学校英語教育必修化について 早期英語教育導入について 多言語習得について いじめ問題 高校教育問題 体罰 現代社会 現代日本とネット用語 日本の情報社会が生んだ問題(デジタルデバイド) 増え続ける防犯カメラの行方 どうして人は犯罪を犯すのか 朝霞市公務員宿舎問題について 人々は仮想通貨の何に期待を抱くのか? 生命売買の実態 高齢者医療・介護の抱える問題 「許食」と「禁食」 現代人のストレスについて 【取組の成果】 本取組の計画時における目標は、a.「専門教育を受けることができる学びの基礎力を全学生が身 につけること」であった。また、その目標を可視化するため、b.「全学生が日本語文章能力検定を 受検し、70%以上の学生が準 2 級以上に合格する」 、c.「多様な文章について課題を指定し、教室外 での文章読解時間を一日 1 時間増やす」 、という目標を掲げていた。c については、具体的な検証方 法がなく、ポートフォリオに学生が読書記録を継続的に書き込んだかによって確認した。 a が達成できたかどうかを確認するため、以下のクロスチェックを行なった。 a-1. 学内の点検評価委員会による授業アンケートの実施 a-2. リーディングラボによる独自の授業アンケートの実施 a-3. 基礎ゼミ対象学年の GPA(成績評価)からの、学生の学力の把握 また、1∼3 で得られたデータを以下の手順で公開し、教育へフィードバックさせた。 a-4. 欧米文化学科会での情報公開(各学期ごと) 、それに基づく教職員研修の実施 a-5. 大学教授会での成果報告および評価審議(年1回) 6/9 【検証結果1:a-2 から見る初年次教育の有用度】 (5=有用度高い. すべて%) 基礎ゼミの有用度 大学全授業の有用度 年度 22(n=82) 23(n=79) 22 年度 23 年度 5 51.2 50.0 29.6 28.6 4 32.9 28.6 35.8 22.9 3 13.4 14.3 27.2 35.7 2∼1 2.4 7.2 7.4 11.4 22 春学期 23 春学期 延べ来訪者 日平均 22 春 1154 人 24.6 人 1年 390 人 61.7% 308 46.5% 22 秋 1530 27.8 2年 86 13.6% 265 40.0% 23 春 1143 23.8 3 年以上 156 24.7% 83 13.6% 基礎ゼミの有用度に関し、大学全授業のそれとの比較を、2 年間調査。その結果、基礎ゼミの有用 度の高さが現れた。また、難易度などについても、ほぼ同様の傾向を示した。 【検証結果2:a-3 から見る取組対象学年と対象外学年の GPA の比較】 21 年度 1 年(取組以前) 22 年度 1 年(取組以後) 春(n=138) 秋(n=155) 春(n=137) 秋(n=151) 2.27 2.14 2.07 1.99 D 7.25% 7.10% 5.84% 3.97% X 4.35% 10.32% 7.30% 6.62% GPA Av. 基礎ゼミが実際にもたらした学力を確認するため、基礎ゼミ実施前の学年と、実施後の学年の、 1年生時点での全学生の全講義科目成績の平均を比較した。その結果、必ずしも GPA の向上には つながっていなかったが、成績不良(D=学力不足、X=出席不足)の割合(特に D 評価)が減少し ていることが分かった。特に、基礎ゼミを 2 学期受講し終える秋学期の成績においてそれが顕著に 現れ、 「脱落層」を減少させる底上げ効果が出たといえる。秋学期の成績において、その傾向が顕 著に現れた。ここから、 「脱落層」を減少させる「安心教育」としての効果が出たことが分かった。 【検証結果3:リーディングラボの利用状況】 リーディングラボは、初年次教育の学科内ターミナルとして設置し、専門教職員を常駐させ、学 生の読み方の個別指導・添削をするとともに、取組に関わる情報全体の集約管理・点検をおこなう。 また、学ぶ力習得に特化した閲覧資料などを設置することで、学生にとっての第二の図書館ないし 自習室としても位置づけ、学生の教室外での自立学習の支援を目指す。®21 年度に備品類を準備し 計画通り、22∼23 年度にかけて学生が平日利用できる拠点とした。リーディングラボの利用者数 は、小規模な本学において高い定着度を示した。また、22 年・23 度に基礎ゼミを受講した 1 年生 が、23 年度に 2 年生でも利用していることから、継続的な定着度を示している。以上がその利用 状況である。 7/9 【検証結果 4】文章能力検定に相当する国語能力の定着度 当初予定していた文章能力検定による国語能力の定着度の確認は、同検定が 21 年に休止なった ことで、実施できなくなった。そのため、日本語検定 4 級(大学生相当)を元に作成した検定模擬問 題(60%で合格ライン)を 23 年度の 2 年生(n=74)に解かせ、定着度を確認した。その結果は、 52 名(全体の 70.1%)が合格ラインに達した。 【検証結果 5】学内外での波及効果・外部からの評価 テキストの活用を中心に、他学科の初年次教育でも、本取組の内容が一部導入された。また、本 取組がきっかけとなり、23 年度、学内に e-ポートフォリオの全学的導入を検討する教育 ICT 委員 会が発足し、本取組の成果等が活用されている。また、本取組に関心をもった代々木ゼミナール教 育総合研究所から、本取組についてリメティアル教育として優れているとの高い評価を得た 【評価及び改善・充実への取組】 申請時、以下のように評価・改善体制を目指した。 a. GPA 制度による定量的評価 b.数回のマーク式小テストの統計調査 c. 日本語文章能力検定の結果によるフィードバック d. ポートフォリオの成長評価による自己点検 e. 学内の点検評価委員会による初年次教育授業の適正度の点検 f. 問題改善のため学科教員 FD 研修の実施 以上の評価・点検および改善のサイクルは、前項目の【検証結果】で述べたように展開された。 e-ポートフォリオは、Net Commons をベースに構築、活用した。ただ、学生の添削課題の蓄 積、および読書履歴の記録に留まり、学生による達成度評価にまでは十分活用できなかった。 また、それ以外に、以下のような外部評価を受けた。 g. 代々木ゼミナール教育総合研究所によるテキストの評価(21 年度) h. 他大学の初年次教育担当者による外部評価(22 年度、23 年度) g について、テキストの内容を精査していただき、 「基礎力を支える用語的・語彙的知識の教育の 欠如」が指摘された。そのため、同研究所と共同で、テキストの副教材として『授業で出会う・社 会で出会う重要用語集』を作成し、基礎ゼミに活用することができた。これにより、学生の語彙力 の向上があったことは確実である。 (上記項目 c による点検結果が表れている) 8/9 【まとめ】 本取組は、全体的にいえば、初年次教育の充実という点において、概ね成果を挙げることができ たが、それに比して、本取組の内容・成果を外部へと公開するという点で、計画通りの事業を展開 できず、大きな問題点があったといえるだろう。これについては、学内財政の許す範囲内で、今後 の課題としなければならない。 また、本取組は、その財政支援のおかげでテキストの刊行・改訂や、補佐員の雇用が可能になっ ていた。特に、財政支援終了に伴い、補佐員の雇用が(一部を除き)終了になったことで、取組を そのままのかたちで継続することができないため、より一層の合理化ならびに省力化が必要である。 現時点では、a・b は、予定通りの事業継続を行なっている。a「リーディングラボ」については、 欧米文化学科単独の施設から、大学全体の施設へと所属を移管し、人員雇用も支援財政による拠出 から大学財政による拠出へと変更し、業務を一部変更しながら、学生の第二図書館としての役割を 継続させている。b「初年次教育カリキュラムの継続」については、財政支援終了に伴い e-ポート フォリオは活用しなくなったが、それ以外は、省力化しながら事業を継続させている。 c は、24 年度内に学科専門カリキュラムを大幅に改定する予定である。特に、学びの基礎力を土 台とした社会人基礎力の育成が、その改定の大きな目標である。 また、本取組で培われた e-ポートフォリオの利用経験は、学内において、全学的なポートフォリ オ導入の機運を生み出している。本取組責任者をはじめ、欧米文化学科教員の多くも、その導入を 検討する教育 ICT 委員会のメンバーとなっている。本取組のポートフォリオが十全に機能しなかっ た一因として、ポートフォリオがカバーする範囲が限定的であった(基礎ゼミ以外の科目の記録を、 ほとんど蓄積していない)ことが挙げられる。そのため、「一科目限定のためのポートフォリオ」 ではない、学生の教育全科目、さらには学生生活全体をカバーするポートフォリオの構築が、現在 議論されている。 9/9