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ダンスの授業における“「問い」を発する子ども”の育成を目指した指導
湯沢市立湯沢北中学校 ダンスの授業における“「問い」を発する子ども”の育成を目指した指導 1.研究主題と設定の理由 本校の研究主題は「『考える力』を育てる指導の在り方~『比べる・つなげる・書く』をキー ワードとした授業改善~」である。本校における「考える力」を「広い視点から,自分自身に質 問を繰り返すことで,よりよい答えを追究することのできる力」と定義し,その具体的な方法(ス キル)として, 「比べる・つなげる・書く」をキーワードとした授業改善に取り組んでいる。 2.保健体育科の研究主題と設定理由 「かかわりを大切にしながら,主体的に課題解決に取り組む生徒の育成」 【設定の理由】 明るく豊かで活力ある生活を営む態度の育成や生涯にわたって豊かなスポーツライフを送るた めには,運動の特性に触れ,楽しさを味わうことが重要であり,技能,態度,知識・思考判断の3 つの指導内容をバランスよく高めていくことが大切である。学習の過程において,運動の特性,仲 間,資料,教師など様々なものとの関わりを深める中で,課題を見付けたり,解決したりすること で主体的な学びにつながると考える。一人一人が自己の目標を明確にもち,その達成に向けて主体 的な学び合いができる生徒の育成を目指して本主題を設定した。 3.実際の授業の様子 (1)生徒について(1年生女子28名) 本校の1年生の保健体育の授業は2C2Tで行い,武道とダンスを男女に分けて指導している。 生徒は授業に意欲的であり,1学期の体つくり運動の体力を高める運動ではエアロビクスに挑 戦し,全身を使って大きな動きでのびのび踊ることができた。仲間と協力して学習を進めていこ うとする態度が身に付いてきており,学習に必要な用具の準備や片付けなど分担した役割を果た すことができる。学習カードには,課題の解決状況や課題解決のための活動について,イラスト を使って具体的に書き込むことができるようになってきている。しかし,生徒は決められた学習 内容にはしっかり取り組めるが,自分で動きのポイントを発見したり,課題の解決に向けて工夫 したりすることにやや消極的な面がある。そこで,2学期最初のダンスの授業を通して,自分の 動きと他者の動きを比較し,自分自身と対話しながら課題解決していく力を身に付けさせたいと 考えた。 (2)指導観 ○技能 ・リズムの特徴を捉えやすくするために,手拍子をしたり声を出したりしながらリズム感覚を 身に付けるアップダンスを毎時間のはじめに行う。 ・テーマに合ったイメージを即興的に表現できるように,導入時に「氷の彫刻」や「走る-止ま る」という活動で,動きのレパートリーを増やす。 ・自然に体を動かしたくなったり,テーマに合った動きをイメージしやすくなったりできるよ う,様々なジャンルのBGMを準備する。 ・生徒がイメージどおりに体を動かすことができるよう,教師がダイナミックな動きを示範し たり,動きの参考になるビデオを準備したりする。 ○態度 ・表現に自信をもって積極的に取り組めるように,生徒のよい動きや意見を全体で取り上げる などして互いの個性や表現を認め合う雰囲気を作っていく。 ・仲間の学習を援助し,課題解決に向けて互いに協力して取り組めるよう,ペアやグループで -1- の活動の場を設定する。 ○知識,思考・判断 ・オリエンテーションでダンスの特性や歴史,学び方を確認できるようにする。 ・イメージに合った動きを工夫できるよう,表現の仕方についての情報を適切に提供していくよう にする。 ・ビデオ撮影をして自分たちの動きを確認することで,課題を見付けて次の練習へとつなげら れるようにする。 ・仲間のよい動きや表現などを指摘する活動を通して,自己の新たな課題を見付けたり,課題 解決に役立てたりできるようにする。 (3)成果 ①コミュニケーション能力を高める活動 ウォーミングアップのダンスでは,ダブルサークルの隊形で踊り,パートナーが次々と入れ替 わるようにしたことで,生徒は毎時間多くの仲間と交流することができた。また,創作ダンスで は,イメージに合った動きのアイデアをグループで出し合い,互いのよさを認め合いながら一つ の作品を作り上げることができた。生徒の学習カードには「あまり話したことのない友だちとも ダンスを通して交流することができてよかった。」「友だちに動きを見てもらい,アドバイスを もらって踊り方が分かってきた。」と感想を書いており,進んで仲間と関わり合うことが学習活 動にプラスの効果をもたらしていることが分かる。 ②課題解決能力を育む活動 表現力を向上させるため,グループ内での教え合いと試行錯誤の時間を十分に確保した。創作 ダンスでは,グループの一人が仲間の動きを見てアドバイスをしたり,撮影した映像を視聴した りして自分たちの新しい課題を見付け出すことができた。またリズムダンスでは,他者の動きを 見て自分と違う表現のよさに気付き,取り入れたい動きを選択することができるようになった。 生徒の学習カードには「ジャングル探検のダンスでは,まるで本当にライオンがいるように見え たグループがあって,表情をつけることも大切だと感じたので,次に生かしたい。」「ビデオで 見ると動きが小さいのが分かった。ダイナミックに動けるようにしたい。」という感想があり, 自ら課題を設定する姿勢や,自分の中にない新しいものを積極的に取り入れて,課題解決に生か そうとする姿勢が見られた。 崩れそうなガケ を歩く表現をす るには… 下をのぞき込んで歩くの はどう? 表情がいいなぁ。 真似してみたい! みんなで動きをそ ろえたいね! 私たちが工夫したこの動き を見てもらいたいな! -2-