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子育てって大変!?
4月29日O.:. テーマ「子育て」 子育てって大変!? スタジオ出演 ◆ 空門勇魚(そらかど・いさな)・・・NHK ディレクター 筋力がほとんどない 空門理紗(そらかど・りさ) ・・・脊髄(せきずい)損傷 ナレーション ◆ 神戸浩(かんべ・ひろし) ・・・俳優 はるな愛:は~い!バリアフリー・バラエティー「バリバラR」の時間で~す。 パーソナリティのはるな愛でーす。よろしくピース。 毎週金曜日よる9時にEテレで放送しています障害者情報バラエティー「バリバラ」の ラジオバージョンということで、テレビでは紹介できなかった裏話、そしてお得な情報をプラス してお伝えしていきたいと思います。 今週のテーマは、障害者の方の「子育て」。先週は「出産」だったんですけれども、引き続き、 番組ディレクターの空門勇魚(そらかど・いさな)さん、そしてなんと今日は、 奥さまの理紗(りさ)さんに来ていただきました~。よろしくお願いしま~す。 空門理紗:よろしくおねがいします~。 はるな愛:かわいい~奥様! ね、いい奥さん、見つけたよね。 空門 D :ほんとにもったいない話で・・・。 はるな愛:お二人はご夫婦そろって車いすということですけれども、改めて、どういう障害なのか、 説明お願いします。 空門 D :はい、僕の方は全身の筋力がほとんどなくて、手や足がほとんど動かない状態です。 空門理紗:私の方は、生まれつき心臓病で、1 歳半の時にその心臓病の手術をしまして、その手術がきっかけで 脊髄(せきずい)損傷になりました。なので、胸から下がうまく力が入らなかったりとか、 動かなかったりで、勇魚さんと同じように簡易電動車いすにのって生活しています。 はるな愛:しかもお二人にはお子さんがいるということで。かわいい・・・ 先ほどね、外でお会いしたんですけども、女の子で・・・ 空門理紗:はい。今、10 か月です。 はるな愛:お名前は? 空門理紗:娘は「ましろ」といいます。 はるな愛:ましろちゃん・・・これ、どういう意味でつけたの? 空門 D :真っ白の「ましろ」なんですけれども。純白な感じでね・・・心がきれいな子に育ってほしいな、と はるな愛:あら~。もうね、黒目が大きくてね、色も真っ白で。かわいい。心配じゃない?これから・・・ 1 空門 D :そうですね、早くも心配してますね・・ はるな愛:早すぎるけどね、まだ10か月やから(笑)。 ま、でも、おふたり、ぶっちゃけ子育てのこと、いろいろ聞きたいし、 知りたいっていう人もいっぱい聞いているので、いろいろと教えて下さい。 空門理紗:はい。 はるな愛:どうですか?子育て。 空門理紗:けっこう思ったより大変ですね。ここまで大変だと思っていなかったので・・・ はるな愛:あ、そう。やっぱり、でも一応、出産とか妊娠するときは、いろいろ自分でも考えたでしょ? 自分のおかれている現状と、照らし合わせて。車いすだし、子ども産んだらどうかな、って ひととおりちゃんと考えて出産されたと思うんですけど・・・ 空門理紗:そうなんですけど、想像以上に・・はい。 はるな愛:具体的にどういうのが大変でした? 空門 D :ほんとにいろんな場面で大変だなって感じるんですけど、たとえばオムツを交換するということ ひとつとっても、すごい大変なんですよ。その様子を撮ってきたので。 ナレーションは俳優の神戸浩(かんべ・ひろし)さんです。 <空門家の子育て ~オムツ編~ > 空門理紗:あ、ウンチしてる・・・ 空門 D :ウンチしてる・・・ ナレ) ウンチに敏感に反応する理紗さん。すぐにオムツを替えようとするが、そう簡単におとなしくして くれない。夫も、次こそ役に立とうと、バタバタするましろちゃんを押さえにかかるが… 空門理紗:また寝返るから・・・ 空門 D :ましろさん、ちょっとおウンチを替えさせてください。 ナレ) またも、力及ばず。そして… 空門理紗:気を引いてて・・・ましろちゃんの。 ナレ) おもちゃであやす係を命じられた。 結局、理紗さんが、15分かけておむつを交換した。 はるな愛:ちょっと・・・ (笑)空門くん! 一生懸命ね、奥さんがオムツ替えてる時に、あやしてただけ? 空門 D :ええ、僕は必死にあやしてました(笑) はるな愛:そしてオムツ替えるだけで15分!・・・すっごい大変じゃないですか? 空門理紗:そうなんです。やっぱりどんどん、どんどん動くようになってくるので。0歳なんですけど、もう すでに私より力が強くって、なかなか押さえるのも大変なんです。すぐに振りほどかれてしまって。 で、あの時、2 回ぐらい連続でウンチして、また休む間もなくまた交換して・・・っていう感じで。 そういう感じで体力がもたないんですよね。 2 はるな愛:そっか・・・元気いいし。なかなかバタバタして替えにくいという。 ちょっと・・・ (空門くん、 )手伝うところはなかったの? 空門 D :そうですね。手伝う気はあったんですけれどね。力及ばずという・・・はい、すみません。 はるな愛:いやいや。でも、ヘルパーさんとかには来てもらえないんですか、そういう時には。 空門 D :うちに来てもらっているんですけれども、2 人あわせて 1 日およそ 12 時間。1 日 24 時間ですから そのうち半分なので、要するに残りの半分は、自分たちだけで子育てしないといけないというのが 現状なんですね。やっぱりね、なかなかオムツ 1 個替えるのもあんな感じだったので、二人だけで 子育てっていうのはしんどい、ということで、今は妻の実家の方にお世話になっているというような 状況ですね。 はるな愛:ちなみにヘルパーさんに来てもらっている時は、逆にゆっくりする時間なんですか?お二人にとって。 子育てはまかせて。どうなんですかね? 空門理紗:うーん・・・やっぱり、自分たちだけだと十分にやってあげられないことが多いので、お願いするこ ともあるんですけど、やっぱり任せきりじゃなくて、自分も一緒に見ていないといけないので、 やっぱり、なかなか気が休まる時がないですね。 はるな愛:なるほどね。自分たちでも子育てに参加したい、っていう気持ちも、もちろんあるでしょうしね。 ミルクあげたりとか。 空門理紗:そうなんですよ。 空門 D :その、ミルクひとつ作るにしても、 「ミルク作って下さい、お願いします」ではすまなくって。 ミルクってあげる温度ってあるじゃないですか。 はるな愛:人肌っていいますよね 空門 D :なかなかその人肌っていうのがヘルパーさんに伝わらなくて、何回も作り直しをしていただくとか。 はるな愛:ちなみにヘルパーさんはおいくつぐらいの方が来るの?毎回決まっているんですか? 空門 D :いや、6、7人の人がローテーションを組んで来るので、若い方だと20代、上の方だと50代と か。 はるな愛:じゃあ子育て知らない人も来たりするんだ・・・ 空門理紗:そうですね、独身の方とか。 はるな愛:子育て知っている人やったら、ちょっと助かるところもありますよね。 空門理紗:そうなんですよ。だから今までは、私、こんなに重度な障害なんですけど、学校とか仕事とかでも、 みなさんと同じように、働いて、残業もして、受験勉強して、受験して、みたいな、普通に生活して いたんですけれども、やっぱり子供を持って初めて意識させられましたね、「あ、自分が障害者なん だな」っていうのが。 空門 D :今回ですね、僕たち夫婦以外にも、子育てしていらっしゃる方たちにアンケートをとりましたので、 子育ての悩みを紹介したいと思います。 3 埼玉県「ふぅママ」さん 脳性まひ 立って抱っこすることができないので、移動が大変です。子どもが「寝返り」や、 「ずりばい」が できるようになった今は、子供を引きずって動かすしかありません。また、ベビーカーはとても重く、 主人がいない平日は散歩にも連れて行けません。 はるな愛:あら~。ちょっと、理紗さん、どうですか? 空門理紗:うちも同じような感じなので、気持ち、わかりますね。 大阪市 川中昌世さん 両腕に障害のある方 子どもの世話がなかなかできなくて、泣かせてしまいます。オムツも手では替えられず、テープを 口でくわえて替えていました。初めて自分の動かない手がうらめしくて、情けなくて、泣きました。 子育ての大変さがわかってもらえず、ママ友がなかなかできません。 知らないおじさんには、 「子どもがかわいそう」とまで言われました。 はるな愛:街の雑踏にね、そういう声ね、普段聞こえないけども、沈んでいる時って聞こえてきたりするでしょ? 空門理紗:そうですね。またけっこう産後って、神経も敏感になっているので・・・。 はるな愛:一生懸命やっているのにね、周りにわかってもらえないっていうのも・・・。それで、やっぱり同じ 子育てしているママ友に入りたいけれども、なんか違うような、入ったらあかんかな、とかそういう 変な気遣いもあるんじゃないですか? 空門理紗:そうですね、やっぱり、いろいろ気を遣う部分はわかりますね。あとは、地域の子育て支援センター に行ったりしていますけど、結構、体力使っちゃうので、たまにしかまだ行けていないんですけど。 でも友達とまではいかなくても、行くだけで気分転換になるので。 神奈川県厚木市 矢部健三さん 全盲 見えないため、粉ミルクやお湯の量をはかるのが難しかったです。外遊びの時には、子どもが 1 人で どこかへ行ってしまい、居場所や何をしているかが、すぐにわからなくなってしまって困りました。 はるな愛:全盲の方はやっぱり、子どもがどこにいてるか見えないから、そういった意味では、心配ですね。 空門 D :健常のお父さんでも、ちょっと目を離したすきに子どもがわーっと走っていって、「車、危ない!」 みたいなの、あるじゃないですか。それが、見えへんかったり、体が動かなかったら、止めにいくこ とができないじゃないですか。そういうのを考えると、怖くて怖くて、なかなか2人で外に行くって いうのも難しいなあ、っていう気持ちになってしまいますね。 はるな愛:なるほどね。E テレの「バリバラ」では、そんな悩めるみなさんのヒントになるかもしれない、先輩 の子育ての様子を紹介しました。まずは、脳性まひの富田都子(とみた・くにこ)さんがどんな風に 子育てをしているのか、お聞き下さい。 4 <富田家の子育て> ナレ) 子供たちを追いかける車いすの都子さん。なぜか笑っている。 (走り出した娘をヘルパーが追いかける。つかまえると、今度はもう一人の娘が走り出す。 ) つかまえるのは、ヘルパーにおまかせ。これが「あるがまま、なすがまま」の子育てらしい。 家に戻って、ホットケーキ作り。子供たちに作り方を教えようと思っていたが・・・ 話すのに時間がかかる都子さん。子どもたちに、指示を出す前に、卵を勝手に割ってしまった。 娘 :きれいに割れた。 都子さん:わはははは ナレ) また、笑っている! その後も、ヘルパーと一緒になって、好き勝手に進めていく。 その結果… ヘルパー:ちょっとこれ危ないわ。 娘 ナレ) :わー! うわぁ、真っ黒。 (都子さんは)やっぱり笑っている。 それにしても、どうしてこんなにあっけらかんとしていられるの? 夫・譲治さん:本当に自由ですよね。制限してないですよね、なんか。あんまり縛りがないんかな、とか。 都子さん:しゃあないやん。できへんもんは、できへん。思い通りにいったらラッキーっていう。 はるな愛: 「しゃあない。できへんもんは、できへん」という富田さん。力強いですね。 空門 D :そうですね。ほんとにどっしり構えていらっしゃるという感じの方で。取材に行かせてもらったんで すけども、子どもが勝手に突っ走ろうが、失敗しようが、いつでもゲラゲラ笑ってて・・・。 なんて肝の据わってらっしゃる方だと・・おおらかでしたね。 はるな愛:肝っ玉母ちゃんですね。 空門 D :肝っ玉でしたね。 はるな愛:理紗さんはどうですか? 空門理紗:この奥様が、ここまでヘルパーさんとか旦那さんを信頼できているのがすごいですね。 空門 D :そのへん、なんかある種、割り切っていらっしゃるんですね。でけへんから、全部任せます、って。 はるな愛:ここからはお願いします、みたいな。 空門 D :ただ僕ら、まだ新米の立場ですけども、僕らからしてみたら、この割り切りというのが、なかなか できへんな、踏ん切りつかへんな、っていうところが正直な今の気持ちですね。 でね、富田さんも、全部が全部、ヘルパーさんとかお父さんとかに任せっぱなしというわけではなく て、今回取材している中でもあったんですけれども、スーパーに買い物に行ったときに、下の子が お菓子を会計する前に勝手に開けちゃったんですね。それはやっぱりいけないことじゃないですか。 そこはちゃんと家に帰ってから、 「なんであそこで開けちゃったの?」って聞いたり。 5 はるな愛:ちゃんと注意をして。 空門 D :そうですね。叱るべき所は叱っていくし、子どもと向き合うべき所は向き合っていくし。 そこがしっかりしていらっしゃるから、誰かに任せるっていうことができるんだろうなっていう、 そんな感じがしましたね。 <バリバナ> 障害者のあるある話、バリバナ。 「子どもに“障害”を教えるのは難しい」 視覚障害 F.Kさん 娘 「パパ、障害ってなぁに?」 父 「パパは目が見えないだろう? ほかには耳が聞こえない人や、手や足がない人もいる。 こういうのを障害って言うんだ。 」 娘 「へぇ、ないことを障害っていうんだね。ということは・・・ パパの髪がない頭も、障害なの?」 子どもに障害を教えるのは、難しい。 「取り消せない注文」 吃音(きつ音) ;.Gさん レストランに息子と行ったときのこと。オムライスと、お子様ランチを頼もうとしたが、 苦手な「お」の発音に詰まっているうちに・・・ 息子が、勝手に余分なものまで注文してしまい、慌てて訂正しようとしたが、 やはり、苦手な「お」でつまづくうちに・・・ つい、 「お願いします」と言ってしまった。 はるな愛:なるほど・・・そっか、 「お」という発音が難しい、と、ね。 空門 D : 「オムライス」と「お子様ランチ」 、二つ「お」がつきますからね。 はるな愛:ほんとに、色々ためになって・・・。知らないこと、 「はーっ」と思うんですけれども。 パパの「子どもに障害を教えるのは難しい」も。髪の毛・・・ね、もう、お父さん!(笑) ほんとに困った、固まったでしょうね。 「言うよねぇ~」って、そういう時は、言ってほしいですよね(笑)。 じゃあ、もう一つ「バリバナ」を紹介していきましょう。 6 <バリバナ> 「絵本の読み聞かせ」 視覚障害 R.Iさん 絵本が大好きな5歳の娘。読み聞かせは私でなく、おじいちゃんに任せていた。 私だって読み聞かせをしたい!と、点字の絵本があると知って、借りてきた。 でも、中途障害の私は、点字が読めない。 猛勉強をして、娘を喜ばせようとしていたら・・・ 先に娘の方が、文字を読めるようになった。 今では「ママ、絵本読んであげる」と、娘が私に読み聞かせをしてくれています。 はるな愛:へぇぇ・・・でもまた、娘がお母さんに読み聞かせするのも、またね、思い出に残っていいですよね。 空門理紗:お互いがすごいですよね。親も、年齢がいけばいくほど、新しい事を勉強しようとするのって、労力 がいるじゃないですか。それを子どものためだからやってあげようという親の気持ちと、 娘が・・・こう思ったかどうかわかんないですけど、お母さんのためにやってあげよう、と思う気持 ちと。両方の愛情が、なんか、すごい、ほほえましいですね。 はるな愛:以上、バリバナのコーナーでした。 はるな愛:空門さんは、富田さんのほかにも、子育ての先輩たちの工夫を取材してきたんですよね? 空門 D :そうです。まずはですね、視覚障害のある方で、大阪市にお住まいの金光弓子さん。 先ほど、見えない人ならではのお悩みを紹介しましたけれども、金光さんはこんな工夫をして いらっしゃいます。 大阪市 金光弓子さん 視覚障害 外遊びでは、居場所を把握できるように、一定の距離以上離れるとアラームが鳴る装置を子どもに つけています。ピーピーとやかましく鳴ることで、周りの大人も気にしてくれて、 「私、目が見えにくいんです」って名乗りやすくもなるもんです。 外遊びのポイントはやはり、周囲のママ友も巻き込んで、「手伝って」と具体的にお願いすることだ と思います。病院で出産する際、あえて大部屋にして、入院中からママ友を見つけていました。 はるな愛:あ、いい方法!ママ友を見つけるって、そこでね。 あの、やっぱり、目が見えないかどうか、普通にしていたらわからないから、周りの人はね。 だからそういった意味でもピーピーと鳴らして、会話のきっかけもできるし、 なんかこういういろんな便利な方法を教えてもらって、みなさん参考にしてもらいたいですね。 空門 D :もう一つ、 「こんな工夫をしています」という人がいらっしゃるので、紹介します。 7 大阪市 室井善次郎さん(ニックネーム) 精神障害 適度に手を抜くことが許せない私は、子育ても常に全力投球。娘を寝かしつけた後も、 「風邪を引いたらどうしよう」と気になって、おちおち眠ることができません。 寝ていないので、日中の子育てがおろそかになってしまうという悪循環。 そこで、思い切って、娘と寝る部屋を別々にしました。いたたまれない気持ちになる時もありますが、 娘が活動する時間に、全力で接することができるので、あえて別々に寝ています。 はるな愛:いいんじゃないですか、これ? 空門理紗:そうですね。メリハリがついていいと思います。一緒にいると、どうしても、 見ないようにしようって思っても、どうしてもやっぱり、気になっちゃうので。 はるな愛:お二人はちなみに? 空門 D :今うちは3人で寝てますね。 はるな愛:川の字になって? 空門 D :はい。この方のこういう工夫は非常に、なるほど、と思いますね。 はるな愛:いいですよね。ありがとうございます。 はるな愛:さて、ここで、アンケートの中でちょっと気になる声があったので、紹介したいと思います。 大阪市 ルキアさん 脳性まひ ヘルパーさんが仕事を終えて帰る時、息子が大泣きして後追いする日々が続きました。 私の方が大声で泣きたい気持ちでしたが、ヘルパーさんの前では出さないようにしていました。 はるな愛:せつない・・・ちょっとこれね・・・ 空門理紗:そうですね。やっぱり、こっちはどれだけ・・・たとえば、私だったら立って抱っこしてあげたいと 思ってもそれが叶わなくって。で、それができる実家の両親だったり、ヘルパーだったりが立って 抱っこしてうろうろできるので、それで子どもも喜んでなつくんですけど・・・そうですね。 空門 D :でもね、こういう時に、子どもがちょっとニコッとするんですよね。おじいちゃんとかおばあちゃん が抱っこしている時に。それを見ていると、ほんとに・・せつなくなってきますよね。 はるな愛:そっかぁ。今度は、そんな悩みを解決して、ヘルパーさんとの関係を改善した、という先輩をご紹介 していきたいと思います。脳性まひの疋田美和子(ひきだ・みわこ)さんです。 お悩みをどう解決したのか、お聞き下さい。 8 <疋田家の子育て> ナレ) 東京のマンションで暮らす疋田さん一家。7歳になる珠希(たまき)君と、3歳のまどかちゃん。 夫のいない日中は、ヘルパーの力を借りながら子育てをしている。 ママが上手にできない絵本の読み聞かせも、このとおり。 でも、これって、母親の立場からすると、複雑な気持ちかも。 美和子さん:まあ、しょうがないかなっていう気持ちが半分と、やっぱり母親なのになって気持ちはあります。 ナレ) 以前、子供がヘルパーにどんどん甘えるようになって、こんな出来事も起きた。 しつけのため、布団を敷くのは、子供の仕事と決まっていたが・・・ 「ヘルパーさん敷いて」とお願いすると、ヘルパーがあっという間に敷いてしまった。 またある時、 「パパを迎えに行く」と、ヘルパーに言うと、勝手に3人で迎えに行ってしまった。 取り残された美和子さん、子どもたちが帰ってきたのは2時間後。 「自分とは別に、子どもとヘルパーの間で、関係ができてしまっている」 疑問を感じた美和子さん、ヘルパーにこう訴えた。 美和子さん: 「私の子どもであって、ヘルパーさんの子どもや孫ではありませんよ。 私がしてほしくないことまで、しないでください」っていうのは、しっかり言ってます。 ナレ) そこで美和子さんは、ヘルパーとの間に、あるルールをもうけた。 休日は、子どもたちが大好きな料理を美和子さんがレクチャー。 美和子さん: ナレ) たまねぎと挽肉を、いったん炒めます。 メニューはコロッケ。3歳から料理を教えてもらった珠希くん、 レパートリーの数は、10を越える。 子どもたち: (Q 料理つくるの好き?)「料理好き」 「やっぱりオムライス」「やっぱりコロッケ」 ナレ) 料理の間、ヘルパーは美和子さんが「手を貸してあげて」と言うまで、勝手に手を出さない という約束だ。 子どもといっしょになって、コロッケを作る。 美和子さんは、ヘルパーと適切な関係を作ったことで、「私が母親だ」という自信を深めた。 9 はるな愛:ふーん、素敵。かわいい・・お料理、もう3歳から。レパートリーは10をこえるですって・・! でもいいですね、教える立場になると、 「自分も親だ」という気持ちにもなるしね。 空門理紗:そうですね。でも、ここまでいくまでに、本当に大変だったと思いますね。ヘルパーさんも「良かれ」 と思って子どものことが心配でやってあげてるんでしょうけど、でも、契約者はね、私たちなので。 空門 D :そうですね。やっぱり疋田さんのところも、そのへんはすごい悩んだと言っていらっしゃって。 なかなかヘルパーさんに対して「これはしないでください」とかって、やっぱりちょっと気を遣う じゃないですか、他人なんで。そこをバシっと言う、っていう。そこはすごいなと思ったんですけど も。疋田さんもそのへんは悩んだ末、結局一番大事なのは、「自分が親だ」ということを ヘルパーさんにもわかってもらいたいし、子どもにもわかってもらいたいし、そこを一番大事にした。 だからそうやって、時にはヘルパーさんとけんかもした、と。ヘルパーさんとけんかしてでも伝えて いった、と言ってはったんですけれども。 そのへんの親としての覚悟というか、親の強さがあったんだろうな、と。 はるな愛:確かにね。でもしっかり話し合って、どういう子育てしたいかっていうのも、 やっぱり、ヘルパーさんも交えて話すことって大切なんですね、こうやって。 空門 D :そのへん、僕たちはまだできていないというか。これからやっていかなきゃいけない・・・ はるな愛:まだ気を遣ってる? 空門 D :気を遣いますよね。 空門理紗:そうですよね。ここで関係切ります、っていうんだったらいいんですけど。この先もずっとこっちが お願いしなきゃいけない、お世話にならなきゃいけない、という立場の人に・・・。 「これをやってください」という方がまだ言いやすいですよね、 「やらないでください」って言う より。やっぱり関係が悪くなったら・・・とか、ちょっと考えてしまって。 はるな愛:そっかぁ。でも、もしかしたら、待っているかもしれないしね。ヘルパーさんも。 「ここまでいいのかな」とか思いながらやっているかもしれないし。一度話し合ってみるのも いいかもしれないですよ。 空門 D :そうですね。 はるな愛:みなさんも是非ね、子育ての悩みとか、私はこんなふうに工夫しているよ、とか、そんな声を どんどん寄せていただけたら、それを是非、みなさんで共有していただけたら、と思います。 空門 D :これはほんとにね、切にね、募集しています。 はるな愛:ということで、今日は、子育て真っ最中の空門夫妻にきていただきました。いかがでしたか? 空門 D :そうですね、やっぱり、なかなか近くにそういう障害のあるお父さん・お母さんがいらっしゃらない ので、こういう番組とかを通じて、どんどん知り合っていきたいな、と。 はるな愛:リアルな声ね。 空門 D :取材していった中で、それを一番感じましたね。どんどんつながっていきたいな、って。 はるな愛:理紗さんは? 10 空門理紗:私も、全国でこんなたくさん障害をもって子育てされている方がいるってことを、今日初めて知った ので、すごい励みになりますね。 はるな愛:でも、本当に、二人のお話聞いて励みになった人もいると思いますので、今日は貴重な話、 どうもありがとうございました。 空門 D :ありがとうございました。 空門理紗:ありがとうございました。 はるな愛:さて、はるな愛の「バリバラ R」 、いかがでしたか。 感想やメッセージをお待ちしております。また、番組では、みなさんの障害にまつわるエピソードや、 あるある話「バリバナ」を募集しております。 あて先は、郵便番号540-8501、NHK大阪放送局、バリバラの係です。 メールでは、番組ホームページから、送って頂けます。アドレスは、nhk.jp/baribara です。 来週の「バリバラ R」も、お楽しみください! はるな愛でした。 11