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『 乳幼児の事故防止 』

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『 乳幼児の事故防止 』
『 乳幼児の事故防止 』
Q.今日は乳幼児の事故防止というテーマでお話を伺います。
小さいお子さんの場合、自分では危険なことが分からないわけですから、親ごさ
んは事故にならないように十分注意していると思うのですが、なぜ改めて事故防止
なのでしょうか。
A.はい。日本では衛生状態や栄養状態の改善、医療の進歩などによって、病気で亡
くなる子どもは著しく減少してきました。ところが、過去約50年間ずっと1歳に
満たない乳児を除く子どもの死亡原因の第1位は、「不慮の事故」にになっていま
す。また、こうした死亡事故の背後には、死亡にはいたらないものの長期の入院や
通院を必要とした例や家庭で手当をした例なども数多くあるとも言われています。
Q.では、乳幼児の事故を防止するためにはどのようなことが必要とされているので
しょうか。
A. はい。保護者に対して、事故防止のパンフレットを配布するなど啓発に力を入
れるほか、保育所や学校、子どもが集まる施設関係者に対し事故例をお知らせし子
どもたちに具体的な教育をしていくこと、また、子どもの事故防止のための研究な
どでは、死亡には至らない事例も含めて医療機関からの事故事例を把握、分析して
情報提供するなど、よりわかりやすく、動機づけとなる取り組みをしています。
しかし、それだけでは予防はできていないということで、飲み込まない、手を挟
まない等、製品自体の形状や構造を工夫する取組みもされるようになってきてい
ます。
Q
大切な子どもの命はしっかり守っていきたいものですね。
A.はい。日本では他の先進国と比べても病気でなくなる子どもの数は減っているの
ですが、事故による死亡は今だに多く、事故防止対策が立ち遅れていると言えます。
死に至らない事故の数は死亡事故1件に対して何千倍も発生していると推定され
ています。そして子どもが事故にあった経験をもつ保護者の 8 割以上が、「事故は
保護者が事故防止のための情報を得て気配りをすれば防止できた」と回答していま
す。
つまり多くの事故は防止できるということです。どんな事故が起こっているのか
を知り、子どもの成長に合わせた安全な環境づくりを保護者と地域、企業等がして
いけば不幸な事故は防ぐことができます。
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Q それではどのような事故が多いか?またどのようにしたら事故は防げるのかを教
えてください。
A.はい。子どもの成長によって事故の起こり方が変わってきますので、1歳のお誕
生日までの時期、1歳から2歳までの時期、3歳から小学校入学までの時期の3つ
の時期に分けてお話したいと思います。
始めに、1歳のお誕生日までの間の事故です。
この時期は「寝ているばかり」から「お座り」「ハイハイ」「つかまり立ち」と
運動発達が著しい時期です。昨日はできなかったことが今日はできるということが
でてきますし、成長とともに自分の周りのものすべてに興味を示します。けれども、
自分で危険を予知するということができない時期です。
ですから、お母さんなど回りにいる大人が事故防止の認識を深めて気配りするこ
とが大切です。この時期に多い事故としては、窒息や異物を誤って飲み込む、やけ
ど、転落、転倒による外傷と水の事故です。
Q.赤ちゃんの周りで危険なものは何があるでしょうか。
A.赤ちゃんは重い頭を上げる力が弱いので、ふかふかのふとんやまくらなどにうつ
ぶせで寝かされていて窒息するということが起こり得ます。ふかふかのふとんやま
くらは使わないようにしましょう。また、ベッドの中にぬいぐるみなどを置かない
ようにしましょう。赤ちゃんをうつぶせにしているときは、大人がそばで見守るこ
とも必要です。
そして、この時期の赤ちゃんは、手に触れるものを何でも口に持っていきます。
丸いキャンディー、ミニトマト、小さなおもちゃなど飲み込んだら窒息の危険があ
りますし、たばこや化粧品、洗剤、ボタン電池などの誤飲も心配です。赤ちゃんの
口に入ると危険なものは、赤ちゃんの手が届かない所に保管しましょう。
赤ちゃんの目の高さで安全の確認をすることも重要です。アイロンやポットをテ
ーブルや机の端に置いたり、手の届くところにコードがあると引っ張った弾みに倒
れたり落ちたりして危険です。テーブルクロスの使用も避けましょう。電気ポット
は、ロックされていてもポットが倒れると熱湯が出て危険です。また、湯わかし中
にあがる蒸気にも注意しましょう。赤ちゃんは何にでもさわったりひっぱたりしま
すし、昨日まで届かなかった所に、あっという間に手が届くようになります。なべ
やフライパンを置くときもとっての部分に手が届かないような向きに置くようにし
ましょう。熱源が直接出ているストーブは柵などで囲って赤ちゃんが触れないよう
な工夫も必要です。
転落もこの時期に多い事故ですが、階段からの転落だけでなく、ベビーベッドや
ソファから転落することもあります。赤ちゃんは成長するにつれて突然寝返りをう
つようになりますから、高い所に一人にしておかないようにしましょう。また、階
段からの転落は、頭部打撲や骨折など大きな事故を引き起こします。ハイハイ可能
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な時期までに、階段の上下に柵を設置し、赤ちゃんが一人で階段に入らないように
しましょう。
子どもは日々成長して動きも活発になってきます。このことを念頭に、子どもの
目線で危険なものに近づけない、目の届くところに置かないという工夫をすること
が大切です。
Q.次に1歳から2歳までの時期の事故防止のことを伺いたいと思いますが、この時
期のお子さんは走ったり、よじ登ったりと運動が活発になってきますし、興味も広
がってきますね。また言い聞かせがきかない時期でもあり、注意が必要ですね。
A.そうですね。この時期は一生のうちで最もけがの多い時期です。何が危険なのか
わからず、探究心が旺盛ですので、「周囲が守ってあげなければいつでも事故が起
こりうる」ということを肝に銘じておく必要があります。多い事故としては転落や
おぼれるといったことがあります。
転落事故を防ぐために、階段の上下に柵を設置するほか、各段に滑り止めをつけ
たり、照明を明るくする工夫もよいでしょう。子どもと一緒に階段を登り降りする
際には、常に子どもの下側を歩き、転落に備えましょう。ベビーチェアからの転落
を防ぐために、安全ベルトをつけることを習慣にしましょう。
また、日本では外国に比べて、子どもの溺死、特に家の中での水の事故が多く発
生しています。子どもは体格の割に頭が重いので、浴漕をのぞき込んで落ちて溺れ
てしまうことがあります。また、深さ数センチの水位でもおぼれることがあります
ので、残し湯はしないようにしましょう。風呂場に鍵をかけるなど入れないように
工夫するのもよいでしょう。これから本格的な暑さに向けて、家庭でたらいやビニ
ールプールを使って遊ばせる機会も増えてくるかと思います。子どもが水遊びをし
ているときは、絶対に目を離さないようにしましょう。
Q.では、次に3歳から小学校入学前までの時期はどんなことに注意が必要なのでし
ょうか。
A.はい。3歳からは行動がますます活発になり活動範囲も広がり、親の手を離れて
遊ぶことも多くなってきます。危険な物や危険な場所が少ずつわかってきますが、
十分な理解ではありません。
3歳からは話せば理解できるようになってきますから、危険な場所やものは何な
のかということ、身を守る方法について十分時間をかけて教えてあげてほしいと思
います。
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Q.なるほど、お子さんの年代や行動範囲に合わせて、理解できるようによく話して
あげる必要がありますね。交通事故も増えてくるのではないですか。
A.はい。この頃の死亡事故の5割は交通事故で、次に多いのは溺れることによるも
のです。交通事故防止のためには、横断歩道の渡り方など交通ルールを教えること
が大切です。また、自転車は身体に合ったものを選び、交通量の多いところでは乗
せないようにしましょう。また、児童や幼児が自転車に乗る場合、ヘルメットの着
用を習慣化したいものです。
また、家の前がすぐ道路というご家庭はフェンスをおくなど、子どもの安全確保
を考えていただきたいと思います。道路に飛び出したボールを追いかけて道路に出
てしまって事故になる場合もあります。
Q.そうですね。飛び出しは危険ということわかっていても、子どもは夢中になると
判断できなくなりますよね。先ほど水に溺れるということも言われましたが、この
年代では、家の外…川や池での事故ということですか。
A.はい。大人がいない時に川や池などには行かないように教えるとともに、子ども
がよく行ったり、関心を持ちそうな場所を子どもの目線でチェックしておき、危険
と思われる場所や遊び方については、お子さんによく言って聞かせることが大切で
す。
地域で危険な場所について気がついた方は、率先して改善に向けて動いていただ
くことも大変重要です。
Q.そうですね。他に起こりやすい事故は何がありますか。
A.はい。ベランダからの転落も要注意です。ベランダの棚の高さは110㎝以上で、
足をかけられるような構造でないか点検してみてください。そばにエアコンの室外
機など踏み台になるものがないかも注意しましょう。
また、毎日手にする歯ブラシやはしをくわえて転んだり、ぶつかってのどに刺し
てしまう事故もあります。口にくわえて歩いたり、ふざけたりするのは危険なこと
だと教えましょう。
Q.さて年代ごとに多い事故やどう防いだらよいかお話を伺いました。3歳までは、
お子さんの動き、関心など発達の状態をよく知り、周囲が環境を整えていく必要が
あり、3歳からはそれと同時に、「どんな場所、どんなことが危険なのか」身を守
る方法をお子さん自身に教えていく必要があるということでしたね。
A.はい。そのとおりです。起こってしまった事故の 8 割以上が大人の気配りによっ
て防ぐことができるということですから、この機会に大人が子どもの事故防止につ
いて改めて考え、子どもの安全を確保してあげてほしいと思います。
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Q.これから子どもたちにとっては楽しい夏休みもあり、自然に親しむ機会も増えて
きます。
大切な子ども達が不幸な事故に逢わないないよう、親ごさんはもとより地域でも
見守っていきたいものです。
家族でのお出かけも増える季節です。車でお出かけの際のチャイルドシート、シ
ートベルト着用も当たり前の習慣にしていきたいですね。今日はどうもありがとう
ございました。
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