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1955年に富士通(株)サッカー部として創部。1999年にJリーグ加盟
1955年に富士通(株)サッカー部として創部。1999年にJリーグ加盟。2005年のJ 1再昇格以来、区民をはじめ多くのサポーターの温かい声援を受け、常に上位争いを演じています。 また、今や等々力陸上競技場でのホームゲームは毎回、フロンパークでお祭り騒ぎ(というかお 祭り?)の賑わいで、老若男女が楽しめる中原区の新スポットになっています。 まだ、フロンターレのゲームを観戦したことのない方は、是非一度、熱い熱いホーム等々力へ足 を運んでみてください。フロンターレの超攻撃的サッカーに、あなたも魅了されることでしょう! 川崎フロンターレプロモーション部の井上剛さんにインタビューしました。 (平成25年12月取材) ――本日はよろしくお願いします。まずはチーム さんは自分の街に誇りを持ちたいし、自慢したい の強みなどを簡単にお話いただけますか? という気持ちは必ず持っているものなので、そう 井上●強みと言うところでは、川崎の地域性だと いったものをどこで作っていくかというところ 思います。川崎という地域は東京と横浜という大 が課題だと思います。僕たちも川崎市を調べては 都市に囲まれています。川崎市は143万人とい いるんですけれども、なかなか出てこない。 う多くの人が住む大都市なんですけど、地形が縦 ――そこにフロンターレの存在ですね。 に長いということですぐに東京や横浜に行ける 井上●そうですね、それだったら僕たちが少しで ことから、川崎市の中で活動するということが少 も誇りを持てるような街を作るための担い手に なくて、郷土愛というものがそこまで熱いという なりたいとの熱い思いで活動しています。サポー ところではないと思います。ただ、住んでいる皆 ターの方たちがそういう思いを汲み取って、私た 1 を張って言えるよう本当に頑張ってくれていま す。 ――最近“音楽の街”も定着してきましたよね。 井上●そうですね。そういうのがすごく大事だと 思っていて、僕らもミューザ、昭和音学大学、あ と高津の洗足学園の前田ホール等といろいろ融 合して、一緒に活動をしていきたいと思っていま す。うちは年に1回、年始に新体制発表会見があ るので必ずこの3つの音楽ホールのどこかで新 体制発表会見をやって、音楽の街とコラボレーシ ョンしてPRしています。スポーツから音楽をP ちと一緒にクラブづくりや川崎市のことを真剣 Rできるという形をとって、横のつながりを大事 に考えてくれている。それがフロンターレの一番 にしています。 の強みだと思います。例えば家族の方たちに競技 ――他の人口が減っている中で川崎の、そして中 場に来てもらいたいというのは戦略的にありま 原区の人口は増えている。 す。家族は週末にみんなで楽しめる場所が欲しい 井上●中原区は再開発というものがありますか ということがあって、遠出をしなくても市内にそ らね。 ういう場所があればと考えていますので、僕たち がそのような場を提供できればお客さんに自然 と集まっていただけると考えています。 ――家族が楽しめる場所って大切ですよね。 井上●実はサッカーのイメージって、一昔前はフ ーリガンや暴動というものがあって、必ずしも家 族の方たちに適したような娯楽なのかと言うと、 そういうイメージは薄くて。もちろんJリーグバ ブルもあって人気はあったんですけど、その反面 そういったマイナスのイメージもあったので、そ ういうところを払拭していきたいなと。その時に ◆夜回り活動◆ サポーターの力というのはものすごく大きくて、 ――再開発地域の夜回りもされていらっしゃる 彼らが自分たちのチームに対してブーイングを とか。 しない、みんなで応援できるように誰でも参加で 井上●再開発地域は多くのマンションが建って きるような応援方法を考案していく、綺麗なスタ いますが、今まで工場地域だったりして人があま ジアムにするように自分たちでごみを拾って帰 り住んでいなかったんですね。そこにポコンと人 る、ということを自発的にやってくれている。そ が住むような街が出来たので、なかなか町内会的 ういうところが一番、川崎フロンターレにとって な、住んでいる人たちをまとめる組織というもの 大きいのかな、と思います。 がなかった。もちろん今は随分成熟されていて、 ――やはりサポーターのマナーって大事ですね。 犯罪発生率はほぼゼロなんです。ただ、タバコの 井上●特に川崎市はスポーツが根付かない地域 ポイ捨てだとか、独り歩きだったりを気をつけな というイメージもありました。実際そういう声は くてはいけないので、そういったところで街の人 ありましたが、サポーターの方たちは、川崎はフ たちが積極的に夜回り運動をされていました。そ ロンターレがあってスポーツが盛んな街だと胸 2 の時にフロンターレの選手やマスコットが来て スポーツ教室として必ず行くようにしています。 くれればもっと盛り上がるだろう、ということで ――どのくらいのペースで回っていますか。 協力させてもらっています。 井上●多い時には1日2校とか。 ――先ほど“スポーツが根付かない地域”という ――お子さんたちは喜びますよね。 お話がありましたが、それを払拭していこうとい 井上●そうですね。違う人が教えたりするので、 うフロンターレさんの思いが形になりつつある 行くといい刺激になるみたいで楽しそうにやっ のでは? てもらっています。 井上●川崎市は特にプロスポーツに対してマイ ――算数ドリルも配られていますよね。 ナスなイメージがあったのは事実だと思います。 井上●そうですね。これは小学6年生を対象にこ プロ野球で2球団、プロサッカーで1チームが川 れも全学校に配布しています。 崎から出て行ったわけですし。市民の方には不信 ――多摩川の清掃活動では大久保選手も参加さ 感があったので、僕らはゼロからのスタートとい れていましたよね。 うよりもマイナスからのスタートということで、 やれることがはっきりとしていた。ここに住んで いる方たちに貢献していくと言ったらおこがま しいですけれど、必要とされるように自分たちか ら街に入って行って、積極的にかかわっていくと いうことをやっていこう。そこでそういうイメー ジを払拭できれば、と思っています。 ――フロンターレさんは富士通さんが母体にな っているチームだと思うのですが、市民クラブと いうイメージが定着してきたと思います。そこは ◆多摩川清掃活動◆ 市民の皆さんの力であり、フロンターレさんの市 井上●これに関しましては選手会の方で主催し 民に対する日ごろからの活動が長い目で見て根 ている活動でして、年に一回、“多摩川エコラシ 付いてきた成果ではないかと思いますが。 コ”という名前で行っています。多摩川河川敷の 井上●そう思います。 清掃活動を選手主導で、“とどろき水辺の楽校” ――市全体に普及していく活動を、いろいろと心 に御協力いただき、サポーターの方にもたくさん がけていらっしゃいますよね。サッカー教室ひと 来ていただいて行っています。 つをとっても川崎市内広く回られていますよね。 ――確か等々力の交差点の辺りでしょうか? 井上●113校ありますが、年に1回、ふれあい 井上●そうです。毎年あそこです。多摩川の生態 という側面を見ながら清掃活動を行っています。 ――どういう年齢の方が集まりますか。 井上●お子さんから保護者の方まで幅広く来て もらっています。 ――やはり選手の方も市民と一緒に活動しよう と自覚してらっしゃるのでしょうか。 井上●そうですね。まず選手とは契約する時にそ ういった活動に積極的に参加しなければいけな いという決まりになっています。何よりフロンタ ーレには、観客が3000人くらいしか入らない ◆小学生ふれあいスポーツ教室◆ 3 に、区のイメージアップを推進していくクラブ。) 井上●やっぱり住んでいる方にサッカーやスポ ーツというものを、もっと使えるものなんだと知 ってもらえればという思いがすごくあって、じゃ あそれが本当に浸透しているのかと言えば、実は 区の中ではまだそうでもない部分もあるので、そ ういったところはアシストクラブのみなさんに 率先してやっていただいているところです。 ――具体的にはどのようなことを。 時代から選手たちが自分たちで街に出てお客さ 井上●例えば親子サッカー教室の開催のお手伝 んたちを呼ぶためにいろいろとPR活動してい いや保育園で人形劇をしていただいたりしてい たという歴史があります。今年引退した伊藤宏樹 ます。親子サッカー教室は区役所主催のイベント 選手は若手に対してお客さんが集まらず苦労し で、選手が普段試合をしている等々力陸上競技場 た時のことをよく話していましたし、お客さんへ のピッチで、親子でサッカーができるイベントで のサービス精神はチームの伝統になっています。 す。他にも選手との交流会や普段は決して見られ ――観客が3000人の時を知っているからこ ない選手控室を覗けたり、夢のようなイベントだ そですね と思います。 井上●そういう活動が大事なんだなと選手が身 に沁みて分かっています。ここ数年、おかげさま でお客さんが多くなっていますが、新しく入った 選手にはやっぱりベテランの選手が率先して指 導してくれています。チームとしても新しく入っ てきた選手に対しては講習会を行っています。選 手は街に出て挨拶回りもしますし、それとは別に 商店街に行ってポスター掲示の依頼もします。こ の伝統はOBの中西哲生さんが自分からお客さ んを呼ぶために「商店街に行くよ。」と言ってく れたのが始まりです。中西さんは観客の少ない時 ◆生活リズム人形劇◆ から拡声器を持って「よろしくお願いします。」 ――頼もしい存在ですね。では、話をまた変えさ と回ってくれていた方なんです。その中西さんに せていただきます。川崎フロンパークは遊園地み 今でも来てもらって「こういう活動が大事だか たいに規模がなってきていると思いますが、そこ ら。」とレクチャーしてもらっています。そうい も家族を大事にしようというコンセプトから始 う形で伝統が続く努力はしています。それが僕ら められたんですか。(注:フロンパーク→J1リ にとっては一番大事なんです。 ーグ戦のホームゲーム時に等々力陸上競技場入 ――ここで話は変わりますが、“川崎フロンター 場口前の公園広場に開園されるイベント広場) レ中原アシストクラブ”についてお聞きします。 井上●サッカー面だけですとチームの人気は成 こちらも市民が中心となってこういったクラブ 績に左右されてしまいます。継続的にフロンター を 立 ち 上 げる こ と に 意義 が あ る とお 考 え で す レを支援もしくは応援してもらうためには、試合 か?(注:アシストクラブ→区内の法人、団体に 会場に行った時に価値をちゃんと見い出してい より構成され、川崎フロンターレを応援すると共 ただかなくてはいけない。負けた時には「頑張ろ 4 なげていこうという、常にアンテナを張っている ような、プロモーション力は素晴らしいですね。 では、等々力陸上競技場の改築に関してですが、 今までの経緯も踏まえてホーム“等々力”の魅力 をどうお考えですか。さらにどうなっていくかと いう希望も含めてお願いします。 井上●改築はもう始まっていまして、2015年 に第一期工事のメインスタンドが出来上がるん ですけど、何より観客席が増えます。お客さんが ◆親子サッカードリーム教室◆ もっと快適にかつ楽しく見られるようないろい うね。」と言っていただき、勝った時には一緒に ろな施策も考えています。食べ物も場所によって 喜ぶ存在になってもらわなければいけないと思 は物産展的なものや特色のあるものを考えてい っています。 ます。詳しくはまだお話できませんがとにかく期 待していてください! ――お客さんと一心同体的な。 ――最後にチームとしての目標をお聞かせくだ 井上●そうですね。サッカー以外にどのようなこ さい。 とが出来るのかと考えた時に、休日なんだから一 井上●タイトルを取ることはもちろんですが、も 日スタジアム、もしくはその周辺で楽しめるよう っともっと住んでいる方たちにフロンターレを な環境を作っていこうと考えました。それによっ 好きになってもらって、スポーツに対して理解を て「試合は今日負けちゃったけど一日楽しかった 深めてもらえればなと思います。ファンクラブの よね。」と来てくれた人の思い出になるような場 会員数はまだ23000人くらいなのですが、1 を提供したいと考えています。最近は多くのお客 43万人都市なので将来的には10万人規模の さんに来ていただいていますので、ここはもっと 会員数を誇るような体制になってくれればいい もっと街の人に活用してもらい、フロンパークの なと考えています。そうすればもっとフロンター ような場所で川崎市のPR的な要素を盛り込ん レを知っている方がこの街に増えて、もっと川崎 だイベントを行ったりしています。 に対して愛着を持ってもらえるはずなんです。も ――聞いていて素晴らしいなと思いました。 っともっとスポーツが身近な存在になっていく 井上●今年、漫画祭りというイベントをフロンパ ことが、街の活性化に繋がると思うので、それを ークでやったんですけど、実は中原区は漫画にゆ 目指していきたいです。 かりのある土地で、漫画“ワンピース”の初期の 主題歌を歌っていた“きただにひろし”さんは新 丸子に住んでいますし、“あひるの空”という漫 画は武蔵小杉が舞台なんですね。武蔵小杉・新丸 子が漫画の中によく出てきて、フロンターレもち らっと出ていたんです。そのように住んでいる人 たちの中にも第一線で活躍している人も多いし、 また、市民ミュージアムも漫画に力を入れている 部分があるので、上手く活用していこうと思い、 行ったイベントでした。 ◆駅の発車メロディーが川崎フロンターレ応援歌に◆ ――サッカーに限らず、企画力というか何かにつ ――子供にとっても、とても身近な存在になって 5 いますよね。 井上●ええ、それも、もっともっとなっていけれ ばな、と思います。 ――ちなみに会員数って多いクラブだとどのぐ らいなんでしょう? 井上●鹿島が一番多いですね。鹿島で3万人。そ こは越えたいですね。目標としてここ10年で7 万人にしていきたいです。ですのでスタジアムが 出来る2015年は結構大事ですね。 ――目新しくて来てくれたお客さんにどうリピ ーターになってもらうかですね。 井上●そこですね。皆さん応援にきてください! ――今日はどうもありがとうございました! チームマスコット ふろん太 チーム公式ホームページ http://www.frontale.co.jp/ 6