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「泣きやまない赤ちゃん~揺さぶられ症候群の予防~」(PDF形式 125

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「泣きやまない赤ちゃん~揺さぶられ症候群の予防~」(PDF形式 125
泣きやまない赤ちゃん ~揺さぶられ症候群の予防~
Q
A
今日は、揺さぶられ症候群についてのお話をお聞きしたいと思います。
揺さぶられ症候群というのは、どんなものなんでしょうか。
はい、赤ちゃんを強く揺さぶったりすることで、赤ちゃんの脳に障害が起こる
ことがあります。これを乳幼児揺さぶられ症候群といいます。
赤ちゃんを強く揺さぶるとなぜ危険かといいますと、まず、赤ちゃんの頭とい
うのは頭蓋骨の中に脳が浮いている状態なんです。それに、赤ちゃんの頭は体に
比べてとても大きく、特に首が据わっていないので、揺さぶられると首が鞭のよ
うにしなり、回転力によって頭蓋骨と脳が大きくずれてしまうおそれがあります。
さらに急激な揺さぶりによる加速・減速によって、脳のまわりの血管が引きち
ぎられ、硬膜下出血をおこす場合もあります。目も同様に網膜が引っ張られて様々
な部位で網膜出血を起こします。
また脳の神経が引きちぎられてしまう場合もあり、いずれも命に関わる重大な
事態になりかねません。
Q
こわいですね。
A
特に、生後 6 ヶ月以内の乳児に発症しやすいといわれています。
Q
でも、赤ちゃんはあやしてあげるととても喜びますが?
A
そうですね。普通にあやすくらいでは揺さぶられ症候群は起こしません。
あくまでも、あんなことをしたらこどもが危険だ、と誰もが思うほどの揺さぶ
りの時に起こるので、激しく揺さぶることは絶対にいけませんが、過度に敏感に
なる必要もありません。
Q
普段の子育てで、赤ちゃんを激しく揺さぶることは、あまり考えにくいのです
が、具体的にはどんなときに起きているんでしょうか。
A
そうですね、ダイナミックに放り上げるような勢いで高い高いをしたり、赤ち
ゃんがなかなか泣きやまなくて、お母さんやお父さんもイライラしてしまって、
カッとなって衝動的に強く揺さぶってしまうことが考えられます。
Q
確かに、赤ちゃんがなかなか泣きやまなくて困ってしまうという話はよく聞き
ます。
A
だっこしても、あやしても、おっぱいをあげても、おむつを替えても、何をし
ても赤ちゃんが泣きやまないときがありますよね。
赤ちゃんが泣くのには、おなかがすいた、眠いなど理由があって泣いていると
きと、理由がなくても泣くことがあります。
特に生後 5 ヶ月まではとにかくよく泣きます。この時期の泣きは、欧米ではコ
リック、日本では疳の虫と呼ばれて、昔からの親の悩みの種でした。
パープルクライング、たそがれ泣きともいいます。
Q
A
パープルクライングですか。
はい、パープルクライングは、泣きの特徴の英語の頭文字をとったもので、具
体的には、
①泣きのピーク。どの月齢でも泣きますが、生後 2 ヶ月がピークで、生後3~
5ヶ月頃には少なくなってきます。
②予想ができない。泣いたり、泣きやんだりしますが、理由は分かりません。
③なだめることができない。何をやっても泣きやみません。
④痛そうにする。痛くなくても、泣いている赤ちゃんは本当にどこか痛そうに
見えます。
⑤長く泣く。一日のうち5時間以上も泣き続けることがあります。
⑥夕方に多い。午後遅くから夜にかけて余計に泣くかもしれません。
Q
A
Q
A
お話を聞いていると、何をしてもだめな泣きがある、ということですか。
そのとおりです。
泣きやまないのは、親のせいではありません。そういう泣きもあるんだ、と知
っていただくだけで、少し気が楽になるのではないでしょうか。
そうですね。
そうはいっても、やはり何とか泣きやませたいと思うでしょうし、いらいらし
たり不安になってしまうこともあると思います。
泣きやまない赤ちゃんにカッとなって衝動的に強く揺さぶってしまう前に、ま
ずはゆっくり深呼吸をして、少し離れて気持ちを落ち着かせましょう。
赤ちゃんを安全な場所に寝かせ、一旦部屋を出ましょう。このとき、赤ちゃん
がうつ伏せになったりしていないか 5~10 分ごとに様子を確認してください。
Q
やはり、赤ちゃんに接する時間の長いお母さんが、原因となることが多いんで
すか?
A
報告事例として最も多いものが、お父さんによる受傷です。いつも赤ちゃんと
一緒にいるお母さんとは違い、お父さんは赤ちゃんの泣き声に慣れていません。
ついカッとなってしまった結果として起こることもあるのですが、あくまで本人
はあやすつもりであっても、その力加減がわからず、また男性は女性に比べて力
も強いため、思わぬ事態を引き起こしやすくなるといえるのです。
Q
確かに、赤ちゃんに泣かれてしまうとおろおろして、早く慣れているお母さん
に代わってほしいと思ってしまいます。
A
実際に報告されている揺さぶられ症候群の事例を少し御紹介します。診断の結
果、いずれも硬膜下血腫をきたしていました。
・赤ちゃんが泣きやまないため、お父さんが赤ちゃんの頭部をもち、2 秒間に
5~6 回揺すった。その直後に痙攣し、病院を受診。42 日後に赤ちゃんは死
亡した。
・お父さんが赤ちゃんをあやす行為として、両脇を両手でもち、何度か高い高
いをした。その方法は、素早く持ち上げて、ゆっくり下ろすというものだっ
た。直後に痙攣を発症し、救急車で搬送される。治療を受け、幸いにして発
育障害などは認められなかった。
・6 歳の兄が揺りかごの中の赤ちゃんをあやしていた。赤ちゃんの頭側の取っ
手を床方向へと勢いよく押し下げたあと手を離し、ゆっくり揺りかごが元の
位置に戻るという動作を何度も繰り返した。30 分後に赤ちゃんが痙攣しは
じめ、小児科を受診した。右半身麻痺が認められたが、手術によって回復し
た。
赤ちゃんが少し大きくなると、お父さんに赤ちゃんをお願いして、お母さんも
少しお出かけする機会が出てくると思います。
育児に不慣れなお父さんが一人で子守をしなければならない時、こうした事態
を招かないようにするためには、お父さんが揺さぶられ症候群について知ってお
くことが大切です。
揺さぶられ症候群はどういったときに、どうして起こるのかを理解しておくこ
とで、赤ちゃんに接する際は気をつけることができるようになります。
Q
今日は、乳幼児揺さぶられ症候群についてお話をお聞きしました。
ありがとうございました。
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