Comments
Description
Transcript
― き の こ―
<きのこ 12月> ―─き の こ―─ 【害菌対策】 害菌汚染は収量の減少や品質低下をまねき、経営に大きなダメージをもたらします。害菌防除 対策についてあらためて見直し、不備があれば改善しましょう。 1 エノキタケ 黒腐細菌病(黒腐れ症状・褐変症状) シュードモナス・トラシーという細菌による病気で、菌かき後か ら芽出し期に感染した場合、菌床面に黒いアメ状の液が発生し、芽 出し直後の子実体が黒く腐敗するほか、生育中に感染した場合は傘 等の褐変症状を呈します。 害菌はほとんどの施設に生息しており、細菌が水滴やチリに付着 して空中伝染するほか、菌かき機により接触伝染もします。 生育期では、汚染した巻紙によって感染することが考えられます。 いずれも湿度が高く結露しやすい環境の場合や、殺菌不足により菌 糸の活力が弱まった場合に感染が助長されます。 施設内にはこの害菌が存在することを前提に、加湿過多を避け、 菌かき機や加湿器、巻紙の除菌を励行することが重要です。 2 エノキタケ 桃色かび立枯病(通称 ピンク) スピセルム・ロゼウムという糸状菌による病気で、芽出し期に菌 床面が毛足の短い菌糸に覆われて芽が立ち枯れ症状となります。ま た、薄いピンク色の胞子が大量に生じて感染の拡大を招きます。多 くの場合、前述の黒腐れ病を併発します。 対策は、できるだけ早期に発見し、室外に持ち出し加熱殺菌処理 を行うとともに、接種、培養、芽だし室の除菌・浄化を励行し、胞子 の飛散を防ぎます。また、菌かき機によって伝染するケースもある ため、刃の浄化も忘れずに行うことが重要です。 2 エノキタケ、ブナシメジ 黒腐細菌病 芽出し期の感染 黒腐細菌病 生育期の感染 わたかび病(立枯症状) クラドボトリウム・バリウムという糸状菌による病気で、エノキ タケの他、ブナシメジ等でも発生します。感染すると、毛足の長い 白い菌糸が子実体を覆って萎ちょう枯死させます。 通常は、芽出し~生育期に子実体に感染が広がってから発見され ますが、既に培養中に汚染を受けているケースもあります。 対策としては、培地殺菌以降の放冷、接種、培養、菌かき、芽出 し、エノキタケの抑制等の各工程での除菌・浄化管理を徹底する必 要があります。 害菌の胞子は非常に飛散しやすく、汚染が拡大しやすいので、汚 染ビンは静かにビニール袋などに入れて持ち出し、滅菌処理します。 掻き出し作業で害菌胞子が大量に空気中に飛散して、冷却~接種 室、あるいは菌掻き~芽出し室に侵入し、感染しているケースがほ とんどなので、掻き出し場所の隔離が最大のポイントになります。 対策が遅れると被害は甚大になるため特に注意が必要です。 桃色かび立枯病 わたかび病 【キノコバエ対策】 キノコバエは、冬でも暖かい日には活動が確認されています。野生のきのこがなくなるため、 生産施設からの匂いが目立つようになることから、侵入防止対策を再確認する必要があります。 収穫後きのこが残っているビンや収穫残渣もキノコバエを誘引します。午前中、早いうちに収 穫し、収穫後のビンはその日のうちに掻き出します。また、収穫残渣を一時保管する場合は、フ タ付きのゴミ箱を使用します。それぞれ雨があたるような場所に置かないようにしてください。 ヒトやモノの出入りの時に一緒にキノコバエが侵入しますので十分注意してください。