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臨 牀 實 験

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臨 牀 實 験
40
五 十 嵐= 再 び窒 扶 斯 と バ セド ウ 氏病 に就 て
臨 牀 實 験
緒
書
醫學 士 五
京都帝國大學醫學部 (
松 尾内科)
再 び 窒 扶 斯 こ バ セ ド ウ馬 病 に就 て
第一 章
十
嵐
一二 一〇
久
雄
余 は曩 に腸 窒扶 斯 を合 併 せ る バ セド ウ 氏病 に就 てな る小 篇 に於 て、バ セド ウ氏 病 患 者 が 腸 窒扶 斯 に罹 り し揚 合 に は、特 異 な る經 過 を ご
O豫 後 の繩 對 に 不 良 な るを 發見 し 、 そ の理 由 に就 いて いさ }か 考 察す る所 あ り し が 、そ の後 松 尾 内 科 竝 び に京 都 病 院 に於 て三 例 の同 樣
第 二章
二四歳
男
學 生
臨牀 制
迎 へ しに腸 の熱 な り と言 ばれ れ り。當 時 高 野 山 に於 て 窒 扶 斯 流 行 ぜ るな 以
ん と思 び驅 蟲 劑 な 用 ひ し に翌 日 一匹 の飆 蟲 出 で し も 下 熱 ぜす 、即 ち醫 師 を
節 痛 等 にな か り し が 十 九 日 に に發 熱 三十 九 度 四 分 に及 び、蛔 蟲 の爲 め な ら
十 二月 十 八 日 に熱 感 あ り しも 檢 温 ぜす 且 つ咳 嗽 、咽 頭 痛 、 四 肢 關
六七 歳 の頃 前 頸 部 腫 瘍 の れ め 醫 師 々 訪 ね れ 乃 にバ セ ドウ 氏 病 の診 斷 を 受
圖 に示 ぜば 左 の如 し。
﹁ア ン チ
現疾患
酒ば飮み得るも、煙草ば嗜ます。
な る ﹁フ ァ ル﹂を 見 た るを 以 て, 再 び こ ゝに報告 せん こす るも のなり 。
第 一例
けたり 。 中 學 時 代 に ﹁レ ント ゲ ン﹂治 療 秘 受 けた る事 あ り。其 後は
て或 に 同病 に(患 者 に高 野 山 の學 僭 )罹 れ る にあ らす やと憂 ひ、叔 父 々 頼 り
卒 中 の遺 傳 あ り 。且 つ同 胞 に バ セ ド ウ氏 病 に罹 れ るも の 二人 あ り。
チ レオ イ ヂ ン﹂た持 藥 と し、 甲 朕腺 腫 が 小 とな れ ば 服藥 々 中 止 し 今 日 に至
て本 院 々 訪 れ 、 二十 四 B夜 入 院 せり、 食 慾 歓 け す、屎 一日 一行 、 睡 眠 冒 さ
前史
れり 。 七 八 年 前 より 上顎 餐 蓄膿 た 患 ひ 手 術 す る こ と 二囘 に及 ぶ。二 三合 の
41
親症
醐 る。 本 日 六病 舎 よ り 隔離 病 舎 へ輔室 。
同
十 二月 二十 五 日
過
男 子 に し て神 識 明 瞭 な り。 皮
同
経
膚 は灘 潤 に て異 常 著 色 な く 且
此 の 日 より ﹁
イ ン シ ュリ ン﹂五 軍 位及 び副 腎 末 〇 ・六 た 與 ふ。
れす 。
つ薔 薇 疹 な 認 め す。 脈 搏 は緊
同
二十 七 口
二十 九 日
腹 部 及 び胸 部 に 二 三 の薔 薇 疹 現 る、腹 部 少 し く膨 満 す。
舌 褐 色 に厚 く 苔 し、乾 燥 す。 食 慾 存 す 。 薔 薇 疹 少 しく 増
な し 。 肝 臓 は 右 乳線 に て 肋 骨 縁 下 二横 指 に燭 れ、表 面 滑 にし て 縁 に 鋭 利 な
て 呼 氣少 し く 鋭 利 に て 延 長 ぜ る外 著 し き 所 見 な し。腹 部 に は膨満 或 は 隔 浸
少 し く 左 に増 大 ぜ るも 心 音 は 清 な り。 心 悸 稽 々充 進 す 。肺 部 は 右 肺 尖 に於
尖 搏 動 ば第 五 肋 間 にて 左 乳 線 より 一糎 外 方 に あ り 心濁 音 も これ に鷹 じ て
て蝿 性 軟 、異 状 な る搏 動 な 見 す 叉 瞳 痛 な く嚥 下蓮 動 と共 に動 く 。 心臓 、 心
大 ぜす 、 聲 音 哩 れす 、前 頸部 に は著 明 な る 甲 獣腺 腫 な 認 む。 表 面 は滑 に し
著明 な り。 難 聽 な し。 舌 は灰 白 色 の 厚 き 苔 あり 。咽 頭 發 赤 す るも 扁 桃 腺 腫
明 。 眼 筋麻 癖 た 認 めす 、瞳 孔 左 右 同 大 にて 封 光 反 鷹 は尋 常 なり 。 四指 震 頭
肱 な 見 る。 腕 の屈 側 及 び 大 腿 等 に皮 下 盗 血 黙 々 見 る 。脈 搏 一分 百 四 十 至 に
一月 四 日
の高 調 あり 。 撮 取量 少 き に拘 ら す 尿 量 二 一〇 〇 蝿 あ り 。
躍 た認 む。 脈 搏 一分 百 二十 至 、緊 張 弱 し 、 心悸 著 し く 充 進、 第 二肺 動 脈 音
一月 一日
〇 蛭 に 比し て 二〇 〇 〇 蛯 に増 加 す。
る 。 舌 は乳 頭 赤 く腫 脹 し所 々に 出血 々見 る。 腹 部 膨 満 す。尿 量 前 日 の 六〇
同
ダ ー ル氏 反 鷹 腸 ﹁
チ フ ス﹂入 〇 〇 倍 陽性 。
心悸強 く 充 進 し第 二肺 動 脈 音充 進 す。 尿 出す 導 尿 す 。ウ イ
り。 腎 臓 及 び脾 聽 な 鰯 れす 。膝 蓋 及 び ア キ レス腱 反 射 は 尋 常 な り 。
し て 緊 張 極 め て 弱 し 。呼 吸 促 迫 す 。 夕 頃診 る に
.
、意 識 依 然 潤 濁 し 頸 部 強 直
三十 口
四肢 倦 怠感 及 び 口 潟 た訴 ふ。
張 頁 且 つ整 一分 百 二十 至。 眼
加 す。
體格 中 等、 榮 養 佳 艮 の
球 突 出 は 極 輕 度 な り 。 グ レー
同
口唇 乾燥 す。肝 聽 依然 肋 骨 縁 下 二横 指 に 鰯 れ脾 臓 亦 硬 く
フ ェ、 メ ー ビ ウ ス及 び ス テ ル
二十 六 日
フー グ ス 氏 症 状 何 れ も 不著
尿 所 見 は 蛋白 、 糖 、﹁グ メ リ ン﹂、 ﹁イ ンヂ カ ン﹂
、 は 凡 て 陰 性、 ﹁ヂ ア ツ ォ﹂
あり 、 膝 蓋 及 び ア キ レス腱 反 射 も 亦 著 しく充 進 す。異 常 反 射 は 詮 明 ぜす 。
一二 一 一
算 す 。 リ ンゲ ル氏 液 五 〇 〇 蛯 及 び 二五 %葡 萄 糖 五 ・
〇 蝿 皮 下 に 注 射 す。
意 識 澗 濁 す。 話 し か く るも 最 早 答 へす。手 の 腱 跳 躍 及 び 捜 衣 模
倦 怠状 、 話 し か くれ ば 答 ふ るも 自 ら 語 ら す 。誰 妄 た 發 し、腱 跳
脈 搏 一分 百 十 至、 緊 張稽 々弱 け れ ど 整 、顔 貌 痴 鈍 状 とな
反 旛 陽性 な り。 圓 癖 な し。
尿 量 前 日 に比こ 少 し く 減 少 す るも 殆 ん ど 撮 取 量 な き に爪
同ほ 一四 〇 〇 蛭 層
三 十 一日
ウ イ ダ ー ル氏 反 鷹 、腸 窒扶 斯 四 百 倍 陽 性、 蓮 藤 培 養 基 にて 菌 々 談 明 す 。
五 十 嵐 =再 び 窒扶 斯 と バ セド ウ 氏 病 に 就 て
42
五十 嵐 = 再 び 窒扶 斯 と バ セド ウ 氏病 に就 て
脈 揮 盒 々 弱 く、 一分 百 四十 至、肺部 、 殆 んど 全 部 に灘 性 中 泡 性
一二 一二
に ﹁チ ア ノー ゼ﹂來 る。 三〇 〇 蝿 の輸 血 々行 び少 し く 脈 搏 の緊 張 を恢 復 ぜ
し も やが て呼 吸 困 難 布 來 し午 後 九時 五 十 分 長 逝 ぜり 。
例
腸 窒 扶 斯 ごし て は 中 等 度 のも の に し て始 め は 何等 不 良 の兆 な く 、囁 取 量 も 相當 あり し に 三十 一日頃 より 漸 く倦 怠 状 ごな り
第一
﹂音 々聽 く。 鼻 翼 峰吸 始 ま る。 午 後 六 時 四肢 騒 冷 、 口唇 及 び 四 肢 末 端
一月 五 日
﹁ラ
第 一例 概 觀
頻 脈 強 く な り 、 容 態 悪 化 し て 一月 五 日發 病 後 十 八 日に し て 死 亡 せ り。 尿 量 は、重 症 に 陥 る ご共 に囁 取 量 極 め て 小 な る に拘 ら す 二 立 以 上
現疾患
五 月 二十 日 朝 何 等 の原 因 な く全 均 倦 怠感 、 食 慾不 振 、腰 部 及 び 四
に増 加 し, 死 の前 日 に於 て も尚 一四 〇 〇琵 を算 せし は 前 同 に も 述 べ し 如 く 本 合 併 症 に 特有 な る症 歌 なり 。
女學 生
肢 關 節 痛 あ 弓 しも 爾 ほ 押 し て 洗 濯 ぜ し に 夕方 に ば 耐 え難 く な り 肱 に就 け
一九 歳
り 。 熱 感 あ り しも 検 温 ぜす。 二十 三 日 に 醫 師 の診 察 々 受 け鯛 贔 のれ め な ら
第 二例
前史
ん と 言 は れ 下 醐 た 服 用 ぜ しも 下熱 ぜす 。
癌及び神経病 の遣傳 あり。生來 強健 にして五歳 の時 に左中耳炎々患
び左耳の難聽々得れる外著患 々知らざり しが、最近 心悸充進、 發汗、顔面
二十 四 日 より 悪 感 汲 び頭 痛 あ り
紅潮等た感するに至れり。
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悪 心 亦 現 る。 食 思 全 く鉄 け、僅 に水 に より て 潟 々 醫 す る のみ な り。 其 頃 よ
五月三十日
る ゝな ど と叫 ぷ。
不 眠、 誰 妄 依 然
五月 三 十 一日
る。
手 の腱 跳 躍 た 見
脈 搏 速 な れ ど緊 張冥 、心摩 充 進 著 し 。 脾 臓 盒 々著 明 に 鯛 る。
り 左季 肋 下 に緊 張 感 あり 。 意 識 に明 瞭 な り 。發 病 以 來 便 秘 に傾 く 。悪 心 ば
二十 六 日 蕊り 其 の度 層増 す。 睡 眠 は 蝕 り 冒 され す。月 経 は 今 月 及 び 先 々月
れ り。 尿 失 禁
訣 け し 外 ば整 調な り 。
皮 膚 は 渥 潤 に し て異 常 な る著 色 な し。 胸 部 に十 籔 個 の薔 薇 疹 を認 む 。手 指
現症
顔 貌 痴 鈍 朕な ら す 、 眼
均 長 は 中等 、 骨 格 、 榮養 共 に佳 頁 な る 女 子 に して 神 識 明 瞭 な り。
震 額 た 認 む。 脈 搏 一分 百 三 + 至、緊 張 頁 に し て整
す。
午後
し輯韓反側し、
二時 不 安 状 た 呈
六月 二日
燥 す、 尿 失 禁 。
不 安 状 とな り 悶
不 眠 依 然 れ り、
一音 不純 な リ 。
心 尖部 に 於 て 第
し。 心悸 充 進 し
ど 緊 張 稽々弱
四 十至 、 整 なれ
り 。 脈 搏 一分 百
燥 し煤 色 の 苔 あ
舌乾
球稽 々突 出 ぜ り。 グ レー フ エ、 メー ビ ウ ス及 び ス テル ワー グ ス氏 症 朕 れ 何
B菌 た 謹 明 す 。
経
夜 に 入 り て譜 妄 あ り 、不 眠 、 燥 暴 性 とな り 輯 輻 反 側 し 殆 ん
五 十 嵐 =再 び窒 扶 斯 と バ セ ド ウ氏 病 に就 て
ど病 駄 より 韓 げ 落 ち ん と す る に 至 る 。 叉 眩 畳 あ り、大 き な 顔 に のぞ き こま
五月 二十 九 日
過
ウ イ ダ ー ル氏 反庶 ﹁パラ チ フ ス﹂B 二百 倍 陽 性、血 液 培 養 より ﹁パ ラ チ フ ス﹂
蛋白 弱 陽 性 。
尿 所 見 、 糖 、 ﹁イ ソヂ カ ソ﹂﹁
グ メ リ ソ﹂何 れも 陰 性、 ﹁
ヂ ア ツ ォ﹂反 磨 陽性 、
射 尋 常 、 異 常 反射 な し 。
ル﹂音 々 時 々謹 明 す 。 下 肢 に は蓮 動 知 畳障 碍 な く、 膝 蓋 及 び ア キ レ ス腱 反
鯛れ す 。 脾 臓 は肋 骨 縁 下 一横 指 に 硬 く 燭 る。 塵 痛 な 感 す。 膨腸 な く、 ﹁グ
等異 常 々 認 め す 。 肺 部 所 見 な し 。 腹 部 昭 浸 及 び 膨 隆 な く 、肝 聽 及 び腎 臓 々
朕 腺腫 々認 む、 嚥 下 蓮 動 と共 に動 く 。 心臓 は 心悸 充 進 ぜ る外 濁音 界 、心音
左 耳難 聽 あり 。 口唇 及 び 舌 に乾 燥 し 、舌 に は 厚 き白 色苔 あ り。 前 頸 部 に甲
六月 一日
一二 一三
も著 明 な ら す 。 眼 筋 麻 癖 な し、瞳 孔 は左 右 同 大 に して 封 光 反慮 迅 速 な り 。
例
二
第
44
六月四日
一二 一四
捜 衣 模 膝 あ り、痙 攣 状 發作 あ り し も 診察 に行 き し時 は既 に意 識 恢 復 し事 無
脈 搏 盒 々緊 張 弱、 腹 筋 の 硬牝 あ り て 燭 診 不 能 とな る、 唾 泡 た 大 量 に 吐 出
五十 嵐= 再 び窒 挨 斯 と バ ヤド ウ 氏病 に就 て
き が 如 し。誰 妄 依 然。 食 璽 水 五 〇 〇 蝿 注 射 す 、 午後 十 二時爾 眼球 上窟 し瞳
す。
意識 殆 ん ど渇 濁、 悶 燥 、 講 妄、 腱 跳 躍、捜 衣 模 紘 等 俵 然 存 す。
孔 縮 小 し脈 搏 頻 且 つ極 微 弱 に、呼 吸 ば淺 深 交 互 に來 り しが ﹁カ ンフ ル﹂の注
六月五日
六 月 三日
六 月 六日
早﹁
ラ ッセ ル﹂為聽 かす 。
午前 九時 意 識 一時 恢 復 す 。 雨 側 の足 ﹁ク ロー ヌス﹂た 謹 明 す、最
射 に より や ゝおさ ま る。
百 五 十 至 緊 張 弱 。 舌 は龜 裂 獣 に腫 脹 し所 々に 出血 す。眼 球 突 出 入 院 當 時 よ
﹁
チ ア ノー ゼ﹂來 る。 胸 腹 部 に ﹁
ズ ダ ミナ﹂な 見 る。脈 搏 盒 々微 弱 と な り 午 後
倦 脱 状 、 意 識 牛 ば 潤 濁、 捜 衣 模 沐、悶燥 等 依 然 れ り 。 脈 搏 一分
り 遙 か に著 明 とな る。 時 々眼 球 上 窟 あ り 。 瞳 孔 の樹 光 反 庶 ば存 す。肺 部 に
六 時 三十 分 死 亡 す。
意 識 全 く潤 濁 、 悶 燥 、 講 妄 等 依 然 。 鼻 翼 呼 吸 奄 見 る 。 口唇 に
大 泡 性 ﹁ラ﹂音 た 聽 く も 濁 音 な し。 唾 泡 た大 量 に吐 出 す 。 腹 部、脾 及 び 肝 は
川 氏 病 + ﹁パ ラ チ フ ス﹂B の 一例 に し て 五月 二 十 八 日發 病 媛 九 日に し て 入院 せ しが 、當 時 速 脈 あ り し も 緊 張 よ く 一般 症 歌 も
依 然 鱗 れ、 稽 々膨満 す 。 薔 薇 疹 爾 ほ 存 在 す 。
第 二 例 概觀
悪 から ざ り し も 二 十 九 日夜 よ り 諮妄 現 れ 、 不 安 欺 こなり て輯 轄 反 側 す るに 至 り 、此 等 の磯 症 は 日を 追 ふ て増 悪 せり 。 眼 球 突 出 は 病 勢 増
三八 歳
女
陶 工
、
ビ ウ ス及 び ス テ ル ワー グ 凋氏症 状 何れ も 著 明 な らす 。心臓 は 心悸 精 々山
几進
中 央 に中 等 度 の 甲 状 腺 腫 々 認 む、 嚥 下蓮 動 と共 に動 く 。 グ レー フ ェ、メー
悪 ご共 に 著 明 ごな れ り。 脈 搏 は 入 院 時 よ り 既 に 頻数 な り しが 盆 々頻 遽 を 加 へ叉 緊 張 を 弱 め 、 心 臓 衰 弱 し て死 亡 せ り 。 尿 量 は 多 か らす 。
第 三例
脚 氣 に罹 り し 外 著 患 な 知 ら す 。
ぜ る外 異 常 な く 肺 部 叉 所 見 な し 。 腹 部 や ゝ膨 満 す 。脾 臓 硬 く 著 明 に醐 る。
前史
肝 聽 及 び腎 臓 奄鯛 れ す 。 手指 震 頭 な認 む。頸 部 硬 直 な し。 膝 蓋 及 び ア キ レ
四月 六 日頃 より 風 邪 感 あり 績 いて發 熱 、 頭 痛、全 均倦 怠 等 あり て
現疾患
四月 二十 一日
経
脈 搏 頻 籔 にし て 緊 張稽 々弱 し笥 昏躇 獣 なり 、食 盤 水 五〇 〇
過
ウ イ ダ ー ル氏 反 磨 ︻パラ チ フ ス﹂B 四 百 倍 陽性 、
尿 所 見、 蛋白 、 糖 及 び ﹁ヂ ァ ツ ォ﹂反庶 凡 て陰 性 、
ス腱 反 射稽 々減 弱 ぜリ 。
臥 肱 す る に至 る。 以 來 高 熱 あ り て 下 ら す 。 發 病 以 來 便秘 に 傾 け り。食 慾 不
骨 格 中 等、 榮養 善 通 な る 女 子、 神 識 明 瞭 、 顔 貌 痴 鈍 獣 な り、 皮 膚
振 に し て 睡眠 も 亦妨 げ ら る。 四 月 二十 日午 後 九時 入 院 。
現症
稽 々灘 潤 異 常 著 色 な し 。 薔 薇 疹 た 認 めす 。脈 搏頻 敷 に して 一分 百 三十 至 緊
し、 口唇 及 び 舌乾 燥 し 、 舌 は 龜 裂 状 々 呈 す 、咽 頭 發 赤 し聲 音 曖 る。 前 頸 部
張 稽 々弱 け れ ど 整 、 眼 球 突 出 ぜり 。 瞳 孔 に 異 常な く 眼筋 麻 癖 な し、難 聽 な
45
四 月二十 三 日
な り。
四 月 二十 二日。夜 十 ﹂時 恐怖 状 と な り 呼 吸 困 難 を 來 す。 脹 搏 緊 張 弱 且 つ小
蛯 々 注 射 す。
五月 三 3
五月 二 日
五月二 日
誰妄依然れり、軽輻反側す。
頻 り に講 妄 を 發 し 興奮 す。
脈 搏 盆 々弱 く 且 つ小 に し て頑 固 な る 不 眠 た 訴 ふ。
々著 明 に、 甲獣 腺 腫 は 入 院 當 時 よ り 明 か に腫 大 し 著 明 とな れり 。
ヌ氏症 朕 陽性 とな る、ス テ ル ワ ー グ ス氏 症 状 は 著 明 な ら す、 四 指震 額 は盒
不 安 状 々 呈し 不 眠 、四 指震 額著 明、 本 日 ﹁ア ンチ チ レオ イ
ヂ ソ﹂鍵 投與 開 始。(一個 より 増 量 し四 個 に至 る)。
興 奮 状、 誰 妄 な發 し 、大 聲 た あ げ て 號 泣 す 。 同 夜 極 め て 不 安 状
脈 搏 盒 々弱 く 、 腱 跳 躍 頻 り に 現 れ、 講 妄 あり 、 不 安 状 々
々 呈 し 不 眠 々 訴 ふ。
五月四日
四 月 二十 六 日
呈す。
例
一二 一五
朝 不 安 朕 、 四肢 に絶 え す ﹁ヒ ヨ レア﹂様 の蓮 動 な 見。頭 部 々 左 右
五月五日
舌 ば 盒 々 乾 燥 し 亀 裂 獣 、 口 渇 々 訴 ふ。 發 汗な し。 本 日 よ
す。
四 月 二十 七 日
第
眼球 突 出 入 院當 時 よ り著 明 と なり 、グ レー フ ェ、 メ ービ ウ
に 振 り て やま す 、大 聲 に 號 泣 す。 か く て脈 搏 愈 々微弱 とな り 午 後 七 時 死 亡
三
リ ﹁ア ンチ チ シ オ イ ヂ ン﹂錠 々 一日 三個 宛 連 用 す 。
四 月 二十 九 日
五十嵐 =再 び窒狭斯 とバセドウ弐病 に就て
46
一二 一六
第 二例 ご同 じ く ﹁パラ チ フ ス﹂B の例 にし て 入 院常 蒔 (
發 病第 十四 日)既 に頻 脈 を示 し 、 翌 日より 麟 症 を發 し、不 安 歌 ごな り
五 十嵐 = 再 び 窒快 斯 と バ セド ゥ 氏病 に就 て
第 三例概觀
誰 妄 を發 し 頑 固 な ろ 不 眠 を訴 へ、 バ氏 病諸 症 歌 も 日を 追 ふ て増 悪 し、 帥眼 球 は盆 々突 出 し , 甲 獣 腺 腫 も著 明 に 腫大 し 、 磯症 は 盆 々進
纏
括
み、 大 聲 に號 泣 し、 輯 轄 反側 し 、 逡 に 心臓 嚢 弱 に よ り死 の轄 蹄 を これ り 。
第 三章
以 上 は バ セド ゥ氏 病患 者が 窒 扶 斯 (
第一 例 は 腸 窒 扶 斯 、第 二 及第 三 例 は ﹁パ ラ チ フ ス﹂B)に 罹 り し 時 の臨 状的 觀 察に し て、何 れ も 略 々同
様 な る経 過 を ごり 比較 的短 時 日 の聞 に死 の轄 聾 を ご れり . 嚢 に余 の報告 し た る四 例 ご を 通 覧 す る に バ セド ウ氏 病 患 者 が 窒 扶 斯 を 併 發
こし て ﹁ジ ン パ チ コ ト ニー ﹂によ り て 説 明 せん ご せり 。 夫 れ は偶 々腸 ﹁チ フ ス﹂患 者 に於 て
し た ろ場 合 は 腸 窒 扶 斯 た る ご ﹁パ ラ チ フ ス﹂た る ごを問 はす 総 て 豫後 不 良 な るを 見 た り。
余 は 該時 の豫 後 不 良 に關 し、 前 篇 に 於 て 奎
化を
﹁ジ ン パチ コト ニー ﹂の症 状 を 呈 す る者 は 豫 後 不 良 なり こ いふ 松尾 、 村 上雨 氏 の論 ご符 合 す る所 あ る も、 本 問 題 を 輩 に ﹁ジ ンパ チ コト ニ
ー ﹂の側 の み より 設 明 す ゐ事 は いさ ゝか早 計 な ら す ごせ す。
窒 扶 斯 罹 患 時 に於 け る甲 獣 腺 の憂 化 は 、 該時 に 於 て 各臓 器 が 殆 ん ご 総 て著 しき 攣 化 を 受 く る に拘 ら す 、 小 に し て、解 剖 學 的 に壷
見 る事 僅 微 な り 。 只恢 復 期 に於 て時 に 僅 かな ろ甲 状腺 腫 大或 は 急 性 甲 駄 腺 炎 を起 す 事 あ る に 過 ぎ す. 然 る に バ セド ウ氏 病 患 者 が 窒 扶
を ぐち は 注 目 に 値 す る所 な り。
如 く 甲 斌腺 機 能 の充 進 に因 す る事 は 明 か に し て 右 の臨 状 例 に 於 ても 甲 歌
2) 松 尾 ,村 上,
腸 ﹁チ フ ス﹂患 者 に於 け る植物 性 紳 脛
機 能 充 進 の原 因 に關 し て 伊 澤博 士 は ﹁チ フ ス﹂菌 の甲 歌 腺 に 封 す る直 接 作 用 ごは 見 徹 し
述 べ砦
斯 に罹 り し 時 は 前 記 の如 く バ氏 病 の諸 症 歌俄 か に檜 悪し 、 遽 か に死 の舞
明 し 得. 而 し て そ の甲 膝
窒 扶 斯 罹 患時 に 於 け ろ バ セド ウ氏 病 の増 悪 は、 軽
腺 腫 の肥 大 す る蓋
得 す ご言 は る。
こ れ等 の閑 明 に就 き て は 今後 の研 究 に挨 た ざ る べか ら す。
欄筆に臨 み松尾敏授 の御校閲た深謝す。
文 獻
e Chirurgie d.
5
) M adel
ng
u, Di
け る新 智識 . 中.醫 海 時 報 .
(
實 験 消 化器 病 學 .第五 巻 .第 五 號 ).
1) 五 十 嵐 , 腸窒扶 斯を 合 併 ぜ る バ セ ド ウ氏 病 に就 て,
松尾
4,
) 内科 の領 城 に於
五年 .第 五 號 .
3) 伊 澤 , 診噺 と治療 .腸 ﹁チ フ ス ﹂號 .
系の機能檢査 特 に ﹁チ フ ヌ ﹂緩徐脈の説明 に 就 て , 日新 醫 學 .第 Abdo
rurgie.Bd 30.a.u.b.
minal
typhus
.Ne
ue deut
.Chi
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