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第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第
図123–23 ダイバーシティ経営企業100選(2014年度表彰企業)
節
2
■応募総数㻌㻌 㻌 㻝㻣㻥社㻌
■選定数㻌 㻌 㻌 㻌 㻝㻜㻜選:㻡㻞社(大企業:㻞㻤社、中小企業:㻞㻠社)、促進事業表彰:㻞社㻌
大成建設株式会社
健康とうふ株式会社(★)
ヱビナ電化工業株式会社(★)
株式会社上島熱処理工業所(★)
株式会社ジーベックテクノロジー(★)
株式会社ポーラ
株式会社LIXILグループ
カルビー株式会社
株式会社栄鋳造所(★)
大日本印刷株式会社
電化皮膜工業株式会社(★)
製造業
バクスター株式会社
新潟ワコール縫製株式会社(★)
株式会社福光屋(★)
富士特殊紙業株式会社
株式会社三輝ブラスト(★)
株式会社ナガオカ(★)
川村義肢株式会社
山陽特殊製鋼株式会社
株式会社エフピコ
株式会社西部技研(★)
中部電力株式会社
電気・ガス・熱供給・水道業
大阪ガス株式会社
株式会社日立ソリューションズ
情報通信業
株式会社プロアシスト(★)
株式会社日立物流
運輸業,郵便業
東日本旅客鉄道株式会社
株式会社佐藤金属(★)
イオン株式会社
卸売業,小売業
株式会社ふらここ(★)
株式会社三越伊勢丹
株式会社ローソン
東京都新宿区
北海道苫小牧市
東京都大田区
東京都大田区
東京都千代田区
東京都品川区
東京都千代田区
東京都千代田区
東京都八王子市
東京都新宿区
東京都大田区
東京都中央区
新潟県新潟市
石川県金沢市
愛知県瀬戸市
大阪府八尾市
大阪府貝塚市
大阪府大東市
兵庫県姫路市
広島県福山市
福岡県古賀市
愛知県名古屋市
大阪府大阪市
東京都品川区
大阪府大阪市
東京都江東区
東京都渋谷区
宮城県岩沼市
千葉県千葉市
東京都中央区
東京都新宿区
東京都品川区
株式会社千葉銀行
千葉県千葉市
東京都新宿区
東京都千代田区
東京都港区
東京都千代田区
東京都千代田区
大阪府大阪市
高知県高知市
福岡県福岡市
東京都中央区
愛知県名古屋市
東京都品川区
愛知県名古屋市
東京都千代田区
東京都武蔵野市
愛知県刈谷市
大阪府大阪市
大阪府大阪市
大阪府東大阪市
大阪府大阪市
アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
金融業,保険業
我が国の産業構造を支える製造業
<㻝㻜㻜選:㻡㻞社>㻌
建設業
株式会社三井住友銀行
日本GE株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
明治安田生命保険相互会社
日本生命保険相互会社
株式会社ファースト・コラボレーション(★)
不動産業,物品賃貸業
拓新産業株式会社(★)
ヒューリック株式会社(★)
宿泊業,飲食サービス
リゾートトラスト株式会社
生活関連サービス業,娯楽業 株式会社ジェイティービー
株式会社ラッシュ・インターナショナル(★)
複合サービス事業
株式会社パソナグループ
株式会社武蔵境自動車教習所(★)
株式会社サンスタッフ(★)
サービス業(他に分類されな
株式会社美交工業(★)
いもの)
株式会社ミライロ(★)
三洋商事株式会社(★)
有限会社奥進システム(★)
<促進事業表彰:㻞社>㻌
サービス業(他に分類されな 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 東京都千代田区
いもの)
株式会社ビースタイル
東京都新宿区
★・・・中小企業(従業員数㻟㻜㻜人以下)㻌
資料:経済産業省作成
「なでしこ銘柄」は、各社の取組を加速化していくことを狙い
に17社、2013年度に26社、2014年度は選定枠を拡大(企業
として、東京証券取引所と共同で、「女性活躍推進」に優れた上
数が相対的に多い業種については2社選定)し、40社を選定し
場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって
た(図123-24)。
魅力ある銘柄として業種毎に選定する取組である。2012年度
図123–24 なでしこ銘柄(2014年度選定企業)
平成㻞㻢年度「なでしこ銘柄」選定企業一覧(業種順、業種内では銘柄コード順)㻌
銘柄コード
企業名
業種
大和ハウス工業
積水ハウス
カルビー
サントリー食品インターナ
ショナル
東レ
大王製紙
花王
メック
建設業
建設業
食料品
中外製薬
医薬品
JXホールディングス
ブリヂストン
TOTO
ジェイ エフ イー ホール
ディングス
住友金属鉱山
LIXILグループ
食料品
繊維製品
パルプ・紙
化学
化学
24 25
年度 年度
㻌㻌
㻌㻌
●㻌
㻌㻌
㻌㻌
●㻌
銘柄
企業名
コード
日産自動車
ニコン
トッパン・フォームズ
㻌㻌
㻌㻌
大阪瓦斯
電気・ガス業
●㻌
●㻌
㻌㻌
㻌㻌
●㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
陸運業
●㻌
海運業
㻌㻌
空運業
㻌㻌
情報・通信業 ●㻌
㻌㻌
㻌㻌
SCSK
情報・通信業
㻌㻌
丸紅
卸売業
㻌㻌
㻌㻌
●㻌
三井物産
卸売業
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
ローソン
小売業
㻌㻌
●㻌
㻌㻌
●㻌
ユナイテッドアローズ
小売業
㻌㻌
㻌㻌
●㻌
●㻌
㻌㻌
●㻌
㻌 ●㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
石油・石炭製
品
㻌㻌
ゴム製品
㻌㻌
ガラス・土石
製品
㻌㻌
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
小松製作所
機械
機械
●㻌
電気機器 㻌 㻌
電気機器 㻌 㻌
輸送用機器
ダイキン工業
日立製作所
東芝
川崎重工業
㻌㻌
●㻌
東京急行電鉄
日本郵船
日本航空
KDDI
業種
24
年度
25
年度
輸送用機器 ●㻌
精密機器
●㻌
その他製品 㻌 㻌
●㻌
●㻌
りそなホールディングス
銀行業
三井住友フィナンシャルグループ 銀行業
証券、商品先
大和証券グループ本社
物取引業
第一生命保険
保険業
エヌ・ティ・ティ都市開発
不動産業
ノバレーゼ
サービス業
JPホールディングス
サービス業
㻌㻌
●㻌
●㻌
●㻌
●㻌
㻌㻌
●㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
㻌㻌
資料:経済産業省作成
117
また、各省庁及び各業界においても、建設業(けんせつ小町)、
性が働きやすい職場作りに向けた取組を推進しており、製造業
運輸業(トラガール)、農業(農業女子)といったこれまで女性
においても、素形材産業を始め、同様の取組を進めていく必要
活躍が少なかった分野において、表彰、普及啓発を行うなど女
性が高まっている。
コラム
「素形材産業の競争力強化に向けた女性の活躍推進の取組指針」の策定
素形材産業の競争力の一つの源泉は、優れた技術・技能を支える人材にある。少子高齢化による生産労働人口が減少す
る中、素形材産業に求められる新たなニーズに対応していくためには、男女を問わず広い裾野から活躍できる人材を取
り込むことが重要である。しかし、一方で子育てや介護なども考慮したワークライフバランスを実現し、男女・年齢を
問わず誰にとっても魅力的な職場環境を創出することが課題である。
このため、経済産業省では、素形材企業の経営者や有識者、また他業界から成る「素形材産業における女性の活躍推進
に向けた検討委員会」を開催し、素形材産業において女性の活躍推進を図る上での課題、その効果等を整理し、実際に
女性が活躍している企業の取組例等を踏まえて、素形材産業の競争力強化に向けた女性の活躍推進の取組の方向性につ
いて、指針という形で策定した。
指針のポイント
1. マネジメント意識の改革
◇女性活躍推進等に関する経営トップによる方針の明確化
◇理念・ビジョンの社内への浸透
2. 誰もが働きやすい職場環境の整備(男女ともに働きやすい職場)
◇仕事と育児・介護等の両立が可能な環境整備
◇女性の体力面への配慮や作業の危険性を軽減するようなハード面での対策等作業環境の整備
3. 適材適所での人材活躍(男女を問わない社員の能力発揮)
◇適材適所による製造部門や技術部門等幅広い職域への女性活躍の拡大
◇意欲ある人材に技術・技能の習得・向上の機会提供等人材育成の仕組み作り
◇複線的なキャリア形成を可能とする仕組み作り
4. 人材獲得の裾野拡大(男女を問わない優秀な人材の確保)
◇幅広い学校への積極的な PR 等女性の継続的な採用
◇パート等から正社員への登用・再雇用・中途採用
なお、本指針を活用してもらい、素形材産業の競争力
強化に向けた女性の活躍が推進されることを目的として、
(一財)素形材センター主催、経済産業省後援による「素
形材産業における女性活躍推進セミナー」を2015年4月
24日に開催した。
本セミナーでは、指針を策定した「素形材産業におけ
る女性の活躍推進に向けた検討委員会」座長による基調
講演「女性の活躍が企業の競争力を高める」と、女性活
躍推進に積極的に取り組んでいる素形材企業等の経営者
らを迎えパネルディスカッションを行い、全国の素形材
企業等の関係者ら96名の参加があった。
素形材産業における女性活躍推進セミナーの様子
118
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
という調査結果もある。3つ目は、取締役会のダイバーシティ
次の4つがあると考えられる。
がコーポレートガバナンスにおける重要な要素と認識されるよ
2
節
ダイバーシティと女性活躍の推進を図る意義・効用は大きく
第
(ウ)ダイバーシティと女性活躍の推進の意義
うになっており、資本市場における評価の獲得、長期・安定的
な資金調達につながることである。欧米の機関投資家の多くは
ニーズに対応した商品やサービスの開発が促進されることであ
ダイバーシティを含む ESG(環境・社会・ガバナンス)要因
る。2つ目は、組織の多様性を高めることによって、世界中の
を考慮した投資を積極的に採用している。4つ目は、企業の採
様々な市場への適応力を高め、リスクに対する耐性を高められ
用・登用において、その母集団を拡大することにより、優秀な
ることである。現に、「取締役会に女性が一人でもいる企業は、
人材の確保につながることである(図123-25)
。
我が国の産業構造を支える製造業
1つ目は、女性の積極的な採用・登用により、多様な市場
そうでない企業に比べ、破綻リスクが20% 低くなっている」
図123–25 企業経営におけるダイバーシティ推進のメリット
資料:経済産業省作成
ダイバーシティと女性の活躍推進を図ることで、様々な効果
がもたらされると考えられるが、実際、役員会の女性比率が高
い企業は、女性役員がゼロの企業よりも ROE(株主資本利益
(図123-26)
。
また、経済社会における女性の参画が進んでいる国ほど、一
人当たり GNI が上昇する傾向も見られる(図123-27)。
率)、EBIT(利払い前・税引前利率)が高いという調査もある
図123‒26 女性役員の存在とROE、EBITの関係
(%)
22
(%)
ROE
+41%
EBIT
17
15
+56%
11
取締役会の女性比率が最も高い第1四分位企業グループ
当該業種において取締役会に女性が一人もいない企業
備考:1.第1四分位:取締役会に占める女性の割合が
当該業種において最も高い上位25%の企業グループ
2.ROE 279社の2007~2009年の期間について平均を算出
3.EBIT:銀行、保険、金融サービス業を除く231社のサンプル
4.調査範囲は欧州6カ国
(イギリス、
フランス、
ドイツ、
スペイン、
スウェーデン、
ノルウェー)
及びBRICs(ブラジル、
ロシア、
インド、中国)
出所:McKensey&Company「Women Matter」
(2010)
119
図123‒27 一人当たりGNIとジェンダーギャップ指数
1人当たりGNI 9
(万ドル)
8
シンガポール
7
ノルウェー
6
スイス
米国
5
豪州
4
日本
3
イタリア
韓国
英国
カナダ
スウェーデン
ドイツ
オランダ
デンマーク
フィンランド
フランス
NZ
ロシア
2
メキシコ
1
中国
インドネシア
ブラジル
タイ
フィリピン
インド
0
0.6
0.65
0.7
0.75
0.8
0.85 ジェンダーギャップ指数
備考:
「ジェンダーギャップ指数」
とは、経済(労働力率・管理職比率等)
・教育(在学率等)
・健康(新生児の男女比率等)
・政治(国会議員比率等)
の各分野における各国の
男女格差を数値化・ランキングしたもの。
資料: WORLD ECONOMIC FORUM「The Global Gender Gap Report 2014」及びWorld Bank「World Development Indicators」
より経済産業省作成
製造業は他産業と比較しても女性の活躍が進んでいるとは言
企業の継続的な発展に寄与することが期待される。
えない。女性活躍を始めとしたダイバーシティ推進への取組が、
コラム
女性目線を生かして誰もが簡単に操作できる
熟練技不要の「ダイヤモンド工具研削盤」を開発 (株)光機械製作所
(株)光機械製作所は、三重県津市内において工作機械の製造・販売を主業とする。専用研削盤の製造や切削工具の
OEM 生産を主力とし、高い技術力を生かして品質の高い製品づくりに努め、アジアのみならずアメリカやヨーロッパなど、
海外へも輸出している。
ダイヤモンド工具研削盤は、物質の中で最も硬いダイヤモンドを刃先に持
つダイヤモンド工具をダイヤモンド砥石というツールを用いて研削する機械
である。その高い硬度と刃先の仕上げ精度から機械の操作には熟練者の勘と
経験が必要とされた。しかし、製造現場において2007年問題など熟練者の引
退が増え、同研削盤についても熟練工でなくても簡単に操作できる製品への
ニーズが高くなっていた。
そこで、同社は2011年に「熟練技不要のダイヤモンド工具研削盤」の開
発に着手した。通常の開発の場合には機械・制御等専門の男性の担当者で進
めることが多いが、この新しい研削盤の開発には設計者、機械オペレーター、
経営サポートから選抜した女性7名が関わり、新たな発想でプロジェクトを進
めた。
「誰もが簡単に操作できる」というのは、「腕力が弱い女性でも楽に使
える」、「機械に熟練していない人でも使える」ということであり、開発には
こういった女性視点が役立った。
120
女性の視点を活かして開発した
「ダイヤモンド工具研削盤
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第
具体的には、女性社員の意見や感覚をもとに工夫され、①軽いハンドル操作、
節
2
②押し易いボタンやそのレイアウト、③勘頼みの加工判断を画像で行う機能、④
見やすい画面など、従来なら職人でなければ操作が難しかったものからシンプル
我が国の産業構造を支える製造業
な操作の機械となった。さらに、できあがった新製品は従来型のものから外観も
機能も大きく異なり、機械のフォルムもゴツゴツしたものからソフトな美しいも
のに変わった。
また、同社では、社内「ものづくり道場」により、キサゲ(金属の平面を手作
業で微細に削り仕上げること)等の熟練技能を若手、女性へ伝承し、高品質なも
のづくり、新製品開開発につなげるという取組もあわせて実施している。
今後、これまで男性中心であった職場でも女性が活躍していくためには、この
ような、女性でも扱いやすい工具の開発といった同社の取組は大いに参考になる
だろう。
熟練技能を伝承する「ものづくり道場」
(株)光機械製作所提供
コラム
障がい者は“戦力”、全社員の“インクルージョン”で、
知らないが故に生まれる誤解や偏見をなくす (株)エフピコ
エフピコグループは、食品トレー容器の生産から配送・販売、関連資材の販売を行っている。また、スーパーなどから回収
したトレーを白いもの、柄もの、不適品などに正確に分別した後、その中から選別したものを砕いて丁寧に洗浄し、溶かして
ペレット状にし、それを原料に戻して表面に新しいフィルムを貼ることによって完成する「エコトレー」を製造している。
トレーのリサイクルには1990年から取り組んでおり、当初はトレーの選別を機械で行っていた。しかし選別の精度が十
分でなかったため、障がい者による手選別を導入することとした。
スーパーなどから回収したトレー群をラインに投入するところ
から、危険物や不適品の除去、白物と柄物の区別、最終的な選別
に至るまで、1ライン合計6名の障がい者が担当する。高速で流
れるベルトコンベアを止めないように、各作業には速さと正確さ
が求められる。
1つのことに集中して取り組み、正確な作業ができるという知
的障がい者の特性が活かされており、機械での選別と比べて選別
誤差が格段に縮小された。
このように、福祉事業としてではなく、戦力として障がい者を
雇用することで障がい者の能力を高めるとともに、会社の利益の
(株)エフピコ提供
中核となる基幹業務で能力を発揮することを可能としている。
(2)地域を支える中堅・中小企業
ものづくり基盤の強化に向けて、人材育成・活用が重要であ
あり、これら以外の40道府県では転出者数の方が多くなって
いる(図123-28)
。
るが、これまで述べてきたとおり、少子化に伴う生産年齢人口
こうした状況の中、地域創生の観点から2014年12月27日に
の減少が続くことに加え、地方から都市部への人口流入も進ん
閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、地
でおり、これらが地域の経済社会に及ぼす影響が大きくなると
方における安定した雇用を創出することが基本目標の1つに掲げ
見込まれる。2014年における都道府県別の転入・転出超過数
られるなど、地方における雇用の受け皿としての企業の役割が
をみると、東京都は大幅な転入超過であるが、東京都以外で転
期待されている。
出者数より転入者数が多いのは首都圏を中心とした6県のみで
121
図123‒28 都道府県別の転入・転出超過数(2014年)
(人) 80,000
転入超過数(-は転出超過数)
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
-10,000
01. 北海道
02. 青森県
03. 岩手県
04. 宮城県
05. 秋田県
06. 山形県
07. 福島県
08. 茨城県
09. 栃木県
10. 群馬県
11. 埼玉県
12. 千葉県
13. 東京都
14. 神奈川県
15. 新潟県
16. 富山県
17. 石川県
18. 福井県
19. 山梨県
20. 長野県
21. 岐阜県
22. 静岡県
23. 愛知県
24. 三重県
25. 滋賀県
26. 京都府
27. 大阪府
28. 兵庫県
29. 奈良県
30. 和歌山県
31. 鳥取県
31. 島根県
33. 岡山県
34. 広島県
35. 山口県
36. 徳島県
37. 香川県
38. 愛媛県
39. 高知県
40. 福岡県
41. 佐賀県
42. 長崎県
43. 熊本県
44. 大分県
45. 宮崎県
46. 鹿児島県
47. 沖縄県
0
資料:総務省
「住民基本台帳人口移動報告」
我が国における企業の総雇用者数をみると、総企業数の約
用者数5,000人以上の大企業では、全体の6割超が三大都市圏
386万社における常用雇用者数は3,759万人である。常用雇用
に立地している。他方、雇用者数1,000人未満の中堅・中小企
者数を企業規模別にみると、雇用者数1,000人以上の大企業で
業では地方部に本社を構える企業の割合が高く、地方におけ
は1,196万人、雇用者数が1,000人未満の中堅・中小企業では、
る雇用の受け皿となっている。特に、雇用者数が100人以上~
2,563万人が雇用されており、中堅・中小企業における雇用者
1,000人未満の中堅企業は、雇用数が945万人と大企業と同程
数は大企業に比べて2倍程度多くなっている(図123-29)
。
度の雇用者数を有しつつ、地方部に立地する割合が高く、地方
また、本社所在地域別に雇用者数をみると、雇用者数1,000
の雇用創出において、重要な役割を果たしていることがうかが
人以上の大企業は三大都市圏に立地している割合が高く、雇
える。
図123‒29 中堅・中小企業の地域別の雇用者数
(雇用数:人)
7,000,000
地方部
三大都市圏
6,000,000
5,000,000
38.6%
4,000,000
51.0%
3,000,000
2,000,000
54.1%
44.8%
45.3%
49.0%
54.0%
60.6%
59.6%
46.1%
45.2%
45.3%
61.4%
40.4%
54.8%
54.7%
1,000,000
45.9%
39.4%
53.9%
55.2%
54.7%
46.0%
中小企業
(製造業の場合)
業
上
の
企
業
50
00
人
以
人
の
企
99
00
~
49
20
99
人
の
企
業
業
00
~
19
9人
の
企
10
業
0~
99
30
9人
の
企
業
0~
29
人
の
企
10
業
50
~
99
人
の
企
業
30
~
49
人
の
企
業
20
~
29
人
の
企
業
10
~
19
5~
9人
の
企
4人
以
下
の
企
業
0
中堅企業
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
備考:民営かつ非一次産業の企業に属する事業所について集計。
企業全体の常用雇用者数で分類し、
常用雇用者の数と地域ごとの内訳を計算。三大都市圏は東京都、神奈川県、埼玉県、
千葉県、大阪府、愛知県。
122
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
うな中堅企業を各地域において振興、創出していくため、製造
品・技術に強みを持ち、ニッチな市場において国際競争力を有
なお、ここでは製造業における中堅企業の定義として、年間
する企業が多数あり、地域経済の中核的な機能を果たすと同時
売上高が1,000億円未満又は常用雇用者数が301人以上1,000
に、我が国の輸出を支える優れた企業が多くみられる。このよ
人未満の企業を中堅企業(ただし、中小企業は除く)とする。
2
我が国の産業構造を支える製造業
業における中堅企業の位置づけについて考察を行うこととする。
節
業には、国内の製造拠点を中心に製造しながらも特定分野の製
第
地方における雇用の受け皿として重要な役割を担う中堅企
図123–30 本白書での中堅企業の定義(製造業)
企業規模
定義
大企業
売上金額が1,000億円以上、又は常用雇用者数が1,000人以上の企業。ただし、中堅企業、
中小企業は除く。
中堅企業
売上金額が1,000億円未満、又は常用雇用者数が301人以上1,000人未満の企業。ただし、
中小企業は除く。
中小企業
売上金額が1,000億円未満、又は常用雇用者300人以下(ゴム製品製造業は900人以下)
の企業
(参考1)ドイツの経営学者ハーマン・サイモンは、ドイツの中堅企業の中から特に優良な企業を「隠れたチャンピオン(HiddenChampion)」と呼び、①
特定の分野で世界シェアが第1~3位、又は欧州で第1位、②売上高が40億ドル未満、③一般的にあまり知られていない、以上の3点を満たす企業
と定義している。
(参考2)経済産業省が2013年度に実施したグローバルニッチトップ企業100選では、大企業のうち直近の会計年度の売上高が1,000億円以下の企業を中
堅企業としている。
①製造業における中堅企業の位置づけ
図123‒31 製造業の総企業数における中堅企業の割合
全国の製造業の総企業数434,130社のうち、中堅企業数は
中堅企業
3,204社
1%
大企業
359社
0%
約3,204社であり、製造業全体に占める中堅企業の割合は約
1%である(図123-31)。
業種別に中堅企業数をみると、産業中分類別で最も多いのは
「食料品製造業」524社で全体の16.4% を占めている。企業数
の多い業種では、「輸送用機械器具製造業」が303社で9.5%、
「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が261社で8.1%、
「化
中小企業
430,567社
99%
学工業」が256社で8.0% となっている(図123-32)。産業小
中小企業
中堅企業
大企業
分類別に企業数の多い業種をみると、「自動車・同附属品製造
業」が247社で最も多く、「その他の食料品製造業」が212社、
(N=434,130社)
「パン・菓子製造業」が128社と続いている(図123-33)。
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
図123‒32 産業中分類別の中堅企業数
企業数(社)
600
500
(N=3,204 社)
524
400
256
300
173
200
100
80
14
30
78
84
13
9
1
90
159 145
63
261
143
303
225
110
86
1
12
10
.飲
09
.
料・ 食
た 料品
ば
.木
こ・ 製
材・
飼 造業
料
木
製
製
1
造
品
製 1. 繊 業
造
維
13
業
14
. 家 (家 工業
.パ
具・ 具を
ル
プ・ 装備 除く
)
紙・
品
製
紙
造
加
15 工品 業
.印
製
18
刷・ 造業
1
. プ 7. 石
同
関
ラ
油
連
16
ス
製
チ
業
.
品
ッ
化
・
ク
学
石
製
工
炭
品
業
製
製
品
造
20
業( 製造
.な
19
別
業
め
.ゴ 掲
し
革・ ム を除
製
く
同
)
品
製
21
. 窯 品・ 製造
毛
業
業・
皮
土
製
石
造
製
業
品
製
造
23
業
2
. 非 2.
鉄
鉄
鋼
金
2
業
25 4. 金 属製
.は
造
属
業
ん
製
26
用
品
製
.生 機
械
造
28
産
器
業
.電
用
27
具
.業 機
製
子
械
造
部
務
器
業
品・
用
具
機
デ
製
バ
械
造
イ
器
業
ス
具
29 ・電
製
子
造
30 . 電
回
業
. 情 気機 路
製
報
械
造
通
器
業
31
信
具
製
.輸 機
械
造
送
器
業
用
具
機
製
械
造
器
業
32
. そ 具製
の
造
他
業
の
製
造
業
不
明
0
55
99
202
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
123
図123‒33 産業小分類別の中堅企業数
0
50
100
150
200
250
311. 自動車・同附属品製造業
247
099. その他の食料品製造業
212
097. パン・菓子製造業
128
165. 医薬品製造業
95
091. 畜産食料品製造業
88
281. 電子デバイス製造業
87
151. 印刷業
83
291. 発電用・送電用・配電用電気機械器具製造業
76
183. 工業用プラスチック製品製造業
67
282. 電子部品製造業
58
259. その他のはん用機械・同部分品製造業
55
266. 金属加工機械製造業
55
301. 通信機械器具・同関連機械器具製造業
253. 一般産業用機械・装置製造業
55
50
284. 電子回路製造業
48
274. 医療用機械器具・医療用品製造業
47
244. 建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む )
45
289. その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業
45
092. 水産食料品製造業
44
182. プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革製造業
300(社)
41
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
製造業全体の従業者数約1,004万人のうち、中堅企業にお
ける従業者数は約223万人であり、約22%を占めている(図
図123‒34 製造業の総従業者数における中堅企業の割合
123-34)
。中堅企業1社平均では約696人を雇用していること
になり、雇用の受け皿としての観点から、重要な役割を果たし
ていることがうかがえる。
大企業
2,082,622人
21%
従業者数が多い業種をみると、産業中分類別では企業数が多
い「食料品製造業」が最も多く、約37万人で全体の16.7% を
占めている。続いて、「輸送用機械器具製造業」が約22万人、
「電子部品・デバイス・電子回路製造業」、が約19万人、
「化学
工業」が約18万人となっている(図123-35)。産業小分類別
に従業者数の多い業種は、「自動車・同附属品製造業」が約18
万人で最も多く、「その他の食料品製造業」が約17万人、「パ
ン・菓子製造業」が約9万人と続き、いずれも企業数と同じ傾
向がみられる(図123-36)。
中小企業
5,727,411人
57%
中堅企業
2,228,785人
22%
大企業
中堅企業
中小企業
(N=10,038,818人)
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
124
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第
図123‒35 産業中分類別の中堅企業の従業者数
2
(N=2,228,785 人)
節
(人)
400,000
372,466
350,000
我が国の産業構造を支える製造業
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
12,887
5,940
54,515
53,716
35,708
171,045
93,337
60,662
720
340
10
.飲
09
.
料・ 食
12
た 料品
ば
.木
こ・ 製
材・
飼 造業
料
木
製
製
11
造
品
.繊 業
製
造
維
13
業
14
. 家 (家 工業
.パ
具・ 具を
ル
プ・ 装備 除く
)
紙・
品
製
紙
造
加
業
工
15
品
.印
製
18
刷・ 造業
17
.プ
.石
同
関
ラ
油
連
16
ス
製
チ
品・ . 化 業
ッ
ク
学
石
製
工
炭
品
業
製
製
品
造
20
業( 製造
.な
19
別
業
め
.ゴ 掲
し
革・ ム を除
製
く
同
)
品
製
21
. 窯 品・ 製造
毛
業
業・
皮
土
製
石
造
製
業
品
製
造
23
業
2
. 非 2.
鉄 鉄鋼
金
2
業
25 4. 金 属製
.は
造
属
業
ん
製
26
用
品
製
.生 機
械
造
28
産
器
業
.電
用
27
具
.業 機
製
子
械
造
部
務
器
業
品・
用
具
機
デ
製
バ
械
造
イ
器
業
ス
具
29 ・電
製
子
造
.
電
30
回
業
. 情 気機 路
製
報
械
造
通
器
業
31
信
具
製
.輸 機
械
造
送
器
業
用
具
機
製
械
造
器
業
32
. そ 具製
の
造
他
業
の
製
造
業
不
明
0
127,730
104,526
106,600
93,221
103,478
79,892
49,591
45,209
35,633
23,423
9,686
218,275
185,847
184,338
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
図123‒36 産業小分類別の中堅企業の従業者数
0
40,000
80,000
120,000
311. 自動車・同附属品製造業
160,000
200,000(人)
179,421
099. その他の食料品製造業
168,286
097. パン・菓子製造業
91,770
165. 医薬品製造業
70,700
281. 電子デバイス製造業
69,526
151. 印刷業
67,530
291. 発電用・送電用・配電用電気機械器具製造業
57,137
091. 畜産食料品製造業
55,579
301. 通信機械器具・同関連機械器具製造業
46,048
282. 電子部品製造業
41,013
253. 一般産業用機械・装置製造業
39,440
183. 工業用プラスチック製品製造業
39,169
303. 電子計算機・同附属装置製造業
38,079
266. 金属加工機械製造業
37,868
259. その他のはん用機械・同部分品製造業
35,293
166. 化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業
35,014
289. その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業
34,900
274. 医療用機械器具・医療用品製造業
33,619
284. 電子回路製造業
27,590
092. 水産食料品製造業
26,149
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
売上金額では、製造業全体の総売上金額の約343兆853億
4,659億円のうち、中堅企業の付加価値額は約13兆7,813億
円のうち、中堅企業の売上金額は約77兆9,766億円であり、
円であり、製造業全体の24.4%を占めている(図123-39)。
製造業全体の22.7%を占めている(図123-37)。
業種別では、産業中分類別に売上金額の大きな業種として、
業種別では、産業中分類別に付加価値額の大きな業種とし
て、「化学工業」、「食料品製造業」、「輸送用機械器具製造業」
「食料品製造業」、「化学工業」、「輸送用機械器具製造業」の3
の3業種が、売上金額と同様に製造業における中堅企業全体
業種が、製造業における中堅企業全体の売上金額に占める比
の 付 加 価 値 額 に 占 め る 比 率 が 10 % を 超 え て い る(図 123-
率が10%を超えており、企業数や従業者数と同様に中堅企業
40)。
の中では大きな位置づけとなっている(図123-38)。
付 加 価 値 額 で は、 製 造 業 全 体 の 総 付 加 価 値 額 の 約 56 兆
以上について、中堅企業と中小企業を足し合わせてみると
売上金額は約187兆5,967億円であり、大企業の売上金額で
125
ある約155兆4,886億円を大きく上回っている。同様に、付
(億円)
加価値額においても、中堅企業と中小企業を足し合わせた金
額は約38兆1,098億円であり、大企業の付加価値額の約18
兆3,561億円を上回っており、経済効果の観点からは大企業
図123‒37 製造業の企業規模別の売上金額
2,000,000
1,554,886
(45.3%)
1,600,000
以上に中堅企業と中小企業が重要な役割を担っていることが
うかがえる。特に、中堅企業は製造業の総企業数に占める割
1,096,201
(32.0%)
1,200,000
合が1%程度にもかかわらず、売上金額、付加価値額とも製
779,766
(22.7%)
800,000
造業全体の2割超を占めており、雇用の受け皿としてだけで
はなく、経済効果の観点からも中堅企業が重要な役割を果た
400,000
しているといえる。
0
大企業
中堅企業
中小企業
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
図123‒38 産業中分類別の中堅企業の売上金額と構成比
売上金額(億円)
売上金額
(77兆9,766億円)
200,000
20%
180,000
160,000
15%
11%
11%
10%
140,000
6%
5%
2%
4%
1%
1%
2%
3%
2%
89,178
4%
4%
0%
2%
6%
5%
4%
4%
5%
3%
2%
0%
86,752
0%
79,658
80,000
-5%
61,875
60,000
46,884
39,237
40,000
27,347
20,000
28,777
28,430
28,708
20,572
18,424
26,869
13,968
4,188
8,365
18,437
16,431
3,681
-10%
32,411
17,759
96
-15%
-20%
12
10
.飲
09
.
料・ 食
た 料品
ば
.木
こ・ 製
材・
飼 造業
料
木
製
製
11
造
品
.繊 業
製
造
維
13
業(
工
14
.家
家
業
.パ
具・ 具を
ル
プ・ 装備 除く
)
紙・
品
製
紙
造
加
業
15 工品
.印
製
刷・ 造業
18
1
. プ 7. 石
同
関
ラ
油
連
16
ス
製
チ
品・ . 化 業
ッ
ク
学
石
製
工
炭
品
業
製
製
品
造
製
20
業(
造
.な
19
業
別
め
.ゴ 掲
し
革・ ム を除
製
く
同
)
品
製
21
製
品
.窯
・毛 造
業
業・
皮
土
製
石
造
製
業
品
製
造
23
業
2
. 非 2.
鉄
鉄
鋼
金
2
業
25 4. 金 属製
.は
造
属
業
製
ん
26
用
品
製
.生 機
械
造
28
産
器
業
用
27
.電
具
機
製
.
子
業
械
造
部
務
器
業
品・
用
具
機
デ
製
械
バ
造
イ
器
業
ス
具
29 ・電
製
子
造
.
電
30
回
業
. 情 気機 路
製
報
械
造
通
器
業
31
信
具
製
.輸 機
械
造
送
器
業
用
具
機
製
械
造
器
業
32
. そ 具製
の
造
他
業
の
製
造
業
0
35,548
46,171
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
(億円)
図123‒39 製造業の企業規模別の付加価値額
300,000
243,285
(43.1%)
250,000
200,000
183,561
(32.5%)
137,813
(24.4%)
150,000
100,000
50,000
0
126
大企業
中堅企業
中小企業
資料:総務省・経済産業省
「平成24年経済センサス-活動調査」
再編加工
企業等の生産活動によって新たに生み出された価値のことで、
備考:付加価値とは、
以下の計算式を用いて、
生産額から原材料等の中間投入額を
差し引くことによって算出している。
付加価値額 = 売上高 - 費用総額 + 給与総額 + 租税公課
費用総額 = 売上原価 + 販売費及び一般管理費
構成比
120,000
100,000
10%
8%
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第
図123‒40 産業中分類別の中堅企業の付加価値額と構成比
節
2
付加価値額
(13兆7,813億円)
20%
35,000
30,000
15%
13%
10%
10%
7%
5%
25,000
2% 2%
20,000
0%
1%
2%
5%
3%
3%
3%
2%
0% 0%
1%
7%
6%
10%
7%
5%
4%
4%
2%
0%
17,626
15,000
14,397
14,316
7,206
4,536
3,488
2,916
2,522 2,417
606
1,315
967
575
5,493
4,681
-10%
7,799
5,047
3,344
2,955
96
-15%
-20%
10
.飲
09
.
料・ 食
12
た 料品
ば
.木
こ・ 製
材・
飼 造業
料
木
製
製
1
造
品
製 1. 繊 業
造
維
13
業(
工
14
.家
家
業
.パ
具・ 具を
ル
装
除
プ・
く
備
)
紙・
品
製
紙
造
加
業
15 工品
.印
製
刷・ 造業
18
1
. プ 7. 石
同
関
ラ
油
連
16
ス
製
チ
品・ . 化 業
ッ
ク
学
石
製
工
炭
品
業
製
製
品
造
20
業( 製造
.な
19
業
別
め
.ゴ 掲
し
革・ ム を除
製
く
同
)
品
製
21
製
. 窯 品・
造
毛
業
業・
皮
土
製
石
造
製
業
品
製
造
23
業
2
. 非 2.
鉄 鉄鋼
金
2
業
25 4. 金 属製
.は
造
属
業
製
ん
26
用
品
製
.生 機
械
造
28
産
器
業
用
27
.電
具
製
.業 機
子
械
造
部
務
器
業
品・
用
具
機
デ
製
械
バ
造
イ
器
業
ス
具
29 ・電
製
子
造
30 . 電
回
業
. 情 気機 路
製
報
械
造
通
器
業
31
信
具
製
.輸 機
械
造
送
器
業
用
具
機
製
械
造
器
業
32
. そ 具製
の
造
他
業
の
製
造
業
0
6,972
構
成
比
-5%
9,644 9,389
9,506
10,000
5,000
我が国の産業構造を支える製造業
付加価値額(億円)
40,000
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
雇用者1人あたりの経済効果を企業規模別にみると、中堅
企業の7,466万円の半分程度であるが、中小企業の1,914万
円の2倍程度となっている。同様に、雇用者1人あたりの付
加価値額は618万円であり、大企業の881万円と中小企業の
図123‒41 規模別の従業者1人あたりの売上金額・付加価値額
(万円/人)
企業の雇用者1人あたりの売上金額は3,499万円であり、大
8,000
425万円の概ね中間となっている(図123-41)。また、中堅
6,000
企業は売上金額の全体平均3,418万円、付加価値額の全体平
5,000
均562万円のいずれも上回っており、大企業ほどではないが、
高い経済効果を生み出すことができるといえる。
7,466
従業者1人あたりの売上金額
従業者1人あたりの付加価値額
7,000
4,000
3,499
3,418
3,000
1,914
2,000
1,000
0
881
大企業
618
中堅企業
425
中小企業
562
全体平均
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
127
②地方で活躍する中堅企業
業の従業者数が全体の約83%を占めている。中堅企業と中小
製造業企業の立地地域を企業規模別に比較すると、大企業は
企業は大企業と比較すると、地方部に立地する企業の従業者数
三大都市圏に立地する企業の割合が圧倒的に高く、全体の約
も多く、中堅企業は全体の約43%、中小企業は全体の約59%
82%が三大都市圏の立地となっている。中堅企業と中小企業
となっている(図123-43)
。
は大企業と比較すると、三大都市圏以外の地方部への立地も多
このように、立地地域、従業者数ともに大企業は全体の8割
く、中堅企業は全体の約47%、中小企業は全体の約59%が地
超が三大都市圏に集中する一方、中堅企業は地方部で活動する
方部に立地している(図123-42)。
企業の割合が高いことが特徴となっている。
同様に雇用数をみると、大企業では三大都市圏に立地する企
図123‒42 製造業企業数の地域別・企業規模別の割合
0%
20%
40%
中小企業
80%
82%
大企業
中堅企業
60%
図123‒43 製造業従業者数の地域別・企業規模別の割合
100%
18%
53%
20%
40%
100%
17%
43%
41%
中小企業
三大都市圏 地方部
80%
57%
中堅企業
59%
60%
83%
大企業
47%
41%
0%
59%
三大都市圏 地方部
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
備考:三大都市圏は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、愛知県
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
製造業企業がどのように立地地域を選定しているかについ
や中小企業と比較して大幅に高くなっている(図123-44)。
て、経済産業省が実施したアンケート結果をみると、中堅企業
大企業は、都市機能を重視した立地理由を選択する割合が高
は「創業の地」が75.2%と最も高く、中小企業も同様に「創業
く、これを受けて三大都市圏に立地する大企業が多くなってい
の地」が最も高い割合78.6%となっている。大企業においても
る一方、中堅企業は、創業の地に残って地域に根付いたビジネ
「創業の地」が51.7% と最も高いが、大企業では「交通アクセ
スを展開しており、地方部に立地する企業が多くなっていると
スのよさ」41.7%、「情報アクセスのよさ」25.0%が、中堅企業
考えられる。
図123‒44 本社の立地理由
0%
10%
20%
30%
40%
50%
創業の地
51.7%
21.3%
21.4%
交通アクセスのよさ
5.6%
6.8%
情報アクセスのよさ
十分な操業スペースの確保
その他
8.3%
1.7%
78.6%
75.2%
41.7%
23.3%
13.3%
14.6%
5.2%
6.5%
0.9%
1.6%
4.2%
7.5%
3.3%
資料:経済産業省調べ
( 2014 年12 月)
128
80%
25.0%
14.9%
15.8%
人材確保
政府機関の集積
70%
33.7%
30.1%
35.0%
取引先や協力企業の立地・集積
自治体による誘致
60%
11.7%
(n=3903)中小企業
(n=322)中堅企業
(n=60)大企業
90%
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
市圏に立地する企業が全体の約86%を占めている。中堅企業
く、中堅企業は全体の約38%、中小企業は全体の約55%が地
と中小企業は大企業と比較すると、地方部に立地する企業の
方部に立地する企業となっている(図123-46)
。
割合が高く、中堅企業は全体の約38%、中小企業は全体の約
上記のとおり、売上金額、付加価値額のいずれも大企業は全
体の8割超が三大都市圏に集中する一方、中堅企業は大企業よ
付加価値額も同様の傾向がみられ、大企業では三大都市圏に
りも地方部の割合が高く、地域経済に与える影響が大きいこと
立地する企業が全体の約84%となっている。中堅企業と中小
がうかがえる。
図123‒46 付加価値額の地域別・企業規模別の割合
図123‒45 売上金額の地域別・企業規模別の割合
20%
40%
60%
80%
14%
62%
中堅企業
20%
40%
80%
38%
45%
中小企業
100%
16%
62%
中堅企業
54%
60%
84%
大企業
38%
46%
中小企業
0%
100%
86%
大企業
我が国の産業構造を支える製造業
54%が地方部に立地する企業となっている(図123-45)
。
0%
2
節
企業は大企業と比較すると、地方部に立地する企業の割合が高
第
製造業企業の売上金額を地域別にみると、大企業では三大都
55%
三大都市圏 地方部
三大都市圏 地方部
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
都道府県別の売上金額における中堅企業の位置づけをみると、
同様に、都道府県別の付加価値額における中堅企業の位置づ
33道県が全国平均より高くなっている。特に島根県、石川県、
けをみると、23都府県が全国平均より高くなっており、山形
宮崎県では製造業全体の4割強を中堅企業が占めており、中堅企
県、石川県、宮崎県では中堅企業が高い割合を占めている(図
業が大きな役割を担っていることがうかがえる(図123-47)。
123-48)
。
図123‒47 都道府県別の売上金額における中堅企業の割合
50%
中堅企業が占める割合の
全国平均(点線)22.7%
45%
45.2%
43.8%
42.7%
40%
35.6%
33.5%
33.0%
35.8%
35%
31.3%
30%
23.6%
25.5%
24.0%
28.2%
26.1%
22.7%
21.8%
20.2%
34.1%
33.2%
30.3%
29.8%
26.8% 27.5% 26.7%
25.6%
20.6%
20%
34.6%
30.7%
29.1%
28.8%
26.6%
25% 24.0%
37.0%
35.2%
34.9%
25.2%
24.9%
24.1%
21.4%
19.0%
17.2%
17.1%
16.3%
15%
12.7%
10.8%
10%
9.6%
7.5%
6.9%
47.沖縄県
45.宮崎県
46.鹿児島県
44.大分県
43.熊本県
42.長崎県
41.佐賀県
40.福岡県
39.高知県
38.愛媛県
37.香川県
36.徳島県
35.山口県
34.広島県
33.岡山県
31.島根県
31.鳥取県
29.奈良県
30.和歌山県
28.兵庫県
27.大阪府
26.京都府
25.滋賀県
24.三重県
23.愛知県
22.静岡県
21.岐阜県
20.長野県
19.山梨県
18.福井県
17.石川県
16.富山県
15.新潟県
13.東京都
14.神奈川県
12.千葉県
11.埼玉県
10.群馬県
09.栃木県
08.茨城県
07.福島県
06.山形県
05.秋田県
04.宮城県
03.岩手県
02.青森県
0%
01.北海道
5%
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
129
図123‒48 都道府県別の付加価値額における中堅企業の割合
45%
中堅企業が占める割合の
40.7%
40%
全国平均(点線)24.4%
37.4%
34.2%
35%
31.3%
30%
26.6%
25.2%
23.3%
25%
22.3%
19.6%
28.3%
26.8%
24.7%
22.5% 21.7%
21.5%
19.7%
29.5%
28.2%
26.6%
20%
26.1%
18.8%
17.4%
29.4%
27.1%
26.6%
27.1%
26.4%
24.9%
26.2%
24.6%24.6% 24.7%
24.0%
23.4%
22.7%
22.4%
22.7%
20.7%
19.5%
19.3%
16.8%
15.9%
15%
10.5%
9.3%
10%
10.5%
9.6%
6.9%
5%
47.沖縄県
45.宮崎県
46.鹿児島県
44.大分県
43.熊本県
42.長崎県
41.佐賀県
40.福岡県
39.高知県
38.愛媛県
37.香川県
36.徳島県
35.山口県
34.広島県
33.岡山県
31.島根県
31.鳥取県
29.奈良県
30.和歌山県
28.兵庫県
27.大阪府
26.京都府
25.滋賀県
24.三重県
23.愛知県
22.静岡県
21.岐阜県
20.長野県
19.山梨県
18.福井県
17.石川県
16.富山県
15.新潟県
13.東京都
14.神奈川県
12.千葉県
11.埼玉県
10.群馬県
09.栃木県
08.茨城県
07.福島県
06.山形県
05.秋田県
04.宮城県
03.岩手県
02.青森県
01.北海道
0%
資料:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工
中堅企業が地域で担う役割に関して、製造業企業における調
内の企業からの調達率が10%以下であり、地元との関連性が低
達額のうち主力工場が立地する都道府県と同一都道府県内から
い一方、中堅企業は地域に根付いたビジネスを行っており、地域
10%以上調達している企業の割合をみると、中堅企業の約7割、
経済の中核を担う位置づけとして重要な役割を果たしているとい
中小企業の約8割が同一都道府県内の企業から10%以上調達を
える。
行っている(図123-49)。他方、大企業の約4割は同一都道府県
図123‒49 全調達額のうち主力工場と同一都道府県内から調達している割合
(n=3380)
中小企業
(n=273)
中堅企業
(n=41)
0%
大企業
10%
16.9%
資料: 経済産業省調べ( 2014 年12 月)
30%
40%
50%
60%
70%
83.1%
26.7%
10%以下 10%超
130
20%
73.3%
39.0%
61.0%
80%
90%
100%
第1章|我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第
コラム
節
2
地域を支える中核機能を担う中堅企業 多摩川精機(株)
我が国の産業構造を支える製造業
多摩川精機(株)
(長野県飯田市)は、長野県飯田地域の中小企業が精密機械加工の技術を結集し、地域一貫生産体制を可
能とする共同受注体制「エアロスペース飯田」とともに飯田地域の航空機産業発展に貢献する中核企業である。多摩川精機
は民間航空機用センサ、モータ、アクチュエータ並びに宇宙用製品の研究開発を行うとともに、徹底された品質管理のもと
に生産を実施している。「エアロスペース飯田」との受発注関係を有するなど、共同受注生産体制の構築において重要な役
割を果たしており、地域に対する貢献度が高く、地域の中核機能を担う中堅企業の代表例といえる。
Boeing
国内大手重工 など
■製品事例:各種アクチュエーター(フラップ、
ドア、ラダー)
フラップ(揚力を増大させる装置)、ドア、ラ
ダー(方向舵)の可動部を制御する部品
エアロスペース飯田
国内外
機体部品メーカー
など
【航空機部品の共同受注・生産】
(株)エヌ・イー
資本金:0.2億円
山京インテック(株)
資本金:0.48億円
飯田精機(株)
資本金:0.5億円
ドア
ラダー
受発注
多摩川精機(株)
【航空機部品の設計・製造】
資本金:1億円
従業員:711名
飯田航空宇宙プロジェクトから生まれた共同
受注グループ。3D CADを駆使した精密複
合加工の技術に長け,飯田地域の中小企
業9社で構成。
施策活用支援
マッチング支援
関東経済産業局
フラップ
当該構造品の機械加工部品の多くが多摩川精機からエ
アロスペース飯田へ発注される。
資料:経済産業省作成
③中堅・中小企業の発展に向けて
そこで、企業規模別に輸出の有無をみると、中堅企業は「輸
これまで地方における雇用創出や地域経済の担い手として重
出している」が半数を超える56.7%であり、中小企業の「輸
要な役割を担う中堅企業の位置づけをみてきたが、地域を支え
出している」33.0%と比較して、多くの中堅企業が輸出を行っ
る中堅・中小企業を取り巻く事業環境をみると、新興国や途上
ていることがわかる(図123-50)
。他方、大企業は「輸出し
国が急速な成長を遂げており、ヒト・カネ・モノ・情報の流れ
ている」が96.7%であり、海外からも稼いでいることがうか
が、これまでにない速さで世界的に広がりをみせている。地方
がえる。地方部に多く立地しており、地域に根付いたビジネス
にあってもグローバル化は不可避のトレンドであり、特に、地
を行う中堅企業、中小企業ではあるが、大企業に成長するには
方の中核を担う中堅企業の発展にあたって、グローバル市場は
国内市場に加えて、輸出を通じて海外市場で稼ぐことが重要と
挑むべき方向であると考えられる。
なっている。
図123‒50 企業規模別の輸出の有無
(n=3931)
中小企業
(n=323)
中堅企業
(n=60)
0%
大企業
10%
20%
30%
40%
50%
33.0%
輸出している 輸出していない
60%
70%
80%
90%
100%
67.0%
56.7%
43.3%
96.7%
3.3%
資料: 経済産業省調べ( 2014 年12 月)
131
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