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中小企業における資金調達の方策 について

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中小企業における資金調達の方策 について
5
平成 26 年度証券ゼミナール大会
第 3 テーマ
10
中小企業における資金調達の方策
について
15
20
福山市立大学
原田ゼミナール
25
1
目次
第 1章
イントロダクション
5
第 2章
10
中小企業の概要と政府系金融機関
1、
中小企業の概要
2、
中小企業の資金調達構造
3、
政府系金融機関の概要
第 3章
15
中小企業の資金調達の厳しさ
1、
資 金 繰 り DI、 貸 出 態 度 DI の 推 移
2、
政府系金融機関の貸出量の増加と民業補完
第 4章
政府系金融機関の民業圧迫について
20
第 5 章 おわりに
25
参考文献
30
2
第 1章 イ ン ト ロ ダ ク シ ョ ン
日本における中小企業の資金調達の問題を考える上で、中小企業と金融機関
の関係が重要である。
5
日 本 の 中 小 企 業 の 数 は 、全 企 業 数 の 99.7 パ ー セ ン ト を 占 め る 。ま た 雇 用 者 数
で 見 る と ,中 小 企 業 の そ れ が 占 め る 割 合 は 全 体 の 70 パ ー セ ン ト で あ る( 中 小 企
業 庁 2014) 。 中 小 企 業 は こ の よ う に 日 本 経 済 に お い て 大 き な 割 合 を 占 め る だ
けでなく,新産業の創出、市場競争の活発化、多様な就業の機会の提供、地域
経済の活性化といった役割を果たしている。そのため,中小企業の動向は、日
10
本経済の動向に大きな影響を与えると考えられる。
このように,日本経済で重要な役割を担う中小企業であるが,個々の企業に
目を向けると,その経営には解決すべき重要な問題がある。それは、資金の調
達である。なぜなら、日本の中小企業は資金調達において専ら間接金融に依存
をしているという現実があるからだ。
15
間接金融の関係を考える場合、中小企業の立場から考えるのと、金融機関の
立場から考えるという 2 つの視点が考えられる。この問題が与えられた場合、
情報の非対称性というリスクが存在することから、それを解消するために多く
の人は前者の視点で考えるだろう。たとえば、中小企業の開示する情報を改善
することや、情報を収集する第 3 者機関を設けて、そこを仲介させることで非
20
対称性を緩和するという意見がある。しかし、現行の仕組みを新たな仕組みに
変化させるには、変更するための時間やコストがかかるし、新たな仕組みが本
当に機能するのかという問題が生じる。
そのような問題を生じさせないためには、後者、すなわち金融機関の視点に
立って議論を行う必要がある。金融機関が情報の非対称性を超えて、積極的に
25
貸出を行うことができれば、間接金融に伴う問題が解消されるであろう。この
時、金融機関として、民間金融機関と政府系金融機関の 2 つが存在しているこ
と が 重 要 で あ る 。1991 年 の バ ブ ル 崩 壊 後 に 、中 小 企 業 の 業 況 や 資 金 繰 り が 大 幅
に 悪 化 し た 。 さ ら に 97 年 の 金 融 危 機 で は 、 銀 行 が 貸 し 渋 り や 貸 し 剥 が し を し
たことで、中小企業の資金繰りは、さらに厳しい状況に置かれた。だが、その
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ような時に、民間金融機関とは別に中小企業に貸出を行ったのが政府系金融機
3
関である。この政府系金融機関については第 2 章で詳しく取り扱うが、簡単に
説明しておくと民業補完を目的とした金融機関である。つまり、民間金融機関
と政府系金融機関の 2 つの存在が補完的な関係であることで、情報の非対称性
の問題を乗り越えることが可能である。
5
しかし、近年では政府系金融機関が過度な介入をしていて民間金融機関の活
動を圧迫しているとの議論がある。だが、この民業圧迫という言葉に定義はな
い。様々な文献で民業圧迫については述べられているが、その文献によって定
義も様々である。例えば、政府系金融機関の貸出シェアや貸出量の増加であっ
たり、低金利や長期貸出であったりする。そのためこの論文では、独自の定義
10
づけを行うこととした。それに関しては第 4 章で議論することとする。
この論文の構成は以下の通りである。まず、第 2 章では中小企業の概要と資
金調達構造における問題点を挙げたうえで、政府系金融機関の概要と中小企業
と の 関 係 を 説 明 す る 。 そ し て 、 第 3 章 で は 、 資 金 繰 り DI 値 や 貸 出 態 度 DI 値 を
見て民間金融機関の貸出の動向と政府系金融機関の貸出動向の関係について述
15
べる。続く第 4 章では、民業圧迫を独自に定義し、政府系金融機関が民間金融
機関を圧迫しているかを検証する。そして最後に第 5 章では、まとめとしてそ
れらの検証結果について論じる。
20
25
30
4
第 2 章、中小企業の定義と資金調達構造
1、中小企業の定義
5
中 小 企 業 の 定 義 は 中 小 企 業 基 本 法 第 2 条 に お い て 定 め ら れ て い る 。以 下 の 表
2- 1 は 、基 本 法 第 2 条 に 定 め ら れ た 定 義 を 示 し た も の で あ る 。た だ し 、中 小 企
業基本法上の中小企業の定義は、中小企業政策における基本的な政策対象の範
囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として扱われて
いる範囲が異なる。例えば、株式会社日本政策金融公庫法等の中小企業関連立
10
法においては、政令によりゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以
下 ま た は 従 業 員 900 人 以 下 、旅 館 業 は 資 本 金 5 千 万 円 以 下 ま た は 従 業 員 200 人
以 下 、 ソ フ ト ウ ェ ア 業 ・ 情 報 処 理 サ ー ビ ス 業 は 、 資 本 金 3 億 円 以 下 ま た は 300
人 以 下 を 中 小 企 業 と し て い る 1。
15
表 2-1 中 小 企 業 の定 義
業種分類
中小企業基本法の定義
製造業その他
資本金の額または出資の総額が 3 億円以下の会社又は常
時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 300 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人
卸売業
資本金の額または出資の総額が 1 億円以下の会社又は常
時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 100 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人
小売業
資本金の額または出資の総額が 5 千万円以下の会社又は
常 時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 50 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人
サービス業
資本金の額または出資の総額が 5 千万円以下の会社又は
常 時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 100 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人
中小企業庁「中小企業・小規模業者の定義」より筆者作成
上 記 の よ う に 定 義 で き る 中 小 企 業 は 全 国 約 385 万 社 存 在 し て い る と さ れ る 。
1上 記 の 業 種 分 類 は 日 本 標 準 産 業 分 類 第
10 回 改 訂 分 類 に 基 づ く も の で あ る 。
5
これに対し、大企業は全国約 1 万社存在しているとされる。つまり比率で言え
ば 約 99% の 企 業 が 中 小 企 業 で あ る こ と が わ か る ( 図 2- 1)。
図 2-1 全 国 企 業 数 及 び全 従 業 員 数
全国企業数
(2014年)
全従業員数(2014
年)
大企
業
1%
大企業
中小企業
23%
77%
中小企
業
99%
5
資料
中 小 企 業 庁 「 2014 年 版 中 小 企 業 白 書 第 3 部 第 1 章 第 1 節 p127」 よ り 筆
者作成
ま た 従 業 員 数 に 着 目 す る と 中 小 企 業 の 従 業 員 数 が 3217 万 人 に 対 し 、 大 企 業
10
の 従 業 員 数 は 1397 万 人 で あ る 。図 2- 1 よ り 中 小 企 業 の 従 業 員 数 は 全 従 業 員 数
の 約 69% を 占 め て い る こ と が わ か る 。
2、中小企業の資金調達構造と問題点
15
中小企業の資金調達方策で特徴的なのが、金融機関の貸出による資金調達が
大 き な 比 率 を 占 め て い る こ と で あ る 。 図 2- 2 よ り 中 小 企 業 の 資 金 調 達 が 借 入
金 で 多 く が 賄 わ れ て お り 、 ま た 資 本 が 27.3%% 、 引 当 金 が 17.1%、 支 払 手 形 ・
買 掛 金 が 13.8%そ し て 金 融 機 関 に よ る 借 入 金 が 40.7% を 占 め て い る こ と が わ か
る 。ま た 直 接 金 融 に よ る 資 金 調 達 は 社 債 1.1% の み と 皆 無 に 等 し い 状 態 で あ る 。
20
こ の よ う な 間 接 金 融 に 依 存 し て い る 要 因 と し て 、自 己 資 本 が 乏 し い こ と 、株 式 、
社 債 、コ マ ー シ ャ ル ペ ー パ ー( CP)を 発 行 す る の に あ た っ て 発 行 に お け る 審 査
書類の作成に多大な時間を要すること、発行後も管理を行うために管理コスト
6
が発生すること、収益性が大企業に比べ乏しいため株や社債を引き受けてくれ
る対象者が限定的であることなどがあげられる。このため、中小企業に対する
負担が大きすぎることが課題となっており、直接金融での資金調達を行なえな
いのである。
5
図 2-2 中 小 企 業 の資 金 調 達 構 造 (2005 年 )
中小企業の資金調達構造(2005年)
資本
27.3%
引当金等
40.7%
支払手形・買掛金
社債
17.1%
借入金
13.8%
1.1%
資 料 「 中 小 企 業 に お け る 資 金 調 達 の 課 題 」 第 2 章 p2 よ り 筆 者 作 成
10
よ っ て 中 小 企 業 の 資 金 調 達 は 金 融 機 関 か ら の 借 入 金 が 、中 小 企 業 に と っ て は 一
種の自己資本金としての性格を帯びるということになる。通常、自己資本金は
株主などから調達した資本金と経営活動の結果得られた剰余金を指す。また、
金融機関からの借入金においても、通常は返済を行うことが前提となるが、借
り 換 え な ど に よ っ て 借 入 金 の 返 済 が 実 質 的 に 行 わ れ な い 場 合 が あ る 。こ の た め 、
15
中小企業にとって、金融機関からの借入金が疑似資本の状態であることがわか
るのである。
7
図 2-3 従 業 員 規 模 別 における中 小 企 業 資 金 調 達 構 造
資料
5
中小企業庁
「 中 小 企 業 白 書 2003 年 版 第 2 部 第 3 章 第 1 節 」
このように、中小企業全体から見た場合、資金調達を金融機関からの借入に
依存していることがわかる。では次に、これまでは中小企業の資金調達におい
て 、企 業 の 規 模 の 違 い に よ っ て ど の よ う な 違 い が あ る の だ ろ う か 。図 2- 3「 中
小 企 業 の 従 業 員 規 模 別 の 資 金 調 達 構 造 」 に よ る と 、 従 業 員 数 20 人 以 下 の 企 業
で は 45.5% 、従 業 員 数 21~ 100 人 の 企 業 で は 39.7% 、従 業 員 数 101~ 300 人 の
10
企 業 で は 35.5% 、 従 業 員 数 301 人 以 上 の 規 模 で は 21.5% が 金 融 機 関 か ら の 借
入である。会社の規模が小さくなるにつれ金融機関からの借入依存が大きくな
っている点がわかる。
しかしなぜこれほどにも中小企業は金融機関の借入を主体とした間接金融に
依存しているのであろうか。株式発行、社債の発行などの直接金融による資金
15
調達は行えないのであろうか。以下では中小企業にとっての株式発行、社債発
行の障壁について検討する。
1) 株 式 発 行 が 容 易 で は な い 要 因
20
株式発行が中小企業にとって困難である理由は多く存在する。たとえば、図
8
2-4 は 中 小 企 業 庁 が 2001 年 に 中 小 企 業 向 け に 行 っ た 資 金 調 達 環 境 に か ん す る
実態調査の結果である。この図より「ディスクローズにこたえられる体制が不
整 備 」と 回 答 し た 企 業 が 49.4% 、ま た「 株 式 公 開 の 要 件 を 満 た し て い な い 」と
回 答 し た 企 業 が 49.3% を そ れ ぞ れ 占 め て い る こ と が わ か る 。そ の 他 株 式 公 開 す
5
る ま で に 2~ 3 年 の 準 備 期 間 を 要 す る 点 、 仮 に 株 式 公 開 し た 場 合 に 証 券 会 社 へ
の手数料の支払いなどの諸費用が発生する点、最後に株式に詳しい人材を招へ
いしなければならない点など中小企業への負担が大きいことが推測される。
図 2-4 直 接 金 融 が実 施 できない理 由
10
資料
中 小 企 業 庁 「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版 4 新 し い 資 金 調 達 手 段 」
2) 社 債 発 行 が 容 易 で は な い 要 因
社債の発行についても中小企業の負担が大きな障壁となっている。中小企業
庁「 平 成 11 年 版 第 1 部 第 2 章 第 4 節 中 小 企 業 の 資 金 調 達 構 造 」に よ る と 、全
15
中 小 企 業 の 約 1% し か 社 債 の 発 行 経 験 が な い と さ れ る 。 中 小 企 業 に お い て 社 債
発行による直接金融での資金調達が浸透してないことが推測できる。では具体
9
的に中小企業が社債発行による資金調達が行うことができない要因はどのよう
な点にあるのであろうか。
図 2- 5 は 中 小 企 業 庁 「 企 業 経 営 実 態 調 査 」 の 結 果 で あ る 。 こ れ に よ る と ,
中 小 企 業 が 社 債 を 発 行 し な い 理 由 と し て , 41% の 中 小 企 業 が「 社 債 発 行 の 基 準
5
を 満 た し て い な い 」 こ と を 挙 げ て い る 。 ま た 13% が 「 自 社 の 信 用 力 が 不 足 」、
「 社 債 発 行 に 関 す る ノ ウ ハ ウ が 不 足 」 と 回 答 し て い る 。 そ の 他 図 2- 5 で は 表
記されていないが、社債は発行後にも管理を行う必要があり、発行した社債は
社債管理会社に管理してもらう際の諸費用が中小企業にとっての負担が大きい
ことから中小企業での社債発行が限定的であることが推測される。
10
図 2-5 社 債 を発 行 しない理 由 (中 小 企 業 )
資料
中小企業庁
「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版 4 新 し い 資 金 調 達 手 段 」
15
以上のように直接金融における資金調達は事務コスト、時間的コスト、人材コ
ストと資金面が大企業に比べ劣る中小企業にとって大きな負担となっているの
が現状である。
次に、そもそも中小企業は直接金融を必要としているのか。以下では中小企
20
業の経営者向けのアンケート結果を用いて、このことを検討する。
10
図 2-6「従 業 員 規 模 別 直 接 金 融 を利 用 したくない理 由 」
中 小 企 業 庁 「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版 第 4 章 第 1 節
5
4 新しい資金調達手段」
図 2- 6 は 、
「 従 業 員 規 模 別 直 接 金 融 を 利 用 し た く な い 理 由 」で あ る 。そ し て 、
「 間 接 金 融 で 資 金 調 達 は 十 分 賄 え て い る 」と 回 答 し た 中 小 企 業 は 、20 人 以 下 の
企 業 で 48.8%、 21~100 人 規 模 の 企 業 で 36.3%、 101 人 ~300 人 規 模 の 企 業 で
71.9%、 301 人 以 上 の 企 業 は 77.6%を 占 め る 。 そ し て 、「 既 住 金 融 機 関 と の 良 好
な 関 係 を 維 持 し た い 」 と 回 答 し た 中 小 企 業 は 、 20 人 以 下 で は 44.6%、 21~100
10
人 規 模 の 企 業 で 42.6%、 101~300 人 規 模 で の 企 業 で は 38.2%、 301 人 以 上 の 企
業 は 32.4%を 占 め て い る 。 こ こ か ら 分 か る こ と は 、 中 小 企 業 が 間 接 金 融 で 資 金
調達が賄えていることである。また、資金の貸し手である金融機関との良好な
関係を築きたいと回答する企業も多く見られた。これらの点においては、中小
企業が直接金融による資金調達の導入よりも、間接金融による資金調達の貸し
15
手となる金融機関との関係を重視する傾向がある。
では、中小企業は今後直接金融の導入についてどのように考えているのであ
ろうか。
11
図 2-7 直 接 金 融 による資 金 調 達 の予 定
中 小 企 業 庁 「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版 4 新 し い 資 金 調 達 手 段 」
5
図 2- 7 は 、 直 接 金 融 に よ る 資 金 調 達 の 予 定 を 表 し た グ ラ フ で あ る 。 中 小 企
業 が 直 接 金 融 に よ る 資 金 調 達 の 導 入 を 考 え て い な い 割 合 は 61%で あ る 。こ れ は
大企業が、直接金融による資金調達を考えていない割合よりも多い。一方で中
小 企 業 が 直 接 金 融 に よ る 資 金 調 達 の 導 入 を 考 え て い る 割 合 は 4%に 過 ぎ な い 。
このため、中小企業は直接金融による資金調達の導入に積極的でないことが推
10
測される。
以上の分析より、中小企業の資金調達は間接金融に依存していることが分か
った。また、間接金融依存解消に向けた直接金融の導入には中小企業に対する
負担が大きく、導入できないのが現状である。さらに、中小企業の資金調達自
体は間接金融によって賄えていると回答する企業も多く、その事が直接金融の
15
資金調達の導入を行う予定がないと回答する企業も多い。また、直接金融によ
る資金調達の導入より金融機関との関係を維持したいと回答する企業も多いこ
とから、直接金融の導入よりも貸し手である金融機関との関係を維持したいこ
とを優先していると考えられる。従って我々は資金の貸し手である金融機関の
行動に焦点を置いて分析する。しかし、金融機関の中心である民間金融機関の
20
行動は、景気の動向に左右されることが知られている。それに反して、景気の
12
動向に関わらず資金供給を行うことができる金融機関は政府系金融機関である。
以下では、政府系金融機関の概要と中小企業との関係について論じる。
3、政府系金融機関の概要
5
中小企業が利用可能な資金調達先には、民間金融機関を利用する他にも政府
系金融機関などといった公的金融機関が存在している。公的資金は融資(間接
金 融 )、 株 式 や 社 債 の 引 受 ( 直 接 金 融 )、 補 助 機 ・ 助 成 金 の 3 種 類 に 大 き く 分 け
られる。
10
例えば、間接金融においては、政府系中小企業金融機関や中小企業基盤整備
機構による融資の他にも、国の助成を受けて都道府県や地方自治体が行う制度
融資や、自治体が財団や第 3 セクターを設立して行う融資が存在している。直
接金融においては、株式や社債の引受は主に中小企業投資育成株式会社や新規
投資育成株式会社などといった法律に基づいて設立された企業及び団体を通じ
15
て資金の供給を行っている。
これらの公的資金のうち、中小企業の資金調達先として最も利用されている
の が 政 府 系 中 小 企 業 金 融 機 関 に よ る 融 資 2 で あ る 。よ っ て 以 下 で は 政 府 系 金 融 機
関に焦点を当てて述べることにする。
まず、政府系金融機関とは、日本において政府が定めた特定の目的や政策に
20
沿 っ た 金 融 を 行 う た め に 、法 律 に よ っ て 設 立 し た 金 融 機 関( 特 殊 法 人 )を 指 す 。
主な特徴としては、企業に資金供給を行うためのメニューが豊富であり尚且つ
長期資金の提供に関する融資が多いことがあげられる。
「 経 済 の プ リ ズ ム . (26)」 2006-07 に よ る と 、 政 府 系 金 融 機 関 の 意 義 ・ 目 的
は原則として「民業補完」にあるとされる。政府系金融機関による融資は、ど
25
の機関であっても、民間金融機関から十分な資金を調達できない企業への資金
供給を目的としている。こうした事からこれらの融資は「補完金融」と呼ばれ
ている。特に、情報の非対称性などを原因とした中小企業向け貸出市場におけ
る「市場の失敗」を補完し資源配分を改善することができる。このため、景気
の後退などによって金融機関の貸出態度が硬化して中小企業に必要な資金供給
2特 に 、 政 府 系 金 融 機 関 に お け る 融 資 形 態 に お い て は 、 直 接 融 資 の 手 法 が 最 も 多 く 用 い ら れ て い る 。
13
が行われなくなる、
「 信 用 割 当 」が 生 じ た と き に 、そ の よ う な 影 響 を 受 け た 企 業
に 対 し て 資 金 を 供 給 す る セ ー フ テ ィ ー ネ ッ ト と し て の 役 割 が 期 待 さ れ る 。ま た 、
不透明な新規事業に取り組んでいる小規模業者などの、民間金融機関にとって
リスクを十分にカバーし難いハイリスク企業への資金供給といった役割もあげ
5
られる。
しかしながら、政府系金融機関にはこうした民業の補完的機能を発揮してい
る一方で、民間金融機関に対し、補完機能を発揮する以上の貸出を行なってい
る可能性があり、また、政府系金融機関が中小企業向け貸出に過度に参入し、
そ れ が 民 間 金 融 機 関 の 収 益 性 を 悪 化 さ せ て い る と い う 、い わ ゆ る「 民 業 圧 迫 論 」
10
の可能性が指 摘される ようになって いった 。この部分につ いては 第 4 章で検討
することとし、以下では政府系金融機関の現況について述べる。
近 年 、 政 府 系 金 融 機 関 に 関 す る 各 種 改 革 が 実 行 さ れ て 、 下 図 2—8 の よ う に 主
要 8 機 関 の 統 合 が 行 わ れ 、日 本 政 策 投 資 銀 行 な ど の 一 部 機 関 は 完 全 民 営 化 が な
されることになった。
15
20
25
30
14
図 2-8 政 府 系 金 融 機 関 の概 要
資料
5
「 マ イ ナ ビ 2015」 よ り 引 用
し か し な が ら 、2008 年 に 起 き た リ ー マ ン・シ ョ ッ ク を 原 因 と し た 景 気 後 退 に
より、中小企業の資金繰りの悪化や民間金融機関の貸し出し態度の悪化を受け
て改革が再び見直されることになったのである。現在では、主な政府系金融機
関 と し て は 「 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 」、「 株 式 会 社 日 本 政 策 投 資 銀 行 」、「 株
式 会 社 商 工 組 合 中 央 金 庫 」、
「 株 式 会 社 国 際 協 力 銀 行 」、
「 沖 縄 振 興 開 発 金 融 公 庫 」、
10
「 住 宅 金 融 支 援 機 構 」 の 6 つ が 存 在 し て い る 。 次 項 の 表 2- 2 は 、 近 年 に お け
る変更点をまとめたものである。
15
15
表 2—2 近 年 における政 府 系 金 融 機 関 の動 向
金融機関名
主な変更点
株式会社日本政策金融公庫
2012 年 よ り 、 国 際 金 融 部 門 が 分 離 独
立。
株式会社日本政策投資銀行
2015 年 よ り 5- 7 年 後 を め ど に 完 全 民
営化を先送り
株式会社商工組合中央金庫
2015 年 よ り 5- 7 年 後 を め ど に 完 全 民
営化を先送り
株式会社国際協力銀行
2012 年 よ り 、株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公
庫より独立
沖縄振興開発金融公庫
完 全 独 立 の 予 定 年 度 が 2012 年 度 か ら
2022 年 度 以 降 に 先 送 り
住宅金融支援機構
2007 年 よ り 住 宅 金 融 公 庫 か ら 移 行
筆者作成
ま ず 、2008 年 に 3 つ の 政 府 系 金 融 機 関 を 統 合 す る こ と で 新 た に 誕 生 し た「 日
5
本政策金融公庫」について述べる。日本政策金融公庫は基本的には旧 3 機関の
業務を引き継いだ形となっており、豊富な融資メニューがありほぼ全てにおい
て「 10 年 以 内 」や「 15 年 以 内 」と い っ た 長 期 資 金 の 貸 出 が 可 能 と な っ て い る 。
国民生活事業においては、小規模企業向けの小口資金や新規開業資金、教育ロ
ーンなどが融資制度の中心となっている。農林水産事業では、運転資金や設備
10
資金などを農林漁業や食品産業向けに長期事業資金の提供を行っており、特に
食品産業向けの融資は中小企業のみを対象としている。中小企業事業において
は、文字通り中小企業を対象としており他の事業と同様に長期事業資金の提供
を行っている。
この他にも「日本政策投資銀行」や「株式会社商工組合中央金庫」といった
15
政 府 系 金 融 機 関 が あ る 。こ れ ら は 当 初 2008 年 度 か ら 5- 7 年 後 を 目 途 に 完 全 民
営化を予定していた。しかし、リーマンショックによる景気後退などが影響し
て 完 全 民 営 化 が 先 送 り と な っ て お り 、現 在 は 2015 年 度 か ら 5- 7 年 後 を め ど に
完全民営化を完了する予定となっている。日本政策投資銀行においては、具体
16
的な融資期間を明らかにはしていないものの、基本的には中長期資金の融資を
中心としている他、クレジット・スコアリングなどの融資手法も行っている。
また、
「 株 式 会 社 商 工 組 合 中 央 金 庫 」で は 、中 小 企 業 を 対 象 と し て 設 備 資 金 や 長
期運転資金から、手形割引などの短期運転資金というように、事業のために必
5
要とする資金に対して幅広い融資を行っていることを売りとしている。
ま た 、国 際 協 力 銀 行 や 沖 縄 振 興 開 発 金 融 公 庫 、住 宅 金 融 支 援 機 構 に お い て は 、
上 記 に あ げ た 3 つ の 政 府 系 金 融 機 関 よ り も 融 資 対 象 は 限 定 さ れ る も の の 、中 小
企業向けに長期資金の融資を行っている。3
以上のことから、我が国の各種政府系金融機関では中小企業向け貸出におい
10
ては豊富な資金供給メニューを備えており、特に長期資金に関する融資メニュ
ーが充実していることが分かる。
4、まとめ
15
中小企業の資金調達においては間接金融、特に民間金融機関からの借り入れ
に 依 存 し て お り 、直 接 金 融 に よ る 資 金 調 達 は ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。さ ら に 、
金融機関が企業にとっての一種の疑似資本となっていることが推測できる。そ
の要因は、株式や社債の発行といった直接金融による資金調達自体が中小企業
にとっては困難なことである。また、中小企業におけるもう一つの資金調達先
20
として、政府系金融機関などの公的金融機関が存在している。政府系金融機関
は長期資金に関する融資メニューが充実していることを特徴としている。さら
に、民間金融機関から十分な資金を調達できない企業への資金供給を目的とす
るなど、民業補完的な意義を持っている。しかし一方で政府系金融機関の過度
な貸出が民業圧迫を行っているとの指摘がある。
25
3 国 際 協 力 銀 行 は J ICA と 日 本 政 策 金 融 公 庫 に 一 度 分 離 統 合 さ れ た が そ の 後 、 2 0 1 2 年 に 分 離 ・ 独 立
を行い現在は「株式会社国際協力銀行」となっている。ここでは、日本企業と外国企業の取引の促
進や日本企業の海外進出のなどを目的とした融資が行われている。
ま た 、 2012 年 度 に 日 本 政 策 金 融 公 庫 に 統 合 が 予 定 さ れ て い た 「 沖 縄 振 興 開 発 金 融 公 庫 」 は 、 2022
年度以降まで統合が先送りされた。ここでは中小・小規模事業者を対象とした融資が主であり、ほ
とんどのメニューにおいて 5 年以上の長期資金の調達が可能となっている。
こ の 他 に も 2 0 0 7 年 よ り 住 宅 金 融 公 庫 か ら 移 行 し た「 住 宅 金 融 支 援 機 構 」が あ り 、
「まちづくり融資」
と呼ばれる不動産賃貸業者向けの長期資金の融資も行っている。
17
第 3 章、中小企業の資金調達の厳しさ
前節では,中小企業の資金調達は多くが金融機関の貸出を中心とする間接金
融によって占められていることが分かった。また直接金融による資金調達は中
5
小企業にとって大きな負担となる点から導入は現実的ではないことが分かった。
ま た 、中 小 企 業 の 多 く が 間 接 金 融 に よ る 資 金 調 達 で 賄 え て い る と 回 答 す る 企 業
が多かったことも事実である。しかし景気や社会情勢の変化で中小企業の資金
繰りは悪化しないのだろうか。特に景気が後退局面に差し掛かった時、資金を
調達する中小企業と資金を供給する金融機関はどのような行動をとったのであ
10
ろうか。これから資金調達するときにおいて資金繰りの状態を数値化した資金
繰 り DI 値 、 資 金 の 貸 し 手 で あ る 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 を 数 値 化 し た 貸 出 態 度 DI
値を大企業、中堅企業、中小企業別に区別し、中小企業が景気の動向で資金繰
りはどのように変化しているのだろうか。
15
1,資 金 繰 り DI、 貸 出 態 度 DI の 推 移
DI(Diffusion
Index)と は グ ル ー プ の 合 計 値 か ら 良 い (増 加 )グ ル ー プ の 合 計 値
か ら 悪 い (減 少 )グ ル ー プ の 合 計 値 を 差 し 引 い た も の で あ る 。 こ こ で 引 用 さ れ る
資 金 繰 り DI は 企 業 の 資 金 繰 り の 合 計 を 、(資 金 調 達 が )楽 で あ る と 回 答 し た 合 計
値 か ら 、 (資 金 調 達 が )厳 し い と 回 答 し た 合 計 値 を 差 し 引 い た も の で あ る 。 ま た
20
貸 出 態 度 DI に 関 し て は 金 融 機 関 の 企 業 へ の 貸 出 態 度 を 、(貸 出 態 度 が )緩 い と 回
答 し た 合 計 値 を (貸 出 態 度 が )厳 し い と 回 答 し た 合 計 値 を 差 し 引 い た も の で あ る 。
ま ず は 企 業 の 資 金 繰 り DI の 推 移 か ら 検 証 す る 。図 3- 1 よ り 大 企 業 、中 堅 企 業 、
中 小 企 業 の 資 金 繰 り DI は バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 し た 1990 年 か ら 1993 年 に か け て
DI 値 は 悪 化 し 、 ま た バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の 不 良 債 権 問 題 が 表 面 化 し た 1997 年 、
25
1998 年 に 再 び DI 値 が 悪 化 、 ま た 不 良 債 権 残 高 が ピ ー ク に 達 し た 2002 年 、 サ
ブ プ ラ イ ム ロ ー ン を 発 端 と し た リ ー マ ン シ ョ ッ ク が 発 生 し た 2008 年 、2009 年
に 悪 化 し て い る の で あ る 。特 に 企 業 規 模 別 の 違 い を 見 る と バ ブ ル 経 済 崩 壊 か ら 、
山 一 證 券 が 経 営 破 た ん す る 前 の 1992 年 か ら 1997 年 の 間 に 大 企 業 に 関 し て は
1992 年 の DI が ー 2 を 記 録 し た 後 、1993 年 に 2、1994 年 に 12、1995 年 に 14、
30
1996 年 に 15 と 推 移 し 、 DI 値 が 回 復 し 、 ま た 中 堅 企 業 に 関 し て も 1992 年 に
18
DI が ー 5 を 記 録 し た 後 、 1993 年 に ー 8、 1994 年 に ー 2、 1995 年 に 1、 1996 年
に 3 と 推 移 し て い る 。こ の 点 に お い て 大 企 業 、中 堅 企 業 は 1992 年 、1993 年 を
底 に 金 融 シ ス テ ム の 混 乱 が 起 き る 1997 年 ま で に 資 金 繰 り は 改 善 し て い る こ と
が わ か る の で あ る 。 し か し 中 小 企 業 に お い て は 1992 年 に 資 金 繰 り DI 値 が ー 2
5
を 記 録 し た 後 に 、 1993 年 に ー 5、 1994 年 に ー 10、 1995 年 に ー 10、 1996 年 に
ー 12、 1997 年 に ー 12 で 推 移 し て い る 。 バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 か ら 山 一 証 券 の 経 営
破 綻 の 金 融 シ ス テ ム の 混 乱 ま で 中 小 企 業 の 資 金 繰 り は 大 企 業 、中 堅 企 業 と 違 い 、
一 貫 し て 悪 化 し て い る の で あ る 。こ の こ と か ら 景 気 後 退 期 に 大 企 業 、中 堅 企 業 、
中小企業の資金繰りは共通して悪化するが,信用力が大企業、中堅企業と比較
10
して劣る中小企業は長期間、影響を受けることから資金繰りが厳しいことが考
え ら れ る 。 同 じ く 不 良 債 権 が ピ ー ク に 達 し た 2002 年 、 リ ー マ ン シ ョ ッ ク が 発
生 し た 2008 年 に も 金 融 機 関 は 貸 出 を 渋 り 、 大 企 業 、 中 堅 企 業 、 特 に 中 小 企 業
は資金調達が厳しくなっている。
15
図 3-1 企 業 の資 金 繰 り DI の推 移
資料「日本銀行
主要時系列統計データ表」
次 に 民 間 金 融 機 関 な ど の 資 金 供 給 側 の 貸 出 態 度 DI 値 を 見 て い き た い 。 図 3-
20
2 よ り バ ブ ル 経 済 崩 壊 前 の 1989 年 、 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 は 大 企 業 、 中 堅 企 業 、
19
中小企業に大差はなく大きくプラスであった。しかしバブル経済の崩壊で金融
機 関 が 貸 出 に 対 し 態 度 を 厳 格 化 さ せ 、 金 融 機 関 の 破 た ん が 発 生 し た 1998 年 に
は大企業、中堅企業、中小企業も共通して金融機関は貸出態度を大きく厳格化
し た の で あ る 。そ し て こ の 不 良 債 権 問 題 の 表 面 化 か ら 、金 融 機 関 は 担 保 、保 証 、
5
モニタリングの効率化を推進し、大企業、中堅企業、中小企業に対する金融機
関の貸出態度に変化が生じたのである。信用力のある大企業、中堅企業に対し
ては貸出を比較的容易に行っていったのに対し、信用力に劣る中小企業に対し
て は 依 然 金 融 機 関 が 貸 出 に 慎 重 に な っ た 図 3- 2 か ら 大 企 業 に 対 す る 貸 出 態 度
DI が ー 22、中 堅 企 業 に 対 す る 貸 出 態 度 DI が ー 21 を 記 録 し た 1998 年 に 底 を 脱
10
し た 。そ し て 2002 年 、2007,2008 年 と 景 気 変 動 に よ る 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 は
悪 化 し た 。 そ れ 以 外 の 期 間 は 大 企 業 、 中 堅 企 業 に 対 す る 貸 出 態 度 DI は プ ラ ス
で 推 移 し て い る 。 し か し 中 小 企 業 に 対 す る 貸 出 態 度 DI の 推 移 は 大 企 業 、 中 堅
企 業 と 異 な っ て い る 。 1989 年 か ら バ ブ ル 崩 壊 で 1992 年 に DI 値 が 急 激 に 悪 化
し DI 値 が 2 を 記 録 し た 。そ の 後 1996 年 ま で DI 値 が 改 善 し 、1998 年 に DI が
15
ー 22 と 大 幅 に 悪 化 し 、 そ の 後 2003 年 ま で 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 は マ イ ナ ス 値 を
記 録 し た 。1998 年 は 大 企 業 、中 堅 企 業 、中 小 企 業 に 対 し 金 融 機 関 が 貸 出 を 大 き
く 悪 化 さ せ た 年 で あ る 。大 企 業 は 1999 年 に は DI は プ ラ ス に 回 復 し 、中 堅 企 業
も 2000 年 に プ ラ ス に 回 復 し て い る 。先 述 し た と お り 中 小 企 業 場 合 DI が プ ラ ス
に 回 復 し た の は 2004 年 で あ る 。 こ の こ と か ら 中 小 企 業 に 対 す る 金 融 機 関 が 景
20
気の悪化で貸出態度を厳格化した場合、大企業、中堅企業と比べ貸出態度が改
善するスピードが遅いことがわかる。
25
30
20
図 3-2 金 融 機 関 の貸 し出 し態 度 DI の推 移
資料「日本銀行
5
主要時系列統計データ表」
こ れ ら の 点 か ら , バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 し た 1990 年 か ら 金 融 機 関 の 破 た ん が 発 生
し た 1998 年 ま で 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 の 厳 格 化 が 見 ら れ , ま た 不 良 債 権 残 高 が
ピ ー ク に 達 し た 2002 年 、リ ー マ ン シ ョ ッ ク が 発 生 し た 2007 年 に も 同 じ よ う な
現象が見られたことがわかる。特に大企業、中堅企業の場合貸出態度の悪化は
存在してもその後の貸出態度の改善のスピードが速いのに対し、信用力が劣る
10
中小企業は改善のスピードが遅いことがわかる。中小企業の資金の貸し手であ
る金融機関が貸出を渋れば中小企業の資金調達は苦境に立たされることがわか
る 。資 金 繰 り DI と 貸 出 態 度 DI の 関 係 性 を 整 理 す る と 第 1 に 景 気・社 会 情 勢 の
後 退 か ら 金 融 機 関 に 影 響 が 表 れ 、 そ れ は 貸 出 態 度 DI に 反 映 さ れ る 。 第 2 に 貸
出 態 度 DI の 悪 化 で 大 企 業 、 中 堅 企 業 、 中 小 企 業 の 資 金 繰 り が 悪 化 し 、 資 金 繰
15
り DI に 反 映 さ れ る 。 第 3 に 景 気 の 回 復 と と も に 金 融 機 関 の 貸 出 態 度 が 改 善 さ
れ 、 貸 出 態 度 DI に 反 映 さ れ る 。 第 4 に 大 企 業 、 中 堅 企 業 は 信 用 力 を 背 景 に 比
較 的 短 期 間 に 資 金 繰 り が 改 善 さ れ 、 資 金 繰 り DI に も 反 映 さ れ る 。 し か し 中 小
21
企業の場合信用力が劣る点から資金繰りの改善には長期間の時間を要すること
がわかる。中小企業の資金繰りは景気動向の煽りを多く受けるのである。
2、 政 府 系 金 融 機 関 に よ る 中 小 企 業 向 け 貸 出 量 の 増 加
5
バブル経済の崩壊、不良債権問題、金融機関の破たん及び金融システムの混
乱、リーマンショック、東日本大震災など社会情勢の動向の煽りを多く受ける
中小企業の資金調達は苦境に立たされた。これらの事態に政府系金融機関は中
小企業に対する貸出を増大させた。政府系金融機関の貸出量の推移から検証し
ていきたい。
10
図 3-3 政 府 系 金 融 機 関 の中 小 企 業 向 け貸 出 残 高
政府系金融機関 中小企業向け貸
出 (兆円)
35
30
25
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
20
中小企業向け貸出
(兆円)
資 料「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版 1、近 年 減 少 傾 向 に あ る 中 小 企 業 向 け 貸
出」
15
「 中 小 企 業 白 書 2012 年 版 10 表 お よ び 13 表 」
図 3- 3 は 政 府 系 金 融 機 関 の 中 小 企 業 向 け 貸 出 残 高 の 推 移 を 表 し て い る 。 ま
た 、図 3- 4 は 民 間 金 融 機 関 の 中 小 企 業 向 け 貸 出 残 高 の 推 移 を 表 し て い る 。図 3
- 3 よ り 、政 府 系 金 融 機 関 が 貸 出 量 を 増 加 さ せ た の は 1993 年 か ら 1994 年 、1997
年 か ら 1999 年 、 2008 年 か ら 2009 年 で あ る 。
20
22
図 3-4 民 間 金 融 機 関 の中 小 企 業 向 け貸 出 残 高
民間金融機関 中小企業向け貸出
(兆円)
300
250
1989年
1991年
1993年
1995年
1997年
1999年
2001年
2003年
2005年
2007年
2009年
2011年
2013年
200
資料
「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版
民間金融機関
企業向け貸出
円)
中小
(兆
1、 近 年 減 少 傾 向 に あ る 中 小 企 業 向 け 貸 出 」
「 中 小 企 業 白 書 2012 年 版 10 表 お よ び 13 表 」
5
図 3- 4 よ り 民 間 金 融 機 関 の 貸 出 量 は 1993 年 か ら 1994 年 の 間 に 、 貸 出 量 は
微 増 と な っ て い る 。 し か し 1997 年 か ら 1999 年 の 場 合 、 貸 出 量 1997 年 の 327
兆 5000 億 円 か ら 1999 年 の 291 兆 4000 億 円 へ 大 幅 に 貸 出 量 が 減 少 し て い る 。
同 じ く 2008 年 か ら 2009 年 の 間 で も 、 貸 出 量 が 2008 年 の 237 兆 8000 億 円 か
10
ら 2009 年 の 230 兆 8000 億 円 へ と 減 少 し て い る 。
政府系金融機関の貸出量は民間金融機関が貸出量を減少させた時、資金繰り
DI が 悪 化 し た 時 、 貸 出 態 度 DI が 悪 化 し た 時 に 増 加 す る こ と が わ か る 。 民 間 企
業が貸出を減少させ、貸出がいつ回復するかわからない状況の中、政府系金融
機関の貸出が増加することで中小企業の資金繰りの悪化を食い止める一因にな
15
ったと考えられる。
20
23
図 3-5 政 府 系 金 融 機 関 の占 める中 小 企 業 向 け貸 出 のシェア
政府系金融機関
シェア
11%
10%
9%
政府系金融機関 シェア
8%
資料
2013年
2011年
2009年
2007年
2005年
2003年
2001年
1999年
1997年
1995年
1993年
1991年
1989年
7%
「 中 小 企 業 白 書 2012 年 版 10 表 お よ び 13 表 」
「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版 1、 近 年 減 少 傾 向 に あ る 中 小 企 業 向 け 貸 出 」
5
バ ブ ル 経 済 崩 壊 前 の 1989 年 に は 政 府 系 金 融 機 関 が 中 小 企 業 向 け 貸 出 に 占 め
る シ ェ ア は 8.5% で あ る 。し か し バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 後 に シ ェ ア が 上 昇 し 、1992
年 に は 9.1% の シ ェ ア を 占 め て い る 。 山 一 證 券 の 経 営 破 綻 で 金 融 シ ス テ ム が 混
乱 し た 1998 年 で も 8.3% 、 1999 年 に 9.3% の シ ェ ア を 占 め て い る 。 不 良 債 権
10
残 高 が ピ ー ク に 達 し た 2002 年 も 9.8% の シ ェ ア を 占 め 、リ ー マ ン シ ョ ッ ク 、東
日 本 大 震 災 が 発 生 し た 2008 年 か ら 2011 年 に も シ ェ ア は 2008 年 の 8.2% か ら
2011 年 に 9.2% へ 拡 大 し て い る こ と が 分 か る 。 こ の よ う に 景 気 の 後 退 局 面 に
は政府系金融機関のシェアは増加していることがわかる。政府系金融機関のセ
ーフティーネットとしてのシェアに相応したシェアであると考えられる。
15
し か し 2003 年 以 降 は 民 間 金 融 機 関 の 中 小 企 業 向 け 貸 出 が 横 ば い に も か か わ
らず、政府系金融機関のシェアは増大している。この時に、政府系金融機関が
貸出を減らさないので民間金融機関の収益が悪化する民業圧迫が指摘され始め
た。これまでも政府系金融機関の民業圧迫の是非の研究は政府系金融機関のシ
ェ ア に よ る 判 断 が 大 き か っ た 。 全 国 銀 行 協 会 [2001]「 政 府 系 金 融 機 関 の 抜 本 的
20
改革に向けた提言」では「政府系金融機関は、わが国の貸出市場において平成
13 年 3 月 末 現 在 で 約 28% も の 巨 大 な シ ェ ア を 占 め て い る 。 分 野 別 に 見 る と 、
住 宅 融 資 分 野 で 約 40% 、大・中 堅 企 業 分 野 で 約 17% 、中 小 企 業 分 野 で 約 9% に
も及んでいる」と民業圧迫を肯定する記述がなされている。しかし政府系金融
24
機 関 の 貸 出 量 自 体 は 20 兆 か ら 30 兆 円 の 間 で 推 移 し て お り 、そ れ が 直 接 民 業 圧
迫になるとは考えにくい。また独立行政法人経済産業研究所は「中小企業向け
貸 出 残 高 に 占 め る 3 機 関 の シ ェ ア は 80 年 代 に 低 下 し 、90 年 代 以 降 は 8~ 9% で
推移していたが、銀行の貸し渋りに対するセーフティーネットの役割を果たし
5
た こ と を 受 け 、2003 年 度 末 に か け て 若 干 上 昇 し た 。そ れ で も 2004 年 度 末 (2005
年 3 月 末 )現 在 の シ ェ ア は 10.1% (融 資 残 高 25.5 兆 円 )と 、 量 で 見 る 限 り は そ れ
ほど大きくなく、民業圧迫とは言いがたい」と記述されていることから政府系
金融機関の民業圧迫をシェアの観点から検証するには現実味がない。
そ こ で わ れ わ れ は 政 府 系 金 融 機 関 の 民 業 圧 迫 を 独 自 に 定 義 づ け し 、第 4 章 で
10
検証していくこととする。
15
20
25
30
25
第 4 章、政府系金融機関の民業圧迫は存在するのか
前章では中小企業は景気や社会情勢の煽りを多く受ける傾向があることが分
かった。中小企業の資金調達は,大企業、中堅企業に比べ信用力が劣るため,
5
特に景気の悪化局面では、金融機関の不良債権の増加による収益圧迫への懸念
で貸出態度が悪化し貸出に消極的になり、企業の資金繰りの悪化とリンクして
悪化することが分かった。その状況を打開すべく、政府系金融機関は貸出量を
増やしていったのである。
しかしバブル経済崩壊後の不良債権問題を発端とした民間金融機関による貸
10
し渋り、貸しはがし、リーマンショック後の民間金融機関の貸出態度厳格化な
ど民間金融機関が中小企業向け貸出に消極的であった期間を経た後に、民間金
融機関の中小企業貸出が回復していくと、政府系金融機関が中小企業向け貸出
に過度に参入し、それが民間金融機関の収益性を悪化させる「民業圧迫論」が
表面化したのである。しかし、実際政府系金融機関は,民業圧迫を行っていた
15
のであろうか。本章ではこのような問題設定の下で政府系金融機関による民業
圧迫について検証する。
1)仮 説 の 設 定
民業圧迫といっても確定的な定義は存在するわけではない。そこで我々は民
20
業圧迫を政府系金融機関による中小企業向け貸出が民間金融機関によるそれと
比較して以下の3点で定義する。①両者の貸出期間が重複する、②両者の貸出
の 動 き が 同 期 す る( 同 じ 方 向 へ 動 く )、③ 貸 出 金 利 が 都 市 銀 行 と 比 べ 下 回 る こ と
である。政府系金融機関の中小向け貸出の特徴として低金利・長期貸出があげ
られる。しかしそのような貸出が民間金融機関の中小向け貸出の収益性を悪化
25
させているということが議論されている。
2) 貸 出 期 間 の 重 複
第 一 に 政 府 系 金 融 機 関 の 貸 出 期 間 の 重 複 に よ る 民 業 圧 迫 で あ る 。 図 4-1 に よ
る と ,民 間 金 融 機 関 に よ る 中 小 企 業 向 け 貸 出 は 貸 出 期 間 が 5 年 以 内 の 短 期 貸 出
30
が 全 体 の 79.5% を 占 め て お り 、 5 年 を 超 え る 長 期 貸 出 は 全 体 の 20.5% 、 そ の
26
13% が 固 定 金 利 と な っ て い る 。民 間 金 融 機 関 は 中 小 企 業 に 対 し 主 に 5 年 以 内 の
短期貸出による貸出が大半を占めていることがわかる。
図 4-1 民 間 金 融 機 関 の中 小 企 業 向 け貸 出 期 間
貸出期間5年
超(固定金
利), 13
貸出期間5
年超(変動
金利), 7.5
貸出期間5
年以下,
79.5
5
資料
日 本 政 策 金 融 公 庫 [2007]「 JASME」
図 4- 2 は 日 本 政 策 金 融 公 庫 の 中 小 企 業 向 け 貸 出 の 内 訳 を 表 し た グ ラ フ で あ
る 。民 間 金 融 機 関 が 5 年 以 下 の 短 期 貸 出 が 中 小 企 業 向 け 貸 出 の 多 く を 占 め る の
10
に対し、日本政策金融公庫の中小企業向け貸出に占める長期貸出の割合は貸出
期 間 5 年 以 下 の 短 期 貸 出 が 50.7% 、 貸 出 期 間 5 年 超 の 長 期 貸 出 が 49.3% を 占
めている。民業圧迫の定義①中小企業への貸出期間の重複の観点から判断する
と、民間金融機関は 5 年以下の短期貸出が中心であり、民間金融機関による長
期資金の供給は中小企業向け貸出市場においては小規模であることが分かる。
15
そ れ に 対 し て ,政 府 系 金 融 機 関 は 中 小 企 業 に 対 し 長 期 資 金 の 供 給 を 行 っ て お り ,
その意味で民間金融機関の補完的な役割を行っているのである。よってこの点
においては,政府系金融機関が民業圧迫を行っていないと言うことができる。
むしろ政府系金融機関は中小企業に対して,民間金融機関が供給しない長期資
金を供給して,中小企業の窮状一定程度救っていると考えられる。
20
27
図 4-2 日 本 政 策 金 融 公 庫 の貸 出 金 の内 訳
長期貸出(5
年以上), 短期貸出(5
49.3
年以下),
50.7
資料
5
日本政策金融公庫「中小企業事業
融資業務」
3) 貸 出 の 動 き
第二に政府系金融機関の中小企業向け貸出量と民間金融機関の貸出量の伸び
率に着目し民業圧迫を検証する。景気悪化など民間金融機関が前年に比べ貸出
量を減少させれば、政府系金融機関は貸出量を増やす、景気回復などで民間金
融機関が前年に比べ貸出量を増やせば、政府系金融機関が貸出量を減らす。こ
10
れが政府系金融機関のあるべき姿である。そしてこの補完関係が政府系金融機
関としての補完行動である。実際の民間金融機関と政府系金融機関の貸出量の
伸び率を検証する。
図 4- 3 は 民 間 金 融 機 関 及 び 政 府 系 金 融 機 関 の 前 年 と 比 較 し た 貸 出 量 の 伸 び
率 増 減 を 表 し た グ ラ フ で あ る 。1989 年 か ら 1991 年 の 期 間 は 民 間 金 融 機 関 、政
15
府 系 金 融 機 関 が と も に 毎 年 貸 出 量 を 増 加 し た こ と が 分 か る 4 。し か し 当 時 は 貸 出
量が全体的に増大傾向にあったため民業圧迫は立証できないのが現状である。
し か し 1992 年 以 降 , バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に よ り 民 間 金 融 機 関 は 貸 出 量 を 減 少
さ せ て い る 。 民 間 金 融 機 関 の 貸 出 は 1996 年 か ら 著 し く 減 少 し , 山 一 証 券 の 経
営 破 綻 の 1998 年 ,99 年 に は 大 き く 減 少 し た 。具 体 的 に は ,1996 年 に 前 年 比 2%
20
減 、 1997 年 に 前 年 比 2% 減 、 1998 年 に 前 年 比 4% 減 、 1999 年 に 前 年 比 8% 減
となっている。そのように民間金融機関が貸出量を減少させていく中で、政府
4
この時期はバブル経済期であり、民間金融機関、政府系金融機関ともに貸出
が増える特異な時期であったため、この現象は今後検証していきたい。
28
系 金 融 機 関 の 貸 出 量 は 、1996 年 に 前 年 比 3% 減 、1997 年 に 前 年 比 2% 減 の 貸 出
量 で あ っ た が 、1998 年 に 前 年 比 4% 増 、1999 年 に 4% 増 で 推 移 し て い る 。そ し
て 2000 年 、一 時 的 に 民 間 金 融 機 関 の 貸 出 伸 び 率 が 前 年 比 1% 増 と な っ た 時 、政
府 系 金 融 機 関 の 貸 出 伸 び 率 は 前 年 比 2% 減 と な っ て い る 。2004 年 か ら 景 気 回 復
5
とともに民間金融機関の貸出伸び率が増加していくのである。
2002 年 に 貸 出 伸 び 率 の 下 落 が 底 を 脱 し 、リ ー マ ン シ ョ ッ ク 前 の 2007 年 ま で
減 少 基 調 で あ る が 縮 小 幅 が 縮 小 し 、2006 年 に は 前 年 比 4% 増 の 貸 出 伸 び 率 を 記
録し貸出量が回復した。この時期においても政府系金融機関は民間金融機関の
貸出伸び率が回復したことから貸出伸び率は縮小している。
10
同 じ よ う に リ ー マ ン シ ョ ッ ク 発 生 の 2008 年 頃 な ど の 時 期 に お い て も 景 気 悪
化で民間金融機関の貸出伸び率が縮小すると政府系金融機関は貸出伸び率が拡
大していることがわかる。
以上のように民間金融機関の貸出の動きと政府系金融機関の貸出の動きは補
完関係にある。つまり前者が上昇する時に後者低下することが分かる。我々が
15
定義したように,民間金融機関と政府系金融機関の貸出の動きが同期するとい
う意味で民業圧迫しているとは言えないのである。
図 4-3 政 府 系 金 融 機 関 と民 間 金 融 機 関 の貸 出 伸 び率
110
105
100
民間金融機関伸び率
95
政府系金融機関伸び率
90
20
資料
「 中 小 企 業 白 書 2012 年 版
「 中 小 企 業 白 書 2012 年 版
「 中 小 企 業 白 書 2002 年 版
2013年
2011年
2009年
2007年
2005年
2003年
2001年
1999年
1997年
1995年
1993年
1991年
1989年
85
10 表 金 融 機 関 別 中 小 企 業 向 け 貸 出 残 高 」
13 表 金 融 機 関 別 中 小 企 業 向 け 貸 出 残 高 」
1、 近 年 減 少 傾 向 に あ る 中 小 企 業 向 け 貸 出 」
29
4) 金 利 の 官 民 格 差
最 後 に 金 利 面 か ら 見 る 民 業 圧 迫 を 検 証 し て い き た い 。 図 4- 7 は 民 間 金 融 機
関 の 貸 出 金 利 の 推 移 で あ る 。バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 し 、1991 年 ご ろ か ら 貸 出 金 利 の
低 下 が 始 ま り 、ま た 1996 年 か ら 2001 年 に か け て 金 融 ビ ッ グ バ ン が 発 生 し 、更
5
に 1998 年 に は 日 本 銀 行 の ゼ ロ 金 利 政 策 が 導 入 さ れ た 。2001 年 に は ソ ニ ー 銀 行 、
楽 天 銀 行 、セ ブ ン 銀 行 が 銀 行 業 に 参 入 し 、2006 年 に は イ オ ン 銀 行 が 銀 行 業 に 参
入 し た 。こ れ ら の 参 入 は 金 利 競 争 を 激 化 さ せ 貸 出 金 利 が 低 下 し た 。そ し て 2014
年 に 貸 出 金 利 は 都 市 銀 行 が 1.1% 、第 一 地 方 銀 行 が 1.4% 、第 二 地 方 銀 行 が 1.6% 、
信 用 金 庫 が 2% と な っ て い る 。
10
図 4-4 民 間 金 融 機 関 の貸 出 金 利 の推 移
15
20
日本銀行「預金・貸出関連統計」より作成
※ピンク:国内銀行、オレンジ:都市銀行、紫:地方銀行、赤:地方銀行Ⅱ、
緑 : 信 託 銀 行 ( 2002 年 3 月 ま で )、 水 色 : 長 期 信 託 銀 行 ( 2002 年 3 月 ま で )、
青:信用金庫。また、黒い枠の部分は景気後退期である事を表している。
25
表 4- 4 は 政 府 系 機 関 の 一 機 関 で あ る 日 本 政 策 金 融 公 庫 の 貸 出 金 利 を 表 し た
も の で あ る 。 一 般 貸 付 の 基 準 利 率 は 5 年 以 下 の 貸 付 期 間 で 1.40% 、 19 年 超 20
年 以 内 の 貸 付 で は 2.20% と な っ て い る 。商 工 組 合 中 央 金 庫 の 貸 出 金 利 に 関 し て
は 長 期 貸 出 に つ い て は 1.15% 、 短 期 貸 出 に つ い て は 1.145% と な っ て い る 。 両
30
者を比較すると,政府系金融機関の一般貸出金利が突出して低金利で貸出を行
30
っているとは言い難い。しかし日本政策金融公庫では特別金利という優遇金利
が存在し、新企業育成貸付、企業活力強化貸付、環境・エネルギー対策貸付、
セーフティーネット貸付、企業再生貸付などの貸出においては各々の中小企業
の 状 況 に 応 じ て 特 別 金 利 の 導 入 を 行 っ て い る と さ れ る 。 表 4- 5 よ り 日 本 政 策
5
金 融 公 庫 の 特 別 利 率 は 0.5% か ら 1.80% で 設 定 さ れ て い る 。
表 4-5 日 本 政 策 金 融 公 庫 の貸 付 金 利 一 覧
平 成 26 年 10 月 10 日 実 施
主な貸付利率
貸付期
特別利率
特別利率
特別利率
1.40%
1.00%
0.75%
0.50%
2.20%
1.80%
1.55%
1.30%
間
基準利率
5 年以内
19 年 超
20 年 以
内
日 本 政 策 金 融 公 庫 「 金 利 情 報 中 小 企 業 事 業 ( 主 要 利 率 一 覧 表 )」 よ り 引 用
10
図 4- 6 は 民 間 金 融 機 関 と 政 府 系 金 融 機 関 の 金 利 比 較 を 表 し た グ ラ フ で あ る 。
先 述 し た よ う に 014 年 に 貸 出 金 利 は 都 市 銀 行 が 1.1% 、 第 一 地 方 銀 行 が 1.4% 、
第 二 地 方 銀 行 が 1.6% 、信 用 金 庫 が 2% と な っ て い る 。そ れ に 対 し 、日 本 政 策 金
融 公 庫 の 特 別 金 利 は 0.5% か ら 1.80% で 推 移 し て い る 。 特 別 金 利 の 場 合 、 都 市
15
銀行よりも貸出金利が低い点から政府系金融機関の民情圧迫が指摘される。
20
31
図 4-6 民 間 金 融 機 関 と政 府 系 金 融 機 関 の金 利 比 較
貸出金利
(2014年)
2%
1%
0%
貸出金利
資料
日本銀行「預金・貸出関連統計」
商 工 組 合 中 央 金 庫 「 法 人 ・ 個 人 事 業 主 の お 客 様 TOP
5
ご資金の調達」
日 本 政 策 金 融 公 庫 「 金 利 情 報 中 小 企 業 事 業 ( 主 要 利 率 一 覧 表 )」
では特別金利が適用される中小企業はどのような場合なのだろうか。
日本政策金融公庫が特別金利を適用する場合は条件が存在する。1 つに事業
の新規性、成長性を支援する新規事業育成貸付に適用される。2 つに店舗の新
10
築、増改築、機械設備の導入などの企業活力強化貸付に適用される。3 つに非
化石エネルギー設備や省エネルギー効果の高い設備導入などの環境・エネルギ
ー対策貸付に適用される。4 つに売り上げ減少、金融機関から貸し出しを断ら
れた時にセーフティーネット貸付が適用される。5 つに民事再生法の適用や経
営再建に企業再生貸付が適用される。最後に海外へ進出する中小企業にスタン
15
ドバイ・クレジット制度が適用される。これらの特別金利は要件を満たした中
小企業に適用される。
しかし、そもそも高リスクの中小企業へ政府系金融機関が特別金利での貸出
が行われることは正当な金利決定を歪め、市場の新陳代謝を阻害しているとい
わ れ て い る 。東 洋 経 済 新 報 社( 2002)は「 多 く の 非 効 率 な 企 業 が 温 存 さ れ る と
32
すれば、経済の構造調整は遅れ、それだけ経済の活力は低下することになる。
だ か ら と い っ て ,市 場 に 任 せ て 退 出 を 余 儀 な く さ れ る 企 業 が 急 激 に 増 加 す れ ば ,
その影響は失業の増加など社会経済全体に広く及ぶ。民間金融機関にとっても
不良債権の増加につながりかねない」と書かれている
5
また政府系金融機関が高リスクの中小企業対して、低利で貸出を行うことが
一種の延命治療になっているゾンビ企業を生み出すという懸念も存在する。こ
の こ と は 日 経 ビ ジ ネ ス [2013] で も「 ゾ ン ビ 企 業 、つ ま り 本 来 な ら 淘 汰 さ れ る は
ずの企業を生き永らえさせるという副作用も生みます」と記述されている。
しかし現在の中小企業の現状というのはどのような状態なのであろうか。図
10
4- 7 を 見 る と ,中 小 企 業 の 開 業 率・廃 業 率 の 推 移 は 1985 年 か ら 開 業 率 が 廃 業
率を下回る状況が続いている。このまま中小企業の開業率が廃業率を下回る状
況が続けば中小企業がいずれは消滅してしまうことになる。だろう。また日本
再 興 戦 略 (2013) 5 に よ る と「 開 業 率 が 廃 業 率 を 上 回 る 状 態 に し 、開 業 率・廃 業 率
が 米 国 ・ 英 国 レ ベ ル ( 10%台 ) に な る こ と を 目 指 す こ と 、 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事
15
業者の成長分野への進出を支援すること」と表記されている。政府系金融機関
が比較的民間金融機関よりも低利な金利で新規事業、環境・エネルギー事業、
経営再建などに対し特別金利で貸出を行うことは市場から排除するべき企業の
延命治療に過ぎない貸出という点よりも開業率が廃業率を下回る状態が続き、
これ以上廃業率を高めないようにした補助的な役割を果たした低金利とも推測
20
できるのである。低金利による民業圧迫が行われていることを完全に否定する
ことはできないが、あくまで低金利で推移しているのは特別金利であり、新規
事 業 の 進 出 、環 境・エ ネ ル ギ ー 対 策 、経 営 再 建 、・経 営 革 新 な ど の 条 件 の 認 可 を
受けた企業に対してであり、開業率が廃業率を下回る状態が続き、このままで
は 中 小 企 業 そ の も の が 消 滅 し て し ま う 点 、 ま た 2013 年 発 表 の 日 本 再 興 戦 略 に
25
表記された開業率が廃業率を上回るような中小企業支援の観点から企業を一つ
でも多く残すための補助的な金利の設定をしているのである。また特別金利を
適 用 し た 企 業 は 限 定 的 で あ り 、 東 洋 経 済 新 報 社 [2002]『 中 小 企 業 金 融 入 門 』 で
は「 政 府 系 金 融 機 関 は ,中 小 企 業 全 体 の 金 融 支 援 を そ も そ も の 目 的 と し て お り ,
多くの企業が利用できる普通貸付は当然の機能でもある。貸付残高に占める割
5 首 相 官 邸 (2013)「 日 本 再 興 戦 略 -JAPAN
33
is BACK-」 P54
合をみても,機関ごとに異なるが,総じて特別貸付けよりも普通貸付けのほう
が多い」と記述されているのである。このような金利は民業圧迫を行うことは
あるかもしれないが民業圧迫の影響自体は限定的と考えられるのである。
5
図 4-7 開 業 率 と廃 業 率 の推 移
開業率と廃業率の推移
8%
7%
6%
5%
4%
3%
2%
1%
0%
75~78 78~81
81~ 86~91 91~96 96~99 99~01 01~04 04~06
86
開業率
資料
廃業率
「 中 小 企 業 白 書 2011 年 版
1 我が国の起業の現状」
5)まとめ
10
これまで政府系金融機関の民業圧迫を「①両者の貸出期間が重複する、②両
者 の 貸 出 の 動 き が 同 期 す る (同 じ 方 向 へ 動 く )、 ③ 貸 出 金 利 が 都 市 銀 行 に 比 べ 下
回ること」と定義し、それぞれの点について検証を行った。我々の検証から明
らかになった結果は以下のとおりである。第 1 に、民間金融機関の中小企業向
け 貸 出 に 関 し て は 、全 体 の 79% が 5 年 以 下 の 短 期 貸 出 で あ る の に 対 し 、政 府 系
15
金融機関の一つである日本政策金融公庫では、5 年を超える長期化貸出が全体
の 49.3% を 占 め て お り 、政 府 系 金 融 機 関 と 民 間 金 融 機 関 の 中 小 企 業 向 け の 貸 出
期間は棲み分けができているのである。第 2 に、政府系金融機関の中小企業向
け貸出伸び率の増減は、民間金融機関が中小企業向け貸出を増加させた時に縮
小し、景気の悪化局面に入り民間金融機関が中小企業向け貸出を減少させた時
20
には拡大するといった形で民業補完の役割を果たすように推移している。第 3
に、政府系金融機関と民間金融機関の金利を比較すると、政府系金融機関の一
34
般貸付に関しては突出した低金利ではなく、民間金融機関の金利と大差がない
と言える。ただし、政府系金融機関の特別金利には都市銀行の金利を下回るよ
うな状況であるが、特別金利は新規事業、環境・エネルギー対策、経営再建な
ど長期的な貸出が必要な場合などの制約を設けている点から、民業圧迫は限定
5
的と考えられる。
以上の点より、政府系金融機関が民業圧迫を行っているとは立証できないの
である。政府系金融機関は、民間金融機関が中小企業に対し長期資金の貸出を
行うのが限定的な現状を補完し、景気および民間金融機関の動向に連動しなが
ら、中小企業の資金調達のセーフティーネットとしての役割を果たしていると
10
考えられる。
15
20
25
30
35
第5章
終わりに
これまで政府系金融機関が民業圧迫を行っているかについて議論をしてきた。
ま ず 第 2 章 で 中 小 企 業 の 資 金 調 達 構 造 と 資 金 繰 り 、政 府 系 金 融 機 関 の 果 た す 役
5
割についてみてきた。その中で中小企業の資金調達は大半が間接金融に依存し
ていることが確認された。そして、それと共に第 1 に中小企業は直接金融によ
る 資 金 調 達 が 負 担 増 の 件 か ら 導 入 が 厳 し い こ と 、第 2 に 間 接 金 融 に よ る 資 金 調
達 で 賄 え て い る 中 小 企 業 が 多 い こ と 、第 3 に 直 接 金 融 を 今 後 導 入 す る 企 業 が 皆
無 に 等 し い こ と が 分 か っ た 。中 小 企 業 に と っ て 直 接 金 融 の 導 入 は 負 担 が 大 き く 、
10
それよりも借入時の貸し手となる金融機関との関係を維持することが優先され
ていることが分かった。そしてその中でも政府系金融機関は長期資金の貸出や
豊富な融資メニューを持っており、尚且つ民間金融機関によって補い切れない
部分を補完する役割、すなわち民業補完を目的としていることが確認された。
第 3 章 で は 、景 気 変 動 の 中 で 資 金 の 借 り 手 と 貸 し 手 の 態 度 が ど の よ う に 変 化
15
す る か を 分 析 し た 。 借 り 手 の 態 度 の 変 化 に つ い て は 、 資 金 繰 り DI の 推 移 を 追
った。景気の後退期には、大企業、中堅企業、中小企業共通して資金繰りが悪
化した。特に中小企業は、信用力のある大企業、中堅企業と比べて、資金繰り
が厳しく、景気回復で金融機関の貸出態度が緩和して大企業、中堅企業への貸
出が回復する中にあっても、中小企業への貸出はその回復スピードが遅く、資
20
金繰りの厳しい状況が長期間続くことがわかった。一方貸し手の態度の変化に
つ い て は 、 貸 出 態 度 DI の 推 移 で 分 析 し た 。 景 気 の 後 退 期 に は 金 融 機 関 は 貸 出
態度を厳格化し、貸出を渋って民間金融機関が貸出を減らす。その状況を打開
すべく政府系金融機関は貸出を増加させることで中小企業の厳しい資金繰りの
状況に対応した。これに対して、景気が回復し金融機関の貸出態度の緩和し、
25
その影響が中小企業にも波及し始める期間においては、政府系金融機関は民間
金融機関の民業圧迫をしているのではないかと議論が出される。
第 4 章 で は こ う し た 議 論 を 受 け て 、政 府 系 金 融 機 関 に よ る 民 業 圧 迫 を 検 証 し
た。我々は政府系金融機関と民間金融機関の①貸出期間、②貸出の動き、③貸
出金利についてそれぞれ比較検証を行っ た。第 1 に、民間金融機関の中小企業
30
向 け 貸 出 に 関 し て は 、全 体 の 79% が 5 年 以 下 の 短 期 貸 出 で あ る の に 対 し 、政 府
36
系金融機関の一つである日本政策金融公庫では、5 年を超える長期化貸出が全
体 の 49.3% を 占 め て お り 、政 府 系 金 融 機 関 と 民 間 金 融 機 関 の 中 小 企 業 向 け の 貸
出期間は棲み分けができているのである。第 2 に、政府系金融機関の中小企業
向け貸出伸び率の増減は、民間金融機関が中小企業向け貸出を増加させた時に
5
縮小し、景気の悪化局面に入り民間金融機関が中小企業向け貸出を減少させた
時には拡大するといった形で民業補完の役割を果たすように推移している。第
3 に、政府系金融機関と民間金融機関の金利を比較すると、政府系金融機関の
一般貸付に関しては突出した低金利ではなく、民間金融機関の金利と大差がな
いと言える。ただし、政府系金融機関の特別金利には都市銀行の金利を下回る
10
ような状況であるが、特別金利は新規事業、環境・エネルギー対策、経営再建
など長期的な貸出が必要な場合などの制約を設けている点から、民業圧迫は限
定的と考えられる。そのため、総合的に判断すると政府系金融機関が民間金融
機関に対し民業圧迫を行っていることは立証できないのである。
また余談として政府系金融機関は中小企業部門以外でも経営破綻した日本航
15
空の再建融資や東京電力への融資など中小企業以外にも大企業の再建資金を供
給するなどの役割も担っている。
以上のことから、中小企業が円滑な資金調達を行うための方策は、景気の動
向にかかわらず、中小企業へ資金を供給する政府系金融機関の貸出を充実させ
ることである。政府系金融機関の貸出こそ中小企業向け貸出のセーフティーネ
20
ットであり、また円滑な資金調達の方策なのである。しかし今現在、地方銀行
の 中 小 向 け 貸 出 の 2 割 の 収 益 が 赤 字 で あ る 。政 府 系 金 融 機 関 の 民 業 圧 迫 が こ の
ような事態と招いていると議論されてきたが、今回の我々の論文で定義した範
囲の民業圧迫は生じていないということが分かった。中小企業向け貸出の採算
が悪化すれば、中小企業自体の資金調達にも影響が出てくる。今後はオーバー
25
バンキングやミドルリスク市場の開拓などの視点から中小企業向け貸出の収益
性の悪化について調べていきたい。
30
37
[参 考 文 献 ]
第 2章
経 済 産 業 委 員 会 調 査 室 上 原 啓 一( 2007)
「中小企業における資金調達の課題」
5
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/
h19pdf/20073801.pdf#search='%E3%80%8C%E4%B8%AD%E5%B0%8F%E4
%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%
E8%B3%87%E9%87%91%E8%AA%BF%E9%81%94%E3%81%AE%E8%AA%B
2%E9%A1%8C%E3%80%8D'
10
2014 年 11 月 3 日
参 議 院 事 務 局 企 画 調 整 室( 2006)
「政府系金融機関の問題点の検証」
『経済のプ
リ ズ ム 』 第 26 号
中 小 企 業 庁 ( 2014)『 2014 年 版 中 小 企 業 白 書 』
中 小 企 業 庁 ( 2002)『 2002 年 版 中 小 企 業 白 書 』
中 小 企 業 庁 ( 2003)『 2003 年 版 中 小 企 業 白 書 』
15
第 3章
全 国 銀 行 協 会 (2001)「 政 府 系 金 融 機 関 の 抜 本 的 改 革 に 向 け て 提 言 」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/3siryou/sankou2.pdf#searc h='%
E6%94%BF%E5%BA%9C%E7%B3%BB%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%A9%
20
9F%E9%96%A2%E3%81%AE%E6%8A%9C%E6%9C%AC%E7%9A%84%E6%9
4%B9%E9%9D%A9%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%A6%E6
%8F%90%E8%A8%80'
2014 年 11 月 3 日
中 小 企 業 庁 ( 2012)『 2012 年 版 中 小 企 業 白 書 』
独 立 行 政 法 人 経 済 産 業 研 究 所 (2006)「 創 業 期 に お け る 政 府 系 金 融 機 関 の 役 割 」
25
『 RIETI
Discussion Paper Series 06 -j-004』
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j004.pdf
第 4章
中 小 企 業 庁 ( 2012)『 2012 年 版 中 小 企 業 白 書 』
30
中 小 企 業 庁 ( 2002)『 2002 年 版 中 小 企 業 白 書 』
38
2014 年 11 月 3 日
東 洋 経 済 新 報 社 ( 2002)『 中 小 企 業 金 融 入 門 』 P169
日 経 BP( 2013)「 ゾ ン ビ 企 業 は ま だ 増 え て い る 」『 日 経 ビ ジ ネ ス 』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20130524/248586/
2014 年 11
月 3日
5
'
【 参 考 URL】
第 2章
10
政 府 系 ・ 系 統 金 融 機 関 | 金 融 業 界 の 全 体 像 | マ イ ナ ビ 2015
http://job.mynavi.jp/conts/2015/tok/p/56/
2014 年 11 月 3 日
中小企業基本法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S38/S38HO154.html
2014 年 11 月 3 日
中小企業庁「中小企業・小規模業者の定義」
15
http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
2014 年 11 月 3 日
第 3章
日 本 銀 行 ( 2014)「 主 要 時 系 列 統 計 デ ー タ 表 ( 四 半 期 )」
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/q.html
2014 年 11 月 3 日
20
第 4章
首 相 官 邸 (2013)「 日 本 再 興 戦 略 -JAPAN is BACK-」 P54
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf#searc
h='%E9%A6%96%E7%9B%B8%E5%AE%98%E9%82%B8%282013%29%E3%80%8C%E6%97%A5%E6
25
%9C%AC%E5%86%8D%E8%88%88%E6%88%A6%E7%95%A5
2014 年 11 月 3 日
日本銀行「預金・貸出関連統計」
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi -bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&ls
tSelection=4
2014 年 11 月 3 日
日 本 政 策 金 融 公 庫 ( 2007)「 JASME」
30
http://www.jfc.go.jp/n/company/pdf/2007jfs01.pdf
39
2014 年 11 月 3 日
日本政策金融公庫「中小企業事業
融資業務」
https://www.jfc.go.jp/n/company/sme/loan_finance.html
2014 年 11 月 3 日
日 本 政 策 金 融 公 庫 「 金 利 情 報 中 小 企 業 事 業 ( 主 要 利 率 一 覧 表 )」
https://www.jfc.go.jp/n/rate/base.html
5
10
40
2014 年 11 月 3 日
Fly UP