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事業譲渡における消費税の留意点

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事業譲渡における消費税の留意点
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Transaction M&A News
事業譲渡における消費税の留意点
Issue 65, March 2014
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本ニュースレターでは、事業譲渡に
関する消費税の留意点をご紹介いた
します。
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1.事業譲渡における消費税の問題
すでにご承知のとおり、2014 年(平成 26 年)4 月 1 日より
消費税率は従前の 5%から 8%に引き上げられ、2015 年
10 月 1 日からはさらに 10%に引き上げられる予定です。
また、2014 年度税制改正法案により、課税売上割合の計
算における金銭債権の譲渡に関しての見直しが行われる
予定です。
消費税率の引き上げにより従前にも増して消費税の取り扱
いには留意する必要があります。このような中、本ニュース
レターでは、事業譲渡における消費税の問題として以下
の項目をご紹介いたします。
(1) 譲渡者における課税売上割合の計算上の留意点
(2) 事業譲渡契約書作成上の留意点
(3) 外国法人の日本支店が事業譲渡を行う場合の留
意点
2.譲渡者における課税売上割合の計算上の留意点
事業譲渡契約により資産を譲渡した場合、個々の資産が
課税資産の譲渡等に該当するか判断しなければなりませ
ん。仕入税額控除の金額の計算は、会社ごとに異なります
が、概して以下のような算式で表すことができます。
仕入税額控除 = 仕入税額 × 課税売上割合
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ここで課税売上割合とは資産の譲渡等に占める課税資産の譲渡等の割合を言います。資産の譲渡等には課税資産の
譲渡等と非課税売上が含まれますので、課税売上割合を算式で示すと概ね以下のとおりとなります。
課税売上割合 = A/(A+B)
A:課税資産の譲渡等
B:非課税売上
これまでの課税売上割合の計算において、一定の有価証券の譲渡はその対価の 5%相当額を非課税売上(B)として扱
う一方、一定の金銭債権はその対価の全額を非課税売上(B)として取り扱っていました。このため、事業譲渡により移転
される資産の中に貸付金が含まれる場合には課税売上割合が低下する結果、仕入税額控除が十分にとれないことがあ
りました。
2014 年度税制改正により、課税売上割合の計算上、金銭債権の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の 5%相当
額を資産の譲渡等の対価の額に算入することとすることが予定されており、これに従えば、貸付金の譲渡も有価証券の
譲渡と同じく、対価の額の 5%相当額のみを非課税売上(B)の額に算入すればよいことになります。
3.事業譲渡契約書作成上の留意点
事業譲渡契約による資産の譲渡は、消費税法上、個々の資産の譲渡の集合にすぎません。このため、課税資産が資産
譲渡契約の譲渡対象資産に含まれている場合には、当該課税資産に係る消費税を譲渡者は課す必要があります。
しかし、事業譲渡契約上、譲渡資産の対価の合計額のみ定められているだけで、個々の資産の譲渡対価が定められて
いないケースもあるようです。この場合、課税資産の対価の額が明らかでないことから、消費税額を算定できないといった
問題が生じます。このため、事業譲渡契約書を作成するにあたっては、対価の合計額のみならず個々の資産の対価の
額まで定める方が望ましいです。
ただし、事業譲渡の対価の額は事業譲渡日の財産内容に応じて決定する旨を定めているケースもあり、事業譲渡契約
書作成時において、個々の資産の対価の額まで定めることは難しいことがあります。このような場合には、譲渡対価の額
が決定次第、当事者間で個々の資産の対価の額を覚書等で確認しておくことが考えられます。
4.外国法人の日本支店が事業譲渡を行う場合の留意点
外国法人の日本支店が内国法人に事業譲渡を行う場合、内国法人と同様に、通常、事業譲渡により生じた譲渡損益は
法人税の課税対象となり、また、消費税法上、課税資産の譲渡等に該当する場合には、消費税の納税義務が生じます。
ただし、事業譲渡の対象となった資産の中に営業権、著作権およびノウハウなどが含まれている場合には留意が必要で
す。
消費税法上、営業権の内外判定は権利に係る事業を行う者の住所地、著作権およびノウハウのそれは譲渡または貸付
けを行う者の住所地とされています。ここで法人の住所地とは本店または主たる事務所の所在地とされていますので、外
国法人の日本支店の場合、日本支店の住所が住所地とならないため、その譲渡は国外取引に該当することになります。
したがって、外国法人の日本支店が事業譲渡を行った際に、営業権、著作権およびいわゆるノウハウなどが含まれてい
る場合には、一般に当該資産の譲渡は不課税取引となります。
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