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学校における情報化促進のための 教育ネットワークソリューション有効

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学校における情報化促進のための 教育ネットワークソリューション有効
学校における情報化促進のための
教育ネットワークソリューション有効活用に関する研究
-県立学校ICT教育環境のリニューアルに関する研究-
研究の概要
平成18年度,山梨県の県立学校に教職員用一人一台コンピュータ(通称:Hiuse-PC)等が約2300台
更新され,県立学校教育イントラネットが山梨県情報ハイウェイに接続され,学校間の回線通信速度
が1Gbpsに高速大容量化した。また山梨県学校情報支援システムである教職員用グループウェア(通
称:GrapeWare)が機能改訂され,旅行(出張)と休暇の電子申請が可能となり義務化された。
平成19年度,山梨県教育情報ネットワーク(通称:Hiuse-Net)の15台のサーバ等が更新され,教
職員用グループウェアも出勤簿等の帳票出力機能が改訂され,帳簿類の電磁化が予定されている。リ
ニューアルされた県立学校のICT教育環境を有効活用することで,教材開発や教育情報の共有化,授
業や研修の改善を促進し,校務処理の効率化を図ることにより,教育の質的向上をリードできるICT
教育環境の構築例を提案する。
さらにリニューアルされたICT教育環境を円滑に学校現場で活用促進できるようセキュリティポリ
シーの策定を含め,大規模に改訂された山梨県教育情報ネットワーク要綱等も提案する。
なお,各リニューアル事業は,山梨県教育庁の高校教育課が主管している県立学校情報教育事業の
一環で推進され,山梨県総合教育センターは,各事業の運用・管理の立場で事業推進に参画している。
また,研究の成果と課題は,山梨県総合教育センターのコンテンツデータベースに登録して,全国の
「教育の情報化」研究の関係者等に情報発信する。
キーワード
教職員用一人一台コンピュータ
イ
県立学校教育イントラネット
Ⅰ
教職員用グループウェア
教育情報ネットワーク要綱
学校情報支援システム
情報ハイウェ
セキュリティポリシー
主題設定の理由
IT新改革戦略,学校IT環境整備状況,やまなしITプラン,県下諸学校IT環境アンケートを受け,主
題を設定した。山梨の教育の情報化は,基盤整備の段階からICT利活用の段階に大きく展開している。
1
IT国家戦略の中の教育・文教政策「IT新改革戦略」
e-Japan戦略からはじまった日本を世界最先端のIT国家にするという流れは,2006年1月に策定され
たIT新改革戦略[1]によって向上しようとしている。重点領域を以下に掲げ取り組みを加速している。
①教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びにIT基盤のサポート体制の整備等
を通じ,学校のIT化を行う。
②教員のIT指導力の評価等により教員のIT活用能力を向上させる。
③自ら学ぶ意欲に応えるような,ITを活用した学習機会を提供する。
④教科指導におけるITの活用,小学校における情報モラル教育等を通じ,児童生徒の情報モラルを含
む情報活用能力を向上させる。
2
学校におけるIT環境整備の目標と状況
平成18年度(平成19年3月)
の全国の学校におけるIT環境整
備の達成状況[2]の全国平均と
山梨県の数値を(表1)に示す。
-1-
3
やまなしITプラン
e-Japan戦略を受け,山梨県では,豊かな県民生活を創造し,県内産業に活力を与えるIT社会を実
現するため,やまなしITプラン[5]を策定した。IT活用能力をより高めるために学校におけるIT教育
の充実が施策として示されている。項目を次に示す。①教員のIT指導力の向上,②教育情報ネットワ
ークシステムの活用,③小中学校におけるIT学習の推進,④開放文化講座の実施
4
山梨県下諸学校IT環境等アンケート結果報告
山梨県下諸学校IT環境等アンケート結果[6]の中で,
371校のPCリーダ等の先生方に山梨県教育情報ネットワ
ーク管理要綱やネットワーク運用細則の存在を尋ねた
ところ認知度が5割(図1)であった。ICT教育環境の更
新を受けて開催されている要綱等改訂委員会のまとめ
た要綱等の早期の報告が望まれる。また各学校にはセ
キュリティポリシーが9割弱策定されており,要綱等改
訂委員会が策定する県セキュリティポリシーの充実が
期待される。
Ⅱ
研究の目標
平成18年度から19年度にかけて,県立学校のICT教育環境がどのようにリニューアルしたかを示し
ながら,教育情報ネットワーク要綱等の改訂を目指した。
Ⅲ
研究の具体的目標
①山梨県情報ハイウェイへの県立学校教育イントラネット接続
②山梨県学校情報支援システム改訂
③県立学校一人一台コンピュータ更新
④教育情報ネットワークサーバ更新
⑤セキュリティポリシー等の策定を含むネットワーク要綱改訂
Ⅳ
研究内容と方法
各リニューアル事業は,山梨県教育庁の高校教育課が主管している県立学校情報教育事業の一環で
推進されている。総合教育センターは各事業の運
用・管理の立場でこの事業推進に参画した。各事
業に参加しているメンバーは,高校教育課をはじ
め,営繕課,情報政策課及び各県立学校,関係業
者と総合教育センターが様々な形で協働して,再
構築を推進した。この各事業推進にあたり概ね月
1回の定例会を持ち,議事録をベースに議論を積
み重ね構築作業を展開した。メンバーが多方面か
ら参加しているので,メーリングリストを活用し
て,情報の共有化を図り,会議の能率化を図った。
-2-
1
山梨県情報ハイウェイへの県立学校教育イントラネット接続
(1)山梨県情報ハイウェイ
情報ハイウェイは,高速情報通信基盤の幹線として県内の主要道路に張り巡らされた光ファイバー
網のことで,平成18年8月に情報ハイウェイを活用したネットワーク(図2)の運用が開始された。特
徴を次に示す。①光ファイバー総延長約320km,②県下8箇所にアクセスポイント,③2連リング型構
成
(2)旧県立学校教育イントラネット
平成14年3月に運用開始された県立学校教育イントラネットは,学校から光ファイバーやATM回線,
CATV回線,県の地域公共ネットワークなどを使用して総合教育センターに1.5Mbpsの速度で接続され,
総合教育センターからはインターネットに10Mbpsで接続されていた。ネットワークの構成は,教員用
と生徒用に分かれており,その間をファイアウォールにより接続されている。
(3)県立学校教育イントラネット再構築
県立学校から県庁もしくは最寄りの合庁等に光ファイバーを敷設して,関連機器の整備を行い,情
報ハイウェイに接続する。情報ハイウェイを利用(図3)することにより,ネットワークの高速大容量
化を図り,学校におけるICTの利活用を促進する。
ア
構築完了期日:平成19年3月15日
イ
定例会:定例会のメンバー構成は,営繕課,情報政策課,高校教育課,総合教育センター,設計
工程管理業者,工事業者
になる。平成18年度の完
成年度は,2週間に1度の
ペースで6月から3月まで
20回程度開催された。内
容は,仕様設計,工程管
理,申請文書,ネットワ
ーク設計,完成検査など
綿密かつ詳細に行われた。
ウ
学校の機器構成: 構
成を次に示す。①光ファ
イバーケーブル,②クロ
ージャー,③光成端箱,
④光コード(4心 ),⑤MC
(メディアコンバータ),
⑥MCシャーシ,これらを更新して光ファイバーと接続した。
2
県立学校情報支援システム(グレープウェア)改訂
(1)概要
平成14年3月に教職員一人一台コンピュータの整備が行われ,これにあわせて,校務処理の軽減と
効率化を行い,教科指導や生徒指導に向けられる時間を増加させることを可能にするため,山梨県版
教職員用グループウェアの山梨県学校情報支援システム(通称:GrapeWare)(図4)が設置された。
運用開始は,平成14年8月である。当初より時間割・施設備品予約・行事連絡・旅行(出張 )・休
-3-
暇申請などの機能を持っていた。なお,稼動当初より,旅行(出張)や休暇申請と申請承認機能は付
随していたが,紙媒体併用での処理を前提に行っていたので,多くの学校で使われることはなかった
が,平成17年度の条例改正を受け,紙媒体の旅行申請が不要になったことで,電磁化が加速した。平
成18年4月より旅行申請,平成19年1月より休暇申請は,電子申請が義務化された。この山梨県の先進
的取り組みが評価され,平成19年9月には教職員グループウェアに関して,熊本県教委と山梨県教委
は研究協定を結び,共同研究を開始した。
(2)平成17年
旅費機能改訂の概要
ア
目的 :平成17年に改正された「山梨県
職員旅費条例」等にもとづいて,従来の旅
行申請の機能を向上させ,申請・承認・復
命・計算・会計システム用のデータ作成を
山梨県学校情報支援システム上で電子的に
行い,事務処理の効率化を図る。校長室,
事務室に設置された県の一人一台パソコン
が更新されたことに伴い,画面表示を高解
像度XGAに対応できるように改訂を行う。
イ
完了期日 :平成18年3月20日(含む試行
調整期間)
(3)平成18年
ア
休暇機能改訂の概要
目的:学校教職員が利用している山梨県学校情報支援システムに「山梨県学校職員の勤務時間等
に関する条例」にもとづき休暇申請を電子的に行うことにより事務処理の効率化を図る。
イ
完了期日:平成18年12月20日(含む試行調整期間)
ウ
検証会議: 構成メンバーは,高校教育課,総合教育センター,韮崎高校(教頭),ろう学校(教
頭 ),甲府支援学校(PCリーダ ),改訂業者である。休暇機能改訂に関した,書式調査,申請処理,
承認処理,出力書式,スケジュール管理などの議題で9月から12月まで月1回のペースで合計5回程度
開催された。他,平成17年度改訂した旅費部分について学校事務室の代表者と打ち合わせを5回程度
持ち,不具合を修正した。
(4)平成19年
ア
帳票出力機能改訂
目的: 学校職員が利用している山梨県学校情報支援システムに「山梨県職員旅費条例」「山梨県
学校職員の勤務時間等に関する条例」等にもとづき,旅行・休暇,教務日誌等の各種帳票類出力等の
機能追加を行い,校務処理の効率化を図る。
イ
完了期日:平成19年12月20日(含む試行調整期間)
ウ
検証会議:構成メンバーは,高校教育課,総合教育センター,韮崎高校(教頭),甲府南高校(教
頭),改訂業者である。各種帳票類出力や教育庁連絡の各機能に関する議題で6月より3回程度行われ
た。また,これとは別に山梨県学校情報支援システムの出勤簿等に関する通知について平成18年3月
から平成19年12月まで高校教育課人事担当と5回程度打ち合わせを持った。各会議において熱心かつ
慎重な議論がなされた。
(5)熊本県教委との教員用グループウェア共同研究
平成19年9月には教職員用グループウェアに関して,山梨県教委は熊本県教委と研究協定を結び,
-4-
共同研究(図5)を行っている。9月より月1回程度の研究会を持ち校務の情報化について研究を深め
ている。この熊本県教
委の取り組みは,平成
19年度文部科学省「先
導的教育情報化推進プ
ログラム」の委託を受
けた「校務の情報化研
究」の一環による。山
梨のグレープウェアを
活用した校務軽減や情
報共有のあり方をベー
スに熊本版教員用グル
ープウェアの開発を目
指している。熊本県教
委の最終目標は,校務
の情報化分野の成果を
広く全国に普及を目指
しているが,山梨県もこの分野の実践者として積極的に研究協力を行っている。
3
県立学校教職員用一人一台コンピュータ更新
(1)概要
平成14年3月より山梨県独自の予算で全県立学校の教職員に一人一台の割合でノートパソコンが整
備された。5年間のリース契約で約2300台が導入された。このノートパソコン等が平成18年度に更新
された。整備対象者は,副校長,教頭,教諭,養護教諭,実習助手,栄養士で,期間採用職員も含ま
れる。校長と事務職員の一人一台コンピュータは,情報政策課が管轄なので対象外となるが,ネット
ワークは接続され教育情報の共有は図られている。
ア
運用開始日:平成19年3月15日
イ
借入期間:平成19年3月15日(木)~平成24年3月14日(水)
(2)目的
教職員用一人一台コンピュータ等の整備を行い,教育イントラネットに接続して,教材の共有化や
-5-
研究・研修の改善を促進し校務処理の効率化を図ることにより,教育の質的向上を目的とする。
(3)更新検討会議
仕様検討の構成メンバーは,主に高校教育課,総合教育センターの職員で行った。ハードウェアか
らソフトウェア及び運用方法など詳細かつ綿密に検討した。他,甲府南高校(教育情報・視聴覚部会),
増穂商業高校(教科情報部会)の先生方に参加頂き学校現場の意見も頂いた。
(4)機器構成
ア
ノートパソコン(図6)(表2):ノートPC本体及び電源バッテリー,光学マウス(2281セット)
イ
納入アプリケーション:①一太郎(2281セット),②画面読み上げソフト(1),③視覚障害者用
ワープロ(10),④画面拡大ソフト(3),④自動点訳ソフト(6),⑤点字エディタ(6),⑥学校給食
献立(9)
ウ
支給アプリケーション(別途契約済アプリケーションでインストール・設定作業のみ):別途契
約しているのは「マイクロソフト・スクールアグリーメント」である。これはマイクロソフト社が教
育機関向けに提供しているライセンス制度で,学校や自宅にあるコンピュータの台数に応じて,マイ
クロソフト社の主なソフトを自由にインストールして使用できる契約である。山梨県では全県立学校
を対象にこの契約を行ったので,既存のコンピュータも含めて利用できる。バージョンアップにも対
応できる。しかし,古いPCにインストールすると不具合が発生する場合があることやサーバOSには対
応していないので注意する。リストを次に示す。①WindowXP Professional SP2(2281セット以下同
数),②Office2003 Professional,③ウィルス対策,④CD/RW ライティング,⑤DVDプレーヤー
エ
プリンタ等:ネットワークモノクロレーザープリンタ及びプリンタ卓(236セット)
オ
ネットワーク関連機器:スイッチングハブ(5ポート60セット,8ポート395セット)
カ
学校構成例:代表的な学校設置の様子を(図7)に示す
(5) PC管理ツール
教職員用PC更新に伴い,情報漏洩,セキ
ュリティ強化を目的に,株式会社JALインフ
ォテックのPC管理ツールのPALLET CONTROL
が導入された。ネットワークのクライアン
トPCの管理に特化したツールで,WindowsOS
やアプリケーションの修正プログラムの適
用やワクチンソフトのパタンファイルなど
のソフトウェアの配布からその結果確認に
至るまで,クライアントPCにおけるセキュ
リティ対策が行える。なお,これは山梨県
庁に既に導入されていたものを教育委員会側にて追加導入した形になる。
4
教育情報ネットワークサーバ更新
(1)目的
山梨県の教職員及び生徒児童の教育活動,学習活動等を支援し,教育の推進に資することを目的と
して,山梨県教育情報ネットワークのサーバシステム等を整備した。平成19年7月2日運用開始。
(2)構成
15台のサーバが更新された。構成を(図8)(表3)に示す。
-6-
(3)体制と進捗
サーバ更新定例会のメンバーは,高校教育課,総合教育センター,構築業者である。4月から10月
まで月2回のペースで合計10回程度開催している。他,学校現場での確認作業は甲府工業高校にて3回
程度実施した。内容は,設置工事日程,サーバ・メール・ファイアウォール等の設定,ネットワーク
構成,完成検査など多岐にわたった。
(4)マニュアルの動画配信化
サーバ機器の扱いは,1回の研修と文書情報だけで習得することは難しい。平成19年度は,サーバ
やメールのマニュアルを株式会社フォトロンの講義自動収録装置・動画コンテンツ作成システムにお
いて作成した。講義とパワーポイントのリンクした動画コンテンツの作成には,配信時間あたりおよ
そ10倍の制作時間がかかるが,このシステムだと収録と同時にコンテンツ作成が可能であり,制作時
間を劇的に削減できる。なお,作成動画はストリーミング配信形式なので,インターネット上いつで
も何回でも動画で内容を確認することができる。文書だけで伝えることが難しいサーバ管理のPC操作
画面情報を常時提供することが可能となり,各学校のネットワーク担当者やPCリーダの技能向上を図
ることができた。
5
ネットワーク要綱等の改訂
(1) 目的
前段で示した通り,県立学校のICT教育環境がリニューアルされたことにより,現在運営されてい
る「山梨県教育情報ネットワーク(Hiuse-Net)」の「運営管理要綱」及び「運用細則 」(平成10年制
定,平成14年改正運用)と山梨県ハイユースパソコン等管理要綱(平成14年制定)の内容がリニュー
アルされたICT教育環境と整合性がとれなくなってきた。平成19年度は,要綱等全体にわたる見直し
を行い,山梨の教育の情報化の将来像を明確に示すことが急務であり大切であるとの認識のもと,関
係有識者を招聘し,高校教育課の主管によるハイユースネット要綱等改訂会議を発足して,平成19年
度中に各要綱等の改訂を目指した。なお,この改訂会議と総合教育センターの主事研究は連携して実
践研究を行っている。
(2)要綱改訂委員会
要綱改訂委員会のメンバーは,情報教育分野で全国的に著名な山梨大学准教授の成田雅博先生に参
加して頂き,偏りのない要綱改訂作業を目指した。各学校からは情報や教務に関係する有識者の先生
方にご参加頂き万全を期した。甲府東高校(教育課程など教務分野),甲府工業高校(情報技術教育),
甲府城西高校(教育情報・視聴覚 ),増穂商業高校(教科情報 ),甲府支援学校(支援学校における
-7-
情報)の先生方である。なお,主催者側は,情報教育や教育課程に関係する高校教育課指導主事,総
合教育センター研修主事,総合教育センター委託情報処理技術者が会議に参加した。改訂会議は8月
から3月まで月1回のペースで行われ,議題はポリシー策定と要綱改訂に係わる内容で長時間熱心な議
論が行われている。なお,山梨県庁の知事部局側では,情報政策課が先導して,情報に関する要綱改
訂やセキュリティポリシーを策定済みであり,今回の教育委員会側の要綱改訂やセキュリティポリシ
ーの改訂に関して,雛形の提供や難題解決の指導助言などを頂き,全面的にご協力頂いている。
(3)進捗状況
6月 ・研究計画の立案・概要打ち合わせ,研究協力校・研究協力員の依頼と委嘱
・協力員のメーリングリスト作成・運用
7月 ・情報ハイウェイ接続とネットワーク利用のガイドラインの研究
・ハイユース要綱等改訂委員会準備会議(山梨大学)
8月 ・山梨県個人情報保護条例とサーバ更新及び体系図に関する研究
・県内外の管理要綱に関する調査・研究,ハイユース要綱等改訂委員会(高校教育課)
9月 ・山梨県教育情報ネットワーク運営管理要綱及びセキュリティポリシーに関する研究
・要綱改訂等に関するアンケート内容の検討,ハイユース要綱等改訂委員会(高校教育課)
10月 ・要綱改訂等に関するアンケート実施・回収・分析
・県立学校一人一台コンピュータ更新とネットワーク運営管理要綱の研究
・所内中間発表,ハイユース要綱等改訂委員会(甲府東高校)
11月 ・県立学校支援システム改訂及びネットワーク運用細則の研究
12月 ・研究協力校や研究発表会において検証,パソコン等管理要綱の研究
・ハイユース要綱等改訂委員会(甲府城西高校)
1月 ・セキュリティポリシーを含むネットワーク要綱改訂等に関する研究
・研究のまとめ,ハイユース要綱等改訂委員会(増穂商業高校),所内発表会
2月 ・ハイユース要綱等改訂委員会(甲府支援学校)
・研究発表会準備,2月21日研究発表会(総合教育センター)
3月 ・ハイユース要綱等改訂委員会(総合教育センター)
(4)ハイユースネット要綱等改訂の状況
平成20年1月までの各改訂の状況の概要を以下に示す。
ア
体系図(新規)
(ア) 山梨県教育情報ネットワークの「管理要綱」及び「運用細則」(平成10年制定,平成14年改正
運用)と山梨県ハイユースパソコン等管理要綱(平成14年制定)の関連を示す体系図がなかったので
新規作成(図9)する。山梨県教育情報ネットワークの全体像を俯瞰できる体系図とする。
(イ)セキュリティポリシーに関する項目を付加して,管理要綱とポリシーの基本軸を縦軸と横軸に
して,相互の重複をなくす。
(ウ)新環境にあわせて整理する。
イ
山梨県教育情報ネットワーク運営管理要綱(改訂)
(ア)体系図の形態に変更する。
(イ)既存の要綱の「校種整理」「インターネットとイントラネットの区別」「ダイアルアップ接続」
「地教委との関係」「ネットワーク担当者の詳細」などが新環境と整合性がないので見直す。
-8-
ウ
セキュリティポリシー(新規)
(ア) 体系図にあわせ新
規作成する。
(イ)「セキュリティ対
策基準」はハイユースネ
ットの要綱や要項に含ま
れる部分が多いので「基
本方針」と「対策基準」
のふたつにする。
(ウ) 単純化して,わか
りやすく,読みやすいも
のにする。
(エ)「有害情報の扱い
はどこで示すのか 」「電
子計算機という名称で良
いか 」「監査は誰が行う
のか」「情報セキュリティは内部と外部から守る」に関して検討して盛り込む。
(オ)要綱とポリシーは重複する点が多いので相互に検討を続ける。
エ
インターネット要項(新規)
(ア)体系図の形態に合わせて,従来の運用細則を廃止してインターネット要項を新設する。
(イ)「ダイヤルアップ接続」「使用できるプロトコル」「経費の負担」「地域公共ネットワーク経由」
「用語集」「申請書」など新環境と整合性がないので見直す。
(ウ) 新規に構築された「TV会議 」「メール 」「メーリングリスト」の各サーバのサービスに関する
記述を盛り込む。
オ
イントラネット要項(新規)
(ア)体系図の形態に合わせて,新規作成の必要性がある。
(イ)「グレープウェア」「ホスティングサーバ」などを盛り込む。盛り込む項目が非常に多い。
カ
PCリーダ設置要領(新規)
新規作成の必要性がある。ネットワーク担当者は運営管理要綱に示してあるが関連を調査する。
キ
教職員一人一台パソコン等管理要領(改訂)
「細則」「山梨県財務規則」「標準設定」「パレットコントロール」「ハイユースパソコン台数増減」
「高校教育課過去通知文」の説明を追加する。従来のものよりかなりの見直しが必要である。
Ⅴ
研究の結果と考察
1
研究の結果
PCリーダ研修会の内容とアンケート結果と要綱等改訂会議の活動より結果を示す。
(1)PCリーダ研修会
県立学校のICT教育環境について,各学校のネットワーク担当者とPCリーダの先生方の技能向上を
図る研修が山梨県総合教育センターで年3回行われている。平成19年度は昨年度から今年度にかけ多
-9-
くの環境が再構築された。これらICT教育環境は校務に直接影響があるので,情報共有の落ちがない
よう高校教育課のネットワーク担当者及びPCリーダ業務説明会と兼ねて開催した。この会には県立学
校のネットワーク担当者かPCリーダは,必ず1名は参加している。
ア
第1回PCリーダ研修会の内容と結果
(ア)内容:1回目は平成19年4月27日(金)の午後に実施した。内容は,年度初めの県立学校ICT環
境の扱いと教職員用パソコンの更新を重点的に行った。他,教育イントラネットが情報ハイウェイに
接続された経過を説明した。研修項目を次に示す。①ハイユースネットの概略説明,②各機器の使用
方法と管理,③グレープウェアの使用方法(実習 ),④ネットワーク機器の管理,⑤ハイユースパソ
コンの管理(管理方法の再確認 ),⑥スクールアグリーメントの適用,⑦管理要綱の見直し,⑧校内
啓発活動
(イ)アンケート結果:46名全員の参加者から,実施時期,実施期間,講義内容,実習内容について
概ね良好とのアンケート結果を得た。コメントは開催時期と資料配布について「時期が遅い」「資料
を先に欲しい」等のご意見を頂いた。今後検討する。
イ
第2回PCリーダ研修会の内容と結果
(ア)内容:2回目は平成19年6月29日(金)に終日実施した。内容は,新ハイユースパソコンに見合
う能力とセキュリティ強化を図ったサーバの切替日を目前に控え,この時期に行う学校での移行作業
を研修した。研修項目を次に示す。①情報ハイウェイの概略説明,②サーバ更新の概略(Web,メー
ル,TV会議,パレットコントロール,メーリングリスト),③ホームページ更新手順,④カウンタ,
掲示板,Blog設置手順(実習 ),⑤Webメール操作方法(実習),⑥ホスティングサーバ操作方法(実
習),⑦TV会議通信方法(実習),⑧校内啓発活動
(イ)アンケート結果:42名全員の参加者から,実施時期,実施期間,講義内容,実習内容について
概ね良好とのアンケート結果を得た。感想についても「新サーバの理解が深まり,今後の進行の参考
になった(同様な感想5 )」とのコメントを得られた。他 ,「学校でモバイル環境やテレビ会議が必要
か疑問 」「いい話だったが内容が多すぎで年配者には限界を感じる」等のご意見を頂いた。今後検討
する。
ウ
第3回PCリーダ研修会の内容と結果
(ア)内容: 3回目は,平成19年10月11日(木)午後実施した。サーバ更新に係わりホスティングサ
ーバの移行を中心に行った。研修項目を次に示す。①現状システムからの移行手順(実習),②新環
境の作業手順(実習 ),③迷惑メール対策の再確認と追加説明(実習 ),④メール移行手順(実習),
⑤校内啓発活動
(イ)アンケート結果:49名全員の参加者から,実施時期,実施期間,講義内容,実習内容について
概ね良好とのアンケート結果を得た。感想についても「これからの業務内容がわかった(同様な感想
8)」とのコメントを得た。他 ,「本校はPCリーダが一人なので考慮して欲しい 」「移行スケジュール
が提示されるとありがたい」等のご意見を頂いた。今後検討する。
(2)ネットワーク要綱等改訂委員会の活動
平成19年12月までに4回の委員会を持ち,準備の事前会議を合計すると15時間程度,要綱等改訂に
関わる議論を各委員と熱心に行った。結果として,次の7本の要綱等について改訂の目処が立った。
①体系図(新規 ),②山梨県教育情報ネットワーク運営管理要綱(改訂 ),③セキュリティポリシー
(基本方針と対策基準 )(新規 ),④インターネット要項(新規 ),⑤イントラネット要項(新規 ),
- 10 -
⑥PCリーダ設置要領(新規),⑦教職員一人一台パソコン等管理要領(改訂)
2
考察
PCリーダ研修会のアンケート結果やコメントから,県立学校ICT教育環境のリニューアルに関して,
各校のネットワーク担当者やPCリーダに関連した知識や技能の向上を図ることができたと考える。ま
た,各研修会でサーバ及びグレープウェアなどの新機能に関して,校内移行手順を具体的な動画マニ
ュアルで示した研修を開催したことで,各校でのICT利活用の促進ができたと考える。さらに要綱等
改訂委員会の活動の様子から,リニューアルされたICT教育環境を円滑に学校現場で活用促進できる
よう要綱の改訂作業を行い,原案を概ねまとめることができたと考えている。
Ⅵ
研究の成果と今後の課題
1
研究の成果
(1)構築例の提案
平成18年度から19年度にかけて,県立学校のICT教育環境のリニューアルに関して次の構築例を示
すことができた。
①山梨県情報ハイウェイへの県立学校教育イントラネット接続(ネットの回線速度と品質の向上)
②山梨県学校情報支援システム改訂(帳票類のペーパレス化による校務軽減と能率化)
③県立学校一人一台コンピュータ更新(教材作成と情報の共有化の促進とセキュリティ対策)
④教育情報ネットワークサーバ更新(サーバ性能の向上によるネット利活用促進とセキュリティ対策)
(2)要綱等の提案
セキュリティポリシー等の策定を含むネットワーク要綱改訂では,7本の要綱等について改訂原案
を概ねまとめることができた。
2
課題
(1)ICTを活用して指導する能力の向上
文部科学省で
調査した全国の
教 員 の I C T活 用
指導力に関する
速 報 値 [ 3 ]の 全
国平均と山梨の
数値を(表4)
に示す。山梨県
の県立学校の情
報機器の整備状
況[2]は,概ね全国上位である。しかし,授業でICTを活用して指導する能力に関する調査結果では,
上位とはいえない。ICTを活用して指導することで生徒児童の学力向上につながることは,文部科学
省の「ICTを活用した指導の効果の調査結果」[4]やフィンランドの実践[7]に示されている。これら
を受け,今後山梨では普通教室でプロジェクタや教材提示装置の組み合わせによるICTを活用した,
生徒児童が「よくわかる授業」のための研究をさらに深める必要があると考える。
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(2)ネットワーク要綱の改訂は継続
ネットワーク要綱等の改訂作業は,平成19年度にはじまったばかりである。ネットワーク要綱の体
系全体から見るとまだ10本程度の要綱の新規作成と改訂が必要である。リニューアルされたICT教育
環境を円滑に学校現場で活用促進するには,次年度以降も粘り強くこの改訂作業を継続して研究する
ことが必要と考える。なお,これら改訂した要綱と各学校のセキュリティポリシー等との相関も新た
に実践研究する必要がある。
以上,多くの成果と課題を得られたのは,研究協力校,研究協力員,並びに高校教育課指導主事・
上小澤仁志先生,宮下誉夫先生をはじめ,研究協力頂いた全ての皆様のおかげである。深く感謝申し
上げる。
研究協力員
引用・参考文献
[1]IT新改革戦略-いつでも,どこでも,誰でも
甲府東高校
教諭
中山
真男
ITの恩恵を実感できる社会の実現-,IT戦略本
甲府工業高校
教諭
中澤
透
部,2006年1月19日
甲府城西高校
教諭
野中
昭男
[2]平成18年度学校における教育の情報化の実態
増穂商業高校
教諭
古屋
章
等に関する調査結果(平成19年3月現在),
甲府支援学校
教諭
丸山
昌也
准教授
成田
雅博
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/06/070612
研究協力
09/001.pdf,文部科学省,2007年6月
山梨大学
[3]教員のICT活用指導力に関する速報値(平成1
熊本県教育庁
9年3月現在),
教育政策課
課長補佐
久保
隆生
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/07/070719
教育政策課
指導主事
柿下
耕一
14/001.pdf,文部科学省,2007年7月
教育政策課
指導主事
宮田
敏郎
山梨県教育庁
[4]ICTを活用した指導の効果の調査結果,
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/05/070607
高校教育課
指導主事
上小澤仁志
06.htm,文部科学省,2007年5月25日
高校教育課
指導主事
宮下
誉夫
[5]やまなしITプラン,山梨県,2004年2月
高校教育課
指導主事
高保
裕樹
[6]山梨県下諸学校IT環境等の調査結果,山梨県
韮崎高校
教頭
赤岡
正毅
総合教育センター情報教育部,2007年10月
甲府南高校
教頭
望月
立弥
[7]平等社会フィンランドが育む未来型学力,明
山梨県総合教育センター委託情報処理技術者
石書店,ヘイッキ・マキパー著,2007年5月
(甲府情報システムKK)
[8]平成13年度山梨の情報教育,山梨県総合教育
山梨県総合教育センター委託情報処理技術者
センター情報教育部,2002年2月
(甲府情報システムKK)
末木
小林
研究協力校
甲府東高校
校長
北原
行雄
甲府工業高校
校長
戸田
泰明
甲府城西高校
校長
大沢
正
増穂商業高校
校長
久津川
孝
甲府支援学校
校長
保坂
満
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平成19年度
山梨県総合教育センター
執
研修主事
筆
者
手塚
幸樹
完治
賢
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