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ピクテ・マーケット・フラッシュ 2016年4月28日
先進国
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ユーロ圏銀行融資: 3月の伸びは鈍化したが四半期ベースでは堅調
2016年3月のユーロ圏非金融企業向け銀行融資は前月比で大きく減少したものの、民間セクター向け融資は四半
期ベースで堅調さを維持しました。域内の銀行セクターが、マイナス金利が収益を圧迫する環境にありながら善戦
していることがうかがえます。今後は、6月導入の新しい長期性資金供給オペ(TLTRO II)の効果も注目されます。
2016年3月のユーロ圏銀行融資:民間セ
クター向けの伸びは鈍化
図表1:ユーロ圏の民間セクター向け融資
月次、前年同月比、期間:2004年1月~2016年3月
15
2016年3月の非金融企業向けユーロ圏銀行融資(売
却あるいは証券化された融資を除いた金額)の伸びは
10億ユーロに留まり、1月の240億ユーロ、2月の190
億ユーロの伸びを大きく下回りました。一方、3月の家
計向け融資は90億ユーロの伸びと引き続き堅調でした。
欧 州 中 央 銀 行 ( ECB ) 発 表 の 4 月 の 銀 行 貸 出 調 査
(BLS)等、信用情勢を示す直近の指標は、2016年上
期を通じた信用の伸びの継続と堅調な域内需要を示
唆しています(2016年4月21日発行のピクテ・マーケッ
ト・フラッシュ「ユーロ圏銀行貸出調査:信用サイクルは
拡大傾向が継続」をご参照ください)。
2016年3月のユーロ圏M3(広義のマネーサプライ指
標)の伸び率は前年同月比+5.0%と2月の同+4.9%と
ほぼ変わらず、概ね安定推移しました。また、3月のM1
(市中に流通する現金や翌日物預金等を含む狭義の
マネーサプライ指標)の伸び率も前年同月比+10.1%と
前月と同水準でした。
2016年3月の民間セクター向け融資(売却あるいは証
券化された融資を除いた金額)の伸び率は前年同月
比+0.9%と、2月と同水準でした。内訳では、家計向け
融資が同+1.6%と2月の同+1.5%を上回りました。一
方、 非金融企業向け銀行融資は同+1.1% と、2011年
11月以来の水準を回復しました(図表1参照)。
民間セクター向け融資は、3月単月では伸び悩んだも
のの、過去2ヵ月ともに好調だったことから、四半期
ベースでは極めて堅調です。前述の通り、3月の非金
融企業向け銀行融資の伸びは10億ユーロに留まりま
したが、3ヵ月移動平均は、1-3月期に過去最高水準を
更新しています(図表2参照)。信用市場においても株
式市場においても厳しい状況のなか、域内各行が善戦
していると見られ、先行きが期待されます。
非金融企業向け
%
13
家計向け
11
住宅購入向け
9
7
5
3
1
-1
-3
-5
04年
06年
08年
10年
12年
14年
16年
図表2:ユーロ圏の民間セクター向け貸出フロー
月次、3ヵ月移動平均、期間:2009年1月~2016年3月
20
10億ユーロ
15
家計向け
10
5
0
-5
-10
非金融企業向け
-15
-20
09年
10年
11年
12年
13年
14年
15年
16年
出所:ピクテグループ
<次ページに続きます>
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
1
3
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(月ごとの変動が大きい)短期融資が減少した一方で、
融資期間が5年を超える非金融企業向け融資が着実
なペースで拡大していることも注目されます。前述の通
り、3月の家計向け融資は90億ユーロと足元数ヵ月の
水準を上回っています。
国別動向では、非金融企業向け銀行融資が激減した
スペインが低調だった一方で、イタリアは強弱交錯でし
た。両国の足元の政治情勢や銀行セクター改革の影
響を見極めるまでは、今後数ヵ月の信用フローが注視
されます。
ECBは、両国の状況を注視しつつも、マイナス金利や
量的金融緩和の弊害が懸念される環境下、4月のBLS
等の足元の各種調査結果が両国の信用拡大基調を
示していることに安堵していると思われます。
6月導入の新しい長期性資金供給オペ(TLTRO II)の
効果を現段階で正確に測るのは困難です。TLTRO II
を通じた借入に際して民間銀行が「支払う」金利、正確
には、マイナスの貸出金利という形で「受け取る」金利
についての詳細が不明だからです。銀行側は、有利な
条件での借入基準を満たすまでに2年以上を要するも
のと思われます。また、周縁国の大多数の銀行は、民
間向け貸出しを増やすか、債務圧縮のペースを落とさ
ない限り、最低金利(現行、-0.4%の中銀預金金利)で
の借入の恩恵を受けられそうにありません。3月の
ユーロ圏銀行融資統計から示唆されるのは、イタリア
とスペインの銀行が最低金利でECBの融資を受ける
にはこれまで以上の努力が必要だということです(図表
3参照)。
図表3:イタリアとスペインのTLTRO II適格貸出の
残高 期間:2009年1月~2016年3月
120 2016年1月=100
として指数化
115
TLTRO IIの適格貸出
貸出基準
2016年3月時点
110
105
100
イタリア
95
09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
190 2016年1月=100として指数化
170
TLTRO IIの適格貸出
貸出基準
2016年3月時点
150
130
110
スペイン
90
09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
※貸出基準:0.4%のマイナス金利が適用されるための貸出基準(想定)
出所:ピクテグループ
ドラギECB総裁の言葉を借りれば、「ECBの金融政策
は成果をあげつつある。もう少し時間が必要なだけだ」
といえそうです。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
容が変更される場合があります。
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