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平成22年度高校生社会貢献活動推進事業事例集 [PDF

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平成22年度高校生社会貢献活動推進事業事例集 [PDF
平成22年度
高校生社会貢献活動推進事業
事例集
【内 容】
1 岡山県立岡山城東高等学校(平成21・22年度推進校)
「社会奉仕体験活動・交流体験活動・社会参画活動等を通じての
本校生徒の道徳性の育成」
2
3
4
5
6
7
8
9
10
…………
1
岡山県立倉敷鷲羽高等学校(平成21・22年度推進校)
「ボランティアデー」
…………
9
岡山県立津山東高等学校(平成21・22年度推進校)
「社会貢献活動を通しての道徳教育
(生徒の心を揺さぶり、行動に移すために)」
…………
13
岡山県立津山工業高等学校(平成21・22年度推進校)
「地域の環境保全のために様々な人々と交流をすることで
豊かな心を育成する」
…………
17
岡山県立鴨方高等学校(平成21・22年度推進校)
「社会奉仕活動と勤労生産体験活動
~地域への感謝の心と人に対する思いやりの育成~」
…………
21
岡山県立倉敷中央高等学校(平成22・23年度推進校)
「生徒企画の清掃活動を通じて、ボランティア意識を高める」
…………
23
岡山県立倉敷商業高等学校(平成22・23年度推進校)
「Kurasho ボランティア」
…………
25
岡山県立玉野高等学校(平成22・23年度推進校)
「社会貢献活動を通じた道徳的実践力の育成」
…………
29
岡山県立勝山高等学校(平成22・23年度推進校)
「地域と連携し、地域を知るボランティア活動
~地域の期待や良さ・課題を再発見させる取組にするための
方法を探る~」
…………
31
岡山県立矢掛高等学校(平成22・23年度推進校)
「地域貢献活動を通しての人材育成」
…………
33
平成23年3月
岡山県教育庁指導課
社会奉仕体験活動・交流体験活動・社会参画活動等を通じての
本校生徒の道徳性の育成
岡山県立岡山城東高等学校(平成21・22年度推進校)
1 生徒につけさせたい力
(1) 人間としての在り方生き方に関する教育の充実を図り、社会貢献の精神及び公徳心
社会貢献の精神及び公徳心
などの道徳心を養う。
などの道徳心を養う
(2) 互いに協力し合いながら、活動を通じて福祉や社会的弱者等への関心を高めるとと
もに、人権を尊重し、差別のないよりよい社会を目指す態度を育てる
人権を尊重し、差別のないよりよい社会を目指す態度を育てる。
人権を尊重し、差別のないよりよい社会を目指す態度を育てる
(3) 地域の人々との触れ合い及び地域の子どもたちとの交流を通して、他の人々や社会
のために役立つ体験をするとともに、体験や研修を通して自己探求に努め、自己の特
体験や研修を通して自己探求に努め、自己の特
性、進路等についての理解を深める。
性、進路等についての理解を深める
(4) さまざまな活動の発表を行うことにより、広く物事への関心を高め、問題を発見し
たり、困難に挑戦し解決したり、人との信頼関係を築いたりして共に物事を進めてい
く喜びや充実感を体得し、指導力やコミュニケーション能力をはぐくむ
指導力やコミュニケーション能力をはぐくむとともに、学
指導力やコミュニケーション能力をはぐくむ
ぶ意欲や思考力、判断力などを総合的に高める。
2
校内の推進体制
校内では『献活』と銘打ち、学校周辺の福祉施設、保育園、小学校及び町内会を訪問
し、社会奉仕体験活動や交流体験活動を中心に取り組むこととし、対象は原則として1
年次生全員とした。
校内の推進体制は、献活プロジェクト小委員会で計画の立案や日程調整を行い、
『献
活』プロジェクト委員会の承認を経て、職員会議にはかることとした。
また、1年次生各クラスから2名の生徒献活委員を募り、活動の情報提供やクラスの
取りまとめを行った。
(1) 『献活』プロジェクト小委員会(6名)
総括(主幹教諭)
、献活委員長(1年次)
、献活副委員長(1年次)
1年次主任、部活動係(生徒課)、2年次教員(1名)
(2) 『献活』プロジェクト委員会(12名)
上記小委員会メンバー+教頭、教務課長、生徒課長、厚生課長
生徒会顧問、ボランティア部顧問
(3) 生徒献活委員会
1年次各クラス2名
16名
3
取組事例
「活動名:ジョトスタ」
(1) 目 的
地域の子どもたちとの交流を通して、他の人々や社会のために役立つ体験をすると
ともに、体験や研修を通して自己探求に努め、自己の特性、進路等についての理解を
深める。また、将来の職業や進路の選択決定について意欲と関心を高める。
(2) 教育課程上の位置付け
ア 夏期休業中に特別活動として実施する。
イ 実施日程
8月3日(火) 10:00~12:00、13:00~15:00
- 1 -
5日(木) 10:00~12:00、13:00~15:00
6日(金) 10:00~12:00、13:00~15:00
ウ 活動する生徒の単位
対象は原則として1年次生希望者とする。(2・3年次生にも情報提供する。)
(3) 活動の内容と連携先
ア 内 容
『ジョトスタ』と銘打ち、近隣の小学校4校に案内を出し、小学生の夏休みの宿
題の支援を行う。1年生から6年生までを対象とする。
イ 連携先
岡山市立財田小学校、岡山市立古都小学校、岡山市立芥子山小学校、岡山市立可
知小学校
(4) 取組に向けた準備
ア 校内整備(小学生が利用しやすい環境づくり)
お茶や食事をとる場所の指定、男子トイレの整備
イ 小学生に学習指導を行うに当たり、教育庁指導課からアドバイスを得た。
(5) 事前指導・事後指導
ア 事前指導
7月29日(木)13:30~ 視聴覚教室
イ 研修内容と確認事項
(ア) 「ジョトスタ」実施に当たり、気をつけておくこと その1
a 小学生は学年・個人によって集中できる時間が違うことを知っておく。小学
生に2時間まるまる集中させるのは難しい。
b 約束事は取組の最初に明確に示し、きちんと守らせるようにすることが大切。
c 「めあて」をもって勉強させることが大切。何を、どれくらい(分量・時間)
やるのか小学生自身が決めてから勉強させる。休憩も計画に入れておく。
d 小学生は高校生とは体力が違うことを知っておく。小学生はトイレが近い。
トイレの場所を親切に教えておくこと。
困ったことがあればすぐに言うように知らせておくことが大切。
e 知らないお兄さんやお姉さんになかなかなじめない子どももいることを知っ
ておく。いかに人間関係作りをしていくかが大切。
(イ) 教え方のコツ
a まずは自分でさせる。
b 分からないときは、答えではなく、やり方を教える。
c 小学生用の図鑑や辞書、高校生が小学校時代に使っていた教科書などを用意
しておくとよい。(図書館で借りる、家にある小学生用図鑑などを持ってくる
など。
)
d 取組のアイディア(高校生が担当する子どもの数によって適切な方法は異な
る。)
e 人間関係作り(簡単なゲーム・自己紹介など)で気持ちをほぐしてから勉強
する。
f お楽しみタイムがあってもよい。(音楽・簡単な実験・絵本の読み聞かせ・
ものづくり・英語活動など、高校生の得意分野を生かす活動)
g ご褒美カード(ご褒美シールでもよいかもしれない。
)
(高校生から小学生に
頑張ったことを書く、小学生がお礼の言葉を書く、頑張ったことを小学生の保
護者に伝える。)
(ウ) 「ジョトスタ」実施に当たり、気をつけておくこと その2
a 集合時間は1時間前、視聴覚教室に集合。(午前中担当者は9:00、午後
担当者は12:00)
b 参加児童の受付は担当者で行い、
視聴覚教室まで案内をする。
親切な対応を!
c ご褒美カードの記入は時間内に! 簡潔に!
ウ 事後指導
レポート提出
- 2 -
(6) 取組の成果と課題
今年度、新たな活動の目玉として、地域の子どもたちとの交流を通して、社会に役
立つ体験をするとともに、自己の特性、将来の職業や進路の選択についての理解を深
めるため、小学生を本校へ招いての学習支援活動(ジョトスタ)を実施した。
8月前半の3日間、さらに午前と午後の計6回の講座に分けて近隣の4小学校から
参加児童を募集した。校内では有志生徒により、小学生を手厚く支援できる体制を整
えた。結果として6講座のべ210名の小学生と140名の城東生が参加する大イベ
ントとなった。
参加小学生の中には、講座終了後、追加申込をする児童がいたり、小学生保護者か
らは「来年も……」
、「中学生も……」などの意見をうかがったり、お礼状をいただい
たりとおおむね好評であった。もちろん参加した城東生にとってもよい経験となった
ことが、彼らの表情からしっかりうかがえた。
また今回は、小学生参加者の追加申込が増えたために、高校生の人数が不足してし
まい、部活動に来ていた野球部・ラグビー部の部員に急きょボランティアの依頼をす
ることになったことや、参加小学生のニーズに応えることが課題である。(図画や工
作・スポーツ活動・音楽活動等への対応)
受付をお願いします
教室に案内します
わかるかな?
- 3 -
(7) 参加生徒の感想
『私は将来小学校の先生になりたいと思ったので、ジョトスタに参加しました。教
えた子どもに「ありがとう」と言われて、すごくうれしかったです。自分の夢への思
いがより一層強くなりました。
』
- 4 -
○ジョトスタちらし
- 5 -
○ご褒美カード
- 6 -
4 その他の活動
(1) 「献活デー」の取組について
ア 期
日
献活デー
10月26日(火)
献活発表会 12月21日(火)
イ 対
象
1年次生全員
ウ 活動内容
a 城東チャイルドセンター(保育補助)
* 参加生徒の感想
『一緒に過ごした時間はとても少なかったですが、楽しくて、自分まで元気
をもらいました。
』
b 財田幼稚園(清掃活動・教材作成)
c 財田小学校児童クラブ(各種指導)
* 参加生徒の感想
『小学校の先生の大変さが身をもってわかりました。
』
d 長利町内会いきいきクラブ(祭りの飾り物作成)
- 7 -
e ハザードマップ作成(学校周辺及び通学路)
f 献活発表会の様子
(2) 古都の森訪問
3回実施(テニス部・合唱部・有志が参加)
(3) 手話講座
1年次生全員
(4) 東北地方太平洋沖地震募金活動
生徒会・献活委員会を中心に実施
5 成果と課題
(1) 成果
今年度で現2年次生に加え、1年次生も全員が「献活」を体験した。
学校自己評価アンケートの「ボランティアなどの経験を通じて、自分を高める機会
がある」という項目で、3年次より2年次、2年次より1年次で良い評価が得られた。
このことからも「献活」が昨年度以上に浸透してきたといえる。また、生徒の活動
記録に目を通しても、「献活」に取り組んでいることに意義があったと回答している
ものがほとんどである。
この事業を通して、生徒の普段学校で見せる姿と違う一面を見ることができ、担当
者としてもあらためて、社会貢献活動の重要性を認識できた。
2年間の研究指定を受け、取り組んだことで2年後の本格実施に向けての基盤がで
きたように思う。
(2) 課題
ア 自ら進んで活動に取り組む生徒が少ない。自主的活動になっていない。
(プログラムを与えてもらわないと活動できない)
イ 校外で社会貢献活動を行う際には、活動できる人数、時間といった制限が多くあ
る。
(校内でできる活動を考える)
ウ 研究指定後の推進組織や予算について現在検討している。
(校務分掌に組み入れる、学校経営予算等)
(主幹教諭 小山浩樹)
- 8 -
ボランティアデー
岡山県立倉敷鷲羽高等学校(平成21・22年度推進校)
1 生徒につけさせたい力
(1) 本校が推進するキャリア教育の一環ととらえ、他者と協働する実体験を通して価値
観の育成に努める。
(2) 社会(地域、職域等)の一員として一定の役割を果たすことにより、自己の「役立
ち感」や「自己肯定感」を醸成し、自律的な進路実現や自己実現に努める。
2
校内の推進体制
(教職員組織)
校長
(生徒組織)
生徒会執行部
教頭
主幹教諭
ボランティアメイト
会長
指導教諭
副会長
希望1・2・3年次生
総務課
ボランティア係
生徒課
厚生課
全教職員
私たちの社会貢献
ボランティアデー
3
進路課
インターンシップ
※ボランティアメイトとは、 ボランティア活動
希望者がエントリーし、可能な範囲でボラ
ンティア活動を行う組織。
中心的な取組事例
「活動名:ボランティアデー」
(1) 取組概要
ア 識者による事前の講演会を行う。
イ 行政や地元の自治会と協働し、全校生徒が参加して地域の清掃活動を行う。
(2) 教育課程上の位置付け
ア 講 演
日 時
5月12日(水)13:15~14:30
場 所
倉敷鷲羽高等学校 体育館
講 師
(株)イエローハット元会長 鍵山 秀三郎 氏
演 題
「ひとつ拾えば、ひとつだけきれいになる」
対 象
1・2・3年次生
イ ボランティアデー
日 時
7月20日(火) 8:35~11:30
- 9 -
(3) 活動の内容と連携先
倉敷鷲羽高校周辺(小川橋~塩生)、旧市立児島高校、児島市民病院、児島図書館、
倉敷琴浦高等支援学校の清掃活動
倉敷市役所環境衛生課、環境衛生協議会、児島ライオンズクラブ、味野支部、
城地区組合、木村地区組合、井戸地区組合、橋本地区組合、本庄支部、
児島市民病院、児島図書館、倉敷琴浦高等支援学校
(4) 取組に向けた準備
準備開始時期:年度当初
担当者役割分担:総務課ボランティア係、厚生課
安全面への配慮:年度当初(社)全高P連賠償責任補償制度に全生徒加入
(5) 事前指導・事後指導
ア 事前・事後アンケートによる生徒の意識調査
イ 事前講演会による社会貢献活動への意欲喚起
(6) 取組の成果と課題
ア ボランティアに対する生徒意識は、昨年に比べて高くなっている。中学校までの
ボランティア活動や高校入学後のボランティア活動の経験が多くなっているのが要
因であろう。しかし、H22のボランティアデー後の「地域や社会に貢献する活動
に取り組みたい」という気持ちが減少したのは、ボランティアデーが雨天順延で、
炎天下のもと、集めたゴミ・草や枝を学校まですべて持ち帰る結果となり、生徒に
とって辛いボランティアとなり、「役立ち感」よりも「疲労感」が残った感があっ
たからであろう。全校生徒が取り組むボランティアは、タイミングと準備が大切で
ある。
イ 「地域や社会に貢献する活動に積極的に取り組みたい」という意識を持つ生徒が
9割いるのに対し、残り1割の生徒は「あまりそう思わない」と感じていることが
課題である。その理由を知ることと、ボランティアに関する意識を高めることを目
的として、10月15日の1年次生のLHRに『1クラス1ボラ』を提案し、アン
ケート調査を実施した。
4 その他の活動
(1) 私たちの社会貢献
(ボランティアへの自主意識への向上)
ア 『1クラス1ボラ』+生徒有志
エコキャップの収集、プルタブの収集、
校内の清掃区域以外の清掃
イ ボランティアメイトによるボランティア活動
- 10 -
(2) インターンシップ(事業所協働型ボランティアの取組)
ア 各事業所(80社)で7月中旬に3日間の職場体験(2年次生)
イ 活動報告会(12/17、1・2年次対象)を開催し、体験の共有と深化を図る。
5 成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
ア アンケート調査から多くの生徒は、
中学時代にボランティア活動を経験している。
- 11 -
そのため、1年次から自主性を重視したボランティア活動を指導している。1年次
生のボランティアメイトの加入者は88名で、9月までにのべ81名であったが、
3月までに、のべ147名(ボランティアへの参加率は94%)となった。
イ 地域や社会に貢献する活動に対し、関心・意欲を多くの生徒が積極的に持ってい
ることがわかった。『1クラス1ボラ』に取り組もうとする気持ちも大切だと感じ
ている。クラスで具体的なボランティアのテーマを決めることで、ボランティアに
取り組むことへの抵抗感をなくし、積極的に参加するきっかけをつくった。
(2) 成果
ア ボランティアデーでの児島市民病院の清掃活動は非常に感謝され、以降定期的に
ボランティアメイトが清掃活動を行っている。
イ 1・2年次生から始まったエコキャップの回収は、学校全体に広がり、教職員・
保護者の協力も得ている。
(3) 課題
本校のボランティア活動は、校内では組織的に定着し、地域での知名度も上がって
いる。一方でボランティア依頼が年々増してきている。ビルド&スクラップの必要性
に迫られ、今後は継続可能なボランティア活動を取捨選択し、生徒に紹介する必要が
ある。
また、継続的な運営の視点から事前に打合せ会議が開かれる場合は、ボランティア
係が同席し、学校側の考えを伝え、活動内容・参加人数を確認し、ボランティア活動
後の生徒の「役立ち感」や「自己肯定感」がもてるように配慮していく必要がある。
最も重要なのは、社会貢献活動にしろボランティア活動にしろ、生徒自らが自主的
に取り組もうとする姿勢づくりである。本校では、「1クラス1ボラ」の定着を目指
しているが、いずれ「1人(ひとり)1ボラ」が定着することを期待している。
(教諭 考藤春人)
- 12 -
社会貢献活動を通しての道徳教育
(生徒の心を揺さぶり、行動に移すために)
岡山県立津山東高等学校(平成21・22年度推進校)
1
生徒につけさせたい力
本校では道徳教育を通して、自己を見つめ直し、自己肯定感・コミュニケーション能
力を高め、自己実現をさせることを目標にしている。道徳教育は教育活動全体が活動の
場であるが、特に体験活動は自己実現には最適の場である。
(1) 多くの人と関わることにより、自分を認識し、自己を見つめる。
(2) 人の役に立つこと、人に感謝されることを体験することにより、自己肯定感を持つ
ことができる。
(3) 様々な年齢層の人々と触れ合うことにより、コミュニケーション能力を身につける。
2 校内の推進体制(校内組織)
(1) 教員:IP(interactive program)委員会を設置し、学校全体で組織的に取り組
むことができる指導体制を確立。
(委員長、1・2年主任、各学年より1名、ボラン
ティア係、家庭クラブ)
(2) 生徒:ボランティア委員(各クラス2名)を中心に活動。その都度、委員の呼びか
けで有志を募り、学校全体での活動とし、委員を中心に各行事を実施する。
3
取組事例
「活動名:お涼み会」
(1) 取組概要
本校に近隣のお年寄りや児童福祉施設・児童クラブの子どもたちを招いて、お涼み
会を実施。
(2) 教育課程上の位置付け
ア 夏季休業中の午後に1回実施。
イ 朝から準備、14時~16時くらいの2時間程度開会する。
ウ 活動する生徒:1、2年生全学科有志約60名程度。
(3) 活動の内容と連携先
ア 軽食を準備し、歌や簡単なゲームをして楽しんでもらう。
イ 1、2年生が中心で、企画、準備、案内等をし、分担してもてなす。
ウ 縁日のようなイメージで、一緒に遊んだり、話をしたりして、楽しく交流する。
エ 約130名程度が来校。
- 13 -
オ 連携先
a 児童福祉施設、児童クラブ(子どもへの呼びかけ)
b 津山市社会福祉協議会、岡山県社会福祉協議会(事前学習、講演)
c 林田町内会(お年寄りへの呼びかけ)
(4) 取組に向けた準備
ア 実施の1か月前に生徒にボランティアを募集(1年中心)
イ 実施内容を検討、ポスターを作成し、町内会、施設等へ配布
ウ 来客概数を調査、材料発注
(5) 事前指導・事後指導
ア 津山市および岡山県社会福祉協議会へ依頼し、ボランティア講演会を実施。
イ 内容を生徒に企画させることにより、
自分たちで実施するという自覚を持たせる。
ウ 実施後、ミーティングを行い、今後の活動に活かす。
(6) 取組の成果と課題
異年齢の人々と交流することにより、コミュニケーション能力が身に付き、感謝さ
れたり、頼りにされることで自己肯定感が持てるようになる。また、周囲と協力して、
物事に取り組むことができるようになる。
ただ、これは多くの取組の中の一つであり、これだけで成果があるとは一概に言え
ない。小さな活動を続け、経験を積んでいく中で生徒も少しずつ成長していくと思わ
れる。きっかけや意識付けにはよいが、本当の意味での成長は日々の積み重ねによる
ものである。他の多くの取組を通して、長期的な成果をみる必要がある。
4
その他の活動
平成22年度
内容
4/16(金)
新入生
活動生徒
閑谷学校において、奉仕作業
1年生200名
学校周辺の清掃活動
1年生200名
その他
1日研修
6/ 8(火) クリーン
9(水)
6/23(水)
作戦
ボ ランテ ィ 日本原荘生活相談員
1年普通科
ア講演会
120名
大崎保育園
副園長
津山みのり学園施設長
6/29(火) 環境教育
講演会
7/ 9(金) クリーン
7/23(金)
津山工業高等学校
1年生200名
指導教諭 三宅直生
テスト最終日に美化委員・ボランティ 1・2年有志
作戦
ア委員、有志で学校周辺の清掃
63名参加
お涼み会
児童福祉施設・児童クラブの子どもた 食物調理科2年、 130名来校
ちと近隣のお年寄りを招いてのお涼み 看護・普通科1年
会
7/28(水) 夏ボラ
~8/16(月)
の有志58名
保育園58名
1年16名、
高齢者・児童福祉施設23名
2年53名、
地域体験・児童クラブ 6名
3年18名
昨年は44名
合計87名
10/26(火) 発達障害
元岡山盲学校教頭
竹内昌彦
1年生200名
理解講演会
11/ 9(火) 国際理解
講演会
11/ 9(火) クリーン
NPO法人セカンドハンド元代表
1年生200名
新田恭子
2年生からセカンドハ
ンドへ募金
学校周辺の溝掃除・清掃活動
作戦
2年生普通科
116名
- 14 -
11月下旬
募金活動
~12月上旬
(歳末)
11月下旬~
古切手回収
ボランティア委員の立ち番による
1・2年生ボラン
ティア委員20名
講演会を聞いて、生徒の声(感想)か 1・2年生ボラン
ら実施
ティア委員20
名、有志
12/15(水) クリーン
学校周辺の清掃活動
1年生普通科
作戦
1月~
書き損じ
120名
ボランティア委員の提案
はがき回収
1・2年生ボラン
ティア委員20
名、全校
2月中旬
通年
お 年寄り 宅 バレンタインデーにお年寄りに手作り 家庭クラブ
マドレーヌ
へ訪問活動
3,600個
マドレーヌと手紙を贈る活動
(1・2年生)
ペ ットボ ト ペットボトルキャップからワクチンを 家庭クラブ
ル キャッ プ …に協力
(全校)
回収
5 成果と課題
(1) 成果
ア ボランティア活動の活性化
平成21年度
夏ボラ参加 44名(1年9名
44名 1年9名、2年14名、3年21名)3日以上参加の生徒
1年9名
保育園
34名
高齢者・障害者福祉施設
4名
地域体験・児童クラブ
6名
↓
平成22年度(長期休業中:7月28日から8月16日)
夏ボラ参加 87名(1年16名、2年53名、3年18名)3日以上参加の生徒
87名(1年16名、2年53名、3年18名)
保育園
58名
高齢者・障害者福祉施設 23名
地域体験・児童クラブ
6名
イ 学校評価アンケート「ボランティアについて学ぶ機会がある」(全校対象12月
実施)
a 全体 平成20年度:30%→平成21年度:59%→平成22年度:69%
b 平成21年度入学:1年次94%→2年次78%;平成22年度入学:65%
平成21年度入学:1年次94%→2年次78% 平成22年度入学:65%
全体的に上がっている。特に、平成21年入学生(現2年)の意識が高いこと
がわかるが、継続指導が大切であることを示している。
ウ 社会貢献アンケート(1年生対象)
平成21年入学生
「社会貢献活動は必要である」
93%
「積極的にボランティアに参加したい」
82%
「クリーン作戦には積極的に参加した」
80%
「お涼み会のような催しをすれば参加したい」 60%
「夏ボラを体験してプラスになった」
100%
平成22年入学生
94%
86%
76%
65%
82%
(2) ボランティア活動の広がり
ア 講演を受けて、または、地域で聞いて、生徒がこうしたいと思ったことを実行さ
せている。例えば、ボランティア委員を中心にペットボトルのキャップの回収や募
金活動を通年実施している。募金活動は生徒が昇降口で週に1回呼びかけている。
a 昨年の国際貢献の講演会を受けて、2年生が募金活動→セカンドハンドへ募金
b 今年の国際貢献の講演会を受けて、1年生ボランティア委員を中心に使用済み
の切手の回収を始めた。
- 15 -
イ 昨年度の取組を踏まえ、各クラスにボランティア委員を設置。クリーン作戦の計
画。
ウ 調整やお涼み会の計画をしている。生徒からの意見は周囲への広がりをみせてい
る。
エ ボランティア通信の発行を始める。
(ボランティア活動の周知と募集、夏ボラ感想
ボランティア通信
など)
講演会も昨年並みに開催し、意識向上を図っている。活動については、やはり継
続指導が重要であることがわかる。昨年度からこの事業に取り組んでいる2年生は、
積極的に様々な行事に参加している。2年生のボランティア参加率は最も高く、地
域の高校でも群を抜いている。保護者にも協力を働きかけたこと、事後のフォロー
・感想等のフィードバックなどの効果があったのではないかと思われる。また、精
神的にも成長している。特別な生徒ではなく、ごく普通の生徒が取り組んでおり、
ごく普通の生徒が取り組んでおり、
2年生ではボランティアに参加することが当たり前になっている。
(3) 課題等
ア 参加形態
アンケートによると「地域や社会に貢献する活動は大切だと思う」が94%であ
るのに対して、「今後、地域や社会に貢献する活動に積極的に参加したい」は86
%にとどまっている。貢献したいという気持ちはあるが、なかなか実行できない姿
が見受けられる。ただ、半強制的な「クリーン作戦に積極的に参加した」でも76
%と割合が高く、活動の場を設けることが必要であり、その場があればもっと参加
活動の場を設けることが必要であり、その場があればもっと参加
するのではないかと思われる。
するのではないか
ボランティア活動もいろいろあり、人と接することを主とする活動には、ややし
人と接することを主とする活動には、ややし
り込みする傾向がある。
り込みする傾向がある。「お涼み会のような催しがあれば、参加したい」は65%
程度にとどまっており、有志が望ましい。できれば多数の人と関わる中でコミュニ
できれば多数の人と関わる中でコミュニ
ケーション能力を高め、成長してもらいたいと思うが、それぞれにあった参加の形
を考えなければならない。
を考えなければならない
1年次には知識を学ぶことも重要であり、講演会も精選して継続していくつもり
である。
来年度はさらに活動を広げていけるよう積極的に地域に働きかけていきたい。地
地
域の求める活動をすることも視野に入れて、町内会、市役所、社会福祉協議会など
と連携をとりながら、少しでも生徒が成長し、本当に貢献できる活動にしていきた
いと考える。
また、1・2年でしっかり実践させて、地域とつながりを持つことで、学校だけ
でなく、地域の力で生徒を成長させることができると思われる。
イ 校内教員への周知と意識の高揚
学年・クラスによって偏りがある。温度差を小さくするために、もっとIP委員
会が中心となり、学校全体を動かさなければならないと感じている。今後の活動に
おいて、自発的・発展的な取組となることが肝要である。そのためには教員の意識
の高揚を図ることが不可欠である。
(教諭 久常宏栄)
- 16 -
地域の環境保全のために様々な人々と交流をすることで
豊かな心を育成する
岡山県立津山工業高等学校(平成21・22年度推進校)
1 生徒につけさせたい力
(1) 豊かな心
(2) 地域社会の一員としての自覚
(3) 正義を重んじ差別や偏見を持たない心
(4) 意欲(他者に認められることで喜びを感じ、喜びを意欲の向上につなげる)
2 校内の推進体制
* 特に社会貢献活動推進委員会等は設けず、既存の組織を活用し事業を推進した。
(教職員組織)
教 頭
指導教諭
7科の科長(科長会) 各学年主任 生徒課長・教務課長・厚生課長・進路課長
全教職員
(生徒組織) 生徒会執行部 ボランティア委員会
3
中心的な取組事例
本事業は、①学校、学年、クラス全体で実施する環境整備奉仕活動、②有志が行政、
福祉施設、NPOと連携して環境学習・リサイクル交流会を開催、の2つを中心に実施
した。
(1) 環境整備奉仕活動
ア 取組概要
全校生徒が地元の名所である鶴山公園(西日本有数の桜の名所)で奉仕活動を行
う。
イ 教育課程上の位置付け
1学期末考査終了後終業式までの授業日、2学期末考査終了後終業式までの授業
日に、学校行事として全校生徒および全教員が参加して実施
ウ 活動の内容と連携先
a 活動の内容
花見客がシートの重しに石垣から外した石を戻
す・草むしり・砂利運び・枯れ木拾い・清掃
b 連携先
津山市観光協会、津山市公園緑地課
エ 取組に向けた準備
a 本校の特色に合わせて実施していた取組を、更
に発展させるためにどのような取組が必要かを検
砂利運び
討した。(市内の名所で活動することで、地域の
一員としての自覚をはぐくむ取組を実施することとした。
)
b 全校生徒が活動可能な場所を模索するため農林部長など市の幹部と連絡を取
り、公園緑地課と相談後、津山市観光協会と場所や活動内容について検討した。
(西日本有数の桜の名所である鶴山公園に決定。
)
- 17 -
c 作業場所の危険箇所、行き帰りの安全など危
機管理と効果的な実施方法について、教員およ
び公園の担当者と打ち合わせを繰り返した。
オ 事前指導・事後指導
a 事前指導はLHRの時間を使って「社会貢献
活動とは」
、
「社会貢献活動の意義」を説明。
b 講演会の実施
演題「企業の社会貢献とCSR」
枯れ葉掃き掃除
企業経営者 藤本晴男 氏
内容 ・会社も社会貢献の意識がないと生き残っていけない時代になった。
・地域に応じた社会貢献活動をする必要がある。
c 事後指導は行事直後にLHRで実施すると同時に、2学期の文化祭時と全行事
終了後の3学期に生徒代表と担当教師が全校生徒を対象とした発表会を持ち、成
果を共有した。
カ 取組の成果と課題
a アンケートの結果、次の点が認められ
た。
(a) 1学期末の奉仕作業では「地域に
貢献できた」等の達成感を得た者が
約80%となり、活動の前と後の気
持ちを比較すると「奉仕活動に肯定
的な意見」が51.8%から66.8%へ
増加した。
(b) 1学期末の奉仕作業後のアンケー
トと2学期末の奉仕作業後のアンケ
ートのうち「これからは奉仕作業を
進んでしたい」等、奉仕作業に積極的な生徒が13.4%から17.3%へ増
加するとともに、「できれば奉仕作業はしたくない」等の奉仕作業に消極的な
生徒が10.4%から8.7%へ減少した。
b 多くの生徒が達成感、充実感を持った。
c 夏ボラ等のボランティア活動に積極的に参加する生徒が増加した。(市の担当
者が驚いてくださった。
)
d 達成感、充実感を持った生徒に更なる活動の場を提供することと奉仕作業に関
心を示さない20%の生徒の数を減らす工夫が今後の課題となっている。
(2) 行政、福祉施設、NPOと連携して環境学習・リサイクル交流会を開催
ア 取組概要
- 18 -
生徒有志と行政・福祉施設・NPOとが連携して公民館で環境学習・リサイクル
交流会を開催し社会貢献活動を行う。
(次図参照)
イ 教育課程上の位置付け
休日、長期休業中に津山市内および岡山市
内で16回の環境学習・リサイクル交流会を
実施した。
会場までの行き帰りの時間を含めると岡山
市内では7時間、津山市内で4時間程度の活
動時間となった。
ウ 活動の内容と連携先
a 内容
(a) 孟宗竹で食器を作りソーメンを食べる
→ 持続可能な社会と里山の荒廃を学ぶ
(b) 高校生が栽培した材料でお菓子を作る
→ 「地産地消は環境保全の第一歩」を学ぶ
(c) 高校生が採取した外来種の草花を素材にして
マイバッグを染める
→ 生物多様性や外来生物法を学ぶ
(d) 使用済み天ぷら油から石けんを作る
→ 食用油と熱帯林、バイオ燃料について学ぶ
(e) 牛乳パックや植物からはがきを作る
楽しく食器作り
→ 森林の大切さについて学ぶ
b 連携先
(a) 行政
津山市社会福祉協議会、岡山市環境保全課E
SD担当、一宮公民館、勝北老人憩いの家、福
田公民館、津高公民館、山南公民館、岡南公民
館
(b) 福祉施設
どんぐり工房、ひかり学園、みのり学園、ジ
ャガイモの木、あすなろ福祉会、ワークショ
楽しくクッキー作り
ップちどり
エ 取組に向けた準備
a 「豊かな体験」事業など過去の取組で類似した取組を実施していたため、校内
での活動体制は確立していた。さらに、岡山市環境保全課ESD担当等の行政か
らは、信頼と評価を得ていて、この活動のため様々な公民館を紹介していただい
た。
b 津山市社会福祉協議会には岡山市での取組のまとめを持参して協力を依頼した
ところ、公民館と福祉施設の紹介と仲介をしていただくことができた。
c 各公民館と日程や内容や参加者の募集について決めた後、内容に合わせて福祉
施設に連携の連絡をとった。
オ 前指導・事後指導
a 事前指導としては、モロヘイヤ等お菓子作りの材料の栽培、オオキンケイギク
やセイタカアワダチソウなど草木染めの材料の採取と、草木染めの媒染剤の組み
合わせでの発色の研究、廃食用油石けんの脱臭、孟宗竹の利用法など多岐にわた
った。
b 事後指導は各回ごとにとるアンケートを生徒とともに集計することで、参加者
の気持ちを知り、より良いものに向けての意欲と技術の向上を図った。
カ 取組の成果と課題
a 成果
(a) 各講座のテーマと自分たちの生活のつながりについて、ものづくり体験も交
えて楽しく学びあうことができた。
(b) 障がいがある方、高齢の方とふれあうことで、理解を深めることができた。
- 19 -
(c) さまざまな立場や世代の異なる人
々の交流の機会となった。
(d) 普段高校生と関わることのない方
々と、交流を持つことができ、好感
を持ってもらった。特に一人暮らし
の高齢者の方々には「高校生と触れ
合うだけで、うれしい」と喜んでい
ただけた。
(e) 高校生が地域に認められ、よりい
っそう頑張ることができた。
(f) アンケート結果からもわかるよう
に、参加された多くの方々に喜んで
もらえ、大いに成果があった。
(注) アンケートは毎回実施した。この
アンケート結果は岡山の公民館6回
を集約したもので、
「まずまず」
、
「
楽しくなかった」
、
「来るんじゃなか
った」等の回答は全くなかった。
津山地区で開催したもののアンケ
ート結果もほぼ同様の結果となって
いる。
b 課題
成果が上がっていると実感しているが、
現状では一回の参加生徒が少人数(10
名程度)と少なくならざるを得ないのが
課題である。
4 その他の活動
生徒会によるマナー向上週間の設定と実施
5 成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
行事毎に生徒にもアンケートや感想を書かせているが、代表的なものを一例あげる。
☆ 高校生の感想の一例 ☆
毎回、高齢者の方や子どもたちに「楽しかった」と言ってもらえて、とてもうれしい。
今日、参加された方に「私たちが高校生の頃は、校外に出てのこのような活動は無かっ
た」と教えていただいた。私は津山工業に入学してとても良い体験をさせていただいて
とても良い体験をさせていただいて
いるのだと気付けた。次回からも一回一回を大切にしていきたい。
いるのだ
また、地域の方が楽しみにしてくださっているので、この活動を続けていきたい。
(2) 成果
ア 地域に津山工業高校をアピールすることができた。
イ 様々な取組が各方面から評価され、地域の行事等様々なイベントに出展依頼が来
るようになり、触れ合いの場や自己実現の場も増え好循環を生んでいる。例として
は、全国高校生エコアクションプロジェクト(平成22年12月27日に大阪ABC
ホールで開催)に岡山県から唯一出場の機会を得、日ごろの活動を発表し表彰され
たことがあげられる。
(3) 課題
ア 「豊かな心」をはぐくむという、なかなか成果や効果が見えにくいものを目指し
ているため、
「これが成果だ!」といえるようなものを提示することは困難である。
このことが大きな課題となっている。
イ 本校は以前に「豊かな体験」事業、「スーパーエンバイロメントハイスクール研
究開発」事業に取り組み、その過程で行政や福祉施設から信頼を得ていて、本事業
も協働という面では円滑に進んだ。本事業で得られた関係を継続・発展させること
も課題であると考えている。
(指導教諭 三宅直生)
- 20 -
社会奉仕活動と勤労生産体験活動
~地域への感謝の心と人に対する思いやりの育成~
岡山県立鴨方高等学校(平成21・22年度推進校)
1 生徒につけさせたい力
(1) 地域への感謝の心、人に対する思いやりの心
(2) 人権を尊重する心、社会貢献の精神や自立心・責任感
(3) 勤労の尊さ、自然に感動する心、自分と社会との関わりに対する理解
2
校内の推進体制
社会貢献活動推進委員会
(教職員組織) 教
頭
キャリア教育委員会
進路課(1名)、年次主任(3名)
、各年次(3名)
、産業社会と人間事務局(1名)
総合的な学習の時間担当者(2名)、課題研究事務局(1名)
全教職員
(生徒組織)
生徒会執行部
3
取組事例
「活動名:福祉体験学習」
(1) 取組概要
1年次生全員が約10の老人介護施設で食事や入浴の補助などのお手伝いをさせて
いただく。
(2) 教育課程上の位置付け
実施時期:6月下旬、年1回、6時間(産業社会と人間)
活動する生徒の単位:1年次、総合学科、全クラス(40人×4クラス)
(3) 活動の内容と連携先
ア 特別養護老人ホームみゆき園(お年寄りとの交流、手伝い)
イ 特別養護老人ホーム瀬戸内荘(お年寄りとの交流、手伝い)
ウ 特別養護老人オペラハウス鴨方(お年寄りとの交流、手伝い)
エ 介護老人福祉施設里見川荘(お年寄りとの交流、手伝い)
オ 老人保健施設サンパレス桃花(お年寄りとの交流、手伝い)
カ 老人保健施設秀明荘(お年寄りとの交流、手伝い)
キ 医療法人柴田病院(お年寄りとの交流、手伝い)
ク 老人保健施設いるかの家(お年寄りとの交流、手伝い)
- 21 -
(4) 取組に向けた準備
ア 準備開始時期:年度当初に依頼文書を発送
a 連携先の開拓方法:例年お世話になっている施設を中心に依頼
b 担当者の役割分担:事前に打ち合わせ、当日の引率(1施設1~2名)
c 安全面への配慮:医療器機等があるので賠償責任保険に加入
d 評価方法:事後(自己評価、引率者評価)
、年度末(産業社会と人間)
(5) 事前指導・事後指導
ア 事前指導として披露する歌やゲームを練習、昨年の反省事項を確認
イ 事後指導として生徒の意識調査を実施、後日に活動発表会を開催
(6) 取組の成果と課題
ア 医学療法や作業療法の仕事に興味を持った、お年寄りとコミュニケーションを図
れて、他人を思いやる心が芽生えたという感想があった。
イ 1年次生全員を対象としているので、受入れ先を見つけるのが大変である。また、
一人一人が携われる時間や内容が制限されるのが課題である。(希望者を対象にす
れば参加者はもっと充実した体験学習になると思われるが、年次進行で全員が体験
することを重視している。
)
4
その他の活動
・クリーン作戦(全年次の有志) 年4回、各1時間(放課後)
・地域の清掃美化活動(1年次生)年1回、1時間(LHR)
・職業別交流学習(1年次生)
年1回、2時間(産業社会と人間)
・第一次産業就業体験(1年次生)年1回、6時間(産業社会と人間)
・手話体験学習(1年次生)
年1回、2時間(産業社会と人間)
・社会貢献活動の講演(2年次生)年2回、各1時間(LHR)
5 成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
アンケートでは、この1年間で「ボランティアに対する意識に変化があった」と回
答したものが81%あった。(具体的には「クリーン作戦」や「夏のボランティア」
などに積極的に参加したいというものが多かった。
)
(2) 成果
生徒会などはクリーン作戦などの企画運営で昨年より忙しくなったが、部活動やク
ラスなどで縦と横のつながりが強固になり、学校行事がよりスムーズかつ活発になっ
たという気がする。
(3) 課題
クリーン作戦は考査の最終日に希望者対象で実施しているが、時間割を工夫するな
どして最終日に全員が考査があるように時間割を組んで、全員対象にすることも検討
してみたい。平成25年度の高校生社会貢献活動推進事業の全県実施に向けて、今後
も継続して取り組んでいきたい。
(教諭 土屋真二)
- 22 -
生徒企画の清掃活動を通じて、ボランティア意識を高める
岡山県立倉敷中央高等学校(平成22・23年度推進校)
1 生徒につけさせたい力
(1) 豊かな感性、社会性、コミュニケーション能力
(2) 地域に貢献することの大切さを理解する心
(3) 学校内外において他者を理解し、自らを律する規範意識
2
校内の推進体制(校内組織)
(職員) 社会貢献活動委員会
(生徒)
教頭
|
ボランティア係長
|
生徒課長
教務課長
各学科長
生徒会
|
家庭クラブ
3
JRC
取組事例
「活動名:清掃活動ボランティア」
(1) 取組概要
家庭クラブの呼びかけに応じた運動部・文化部
・クラスの生徒が家庭クラブによって指示された
区域(最寄りの駅や学校内外の割り当て区域)の
清掃を行う。
(2) 教育課程上の位置付け
1学期中間考査最終日に、約2時間かけて清掃活
動をする。活動単位は生徒会の各部、各クラス及び個人参加で、すべて自由意思によ
る参加とする。
(3) 活動の内容
家庭クラブが立案した計画に基づき、それに賛同する各部、各クラス、個人が集ま
り、学校内外、周辺通学路、生徒が普段利用する最寄りの鉄道駅等の清掃活動を約2
時間にわたって行う。
(4) 取組に向けた準備
ア 4月中旬に家庭クラブ役員が本年度の取組を企画立案する。
イ 4月末に家庭クラブ総会においてクラブ長が家庭クラブ員に参加の呼びかけを行
う。また、同日の生徒総会においても全校生徒に呼びかける。
ウ 各クラスの家庭クラブ委員がクラスの参加希望生徒を集約し、家庭クラブ役員に
報告する。
エ 各部の部長が部の参加希望生徒を集約し、家庭クラブ役員に報告する。
オ 家庭クラブ役員会にて参加生徒の集約と当日の実施要領や注意点を打ち合わせ
る。
カ 家庭クラブから各クラスに実施日時や集合場所、参加予定のクラス・部・人数等
を伝える。
キ 当日、役員が集合場所に、必要な清掃用具、マイク・スピーカーなどを準備する。
家庭クラブ役員は、各グループのリーダーに集合・整列・点呼の指示を行う。
- 23 -
(5) 事前指導・事後指導
家庭クラブ役員会において、
教職員が注意すべき点等についてアドバイスを行った。
当日は開会式において家庭クラブ長が参加者全員に、この活動の歴史と意義を伝える
とともに清掃活動をするに当たっての諸注意を行った。清掃活動後に、再度全員が集
まり、家庭クラブ長が今回の清掃活動についての感想を述べ、今後の学校生活の在り
方を述べた。家庭クラブ役員は、後片付けの後、反省会を持ち、今回の反省及び申し
送り事項について話し合った。
(6) 取組の成果と課題
自由意思にもかかわらず、全校生徒の半数近い生徒(405名)が進んで参加し、
大きな活動となった。教職員も多数参加し、生徒と触れあうよい機会ともなっている。
また活動中に近隣の住民の方々からも声をかけていただくこともあり、ささやかで
はあるが生徒が地域に貢献しているという気持ちの育成の一助となった。ただ学校周
辺は年々交通量が増加しており、今後も安全面に関してはより一層の注意が必要であ
る。
4 その他の活動
(1) 保護者、中学生、地域住民を招き、市内の公共施設にて健康チェックサービスやパ
フォーマンスを通じて交流を行った。
(看護科)
(2) NPO法人SP(Simulated Patient 疑似患者)研究会の方を招き、疑似患者と
してのボランティア活動を体験させてもらうことで、その社会的意義やコミュニケー
ションの大切さを学んだ。
(看護科)
(3) 特別養護老人ホームや老人保健施設利用者を招き、市内の公共施設での様々なパフ
ォーマンスを通じて交流を行った。(福祉科)
(4) 地域の老人会会員を招き、本校にて絵手紙作成、手話コーラスなどを通じて交流を
行った。
(福祉科)
(5) 工業高校生と協力して、近隣の特別養護老人ホームを訪問し、車椅子の整備を行っ
た。
(福祉科)
(6) 車椅子用フットレストカバーを作成し、近隣の特別養護老人ホームを訪問して贈呈
した。
(家庭クラブ)
(7) 特別養護老人ホームの買い物ボランティアを行った。
(有志)
(8) 特別養護老人ホーム等での各種イベントにおける車椅子移動介助等の協力を行っ
た。
(約20件、有志)
(9) 県立博物館主催のいきいき講座における介助ボランティアを実施した。
(有志)
(10) 「ひまわり」号で旅をする障害者の方々の介助と交流を行った。
(有志)
(11) 街頭共同募金呼びかけのボランティアを行った。
(有志)
(12) 街頭での献血呼びかけのボランティアを行った。
(年2回程度、有志)
5 成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
平成22年度の生徒に対する学校自己評価アンケートでは全校生徒の約4割が「自
分はボランティア活動に積極的に参加している」と答えるなど、多くの生徒がボラン
ティア活動の意義を理解し、自らが積極的に参加しているという自覚を持つようにな
っている。
(2) 成果
本校は看護や福祉に関心を持って入学する生徒が多く、日ごろから人の役に立ちた
いという意識は比較的強い。そのため上記のような活動がそうした気持ちを実現する
よい機会となっている。また生徒自身にとっても、学校外に出て異なる世代の人々と
触れ合うことで、自らの社会的自覚や自己肯定力が高まり、他者を理解し自らを律す
る規範意識が育っている。
(3) 課題
本校は普通科・家政科・看護科・福祉科の4学科から成る学科複合型高校であり、
様々な活動が学科単位で行われることが多い。今後はこうした社会貢献活動などの機
会を利用して、これまでの縦割りから学科を横断する横のつながりを強めていく必要
がある。また、社会貢献活動推進のための職員・生徒の組織もそれに応じた幅広い意
見が集約できるものにしていくことも必要となるだろう。
(教頭 須賀
- 24 -
廣)
Kurasho
ボランティア
岡山県立倉敷商業高等学校(平成22・23年度推進校)
1
生徒につけさせたい力
(1) 社会の一員であるということの自覚を深め、人間尊重の精神に立って社会の中でと
もに生きることができる豊かな人間性。
(2) 自分を見つめなおし自己実現に向かって人生を切り拓く力。
2 校内の推進体制
〈教員〉
教頭
↓
生徒指導部
↓
全教職員
〈生徒〉
生徒会執行部
↓
全校生徒
3 中心的な取組事例
「活動名:Kurasho ボランティア」
(1) 取組概要
ボランティアDAYを設置し、月1回を目標として倉敷川の環境調査、清掃活動を
行う。
ア 倉敷川舟下り(6/6(日))
倉敷川を舟で下りながら、川の様子を観察・調査した。
イ
倉敷川清掃ボランティア(6/19(土))
倉敷市民グループ「蔵おこし湧々」が毎年行っている活動に生徒教員110名が
参加し、約2時間、倉敷川下流の親水公園周辺のゴミを拾ったり雑草を抜いたりし
た。
①6月6日 倉敷川舟下り
②6月19日 倉敷川清掃ボランティア
ウ 親子で入ろう倉敷川 クリーン&ウォッチング(8/7(土)
)
このイベントは地域の小中学生たちと一緒に美観地区の川を清掃し、倉敷川にい
る生き物を観察し、環境について考えるというものである。当日、本校生徒は講師
の先生の助手として、川の危険を説明する手伝いや、川底に生えている藻の清掃を
- 25 -
行ったりもした。
③8月7日
親子で入ろう倉敷川
その1
③8月7日
エ 倉敷川清掃ボランティア(9/18(土))
さかのぼること8月27日、講師を招き学校
の調理室で、水質改善の魔法の液体「えひめAI
-2」を100本(500mlペットボトル)作
製した。約20日程度発酵させ、準備した。
9月18日(土)親水公園や川の中の清掃活
動を行い、清掃後には先日作った「えひめAI2」の散布をした。
※ 「えひめAI-2」は、身のまわりにある食品
(納豆・ヨーグルト・イースト菌・砂糖)を
利用して作ることができる乳酸菌・酵母菌を
繁殖させた液体である。これを河川に散布す
ると、川の微生物が活発になり、水中の汚れ
た物質が分解されることで水質を浄化させる
という働きを持つ。
親子で入ろう倉敷川
その2
④9月18日
倉敷川清掃ボランティア
オ 倉敷川清掃ボランティア(12/11(土))
「蔵おこし湧々」が行う活動に生徒教員約120名が参加し、約2時間、倉敷川
に沈んでいるゴミを引き上げたり、親水公園周辺のゴミを拾ったりした。清掃後に
は「えひめAI-2」の散布も行った。
カ
倉敷川清掃ボランティア(2/12(土))
「蔵おこし湧々」が行う活動に生徒教員約80名が参加し、約1時間半、倉敷川
に沈んでいるゴミを引き上げたり、親水公園周辺のゴミを拾ったりした。
当日朝は時折みぞれが降り、大変寒い日であったが、川に入った生徒は、水中の
方が温かいことや、魚が意外と多くいることをあらためて感じたようであった。
⑤12月11日
⑥2月12日
倉敷川清掃ボランティア
倉敷川清掃ボランティア
(2) 教育課程上の位置付け
年間数回の実施。自主参加とする。
(3) 活動の内容と連携先
蔵おこし湧々(倉敷川清掃)
- 26 -
(4) 取組に向けた準備
市民グループ「蔵おこし湧々」に参加している教員がいたために、本年度4月に連
携をお願いし、特に困難なく参加できた。実際の作業の指示や場所の割り振りなどは
「蔵おこし湧々」の方々にお願いしている。
活動日の3週間前から呼びかけ、1週間前に参加申し込みを締め切り、人数の確定
をして、ボランティア保険に全員加入させておく。
(5) 事前指導・事後指導
ア 事前指導
a 清掃活動を始めるにあたって、倉敷川を舟で下りながら、川の汚染の様子や生
物の生息状況について観察調査した。(生徒会執行部のみ参加。調査結果は10
月の文化祭で展示報告。
)
b 水質改良剤「えひめAI-2」の作製には市民グループ代表の方に来校していただ
いて、講習を受けた。
イ 事後指導
a 毎回の清掃活動の始めと終わりには、「蔵おこし湧々」の代表の方から、ボラ
ンティア参加へのねぎらいの言葉とともに、前回から今回清掃までの川の変化や
今後の活動についての説明も簡単にしていただいている。これにより、生徒は次
回も参加しようという心構えができているように思う。
(6) 取組の成果と課題
定期的にボランティアDAYを設定することで、ボランティアをやっているという
意識付けができてきたように思う。参加した生徒は、自分たちの住む町、倉敷の観光
資源でもある倉敷川が意外に汚れていることをあらためて実感していた。「蔵おこし
湧々」代表の方が清掃終了時に、「私たち一人一人が環境を保ち、良くしようという
意識を持たなければ環境は守れない」ということを毎回話してくださり、生徒はこの
清掃活動の意義と環境保全への意識を高めているようである。
活動の継続と、全校生徒が1回以上参加できるような組織的な取組にしていくこと
が課題である。
4 その他の活 動
(1) 部活動を通しての地域の人々と交流
(2) インターンシップ
(3) 倉敷朝市三斎市への参加
5 成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
顕著な変容はまだないが、次回の活動予定を聞いてきたり、「明日からこの道を通
学したい。」などと話しかけてきたりする生徒もあったようである。また、活動を始
めた頃は「何をどれくらいしたらいいんだろう」という様子で指示を待つ姿もあった
が、続けて参加している生徒は作業に慣れて、テキパキと動けるようになっている。
また、インターンシップでは仕事は大変だったと言いながらも、与えられた仕事に
対する責任感や自分にかかわってくださった事業所の方々の苦労と気遣いに気付き、
本当に感謝しているというような、発表会での報告もあった。
達成感を得ることによって生徒の自信につながり、少しずつではあるが活動への意
欲が出てきており、普段の授業では見られない自主性や自発性が見られるようになっ
た。
(2) 成果
地域の方々と一緒に清掃活動をしたり、倉敷朝市で声をかけていただいたりするこ
とで、学校も生徒自身も社会の一員であり、いろいろな方に応援してもらっていると
いうことを自覚したようである。
また、インターンシップでは自分で選んだ職業や職場で働くことで、どんな仕事な
のかを理解し、将来の職業選択に役立てている生徒もいる。
(3) 課題
いろいろな活動を整理して組織的に行い、生徒に参加させやすいような体制作りを
する。
(教諭 西山 幸江)
- 27 -
- 28 -
社会貢献活動を通じた道徳的実践力の育成
岡山県立玉野高等学校(平成22・23年度推進校)
1
生徒につけさせたい力
(1) 社会の一員としての自覚
(2) 環境の保全や郷土を愛する心
(3) 感謝される経験による自己肯定感
2
校内の推進組織
社会貢献活動推進委員会
(教職員組織)教頭、主幹教諭、厚生課長、教務課長、生徒課長、生徒課主任、
生徒会係、進路課長、第1学年主任、第2学年主任
(生徒組織) 生徒会執行部、ボランティア部
3
取組事例
「活動名:施設奉仕活動」
(1) 取組概要
ア 高校1年生が各施設に出向き、奉仕活動を行う。
(2) 教育課程上の位置付け
イ 3月2日(水)
、3日(木)
、4日(金)のうち1日
ウ 1日当たりの活動時間は6時間とし、総合的な学習の時間6時間分をあてる。
(3) 活動の内容と連携先
ア 築港ちどり保育園、八浜保育園、玉原保育園、後閑保育園、大崎保育園、清輝保
育園、岡南保育園、紅陽台ちどり保育園、茶屋町保育園(保育補助、環境整備)
イ 玉野市立築港小学校(学習や生活の支援)
ウ 岡山赤十字老人保健施設玉野マリンホーム(利用者とのコミュニケーション、手
伝い)
エ グループホームやわらぎ、和楽園(高齢者とのコミュニケーション、手伝い)
オ 愛の家グループホーム玉野(入居者の生活の手伝い、レクリエーション)
カ わかえの園(発達障害のある子どもとの触れ合い)
キ 玉野スポーツセンター(清掃活動、施設整備)
ク 市立玉野海洋博物館(水族館の展示生物飼育業務)
(4) 取組に向けた準備
ア 12月上旬から活動先を確保するために施設と交渉を行った。施設は玉野市内の
保育園、高齢者施設、学術施設等を中心とした。担当者が各施設と連絡をとり、受
- 29 -
け入れ可能日や人数を確認した。
イ 1月中旬に生徒の希望調査を実施し、それをもとに活動先を決定した。
ウ 事故等に備えて(社)全高P連賠償責任補償に加入した。
(5) 事前指導・事後指導
ア
2月18日(金)、赤十字奉仕団岡山県支部指導講師山本勉先生より「赤十字と
私」と題して講演をいただいた。ボランティア活動を通して得ることや心がけてい
ること等について話していただいた。
イ 活動後、活動まとめ(ワークシート)の作成と施設への礼状を作成した。
(6) 取組の成果と課題
事後アンケートの結果から、ほとんどの生徒が活動目的を理解し、積極的に取り組
めたようである。また他人や地域のために役立てたと考えている。
4
その他の活動
(1) 地域清掃活動(1年生全員)年間1回(2時間)
(2) 高齢者施設慰問(2・3年生有志約100名)4月上旬
(3) 地域のイベントへの参加・活動補助(有志)
(4) 夏のボランティア体験参加(有志約70名)
(5) 小学校アシスタントティーチャー(有志約20名)7月下旬
(6) お飾り作りと独居高齢者宅への配布(3年生有志約70名)
(7) 小中学生対象おもしろ科学講座(有志)年間約20回
(8) 特別支援学級児童の支援(3年生「発達と保育」選択者約10名)
5
成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
ボランティア活動等に対する関心が深まり、自主的に活動に参加する生徒もでてき
ている。
(2) 成果
活動を進めるたびに地域や社会に貢献できたと考えている生徒の割合が増加してい
る。
さらに今後も機会があれば活動に参加したいと考えている生徒も多くなっている。
(3) 課題
より多くの生徒が参加できるような活動を検討するとともに、地域や保護者との連
携の仕方を考えていく必要がある。
(教諭 山崎邦彦)
- 30 -
地域と連携し、地域を知るボランティア活動
~地域の期待や良さ・課題を再発見させる取組にするための
方法を探る~
岡山県立勝山高等学校(平成22・23年度推進校)
1
生徒につけさせたい力
(1)
(2)
(3)
(4)
2
仲間と共に行動する協調性
他者とのコミュニケーションを図るための課題解決能力
幼い子どもと触れ合うことによる倫理観や道徳性
地域の期待や良さ・課題を再発見することによる郷土愛
校内の推進体制
教頭
生徒課長
生徒会係
各学年主任 教務課長 商業科長
全教職員
生徒課長……全体計画・立案
生徒会係……真庭市等、連携先との連絡・協議と生徒会の指導
学年主任・商業科長……細かい打合せや取りまとめ
3
中心的な取組事例
「活動名:保育園児との交流活動」
(1) 取組概要
高校1年生が保育園に出向き、園児との交流活動を行う。
(2) 教育課程上の位置付け
実施時期
回
数
活動時間
活動する生徒
7月
1回
半日(午前中)
1学年・普通科・全クラス
(3) 活動の内容と連携先
ア 1年生全員を対象にした「ボランティア活動」講演会……真庭市社会福祉協議会
・真庭市ボランティア連絡協議会より講師を招いた。
イ 普通科1年生全員による保育園児との交流、学習の手伝い……連携先は真庭市立
勝山保育園。
- 31 -
(4) 取組に向けた準備
ア 「ボランティア活動」講演会……7月に生徒会係が真庭市社会福祉協議会・真庭
市ボランティア連絡協議会に依頼。以後の連絡と調整は学年主任が行った。
イ 保育園児との交流活動……7月に教頭が真庭市立勝山保育園に出向き、園長に依
頼。実施時期、活動内容等を相談した。
ウ 安全面への配慮……学年団の教員が活動時間中引率。ボランティア保険にも全員
加入した。
エ 評価方法……講演後、
交流活動後にそれぞれ感想記入・アンケート回答をさせた。
(5) 事前指導・事後指導
ア 事前学習のための「ボランティア活動」講演会を実施した。
イ 講演後、交流活動後にそれぞれ感想記入・アンケート回答をさせた。
(6) 取組の成果と課題
ア 生徒の感想を読むと、交流活動をおおむね肯定的に受け止めている。連携先も喜
んでくれた。効果は大きいと思われる。
イ 保育園児との交流が苦手な生徒がいた。連携先は、高校生に限らず、こういう交
流活動を何度も受け入れており、そういう生徒の存在について特には意識していな
い、ということだった。しかし、生徒の教育効果を考えると、今後は別の内容の活
動(園での清掃・草取り、遊具の補修、ペンキ塗り等)も考えられる。
4
その他の活動
(1) 市民スポーツ競技大会運営補助(有志)
(2) 地域清掃4回(生徒会・全学年有志)
(3) おひなまつりweb製作、観光案内および商品販売(商業科有志)
(4) 小学校児童との学童保育での交流(有志)
(5) ふるさと勝山もみじまつり出店、インターンシップと老人ホーム慰問、乳幼児との
触れ合い交流(商業科各学年全員)
5
成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
生徒会による本校ボランティア活動の名称募集や掲示板等による積極的な情報提供
が生徒の意識を変えつつある。
(2) 成果
ア 生徒が自主的に取り組む体制作りができつつある。
イ ボランティア活動の意義を認める生徒が多いことが分かった。
ウ 地域の期待が大きいことと地域の課題を再発見することができた。
エ 本校がボランティア活動に熱心であることを多くの中学生が知った。
(3) 課題
ア 十分な教育支援をする日程確保のためには従来の行事予定の組み替えが必要であ
る。
イ 地域が広く、現段階では活動の範囲・時間に制限がある。
ウ 平成25年度からボランティア保険加入の予算の確保が必要である。
(教頭 平井秀明)
- 32 -
地域貢献活動を通しての人材育成
岡山県立矢掛高等学校(平成22・23年度推進校)
1
生徒につけさせたい力
(1)
(2)
(3)
(4)
2
多様な立場や異世代の人と関わることによるコミュニケーション能力
自然をいつくしむ豊かな心や自然に対する畏敬の念
地域での活動を体感することによる社会規範意識
地域での活動を通して得る達成感、自己肯定感
校内の推進体制
ボランティア等の地域行事は、
平成22年度は総務課地域行事係3名が担当している。
3名は生徒会係、家庭クラブ担当者、環境科主任を兼ねており、生徒会、家庭クラブ、
環境科での活動等も把握しやすくしている。
本校では、学校設定教科「やかげ学」においても地域での活動を行っており、教科担
当者も地域貢献活動の推進にかかわっている。
3
中心的な取組事例
「活動名:学校支援ボランティア」
(1) 取組概要
矢掛町教育委員会と本校の間で協定を結び、矢掛町内の幼稚園、小学校、中学校か
らの要請に応じて生徒を派遣し、学校支援を行う活動である。活動の内容は、幼稚園
では施設管理、清掃活動が中心で、小学校では長期休業中の学習支援活動、水泳指導
の補助、中学校では長期休業中の学習支援活動が中心である。
各学校園からのボランティア活動申込書は、矢掛町教育委員会の学校支援推進本部
に提出され、そこから矢掛高校総務課に届く。担当者が内容を確認し、回答するとと
もに、校内での募集等を行う。当日は生徒だけで施設へ行き、施設担当者の指示に従
い、活動を行う。
(2) 教育課程上の位置付け
放課後・長期休業中の課外活動、平成22年度は13件の派遣申込に対し、のべ673人の
生徒を派遣した。放課後の活動は、全校生徒を対象に募集を行った。長期休業中の前
期(探究コースは補習)は総合コース全員を対象に希望をとり、各学校園に割り振っ
た。後期は探究コースの生徒を中心に募集を行った。活動時間は1日当たり1時間半
から3時間であった。
(3) 活動の内容と連携先 (平成22年度)
ア 矢掛幼稚園(園庭整備、施設清掃、掲示物作成)
イ 小田小学校(学習支援、水泳指導補助)
ウ 川面小学校(学習支援)
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エ
オ
カ
キ
ク
ケ
中川小学校(学習支援、水泳指導補助)
美川小学校(学習支援)
三谷小学校(学習支援、水泳指導補助)
矢掛小学校(学習支援、水泳指導補助)
山田小学校(学習支援、親子料理教室)
矢掛中学校(学習支援)
(4) 取組に向けた準備
平成20年8月に山田小学校の夏期学習会「Hot!ほっと!スクール!」に学習
支援活動で参加。平成21年1月下旬から町内4小学校に放課後の学習支援活動に参
加。平成21年4月に矢掛町教育委員会との連携協力に関する協定を結び、町内の4
幼稚園、7小学校、1中学校からの活動要請に応じて本校生徒を派遣する取組を実施
することとなった。
担当者は、学校支援推進本部からのボランティア活動申込書の日程・活動内容を確
認し、回答する。校内で募集を行うが、長期休業中のコース単位での対応の場合は、
生徒の希望に従い、活動場所を割り振る。
(5) 事前指導・事後指導
総合コース全員と他のコースの参加者には事前指導を実施している。特に守秘義務
の徹底を図るとともに、行き帰りの安全、施設の方や児童・生徒に対する言葉遣いや
マナーについての指導も行っている。
事後指導については特に行っていないが、夏季休業中の活動の後には、感想を書か
せている。
(6) 取組の成果と課題
ア 成果
受け入れ施設側の成果として考えられることは、幼稚園では、職員数が少ないな
か、平素不足している取組に対して生徒の活動が期待されたということである。運
動会前の園庭の草抜きや整地、池の清掃等はとても喜ばれた。小学校では、とても
暑い時期のサマースクールにおいて、高校生が指導に加わることにより小学生が意
欲的に取り組む姿勢が見られた。また、丸つけなどを高校生が担当することによっ
て、その分、学校の教員は学習が遅れている児童の指導にあたる時間が増えた。ま
た、本年度からは水泳指導の補助にも参加し、大変喜ばれた。中学校でも、長期休
業中の基礎学力の定着に向けた学習会の補助を行ったが、高校生が指導に加わるこ
とにより、中学生の意欲も多少は向上したようである。
高校生においては活動を通じて、
教えることの難しさを理解した生徒が多かった。
自分に不足している力に気付く生徒もいた。これらのことから学習意欲を高める生
徒もいた。また、今までと違う立場で人と接する体験を通して自分を見つめ直すこ
とにつながった生徒も多い。活動を終えた後の感想の一部を紹介する。
a この体験を通して、人にわかりやすく教えることの難しさを知ることができま
した。今回学んだことは、将来社会に出て求められることなのでその練習だと思
うと、大変だったけれど、とても貴重な体験をしたのだと思いました。
b 私はこの三日間で、自分の言いたいことを相手に上手に伝えることの難しさを
改めて実感しました。自分は答えを分かっていても、その答えの解き方を説明す
るのは本当に難しかったです。でも、わからない問題を解けたときの小学生のう
れしそうな顔は、見ている私も自分のことのようにうれしくなり、達成感があり
ました。子どもとのコミュニケーションの取り方もわかったし、今までの自分の
勉強への取り組み方を見直さないといけないなと思いました。
c このボランティアで得たものは「考える力」と「最後までやり抜くこと」だと
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思う。この子が分かるにはどう教えたら良いだろうと考え、わかってもらえるま
で最後までやり抜く。私は子どもが苦手だった。しかしこのボランティアで好き
になった。もっと教えてみたいと思った。
d 間違っているところを見つけ、教えようとしたとき、わたしはとても戸惑いま
した。頭ではわかっているのに、実際教えるとなるとどう言えばいいのかわから
ないのです。何度も試みてみましたが、児童はやっぱりわからない様子でした。
すると保護者ボランティアの方が来て、その子に手や本を使って教えだしました。
それを見て、ああこうすれば相手にわかりやすく伝わるんだと思いました。
e お別れの日、私が教えた二人の小学生が「苦手だったところができるようにな
った」と言ってくれた時は、涙が出そうになるくらいうれしかったです。とても
素直な子たちで、私の方が助けられた面もたくさんありました。小学生たちに教
えられる側の姿勢や態度を学ばせてもらいました。
イ 課題
活動を通じて高まった学習意欲等を持続させることが課題である。ただ活動をし
て終わりという生徒も少なくない。活動を振り返り、より良いものにしていくため
の意識付けが必要である。また、活動では挨拶、服装、マナー等、意識の向上がみ
られるが、通常の学校生活ではできていない生徒も多い。高まった意識を学校生活
に反映させたい。
4
その他の活動
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
地域清掃活動(有志)生徒会が募集 年間5回・1回につき1.5時間
宿場祭前の町内清掃活動(1・2年)
宿場祭への参加(茶道部・ビジネスコース・生徒会・有志)
得得市への参加(探究・総合・ビジネス・有志)
たかつま荘訪問 施設清掃、介護補助(有志)年間1~4回
アートフェスタへの参加・活動の補助(有志)
川レンジャーの活動(有志)毎月1~2回
5 成果と課題
(1) 生徒に見られた変容
ほとんどの生徒が意欲的に活動に取り組んでおり、学校内では見えない良い側面が
現れる生徒もいる。地域貢献活動をきっかけに地域行事に積極的に参加する生徒が現
れ始めた。また、これらの活動を通して地域への愛着を感じるようになった生徒が増
えている。
地域貢献活動から地域が抱える問題点を捉え、自分の進路に結び付けて考える生徒
が少しずつではあるが増えてきた。
(2) 成果
地域貢献活動を通して地域とのつながりを感じている生徒は増えてきている。また、
地域からも矢掛高校が近い存在になりつつあり、応援してくださる方も増えてきた。
異世代の人との交流は生徒のコミュニケーション能力を高めており、マナーなどの規
範意識を高めることにもつながっていると感じる。
(3) 課題
活動により達成感を感じている生徒も多いが、自己肯定感を高めるところには至っ
ていない。活動内容の検討や事後指導の必要性を感じている。自分の進路や学習意欲
に結び付けている生徒も増えてきているが、まだまだ少ない。
現在の活動の方法だと地域貢献活動に参加する回数にかなり差が出る。少ない生徒
は、年間2回しか活動しないので、参加対象、募集方法を検討する必要がある。
(教諭 室 貴由輝)
- 35 -
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