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Title カオス的動力学の量子相関における役割(ポスター・セッ ション
Title Author(s) Citation Issue Date URL カオス的動力学の量子相関における役割(ポスター・セッ ション・プログラム,第3回『非平衡系の統計物理』シン ポジウム(その2),研究会報告) 田中, 篤司 物性研究 (1996), 66(2): 298-311 1996-05-20 http://hdl.handle.net/2433/95731 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 研究会報告 カオス的動力学の量子相関における役割* 田中篤司I 東京工業大学 理工学研 究科 応用物理学専攻 要 旨 量子相関の消滅 ・生成 と 系の動力学の定性的な性質 との関係 を調べる.具体的な状況 として分子の de l系 として s pi nk i c k e dr o t o rを用いる.r o t o r( の対応する古典系)が 非断熱遠移 を念頭 にお き,mo r e g ul a rな領域では量子相関の強い状態は二つの非摂動準位の偶然的な近縮退により生 じるが,これは系 の非線形 para me t e rの増大により破壊 される・一方,r o t o rが c ha o s的な領域では,非線形 pa r a me t e r の増大により量子相関が強まることが数値的に示 された.これは, dl a OS的な場合 と r e g la u rな場合で量 子相関を生成する機構が異なることを示唆する. 1 は じめに 性 が存在 して," 系 の分割"を定 めた ときに初 めてそ の任 意性 が消 え る. この ため部分系 の 間 に量子相 関 自由度 が 2以上 の有 限 自由度 の量子系 を考 える. が あ る ・ない とい う命題 の 回答 は系 の分 割 に依存 量子相 関 とは ( 1 )系 の記述 と して全系 を複数 の部分 す る.量子論 にお ける 部分系 の設定 - 系 の分割 は ( 2 )部分系 の 間 に現 れ る非古典 系 に分割 した ときに; 恋意 的で はあ るが我 々が物理 を語 る と きには避 け る 的な相 関の こ とで あ る. 量子相 関 を持 つ状態 は古 典 こ とが で きない とい う立場 で以下の議 論 を進 め てい 的 に理 解 しが たい状態 であ る. す なわち,部分系 は く. それぞれ定 まった状態 を もたず,系 の全 体 と しての d' ES pagnat1 976) . み定 まった状態 にあ る ( 量子相 関の説 明 として具体例 をあげてみ る.とり ところで,そ もそ も量子論 で は 自由度 とい う概念 e c t or の表現 の選択 の は内在 的 にはな くて,状 態 v あ えず上 で述べ た系 の分 割 の窓意性 を無視 した通常 の叙述 をす る.部分系 X, Y を持つ二 自由度系 Sを l be r t空 間 を それぞれ 際 に初 めて現 われ る もので あ る. 同様 に,量子 系 に 考 える.部分系 に対応 す る Hi 7 i x,TLy と記 す. この とき,全 系 の Hi l be r t空 間は はな く系 を記 述す る際の我 々の窓意 的 な選択 であ る. T i s- 7 i x⑳ 7 i yと書 け る.全系 Sの状態 の なか に お ける部分系 とい う・ 概 念 は量子論 に内在 す る もので γ のあい だ に量子相 関 を持 つ状態 と持 皇子系 の分 割 は 部分系 に属 す る作 用 素 の集 合 の組 , は部分系 X, l be r t空 間達 か あ るい は同等 な こ とだが部分系 の Hi たない状 態が あ る.まず,量子相 関 を持 たない状態 の oduc t l be r t空 間へ の unita ry 写像 で定 まる 方が簡単 なので先 に示す. これ はい わゆ る pr ら全系 の Hi eと呼 ばれでい る もので仝系 の ( 凪naka1996a)1. 古典 的 に部分系 を定 めた場合 で stat ち,対応 す る圭子 系 での部分 系 の設 定 には まだ任 意 状態 v e c t orl g) が野分系 の Hi l be r t空 間の ve c t o rl Qx), l Qy)の積 ' 1 9 9 5年 3月7日 第 3回 r非平衡系の統計物理Jシンポジウムポスター発表 より. ma i1 ・a tana h◎a A・a P・ t i t e c h・a c J P Ie- l 系の分森川こついてのより詳しいことは Ap pe n d i xを参照のこと. ー2 9 8- 「 第 3回 『 非平衡系 の統計物理。 シンポジウム」 ( その 2) , ⑳1 4 , Y)での運動である. 核の運動の大域的な性質は非断熱 で書ける場合である・ つ ま り l g)-1 4 , x) が成 り立つ ときである・ この とき,部分系の堺態 は 遷移の生成 にどう関係するかを以下では調べ る. それぞれ独立 に定 まる. しか しなが ら一般 に l Qr )は 量子系の動力学 の定性的な性質 としてここでは pr oduc ts t a t eにならない.この場合,各々の部分系 量子 c ha osに着 目す る. 量子系における c ha osは には状態 を与 えることはで きない. この事態のこと 古典系 と異 な り we l l de 丘ne dな定義は無い. しか し を,部分系 X, Yの間l t =量子相関があるとい う. なが ら,少 な くとも量子古典対応のある系では量子 上の叙述 について,分割の窓意性 を意識 した補足 c ha osとよばれる c l a 5 Sの現象があると考 えられて 9 9 4 とその参考文献) . すなわ 例 えば 足立 1 をする.まず 7 ix, 7 iy であるが,これ らは 系 X, Y いる ( e g 古典力学"の走性的な性質,r が通常の意味で全 く相互作用 しない ときの 独立 した ち系の根底 にある " 可積分的)あるいは c ha o t i c,が対応す る量子系 a r ( l be r t空間である. t e ns o r積 ul 系でのそれぞれの Hi の走性的な性質に遺伝す る と考 えられる. この遺伝 ix ⑳ 7 iy は 7 ix x7 iy か による関係式 us - 7 の形態は 古典系で見 られる動力学 と量子系での動力 i t a r y写像 を指定 している. ら γSへのひとつの un 学 を対照 した とき至極当然 にみつけることがで きる この場合 には構成的な分割,す なわち相互作用の無 k e da1 9 8 7) . Y の全系への単純 な埋め込み,を暗 に (例 えば Tbdaandl かった系 X, 仮定 していることになる・" L q l )が pr oduc ts t a t eで 非断熱遷移 はそれ 自体古典対応物が存在 しない r oduc ts t at eも,ここでは構 純量子 的な過程 である. しか しなが ら,非断熱遷移 書ける"とい うときの p r oduc ts t a t eの意味 に制限 してい を起 こす系の "要素"を考 えてみると電子 は量子化 成的な分割での p された対象ではあるが,核 はある程度古典的な描像 る( Ta na h1 9 9 6 a) . 本論 では量子系の動力学の性質 と量子相 関の発 現 の間の関係 を探 るこ とにす る. 具体 的 な議論 のために非断熱遷移の問題 を考 える ( r e vi e w として Nah mu r a1 9 9 2) . 分子の世界では,電子 と核の運 i mes c a l eがかけ離れているため e ne r g yの低 動の t い場合は断熱近似 ( Bo r na ndOppe nhe i me r1 9 2 7 ) が通例 よく成 り立 っていて,この とき 電子の状態 は 時間発展の間特定の一つの断熱準位 に留 まっている ne r g y とみなせ る. しか しなが ら,断熱状態 間の e の差が比較的小 さくなるところ ( 疑似交差点)では, c hukasは Fe ynが残っていることがわかる.実際 Pe ma n 核 の経路積分表式の半古典的評価 を目的 とし て核 に関す る運動方程式 を導いた ( Pe c hi k a s1 9 6 9) . この とき,電子の 自由度 を形式的に消去 して,核 に対 する 軌道措像 - 運動方程式 を得た代償 として,そ の運動方程式は 時間について非局所的である.すな c hukasの運動方程式 は核の軌道に対する汎 わち,Pe 関数方程式である.とにか く,変則的な形なが らも非 断熱遷移の核の 自由度 には量子古典対応が存在する. この意味で非断熱遷移の動力学 にも量子 c ha o sがあ ると考 える. 特定の断熱準位 にあった電子の他の断熱準位への遷 移が顕著 になる. これが 非断熱遷移である. 核 と 電子の間に圭子相関を持たない状態か ら出発 して も, 2 量子相関の尺度 としての偏極率 非断熱遷移が起 こるにつれて核 と電子の間に量子相 関が生 まれて くる2.このため 非断熱遷移の系の動力 系の規格化 された密度行列 βについて,純粋状態 学か らの影響 を調べ ることは,量子相関の生成の系 か らの距離 を測 る偏極率 卓 を次の ように定義する: の動力学カモ らの影響 を調べ ることと同等である・ 非 断熱遷移の原因は,素過程 を考えると,核の有限速度 2この議論では断熱的な系の分割 を採用 している. -2 9 9- p - l 2( p-去i ) l ・ ( 1) 研究会報告 l分子 として s pi nki c k e d ここで 卜=ま絶対値 をあらわす. P の固有値は 【 0, l l ここでは,そのような mode ot o r( Sc ha r r1 9 8 9 )を採用する.はやい "電子"を二 に値 を持つ.特に 1に等 しい固有値 を持つ ときのみ, r i e , 3) ,おそい " 核"を k i c k e dr ot o r( P, Q) 系の状態は純粋である.偏極率は 密度行列 βが純粋 準位系 ( i eは" 電子' 'の恒等作用 状態であるときゼロである量 β2-βを適当に規格化 と mo de l化す る. ここで したものである. ul i行列である.電子 と核の Hi l be r t空間 秦,合は pa 二準位系については Pは実数 と同一視で きる をそれぞれ 7ie, 7 1mと記す3. 系の Ha mi l t oni a nはつ ぎの とお りである: ( La nda ua ndLi f s hi t z1 9 7 7 ,§ 5 9 ) : P= L ( a) L . h( i )- T( i) ㊥i e ( 2 ) +∑ ここで 古 は二準位系の Pa ul i作用素. 期待値 く さ) 6( i-n)hB O( a) ・ は Bl oc hv e c t o rと呼ばれる量で ( Fe ynma n e ta l. ここで, 核 の k i ne t i ct e r m 1 9 5 7 ) ,P は Bl oc hv e c t o rの大 きさである. 以下の議論では全系が純粋状態である場合の部 分系の偏捷率 を考える. この とき偏極率は着 目する 串 と外界の量子相関をあ らわす.偏極率が 1である ( 固有値 1 を持つ)場合,着 日する部分系 と外の系 と の間の量子相関は存在 しない. また,偏極率が小 さ ければ小 さいほど量子相関の程度は強い と解釈で き る.改めて注意するが,このような定義で得 られた部 分系の偏極率は系の分割に依存する量である. ( 3) n亡 Z T( P) - 喜p2 , Bo r nOppe nhe i me rt ypeの電子 と核の相互作用項 hBO( Q)- ¢( Q) i e+B( Q)・ 3を導入 した.B( Q) の中に電子 と核の相互作用が こめ られている.¢( Q) を適当に選択す ることで,電子 と核の間の相互作用 を変化 させずに核の動力学の性質を変化 させ ること 0, 2 打)で周期境界条件 ができる4.核の座標 Q には 【 を課す.非断熱遷移の問題で よく考えられるような 散乱問題ではな くて,束縛状態の問題 を考える. s pi nki c k e dr ot orの核の相空間にみ られる動力 学は核の非線形力学系 としての運動 を抽象化 してい 3 s pi nki c kedr ot ormodel O るととらえることがで きる. この mo de lは写像系 であるため,系の動力学の定性的な性質,大雑把 にい 3. 1 modelの定義 e g ul a rか c ha ot i cか,を pa r a me t e rに えば系が r 分子での非断熱遷移の問題 を考えるのだが.ここ して系の性質を調べ ることが容易である.本論では de l分子 を考える. 余談 になるのだが, もうす こ しこの mode では,次の特徴 を持つ仮想的な mo lの特徴 を述べ る.s pi nki c k e dr o t o rmode lは s pi nbo s o m ●" 電子' 'と " 核"を備 え持つ. ta l .1 9 8 7 )を構成する bos o n浴 mode l( Le gg e te i mes c a l e( ●" 電子"は " 核"に対 して大変短い t 通例は無限自由度)の部分を k i c k e dr ot o rで置 き換 を持つ. 言い換えれば," 電子"を 量子論的 えた もの とみなせ る (とりあえず s pi nki c k e dr ot o r ne r g ys c a l eは (" 核"に比 に 励起するための e とゆう名前の由来はここにある) .s pi nki c k e dr o - べて)大変大 きい. このため 電子の自由度 は t o rで 核 ( r ot o r )が r e g ul a rである場合は ともか Hi l be r t空間のなかの e ne r g yの低い二状態の c ha ot i cである場合 r ot orの自由度は電子 ( s pi n) く, みを考慮すれば十分である. に対 して n o i s eの役割 を果たす.実際,後 に示す数 3系の分割のことを念頭 においてより厳密な言葉使いをすると,電子 と嫁 に通常の意味で全 l be r t空間は独立に書けて それを 7L ., 7tn と記す,となる. を表す Hi 4これは構成的な分割 ・断熱的な分割の どちらで も正 しい -3 0 0- く相互作用のない ときそれぞれの状態 「第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シ ンポジウム」 ( その 2) 値計算の結果は r ot orが c haot i cである場合 s pi nが 以上 で述べ た電子 の基底 の選択 に伴 い幾つかの i s e(もしくは pot 緩和することを合意す る。そのため no e nt i al面が導入 される ( 図 1 ) . 透熱 pot e nt i al V T T ( Q) t orは系が単純 なため,固有状態 な. ど系の詳細 な情報 竹1 ( Q) こ が定義 されない こ とである. 一方 ,s pi nki c ke d' r o- I相川 ‖■.l.lJ Hu尼l † lH r h H 一口 r h H I Q Q n lU IH u J r U O 0 こ s on浴 との 大 きな違いは "温度" ことがで きる.bo ︿ 助 血 → i "H r lL■川HUJlH相川一川‖Ⅳ 環境)と結合 した二準位系 の問題 の多 くと関与す る 面 VT T( Q) , V L l ( Q)は 次の ように 定義 される‥ を実際に " 見 る"ことが数値的 に可能である.これは 無限系 もしくは多 自由度系の熱浴 を もつ系 に無 い利 一方,断熱基底の v e c t or( J g( Q) ), l e( Q) ) )に対 して 断熱 po t e nt i al面 Ag( Q) , Ae ( Q)が次 の ように定 ま 点である. る: s pi nki dk e dr ot orが通常の分子 と比べ て大 き く 異 なるのは, Hami l t oni a nでみた ときに,電子 と核の hBO( Q)l g( Q) ) - Ag( Q)I g( Q) ), ( 8) つJ 一関数的に入 っ 相互作用が時間に対 して周期 的か hBO( Q)l e( Q) ) - A. ( Q)l e( Q) ), ( 9 ) t a r y な時間発展 を行 な て くることである.系 は uni うが,e ne r g yは保存 しない. 以下の計算例では特 に, ¢( a) = Kc o sQ ( 4 ) B( Q) - ( J, 0, ( c osQ-c osQc ) 6 K) ( 5 ) ・ . . . ㌔ . ㌔ . ∼ . k を用いる.∬ は po t e nt i alの振幅だが,ここでは 系 Ae 亮 、 \J の 非線形 pr a a me t e r として 用い る. 6 K は 以下 v l 1 . . . . . . . A g で定義す る二枚 の透 熟 po t e nt i al面 の形状の違 いで ある. J は透熱的な結合項であ る. Qcは a voi de d O Qc可 /4 c r o s s i ngの位置である. γeの基底 として 透熟基底 と 断熱基底の 二種類 を導入する.透熟基底 7 E 2 7 トQc 2 7 E 図 1:4つの po t e nt i al面 t L T ), L J) )は 亘Zを対申化す る ∬-0. 5, J g-0. 2, ∫-0. 25 de lの 基底 を選ぶ.透熱基底の選択 は ここでは mo 構成 に由来す るが散乱問題 と異 な り客観的な基準 は hBO( Q)は 2×2の行列 なので,これ らの po- 無い.3Zを対角化す る基底 を選ぶ根拠 は弾いていえ ten t i al関数 を陽に書 き下せて, nの非対角項 を摂動 とみなせ るとい うことであ t oni a VT T( Q) - 4 ・ ( Q)+Bz ( Q) , る.断熱基底 t l g( Q) ), l e( Q) ) )の定義 は核の座標 Q l u( Q) - を pa ra me t e r とした ときの相互作用 Ha mi l t oni n a Ag( Q) - 4 ・ ( Q)-Bz ( Q) , ¢ ( Q) -l B( Q) I , Ae ( Q) - 4 ・ ( Q)+L B( Q) I , hBO( Q)を対角化す るものである.添字 gは 断熱的 lH H r h u It "lH ll■1 "lu 1.1 1 1 u O 1 2 3 : n ‖ リ H H H H lヨ Hr J Lt U iZ I 川 ■in ∫ )の場合,この表示での Ha mi l ば,透熟極限 ( J 0 なg r ounds t a t eを,添字 eは断熱的な e xci t e ds t at e を表す.断熱基底 の 物理的な由来は その名の通 り 断 であ る. これ らの po t e nt i a l面の物理的意味 は後述 Bo r na ndOppe nhe i me r1 9 2 7 ) ・つ ま す る・ 熟近似 にある ( s pi nki d( e dr ot orは周期外力系 なので,その周 り,核の運動が電子 に比べ て遅い極限では,電子 は断 熟状態間の量子遷移 を行 なわな くなる. 期 に対す る定常問題 を考 えることがで きる. ここで - 301 - 研究会報告 一周期 の時間発展演算子である Fl oque t演算子 0 を持つ系では半古典論 を通 じて古典力学か ら量子論 を導入する.後で検討する周期外力系での定常問題 Be r r ya ndMo unt1 972) . が定性的に理解で きる ( oque t演算子の固有値 ・固有 v e c t o rの問題で s pi nki c k e dr ot o rmode lは量子古典対応が通常の は Fl ある.0 の定義は次の とお り: 意味ではないため,Pe c huk a sの半古典論での運動方 程式か ら出発するのが正統的である. しか しなが ら 0 - etpl u - , n 二.1 10d t h( i ) ] UF・UK. Pe c hukasの半古典論の実行は困難があるため,ここ ( 1 4) では,より単純な見方,すなわち,量子遷移 を無視 し e xpは 時間順序積 をあらわす.ここで一周期の始め た古典論,を採用する.この場合,核は- 自由度の写 【 = を ki c kの寸前 ( n -o ) ,終わ りを次の ki c kの寸前 像系 とな り相空間の解析は容易である.代償 として Pe c huk a sの半古典論での運動 ( n+1-0 )と約束 した. 0 を構成する O Fと O Kの は 統一的な古典力学 ( 方程式)を用いないため,それぞれの古典力学が量子 定義は 系の解釈 にいつで も意義 を持つわけではない ことが o F- e X p【 嘉T( i) ] ⑳i e , p 【 嘉 hB O( ら) ] , -/ d Qa SIQ・a)(Q・al o K- t e nt i a l面は 断熱極限では意味 を持た ある.透熟 po ず,逆 に断熱 po t e nt i al面は 透熱極限では意味 を失 eX う. po t e nt i l 面は 図 1を参照の こと. より動力学 a , e p 【 去A α), x ex (Q ] 的な情報 を多 く得 るには,相空間上の情報 を得 る必 ( 1 7 ) 要がある. " 4つの古典力学"は それぞれ 1 自由度 である・l Q, α)は ke tの t e ns o r積 I Q) ⑳t a( Q) )を意 の写像系であるため Po i nc a r 6s e c t i o n を得 るのは容 OK の解 易である. 味する.ここで,二つの時間発展演算子 OF, 釈を記す.UKは透熱基底か らみると電子 と核の相互 ( 2 )透熟結合:透熟極限の場合,"非対角的な"結 作用の卑 ( ki c kpa r t )で,電子状態の遷移 と核の時間 合項の大 きさを透熟的な結合の目安 とで きる. ただ 発展の両方が起 きる. 断熱基底でみると断熱的な時 し,半古典極限 h一 0では 解釈 に注意が必要であ 間発展であ り,電子状態は断熱状態間の遷移が無い. る.本稿では断熱極限の計算例のみを示すので詳細 t e nt i a l面にしたがっ は省 く. 核は各断熱状態 ごとに 断熱 po て運動する.一方, U Fは透熟基底か らみると核の ki - ( 3 )非断熱結合 E 。β,Ea ' p・ 平均的な非断熱結合 re f epa r t )で,断熱基底でみると非 Z ne t i cpa r tのみ ( a p:断熱極限のときに有用である. 断熱的な時間発展で電子 と核のの相互作用項である. 非断熱結合の定義は次のとお りである: =a p( l Q〝 , Q′ )-( E a( Q〝 ) l Ep ( Q′ ) )・ 3. 2 s pi nki c kedr ot ormodelの par amet er ( 1 8) t e pの時間発展での非断熱遷移を考え S pi nki c k e dr ot o rmode lは沢山の pa ra me t e rを UF による 1岳 もつが,以下の力学系や関数の定性的な振 るまいか ) : るには次の形の非断熱結合が有用である ( 図2 pi nki dk e dr o t o rmode lの定性的な振舞の多 く らs = t p( Q, 6 Q)- = aβ ( Q+6 Q, Q) ・ は容易に理解で きる. ( 1 )遷移 を考慮 しない ときの " 核"の 4つの古 ( 1 9) O Fが 非断熱遷移を 引 き起 こす.( Q, P)に 中心 を 典力学:これ らは以前 に述べ た断熱 po t e nt i a l 面 持つ断熱状態 βの 最小波束か ら出発 して OFで 系 Ag(・ ) , Ae(・ ) ,透熟 po t e nt i l 面 VT a T( ・ ) , Vt l( ・ )のそ を 時間発展 させた後で,断熱状態 αの 確率振幅はお れぞれに対応す る古典力学である. 量子古典対応 - ≡ よそ a + p( Q, P)である・ 3 0 2- 「 第 3回 『 非平衡系 の統計物理』 シンポジウム」 ( その 2) 演算子 打 の固有状態である ( 擬固有状態 ともよばれ る): ) - 0 回, n eEn/ ih I 血 ). ( 22) P 7 [ Enは qua s i e ne gy とよばれる.これは,一周期 あた りの平均 e ne r g y を表す. 連続時間の系の固有状態 0 oque t演算子 の固有状態 は系の動力学 と同様 に,Fl 7 t 27 t の古典的な性質 を半古典論 を通 じて反映 している. ここで示す結果 の数値計算 の pa r a me t e rは次の Q 図2 : 位相空間上の非断熱結合 とお り. 6 K - 0. 2, J - 0・ 25, Qc- 打/ 4として非 l E a ' p( Q, P) I 2 断熱結 合 は一定 に保 つ ( 図 6 K -0・ 2, J-01 2 5, Qc-打/ 4 2 ) . この状況で は非断 熱結合 は小 さいので,系 は断熱的であるとみなせ る. 連続時 間の系で用 い られ る ( 微分的な)非断熱結 この条件下で 方 を動か して系の性質の応答 を見 る. Pl a nc k定数 は h / 2 打-0. 007 81 6とす る.これは,棉 令 ∂ t Ep ( Q) ) Aa β( Q)-i( E a( Q) I 空間の中の [ 0, 2 7 T )×【 0, 2 打)の領域が約 1 2 8個の量 aQ i c k e dr o t o rの 子状態 に対応す ることを意味す る. k と非断熱結合 Ea + p( Q, 6 Q)との関係 はつ ぎの とお り: = t p( Q, 6 Q) - S a p+i Aβ 。( Q) 6 Q +o( 6 Q2 ) . 1 2とす る. のだが,その ときの格子点数 を Ⅳ -5 ( 2 0) つ ぎに,平均 的な非断熱結合 I a βを定義す る: ・ a p - 姦 dP xl =p ' a( Q, P) l 2・ 2 系 は断熱的 とみなせ るので,遷移の無 い古典力学 と して断熱 po t e nt i l 面 Ag(・ a ), Ae(・ ) に対す る も のが,系 のお よその振 る舞 い を教 える. これ ら二 1 .q / .q 2 座琴 Q ([ 0, 2打) の周期境界)は離散化 して近似す る i nc a r 6s e c t i on を 図 3 に示す. つの古典系 の Po dQ a me t e rでは Po i nc a r 6s e c t i o n ( 21 ) い ま用 いてい る par これは 非断熱結合 を相空間上で平均 した もので系が 断熱的か透熟的か を判断す る目安 になる. 透熱極 限 では相 空 間上 の準位 交差線 ( 非断熱結 合 によって定 まる)の囲む面積 と等 しく,透熱的な結合が大 きくな るにつれ通常 は減少 し断熱塩限で z e r oになる. の様子 は s t a nda r d ma p と大体 同 じであ る. 〟 を増 やす につれ て,相空 間の様子 が r e g ul a rから c ha ot i c に変化 してい く・ Ag(・ ) についての 古典 t a nde r dma p の非線形 pa r a me t e rで書い 力学 は s a hda . d-K てみ る と,Kst +6Kで,Ae(・)について a nda , d-K -6 Kである.これ らの古典力学で はK8t 4 数値実験の結果 大域的な c ha DSが発生す るのは Ag(・ )で K ∼ 0・ 8, Ae( ・ )で ∬ ∼ 1 . 2である.これ らの古典力学で大域 ここでは s pi nki c k e dr ot o rの固有状態 に関す る 的な c ha o sのある領域 を " c ha ot i c ",そ うでない領 r e g ul a r ' 'と 呼ぶ ことにす る. 数値的な結果 を示す.ki c k系の固有状態 は Fl oque t 域を " - 303- 研究会報告 ( i )K=0 . 5 ) 一 三 = = = = : = = ゝ 琶 喜 ≡ ≡ 喜 岩室 =± ゴ ≠= ミ さ . ⊥ さ■ . . 一 . .- - A : ■ ■ ミ ミ く ゴ q ( i a )a di a ba icgr t ou nd ≦ ′ ■ ー ー ≦≠千 二 顔 雲≡ - . . . _ く ≡ 真書 , 2 7 【 ( i b)a di a ba icex t c i t e d ( i i )K=0. 9 ( i i a )a di a ba icg t r ound ( i i b)a di a ba t i ce xc i t e d ( i i i a )a di a ba icg t r oun d ( i i i b)a di a ba t i ce xc i t e d ( i i i )K=1 . 9 図 3:断熱 po t e nt i l 面 に対す る 古典力学の Po a nC i r6s a e c t i o n ∂ ∬-0. 2 ∫-0. 25Q。 -可4 -3 0 4- 「 第 3回 『 非平衡系 の統計物 理』 シ ンポジ ウム」 ( その 2) 4. 1・ ひ とつの Fl oquet演算子 に関 する u ens em- 底 に関す る部分密度行 列 Tf a n1 4 , n日中nl か ら得 られ bl e〟,統計量 る偏極率 を P n a e とお く. また,電子 の透熟基底 に 関す る部分密度行 列 T rc n1 4 , n日中nl か ら得 られ る偏 Fl oque t演算子 に関す る "統計量"と して. 固 極率 を P ; eとお く5. 有関数 に関す る量 を " e ns e mbl e " と考 えてみ る.特 偏極率 の集合 f Pn a e l nを e ns e mbl eとみ な して, に固有状態か ら得 られる部分系の偏極率 に注 目す る. e ns e mbl eについての等重率平均 Pe -( P n a e ) nを考 a a Fl oque t演算子 0 をひ とつ考 える.0 の固有 関数 , Pc eの par me a t e r依存性,特 に非断熱結 える.P e 1 4 1 n ) ) nが求 まった とす る.ひ とつの固有 関数 の粗く yna mi c sに対す る依存性 合 を固定 した ときの核 の d 座れ )に対す る電子 の偏穣率 を考 える.電子 の断熱基 を調べ た. 0. 5 1 5 1. 2 Ⅹ a 図 4:平均 の偏極率 P e , Pc eの "核"の 動力学への依存性 ガ は 核 の運動の非線形 pa r a me t e r 図か らもあ きらか な ように,核 の動力学 の 非線 t e nt i a l面 はこの系の理解 に全 く貢献 しない. 形p a r a me t e rg に対 して非単調 な振舞が起 こる.〟 に対 して Pa e , Pc eが上昇す るのは " r e gul a r "な領域 4. 2 以 ens embl eMの詳細 について , Pc eが減少 においてである.逆 に K に対 して Pae C ha ot i c "な領域 においてである. す るのは " 各 固有状態 eの 間 には走性 的 な差異 は無 い. 但 Pa e と Pc 値 Pn - l 血)に対 して,核 の運動 量 の期待 ( Onl 中 n)と運動 量 の療 準偏 差 qp, n しこれ は p a r a me t e rが特殊 な値 であ る こ とが原 因 を考 え る ( Tbdaa nd l k e da 1987) . " e ns e mbl e " であって一般 的ではない. 系 は断熱 的であ る とい え ( P;C , Pn a e , Pn, qp , n)nに関す る相 関 を考 える・ その るの だが,透熱 的 な結 合行列要 素 J が大 きいため 一例 として 偏極率 Pa eの値分布 お よび運動量 と偏 古。 を対角化す る基底 が実 は "よい"透熟基底 になっ 極率の相関 を図 に した ( 図5 ) .これ らの図が 図 4で 逮 ている. このため,ここでは J 1 0の極 限での " 示 した 偏極率 の動力学へ の依存 の機構 を説 明す る. 熟 的"とは別 の意味 で系 が透熟 的 になってい る. 但 系が r e g ul a rであ る場合 ,Ei ns t e i nBr i l l o ui nKe l l e r Qに対 して定数 になっているこの ときの遠 敷 po- の半古 典量子 化 ( し, Ei ns t e i n 1917, Br i l l o ui n1 926, これら二つの " 電子"の偏極率の違いは系の分割の違いに由来する ( Ta J l l' a a1 99 6a) .すなわち,T ra nは断熱的な分割での核 5 r a c eで,T rc nは構成的な分割での核の自由度に関する部分 t r a c eである.これらの部分 t r a c eの定義は の自由度に関する部分 t Ap p e n d i xを参照のこと - 30 5- 研 究会報告 Ke l l e r1 9 5 8 )よ り簡単 に説 明で きる ように,これ ら 居場所 が推定 で きる. 系が c ha o t i c な場合 には 運 の固有 関数 は相 空 間表示 において古 典系 の t o r usに 動量 と偏極率 の相 関 に構造 が無 くなって運動 量 の期 対応す る領域 に確率振幅 を集 中 させ てい る. このた 待値 の ような単純 な量 で は固有状態 の様子 はわか ら め,運動 量 の期待値 に よって固有 関数 の相 空 間での ない. T t Z O■■Z一 T t hO i [ ■ 一 〇 0.05 0.1 0.15 0.2 : V:.. : . I ●● ● . y : ・ . .i . . ' . 1 E. : . .. . . ( b); ... : ... >:i: . . . ' t . . ! I : . I .'- 0. 25 probAbl1lty ( i )〟 -0. 5 l ) O t Z O T ■ _ ZTJ一TOd E l 亡 i . で . ; ● : . . . : . . ● . . , . ' : 、': : . . . . . : . ' 1 , : ; . . .. I . hき . I . ; . I .. : . ● 毘.. . (b) こ. . . . { : . : ● ; ■I .'' I● ヽ . ● ● ' ● '●' . .' ● . : F Ii ●. :. . Y. ' i ; . . ■ . T' . f ′ ● t . ● ー ● ● 0. 05 0.1 0.15 0. 2 0. 25 prob■blllty ( i i )〟 -0. 9 T ■ ( . . . . . .∼.'.'' .. .. . r I . . ' . . . I. . . 一 ● ● J. . . .! .. .● -. .II ■ 一 〇 _ Z T Z ■ O t Z O F: : . I : 1 . . ● I l .. .■ .一 ' . . . . I :' .' ち ■ ' < ' t a 0.05 0.1 血 pr 0.15 blllty 0. 2 'b. I . < ./.. 0 0. 25 ( i i i )〟- 1 . 9 ヽ t . I . .. /I ... . 7 t p 図 5:偏極率分布 と 運動量対偏極率の相関 ( i )( K -0. 5 )核 の運動量 p - 0. 7 汀 に偏 極率 ( i i ) .( K - 0・ 9)上述の c l us t e rが Pa e∼ 0・ 6に P ∼0. 2 5の分布 の c l us t e rがあ る.これは摂 移動 す る. 核 の d yna mi c s は "古 典論"で ae 動論 的 に説明で きる ものである.核 の d yna m- T T( Q) , Ag( Q)に対応 す る ものが大域 的 な は V i c sは "古典論"で も量子論 で も " r e gul a r "で c ha DSにな り,他 は大域的には r e g ul r の まま a あ る. である.量子論 の方では固有関数 は運動量空間 にはあ ま り広 が らな くて ( i )● と同程度 であ る. -3 0 6- 「 第 3回 『 非平衡系 の統計物理』 シンポジウム」 ( その 2) unnne lma t r i xe l e me ntが J か ら SJへ e f して,t 幾つかの固有関数では pa t t e r n の乱れが見つ e c t i v eに減少 したことを表 しているとも読める. か りは じめる.大域的な波動関数の広が りが無 f い とい う点では量子論での核の d yna mi c sは " r e gul a r "といえる. ( i i i )( K -1. 9)分布の c l us t e rは P ae ∼ 01 2に 移動す る. 核の d yna mi c sは " 古典論"では c ha o t i c にな り,量子論 の方で も 固有関数の pa t t e r nに強い乱れや運動量方向への広が りが y現われる. この意味で,量子論 での核の d c ha ot i c "といえる. na mi c sは " 5 数値 実験の解釈 非断熱遷移の問題では,電子状態の遷移が原因 と なって核 と電子の間の量子相関が生成 される. ここ 二つの透熟的な電子状態 くけ), 旧 )に 図 6: では,二つの量子相関の生成の要因,ひとつは " 核" t e nt i a l面 と 結合の無い場合 対する透熱 po と " 電子"の 結合項 を摂動論 的 に, もうひ とつは の固有状態 ( 模式図) " 核"の動力学 を定性的に検討する. 5. 1 摂動論的な場合 Ht unc r a t e は 二つ 固有状態 を 持つ.それぞれの 透熟的な結合が摂動論的に扱 える場合 を考 える. 固有状態か ら 密度行列 を作 り,核の 自由度の 情報 ここでは固有状態 についての議論 を行 な う. 結合 r a c eで 消去す る.その結果得 られる 電子 を 部分 t J( > 0)とす る. 結合がない場合の二 の 部分密度行列か ら 偏極率 を求める. どち らの固 つの固有状態の線形結合で,結合のある場合の固有 有状態か ら得 られる偏橿率 も等 しくて,その値 は次 状態が よ く近似 で きるとす る ( 図6 ) . 一方の状態 ) : のようにあ らわされる ( 図7 の大 きさを 叫少 , A)⑳什),もう一方はL 4 , n)⑳l J)と書 けるとする・ ne r g yを それ また,結合の無い ときのこつの状態の e +S2( JS) 2 a2 ぞれ f . , "g n と書 く. つ ま り,注 目している堺態に p-( 対 しては系の Ha mi l t oni anは次のように書けるとす ( 2 3 ) ) 喜. +(Jg) 2 α2 る: ここで ( 4・ m, T l( 4 , n, Jl ∬ l ¢爪, I ) 時の e ne r g y差 に比例す る. ん Ht unc r a t e- a=( f m一g n) / 2は結合す る二状態の無摂動 つ まり,結合 Jが大 きいほど核 と電子の間の量子 軌l , J) ( 相関が大 きいことになる.但 し,偶然縮退 f m=gn ここで,重な り積分 S-( i . nl V , n)は正の実数である の起 こるような特別 な対称性が存在す るときではこ 一∞ とする.a. r unc a t eは二つの状態 什) , l t)の間の t n - の限 りではない.そ して量子相関の強 さは J u ne l i ngが環境 (この場合は核の 自由度) と相互作用 の極限では重な り積分 β で特徴づけ られる. - 30 7 - 研究会報告 に小 さい.この偶発的な近縮退が破壊 されることで, 摂動論的に発生 していた量子相関が破壊 される.( 別 の pa r a me t e r範囲だが,この現象の解析的な扱 いが Ta na k a1 9 9 6 bにある) . 5. 2 古典対応のある自由度 一核の動力学の効果 ここでは量子相 関に関す る核 の動力学の効果 を e g ul r とc a ha DS 議論す る.核の動力学の性質 として r とい う言葉使 いを行 なうが,これは対応す る古典力 学 に由来 してい る. §1で触れた ように 量子遷移 図 7:偏極率 Pの 結合 J依存性 の伴 う核の運動 には通常の もの と異 なるが形式的な 但 し,以上の議論 は摂動論 に基づ くものなので, 半古典論が存在す る. しか しなが ら,ここでの解析 Jが小 さい とき,つまり di a ba t i cな極限ではこの議 はより間接的な 4つの古典力学 ( 2つの透熱的 + 2 r a me t e r領域で 論は その まま適用で きる. Jが大 きい とき,つ ま り つの断熱的 な古典力学)を適当な pa e g a di a ba t i cな穣限では断熱近似 ( Bo nr Oppe nhe i me r 使い分 けることにする.その ような古典力学が r ar ,c ha DSである とき対応す る量子系 を r e gul ar , 近似)か ら 摂動論 を考 えることでこの議論が適用 で ul ha DSとよぶ ことにす る. この ような舞台設定の後 きる. その ときの状態間の結合項 は非断熱結合 を考 c で従来か ら用い られている " 量子 c ha o s "の考 えを踏 えることになる. - 0. 7 7 Tでの偏 襲する. r o t o rが r e gul a rな場合,強い量子相関を持つ状 2 5の分布の c l us t e rは,非断熱結合 に 極率 Pae ∼0. i )にみ られる核の運動量 図 5( p よる摂動論的な非断熱遷移 によってで きた量子相 関 態はある特定の条件 を満た した 状態の組か ら生 まれ る.それは 透熟的な場合は c r o s s i ngpoi nt ,断熱的 を表す. 摂動論的に量子相関を持つ状態 を作 るには,二つ の無摂動状態 L ¢m)と 1 4 , n)の間で固有 e ne r g yの差 な場合は a vo i de dc r os s i ngpo i ntに " 長 ("滞在す る 二つの状態である.他の状態 は ( a v o i de d)c r os s i ng t e nntで滞在時間を十分 とれないか もしくは po αがほぼゼロである,つまり,偶発的な近縮退が起 こ poi s es pa c eの障壁のために a c c e s sで きない i a lや pha る必要がある.一方,重な り積分は S は 0( 1 )であ t e gul a rな場合は,特定 る必要がある.系の動力学が r か どち らかで量子相 関 を作 ること ( 透熱 /非断熱遷 の無摂動状態の組 についてのみ この橡 な条件が成 り 移)がで きない. しか しなが ら c ha o t i cな場合,特 に pha s es pa c eの障壁が崩れる場合 多 くの状態で量子 立ち,量子相関が強い状態がで きる. r a me t e rを変化 さ 相関を作 ることがで きるようになる.つ まり,どの よ これらの状態に対 して系の pa r a me t e rg の値 せたときの様子 を考える.非線形 pa うな固有関数において も 非断熱遷移の大 きい ところ を増大 させ ると,図 5( i )にあった 分布の dus t e rが mpl i t udeをもって しまうため 片方の断熱状態 で a 図5 ( i i )の ように移動する.このこともまた摂動論的 ( i i i ) ) . に閉 じ寵ることがで きな くなる ( 図5 r a me t e rg を動かす と,α, に説明で きる:非線形 pa β ともに,それに対 して値が変動する.αの値 は元々 以上の議論 をまとめる.非線形 pa r a me t e rが小 小 さいため変動 は相対的に大 きい.つ まり,偶発的な さい極限では,量子相関は摂動論的な機構 により発 近縮退が破壊 される. 一方,タ の値の変動 は相対的 生す る. 系が規則的な場合においては,系の非線形 -3 0 8- 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 ( その 2) l be r t pa r a me t e rを増加 させ るにつれこの量子相関は破壊 れぞれ記す ことにする.分子全体 についての Hi 古れる.これは,非線形 pa r ame t e rの値の変動 によ 空間 7 L sは相互作用のあるな しにかかわ らず 7 i sり偶発的な近縮退が破壊 されるためである. さらに 7 i n⑳ 7 i eを満たす. 非線形 para me t e rの値 を増や してい くと,系の動力 分子の Ha mi l t oni an として c ha o s "的になる.この とき,系の動力学は,・ 量 学は " h-T( i)㊥i e +hBO( a) 子状態 を非断熱結合の強い領域 に一般 に ` 送̀ りつけ る"ので非断熱遷移が盛 んになる.このため,量子相 を考 える. ( P, Q)は核の相変数で,それ らを正準量 関の度合いが強 くなる. か ま 7in 上の演算子であ る. hB O( a) 子化 した P, は,相互作用の無 い ときの電子の 自己 Ha mi l t oni a n に核 との相互作用項 を付け加 えた ものである. また, 6 議論 i eは 〃e 上の恒等演算子である. 本論では mo de l系の根底 にある古典論 と量子論 の関係 を大変大雑把 に議論 してきた.特 に,非断熱遷 以上で導入 した Hi l be r t空間 を紹介する. まず 移 を伴 う核の動力学 を議論す る際,半古典的な解析 算子 〟n 7in と u e の基底 の基底 としては,核 の位置演 Qを対角化する基底である tJ Q) ) Q を用いる. c h山 はβの 運動方程式か ら出発すべ きであっ 7 では Pe i eの基底 として透熱基底 t J 7 7 m) ) . n( Li c ht e n1 9 6 3, たところを,遷移の無い古典力学で済ませて来た.こ s mi th19 6 9)と断熱基底 f l E。 ( Q) ) ) 。の二種類 を由 mode lの pa r a me t e rか ら目見当をつけて適 こでは, e c t o rが核の pa r a me t e r いる.透熱基底はその基底 v 当な古典力学 を選 んだのだが,その ような選択がい に依存 しない ものである.断熱基底は hB O( Q)を対 つで もうまくい く保障は無い. これ ら a dhocに選 角化する基底で pa J a me t e rQ に依存する. んだ古典論達の統一的な古典論である Pe c hukasの は じめ に, 構 成 的 な分割 の' 作 用素 の集 合 の組 運動方程式の解析か ら,ある極限でそれぞれの古典 工。 n, 上。 e) を定義する.構成的な分割は 相互作用の ( c huk n S の 無い場合の 作用素の集合の組 ( 力学の選択が生 まれて くるべ きである.Pe I : ( 7 i n ) , i : ( T i e ) )の全 運動方程式の解析 はこれか らの課題である. 系への 自然な拡張である.すなわち, , i : c e ) -( i : ( ( i : 。 n ㊨in,ie㊨i:(Tie)) T im) Appendi x 分子の分割 について である. 構成的な分割では 工。n に属す る作用素 を 量子系の分割 は部分系 に属す る作用素の集合の " 核 の作用素"と呼 び,£。。 に属す る作用素 を " 電子 組,あるいは同等 なことだが部分系の Hi l be r t空間 の作用素"と呼ぶ. l be r t空 間への uni t a r y 写像 で定 連か ら全系の Hi つ ぎに 断熱 的 な分割 の 作用 素 の 集合 の組 まる. ここでは分子 における二つの典型的な分割で ( i: an, i : a e )を定義す る. そのため,は じめに作用素 ある構成的な分割 と断熱的な分割 を作用素の集合の の行列単位 を定義する. 組による定義で紹介する (より詳細 な議論は T anaka 呼 Q,- ∑ l Q〝,E a )( Q' ふl ( I 1 9 9 5 a) . 分子 は核 と電子か ら成 り立つ ものである.この核 は" 核"の行列単位, と電子 に通常の意味での相互作用が全 く無い ときを 考えよう.この とき各々の系 に対す る Hi l be r t空間 喝 /d Qr Q, E α)( Q, E p l l be r t は "電子"の行列単位 と呼ぶ・( は別個 に考えることがで きる. 核 に対する Hi 呼 Q , I Q〝 Q,で張 ら 空間を 7in,電子 に対す る Hi l be r t空間を Tteと そ れる空間を L:an,( aa e p)。β で張 られる空間を L : a eと -3 0 9- 研 究会報告 £a nに属す る作用素 を "核 これ ら分割 を適 用 した例 をあげ る. 断熱準位 の の作用素"と呼 び,i : a eに属す る作用素 を "電子 の作 popul a t i o n に対す る He mi t e作用素 は構成 的 な系 用素"と呼ぶ. の分割 では電子 と核 の相 関の作用素 とみ な され るが, す る.断熱的な分割では ra c e 断熱 的 な分割 では電子 の作 用素 とみ なされる. 別 の 二つ の分割 での核 の 自由度 に関す る部分 T の定義 を示す. β は全系 の密度行列 (も しくは作用 例 として,ひ とつの断熱準位 上 にあ る波束 を考 える. r a c eを施 した とき 莱) とす る.以下では βに部分 t r nOppe nhe i me r近似 で普通 に用 い られ これ は Bo の行列要素 を示す.まず,構成的 な分割の ときは: る状態 である.構成的 な分割 では この状態 において 電子 と核の間に量子相 関が あ る と解釈 され る.一方, ( rc T np ) -n- / dQ (Q,恥 l 掴 , nn)・ ( 24) 断熱 的 な分割で は この状態 で は 電子 と核 の 間に量 m, n は透熟 基底 の i nde x. 構 成 的 な分 割 での部分 t r a c eは通常 の部分 t r a c eと-敦す る.次 に,断熱的 子相関は無 い.この ように,異 なる分割 は量子系の異 なる解釈 をあたえる. な分割では: - ( r-A) T a p /d Qく Q, E al PI Q, E p)・ 発表内容の訂正 ( 1996/02/22) ( 2 5) s t e rでの発表 において, 1 9 9 5年 3月 7日 の po α,βは 断熱基底 の i nde x.ちなみに 二つの部分密度 本報告 の §5に相 当す る部分 の発表 に誤 りがあ った ni t a r y変換 は 存在 しない.この 行列 を結 びつける u ので訂正 します. 摂動論 的 に生 まれた量子相 関が破 r a c e操作 の反映である.す ことは,等価でない部分 t 壊 され る機構 として,大域化す る以前 の c ha o s的 な r a c e操作で も "核' 'の 自由度 に関 なわち,どち らの t 動力学 を原 因 と して挙 げ ま したが これは誤 りであ る す る情報 を消去 したのだが,構成的 な分割 での " 核" ことが わか りま した.この機構 については本報告 §5 と断熱 的な分割での " 核"は異 なるのである. もしくは Ta na k a( 1 9 9 6 b)を参照 して下 さい. 参考文献 足立聡 1 9 9 4科学 647 4 -8 3 Be r r yM Va ndMountKE1 9 7 2Re p.Pr o 9.Phy s .3531 5 -3 9 7 Bo nMa r ndOppe nhe i me rR 1 9 27Ann.Phys . ,Lpz844 5 7 -4 8 4 Br il l oui n L1 9 2 6J.Phy s .Ra d i um.73 5 3 13 6 8 Ca s a t iG,Chi ik r nvBV,I z r a e l e vFM a ndFo r dJ1 9 7 9Le c t ur eNo t e si nPhy s i c s933 3 4 3 5 2 Ei ns t e i nA 1 91 7Ve r h.Dt s c h.Phy s .Ge e .198 2 -9 2 e pt ua lf o unda t i o nso /q t L a nt um me c ha ni c s( Ma s s a c hus e t t s :W.A.BENT d' Es pa g na tB 1 9 7 6 conc J AMI N,I NC. ) Fe ynma naP,Ve r no nFLa ndHe l l wa r t haW 1 9 5 7J.Ap p.Phy s .284 9 -5 2 Ke l l e rIB1 9 5 8Ann.Phy s .41 8 0 11 88 La nda uLDa n°Li f s hi t zEM 1 9 7 7Quant umMe c h叩i c s( No nr e l a t i v i s t i cThe o r y )( Ne wYo r k:0Xf o r d Uni v.Pr e s s ) kr a . v a t r yS,Do r s e yAT,Fi s he rM PA,Ga r gAa ndZwe r g e rW 1 9 8 7Re v .Mo d . 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