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胃切開創の創傷治癒とepidermal growth factOr についての実験的研究

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胃切開創の創傷治癒とepidermal growth factOr についての実験的研究
日消外会誌 26(1):8∼
17,1993年
胃切開創 の創傷治癒 とepidermal growth factOr
につ いての実験的研究
横浜市立大学医学部第 2 外 科
市
川
靖
史
細胞増殖 因子 で あ る e p i d e r m a l g r o w t h f a c t o r ( E G F ) の胃切開縫合創 の 治癒 に対す る影響 につ い
て実験 的 に検討 した. ラ ッ トを対照群 , 胃 切開後4 8 時間 まで E C F を 投与 した群 に加 えて, 内 因性 E G F
を低下 させ る 目的で両狽1 顎下腺 を摘 出 した s u b m a n d i b u l a r g l a n d s r e m o v a l ( S M R ) 群と S M R ラ ッ
トに E G F を 投与 した S M R t t E G F 群 の 4 群 に分 けた. な お E G F ( 2 0 μg / k g ) を投与 した群 では 胃手術
前 1 時 間, 術 後2 4 , 4 8 時 間 に静注 した, 胃 手術後 3 , 7 日 目に 胃切開創 の組織血流量 , 新 生毛細血 管
の構築 お よび量 , 抗 張力 お よび組織化学 的観察 に よる局所 コ ラー ゲ ン組織化学的所見か ら創
傷治癒 を
検討 した。各項 目につ いて, E G F 群
と対照群 の間 には有意差 は なか ったが, s M R 群 では抗張力, 組
血
血
織 流量, 毛 細 管新生 の低下 が認 め られた。S M R t t E G F 群 で は, 投 与後, 各 項 目は対照群 と同程 度
まで回復 した。E G F は 毛細血管新 生 と組織血 流維持 に必 要 で あ り, 胃 切開倉J の創傷 治癒 に重要 な役割
を持 つ と考 え られた。
Key words:
epidermalgrowth factor, r'*'oundhealing of stomach,vascularstructure of the gastrotomy
wound, neovascularizationin the gastrotomy wound, microcirculation in the gastrotomy
wound
緒 言
上皮成 長 因子 epidermal growth factor(以
下 EGF
と略す )は一 種 の細胞成長 因子であ り,1962年 Cohenl)
に よって,雄 マ ウスの顎下腺 か ら,は じめ に抽 出 され ,
預」
定,膠 原線維 の組織学的観察 に加 えて,創 傷治癒 の
初期 に と くに重要 と思われ る切 開創近傍 の 胃粘膜 血 流
53個の ア ミノ酸 か らな る pOlypeptideとい わ れ て い
対 象 と方法
る。EGFは ,さ まざまな上 皮細胞 の増殖 を促す と同時
に, 日蓋,眼 裂 な どの形 成 を促進す る とされてい る1).
また創傷 治癒過程 で は毛細血管新生 ,線維芽細胞増殖 ,
コ ラー ダン合成 と代 謝,上 皮細胞増殖 な どの調 節 に
関
D。
わ ってい る といわれてヽヽる2)∼
E C F は 胃の実験 潰瘍 の治癒 を促 進す る とされ, そ の
機序 には酸分泌抑制, 細 胞増殖 の促進, 粘 膜 血 流維 持
作用 な どが関 与 して い る と推定 され て い る。∼ゆ。 そ こ
で 同様 の機 序 に よ り, 胃 の創 傷 治癒 に対 して も E G F
が有 効 に働 くとい う可能性が考 え られ るが, これ に関
す る報 告 はみ られ ていない。 そ こで著者 は, 実 験 的 に
胃の切 開倉U を作 り, そ の 治癒 に対す る E G F の 関与 に
つい て検 討 した。創傷治癒 の観 察 に関 しては抗張力 の
<1992年 9月 9日 受理>別 刷請求先 :市 川 靖 史
〒236 横 浜市金 沢区福浦 3-9 横
浜市立大学 医学
部第 2外 科
量 と,吻 合部粘膜下層 の血 管構築 を観察 した。 その結
果, 2, 3の 知見 を得 たので報告す る。
Wistar系 雄性 ラ ッ ト(7∼ 8週 齢)を 4群 に分 けた。
1.対 照群 :胃 切開手術 (後述)の 前後 に,生 理 的食
塩水 のみ を尾 静脈 に投与 した (n=20).
2. EGF群 : ヒト EGF(β _urogastron日 立 化 成 工
業社製) 2 0 〃g / k g を 生理的 食塩水 0 . 5 m l に 溶解 したの
ち, 術 前 1 時 間, 術 後 2 4 時間お よび4 8 時間 の計 3 白 ,
尾静脈 に投与 した ( n = 2 0 ) 。
3 . 両 側 顎 下 腺 摘 出術 群 ( 以下 S M R 群 ) : 内 因 性
E C F の 主要 な供給 源で あ る顎 下腺 を, 手術 の1 4 日前 に
両側摘 出 (bilateral submandibular giands removal,
以下 S M R と
略す) し, 術前後 に生理 的食塩水 のみ を尾
に
静脈 投与 した ( n = 1 9 ) 。
4 . 顎 下腺摘 出後 E G F 投 与群 ( 以下 S M R t t E G F 群
とす る) i S M R を
後 に, E G F 群
施行 した ラ ッ トに対 して, 手 術 の前
と同様 に E G F の 投与 を行 った ( n = 2 0 ) .
各群 とも, 2 4 時 間 の絶食後 に p e n t o b a l b i t a l s o d i u m
9(9)
1993年1月
25mg/kgを 腹腔 内投与 し,腺 胃体部 に10mmの 切開創
を尖 刃刀で作製 した。直 ちに腸腺 (4-O plane)で 4
個 の全層結節縫合 を行 って,切 開創 を閉鎖 し,閉 腹 し
た。
検討項 目は以下 の通 りであ った.
(1)体 重,血 清総蛋 自量,ア ル ブ ミン量
各群 において術前 ,術 後 3日 目, 7日 目に体重,血
定 した(各群 ともに n=
清総蛋 白量,ア ル ブ ミン量 を損」
ら胃を摘 出 した 。摘 出 胃か ら厚 さ1∼2mmの 切片 を作
製 して脱水,脱 脂 の後,サ リチル酸 メチルで透 徹 し,
実体顕微鏡下 に1.5∼ 4.5倍 に拡大 して観察 した。
(6)胃 切 開創 にお け る肉茅 新 生 血 管 の 定 量 的 観 察
(carmine法 に よる)
Kimuraら 1いの 肉芽新 生血管 内 に 分布す る carmine
ll), 胃切 開創近傍 の新生 血 管量
色素 の定量法 を応用 し
の定量 を行 った。各群 6匹 につ いて,術 後 3日 目, 7
で は,顎 下腺
日目に麻酔下 に開腹 し,下 大静脈 に10%carmine gela‐
摘 出術前 お よび摘 出後 14日 目に同様 の測定 を行 い対照
tin(特 級 gelatin 100gに carmine 10gを 溶解 した も
の)2.5mlを 注入 した後,ラ ッ トを冷蔵庫 内 に数時間放
12)。また,SMRお
よび SMRttEGF群
群 と比較 した .
各群 とも,術 後 3日 目, 7日 目に 胃を摘 出 し,幽 門
置 し carmine gelatinを 凝 固 させた 。そ の後 に 胃を摘
出 し,胃 切開線 を中心 として,左 右3mmの 短冊型 の切
側 を結繁 ,食 道側 か ら空気 をと入 して,創 傷部 の破 裂
片を作 り,試 料 とした 。試料 か ら carmine色 素 を抽 出
した 時点 の圧力 (mmHg)を
し分光光度計 に よ り比色定量 した (Table l).
(2)切 開創抗張力
測定 した (各群 n=6).
(3)胃 切開創部 の組織学的検 討
(7)統 計学的処理
パ ラフ ィン包埋 ,薄 切標本作成後,hematoxylin‐
eosin
す べ て の 数値 は meantt SDで 表 し,有 意 差 の 検 定
は,Student'st‐testを 用 い,危 険率 5%以 下 を有意差
染 色 お よび膠 原 線 維 観 察 のた め trichrome染色 を行
とした。
各群 とも,術 後 3日 日,7日 目に 胃を摘 出 して固定 ,
い,組 織学的 に観察 した。
結
果
(1)体 重,血 清総蛋 白量,ア ル ブ ミン量
(4)胃 粘膜 血 流量
術前,術 後 3日 日, 7日 目に, レ ーザ ー ドップ ラー
製 LC‐1)に よ り預J定した。測定 に
① 顎下腺摘出前後 の比較 :いずれ も,SMR前 ,お
よび SMR後 14日目とも,SMRラ ットと対照に有意差
腔 内投与後 に開腹
際 しては,pentObarbital sodium腹
し,前 胃大脅側 に5mmの 小切 開 を加 え,こ こか ら プ
ロー ブを挿 入 した。術前 には腺 胃体部前壁 の 3か 所,
は認めなかった (Fig。1-1,2-1).
② 胃手術 iい ずれ も,術 前,お よび術後 3日 目,7
日目で,各 群間 に有意差 は認 めなか った (Fig,1-2,
術後 は腺 胃体部前壁 の創傷部 か ら5mm以
Fig。2-2).
血 流計 (CANON社
内(以下,創
傷部近傍 とす る)の 2か 所 と,創 傷 か らlcm離 れた部
定 し,お
位 (以下,創 傷離隔部 とす る)の 2か 所 を預」
のおのの平均値 を算 出 した。測定 には,各部位 に ブ ロー
ブを 1分 間固定 し,こ の間 の血 流計 の表 示値 の平均 を,
そ の部位 の測 定値 とした (各群 n=12)。
(5)創 傷部 血 管構築 の形 態学的観察
術後 3日 目,7日 目に麻酔下 に開腹 し,奥 平 らりの方
法 に従 い腹部大動脈 にポ リエ チ レン細管 (ヒ ビキ印ポ
リエ チ レン細管 内径 lmm)を 挿 入 して先端 を腹腔動脈
近 くに固定 した 。次 いで胸部大動脈 を結紫 し,直 ちに
5%carmine gelatin(特級 gelatin(Difco)単独体積
あた り, 5%の carmineを 溶解 した もの)4ml(36℃ )
を ポ リエ チ レン細管 か ら 1分 間 か けてと入 した。注入
圧 は注入路 の途 中 に設 けた 3方 活栓 か ら側路 を と り血
圧計 を利用 して圧 を監視 しなが ら120mmHg以 下 とし
た。注 入終 了後 , ラ ッ トを10%の 冷 ホル マ リン液 内 に
1時 間浸漬 し carmine gelatinを
十 分 に凝固 させ てか
Table l
MIeasuring method of carmine in speci‐
mens
Dissolving of specimen from each rat in 10ml of 3
N-NaOH solution for 30min at room temperature.
J
In hot water (50t) for 10min.
J
Shaking for l0min at room tempearature to completely
digest the specimens.
. . .
Filtration of digested samplesthrough millipore-filter.
Measurement of filtrates lpectrophotometorically
at
530nm.
J
Calculation of the quantity of carmine in the filtrates
from calibration curve between carmine concentration
and the degree of absorbance (530nm).
10(10)
胃切開創の創傷治癒 とEGFに ついての実験的研究
日消外会誌 26巻
1号
Fig, 1-1 Changes of body weight before and after removal of submandibular
glands.
Fig. 1-2 Changesof body weight before and after gastrotomy.
■
0
4
。2
日
( 3 )
240
2
230
220
210
200
190
― control grouO (n=12)
― ―ECl group
(n=12)
―SMR=roup
本‐
(n=12)
― ‐SMR+EGF erouo(n=12)
130
170
M
SS
y
a r
e
d t
Fig. 2-1 Changes of serum total protein and serum albumin before and after
removal of submandibular glands.
Fig. 2-2 Changes of serum total protein and serum albumin before and after
gastrotomy.
2
serum
total protein
total protein
MttS D
M ttS D
daYs
after sMR
(2)創 傷部抗張力
① 術後 3日 目 :SMR群 の倉u部抗張力 は他 の 3群
に比較 して有意 に低値であった(p<0.01)。
ECF群 と,
対照群 の間 に有意差 は認 め られ なかったが,SMR十
EGF群 は,対照群 に比較 して有意に低値であった(p<
0.01)(Fig.8).
② 術後 7 日 目 : 4 群 とも 3 日 目に比較 して抗張力
の増加 を認めたが, S M R 群 では, 他 の 3 群 に比較 し
一方, S M R t t E G F
て, 有意 に低値であ った ( p < 0 . 0 1 ) 。
群 と対照群 との間 には, 有 意差 は認 め られ なかった
(Fig.4).
( 3 ) 創傷部 の組織学的所見
I I (11)
1993年 1月
Fig. 3
Bursting
Pressure of the
gastrotomy
wound (3 days after gastrotomy)
MttS D
*P(001
, 球P て 0 0 5
Fig. 5 a) Submucosa at the gastrotomy wound
( J ). b) Marked accumulationof collagenfibers.
Control, 7 days after gastrotomy. (trichrome
Masson'sstain)
ωヽヨ∽∽Φ︼住 WE, り、3口
F
帥
G
∞
E
中
∞
抽
(n=6)
Fig. 4 Bursting Pressure of the gastrotomy
wound. (7 days after gastrotomy)
MttS D
*P<001
1349± 132
6)
(n‐
stain)
p>
u6
押 o〓
n
は すく
F
叩
G
的
E
︲
。
r
t
n
中
o
∞
c
SMR
Fig. 6 a) Submucosaat the gastrotomy wound
( J ). b) Infiltration of inflammatory cells and
poor accumulationof collagenfibers.SMR group,
7 days after gastrotomy. (trichrome Masson's
H e m a t o x y l i n e‐o s i n 染色 : 対 照 群 で は 術 後 3 日 目
か ら創傷直下 の粘膜下層 を中心 に高度 の多核球 の浸潤
を認めた。粘膜面 では粘膜 の再生 に よ り欠損部 の癒合
が始 まって いた。 7 日 日で は細胞 浸潤 は減少 して, 紡
錘形 の線維芽細胞 の増生 を認め, 再 生粘膜 の高 さも正
常部位 とほぼ同様 であ った。E G F 群 は対照群 と同様 で
で は術後 7 日 目の 多核球 浸潤 が 対 照
あ った, S M R 群
群 に比 べ て多 か った。 また再生部 の粘膜 の高 さも正常
部位 に比較 して, 低 か った. し か し S M R t t E G F 群 で
は, 術 後 7 日 目には, 3 日 目まで にみ られた比較 的高
度 な炎症 は消失 し, 線 維芽細胞 の増生, 再 生粘膜 の高
さ, な ども対照群 と同様 の所見 で あ った。
T H c h r o m e 染 色 : 膠 原 線維 の増 生 は術後 7 日 目で,
対照群 ( F i g . 5 ) と E G F 群 の間 に差 はなか った。 しか
し S M R 群 では術後 7 日 日で膠原線維 の出現 は極端 に
少 なか った ( F i g , 6 ) 。これ に対 し S M R t t E G F 群 では
術後 7 日 目で は, 対 照群 とほぼ同様 に移原線維 の増生
が認め られた ( F i g , 7 ) .
( 4 ) 胃 粘膜血 流量
① 術 前 1 対照 群 で は4 . 9 1 0±2 0 , E C F 群で は
16,SMRttEGF群
4 8 3 ± 0 . 2 3 , S M R 群 では4 . 8 1 ±0 。
4 群 間 に 有 意 差 を 認 め な か った
で は4 . 8 8 0±. 1 1 で
12(12)
胃切 開創 の創 傷 治癒 と E C F に つ いての 実験 的研 究
Fig.7 a)
SubmucOsa at the gastrotOmy 、 vOund
Accumulation Of c。 1lagen ibers same as
contr01, SttIRttEGF group, 7 days after gas
( ↓) b )
trotomy
日消 外 会誌 2 6 巻
Fig. 9 Changes of
gastric
(Within 0 5cm frOm
1号
micrOcirculation.
gastrotomy wound)
M ttS D
*P<001
(trichrOme臣 IassOnも stain)
up 権
工
辞 習鮮
81
―
… SMR grotrp
■‐
(n=6)
一 一 SMRttEGF=r。せ。(n=6)
y
a
d
怖
pre-OP
Tdays
after OP
③ 創傷部近傍
Fig. 8 Changesof gastric microcirculation. (lcm
more distant from gastrotomy wound)
1 ) 術 後 3 日 目 : 対 照群 で は1 4 7 ± 0 . 2 9 , E G F 群 で
は1 . 4 0 ±0 1 6 , S M R 群
よ0 . 8 2 ±0 . 1 1 , S M R t t E G F
でヤ
群 では135± 0.21であ り4群 とも前値 に比較 して著 し
MttS D
*P<001
く低下 した。また SMR群
では,他 の 3群 に比 較 して有
に
か
意 低 った (p<001)(Fig.9).EGF群
,SMR十
EGF群 と対 照群 の 間 には,有 意差 は なか った。
2)術 後 7日 目 :対 照群 で は2.46±0.30,EGF群
は2 . 6 5 ±0 4 6 , S M R 群
で
では1 . 4 4 ±0 . 1 9 , S M R t t E G F
群 では2.28±044で あ り, 4群 とも 3日 目に比較 して
血 流 の回復 が認 め られたが,SMR群 の 回復 は悪 く,ほ
up ‖
ご = : 群 督態
二8
Ⅲ……SMR group
(n=6)
‐ ― SMRttEGF=rouO(n‐ 6)
y r
e
a t
d t
M
的脩
かの 3群 に比 較 して有意 に低値 を とった (p<0.01).
また EGF投 与群,SMRttEGF投
与群 と,対 照群 との
間 に有意差 は なか った (F七.9).
(5)創 傷部 の血 管鋳型
(Fig.8, 9).
② 倉U傷離 隔部
1)術 後 3日 目 :対 照 群 で は4.71±0.33,EGF群
で
ヤ
ま4.85±0.21, SMR君羊でヤ
ま3.61±0.12, EGFttSMR
① 術後 3日 目 i対照群,EGF群 ,SMRttEGF群 で
は,倉J傷直下 の粘膜下層に血管の増生を認めた。一方
SMR群 では粘膜下層の血管増生 が認め られず,創 部
の癒合 も不良であ った。
② 術後 7日 日,対照群の血管増生 は創傷部直下の粘
1 1 であ り, S M R 群
群 では4 . 8 6 ±0 。
では, ほ かの 3 群 に
比較 して, 有 意 な粘膜血 流量 の低 下 が 認 め られた ( p <
膜下層を中心に認め られた(Fを。10)が,EGF群 (Fig.
11),SMRttEGF群 (Fig.12)の2群 では,創 傷部直
0.01)(Fig.8).
下 の粘膜下層を中心 とした血管増生 が,対 照群に比較
して, さらに顕著であった。倉」
部直下 の粘膜下層 の血
管 は創傷 の癒合部を中心 にして放射状に広が る傾 向を
示 した。一方 SMR群 (Fig.13)では創傷 の粘膜下層
の血管増生 は軽微であった.
(6)新 生血管量
① 術後 3日 目 iSMR群 では,ほ かの 3群 に比較 し
2)術 後 7日 目 :対 照群 では4.71±0.16,EGF群
は5.03±0.21,SMR群
で
では4.52±0.15,SMRttEGF
群 では4.61±0.13であ り,SMR群
の血 流 は,対 照群 と
同値 に回復 した。また EGF投 与群 の血 流量 は,ほ かの
3群 に比較 して有意 に高値 で あ った (p<001)(Fig.
8).
13(13)
1993+ 1 E
Fig. 10 Vascular structure of gastric wall (carmine gelatin cast). vasculaturein submucosaat
the anastomosis(-). Control, 7 days after gastrotomy(x4.0).
Fig. 12 Vascular structure of gastric wall (carmine gelatin cast). vasculaturein submucosaat
the anastomosis( J ). SMR+EGF group, 7 days
after gastrotomy ( x4. 0).
Fig. 11 Vascular structure of gastric wall (carmine gelatin cast). vasculature in submucosaat
the anastomosis(*). EGF group, 7 days after
g a s t r o t o m y( x 3 . 5 ) .
Fig. 13 Vascular structure of gastric wall (carmine gelatin cast). vasculature in submucosa at
the anastomosis( J ). SMR group, 7 days after
gastrotomy(x4.0).
て, 有 意 に低値 で あ った ( p < 0 0 1 ) . E G F 群 , S M R 十
E G F 群 の 2 群 は, 対 照 群 と有 意 差 を 認 め な か った
(Table 2).
7 days
after OP
mg/1g dry weight
② 術 後 7 日 目 i S M R 群 で は 対 照 群, E G F 群 ,
S M R t t E G F 群 に比 較 して有意 に低値 ( p く0 . 0 1 ) であ
り, 対 照群, E G F 群
Table 2 The quantity of newly formed blood ves'
sels in the gastrotomy wound. (Carmine dye
method)
,SMRttEGF群
の 3 群 間 には有
意差 を認 めなか った ( T a b l e 2 ) ,
考 察
の一 つ で あ る E G F が , 角 膜 損
胞成長
因子
近年, 細
1 ' , な どで上皮
1め
12j,鼓
膜損傷 , 熱 傷 に よる皮膚損傷
傷
損 傷 の 修 復 を促進 す る とい う報 告 が み られ て い る。
に よ る と ラ ッ トの 皮 膚 切 開 創 に 対 す る
Brownら 1的
control group
EGF group
(n:6)
(n=6)
1 2 5 ±0 , 3 1
SMR group
(n-6)
042± 0.35-■
1 2 1 ±0 4 2
SMR+EGF grogr
( n = o , 110± 052
(MttSD 'p<001)
E G F の 局所投与 は と くに初期 の 倉」部 抗 張 力 を増 加 さ
せ る といい, 創 傷 治癒 に対 して E C F は 促進 的 に働 く
14(14)
胃切開創の創傷治癒 と EGFに
とい う.一 方,EGFは 胃の倉J傷治癒 に も強 く関与 して
い る と考 え られ る.特 に 目漬瘍 治癒 の促進効果 は 明 ら
かで あ り,EGFは
ついての実験的研究
日消外会誌 26巻
1号
増生 の検討 のため に trichrOme染色 を行 った2つ
。 その
結果著 し く抗張力 の弱 か った SMR単 独群 で は膠 原 線
,す で に潰瘍 治療薬 として製品化 さ
れ てい る。 しか し手術操作 な どに よる消化管吻合倉」に
維 が増 加 し同時 に抗張力 も対照群 と同程度 まで回復 し
対す る EGFの 影響 は報告 が ない。 そ こで 著者 は 胃 に
た。以上 よ り,EGFは
作 製 した 切 開創 を モ デ ル として,そ の 治 癒 に 対 す る
な影響 を持 つ と考 え られた。
EGFの 意義 を,術後 3日 ,7日 の早期段階で検討 した 。
上 部消化 管 の倉J傷治癒 と顎 下腺 由来 の EGFと は密
接 な関係 が あ る と考 え られ る。健常 ラ ッ トでは,ECF
は顎下腺 以外 に,十 二 指腸,腎 臓,血 小板 内 な どに も
存在 してい る とい うが,消 化管 内 に あ る EGFの ほ と
ん どは顎 下腺 由来 で,唾 液 を介 して消化管粘膜 に働 く
と考 え られ てい る16)1つ
。 また顎下腺 摘 出 ラ ッ トにお け
る実験漬瘍,す なわ ち塩 酸漬瘍 l。
,シ ステア ミン潰瘍 16)
は重症 で あ り,EGF投
与 に よ りこれ らが 改善 す る。
従 って顎 下腺 出来 の EGFが 胃粘膜 損傷 修復 に大 き く
関与 してい る もの と考 え られ る.そ こで著者 は,対 照
に対す る EGFの 効果 を検 討す る と ともに,顎 下腺 摘
出 に よ り,胃 へ の 内 因 性 EGFの 供 給 を減 じた も の
(SMR群 )お よび SMRラ
ッ トに対 して外来性 の EGF
維 の 出現 が 少 な く, これ に EGFを 投与 す る と膠 原 線
胃切開創 の創傷治癒過程 に大 き
創傷治癒 は さまざまな過程 を とる。毛細血管新生 な
どに よ り創傷部 の血 流 が維持 され,線維芽細胞 が遊走,
増殖 し, コ ラー ゲンの合成,代 謝 が 起 こ り,上 皮細胞
の遊走増殖 に よる欠損部 の補項 が 行われ る.EGFは こ
れ らす べ て の 過 程 に 関 わ る といわ れ るの∼"が BrOwn
が指摘 してい る,EGFが と くに強 く関与す る らし
ら1ゆ
い創傷初期 では,創 部 の血 流維持,新 生血管 の増生 が
重要 と考 え られ る。 そ こで著者 は, 胃切開創 の血 流,
血 管構築,血 管新生 に与 える EGFの 影響 を検討 した。
胃粘膜 血 流量 の測定 に使用 した レーザ ー ドップラ ー血
流計 は,比 較的簡単 に,繰 り返 し, リ アル タイムの血
流預J定が可 能 で, プ ロー ブの接触 を一 定 にすれ ば再現
性 の高 い値 が得 られ る。 その測定値 は絶対値表 示 は さ
)の 創傷治癒 につ いて
も検 討 した.
れ ないが,水 素 ガスク リア ランス法 に よる測 定値 との
ため 今回 も これ を用 いた。 また消 化管 の
相 関 も高 い2め
創傷 治癒 で,重 要 な役割 を果 たす と考 え られ る血管 構
創傷 治癒 の実験 系 で は EGFを 創傷局所 に投与 した
報告 が 多 く,BrOwnら 1"は10/g/kgの 皮膚創傷部 へ の
築 の変化, と くに粘膜側 か らの血流測 定 では反映 され
に くい粘膜 下層 の血 管増生 を観察す るために血 管鋳型
1回 投与 が 治癒 を促進 した と報 告 してい る。本実験 で
を作製 した。 さらに創部全体 の新 生血管量 の定量 のた
め に carlnine法を採用 した.鋳 型作製 とは異 な り,な
を投与 した もの (SMRttEGF群
は 胃壁 に対す る局所 へ の連続投与 が 困難 で あ り,ま た
EGFの 血 管 に対す る効果 を検 討 の 目的 と した ので 静
脈 内を投与経路 とした。静脈 内投与 に よる EGFの 胃
に対す る影 響 では,Leonardら 1り
が60μg/kg/2daysの
EGF投 与 で健常 ラ ッ トの 胃組織 内 DNA,RNAの
合
成 が促進 した として い る。 また 片村 らのは20μg/kgの
3回 /2daysの 静脈 内投与 が,胃 の酢酸潰瘍 周辺部組織
の DNA,RNA量
を増加 させ治癒 を促 進 した として い
る。酢酸潰瘍 は人工的 な 胃粘膜 の創傷 とも考 え られ る。
以上 を参考 に して本実験 の EGF投 与量 は20″g/kgの
3回 投与 とした。
創傷治癒 に関連 し,栄 養状態 を判定す るため,各 実
験群 の体重,血 中総蛋 白量,ア ル ブ ミン量 を測定 した
が, 4群 間 に差 は認 め られず各群 とも栄養状態 に よる
影響 はない もの と考 え られた。
るべ く毛細血管 内にのみ carmineが 貯 留す るよ う,静
脈 内投与 とした。 これ に よ リー 部 は肺 に取 り込 まれ る
が,大 循 環 に乗 った carmineは 肉芽組織 中 の新 生血管
に 取 り込 まれ,定 量 を 可 能 に す る と考 え られ る。
Kimuraら 1の
は 同様 の方法 に よ り肉芽組 織 中 の新 生血
管 を定量 し良好 な結果 を得 てい る.
創傷部 の組織血 流 は,創 傷 治癒 に影響す る 1困 子 で
あ る。天野20は虚 血 性腸管 の吻合 に際 し,吻合部 の組織
酸素分圧 の低下 に したが って縫合不全 が増加 して くる
と報告 してい る。 また坂元 ら2,はァス ピ リン投与 に よ
り創 傷 治癒 が遅延す る と倉u傷部 の組織血流 の低 下 が認
め られ る とい う。
今回 の結果 で 胃粘膜 血 流量 は術後 3 日 , 7 日 目とも
術前 に比 較 して低 下 したが, と くに内因性 の E G F の
欠乏 ( S M R 群 ) で は低 下 が著 しか った。 S M R t t E G F
創傷治癒 に対す る効 果判定 には,対 象 とな る臓器 の
特性 に よ り,い くつ かの方法 が あ る2の
が,今回 は消化管
手術創 の治癒判定 に有用 な抗張力 の検討21)を
行 うとと
群 で は対照群 と同程度 に回復 してお り, E G F の 欠損が
粘膜 血 流量 の低下 を抑制 す るもの と考 え られた。ただ
もに,組 織学的検索 を行 い, と くに組織 の膠原線維 の
し対照 に対す る E G F の 投与 ( E G F 群 ) は 胃粘膜血流
15(15)
1993年1月
を改善 させ なか った 。
が ぁ る とい う。
血管 平滑筋細胞 には EGF receptor2の
このため EGFは 血 管 平滑筋 に作用 して,血 管 作動 性
2ゆ
にはた らき2の
粘膜 血 流 に影 響 を与 えた可能性 も考 え
られ る。今 回 の実験 では,血 流維持 に対す る prostag‐
2りに よ
landinの検 討 は しなか ったが,Muramatsuら
膜 血 流,新 生血管量 に も有意差 はな くこの点 での健常
ラ ッ トに 対 す る EGFの 効 果 に つ い て は不 明 で あ っ
た。 これ には EGFの 投 与量 が 関与 してい るのか も し
1り
れ ない。Leonardら は健 常 ラ ッ トに 対す る EGFの
静脈 内投与 は120/g/kg/2daysまで容量依存的 に 胃組
織 内 DNA量
を増加 させ る とい う。健常 ラ ッ トの皮 膚
介す る可能 性 が あ
れ,作 用機序 には prostaglandinを
で は EGFの 創傷 治癒 に対す る効果 が 明 らかで あ るの
で,投 与量 を増加 させ る事が 胃切 開創 の治癒 を促進 さ
る ともいわれて い る。
せ るか もしれ な い。しか し今回投与 量 で も,EGF群
れば,EGFの
血管 作用 は indOmethacinによ り阻害 さ
の
EGFに は創傷部毛細 血 管新生作用 が あ り,創 傷部 の
粘膜下層 の血 管増生 は対照群 に比較 して顕著 で あ った
血 流 回復 に影響 を与 える と考 え られ る。血 管新生 には,
事 も事実 で あ り,粘 膜下層 の新 生血管 の微細 な検討 な
ど健常 ラ ッ トに対す る EGFの 影響 は,さ らに詳 細 な
① 血 管 内皮細胞 の protease活性 発 現 に よる基 底膜 の
消化,② 血 管 内皮細胞 の 間質 へ の遊走,③ 血管 内皮細
胞 の増殖 分化,管腔形成 とい う段 階 が必要 とされ るが,
は,こ のす べ てを促進す る とい う。.
EGFは in vitroで
新生 血管 の役害Jは,一 時的 に 肉芽形成 を促進 し創傷 に
よる欠 損部位 を速や かに補項 し, これ に よって細胞 外
基質 の増加 を促 し,創傷部 の強度 を高 め る ことに あ る。
今 回 の血 管 鋳 型 の 観 察 に よる と,対 照群,EGF群 ,
の粘膜下層 で 明 らか な血管増生 を認 め
研究 が必要 であ る と考 え られた。
以上 か ら,EGFは 胃切開創 の治癒 に重要 な役割 を も
つ もの と考 え られた。特 に 内因性 の EGFの 欠乏 が 創
傷 治癒 の遅延 を もた らし,こ れ に外来 性 の EGFを 投
与 す る と創 傷 治癒機 転 が回 復 す る事 が 確 認 され た。
EGFは 創傷 治癒 に際 して,創 傷部 の粘膜 血 流低 下 を防
ぎ,粘 膜下層 を中心 とした血管増生 に必要 な物質 と考
SMRttEGF群
え られた。
た。こ れ は粘膜 血 流 の低下 とい う結果 とは異 な るが,
稿を終 えるにあた り,御指導,御校閲を賜 りました横浜市
立大学医学部外科学第 2講座,上屋月二教授 に,深甚 なる謝
意を捧げ ます.ま た,直接 ご指導 いただ きました,救命救急
センター,杉 山貢助教授,な らびに第 2外 科学教室の各位
時相的 なずれ とも考 え られ る。 まず粘膜下層 の血 管増
生 がお こ り,つ いで粘膜 血 流 の増加 が起 こる可能性 も
あ るため, 7日 日以降 の粘膜 血 流 の測定 も必要 と考 え
られた。EGF群 は粘膜下層 の血 管増生 が対照群 に比較
して顕著 で あ るよ うであ ったが,新 生血管 の定量値 に
は,こ の 2群 間 で差 はなか った。一 方 SMR群 で は,術
後 3日 目も 7日 目も粘膜下層 の血 管増生 は乏 しか った
が, これ に EGFを 投与 した ところ (SMRttEGF群
)
では低 下 し
粘膜下層 の血 管増 生 が 認 め られ,SMR群
ていた新生血管 の定量値 も SMR群 に比 較 して有意 に
高 くな り,対 照群 との間 に有意差 を認 め な くな った。
消化管 の創傷 治癒 では,粘 膜下層 を中心 とした新生
血 管 の増生 が重要 な役割 を果たす といわ れ る3い
。消化
管 の創傷治癒過程 においては,粘 膜下層 の方 が衆膜筋
3031)。
また治癒 過程 に あ る
層 に比 べ て血 流 分布 が 多 い
消化管 の粘膜下層 は新生血 管 が多 く,間 質 の反応 も睡
盛 で あ る とい う。本実験 の結果 で も,EGFが とくに強
く作用 したのは,粘 膜 血流 の増加作用 よ りも,粘 膜下
層 を中心 とした血管増 生作用であ る と考 え られた。た
だ し,新 生血管 の定量値 で,EGFが 明 らかに効果 を示
したのは内因性 EGF低 下 に対す る投 与 (SMRttEGF
群)で あ り,対 照群 とEGF群 の比 較 に関 して は抗 振
力,組 織所 見 ともに有意差 がなか った 事 と同様 に,粘
に,心 から謝意を表 します。
なお本論文 の要 旨は第90回日本外科学会総会 (1990. 5.
札幌)に おいて発表 した。
文
献
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t7(r7)
1993年 1月
The Effect of Epidermal Growth Factor on the Wound Healing after Gastrotomy
YasushiIchikawa
The SecondDepartmentof Surgery,YokohamaCity UniversitySchoolof Medicine
The role of epidermalgrowth factor (EGF)in woundhealingof the stomachwas studiedin Wistar rats. The
animalsweredividedinto 4 groups.1)control,2)EGFgroup:Administrationof EGF(20pglkg)t hourbeforeand24
glands14daysbeforethe
and48hoursafter the operation,3) SMRgroup:Bilateraltotal removalof submandibular
primarily
with cat gut. The
group.
wall
and
sutured
An incisionwas madein stomach
operation,4) SMR* EGF
group:
of bursting
1)
measurement
in
performed
each
3 and7 daysafterthe operation
followingexaminationswere
(Laser
microcirculation
production,3)
of
measurement
pressure,2)histopathological
examinationof localcollagen
of
quantitative
measurement
gelatin
(carmine
5)
cast),
Dopplermethod),4) observationof vascularstructure
parameters
noted
in
any
were
(carmine
differences
dye method).No statisticallysignificant
neovascularization
compared
betweenthe controland the EGFgroup.In the SMRgroup,all 4 parametersweremarkedlydecreased
parameters,
them
making
(SMR
all
group
+
EGF)
improved
with the control.Administrationof EGFto the SMR
at
heal
normally
gastric
rats
to
wounds
of
for
almostthe sameas thoseof the control.EGFis an essentialfactor
maintains
gives
and
neovascularization
process.
rise
to
Normallyit
leastduring the initial stageof the healing
competentmicrocirculationat the wound.
Reprint requests: YasushiIchikawa The SecondDepartmentof Surgery,YokohamaCity UniversitySchool
of Medicine
Yokohama,236JAPAN
3-9Fukuura,Kanazawa-ku,
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