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2/2 - 経済産業省

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2/2 - 経済産業省
平成24年度
経済産業省委託調査報告
平成24年度コンテンツ産業強化対策支援
事業
(プラットフォームを利用したコンテンツの
国際展開促進事業)
報告書
PwC
1
Section 3.
プラットフォームの及ぼす影響の把握
オンライン配信市場におけるプラットフォームの利用動向
ゲームでは流通の過半がオンライン配信となっており、他カテゴリにおいてもオンライン配信での
流通割合は拡大し、プラットフォームの存在感は今後も増大するものと思料されます
主要論点
• コンテンツカテゴリ別での国内市場規模(流通量)は?
• プラットフォームを利用した配信は今後どのように推移するか?
オンライン配信
の流通割合
映像
ゲーム
音楽
電子
書籍
1.7%
(2011年ベース)
34.5%
(2011年ベース)
15.3%
(2011年ベース)
3%※1
(2010年ベース)
市場成長率(2002→2011)
オンライン配信
40%
(2002→
2011年)
36.4%
(2002→
2011年)
6%
(2002→
2011年)
59%
(2002→
2011年)
市場全体
27%※3
(02→11年)
2%※4
(02→10年)
2%
(2002→
2011年)
▲4%
(2002→
2011年)
▲2%
(2001→
2010年、
紙媒体)
オンライン配信市場動向
今後のプラットフォーム配信の流通動向
(コンテンツプロバイダー各社へのヒアリングによる)
• オンライン配信は、特にス
マートフォン向け動画配
信の伸びが顕著となる※2
• プラットフォーム配信の割合は現時点では高くないが、
流通量は徐々に増加することが想定される
• オンライン配信は、ソー
シャルゲームを中心に高
い市場成長が期待される
• 既にプラットフォーム配信の比率が高く、今後の市場成長
も期待されるため、市場における影響は増大する
• スマートフォン普及とス
• 市場全体は縮小傾向にあり、オンライン配信の流通量も大
マートフォン向け音楽配
幅な増加は見込まれない
信サービスの整備によりス
• 既にプラットフォーム流通は一般化しており、プラットフォー
マートフォン向け市場の拡
ムの影響力は高い状態が続く
大が見込まれる
• 現時点ではプラットフォーム配信流通量は少ないが、
• フィーチャーフォン向けは
各社とも対応意向は高い
減少し、新規デバイス向け
• 専用ビューワーの普及に伴い、プラットフォーム配信は急
市場が急拡大
速に拡大することが想定される
※1:2010年における電子書籍市場規模÷(紙書籍市場規模+電子書籍市場規模)×100で試算
※2:MM総研
※3:テレビ放送・関連サービス収入(民間地上波、BS、CS、NHK、CATV)のデジタル放送分のみ対象となっているため、地上デジタル普及の影響を受けている
※4:テレビ放送・関連サービス収入をアナログと区別しない場合の市場の年平均成長率を仮試算(総務省『情報通信白書』 より)
PwC 出所: 数値データは、デジタルコンテンツ白書よりPwC作成(紙書籍市場規模のみ全国出版協会・出版科学研究所「出版指標年報」(2010年)参照)
2
Section 3.
プラットフォームの及ぼす影響の把握
(参考)想定されるプラットフォーム事業者動向
未だ黎明期の「電子書籍」を除き、「映像」、「ゲーム」、「音楽」の各領域では強いプレーヤー
(プラットフォーム事業者)が明確になりつつあります
主要論点
• 現状を踏まえ、今後どのような変化が見込まれるか?
現状
今後想定されるプラットフォーム事業者動向
映像
• ブロードバンド普及以降、約10年間で緩やかに市場が拡大
• 「インフラ系」、「メーカー系」、「流通系」、および「動画共有系」
の4パターンのプラットフォームプレイヤーが存在
サブスクリプション型配信サービスが主流に
• 高速通信環境の整備・普及に伴い、低価格、オンデマンド
配信、マルチデバイス対応等の付加価値を提供するサブ
スクリプションサービスが映像配信の中心となる
ゲーム
• ゲーム市場はコンソールゲーム(据置き型)主体のPKG販売か
らオンライン配信にシフト
• 近年は、モバイル端末向けソーシャルゲームが市場を牽引し
ており、各社の参入が加速
ソーシャルゲームを取り扱うプラットフォームが市場を牽引
• モバイル端末向けソーシャルゲームの成長が著しく、
これらを取り扱うプラットフォームが今後も市場を牽引
音楽
• これまでは市場の牽引役であった「着うたフル」など、フィー
チャーフォン向け音楽配信サービス対応は縮小傾向
• プラットフォーム事業者は楽曲を多く取りそろえる「レコード会
社系」や、「インターネット」、「メーカー」、「流通会社」、「キャリ
ア系」の大手が台頭
スマートフォン向けプラットフォームへの集約が進展
• スマートフォンのさらなる普及により i Tunes や Google
play 等のスマートフォン向け音楽ダウンロードサービスや
定額制クラウド音楽配信サービス対応型のプラットフォーム
事業者が台頭
電子
書籍
• 大小100以上のプラットフォームが入り乱れている
• 「出版社系」、「著者系」、「書店・流通系」、「キャリア・専用端末
メーカー系」の4パターンのプラットフォーム運用形態が存在し
ており、未だ黎明期
当面はプラットフォームの集約は進まない
• Kindleやkoboといった新規デバイスの登場により、一定の
集約が進むことは想定されるが、当面は、大小入り乱れた
プラットフォーム間での顧客・コンテンツ獲得競争が続く
PwC 出所:コンテンツプロバイダー各社へのヒアリングをもとに、PwC作成
3
Section 3.
プラットフォームの及ぼす影響の把握
流通におけるプラットフォームの影響度
「流通チャネルの集約度」「一次流通か二次流通か」によって、バリューチェーンにおけるプラット
フォームの影響範囲は異なります
主要論点
• 既存流通(小売)とプラットフォーム流通ではどのような違いがあるか?
• その結果、両者の力関係はどのように変化したか?
プラットフォームの影響範囲
企画
・制作
既
存
• 流通は卸・小売店が
中心。影響力はほぼ
流通機能に閉じている
Ⅰ
• 消費者情報を有し、
プロモーションについて
も影響力を保有
マーケティング
プライ
シング
プロモー
ション
流通
卸・
小売店
運用・
メンテ
影響範囲決定の要素
流通チャネル
の集約度
n/a
書籍
プラット
フォーム
雑誌
映画
地上波
Ⅱ
• 価格帯レンジをプラット
フォームが設定し、
コンテンツプロバイダー
の価格決定権は限定的
プラット
フォーム
Ⅲ
• 特定プラットフォームでの
流通を前提とし、流通の
意向を反映することが
求められる
プラット
フォーム
PwC
複数のプラット
フォームが存在
している
音楽
コンソール
ゲーム
ソーシャル
ゲーム
一次流通/
二次流通
二次流通目的
での作品制作
が主
プラットフォーム
が集約され、
寡占化が
進んでいる
一次流通目的
4
Section 3.
プラットフォームの及ぼす影響の把握
プラットフォームの及ぼす影響の把握(サマリー)
 日本国内におけるデジタルコンテンツ市場はオンライン配信割合が増加傾向にあり、オンライン配信によ
るプラットフォームの存在感は今後も増大する
 オンライン配信プラットフォームの役割りは、単なる流通チャネルに留まらず、バリューチェーンの川上にま
で及んでいる。オンライン配信率が高まり、更にプラットフォームの影響力が強まることで、カバーする領域
はバリューチェーン全体にまで拡大する
– オンライン配信プラットフォームはプロモーション機能も担っており、取扱いコンテンツによっては
プライシングにまで影響力を及ぼしているケースも出てきている
– 特にゲームでは、企画段階にまでプラットフォームの影響力が及んでいる
 各コンテンツカテゴリの市場動向及びコンテンツプロバイダー各社へのヒアリング結果から、各コンテンツ
カテゴリの特性(プラットフォームとのパワーバランス等)が整理できる
映像
ゲーム
音楽
電子書籍
PwC
– オンライン配信が進展し始めた段階であり、コンテンツプロバイダー側が交渉力を保持している
– 配信利用に係る権利処理の手間が大きい
– サブスクリプション等、コンテンツの価値毀損につながる可能性の高い配信方式にはセンシティブ
– コンソールゲーム(据置き型)主体のPKG販売からオンライン配信にシフトしており、プラットフォーム
の影響力が大きい
– 競争が激化しており、リリース時のプロモーションを重視する
– オンライン配信が定着しており、プラットフォームの影響力が総じて強い
– 規格等も標準化が進んでおり、プラットフォームによる価格設定が一般化している
– 違法コピーが横行し、オンライン配信市場規模の縮小が危惧される
– オンライン配信が進んでおらず、コンテンツプロバイダー側の交渉力が相対的に強い
– 市場が黎明期にあるため、プラットフォームが乱立し、各プラットフォーム間の手数料率に幅がある
– 著作者の意向に対して柔軟に対応できるプラットフォームを選別する傾向にある
5
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
プラットフォーム選択時の留意点 ~映像
コンテンツ特性
現状のプラットフォーム選択時の重視項目
• オンライン配信が進展し始めた段階で
あり、コンテンツプロバイダー側が交渉
力を保持している
顧客基盤
5
4
3
2
1
0
規定
内容
• 配信利用に係る権利処理の手間が大
きい
• サブスクリプション等、コンテンツの価
値毀損につながる可能性の高い配信
方式にはセンシティブ
支援サービス
販売
方法
顧客
基盤
• ターゲットとするユーザ基盤と
その規模
販売
方法
• コンテンツ単体での値付け
• 無期限DL配信でないこと
費用
負担
費用負担
…重要度の高い選択基準
支援
サービス
• 違法コピー対策の充実度(映画)
• プロモーション支援の充実度(映画)
プラットフォーム利用上の主要課題/リスク
企
画
開発・制作
マーケティング
• 権利者が多く、
権利処理が困難
• PKGやCATVとのカニバ
リゼーション
• サブスクリプション型が
主流になることによる
コンテンツの価値低下
• サポートが限定的なた
め、コンテンツが埋没
流 決 運用・
通 済 メンテ
その他
• 規定の変更が
一方的
• 審査基準が
不透明
規定
内容
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択時の留意点
プラットフォーム選択
の重視項目
顧客
基盤
• ターゲットとするユー
ザー基盤と規模
販売
方法
• コンテンツ単体での値
付けが可能(サブスク
リプション型や広告収
入モデルでないこと)
• 視聴可能期間が無期
限なDL配信でないこと
費用
負担
-
支援
サービス
• 違法コピー対策の
充実度(映画)
• プロモーション支援の
充実度(映画)
規定
内容
PwC
利用上の
主要課題/リスク
プラットフォーム選択時の留意点
• 自社コンテンツの特性に適合するプラットフォームの選択:
自社コンテンツのジャンルに強みを持つ、 カテゴリーを区分しているものを選択する
• 複数プラットフォームの利用:
複数プラットフォームに同一条件でコンテンツを出すことで、特定プラットフォームの
寡占化を防止し、プラットフォーム側の適切な競争を維持する
-
• 規模や条件的なメリットだけでプラットフォームを選択することで、特定
のプラットフォームが市場を寡占する結果を招く。それにより、各ジャン
ルに特化した特色のあるプラットフォームが淘汰され、 ターゲットユー
ザーへのリーチ希薄化、プラットフォームの影響力の増大が生じる
• PKGやCATVとのカニバリ
ゼーション
• サブスクリプション型が
主流になることによる
コンテンツの価値低下
• ユーザー無料の広告収入型やサブスクリプション型のプラットフォーム
の台頭により、コンテンツの価値がユーザーに認識されな くなる
• 無期限ダウンロード配信により、DVDの価値が毀損される
• CATVがサブスクリプション型プラットフォームに淘汰され、配信事業の
収益が低下
• MGの徴収、タイトルの厳選(広告収入型へ配信の場合):
MGで収益を確保し、発売から時間の経過した古いタイト ルのみを配信
• 配信タイト ル/配信停止タイミングの設定(サブスクリプション型へ配信の場合):
タイトル/配信停止タイミングの設定権を確保
• 期限設定と価格対応(DL型で配信する場合):
期限付き設定が出来ること及びPKGの価値を毀損しない価格での販売
• 権利者が多く、
権利処理が困難
(対処コスト等が電子配信
の障害になっている)
• 権利処理に係る対応コストを回収できず、利益が出ない
• MGの確保:
配信準備に必要な権利調整費等を最低保証料で賄え ることが望ましい。
レベニューシェア型などでは、初期登録ユーザーの無料視聴キ ャンペーン等の
プラットフォーム側の集客施策期間中の収益配分について留意が必要
• サポートが限定的なた
め、コンテンツが埋没
• プラットフォームからの違法コピーの放置により、コンテンツの有料
購入者が減少
• 違法コピー対策:
防止策(DRM、コピーガード、システム監視、専門人員による監視、等) に対する認識
と対策内容
• 配信開始時のプロモーションサポート期間終了後、他コンテンツに
埋もれ、売上が大幅に低下
• 継続的なプロモーションプラン:
配信開始時のプロモーション以外のプロモーションサポートの内容(タイトル条件、価
格等)
• プラットフォーム側の一方的な規定内容の変更により、ユーザーへの
継続的なサービス提供が困難となる
(例)プラットフォームが事前通知なく動作環境や手数料率を変更、等
• 規定変更の決定権:
プラットフォームが規定の変更を、 コンテンツプロバイダーへの協議なく、 一方的に
行える契約や規約となっていないこと
• グローバル基準で審査され、自国の独自文化が毀損
• 審査基準の柔軟性:
審査基準が各国の文化を考慮した審査基準であること
• 規定の変更が一方的
• 審査基準が不透明
-
プラットフォーム利用上の懸念シナリオ
※:配信に必要な各種契約、フォーマット変換、映画版権の権利者への収益配分
処理、プラットフォーム毎の売上管理に係る人的/システム費用等含む
6
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
プラットフォーム選択時の留意点 ~ゲーム
コンテンツ特性
現状のプラットフォーム選択時の重視項目
• コンソールゲーム(据置き型)主体の
PKG販売からオンライン配信にシフトし
ており、プラットフォームの影響力が大
きい
規定
内容
• 競争が激化しており、リリース時のプロ
モーションを重視する
顧客
基盤
顧客基盤
5
4
3
2
1
0
支援サービス
販売
方法
• ロイヤリティの高いユーザー保有
• ゲーム特性との整合性
販売
方法
プラットフォーム利用上の主要課題/リスク
企
画
開発・
制作
マーケ
ティング
• 開発費
の増加
費用
負担
費用負担
…重要度の高い選択基準
支援
サービス
流
通
決済
運用・
メンテ
その他
• 決済機能を握ら • プラットフォーム側 • 規定の変更が
れており、未成
で独自にユー
一方的
年対応等の機能 ザー返金対応等 • 審査基準が
が組み込めない を実施
不透明
• プロモーション支援の充実度
規定
内容
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択時の留意点
プラットフォーム選択
の重視項目
• ロイヤリティの高い
ユーザー保有
• ゲーム特性とプラット
フォームのユーザー
特性の整合性
顧客
基盤
販売
方法
-
費用
負担
-
利用上の
主要課題/リスク
-
-
プラットフォーム利用上の懸念シナリオ
• ユーザ売上が少なく、ゲーム制作に必要な開発費用を
回収できない
• 自社ターゲットユーザーの保有、配信端末の整合:
対象とする端末(フィーチャーフォン、スマートフォン)において、自社の狙うユー
ザー層を保有しており、かつ、アクティ ブ率が高いこと
• ユーザー数のみを重視し、ゲーム特性に合致しないユーザーにも利
用されることで、ゲームのユーザー離れが発生
• プラッ ト フォームのユーザー特性:
ゲーム内容に合致したユーザー特性を保有するプラットフォームの選択
例)ユーザー間バトル等はソーシャル性を、ユーザー内での競いあいや協力はク
ローズドなコミュニティーを重視、等
• 基本プレイ無料のゲームが数多くあるため、基本プレイ有料のゲーム
はユーザから敬遠される
• ゲーム内課金ノウハウ:
ゲーム内課金を獲得するためのノウハウを保有しており、 かつ、 ユーザー情報のタイ
ムリーな提供と定期的なアドバイスを得られること
(現時点で強く認識はされていないが、今後想定されるシナリオ)
• プロモーション支援の
充実度
支援
サービス
規定
内容
PwC
プラットフォーム選択時の留意点
• 開発費の増加
• ユーザニーズの高度化、競争の激化により、開発費が増加
• ユーザー数の規模、プロモーション支援の充実:
開発費を回収するためには、 より効率的な販売を実現する必要があるため、より多い
ユーザーを保有し、販売面での支援を実施してもらえること
• 決済機能を握られてお
り、未成年対応等の機
能が組み込めない
• プラットフォーム側で独
自にユーザー返金対応
等を実施
• プロモーション終了後は他作品に埋もれ、ゲーム制作に必要な開発
費用を回収できない
• 継続的なプロモーションプラン:
配信開始時のプロモーション以外のプロモーションサポートの有無及びサポート の
適用条件(価格等)
• プラットフォームがコンテンツプロバイダーの意向等を確認せずに
ユーザサポートを実施することにより、収益性のみならず、運営を行う
コンテンツプロバイダーのブランドイメージ が失墜
• ユーザサポート範囲とルール:
プラットフォームが対応するサポート範囲と、適用ルールに加え、コンテンツプロバイ
ダーへの情報共有方法
• 規定の変更が一方的
• 審査基準が不透明
• プラットフォーム側の一方的な規定内容の変更により、ユーザーへの
継続的なサービス提供が困難となる
(例)プラットフォームが事前通知なく動作環境や手数料率を変更、等
• 規定変更の決定権:
プラットフォームが規定の変更を、 コンテンツプロバイダーへの協議なく、 一方的に
行える契約や規約となっていないこと
• 審査基準が不透明であるため、配信開始日に合せたプロモーション
ができない(審査をいつ通るか読めない)
• 審査基準の透明性:
プラットフォームによる配信審査が存在する場合、基準が明確であること
7
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
プラットフォーム選択時の留意点 ~音楽
コンテンツ特性
現状のプラットフォーム選択時の重視項目
• オンライン配信が定着しており、プラッ
トフォームの影響力が総じて強い
規定
内容
• 規格等も標準化が進んでおり、プラット
フォームによる価格設定が一般化して
いる
• 違法コピーが横行し、オンライン配信
市場規模の縮小が危惧される
顧客
基盤
顧客基盤
5
4
3
2
1
0
支援サービス
販売
方法
• ユーザー数の多さ
販売
方法
費用
負担
費用負担
…重要度の高い選択基準
支援
サービス
• 違法コンテンツ対策(違法ツー
ルによりビジネスが毀損)
規定
内容
• 配信開始/終了のコントロール
(アーティストの意向を尊重)
プラットフォーム利用上の主要課題/リスク
企
画
開発・
制作
マーケティング
流 決 運用・
通 済 メンテ
• プラットフォームが価格
決定権を保持
• サブスクリプション型が
主流になることによる
コンテンツの価値低下
• 違法コピー対策
その他
• 規定の変更が一方的
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択時の留意点
プラットフォーム選択
の重視項目
利用上の
主要課題/リスク
• ユーザー数の多さ
顧客
基盤
-
販売
方法
-
費用
負担
-
支援
サービス
• プラットフォームが価格決
定権を保持
• サブスクリプション型が主
流になることによるコンテ
ンツの価値低下
-
プラットフォーム利用上の懸念シナリオ
プラットフォーム選択時の留意点
• プラットフォームに価格設定権を握られ、プラットフォームの利用者獲
得の道具として廉価販売がなされて収益が上がらな い
• 顧客接点の多さ:
生活に密着した場での配信が可能な(ユーザー接点が多い)こと
• ( 楽曲をプロモーションツールと捉えた場合)ユーザー数の多さ:
楽曲以外での収益源の確保すべく、楽曲の配信販売以外の収益源のためのプロ
モーションツールとして楽曲を捉え、ユーザー数の多いプラットフォームを選択して
露出効果を高める
例)先行配信でCD販売へ誘導、ライブに誘導、等
• サブスクリプション型のプラットフォームの台頭により、楽曲単体として
の価値がユーザーに認識されなくなる
• MGの徴収、タイトルの厳選(サブスクリプション型に配信する場合):
MGで収益を確保し、発売から時間の経過した古いタイト ルのみを配信
• 外資系プラットフォームによる市場寡占化が進み、手数料率を一方的
に上げられる
(現時点で強く認識はされていないが、今後想定されるシナリオ)
• 国産プラットフォームの利用:
国産プラットフォームも積極活用することで外資系プラットフォームの寡占化を防止
し、プラットフォーム側の適切な競争を維持する
• 違法コピー対策:
防止策(DRM、コピーガード、システム監視、専門人員による監視、等) に対する認識
と対策内容を確認(場合によっては、 認識の低い先には出さない等)
• 音楽市場の規模縮小に伴い、配信市場も縮小する
(現時点で強く認識はされていないが、今後想定されるシナリオ)
• 違法コピーの
充実度
• 不十分な違法コピー対策
• 違法ダウンロードソフトが横行し、ユーザーが楽曲の価値を見出さなく
なることで、音楽市場が毀損される
• 配信開始/終了の
コントロール
• 規定の変更が一方的
• アーティストから配信停止を依頼された際に対応ができない
• 配信終了条件:
配信終了の決定権を保有できる、 あるいは、権利者から配信停止を希望された際に
は配信を停止できる条件を入れられること
• プラットフォーム側の一方的な規定内容の変更により、ユーザーへの
継続的なサービス提供が困難となる
(例)プラットフォームが事前通知なく動作環境や手数料率を変更、等
• 規定変更の決定権:
プラットフォームが規定の変更を、 コンテンツプロバイダーへの協議なく、 一方的に
行える契約や規約となっていないこと
規定
内容
PwC
※:違法コピーは年間12億ファイルと推計 (日本レコード協会『「動画サイトの利用実態調査検討委員会」報告書』より)
8
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
プラットフォーム選択時の留意点 ~電子書籍
コンテンツ特性
現状のプラットフォーム選択時の重視項目
• オンライン配信が進んでおらず、コンテ
ンツプロバイダー側の交渉力が相対的
に強い
• 市場が黎明期にあるため、プラット
フォームが乱立し、各プラットフォーム
間の手数料率に幅がある
• 著作者の意向に対して柔軟に対応で
きるプラットフォームを選別する傾向に
ある
顧客
基盤
顧客基盤
5
4
3
2
1
0
規定
内容
支援サービス
販売
方法
販売
方法
費用
負担
費用負担
…重要度の高い選択基準
支援
サービス
規定
内容
• ユーザ数の多さ
• 閲覧に適したデバイスへの対応
(雑誌)
• 見開形式での販売であること
(雑誌)
• フォーマット変換費用をプラット
フォームが負担
• 決済手数料の安さ
プラットフォーム利用上の主要課題/リスク
企
画
開発・
制作
マーケ
ティング
流通
決済
運用・
メンテ
• 権利者が
• 売れ筋作 • 閲覧に適切 • 決済手数料
多く、権利
品以外はプ なビュー
が高い
処理が困難 ロモーショ
ワーが存在
(雑誌)
ンサポート
しない
を得ること
が困難
その他
• 配信市場自体
が黎明期
• 閲覧に適した
デバイスの
普及率が低い
• 規定の変更が
一方的
• 権利を著者が保持しているため、
無期限の再ダウンロードは不可
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択時の留意点
プラットフォーム選択
の重視項目
利用上の
主要課題/リスク
プラットフォーム利用上の懸念シナリオ
プラットフォーム選択時の留意点
顧客
基盤
• ユーザ数の多さ
• 閲覧に適したデバイ
スへの対応(雑誌)
• 配信市場自体が黎明期
• 閲覧に適したデバイスの
普及率が低い
• 閲覧に適したデバイスやビューワーが整備・普及されず、 電子媒体で
の閲覧がユーザに根付かない
• マルチ デバイス対応:
特定の端末に限定されず、ユーザーにとって閲覧しやすい環境・デバイス が準備さ
れていること
販売
方法
• 見開形式での販売で
あること
(雑誌)
• 閲覧に適切なビューワー
が存在しない
• 電子書籍の普及に伴い、他業界と同様にサブスクリプシ ョン型の影響
力が増加し、作品の価値が低下
(現時点で強く認識はされていないが、今後想定されるシナリオ)
• MGの徴収、タイトルの厳選(サブスクリプション型に配信する場合):
MGで収益を確保し、発売から時間の経過した古いタイト ルのみを配信
• フォーマット変換費用
をプラットフォームが
負担
• 決済手数料の安さ
• 決済手数料が高い
• 権利者が多く、
権利処理が困難
(雑誌:対処コスト等が電
子配信の障害になってい
る)
• 利用するプラットフォーム毎にフォーマットが異なり、それぞれのフォー
マット変換費用を出版社側が負担
• 対応フォーマット:
主流となっているフォーマットであること。そうでない場合、 コンバージョン可能、
もしくは、プラットフォーム側にてフォーマット変換に対応すること
• 権利処理に係る対応コストを回収できず、利益が出ない
• MGの確保:
配信準備に必要な権利調整費等を最低保証料で賄え ることが望ましい
費用
負担
支援
サービス
-
• 配信開始/終了の
コントロール
規定
内容
PwC
※:配信に必要な各種契約、フォーマット変換、著者/記者等への収益配分処理、
プラットフォーム毎の売上管理に係る人的/システム費用等含む
• 特定プラットフォームによる市場寡占化が進み、手数料率を一方的に
上げられる(現時点で強く認識はされていないが、今後想定されるシナリオ)
• 複数プラットフォームの利用:
複数プラットフォームに同一条件でコンテンツを出すことで、特定プラットフォームの
寡占化を防止し、プラットフォーム側の適切な競争を維持する
• 売れ筋作品以外はプロ
モーションサポートを得る
ことが困難
• 売れ筋商品(話題作等)以外は他コンテンツに埋もれ、利益が出ない
• 継続的なプロモーションプラン:
売れ筋商品以外でのプロモーションサポート の有無及びサポート の適用条件(価格
等)
• 規定の変更が一方的
• 著作者から配信停止を依頼された、 あるいは 著作者と出版社の契約
が終了した際に、配信停止対応ができな い
• 配信終了条件:
配信終了の決定権を保有できる、 あるいは、権利者から配信停止を希望された際に
は配信を停止できる条件を入れられること
• プラットフォーム側の一方的な規定内容の変更により、ユーザーへの
継続的なサービス提供が困難となる
(例)プラットフォームが事前通知なく動作環境や手数料率を変更、等
• 規定変更の決定権:
プラットフォームが規定の変更を、 コンテンツプロバイダーへの協議なく、 一方的に
行える契約や規約となっていないこと
9
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
プラットフォーム利用上の現状課題(1/2)
プラットフォーム利用上の課題は、バリューチェーン全体に渡り存在しています。特に、プラットフォームの
「プロモーションサポート」「一方的な規約変更」「審査の不透明さ」は、各カテゴリー共通の課題となってい
ます
プラットフォーム利用上の課題
・・・課題認識:「高」
ポイント
1
• デジタル配信を想定した
権利契約ができておら
ず、保有資産をビジネス
に活用できない
2
• 電子媒体では紙媒体と同
じ大きさの画面での閲覧
が困難であるが、適切な
デバイスの普及がしてお
らず、また、適切なフォー
マットもない
3
• 価格レンジがプラット
フォーマー側に決められ
ることになるため、コンテ
ンツの価値自体の毀損を
招いている
4
• プラットフォーム上では大
量の作品が配信されてお
り、プロモーションがない
と埋没する
5
• プラットフォームの台頭に
より、収益性の高い他
チャネルが縮小し、自社
収益が悪化する
・・・課題認識:「中」
映像
地上波
企画
1
権利調整
開発・
制作
フォーマット変換
映画
ゲーム
1
関係者が多く権利 権利調整の問題
処理が困難
で配信が困難
エンコード費用負
担が必要
2
エンコード費用負
担が必要
価格決定権
プロモー
ション
4
サポート
他の販売方法との
カニバリゼーション
サポートが限定的
で埋もれる
違法コンテンツ
サポートが限定的 サポートが限定的
で埋もれる
で埋もれる
CATVとのカニバリ
ゼーション
5
PFの制限
違法アップロード
による無料視聴
違法アップロード
による無料視聴
配信方法の限定
流通
雑誌
書籍
関係者が多く許諾
が困難
レイアウト調整が困
難かつ適切な
フォーマットが無い
著作者との調整に
手間がかかる
プラットフォーム毎
に仕様が異なり、
対応コスト大
サポートが限定的
で埋もれる
再販制度が適用
外のため、利益が
確保できない
サポートが限定的
で埋もれる
3
リメイク
マーケ
ティング
電子書籍
音楽
配信方法
権利調整
PFに価格決定権
を握られており、
自由度がない
サポートが限定的
で埋もれる
アプリ外へのリンク
制限によりプロ
モーション活動に
制約有
アプリ外へのリンク
制限によりプロ
モーション活動に
制約有
模倣商品
ストリーミング配信
の違法ダウンロー
ドが横行
2
権利上DVDと同
時配信が不可
(アニメ)
権利上DVDと同
時配信が不可
6
雑誌に適したデバ
ダウンロード期間
イスが普及してい
を設定できない
ない
6
PwC
• 目的と異なった利用によ
り、コンテンツが有料購入
されない
10
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
プラットフォーム利用上の現状課題(2/2)
プラットフォーム利用上の課題
ポイント
・・・課題認識:「高」
映像
・・・課題認識:「中」
地上波
ゲーム
映画
1
決済方法の限定
決済
手数料
3
運用・
メンテ
ユーザーサポート
ID管理
法律・
規制
その他
雑誌
書籍
2
キャリア決済に比
べ外資系プラット
フォームの手数料
が高い
キャリア決済に比
べ外資系プラット
フォームの手数料
が高い
キャリア決済に比
べ外資系プラット
フォームの手数料
が高い
プラットフォームと
コンテンツプロバ
イダーのカバー領
域の区分が不明
瞭で、コンテンツ
側で対策が講じら
れない
自社でユーザー
認識・管理が出来
ない
デジタル配信に係 デジタル配信に係 そもそも新興市場
る権利の法整備が る権利の法整備が であり、法整備が
不十分
不十分
後付け
1
• デジタル配信を想定した
権利契約ができておら
ず、保有資産をビジネス
に活用できない
2
• 外資系プラットフォームの
手数料はキャリア決済
(10%程度)にくらべ高い
(30%程度)
3
• ユーザサポート範囲が不
明確であり、安心・安全な
環境をユーザーに提供で
きない
4
• デジタル配信に係る国内
法制度が追いついていな
いため、配信に必要な権
利調整が困難であった
り、法整備によるサービス
の変更対応が必要となる
5
• 一方的なルールの変更
により、突然自社サービス
が継続できなくなる
6
• プラットフォームの審査の
コントロールができず、新
サービス等のリリースタイ
ミングを図ることができな
い
4
国内法整備
デジタル配信に係 デジタル配信に係
る権利の法整備が る権利の法整備が
不十分
不十分
その他
規約変更
規程の変更が頻
繁、一方的
審査
基準が不透明、か 基準が不透明、か 基準が不透明、か
つ対応が遅い
つ対応が遅い
つ対応が遅い
個別契約
PwC
プラットフォーム保
有決済に限定され
る(未成年対策等
を自社で講じられ
ない)
寡占されているた
め手数料が高い
プラットフォームし
かない
音楽
電子書籍
規程の変更が頻
繁、一方的
規程の変更が頻
繁、一方的
規程の変更が頻
繁、一方的
5
6
規程の変更が頻
繁、一方的
11
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
今後想定されるリスク
プラットフォーム側の競争環境による「フォーマット費用負担」「コンテンツの価値毀損」「手数料の増加」
「最低保証料の減少」が主要なリスクとして懸念されています
今後想定されるリスク
・・・課題認識:「高」
・・・課題認識:「中」
映像
ゲーム
ポイント
音楽
開発・
制作
権利調整(対権利者)
フォーマット変換
2
• プラットフォーム集約によ
り、手数料の低いプラット
フォームが淘汰される懸
念
3
• サブスクリプション型
プラットフォームの競争が
激化し、プラットフォーム
がコンテンツプロバイダー
に支払える最低保証料の
減少を懸念
変換費用の負担
1
リメイク
マーケ
ティング
1
• サブスクリプション型配信
が主流となった場合、個
別コンテンツの価値自体
が失われてしまう懸念
電子書籍
企画
サブスクリプション型が主流
になることによる、コンテン
ツの価値低下
価格決定権
サブスクリプション型が主流
になることによる、コンテン
ツの価値低下
プロモーション
違法コンテンツ
流通
プラットフォームの違法
コンテンツ対策不備によ
る、原盤の拡散
配信方法
2
決済方法の限定
決済
プラットフォームの集約によ
る手数料の増加
手数料
ユーザーサポート
運用・
メンテ
ID管理
3
法律・規制
規約変更
その他
個別
契約
審査
PwC
サブスクリプション型の
競争激化による最低保証
料の減少
プラットフォームが配信事
業を停止することによる事
業継続性リスク
日本文化に即していない
審査基準による、日本文化
の衰退
配信中の作品を審査により
落とされた場合、権利者へ
の説明が困難
12
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
(参考)各社の取り組み事例
取組事例(例)
プラットフォーム利用上の主な懸念シナリオ
顧客
基盤
•
•
•
販売
方法
•
•
•
•
費用
負担
•
•
•
•
•
•
支援
サービス •
•
規定
内容
PwC
•
•
•
特定のプラットフォームが市場を寡占ことで、各ジャンルに特化し
た特色のあるプラットフォームが淘汰され、ターゲットユーザーへ
のリーチ希薄化、プラットフォームの影響力の増大が生じる
配信市場がユーザに根付かず、収益が上がらない
•
プラットフォームからの提案内容を自社で精査できるように、自社
サイトでの配信に取り組み(映画配給会社)
ユーザー無料の広告収入型やサブスクリプション型のプラット
フォームの台頭により、コンテンツの価値がユーザーに認識され
なくなる
無期限ダウンロード配信により、DVDの価値が毀損される
CATVがサブスクリプション型プラットフォームに淘汰され、配信事
業の収益が低下
基本プレイ無料のゲームが数多くあるため、基本プレイ有料の
ゲームはユーザから敬遠される
プラットフォームに価格設定権を握られ、プラットフォームの利用
者獲得の道具として廉価販売がなされて収益が上がらない
•
サブスクリプション型で作品を提供する場合の、 DVD発売後か
らのタイムラグを社内ルール化(映画配給会社)
DVDとのカニバリゼーションを軽減するため、ダウンロード型の配
信は実施せず、レンタル方式のみとし、視聴可能期間を制限
(放送局)
電子版と紙媒体の差別化を図るため、配信版コミックをオールカ
ラー化(高付加価値化)や安価販売等を模索(出版社)
権利処理に係る対応コストを回収できず、利益が出ない
ユーザニーズの高度化、競争の激化により、開発費が増加
プラットフォームによる市場寡占化が進み、手数料率を一方的に
上げられる
プラットフォーム毎にフォーマットが異なり、それぞれのフォーマッ
ト変換費用の負担が必要
•
プラットフォームからの違法コピーの放置により、コンテンツの有料
購入者が減少
プロモーションの問題により、他コンテンツに埋もれ、売上が大幅
に低下
プラットフォームがコンテンツプロバイダーの意向等を確認せずに
独自にユーザサポートを実施
•
プラットフォーム側の一方的な規定内容の変更により、継続的な
サービス提供が困難となる
審査基準が不透明であるため、配信開始日に合せたプロモー
ションができない
権利者から配信停止を依頼された際に対応ができない
グローバル基準で審査され、自国の独自文化が毀損
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
作品及びプラットフォームを厳選し、1タイトルに投下資源を集中
する(せざるを得ない)(ゲーム会社)
プラットフォームにコンテンツ提供の条件としてフォーマット変換
費用負担を要請(出版社)
新作では2次利用まで含めた許諾契約を締結(許諾獲得が困難
な過去作品は電子化を断念)(放送局)
プラットフォーム側に専属の違法コンテンツモニタリング体制構
築をリクエスト(映画配給会社)
社内に違法コンテンツ対策チームを設立し監視(レコード会社)
プラットフォーム側に、特定ジャンルの特集等の継続的なプロ
モーション企画を提案(レコード会社)
一定条件達成時のプロモーションを事前に協議(ゲーム会社)
自社配信によるプロモーション(出版社)
全てのプラットフォーム上での配信は、同一タイトルを同一価格
で提供(映画配給会社)
プラットフォームによる配信作品は時限的な提供とし、自社配信
サイトでのみ全タイトルを配信(アニメ制作会社)
社内で外資系プラットフォーム事業者との契約時のチェックリスト
を作成し、交渉(出版社)
13
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
海外展開時における現状課題(1/2)
海外展開時では、プラットフォームに対する課題認識は低く、権利調整やリメイクの必要性、プロモーショ
ンを課題として認識されています
・・・課題認識:「高」
海外展開時の課題
・・・課題認識:「中」
1
企画
開発・
制作
マーケ
ティング
ポイント
映像
ゲーム
海外向けを作る余力がな
いため、良い企画でも落と
す
現地の法制度・宗教・文化
の理解不足
現地の法制度・宗教・文化
の理解不足
文化・規制の違いでのリメ
イクや約款変更の負担大
文化・規制の違いでのリメ
イクや約款変更が必要
文化・規制の違いでの一部
修正や年齢制限等が必要
音楽
電子書籍
1
権利調整
フォーマット変換
リメイク
1
価格決定権
2
サポート
プロモー
ション
3
アジアではビジネスが成立
する単価での販売が困難
現地プロモーションのノウ
ハウが得られない
2
現地プロモーションのノウ
ハウが得られない
現地プロモーションのノウ
ハウが得られない
他の販売方法との
カニバリゼーション
PFの制限
3
PwC
• 展開したい地域の文化や
宗教に合わせた内容やリ
メイクが必要であり、特に
映像では、変更に伴う費
用負担が大きく、海外向
けコンテンツを制作出来
ない状態
• 特にアジアでは、プラット
フォーマーによりコンテン
ツ単価を安く設定されて
しまうため、自社で値付け
出来るケースと異なり採
算ベースに乗らない
• 展開地域が多岐に渡るた
め、個別地域の特性を把
握することが出来ないた
め、プラットフォーマーに
サポートしてもらいたい
が、サポートを得られない
14
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
海外展開時における現状課題(2/2)
・・・課題認識:「高」
海外展開時の課題
・・・課題認識:「中」
映像
違法コンテンツ
配信方法の限定
流通
配信
方法
権利調整
違法アップロードが蔓延
ゲーム
音楽
模倣商品・海賊版の横行、
海外では争うことが困難
ストリーミング配信の違法ダ
ウンロードが横行
ポイント
インフラが整備されていな
い地域が多く、ネイティブア
プリでしか展開が困難
1
1
• 特に映像において、収益
性の高いパッケージ商品
の販売を計画しても、個
社では現地プロモーショ
ンが難しいため、現地の
配給会社に頼らざるを得
ないが、その際にはデジ
タル配信の権利も要求さ
れるため、自社でデジタ
ルコンテンツを配信出来
なくなる
2
• ゲームにおいては、モバ
イルソーシャルゲームとい
う新興市場であるため法
律が整備されておらず、
後付けで規制が行われる
3
• アジアではARPUが低く、
欧米では顧客獲得単価
が高いため、採算ベース
に乗らない
電子書籍
マルチライツ(パッケージと
配信同時契約)でないと現
地サブライセンシーと契約
できない
決済
運用・メンテ
その他
法律・
規制
個別契約
PwC
国内法整備
2
法律の適用範囲が整理さ
れていない(国内サーバー
で海外展開した場合等)
その他
3
ARPUと顧客獲得単価が
見合う国が無い
海外での権利処理ルール
等の周知がない
訴訟対策にコンテンツ輸出
保険が必要
15
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
海外展開上の課題と各社の取組みの現状
海外展開上の課題は多岐に渡っており、海外展開を志向する企業は個別に対応しているものの、
全てには対応できている訳ではありません
課題
① 展開国への対応コスト負担
企画・
開発・
制作
展開したい地域の文化や宗教に合わせた内容やリメイク
やローカライズが必要であり、資金/人材の余裕がなく海
外向けコンテンツを制作出来ない
② 現地の宗教・文化の理解不足
各社の現状の取組み
• 独自開拓:現地に自社ブランチ設立
• 現地企業との提携:現地TV局との共同制作
※ローカライズせずに日本向けコンテンツのま
ま展開する企業もあり
海外の文化等についての理解・経験が乏しく、どのような
コンテンツを制作・流通させれば良いかが判断できない
③ 現地プロモーションノウハウ及び実施体力の不足
個別地域の特性を把握することが出来ず、プラットフォー
マーにサポートしてもらいたいが、サポートを得られない
④
マーケ
ティング
・流通 ⑤
違法コンテンツの蔓延
ストリーミングで配信しても違法ダウンロードや、許可なく
アップロードされ、正規のコンテンツが売れない
ユーザーコンタクトが持てない
プラットフォームにIDを管理されており、ユーザーに対し
て継続的なマーケティングができない
⑥ 権利処理が困難
• 独自開拓:現地に自社ブランチ設立、自社で失
敗を繰り返し、ノウハウ蓄積(ヒット作が出て、あ
る程度の資金的余裕ができる企業のみ可能)
• 権利譲渡:自社でのプロモーション困難ため、
番組販売等の売り切り型
• 配信形態・コンテンツの選別:DL型には出さな
い、ウインドウ(配信時間差)の設定等
• 国内CPが主導できるプラットフォームの立ち上
げ:制作会社共同で海外向け専用PFを立ち上
げ、海外PFに出資など
海外展開に係る権利許諾・収益配分処理が困難
⑦ 現地法制度・規制の理解不足
各国の法制度等を自社で調べる余裕がない
その他 ⑧ 国内法整備
• 個別に取組みを実
施している企業は存
在するが、全てに対
応する資金余力は
ない
• 海外展開を目指し、
課題を解決する上
においては、国内
市場での成功による
資金の確保が必須
要件となっており、
ハードルは高い
• 独自対応:現地の文化・商習慣に合せた約款を
各地ごとに制作 (USは州ごとに)
• 国内注力:収益効率の高い日本のみに注力
海外流通の許諾処理が煩雑であり、対応ができない
⑨ 諸外国のビジネス環境の悪さ
インフラ整備状況の悪さ、娯楽への消費の低さ等
PwC
16
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
海外展開上の課題と対応施策(案)
コンテンツの海外展開を推進する上では、コンテンツプロバイダー個社単独では解決が難しい
課題について、プラットフォーム事業者や国からの支援が期待されています
課題
① 展開国への対応コスト負担
企画・
開発・
制作
展開したい地域の文化や宗教に合わせた内容やリメイ
クやローカライズが必要であり、資金/人材の余裕が
なく海外向けコンテンツを制作出来ない
② 現地の宗教・文化の理解不足
海外の文化等についての理解が乏しく、どのようなコン
テンツを制作・流通させれば良いかが判断できない
③ 現地プロモーションノウハウ及び実施体力の不足
個別地域の特性を把握することが出来ず、プラット
フォーマーからのサポートも限定的
プラットフォームにて対応が期待される策(例)
• 現地事業者とのマッチング支援
- 海外の共同制作会社の斡旋 等
• 作業代行
- ローカライズ 等
• 地域特性(商慣習等)の蓄積・開示
• コンテンツ供給を促進する「場」の提供
– 「ジャパン」カテゴリーの作成
ストリーミングで配信しても違法ダウンロードや、許可な
くアップロードされ、正規のコンテンツが売れない
⑤ ユーザーコンタクトが持てない
プラットフォームにIDを管理されており、ユーザーに対
して継続的なマーケティングができない
⑥ 権利処理が困難
海外展開に係る権利許諾・収益配分処理が困難
⑦ 現地法制度・規制の理解不足
各国の法制度等を自社で調べる余裕がない
その他
⑨ 諸外国のビジネス環境の悪さ
インフラ整備状況の悪さ、娯楽への消費の低さ等
PwC
• 地域特性(商慣習等)の蓄積・開示
• 国際共同製作支援(海外パートナーの紹介/
仲介)
• 現地で放送チャンネル・枠の獲得
• 国際見本市の開催およびブース出展支援
• 不正サイトモニタリング支援 等
• 違法コンテンツ削除要請
• 国家間の対策交渉
• コンテンツプロバイダーによるマーケティ
ングの許可
• マーケティング情報の分析・開示
-
-
• 電子配信に係る権利制度・法等の整備
• 権利処理一元化団体の設立
• 地域別の法制度・規制等の情報提供
• 地域別の法制度・規制等の情報の蓄積・
開示
-
• 海外展開時の国内法の適用範囲に関するガ
イドラインの作成・公開
-
• 諸外国のインフラ整備協力・支援
⑧ 国内法の適用範囲の理解不足
海外展開時に準拠すべき国内法の範囲が不明確
(国内のサーバーを利用した海外展開等)
ローカライズ支援
プロモーション支援
グローバル人材育成支援
企画開発への資金援助
• プラットフォームに集まる現地顧客ニー
ズをコンテンツホルダーに提供
④ 違法コンテンツの蔓延
マーケ
ティング
・流通
•
•
•
•
国による対応が期待される策(例)
17
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
(参考)各社の国への要望事項
要望事項
対国内・
海外
権
利
関
連
要望元
映像
ゲーム
 権利者が多く、許諾処理に時間/コストがかかるため、全員の許諾を得な
くとも配信できるようにできないか
 権利者の範囲を明確にできないか
✔
✔
✔
 JASRACの管理契約締結国以外でも利用料を徴収しやすい仕組みを構
築できないか
• 国産プラットフォームの育成
 外資系プラットフォームにより市場が寡占され、グローバル統一基準を押
し付けられる/態度が硬直的な可能性があるため、対話のし易い国産プ
ラットフォームを育成が必要なのではないか
対国内
電子書籍
• 電子配信に係る権利制度等の確立
• 権利処理の一元化
対海外
音楽
• 人材育成体制の構築
 業界の人材の質の底上げのため、大学に学科を設立する等人材育成体
制を構築できないか
✔
✔
✔
✔
(アニメ)
✔
✔
✔
✔
• 現地プロモーション支援
産
業
育
成
 現地のプロモーションノウハウが不足しているため支援してほしい
 サブカルチャーとして認識されているため、日本文化を根付かせる取組
が必要ではないか
対海外
 海外で受け入れられる企画に対して作品化するための予算・スキーム作
りの支援を受けられないか(現状、国内向け企画に資金が集まりやすく、
海外向け企画は埋没する )
 展開したい地域の文化や宗教に合わせた内容やリメイクやローカライズ
を支援してもらえないか
• 各事業者へのプラットフォームへのコンテンツ提供促進の働きかけ
✔
✔
✔
✔
• 配信事業に関する法整備
✔
• 地域別の法制度・規制等の情報提供
✔
✔
 各国の法制度・ビジネス慣習等を自社で調べる余裕がないため、情報提
供をお願いしたい
対海外
PwC
 配信市場の成長にはコンテンツプロバイダーが配信に提供するコンテン
ツを増加させる働きかけが必要ではないか
✓
 法律が必ずしも配信によるビジネス考慮されていないため、考慮する必
要があるのではないか
そ
の
他
✔
• 海外向け作品の対応コスト支援
• ローカライズ支援
対国内
✔
✔
• 諸外国のビジネス環境改善
 違法コンテンツ対策には国家間でのビジネスルールの取り決めが有効的
ではないか
 配信ビジネスを成長にはネット環境整備が前提となる
✔
✔
✔
18
Section 4.
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
コンテンツプロバイダーにとってのプラットフォーム選択のあり方
(サマリー)
 各コンテンツカテゴリーの市場におけるオンライン配信割合や各コンテンツカテゴリーの特性によって、
現状のプラットフォーム選択基準及び利用上の課題認識は異なる
-
選択基準においては、「ユーザーの数と質」は共通して重要視される項目となっている
「映像」は、コンテンツの価値毀損を懸念し、作品の有料販売が可能であることを重視
「ゲーム」は、競争が激化しており、リリース時のプロモーション支援を重視
「音楽」は、違法コピーの常態化で市場が毀損しているため、違法コピー対策の充実度を重視
「電子書籍」は、著作者の意向への対応を優先するため、配信停止の決定権の獲得を重視
 想定されるリスクを回避・低減するためには、ステークホルダー毎に “攻め”と“守り”の双方の視点に留意
してプラットフォームを選択することが肝要です
- 権利者には、違法コンテンツ対策等の守りの視点が重要
- プラットフォームには、一方的な規約の変更や価格決定権を奪われることを回避するための守りの視点が重要
- ユーザーには、継続的なプロモーション支援等の攻めの視点が重要
 国内コンテンツの海外展開においては、課題が多く存在しており、個社単独では解決が難しい
- 個別に取組みを実施している企業は存在するが、全ての課題に対応できる資金的余力はない
- 海外展開には、自社単独での進出だけではなく、プラットフォームとの連携や国の積極的な支援が望まれている
PwC
19
Section 5.
プラットフォームのグローバル展開の方向性
成功事例から抽出された成功要因まとめ
成功企業各社は、程度の差こそあるものの、コンテンツおよびユーザーの質・量双方の確保、
ユーザビリティ・仕様の容易さ等の要件をほぼ充足しています
凡例:◎ 特に強みを持っている ○ 強みを持っている
キラーコンテンツの確保(質の確保)
グ
ロ
ー
バ
ル
プ
ラ
ッ
ト
フ
ォ
ー
ム
事
業
に
共
通
す
る
成
功
要
因
提ユ
ー
供ザ
価ー
値へ
の
グローバルでのコンテンツ総数の確保
(量の確保)
ユーザビリティの高さ(端末・システム)
料金への納得度
プ
ロ
バ
イコ
ダン
ーテ
ン
へ
のツ
価
値
モビ
デジ
ネ
ルス
PwC
ターゲットとするユーザーへのアクセス
(質の確保)
グローバルの顧客基盤(量の確保)
開発・設計の仕様の分かりやすさ
手数料等への納得感
利害関係者を巻き込んだ全体最適の
追求(エコシステムの形成)
盤石なマネタイズモデルの確立
プラットフォーム型
デバイス型
Apple
ネットワーク型
○
○
◎
○
○
○
○
○
◎
○
ネ
ッ
ト
ワ
本ー
現形ク
状態主
でで導
はの型
困グで
難ロ
ーは
でバ成
あル功
るプ事
こラ例
とッと
がトい
想フえ
定ォ
ーる
さム事
れ構例
る築が
は見
つ
か
ら
ず
Amazon
Google
コンテンツ型
hulu
○
◎
○
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
◎
○
○
○
◎
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
20
Section 5.
プラットフォームのグローバル展開の方向性
成功企業の差別化要因
成功企業各社は、成功要因を充足しつつも、それぞれ独自の競争優位性を構築することで、
グローバルにおけるプレゼンスを獲得しています
提供サービス
凡例: 収益の源泉
デバイス型
Apple
代表例
主
な
サ
ー
ビ
ス
領
域
コンテンツ
プラット
フォーム
ネットワーク
音楽/
映像
Docomo
書籍
ゲーム
iTunes iBook
App
Store
提携先通信キャリア
OS/
iOS/
デバイス iPhone, iPad, iPod, iMac
収益の源泉
ポ差類
イ別型
ン化別
ト の
PwC
ネットワーク型
• デバイス販売
- Appleの場合は
90%
音楽/
映像
プラットフォーム型
コンテンツ型
手数料収入モデル
広告収入モデル
Amazon
Google
hulu
映像コンテンツ
ゲーム
EC商材
電子書籍他
動画等
各種コンテンツ
dマーケット
Amazon
EC
Amazon
AppStore/
KindleStore
広告
Google Play
Docomo
通信キャリア
MVNO
通信キャリア
Docomo
携帯端末
各種端末
Kindle
書籍
imode
• 音声通話、データ • プラットフォーム
通信
手数料収入
- Docomoの場合は • ホールセールモデ
80%
ルでの販売収入
• 圧倒的なデバイス
• 現状でグローバル
の魅力を核としたデ
で成功している企
業は見当たらない
ジタルコンテンツバ
リューチェーンをグ
ローバルに構築
• ユーザー視点に
立った、低コストで
豊富な品揃え
Android
各種端末
hulu
通信キャリア
各種端末(PC等)
• 広告収入
- Googleの場合は
87%
• 有料会員の会費
(コンテンツ料金)
および広告収入
• 集客力を活かした
高い広告媒体
価値
• キラーコンテンツ
調達力
21
Section 5.
プラットフォームのグローバル展開の方向性
国内企業におけるグローバル展開推進上の課題(詳細)
「国内市場の弱体化に対する課題(国内市場において外資系企業との競争により疲弊することで海外
へ打って出る事が困難となる)」では国内の競争環境の是正、「海外展開推進の課題」では情報の一元
化・提供を政府に対して求める声があがっています
主なコメント
権利関係の複雑さ
PFが調整しなければ
ならない権利とは?
1
国内市場の弱体化に
対する課題
国
内
プ
ラ
抱ッ
えト
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課ー
題ム
事
業
者
が
2
PwC
• 各種規制が海外のプラットフォーマーに適用されていないことが問題
- 青少年対策
 ソーシャルネットワークサービスのチェック体制整備のコスト負担が
大きい(メールのモニタリング、出会い系規制、課金制限、年齢認
外資系企業と比した
証等)
不平等な制約
- 個人情報保護法対策
- 販売方法への規制
政府に対して
競争環境是正へのニーズ大 - 越境消費税の納付
法制度の未整備
海外展開推進の
課題
• 権利関係が面倒である
• 電子書籍
- 著者に対して作品毎に契約を締結しなければならない
- 市場の立ち上げ期であるため、関係官庁からの規制が
強化され市場が委縮してしまう事への懸念も存在
• 音楽
- 配信の国別に許諾が必要
- 原盤使用許諾だけでなく、実演家、演者への隣接権対応が必要
• 新しいサービス領域であるため、グローバルレベルでの法整備がなされ
ていない
• 各国の法律に照らしてサービス約款を作成する必要があり手間
(返金ルール等)
各国で異なる
• 決済の仕組みが各国で異なっており、面倒
事業環境への対応
• 通信環境が整っていない地域も多いため、サービスを提供出来ない
ケースが存在する
各国の詳細情報の一元的な提供を政府に求める声が多数
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Section 5.
プラットフォームのグローバル展開の方向性
プラットフォームのグローバル展開の方向性(サマリー)
 グローバルで成功しているプラットフォーム事業者はApple、Google、Amazon等の米系企業が占めている
 上記のような成功企業は共通した成功要因を充足している
-ユーザーへの提供価値:「キラーコンテンツの確保」「グローバルでのコンテンツ総数の確保」「ユーザビリティの高さ」
「料金への納得感」
-コンテンツプロバイダーへの提供価値:「ターゲットとするユーザーへのアクセス」「グローバルの顧客基盤」「開発・設計の
仕様が分かりやすい」「手数料等への納得感」
-ビジネスモデル:「利害関係者を巻き込んだ全体最適の追求(エコシステムの形成)」「盤石なマネタイズモデルの確立」
 各社ともに全ての成功要因を満たしつつも、類型ごとに強みを活かした差別化のポイントは異なる
類型
プラットフォーム型
デバイス型
差別化
ポイント
ネットワーク型
コンテンツ型
手数料収入モデル
広告収入モデル
Google
Apple
n/a
Amazon
圧倒的なデバイスの
魅力を核としたデジ
タルコンテンツバ
リューチェーンをグ
ローバルに構築
現状でグローバルで
成功している企業を
見出すことは困難
ユーザー視点に立っ
た、低コストで豊富な
品揃え
集客力を活かした
高い広告媒体価値
hulu
大量のキラーコンテ
ンツ調達力
 国内では、これまでフィーチャーフォン上でコンテンツ市場を牽引してきたプラットフォーム事業者の多く
は、昨今のスマートデバイスの普及に伴う外資系企業の日本市場参入による競争環境激化で収益性が悪
化しており、GREE、DeNAなど一部の高収益企業やNTTドコモのように潤沢な資金を持つ企業等以外
は、海外展開のための体力さえも消耗しつつある状況
PwC
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Section 5.
プラットフォームのグローバル展開の方向性
 国内企業は、現時点では海外展開の取組みを開始して間もないこともあり、その成果を図ることは困難な
状況
 国内プラットフォーム事業者の多くが「先ずは国内市場において収益を確保すること」を事業展開戦略の
基本方針としており、国内市場で公平な競争環境整備についての課題解決ニーズが非常に高い
 「国内市場の弱体化に対する課題(国内市場において外資系企業との競争により疲弊することで海外へ
打って出る事が困難となる)」では国内の競争環境の是正、「海外展開推進の課題」では情報の一元化・
提供が政府に対して求められている
- 国内市場の弱体化に対する課題
 権利関係の複雑さ:他の主要国に比して、日本における権利処理は面倒であるとの認識
 外資系企業との不平等な制約:国内に存在する各種規制等(青少年対策、個人情報保護
法対策、販売方法への規制、越境消費税)は、外資系企業には適用されず、国内企業の
みがコストをかけて遵守している
- 海外展開にあたっての課題
 法制度の未整備:新しいサービス領域であるため、グローバルレベルでの法整備がなされ
ておらず、後追いで規制される
 各国で異なる事業環境への対応:各国の法律に照らしてサービス約款を作成する必要があ
り手間(返金ルール等)
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