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Recommendations for Researchers. (Nielsen

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Recommendations for Researchers. (Nielsen
Coan, J. A., & Allen, J. J. B. (2007). Handbook of Emotion Elicitation and Assessment. NY: Oxford University Press
Chap. 22 レジュメ
Rep. 太幡直也(筑波大学)
Chapter 22
Conceptual, theoretical, and methodological issues in
inferring subjective emotion experience:
Recommendations for researchers
Nielsen, L. & Kaszniak, A. W.
Nielsen, L.
Kaszniak, A. W.
◆近年、さまざまな分野の研究者が、意識的経験の科学的研究を行う方法を提唱している
(Baars, 1988; Chalmers, 1999, 2004; Flanagan, 1992; Varela, 1996)
‐研究者たちの主張は、自己報告を用いた方法によって主観的経験の理解に寄与できる
という点で共通している
‐知覚される経験(phenomenal experience)の測定方法には粗い部分もある
➢意識研究の進展は、知覚される経験を慎重に扱おうとする研究者の否定的意見を受
けるだろう(Varela, 1996)
◆意識的経験は、心理学において中心的な存在だったが(e.g., William James)、行動主義
や認知心理学の台頭によって周辺的な存在となっていった
Conceptual Issues in the Study of Conscious Emotion
◆心理学や神経科学において意識の研究への関心が再び高まっており、主に本人の反応と
第三者の評定の相関研究による研究が行われるようになってきた
→本人のデータを報告する適切な方法が確立していなければ、不十分な結果しか得られ
ないだろう(cf. Varela, 1996)
➢感情研究においては、上記の問題が特に顕著になる
‐経験が中心的役割を果たすため
‐経験は多面的で個人間で分散が大きいため
‐経験は感情反応のさまざまな無意識的要素と複雑に関連しているため
◆感情は知覚される経験の一側面である
‐研究者は感情に関する理論や意識研究の重要性を認識し、意識的な感情経験の本質や
機能に興味を抱いてきた(e.g, Damasio, 1994, 2003)
・神経科学の分野では、感情の神経系基盤に関する理解が深まっている
(Lane, Nadel, Allen, & Kaszniak, 2000)
・感情経験を特徴づける基本的次元の議論がなされている(Cacioppo & Berntson, 1999)
・感情的意識の個人差がさまざまな指標により検討されている(Gohm & Clore, 2000)
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Coan, J. A., & Allen, J. J. B. (2007). Handbook of Emotion Elicitation and Assessment. NY: Oxford University Press
Chap. 22 レジュメ
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◆感情研究において最も難しい問題は、主観的経験の測定である
→多くの研究では主観的報告は実際の経験を表現していると仮定するが、主観的感情経験
に関心を持つ研究者にとっては、理論的、方法論的問題から留意が必要である
➢示される方法論的問題
①感情経験の報告における認知的(注意的、記憶的)限界は何か?
②報告プロセスは感情的経験の質や内容を変えるのか?
③どのような報告方法が最も適しているのか?
The Complex Nature of Emotion
◆感情とよばれる現象は複雑であるため、感情経験の測定は困難である
→感情の定義には理論間の統一見解はないが、相互に関連する別々の反応システムから生
じるという点では共通している
◆意識と密接に関連しているため、感情と感覚(feeling)を同じとする研究者もいる
‐感覚は感情が生じる際の必要条件で、意識的な認知的評価を感情反応に先行するものと
みなす(Clore, 1994)
↕
認知的評価は意識的である必要はないと考える研究者もいる(Frijda, 1993)
‐ネズミを用いた恐怖に関する研究では、扁桃体が適応的恐怖反応の
無意識的発生に重要な神経基盤となる(LeDoux, 1996, 2000)
‐誘発刺激に気づいていなくても、皮膚電位反応(Öhman & Soares,
1993, 1994, 1998)、表情の筋電図反応(Dimberg, Thunberg, &
Elmehed, 2000)が生じる
◆感情が意識的なものか否かは、意識的感情の発生条件の想定によって変わり、その想定
は、感情状態を生み出す反応システムの相互関係の想定によって変わる
➢感情は、生理的変化、認知的評価、行動傾向、表出的行動、主観的経験などの要素を
含む複雑な現象であると考えられる
➢上記の要素は同時に作動しやすいことが示されてきた
‐特定の生理的システムの活動と感情経験は関連している(Bradley & Lang, 2000)
➢感情の多様な構成要素は多くの点で区別できる
‐標準的な感情制御方略によって意識的な感情評価が可能になるため、感情表出を抑
制しながら感情を経験できる
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The Subjective Experience of Emotion
◆感情状態を分類する二つのアプローチが提唱されている
‐次元的アプローチ:誘発性(valence)と覚醒(arousal)の直交次元で捉える
(e.g., Bradley & Lang, 1994; Feldman & Russell, 1999)
‐カテゴリー的アプローチ:恐怖、怒り、喜び、悲しみといったそれぞれの感情の特徴
を強調する(e.g., Ekman, 1992; Izard, 1992)
➢どちらのアプローチも以下の点を説明していない
・感情経験と、その経験の表現のされ方の関係
Two-Dimensional Structure of Affect
・感情によって知覚や注意が変わり、感情経験が変わる仕組み
・感情経験の特徴と、より意識的な認知的構成要素の区別
◆本来の感覚と内省的認知はそれぞれ関連しながらその状況での
感情経験を形成する
→感情経験の自己報告は、本来の感覚(raw feel)と認知による
相互作用の産物である
Raw Emotion Phenomenality
◆感情の本来の感覚は、
欲求などの身体的な構成要素とされるものにあると考えられてきた
(例)Lambie & Marcel(2002)…現在の感情経験を構成する二つの注意フォーカス
‐周囲フォーカス(world-focus):物事がどのように見えるか
‐自己フォーカス(self-focus) :自分がどのように感じているか
▽周囲フォーカスの考え方…感情状態が、知覚プロセスや注意プロセスに影響するならば、
周囲の見え方に影響を与えると考えられる
‐ポジティブな感情状態が注意を広げ、ネガティブな感情状態が注意を狭める
(Fredrickson, 1998)
Reflective Emotional Consciousness
◆感情が生じたときの状態に加え、自己の状態や状況に対する意識的思考や評価も、感情
経験を構成する要素となる
→自己フォーカス状態での感情経験では、感覚を理解した後に、その経験を意味づける
内省的認知が続く
→このような評価の後に、感情状態の制御のための意識的努力がなされることもある
◆Lambie & Marcel(2002)は、二次的な注意スタンスは分析―統合(analytic-synthetic)
の次元で変わると論じた
‐分析…主観的状態の細部(例:心拍、呼吸の変化)に注意が向けられている
‐統合…全体として捉えられている(例:恐怖を感じている)
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◆ある感情が経験されるとき、内省的意識と本来の感覚のバランスを決定するのは、感情
にとらわれている程度、感情状態を制御し再評価する程度といった要因である
Organizing Principles of Emotion Experience
◆感情は、環境の中で重要な生存目標を達成するために、複数の反応システムを調整する
という適応的問題を解決する役割を果たす
(例)Lambie & Marcel(2002)…感情経験の背後にある二つの原理
‐感情を誘発する出来事の評価的記述
‐出来事に反応するための行動態度(action attitude)の決定
The Relation Between Raw Feelings and Reflective Consciousness
◆本来の感覚と内省的な認知的意識の関係は部分的にしか明らかにされていない
‐意識的なものであれ無意識的な注意バイアスの影響であれ、経験の特定の特徴に注意
を向けることにより、認知は経験を意味づけることができる
(例)意識的感情制御において、認知は感覚に対する統制を発揮する(Gross, 2002)
‐感覚は内省的認知や行動に影響を与える
(例)ポジティブな気分状態が柔軟的な認知処理を生み出す(Isen, 2000)
Valence and Arousal as Dimensions of Raw Phenomenality
◆感情経験における本来の感覚と内省的意識の相互作用は、感情研究者に方法論的課題を
示している
→注意が自分に向いていなければ、感情経験についての自己報告は、特定の感情経験の
存在を示す指標として信頼性の低いものとなってしまう
➢感情経験の測定において、誘発性と覚醒による次元的アプローチの利点を示す
‐経験が変化すると考えられる特定の次元に自己報告を制限できる
‐回答者がそれぞれの次元に着目するのが容易になる
‐それぞれの次元は生理的指標との相関が高い
‐感情語の判断における分散の多くを説明できる(Osgood, Suci, & Tannenbaum, 1957)
‐機能的、進化的視点からも理にかなっている
◆感情研究では次元的評定が多く用いられるが、回答者が誘発性と覚醒の次元を報告する
ときの推論については十分に理解されていない
(例)感情経験の誘発性は、刺激が与えられた状況での情報を参照することによる、生理
的覚醒状態に与えられた解釈によるものである(Schachter & Singer, 1962)
↓
感情経験の本来の構成要素と内省的な構成要素を別々に検討する方法が、感情に関する現
象を理解するために役立つだろう
➢本来の感情経験の性質を実験的に測定できるか?
➢教示や操作によって、感情経験の報告への意識的評価の影響を制限することは可能か?
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Approaching Raw Phenomenality in the Laboratory
◆Kaszniak らの一連の研究では、感情経験の本質を検討するために、要求特性や内省的評
価の影響を受けない自己報告の開発が試みられている
‐実験参加者に国際感情絵画システム(International
Self-Assessment Manikin
Affective Picture System; Center for the Study of Emotion
and Attention, 1999)の中の絵を示す
‐自己査定マネキン(Self-Assessment Manikin; Bradley &
Lang, 1994)により、誘発性と覚醒の程度の報告を求める
➢この方法は単純で、報告プロセスの結果、経験が変化する可
※上の列から、誘発性(valence)、覚醒(arousal)、
能性を低減させることができる
支配性(dominance)の次元を測定するための
パネルである
◆感情経験を変えることなしに報告することには限界がある
‐感覚を報告する際の注意の変化は、感情経験を根本的に変えてしまう可能性がある
‐最初に報告された特徴がその後の報告でのバイアスとなる可能性がある
➢一時的な感情経験をいくつかの次元で捉えようとする試みには、報告尺度で後から尋
ねられるものに経験の本質が反映されにくくなるというリスクがある
↓
われわれのアプローチの中心的な要素は、実験参加者に経験をともに探求する役割を担
ってもらう(Varela, 1996; Vermersch, 1999)ことである
‐感情を報告する枠組みを与えるだけでなく、研究課題(操作によってどのような感情
が引き出されるのか)を理解、意識させる
‐状況に対する内省的評価ではなく、実際の経験を報告するように強調する
▽研究を通して得られた知見
‐生理的感情反応システムに問題のある神経疾患の患者は、感情経験の自己報告に変化
が見られない
‐パーキンソン病の患者は、強度や質の点では健常者と同様の報告をするが、感情を表
情に表出するように求められるとうまくできない(Reid, 2000)
‐アルツハイマー病の患者は、誘発性と覚醒の次元で自己報告された感情経験には健常
者と違いは見られないが、表情筋の活動パターンが異なる(Burton & Kaszniak, 2006)
‐前頭前皮質(感情状態の生成に重要な部位)に損傷のある者は、感情経験を通常レベル
で報告するが、感情刺激に対する皮膚電動反応は通常とは異なる(Kaszniak et al., 2001)
→感情の自己報告に対し、教示による操作のみでは感情の自己報告に対する内省的
意識の影響を取り除けないことを示唆している
➢実際の感情がなくても、誘発性と覚醒について自己報告する際に感情に関する知識
スキーマが自動的に用いられている(=感情的知識と感情経験を区別できない)
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The Preattentive and Nonreflective Elicitation of Emotion
◆無意識的に誘発される感情の特徴を検討するために、視覚的マスキングパラダイム
(visual masking paradigm)を用いた研究が多く行われている
‐感情刺激(絵や単語)が 50ms 以下の短時間呈示され、続いて、ターゲット刺激の意識
的知覚を妨害する視覚的マスクが表示される
➢知識や過去の経験に基づいた感情的意味の評価を伴う文脈的手がかりを排除している
ため、刺激による影響は意識とは無関係のプロセスによると考えられる
◆知覚前(preattentive)の感情プロセスによる、その後の感情プロセスや行動への影響と
して、少なくとも二つの影響がある
‐刺激やその後の感情的反応に気づくことなく生じる影響
‐感情刺激の無意識的な処理が感情状態を生み出し、課題を行うときに参照されることで
生じる影響(→視覚的マスキングパラダイムによる研究の重要性を示唆)
Affective Primacy
◆感情先行仮説(affective primacy hypothesis; Zajonc, 1980):
刺激の感情的性質は早く処理され、意識の介入を伴わずに判断や行動に影響を与える
‐新奇刺激に繰り返し接触させる方法が用いられる
→単純接触効果(mere-exposure effect):繰り返し接触した刺激への好意度が高まる
‐サブリミナルのような短時間に刺激の呈示がなされる
(例)Murphy & Zajonc(1993)
…ネガティブ(ポジティブ)な表情を 4ms 呈示した後、漢字を評価させた
➢ポジティブな表情を呈示されると漢字の評価が高まった(逆も同じ)
※サブリミナルによる感情のプライム刺激が、感情経験と誘発性のある状態のどちら
を生み出したのかは検討されていない
◆感情情報仮説(feelings-as-information hypothesis; Schwarz & Clore, 1983):
感情経験が意思決定のための情報となる
‐感情経験の原因を間違えて判断していたとしても、経験が判断に関係していると見な
されると、判断に影響を与える(Clore & Parrott, 1991)
‐感情の原因に気づいていると、判断に影響を与えない(Clore & Ortony, 2000)
▽Winkielman, Zajonc, & Schwartz(1997)の研究
…実験参加者が、気分が操作されていると考えていても、中性的刺激への好意度評価は
感情プライムによって影響を受けていた(実験後に気分を感じていないと報告した)
➢感情プライムが感情を誘発するか否かについては検討の余地がある
‐4ms のプライムによって誘発された意識的感情は、感情の割引を行うために必要な
再評価まで持続するほど強いものか?
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☆まとめ:サブリミナルによる感情プライミングが感情状態を変えるかは明らかではない
が、刺激に繰り返し接触することでポジティブな気分は高まると考えられる
Unconscious Mechanisms for Threat Detection
◆Öhman らは感情反応の誘発において視覚的マスキングパラダイムを用いて恐怖に関連
する刺激が前視覚的な恐怖反応を引き起こすことを示し、恐怖症や不安の背後にある無
意識的メカニズムを探究した
‐ヘビ恐怖症の者に対しマスク刺激を呈示すると、ヘビの写真のときはクモや中性的な
写真のときに比べ、大きな皮膚電動反応を引き出した(Öhman & Soares, 1994)
‐最初にマスク刺激とともに嫌悪的刺激を呈示すると、その後の段階で、マスク刺激は他
の刺激に比べ、大きな皮膚電動反応を引き出した(Öhman & Soares, 1998)
➢生理的な恐怖反応は意識的な刺激の処理の前に生じているため、
自発的統制ができない
可能性を示している
※上記の研究の補足
‐マスク刺激を呈示した際に、実験参加者は意識的な感情経験がなかったわけではない
→どちらの実験でも、刺激がマスクされた場合でもされていなかった場合でも、誘発性
と覚醒の次元で、中性的刺激と恐怖を誘発する刺激を弁別することができた
(ネガティブな刺激と中性的刺激のみを用いていたため、実験参加者が不愉快さを感
じていたのか、覚醒されていただけなのかは明らかにできない)
‐Öhman & Soares(1998)の結果について
・最初の段階で刺激の予期を測定しており、チャンスレベルよりも高く刺激を予期して
いた(=生理的反応のフィードバックを用いていた)
・予期の正確性が高かった者は低かった者に比べ、その後の段階でマスク刺激に対する
皮膚電動反応が大きかったわけでも、条件づけられた刺激とそうでない刺激への反応
の差が大きかったわけではない
➢予期の正確性が高かった者は、微妙な生理的変化を検知するのに優れていた?
(例)心臓音の知覚に優れている者は刺激の予期の正確性が高い
(Katkin, Wiens, & Öhman, 2001)
Individual Differences in Emotion Experience
◆感情経験の多様な側面への感受性は、感情経験の報告における多様性として示される
➢感情経験の個人差は、質的なものも量的なものも想定される
‐量的な個人差…感情経験の際の注意フォーカスによって決定される
‐質的な個人差…(感情の機能的解釈から、この可能性は低いと思われる)
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Attentional Training and Emotion Experience
◆一般的な者は、感情を詳細に描写する能力を持っていない
↓
仏教の教えに基づいた長期にわたる内省の練習の一部として、意識の流れ、身体状態の変
化などの些細な変化に注意を向ける練習に取り組む集団がある(Young, 1999)
➢内省の練習により、身体的変化と関連した感情経験と、意識の内容の変化と関連した感
情経験を区別する能力を高めることができる(ただし、練習しない者には難しい)
Individual Differences in Emotion Awareness and Emotion Regulation
◆個人差は、感情に気づく程度や、感情制御プロセスの種類にも見られる
→Gohn & Clore(2000)…感情経験に関する四つの特徴
‐感情への注意(attention to emotion):感情をモニター、評価、活用する程度
‐明確性(clarity)
:特定の感情を同定、区別、表現する能力
‐強度(intensity):感情を経験する強さ
‐表現(expression):感覚を表現する程度とそのことに対する態度
↓
自己報告によって測定される個人差は感情に注意を向ける傾向を示し、その傾向は、感情
経験を識別する能力と関連すると考えられる
↕
作話や報告の抑制によって歪められている可能性も考慮しなければならない
◆感情意識についての信念が意識的感情制御方略と関わることも考慮すべきである
→感情制御プロセスには、意識的方略(例:感情の抑制)と無意識的プロセス(例:自動
的な感情反応)がある
↓
感情意識が高い者でも、感情経験の意識的制御の仕方で特徴が異なると考えられる
‐安定を好む者→意識的制御により、感情の強度を低減させようとする?
‐刺激を好む者→意識的制御により、感情の揺れ動きが大きい生活を送ろうとする?
◆生理的制御メカニズムは、感情状態に対する意識的統制に関わる
‐副交感神経による制御は、感情状態の制御のために哺乳類に備わる機能である
(Porges, 1997)
‐副交感神経の活動が活発な者は、感情制御能力に優れていると予測される
(Porges, Doussard-Roosevelt, & Maita, 1994)
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The Vocabulary of Emotion Experience
◆感情に注意を向ける能力を持つ人は、知覚される感情に対する優れた認知地図を持ってい
る可能性が考えられる
◆感情経験を思いついた言葉で報告してもらう自由記述形式は、新しい報告方法として特に
よく用いられる
➢報告されたものは感情についての知識スキーマに影響を受けていると考えられるが、経
験を構成し言葉として報告する際に回答者が用いた次元に関する手がかりを与える
Conclusion
◆感情の測定法として、自己報告が信頼できないと考えられる点はいくつも挙げられる
‐感情経験に対する記憶の再構成(e.g., Bartlett, 1935)
‐報告における注意バイアス(e.g., McNally, 1996)
‐要求特性(Marlow & Crowne, 1961)
‐潜在的因果理論や個人的動機による歪み
(Nisbett & Wilson, 1977; Wilson & Dunn, 2004)
◆筆者の意見:
‐感情経験は複雑であるが、単純な次元に着目したアプローチは、複数の別々の基本的感
情を測定するアプローチよりも得られるものが多いだろう
‐感情経験の自己報告に関わる可能性のあるすべての要因(本来の経験、内省的意識、感
情についての知識、感情意識の個人差)を考慮する必要がある
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