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モバイルプロジェクタを搭載した携帯型遠隔操作ロボットを用いた感情伝達
The Murata Science Foundation モバイルプロジェクタを付加した 携帯型遠隔操作ロボットを用いた感情伝達システム Emotion Transmission System Using a Cellular Phone-Type Teleoperated Robot with a Mobile Projector H26海自32 派遣先 HCII2014(ギリシャ・クレタ島) 期 間 平成26年6月23日~平成26年6月30日(8日間) 申請者 鳥取大学 大学院工学研究科 情報エレクトロニクス専攻 知識工学C研究室 博士課程前期2年 鶴 田 悠 最低限の「形状」 「手触り」を持ち、ミニマルデ 海外における研究活動状況 ザインである携帯型遠隔操作アンドロイド「エ 研究目的 ルフォイド」を用いて表情を伝達する手法を提 遠隔地の人とのコミュニケーションを図るテ 案する。 レプレゼンスでは、高解像度の映像、質の高い 音声を伝達することによって臨場感の向上を 海外における研究活動報告 図っている。遠隔コミュニケーションを実現す 貴財団から頂いた研究者援助により、ギリ るシステムは、対人インタラクションにより交 シャ クレタ島で開催された、ヒューマンコン 流を円滑化しユーザに安心感を与えることで、 ピュータインタラクションに関する国際会議 様々な場面での応用が考えられる。 the 16th International Conference on Human- 中でも、存在感を伝達するための人型ロボッ Computer Interaction(HCII2014)に参加しました。 トは、遠隔コミュニケーションメディアとして HCIIでは、アクセシビリティ、ソーシャル 受け入れられはじめている。 コミュニケーション、ゲーミフィケーション、 人とロボット、または、ロボットを介した人 VR・ARなど、HCIに関する多様な分野につい と人とのインタラクションを円滑に維持するた て研究発表がなされます。開催16回を数える めには、ロボットの人に近い自然な振る舞い 今回は、73の国2000人近くの参加者がいまし が重要となってくる。これまでも、様々な遠隔 た。1476件近くのペーパーと225件のポスター コミュニケーションメディアが開発されている 発表が採択されました。244のセッションでそ が、この自然な振る舞いがうまくできないこと れぞれ5∼7件の発表が行われていました。 で、 「存在感」が伝達できないという問題が生じ 私は、 「Emotion Transmission System Using a た。存在感を伝達する要素として、 「人の形状」 Cellular Phone-Type Teleoperated Robot with a 「人の触覚」 「表情の伝達」などが挙げられる。 Mobile Projector(モバイルプロジェクタを付加 本研究では、遠隔コミュニケーションにおい した携帯型遠隔操作ロボットを用いた感情伝 て存在感を伝達するために、人間としての必要 達システム)」に関して、口頭発表と議論を行 ─ 947 ─ Annual Report No.28 2014 い、研究内容について理解を深め、研究成果 すが、応答の中で詳しく伝えることができまし を報告し、専門家の方々から質問や意見を頂 た。2つ目の質問に対しては、感情の専門的な きました。また、ヒューマンコンピュータイン 部分の質疑でした。ミニマルデザインである本 タラクションに関する研究発表やデモを見聞き システムにおいては、個人性を含む複雑な感情 し、実際に触れてくることで、自分が興味のあ を表出する必要性は高くなく、基本6感情のみ る、画像処理や拡張現実感(AR)等の最新の で必要最低限の会話ができると考えていたので 研究動向や技術についての見識を深めることが すが、今後実験による検証の必要はあるだろう、 できました。 と新たな見解を見出せたと思います。 会議は三日間にわたって行われ、会場となっ 本会議の参加では、最先端の拡張現実感 たConvention Centerはホテルと一体となってお (AR) 、人工現実感(VR)技術や画像処理の研 り、大きな学会を開催するにふさわしい場所で 究についての情報収集のみならず、自分の研究 した。一、二日目は、同行していた研究員の研 分野に近い研究者と人種や国の壁を越えて国 究をはじめとした様々な研究発表を聴講しまし 際的に知り合え、会話を交えることができた点、 た。今の時代だからこそできる動画共有サイト 日本で暮らすだけでは見えてこなかった研究に を利用した研究等、インパクトが大きな研究も 限らない視野が広がった点で、自分の成長と あり、刺激を受けました。私は、三日目の午前 いう意味でも大変有意義で高密度な体験をす のセッションにて自分の研究成果について口頭 ることができたように感じています。 発表を行いました。国際会議での発表は二回 最後になりますが、この会議への参加の助 目となるので、英語での発表に対しては昨年参 成により、前述のような貴重な機会を与えて頂 加した時よりも落ち着いた発表ができましたが、 いた村田学術振興財団のご好意に厚く御礼申 質疑応答では未だ緊張を隠せませんでした。 し上げたいと思います。 質疑応答の内容は主に、 「私の研究のシステ この派遣の研究成果等を発表した ムが実験中どのように表情を表出しているの か(実験の具体的な方法)」そして、 「感情の表 出数が6つとなっているが、様々な感情が考え られる実際の会話で本システムを使用する時、 本当に6つで有用性があるのか」の2つです。 1つ目の質問は、自分の実験の内容を発表中 著書、論文、報告書の書名・講演題目 Yu Tsuruda, Maiya Hori, Hiroki Yoshimura, and Yoshio Iwai/Emotion Transmission System Using a Cellular Phone-Type Teleoperated Robot with a Mobile Projector/International Conference on Human-Computer Interaction(HCII)/2014.6 に理解してもらえていなかったようだったので ─ 948 ─