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WING DAILY
(1)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1797号 2008年(平成20年)11月21日 -金曜日 WING DAILY
【HEADLINE NEWS】
★中部二本目促進期成同盟、2本目早期実現の要望書提出
活性化にはアクセスの充実も必要
地元自治体と経済団体で構成される、中部国際空港二本目
滑走路建設促進期成同盟会は11月20日、国土交通省および自
民党幹部へ要望書を提出した。要望内容は、社会資本整備重
点計画および国土形成計画(広域地方計画)において、2本目
滑の必要性について明確に位置付け、推進すること。また、
2本目滑走路の早期整備に向けて、国は地域と連携し必要な調
査・検討に取り組むこと。そして、空港利用者の利便性向上
のため、アクセスの充実に取り組むこと。以上の3点を主とし
て国土交通省の各幹部や議員に要望活動を行った。
今回の要望活動では、24時間フルに空港を運営するため2
本目滑走路の必要性はもちろんだが、空港周辺のアクセスに
ついても言及している。空港を陸路でつなぐ主要道路は1本の
みであり、不測の事態が起きた場合には空港への陸路が途絶
えてしまうことや、空港周辺にはまだ未開通の道路が残って
おり、このままでは都市機能が動かないことなどを挙げて、
アクセス充実の重要性を強調した。
社会資本整備重点計画などへ2本目滑走路に向けた文言を盛
り込みたい地元側だが、一方で、中部空港の需要が減退。今
冬ダイヤにおける国際線の発着便数は、開港当初の水準にま
で落ち込んだ。さらに、開港から継続してきた黒字も、赤字
決算に転落した。危機感を募らせた中部会社らは需要喚起に
向けた取組みを進め、昨年からは貨物
分野においてはフライセントレア・
カーゴを展開。関空、成田に流れてい
る中部圏の貨物需要囲い込みに必死に
なっている。ただ、燃油高騰による航
空会社の路線再編、そこにリセッショ
ンという大きな逆風も加わり大きく荒
れ、フォワダーも関空、成田の施設を
遊休化させるわけにいかないため、依
然として中部空港に需要が回らない状
況だ。
24時間空港化することで、増便や貨
物需要などの取り込みが図られること
も考えられるが、前提となる需要が確
保されなければ、2本目実現には厳し
い目が向けられそうだ。
Airline & Aviation E-mail News
発行所 航空新聞社:W I N G
東京都港区赤坂 4 - 8 - 6 赤坂余湖ビル3 階
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た。どなたも道路や航空の事情について、これまで何回もお
会いして理解していただいていると認識しているが、ここに
きて国も景気悪化から税収の問題などあって、しかも道路特
定財源をめぐってもはっきりしない状況で、少し不透明感が
ある。さらに、制度的にどのような形で進めていくのか、
ちょっと経済の状況が不安定で見えないところがある」と不
安感を示した。
しかし神田知事は続けて「ただ必要性や私たちが取り組ん
でいる状況、それから熱意、十分に分かっていただいてい
る。できるだけわれわれの地域の願い・希望が少しでも受け
入れられるように、引き続き関係・協力をいただいている皆
様と協力して要望していきたいと思っている。道路の方も
2008年夏に東海北陸自動車道が富山へつながった。ものすご
い利用者が増えて物流も人も流れが変わってきている。大変
インパクトがある。それから2008年2月に新名神が開通し
て、あれもすごい利用量。だから中部・東海地区というの
は、ただ単に無駄な道路を造るのではなく、需要と必要性が
パックになっている。そういう意味で投資するものが必ず地
域の活力と発展につながる印象を受けている」と引き続き空
港および道路開発に対する熱意を表した。
セントレアの2本目滑走路の必要性について、現状は国際空
港でありながら、滑走路が1本のみ。神田知事は「今も毎週2
日間、定期点検のために夜間ふさいでいる。だから24時間空
港の機能が発揮できていない」としている。
現在航空業界が置かれている状況は、燃油高など厳しい環
境にある。しかし、航空事業そのものは中長期的に見れば間
景気悪化など国の今後の体制を懸念
熱意を持って要望活動を継続
今回行った活動について愛知県の神
田真秋県知事は、「事務次官、技監、
道路局長と要職3人の方にお会いし
D A I L Y 編集部
〒1 0 7 - 0 0 5 2
期成同盟会から説明を受ける国土交通省の春田謙事務次官
(2)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1797号 2008年(平成20年)11月21日 -金曜日 違いなく伸びるもので、そのときにいざ空港のフル活用へ
着手し2本目の滑走路を造るといっても、1年や2年ではで
きることではなく、計画してから5年から10年はかかるた
め、今から準備していかないと必要なときに間に合わない
と、同盟会は主張している。一方で景気悪化による航空需
要の低下などから利用者が減っている今、2本目の滑走路
は性急とする意見も出ている。ほかの国際2空港や地方空
港とのバランスなど、慎重な調査の上での判断が求められ
る。
★富士重、エクリプス500主翼生産を一時停止松尾プ
レジデント、経済先行き不安で生産計画「不透明」
富士重工はエクリプス500主翼の生産を一時停止した。
これは、エクリプス側の資金枯渇問題が浮上したことによ
るもので、エクリプスは年末までの生産機数を月産数機程
度に落とすことにしており、富士重工も減産、現在は停止
状態となったという。今年下期の納入機数と、21年度納入
機数については、エクリプス側と調整中としている。松尾
プレジデントは今後の見通しについて「エクリプスは数百
機という生産計画を持っているが、いまの経済状況ではど
うなるかわからない。先行きが見えないことには、何機分
製造するか見極めなければならない」と先行きに不透明感
を示した。
エクリプスは、新CEOに就任したロール・ピーパー氏
(RoelPieper)により、米国だけでなく、欧州や東欧、ロ
シア、中東地域での事業展開を計画。とくにロシアには工
場進出など拠点を構えることとし、これまでの大量生産か
ら、ラインを絞って減産して新たに工場を立ち上げる戦略
に変更した。それ以前にも、米国におけるエアタクシー事
業が決して順風ではないことも減産の一因となっていると
考えられる。
また、エクリプス500のようなビジネスジェットは、経
済の影響をまともに受ける。8月のサブプライムローン問
題に端を発し、9月のリーマン・ショックと続き、リセッ
ションに入ったことで、生産計画がスローダウンされたこ
とも想定される。
富士重工では今年度上期に72機分を納入、累計納入機数
は287機分となっている。同社の宇都宮製作所にあるエク
リプス500の主翼製造ラインをムービングライン化されて
おり、月産ベースで最大80機程度まで対応することも可能
となっていた。
★富士重、MRJの胴体設計で協力
富士重工の松尾則久取締役カンパニープレジデントは、
MRJの設計協力部位について、「胴体部分の設計に協力し
ている」ことを明らかにした。
既報の通り、富士重工と三菱航空機は今年9月に、MRJ
に対して技術支援を行うことで合意しており、技術者リー
ダークラス4名を派遣した。技術者4名は、MRJの構造グ
ループに合流しており、9月より2年間、技術者が派遣され
る。
現在は設計支援に留まり、今後の製造参画が期待される
ところだが、現時点での参画方針は決めていないとしてお
り、今後の動向が注目されるところ。
【航空関連ニュース】
★羽田就航を検討、機材はA380またはB777を予定
SIA、航空局とクラス別燃油サーチャージ導入交渉
シンガポール航空
(S I A)のフィリッ
プ・ゴー日本支社長
は、本紙取材に応じ、
「2 0 1 0 年1 0 月以降
に、羽田空港への乗り
入れを考えている。利
用客の利便性を考える
と需要が見込める路線
だと思う。市場の需要
動向によるが、経済状
況が好転すれば、東京
市場は非常に大きい
マーケットなので、
A380での運航も可能
性としてありうる」
と、羽田空港への路線
シンガポール航空のフィリップ・
開設に前向きな姿勢を
ゴー日本支社長
示しており、市場需要
によってA380型機ま
たはB777型機で運航するという。
ゴー支社長によると、東京路線は需要が見込める市場とのこと
で、5月20日にA380型機を成田路線に投入して以来、ロードファ
クターは引き続き90%以上を超えているという。とくに、「ビジ
ネスクラスは、ほぼ満席の状態が続いており、高い需要を維持し
ている」と説明する。
中部および関西路線については、「需要は成田路線ほど高くは
ない。ハイシーズンは満席になるが、今年の平均は約60~70%位
で、短期的に少し厳しい時期が続いた」と分析した。さらに、中
部路線は、経済状況の悪化により、トヨタなどのビジネス需要減
少の影響があると指摘した。
関空路線については、「冬季スケジュールからデイリー体制に
切り替えており、来年の夏季スケジュールもデイリー体制での運
航を予定している」という。来年中旬から2010年初めの間に、現
行のB777型機からA330型機への代替を計画しているとのこと
で、「供給座席数は僅かに減少するが、新しいプロダクトを提供
することができる」と強調した。
今年9月に開催した日本とシンガポール政府間の航空協議で認
められた関空および中部以遠の米国線の可能性については、「中
部および関空ーシンガポール間で安定した実績をあげることが優
先課題なので、当面は考えていないが、市場需要に応じて検討し
ていく」との考えを示した。また、福岡経由関西線については、
今後も週5便体制で運航を続けていく。
ゴー日本支社長は、来年1月からの燃油サーチャージ額につい
て、「旅行者の需要を向上させるためにも下げていきたいと思
う。本国発の燃油サーチャージは、すでに2週間前に減額してい
る。さらに、クラス別の燃油サーチャージ額制を導入しており、
日本でも同制度を導入するために、国土交通省航空局と話し合い
を続けている。同システムの導入が実現すれば、エコノミークラ
ス搭乗者は、利用しやすくなり、システムが承認され次第、導入
(3)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1797号 2008年(平成20年)11月21日 -金曜日 したい」との意向を示した。
ゼロコミッションĂ旅行会社と相談し年末決断
さらに、ゼロコミッションの導入について、「JALやANA
も導入の意向を決めており、他国でもすでに定着しているシ
ステムで、日本での導入にも注意深く検討を重ねている。今
年末に導入するかについて決断する予定だが、決断する前
に、まず、旅行会社と相談する必要がある」とした。
★19年度は105件、20年度は倍増を目標に
航空局、外国機ランプインスペクション実施
航空局技術部は、外国機に対するランプ・インスペクショ
ンを12年度から本格的に開始している。19年度は105件、運
航国数は33ヵ国、航空会社数で57社実施、20年度はすでに
100件は突破、年間で200件程度の実施を目標にしている。実
施件数は13年以降平均100件程で推移しているが、検査体制
の強化で、今年から回数の増加を図り倍増させることのして
いるもの。21年度は成田、関空、中部などに運航情報官各1
名の増員を要求しているほか、航空局運航課の外国航空機安
全対策官には対策官のほか課長補佐、係長各1名だが、専門
官等2名の増員も要求している。
ランプインスペクションは、運航国の会社毎の応じ検査を
計画、事故トラブル等の発生状況に応じて重点化するが、検
査項目は、非常用装備の状況、貨物危険品の搭載状況、乗客
の搭乗手順、航空機の外観、乗員の技能証明、耐空証明書、
航空日誌など、航空機の出発間際の約20分間程度で立入検査
を終わらせるが、特に多いのが装備品の非常灯の故障で機内
誘導灯とか禁煙灯などランプ関係が目立つという。
また、ランプインスぺクションの結果は、その情報を外国
航空当局の安全対策で報告など行い、必要に応じて協議す
る。この制度は、lCAO総会で19年9月の総会で締約国に対
し、自国の領域を飛行する外国の運航者が当該外国から十分
な監督を受けることを確保するなど提起しており、検査では
我が国はすべて抜き打ち検査で実施し、当該運航者ともこの
ためのトラブルはないとされている。欧米でもこの対策を強
化しており、欧州委員会では、ブラックリストを作成、乗り
入れ禁止の航空会社の発動も行い、FAAでは、米国内の路線
拡大等の制限措置を不適合な運航者に対し行っている。我が
国はこのようなケースは現状ではないが、検査の結果、改善
が認められていない場合は、航空協議での場も活用して改善
を要請するとし、過去に米国航空企業の整備改善で航空協議
の場に持ち出し改善を求めた経緯もある。
★AXESS、来春に新システム「AXESS CREA」導入
業務支援システム「URI-P」も開発
アクセス国際ネットワーク(AXESS)は、日本航空
(JAL)との共同開発により、来春にも次期AXESSシステム
「AXESSCREA(クレア)」を導入する。また業務支援シ
ステムについても次期バックオフィスシステムとして新たに
「URI-Pro」を開発、同時期に提供を開始する。
「AXESS CREA」は、現在の「AXESS II」および
「AXESSNeo」の後継にあたる。WEBベースのシステムと
して、PCにソフトウェアをインストールすることで、イン
ターネット環境下での予約から発券までの操作が可能とな
る。プロユーザーから初心者まで、幅広いユーザーに対応し
た快適な操作性を提供するのが特徴だ。
具体的には、従来の予約発券画面を継承。初心者向けのコ
マンド入力を支援するガイド機能、また発券や印刷、情報検
索をサポートする便利なツールを設けており、他にも予約発
券画面とAXESS情報Webのコンテンツ連動機能など、ユー
ザーの利便性を考慮した機能を盛り込む。
さらにJAL国内線予約/発券業務には、新たに日本語ベー
スのGUI(グラフィカルユーザーインターフェーズ)を導
入。コマンド入力を行わずに操作が可能となり、Eチケット
(ET)に対応した二次元バーコード入りのPIR(ETお客様控
え)の発行にも対応する。
また「売り上げ君II」の後継となる「URI-Pro」では、
データ保有件数を増やし、操作画面を分かりやすくすること
で、機能性が向上。実績レポート機能やデータ検索機能も拡
充することで、より充実したバックオフィスシステムとして
グレードアップを図る。
AXESSでは、現在提供している全ての「AXESSII」および
「AXESSNeo」、「売り上げ君II」を来春以降順次「AXESS
CREA」と「URI-Pro」に置き換える予定だ。
★JMB「くまのがっこう」カード登場
日本航空(JAL)では12歳以下の子どもを対象にしたJAL
マイレージバンク(JMB)会員カード『JMB「くまのがっこ
う」カード』を2008年12月1日から2009年3月31日の期間限
定で発行する。
このカードは人気の絵本シリーズ「くまのがっこう」の
キャラクターをデザインに採用し、期間中に申し込みのあっ
た12歳以下全員に発行する。また申し込んだ子どもにはもれ
なくJMBオリジナルのくまのがっこうシールをプレゼントす
るほか、抽選で100人にぬいぐるみモコモコジャッキーが当
たる。
くまのがっこうは、2002年から発刊された絵本シリーズ
で、山の上の寄宿舎で暮らす12匹の“くまのこ"たちが描かれ
ている。現在13冊が出版され、100万部を超える人気シリー
ズとなっており、フランスや台湾でも翻訳販売されている。
この絵本は、国内線の機内にも搭載しており、東京・大阪
のJALプラザや名古屋・福岡のJAL市内カウンターでは、主
人公のジャッキーのぬいぐるみがスタッフの制服を着て登場
するほか、2008年12月20日から2009年1月7日は札幌・羽
田・伊丹・関西・那覇の各空港でタイアップした、冬休み
「JALキッズランド」を展開する。
★ANA、下期欧州線ビジネスクラスに「ビジ割21」申請
全日空(ANA)は、20日、2008年下期(2009年1月1日~
2009年3月31日日本出発分)の欧州路線ビジネスクラス割引
運賃「ビジ割21」を国土交通省に申請した。
出発21日前までに予約・購入すると割引になる同運賃の
例としては、東京・大阪・名古屋=ロンドン・パリ・フラン
クフルトが平日運賃(燃油特別付加運賃および航空保険特別
料金込)が52万円、週末運賃が72万円となっている。
(4)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1797号 2008年(平成20年)11月21日 -金曜日 【航空工業/防衛ニュース】
★富士重工、AH64D予算要求見送りで「先みえず」
「関連企業経営に重大な影響」も懸念
富士重工航空宇宙カンパニーの松尾則久プレジデントは、
戦闘ヘリコプターAH64-Dが21年度概算要求でも予算化が見
送られたことについて、「先行きはみえない」と不安感を示
した。AH64-Dプログラムは、富士重工航空宇宙カンパニー
の防需を支える大きな柱となるはずだった。そこで、富士重
工は莫大な投資を行った。AH64-Dプログラムの初度費償却
残額は実に約400億円にのぼる。大きな期待を抱いて巨額投
資を行ったが、防衛省側の調達見直しにより、AH64-D調達
数が伸びず、一転して苦境に立たされることになっている。
AH64-Dの予算化が2年連続で予算見送りとなったことにつ
いて富士重工は、「関連企業にとって、企業経営に重大な影
響を及ぼしかねない事態と認識している」と、調達見送りに
懸念を示した。
防衛省のAH64ーD調達機数が伸びないため、富士重工の年
間1~2機程度の少量生産が継続。これまでの納入機数は、平
成17年度に2機、18年度2機、19年度は2機納入しており、20
年度についても9月に7号機を納入、来年2月には8号機を納入
する計画。年間2機程度の生産が続き、製造が滞ることで経営
にも影響を与える事態となっている、という。
そのほか、AH64-Dについては、国内関連企業は約400社
にのぼり、なかには中小零細企業も多い。ライセンス生産を
行っている富士重工としても防衛事業を基盤事業と捉えてい
るだけに苦しいが、体力の弱い関係各社にとって更に大きな
経営インパクトがありそうだ。
富士重工は、「中期防衛力整備計画に沿った受注を早期に
頂けることを強く期待している」と、改めて計画通りの受注
数確保に期待感を示した。しかし、仮に製造に空白期間が生
じることになれば、松尾プレジデントは製造ラインの維持に
ついて「発注がある限り続けるが、空白期間はあっても1年
で、2年は非常に厳しい」としている。
AH64-D関連では、9月に戦闘シミュレーターの納入を完
了。機体を保有していて戦闘シミュレーターも保有している
国は、米国、英国、そして日本の3カ国のみ。また、整備実習
装置も設計作業を進めており、今年度は(その2)の受注を期
待している、としている。
富士重工航空宇宙カンパニーの第2四半期連結累計期間の売
上高は前年同期比20億円増の423億円。ホーカー4000の納入
増加が売上に貢献した。営業利益は、為替差損があったこと
から10億円減の21億円となっている。通期の見通しでは、民
需におけるB787型機のスケジュール調整関係と為替変動、防
需でもXP-1/C-Xの開発ピークの峠を越えたことによる減少
分があるため、減収減益となる見通しにあるという。
防需がAH64-Dプログラムで苦境となっているなど、次の
防需の大きな柱となる事業がなかなか見えてこない。また、
民需ではB787型の開発遅れによるスケジュール調整と、エク
リプス500主翼の生産停止といったこともあって決して良い
状況とはいえない。
下期については、利益を牽引しているB777型、B737型と
いったボーイング事業も、ボーイングのストライキの影響で
これまでのフル生産から減産調整に入っている。
今後、ボーイングとのスケジュール調整が終了すれば、生
産ペースも元に戻ると思われるが、松尾プレジデントは「10
月以降、経済情勢の大幅な変動により先行きの不透明感が強
まっている」とし、ボーイングのストやエクリプス500の減
産など「外的要因は極めて不安定」とコメントしている。
基盤となる防需ではPC-Xの量産に期待がかかるところだ
が、次の新規事業が見えてこないことについて松尾プレジデ
ントは「いろいろと厳しい状況だが、我々の事業戦略では、
防需は減少しても基幹事業」として、防需が減ってはいるも
のの、同社の根幹を支える事業として大切にしていきたい、
としている。
逆境の中の対策、フロータイム短縮と生産性向上
フロータイム15%短縮成功、生産性も来年度倍増へ
外的要因が揺れるなかで、富士重工は今年度から“モノと
情報のフロータイム短縮”と“生産性向上”を重点課題に掲
げている。フロータイムを半分に、生産性を倍に、というそ
れぞれの課題を目標に取組を進めてきている。これにより、
荒波を乗り越えて行きたい考え。
そこで、富士重工の強みである自動車側からのアドバイス
やボーイングの活動を採り入れて、課題に取り組んでおり、
松尾プレジデントは「フロータイムは15%短縮された」と評
価。一方、生産性については「数%程度向上した。今年度、
20%の刈り取りを目指す」としている。まだ目標には達して
いないが、フロータイム短縮については、今年度に半減する
ことを完了させることにしており、一方の生産性倍増は来年
度に改善を行いたいとしている。
★イージス艦「ちょうかい」弾道ミサイル迎撃に失敗
発射予告無しの試験で目標を最終段階で見失う
防衛省/海上自衛隊は、20日午前11時21分(現地時間19日
午後4時21分)ハワイ・カウアイ島沖で、弾道ミサイル防衛
機能の付加改修を完了したイージス護衛艦「ちょうかい」の
SM-3ミサイル発射試験を実施したが、模擬弾道ミサイルの
迎撃が確認されず、最終段階でSM-3が目標を見失ったもの
と見られる。SM-3は飛翔後、海面に落下したものとみられ
る。
海上自衛隊のイージス護衛艦による弾道ミサイル迎撃試験
は、昨年12月に「こんごう」が実施して、成功しているが、
防衛省によると今回は事前に模擬ミサイルの発射時刻を知ら
せずに、より実戦に近い形で行われ、難易度が前回より高
かった、としている。
目標を見失った原因については、発射試験に使用された
SM-3が試験データ収集のため、実弾にセンサ等を追加して
おり、ある程度のデータが収集されているもようなので、日
米がこれから共同で分析していくことになる。
改修されたイージス艦は、我が国の弾道ミサイル防衛シス
テムの内、海上配備型中間コース迎撃を担当するもので、弾
道ミサイルを発見し、追尾できるようイージス・システムの
レーダーなどを改修し、3段式ロケットを持つSM-3ミサイル
で、大気圏外におてい弾道ミサイルを迎撃するもので、「こ
んごう」型の4隻を改修する計画となっており、「ちょうか
い」は改修2隻目。
(5)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1797号 2008年(平成20年)11月21日 -金曜日 ★山田洋行 装備品価格に4億近く水増請求
防衛省は、山田洋行による整備品価格に関わる課題請求に
対して調査を行っているが、20日、新たに過大請求が判明し
たことを発表した。
今回判明した契約についての過払額約3億7532万円につい
ては、債権として確定させ、同日他の契約における支払い債
務と相殺を行った。
過払案件12件のうち、もっとも金額が多いのは武器等用部
品(輸入品)の購入。1億3513万円の当初契約金額に1億241
万円を水増し請求している。そのほか、航空武器等用部品
(官給品及び部隊整備用)AMPLIFERほか19品目の購入には
3億2266万円の当初契約金額に約8116万円の過払請求を行っ
ている。
防衛省は山田洋行に対し、12品目の過払案件小計約3億260
万円に延滞金7272万円を加えた約3億7532万円を債権として
確定している。
山田洋行の過払請求が判明したのは、今年で3回目。山田
洋行は2月28日に5億4982万円、9月12日に7880万円の相殺
を行っている。
防衛省は、山田洋行に対する調査を引き続き行ってゆく。
【海外エアラインニュース】
★UAL、次世代航空運行技術活用し新たな技術革新
燃料消費1564ガロン、CO2排出3万2656ポンド削減
ユナイテッド航空(UAL)は、「二酸化炭素排出量削減を
目指すアジア・南太平洋イニシアティブ(ASPIRE)」の飛
行テストにおいて、1564ガロンの燃料消費量削減と3万2656
ポンドの二酸化炭素排出量削減を達成した。これにより、次
世代航空運行技術活用による新たな技術革新を実証した。
本紙11月19日号で既報の通り、今回の飛行テストは、燃料
削減を目的とした計11の環境対策の手法を駆使し、UAL870
便でシドニーーサンフランシスコ間を飛行した。同飛行法は
「ASPIREユナイテッド」と名付けられ、燃料の燃焼および
二酸化炭素の排出量を削減することを実現した。
シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事は、「カリ
フォルニア州が航空業界の将来を担う最前線に位置し続ける
上で重要な技術をこの目でじかに確認することができ大変光
栄に思う。燃料消費量と二酸化炭素排出量の削減は、コスト
削減および環境保全を両立するビジネスの新たな実例といえ
る」とコメントを寄せた。
UALのピート・マクドナルド最高総務責任者(CAO)は、
「ASPIREユナイテッドは、米国が次世代技術および現航空
管制システムの改訂に投資することで実現可能となる、環境
保全および燃料の節約を実証した」と述べている。
ドした航空券が贈呈された。
なお、COAは、現在B787-800型機(Cクラス14席、Yクラ
ス141席)で、福岡ーグアム路線をデイリー運航している。
【旅行関連ニュース】
★JTB首都圏、米国へのフライ&ドライブ販売強化
専用サイト開設、第1弾はカリフォルニアに焦点
JTB首都圏は、新しい旅行スタイルの提案としてアメリカ
での「フライ&ドライブ」の販売強化に乗り出した。11月21
日には専用ウェブページを開設、米カリフォルニア州にス
ポットを当て、ワイン産地の「ナパ」や「ソノマ」、美しい
場所として知られる「モントレーからカーメル間の17マイル
ドライブ」など、冬の時期でもドライブしやすい3コースを紹
介している。初年度(08年度)で前年実績の200%をめざ
し、来年度はアメリカ東部、カナダ、オセアニアに取り扱い
地域を拡大を計画するなど、フライ&ドライブの拡大を図
る。
JTB首都圏ではフライ&ドライブのプロモーション展開に
合わせ、指定店舗で米国行きの航空券とレンタカーを同時に
申し込むと、国際免許証翻訳フォームの申請代金(1500円~
2000円)を無料にするキャンペーンも実施する。期間は来年
3月末まで。対象店舗はトラベルデザイナー新宿、トラベルデ
ザイナー越谷レイクタウン、海外自由旅行電話販売センター
(電受専門)の3店舗。
※フライ&ドライブ専用ウェブサイト(11月21日開設)=
http://www.traveldesigner.jp/tdd/drive/
★「本当のカリブ海をプロモートしていく」
カーニバルGSAのアンフィトリオン、MICE強化も
カーニバル・クルーズ・ラインの日本地区総代理店
(GSA)などを務めるアンフィトリオン・ジャパンの島田記
一代表取締役社長がクルーズ記者会の共同インタビューに応
じ、カーニバルクルーズの来年以降の販売方針について、
「原点に戻り、本当のカリブ海というものをプロモートして
いきたい」と述べ、北米発カリブ海クルーズの販促を最大の
ポイントとしていく方針を示した。
★COA、福岡ーグアム線の搭乗者数100万人を達成
コンチネンタル航空(COA)は、11月20日に、福岡ーグ
アム路線の搭乗者数100万人を達成した。これを記念して、
COAは福岡空港において記念セレモニーを開催した。100万
人目の搭乗者には、特別プレゼントとして、福岡ーグアム間
のエコノミークラス航空券をビジネスクラスにアップグレー
アンフィトリオン・ジャパンの島田記一社長(右)と鈴木学
営業本部長
(6)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 第1797号 2008年(平成20年)11月21日 -金曜日 また、「とくに他社に比べて弱いのがFIT層への取り組み」
とし、来年中にも日本語予約サイトを開設する計画を明らか
にした。現状の日本のクルーズ市場については、「若い人を
どう取り込むかが最大のポイントになるだろう」と述べ、ハ
ネムーンマーケットなどへの取組強化が必要との認識を示し
た。
今年のカーニバルクルーズの販売動向については、「もと
もとカーニバルのクルーズを利用する人は低価格志向が強
く、燃油サーチャージの高騰でクルーズの価格的なメリット
が薄れてしまった。来年も経済状況を見ると楽観はできず、
(クルーズ販売は)なかなか難しい状況」とした。
来年はカリブ海の販促に力を入れるが、「できるだけ日本
人コーディネーターを乗船させていく」(島田社長)ことで
日本人乗船客の拡大を図る方針。人気の高いロサンゼルス発
のショートクルーズをはじめ、カリブ海のサンファンなどを
周遊するマイアミ発カリブ海クルーズなどに乗船させる計画
だ。
一般旅行者に加え、会議やインセンティブでの利用など
MICE目的での利用者拡大にも取り組んでいく。島田社長は
「MICE関連は時間とお金をかけて伸ばしたい」とし、旅行会
社の営業担当者などにクルーズ船を利用した実施メリットを
積極的に提案していく方針。
なお、同社の営業本部長として、今年9月より新たに鈴木学
氏が就任している。
★KNTとイオンの業務提携で「WAON」拡大へ
12月より沖縄の観光施設で決済サービスを開始
近畿日本ツーリスト(KNT)は大手スーパーのイオンと共
同で、電子マネー「WAON」に関して業務提携を行うことで
基本合意した。KNTが契約機関としている全国の観光施設の
うち、沖縄本島をモデル地区として12月下旬からWAONの決
済サービスを順次開始する。具体的には、沖縄の「ナゴパイ
ナップルパーク」など観光施設での入園料や土産品の購入の
ほか、「サムズレストラングループ」での食事、「日産レン
タリース沖縄」でのレンタカー利用などでWAONを利用でき
るようにする。対象店舗は30~50カ所を計画する。
また、200円(税込)ごとにWAONポイントを1ポイント、
JALとの提携カードの「JMBWAON」や「イオンJMBカー
ド」の利用で1マイルなど、旅行先の観光施設でもポイントや
マイルを貯めることができるようにする。さらに、一部施設
ではWAON利用者特典も用意する計画。まずは沖縄での共同
展開を図り、“観光通貨”としてWAONの定着をめざしてい
く。
イオンが発行するWAONは、昨年4月の決済サービス開始
以降、順調に利用可能店舗や発行枚数の増加を示しており、
今年10月末現在で約620万枚を発行、利用可能店舗は約2万
6000店舗におよぶ。今回の業務提携により、WAONの利便性
をアピールしていくとともに、両社の顧客基盤や事業特性を
活かすことで相互の顧客拡大をめざす。
【人事異動】
★JAL管理職の異動
(11月25日付)
▼ホーチミン支店ハノイ事業所先整備長(整備企画室付JAL
航空機整備東京兼整備人材開発部)倉内広文
▼整備企画室付JAL航空機整備成田(ホーチミン支店ハノイ
事業所先任整備長)坂本秀行 (12月1日付)
▼大分支店長兼大分支店長大分営業所長兼経営企画室付ジャ
ル・エクスプレス兼空港業務部付JALスカイ九州圏経営企画
室付日本エアコミューター兼関連事業室付ジャルセールス九
州(東響支店国内販売部第1販売グループ長)鈴木剛
▼OCC運航官室欧州・米州グループ長兼経営企画室付JAL
ウェイズ(OCC運航管理室欧州・米州第2グループマネ
ジャー兼経営企画室付JALウェイズ)藤南真二郎
▼OCC運航管理室アジア・オセアニアグループ長兼経営企画
室付JALウェイズ(OCC運航管理室アジア・オセアニア第1
グループ長経営企画室付JALウェイズ)堀川隆
▼等挙素批点国内販売第1販売グループ長(東京支店国内販売
部第1販売グループマネジャー)大堀哲
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