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技術・家庭科指導案 1. 題材 自分で選んで調理します―肉・魚 ( 生活の
技術・家庭科指導案 1. 題材 自分で選んで調理します―肉・魚 日 時 平成15年10月28日( 火) 第 5 校 時( 14:00∼14:50 ) 場所 高山市立中山中学校調理室( 1階) 学級 2年○組 ( 男子20名 女子15名 ) 指導者 山平 玲子 ( 生活の自立と衣食住) 2. 指導の立場 (1)題材について 「生活の自立と衣食住」の学習では、自分の生活を自分の力でよりよく,より楽しくできるようにする能力を育成するという 観点から,衣食住に関わる基礎的・基本的な内容を実践的・体験的な学習活動を通して学習する。生徒のまわりには食べ物があ ふれ、健康などに関する情報が氾濫している。好きなものを好きなときに好きなように食べている現状、 「肉料理は大好きだが、 野菜が食べられていない。魚料理もあまり食べられていない。 」という実態を見つめ、自分の食事のとり方をの問題点に気づき、 それを改善していける題材構成となるようにした。 本題材では,肉・魚の調理上の性質を理解し、簡単な日常食の調理に必要な技術を身に付けることをねらいとしている。家庭 からの取材、生徒の知っていることの発表を位置付け、食品の性質、栄養素を効果的にとるための調理方法、調理操作の意味、 調理による変化などと結びつける。意識して実習し、改めて肉・魚の性質を確認することで、おいしさはどんな点に気をつける ことで成り立つのか実践的に学んでいく。肉・魚の調理上の性質がわかることにより、家族と買い物に行っても食材に関心をも ち見たり、選ぶ際に学んだこと生かし、より新鮮でよいものを選ぼうとしてくれることを願う。 (2)「魚の扱い」について 魚は、昔から日本人のたんぱく源であった。 飛騨地方では、冬、富山から塩ぶりが運ばれ、長野県に運ばれたことから、 「ひだぶり」といわれた。日保ちさせるために塩で つけられたぶりであるが、現在は高山で、味付けの意味で塩ぶりにされる。正月には必ず食べる風習がある。 魚の栄養価に付いては、最近「血液がさらさらになる不飽和脂肪酸」が話題になっている。特に青魚の脂肪のDHA、EPA といった不飽和脂肪酸は、中性脂肪や悪玉コレステロール値を下げて血液をさらさらにする働きがある。栄養的には申し分のな い魚だが、料理となると、 「下処理が大変そう・・・」と敬遠されがち、結局はいつも簡単な塩焼きで済ませてしまうということ もある。 スーパーの開店時間後、すぐに魚売り場に行くと、本日入荷したばかりの旬の一尾の魚がたくさんの種類、並んでいる。その 奥で、調理人さんが魚を見事な手ぎわで魚をさばいている。こんな光景は、夕方遅くにしかスーパーに行かない人、中学生はほ とんど見たことがないのである。 実際に普段食べている魚について質問すると、鮎の塩焼き、さしみ、鮭の塩焼きの切り身である。全生徒が、魚を開いた経験 がない。魚が嫌いな生徒は数名で、生臭さや、骨が嫌いの原因になっている。種類や、料理法によって好き嫌いがある生徒が多 い。一尾の魚がどのように開かれ、必要でないところをどう処理し、調理されているのか知らない生徒。肉や、魚は解体されて 目の前にあると、食材そのものであるが、一尾の魚を扱うことで自分で骨、内臓を取り出す作業を経て、美しく整った切り身の 魚になることを、命あるものをいただいいて人間は成長している、魚を大切に生かして調理するということを、体験を通して感 じてほしいと願っている。 本校の生徒の実態から考えての教材の精選をすると、魚の調理上の性質を学習でき、一尾の魚を扱い、不要なものを取り除い て調理に使うことを学習するには、第1に「いわし」が適切であると考える。秋の旬の魚であるいわしは身が柔らかいため、包 丁を使わず手で簡単に開くことができる。魚の調理としての基礎的・基本的な調理の教材として適しているが、年々いわしの漁 獲高が少なくなり、今年は特に顕著で、魚屋さんと連絡をとるが、 「畑でなっているのでないので」前日にもう一度電話をして手 にはいるかを確かめるような状況である。 手に入らないときは、さんまを使う。さんまのよさは、今年は特に豊量であり、いつでも店頭にあること。一尾のまま塩焼き という食べ方が多いと思われるので、煮たり焼いたりして、いろんな食べ方があると考えを広げることができる教材であると考 える。 <生徒が取材してくると考えられる調理法> 旬の魚 秋 生 魚名 一尾 いわし 値段に変動あり 手開きがで 年々とれなくなっ きる 焼く 煮る 塩焼き 開い 香り煮 て 梅煮 揚げる フライ てんぷら フライ ている さんま 今年は安い さば 切り身 骨が硬い、 内臓はとり やすい 蒲焼 梅しそ焼き 味噌煮 塩焼き 香り煮 味噌煮 骨が硬い どんな調理 法にもあう 頭、内臓を 取り除いて あじ 鮭 香り煮 味噌煮 ムニエル ムニエル 3. 生徒の実態 「魚」についての、知識や家庭での調理方法の経験について実態をつかむために、授業学級を対象にアンケートを行った。 「魚」好きな生徒は全体の3分の1であるが、普通と言う生徒は「調理方法で好きなものもある」という、嫌いな生徒は、 「生臭 さ」 「骨」を嫌いの理由にしている。自分で調理をした生徒は5分の1であり、その調理方法も、焼いたり、切り身をムニエルに する程度であった。家庭で魚を開いた経験のある生徒は1名だった。 本時間は、生徒の実態から、家庭での魚料理の取材を通して、 「魚の臭みを消して、魚の旨みや栄養を逃がさないような」調理 の工夫を見付けだし、確かめる授業である。各家庭の日々の魚料理の中には、栄養がいっぱいの魚を食べやすくするため、栄養 を逃がさないための調理の基礎が踏まえられているはずである。 4. 研究と関わり (1)学校の授業と日常を意識させる指導計画の作成 魚料理について調査をし、発表する場を設け、魚の性質を生かした調理のポイントを見つける。そこから見つけたポイントを 実習をしながら確かめる。 (2)ひろがりのある見方・考え方をもたせる。 ハンバーグの調理を振り返り、魚の調理も、たんぱく質の調理上の性質を生かした調理であることをつなげる。 焼き魚ペア、煮魚ペアの調理ペアを組ませ、1グループ結成する。 (3)生徒が活用できる評価を位置付け る ペアでの調理ポイントアドバイス活動を、実習中に位置付ける。 生徒が1時間の授業を通して、自分の姿を見つめ、どんな力をつけることができたかを振り返る、 「自己評価カード」を活用す る。 5. 本時の位置 第4ユニット 自分で選んで調理します―肉・魚 ( 生活の自立と衣食住) 本時 8/ 8 (指導計画:別紙参照) 6.本時のねらい 魚の臭みを消すために香の強い野菜を使い、栄養素や旨みを逃がさないようにするために熱した(煮汁、フライパン)に身を 入れるタイミング、入れ方、火加減ををとらえ、身を崩さずに魚料理を作り、盛りつけることができる。 7.本時の展開 学習活動 教師のはたらきかけ ○身支度,材料,用具の準備をし,換気など環境を整える。 ○取材したことのポイントを確かめる魚 【授業の役割】 < 生活の技術 > 評価・留意点 料理の実習をしよう。 ・各調理台―ペア(2名、3名)が2組 で1G結成 課題:魚の臭みを消し、身を崩さない(栄養素や旨みを逃がさない)加熱の 仕方を考えておいしい魚料理を作ろう。 焼き魚1ペア 煮魚1ペア ・衛生―まな板をぬらしてから、ふきん ○ポイント確認 ○示範を見て、ポイントを確認しよう。 臭み消し ・焼く−しょうが 身を入れるタイミング ・目で見て 音を確認 でふいて使う(野菜面) 臭いは 蒲焼―熱して入れる 表から先焼く 手洗い、4点着用、 ・安全―包丁 (蒲焼) 【評価規準】 ・ 魚の調理上の性質を考え、計画にそって 煮る―しょうが、にんにく―熱して入れる 表が上 (香り煮) 衛生的で安全に調理することができる。 ○魚の臭みを消し、身を入れるポイントを意識しながら、ペア ○魚の臭みを消し、身を入れるポイントを で魚料理を作ろう。 意識しながら、ペアで魚料理を作ろう。 A調理中の火加減による魚の変化に気づ ○目指す姿A,Bを提示する。 き,盛り付けにもこだわり、調理のポ 調理のポイント 出来 ○評価―アドバイス *衛生 おいしそう 焼くB フライパンを温めて ・崩さず盛りつけ 余分な粉をはらう ・表面面に適度な 強火 焦げ 表から焼く 火加減 盛り付け 煮るB *安全確認 調理中気をつけ観察 汁 ○評価―アドバイス ペアでポイント *身を入れるタイミン *身の入れ方 ・たれをかけて ○評価 頭が左 煮立った煮汁 ペアでポイント確認 *火加減 ・煮崩れしない 煮汁だけが動くくら ・崩さず盛りつけ いの火加減 ・中までしみ込む 頭左、腹前 【手だて】 ・示範を観察することで、調理の方法を つかめるようにする。 の方法、身を入を確認していく。 ・流れを板書し、活動の手助けになるよ うにする。 調理中気をつけ観察 する 料理を作ることができる。 ・ポイントを問い返しながら、臭み消し 落としぶた 盛り付け を意識し、衛生的で安全に配慮し、魚 ※Bに到達させるための手立て する 火加減 し、魚料理を作ることができる。 B調理のポイント(臭み消し、身を入れ グ 表を上にして入れる 煮るA イントを意識し、衛生的で安全に配慮 るタイミング、身の入れ方、火加減) ・かんだときに肉 こげ色ついたら弱火 焼くA ペアでポイント ・ペアによる調理中のポイント確認 ・ねぎを散らして ※Aに到達させるための手立て ・目指す姿の掲示 ○試食をする。 ・盛りつけ図の掲示 ○実習の振り返りをし,どんなことが確かめられたか交流す 【評価の方法】 る。(目で見た調理中の変化、食べてみての感想) ・煮魚は、煮汁を沸騰させた中に入れると、すぐ色が変わり、 ○評価 相互評価 グループで ■出来上がりの評価 固まり、旨みが逃げない。 ■学習プリント ・蒲焼は、フライパンを温めて、強火で焼いた。フライパン ■発表 を火から遠ざけたり、フライ返しで焼き加減を見て、火加 広がり 減に気をつけた。 ・魚は生臭くてあまり食べなかったが、他のペアの蒲焼は粉 をかけて焼いてあり、たれが魚の臭みを消して、とてもお いしかった。アイディア一つで食べやすくなる ○自己評価をする。 ■机間巡視 煮魚はどんな方法であっても煮立 った中に入れる。 切り身であっても、一尾でも、つみれ でも同じ ○後片付けをする。 出口の意識:家で調べた魚の調理方法はたしかに魚の栄養素や旨みを逃がさない、おいしい食べ方だ。 った。肉に比べて食べることが少ない傾向にある魚料理だが、これからは積極的に食べや すくし調理したい。家の人にも作ってあげたい。