Comments
Description
Transcript
大腿骨近位部骨折 - 日本赤十字社 松山赤十字病院
2014.10.10. 救急部カンファレンス 大腿骨近位部骨折 松山赤十字病院 整形外科 德本 真矢 さて、問題!! Q:骨折部位と病名は? A:大腿骨頚部骨折 Q:骨折部位と病名は? A:大腿骨頚部骨折 Q:骨折部位と病名は? A:大腿骨転子部骨折 大腿骨近位部骨折の分類 大腿骨近位部骨折の分類 大腿骨頚部/転子部骨折ガイドライン 大腿骨頚部骨折の分類(Garden分類) 骨接合術 人工骨頭置換術 大腿骨頚部骨折の分類(AO分類) なぜ分類するの? 内側大腿回旋動脈が 大腿骨頭・骨頚部の ほとんどの血流を供給 頚部骨折ではこの血管 がしばしば損傷 大腿骨頭は充分な血 流を確保できず、 無腐性壊死に陥る 医学書院:グラント解剖学図譜 大腿骨頭壊死 山野賢一ら:大腿骨頚部内側骨折術後のMRIにおけるBand Patternの検討:骨折第17巻No.2 1995 より 大腿骨転子部骨折の分類(Evans分類) 骨接合術 大腿骨転子部骨折の分類(AO分類) 疫学 高齢者に圧倒的に多く発生し、女性の方が発生数、 発生頻度ともに高い 40歳から年齢とともに増加し、70歳を過ぎると急激に 増加する 大腿骨転子部骨折の発生率は頚部骨折の約1.3~1.7倍 大腿骨頚部/転子部骨折ガイドライン 我が国での年間発生数は2000年に約11万人 2010年に約17万人、2020年には約22万人に達すると 推計されている 寝たきり症例の原因疾患として脳卒中に次いで2番目 である 大腿骨頚部/転子部骨折ガイドライン 当院では2012年7月~2013年6月まで 大腿骨頚部骨折 64例 大腿骨転子部骨折 68例 大腿骨転子部骨折 68肢 大腿骨頚部骨折 64肢 高齢者に多い=合併症が起こりやすい ・環境の変化で食事量低下 ・痛みのため、排泄を少なくしようと摂取量を 自主的に減少 ・仰臥位のため循環血液量が減少する。 ・特に、転子部骨折は関節外骨折、血流の多い 部位のため、出血量が多い 深部静脈血栓症、肺梗塞 脳梗塞、心筋梗塞 【鑑別疾患】 ・恥骨骨折 など 【注意】 ・転倒歴がなくても発症することがある。 ・転位のない骨折は初診時にはわからないこともある (3%)。 CT、MRIの検査追加、後日Xp再検 また問題です。 Q:あなたならどうしますか? 大腿骨頚部骨折(GardenⅡ) A:骨接合術(ハンソンピン) 後療法 翌日から全荷重または免荷 ただし… 免荷を行うメリットを示す エビデンスはない 大腿骨頚部/転子部ガイドライン Q:あなたならどうしますか? 大腿骨頚部骨折(GardenⅣ) A:人工骨頭置換術 (Accolade) 後療法 術後1~2日目にドレーン※抜去 ドレーン抜去後より荷重訓練開始 ※ドレーンは挿入した方が出血、感染のリスクが 減るというエビデンスあり Q:あなたならどうしますか? 大腿骨転子部骨折(Evans 3) A:骨接合術(γ-nail) 後療法 基本的に術翌日より歩行訓練 *粉砕の強い症例や不安定性の強い症例 では術後に免荷を行う 応用編 Q:あなたならどうしますか? 大腿骨頚基部骨折 A:骨接合術(γ-nail) Q:あなたならどうしますか? 大腿骨転子下骨折 A:骨接合術(long γ-nail) 大腿骨近位部骨折の予後 【骨折リスク】 初回受傷後より2年以内に75%が反対側の骨折 【死亡率】 術後1年で9.8~10.8% 【予後不良因子】 高齢、長期入院、受傷前の移動能力が低い、 認知症、男性、心疾患、BMI低値、 術後車椅子または寝たきり、骨折の既往 どんな手術かご覧になりたければ・・・・ 整形外科に見学に来ましょう!