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骨折~高齢化社会に向けて

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骨折~高齢化社会に向けて
「私の体験した疾患とその病理」
骨折
~高齢化社会に向けて~
<高齢化社会>
総人口に占めるおおむね65歳以上の老
年人口が増大した社会。
<高齢化率>
65歳以上の高齢者人口が総人口に占め
る割合。
高齢化社会 7~14%
高齢社会 14~21%
超高齢社会 21%~
平成22年(2010)年10月1日現在、日本
の高齢化率は?
1.7~14% (高齢化社会)
2.14~21% (高齢社会)
3.21%~ (超高齢社会)
年
総数(万人)
老年人口(万人)
高齢化率(%)
1950
8320
411
4.9
1955
8928
475
5.3
1960
9342
535
5.7
1965
9827
618
6.3
1970
10372
733
7.1
1975
11194
887
7.9
1980
11706
1065
9.1
1985
12105
1247
10.3
1990
12361
1493
12.1
1995
12557
1828
14.6
2000
12693
2204
17.4
2005
12777
2576
20.2
2010
12806
2925
23
5人に1人が高齢者、9人に1人が75歳以上
現役世代1.3人で
1人の高齢者を支える社会の到来
(2010年は2.8人)
1.診断名:骨折(左母指MP関節)
2.診療機関:整骨院、整形外科
3.罹患時期:15歳、野球部の守備練習中に受傷
4.症候
<一般的症状 (一般外傷症状)>
骨損傷時もみられるし、他組織の損傷時もみられる。こ
の症状だけでは骨折と断定できない。
① 疼痛:受傷直後は強くなかったが、徐々に発生。
② 腫脹:数時間後に発生。数日後に皮下出血斑。
③ 機能障害:左母指を動かすことができなかった。
<特徴的(指定)症状 (固有症状)>
骨折時に現れる症状。
1 異常可動性
2 軋轢音
3 転位・変形
自覚症状
○受傷直後から周囲が白くなっていき、めまいがあった。
他覚症状
○強い腫脹、皮下出血斑(左母指背側から手関節橈側)
直接症状
○徐々に疼痛が強くなり、左母指を動かすことができなかった。
間接症状
ショック:化学的、物理的、または精神的な刺激によって神経系が
激しく興奮したり、機能が低下することで、全身の血液循環が片
寄った状態になるために発生。
発熱:受傷後数時間後に37~38℃の発熱をみることがある。骨
折血腫やその他の組織の分解物の吸収のために発生。
5.検査の種類と目的
①.レントゲン検査
2.CT検査
3.MRI
4.骨シンチグラフィー
テクネチウム(99mTc)というラジオアイソトープを含んだ薬剤を
注射して行う核医学検査。薬剤が骨の代謝や反応が盛んなところ
に集まる性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折を調べる。
5.音叉
特定の高さの音を発する金属製の道具。聴覚障害の鑑別や四
肢に当てて振動覚の評価に用いられる。骨折を疑う骨の体表面上
に音叉を密着させて反応をみる。骨折部に近づけば近づくほど痛
みが強くなる。骨折部の上では身体をのけぞらせるほどの痛みを
訴える。
6.初診時の予後判定
整骨院:予後良好
整形外科:徒手整復が困難なため手術が必要になるかもしない。
きちんと固定、リハビリをしないと指の動きに障害が残る。
7.手当て・治療など
○整骨院:湿布、副子、包帯固定
○整形外科:徒手整復後、ギプス固定。
<一般的な治療法>
骨折治療の基本は、折れた骨を元の位置に戻して固定
すること。
○単純骨折で骨の転位がなければそのまま固定をし、
骨の転位がある場合は徒手整復や牽引などの非観血的
整復術や手術による観血的整復術によって正常なアライ
メントに戻し、一定期間固定し安静を保つ。
複雑骨折では骨が表皮から飛び出すことで様々な細菌
が存在する外界と交通してしまうことから感染症の阻止
が最重要課題となる。
<その他の治療法>
超音波骨折治療器
骨折した部分に弱い超音波を当てて刺激を加えると
骨の圧電現象とWolffの法則に従って、骨折の治りが早
くなる。
骨の圧電現象:骨に圧力を加えると電気が発生するとい
う現象。電気には骨を作る働きがある。
Wolffの法則:骨は圧力が加わる部分が強くなり、圧力が
加わらない部分は弱くなる。
8.疫学的背景(統計等)
<小児、思春期に多い骨折>
1.若木骨折:骨が完全に破断するのではなく、若木の
枝を折り曲げたような状態になること。
2.竹節状骨折:骨の長軸方向に圧が加えられて、竹の
節のような環状の隆起を生じたもの。
3.骨端線損傷:成長期の骨端部においてズレなどを生
じたもの。転位を認める場合は骨端線離開とも呼ぶ。
4.大腿骨骨幹部骨折
5.上腕骨顆上骨折
6.上腕骨外顆骨折
<高齢者に多い骨折>
高齢者の場合、骨の脆弱化(骨粗鬆症)や筋力の衰え
による歩行不安定から、転倒などによって以下の骨折を
起こしやすい。
1.大腿骨頚部骨折(90%以上は転倒により発生)
2.脊椎圧迫骨折
3.上腕骨外科頚骨折
4.橈骨遠位端骨折
東京消防庁による家庭内救急事故の実態調
査によれば、65歳以上の高齢者(11,935人)で
の転倒事故は63.4%を占め、圧倒的に多い。
(2位は転落12.5%、ついで異物、誤飲4.7%な
ど)
傷害の種類(図1)では骨折が約44%と多い。
(2位は打撲31.1%、3位捻挫4.6%)
年齢別発生では、60歳代以上の者での転倒
で骨折にいたる事例が高い。
図1.家庭内救急事故の傷害の種類
1.6%
3.2%
15.5%
43.8%
4.6%
31.1%
骨折
打撲
捻挫
切創・擦過傷
筋・靱帯損傷
その他
大腿骨頚部骨折
・日本の人口の高齢化にともない近年、増加し続けてい
る骨折。骨折後、要介護状態になるケースが多いので大
きな問題になっている。大腿骨頚部骨折患者の約10%
は1年以内に死亡するとされる。
・大腿骨頚部骨折の発生率は
年齢が高くなるとともに上昇し、
女性は男性よりも約3倍も数が
多い。
<大腿骨頚部骨折(内側型)の症状>
機能障害:起立歩行不能、下肢伸展位での挙上不能
患肢の短縮:大転子高位
棘果長(上前腸骨棘~内果)の短縮
下肢の肢位:内旋位
軽度腫脹
疼痛
異常可動性・軋轢音
脱臼では・・・臀部の後上方が膨隆、股関節屈曲、内転、内旋位
弾発性固定など
全国での1年間の大腿骨頚部骨折患者数
は?
1. 約5万3,200人
2. 約7万1,600人
3. 約14万8,100人
11.病因の病理学的考察
11-1病因の分類上の位置、構造、性質
1)外傷性骨折
正常な骨に外力が作用して、骨組織の連続性が完全
あるいは部分的に離断されたもの。
→骨が細い部位、構造的に外力に弱い部位に多い。
例)鎖骨骨折 外1/3と中1/3境界部
2)疲労性骨折
一度だけでは骨折を起こさない程度の外力が持続的
に作用するか、または一方向性に衝撃性外力が繰り返
して作用し、それが集積されて発生するもの。中足骨、
脛骨、腓骨、肋骨に発生する。
→痛みが出てから2~3週は、レントゲンを撮っても見つ
からない。2~3週すると、損傷部に骨の修復反応が現
れる。損傷部を中心として、新しい骨(仮骨)が作られる。
仮骨はうっすらとレントゲンに写る。この仮骨がレントゲ
ンに写って、初めて疲労骨折があると診断できる。
3)病的骨折
特発性骨折ともいい、骨に基礎的な疾患があって骨
組織が脆弱になっているときに、正常な骨なら骨折が起
こりえないようなわずかな外力、あるいは外力なしに発
生する。
→局所的誘因:骨腫瘍、骨肉腫、骨嚢腫、化膿性骨髄炎、骨巨細胞腫
全身的誘因:くる病、骨形成不全症、大理石病、骨粗鬆症、ページェット
病、副甲状腺機能亢進症
X線像としては低悪性度の
腫瘍、軟骨肉腫を第一
に考えたい像である。
病理学的にはlow grade
intramedullary
osteosarcoma(骨肉腫)
11-2病変部の解剖と生理
骨膜:骨表面を包む結合組織の膜で関節面では欠く。血管、
神経に富み、骨の発生、成長、再生、知覚に関与する。
骨膜の結合組織は密に骨質に進入していて、それにより
骨膜と骨質は丈夫に結合される。(シャーピー線維)
緻密質:骨質の表層を構成。
ハバース層板:ハバース管を中心に同心円状を成す。
基礎層板:内、外壁を成す。
ハバース管:緻密質内を縦方向に走行し、血管を通す。
フォルクマン管:緻密質を横方向に走行し、血管を通す。
海綿質:骨質の中心部を構成。
骨梁構造を成し、小腔は骨髄で満たされる。
正常な骨は常に新陳代謝を行い、破骨細胞と骨芽細
胞の働きによって活発に吸収と再構築が行われ、一定
の量が保たれている。骨折が治癒するのも骨の再生に
よるもの。骨の再生産、カルシウムの保持または放出
は、副甲状腺ホルモンなどによって制御されている。
大腿骨頚部骨折が多い解剖学的理由
大腿骨頚部と体部が作る一定の角度(頚体角)が
転倒時や体重負荷時に力学的弱点になる。
11-3組織・細胞のミクロのレベルにおける
傷害の状況
1)炎症期
傷害を受けた軟部組織や骨から内出血した血液な
どが免疫細胞によって取り除かれる。
免疫細胞の活動と血流量の増加によって、骨折部
位の周囲は腫れて圧痛を生じる。
骨折後2~3日でピークを迎えるが、治るまでは数
週間はかかる。
2)仮骨形成期
骨折後1週間過ぎると、骨芽細胞は有糸分裂を行い、
層状の骨形成が始まり、その組織の中に骨細管が出来
て骨の栄養を供給する。
骨折後3週間ぐらいから、白血球・リンパ球・血管芽細
胞・破骨細胞などの再編成が起こって、骨髄腔の組織も
結合する。
この時期は構造が不規則で、骨梁も粗く、石灰塩も少
なく、レントゲン像でも周囲の軟部組織とほとんど区別で
きない。
3)仮骨硬化期
仮骨の分量の多いのは骨折後2~3週間で、4週間を
すぎると仮骨はやがて吸収作用と添加作用によって成
熟した骨梁となって新しい骨皮質を作り、石灰塩も2~3
倍に増量して骨化(骨性石灰化)する。
レントゲン像も明瞭に仮骨が骨折部に紡錘形に取り巻
き、骨形成が急速に行われる。炎症反応はなくなる。
4)リモデリング期
骨折部を紡錘形に取り巻いていた硬化仮骨は、患部
の機能が回復するとともに吸収または添加作用が進行
して日常生活に有利な形態に順応する。(自家矯正)
骨折1日後:
骨折線は横に走り、上と下に骨梁が見えています。
骨に白い穴が沢山見えるのは骨細胞が死んで、空
っぽになったスペースです。
骨の隙間に赤い出血が見え、すでに繊維化してきています。
骨折2週後:新生骨でつながってきています。
大部分は新しい骨になり、一部右の方に古い骨
(やや斜めになって見える赤味がかったところ)
が残っています。一番右にあるのは軟骨組織です。
軟骨も後で骨になってきます。
骨組織
再生
骨折3日後:
上の方に白っぽく見えるのは古い骨です。
白い穴が沢山見えます。下の方の赤っぽいところは
新しく出来た骨です。生きた骨細胞が多数見えています。
つまり生きのよい骨です。
骨折5週後:骨癒合は完成しました。
でも、殆ど細胞に富んだ若い骨ばかりです。
一部だけ右の方に若い骨が死んだ骨を包み
込んだ像が見られます。
骨折の修復
B:骨折部
C:仮骨
G:肉芽組織
O:骨芽細胞
Os:類骨
11-4全身への影響の関係など
1)ショック
化学的、物理的、または精神的な刺激によって神経系
が激しく興奮したり、機能が低下することで、全身の血
液循環が片寄った状態になるために発生する。
長くても数時間で消失するが、もし全身状態がさらに
悪化して著名な虚脱症状を呈するときは合併症を疑う。
顔面蒼白、チアノーゼ、手足の冷え、全身に冷や汗、
血圧低下。
2)発熱(吸収熱)
骨折数時間後に37~38℃の発熱をみる。吸収熱と
いい、骨折血腫やその他の組織の分解物の吸収のた
めに発生する。数日で平熱に戻る。
12東洋医学的考察
骨折などの外傷は三因論で不内外因に属す。不内外因とは内因、
外因以外で疾病の原因となるもの。
代表的なものに飲食、労倦、外傷、痰飲、瘀血などがある。
外傷により直接、あるいは間接的に組織、臓腑を損傷する。骨折、
捻挫、打撲、熱傷、凍傷、虫さされ、刃物、銃弾による損傷など。
・皮、肉、筋、骨、血脈及び臓腑の損傷
・気滞、瘀血の発生
・出血
・中毒、感染
血の流動性低下(瘀血)、出血(体内に溜まる)などから血瘀証に
分類される。
疼痛(刺痛、固定性)、腫瘤、皮膚甲錯、皮膚色が青紫や黒、拒
按、紫斑、舌質紫暗、脈濇など。
13一番伝えたいことは何か?
骨折などの外傷の知識、興味などを少しでも持っても
らいたいと思いながら、レポートを作成しました。高齢化
社会に向けて、外傷の対応もできる鍼灸師を目指しても
らいたいです。
14参考にした文献、ホームページ
●
●
●
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●
●
●
●
●
●
●
柔道整復学(理論編)
南江堂
一人で学べる柔道整復理論(副)
呉竹学園
老年医学テキスト
メジカルビュー社
ウィキペディア
骨折ネット http://www.fracture-net.jp/
骨折治療ナビ http://hamham.hippy.jp/bone/
骨折治療ガイド http://www.snowwhite-village.jp/bone/
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骨と関節の健康.jp http://bone-health.jp/
ニッスイ商品情報サイト http://www.nissui.co.jp/
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• パワポがとても丁寧に作られていたと思います。ただ声が低
くてゆっくりなので、ねむくなっちゃった。
• 高齢者に関してが多く、これからの時代には必要なことなの
で、すごく勉強になりました。
• 途中で問題があったのが新しいパターンで面白かった!!
• やっぱり徒手整復は麻酔しないんだ…。
• 知らない内容が色々入っていたので勉強になった。
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