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宮崎産ブルーベリー葉の新たな機能性を付与した健康飲料の

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宮崎産ブルーベリー葉の新たな機能性を付与した健康飲料の
― 宮崎産ブルーベリー葉の新たな機能性を付与した健康飲料の開発 ―
【採択事業】(財)宮崎県産業支援財団
産学官共同研究推進事業(H23~H24 年度)
○山崎正夫 1、松山勇介 1、河村由樹 1、山崎楓 1、西山和夫 1、
甲斐孝憲 2、亀長浩蔵 2、竹下正彦 3、菊地幸治 3、松浦靖 4、柚木崎千鶴子 4
【参画期間】宮崎大学農学部 1、(株)なな葉コーポレーション 2、
南日本酪農協同(株)3、宮崎県食品開発センター4
【背景】
ブルーベリー葉は C 型肝炎ウイルス複製抑制、肝臓保護作用、脂肪肝予防、ガン細胞増殖抑
制効果などの持つ多様な健康機能性が明らかとなり、機能性素材としての活用が期待されてい
る。これらの知見から、本研究では『機能性食品としての新たな可能性』、『機能性飲料への展
開』、
『エキス末価格の低減化』の 3 点を目標に、1) ブルーベリー葉の新規機能性開発、2)新規
機能性飲料の開発、3) 効率的な原料加工方法の確立によるエキス収率の向上とコストダウンを
サブテーマとする研究を開始した。
以下本文中でブルーベリー葉の熱水抽出物を Blueberry Leaf Extract を略して BLEx と表記する。
【成果】
サブテーマ 1) ブルーベリー葉の新規機能性開発
BLEx の生活習慣病予防・改善効果を期待し、脂肪細胞に対する BLEx の作用を検討した。そ
の結果、BLEx 処理により脂肪細胞内の脂質蓄積が抑制された。また、抗糖尿病作用や脂肪肝抑
制効果の知られるアディポネクチンの産生・分泌を有意に増加させた。さらに、多量体アディ
ポネクチンの産生・分泌も増加させたが、BLEx 処理を高濃度で実施するとこれらの効果は認め
られなかった。BLEx はアディポネクチン産生を亢進する濃度では炎症性サイトカインである
MCP-1 の産生に影響しなかった。また、アディポネクチン産生亢進作用の認められる濃度では
PPARの発現亢進作用が認められた。さらに、BLEx はリポ多糖処理したマクロファージの一酸
化窒素 (NO) 産生を抑制する効果が認められた。
サブテーマ 2) 新規機能性飲料の開発
BLEx の高濃度溶解(約 8~10%)は、温水(80℃)を使用し、溶解ポンプを使うことで問題
なく実施することができた。しかし、溶解時に泡立ちが多かったため、その後の充填作業に影
響が出ることを考慮し消泡剤の添加を行った。また、内容液と包材(100 ml 容ボトル缶&キャ
ップ)との相性(腐食)の試験を半年間かけて実施し、12 ヶ月間の缶体保証が得られた。最終
的な内容液は Bx 12.81、pH 3.32、比重 1.0516 となり、テーブルテストの結果とほぼ同値であっ
た。
サブテーマ 3) 効率的な原料加工方法の確立によるエキス収率の向上とコストダウン
未利用茎のエキス末原料としての利用可能性について検討した結果、葉には及ばないもの
のプロアントシアニジンが多く含まれていたことから、原料として利用可能であり、ほ場単位
面積あたりのエキス回収率の向上が示唆された。
たばこ管理作業車を改造した試作機を用いて機械収穫を実施した結果、自走しながら徒長枝
を刈り取り、効率良く収穫することができた。一方、加工では、収穫した徒長枝の葉と茎を分
別するため、工程に風力選別機を組み込んだ。その結果、比重の違いにより葉と茎を分別でき
たことから、これまで手作業で行っていた時と比較して、作業の効率化を図ることができた。
【まとめ】
本成果によって BLEx が生活習慣病改善に寄与できる可能性が新たに示され、一般的にニーズ
の高い商品展開をする上で極めて有用な知見を得ることができた。BLEx をどれだけの含量で飲
料へ添加できるかは原料価格に依存する部分が大きい。本プロジェクトにおいて製造したドリ
ンクは 1% BLEx を含み、苦みを大幅に緩和した非常に飲みやすい飲料が完成した。さらには一
定の機能性が期待できることを示した。一方で、1% BLEx 含有ドリンクの製造は原材料コスト
を勘案すると、販売価格はやや高いものと想定され、BLEx のコストダウンを安定的に達成する
必要がある。従前、手摘みで行われていた収穫方法の改良と、収穫後に残さとなる茎の有効活
用はコストダウンに大きく貢献できる。茎中には有効成分の 1 つと考えられるプロアントシア
ニジンが葉と同程度含まれていることが確認でき、残さであった茎はプロアントシアニジン供
給源としての利用が期待できる。また、茎と葉が選別できるという成果から、葉に比べて酸味
の少ない茎の新たな食品創成に向けた素材への活用も期待できる。これらの研究成果は、BLEx
含有ドリンクの商品開発、原材料コストダウン、新たな機能性食材開発という点のいずれにお
いても、極めて現実的な一歩となった。
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