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第2章 保健・医療・福祉サービス(494KBytes)

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第2章 保健・医療・福祉サービス(494KBytes)
第2部
各
論
第2章
施
保健・医療・福祉サービス
策
(1)在宅・施設ケアの統合
~障害者がニーズにあったサービスを使えるよう、
在宅・施設ケアの統合をはかり、障害者の自立を支援する~
現状と課題
障害者に対するサービスの充実は、地域での自立生活を支える基本的な課題です。
今後、入所施設から地域生活を重要視していくなかで、地域におけるサービス基盤の整
備を図るとともに、入所施設を地域生活への準備の場と位置づけ、一人ひとりが地域社会
の中で暮らす可能性を段階的に高めていく必要があります。
アンケート結果をみると、今後の暮らし方について、障害を問わず、「家族や友人関係
等の介助のもとで暮らしたい」と希望している人が多く、在宅福祉の一層の充実が求めら
れます。
支援費制度から障害者自立支援法と移行した中で、今まで以上に利用者本位の福祉を実
現させるためには、障害者が必要なサービスを選択し、必要とする量を利用し、住み慣れ
た地域において、本人ができる範囲で自立した生活を送ることができるようにすることが
必要です。
これを実現するため、障害者の様々なニーズに応えることができるよう、地域生活を支
える福祉サービスの基盤を整備するとともに、多様なサービス供給主体の参入促進を進め
ることが求められます。
今後、入所施設や病院を退所・退院する人が増えることや、障害者も地域で不自由なく
生活したいというニーズに応えるためには、居住の場を提供する福祉サービスが重要であ
り、その受け皿として、グループホームやケアホーム等を質・量ともに整備し、地域での
生活を支援していく必要があります。
52
第2章
保健・医療・福祉サービス
【今後の暮らし方について】
56.7
家族や友人関係などの介助のもとで、暮らしたい
16.9
スポーツ・娯楽・レジャー活動を行いたい
15.7
安定した職を持ち、経済的に自立したい
地域活動やボランティア活動等に参加し、
社会に貢献したい
12.3
ホームヘルプ等の公的サービスを利用して
自立した生活をしたい
11.5
入所施設等で充実した生活をしたい
11.5
9.7
福祉ホーム等で充実した生活をしたい
3.0
その他
身体障害者(503)
15.5
わからない
67.0
家族や友人関係などの介助のもとで、暮らしたい
41.7
31.3
安定した職を持ち、経済的に自立したい
24.1
40.0
スポーツ・娯楽・レジャー活動を行いたい
14.8
13.0
地域活動やボランティア活動等に参加し、
社会に貢献したい
6.5
32.2
ホームヘルプ等の公的サービスを利用して
自立した生活をしたい
14.8
28.7
グループホーム等で充実した生活をしたい
5.6
22.6
17.6
入所施設等で充実した生活をしたい
12.2
その他
8.3
知的障害者(103)
精神障害者(108)
3.5
わからない
16.7
0%
20%
53
40%
60%
80%
( )内は有効回答数
第2部
各
論
【市民会議等からの主な意見】
・グループホームから退所して家庭での生活に戻った時、自立する意識を維持できるよ
うにしてほしい。
・グループホームでの生活パターンが本人にも理解できる暮らしであってほしい。
・ホームヘルプサービスやグループホーム等の居宅支援施策が、量的にも質的にも十分
でない。
・全面介助が必要な場合、複数の介助者が必要となる。支援費を利用しているが現状の
時間数では自立生活は難しい。本人の日常生活に必要な時間が使えるようなシステム
づくりをしてほしい。
・地域社会に、もう少し受け入れられるところが欲しい。働くにしても一般社会は受け
皿が少なく理解がない。もっと作業所が欲しい。
・子どもは知的障害で、普段は留守番できるが、冠婚葬祭等泊まりで出かける場合の預
け先等、もっと手軽に利用できる公的な施設等があればと思う。
・家族だけでなく周りの支援が必要だが、急なときに預けられる施設が少ない。
市民等の取り組み
障害者本人・家族の取り組み
・障害者自らが主体的に自立生活を送るため、各種サービス内容を知り、その利用を主
体的に行います。
・障害者やその家族においても、地域の中で「ともに生きる」という考えを持ちます。
地域住民の取り組み
・地域の中のサービス提供事業所は、障害者が地域で生活する上で、必要不可欠なもの
であるということを理解します。
・障害者の日常生活をはじめ、グループホームや作業所での活動等の場に、様々な方面
からボランティア活動に参加し障害者を支援します。
・法人格が伴う福祉サービスを提供するため、NPO 法人等の設立を目指します。
54
第2章
保健・医療・福祉サービス
社会福祉法人・NPO・企業の取り組み
・地域における障害者の生活を支援するため、グループホーム、福祉ホーム※等を運営
し、その充実を図ります。
・障害者からの相談やニーズに応じて、サービス提供者、保健・医療、行政の関係者、
ボランティア団体等が連携して、ケア会議を開催し、それに基づき個別の支援へ結び
つける体制をつくります。
・障害者のニーズに応じた福祉サービスを提供するため、障害者ケアマネージャーを確
保・養成します。
・障害者の入所、通所施設の不足を補うため、施設の相互利用を図ります。
・グループホームに係る世話人を養成し、世話人同士の情報交換会を実施します。
・障害者の一人暮らしを体験できる場を提供します。
・事業者は、サービス提供の拠点として、空き店舗等の既存施設を活用します。
・在宅福祉の充実を図るため、質の高いホームヘルパーを確保します。
市の取り組み
◆生活の場の確保
障害の程度や社会適応能力等により、生活形態を選択できるよう、ケアホーム・グル
ープホームといった生活の場の充実を図るとともに、公営住宅のグループホーム活用、
公有地の無償貸与等により、グループホーム等を設置する社会福祉法人等の事業拡大を
支援します。また、個人等の民間賃貸住宅への入居にあたって、保証人等がいない等の
問題により入居が困難な障害者に対し、入居に必要な調整等の支援、家主等への相談・
助言を行う居住サポート事業を充実し、障害者の地域生活を支援します。
◆日中活動の場の充実
日常生活における基本的動作の指導、集団生活への適応訓練等のサービスを提供する
児童デイサービス事業所、創作的活動や生産的活動の機会提供、食事や入浴、排せつ等
の介護や日常生活上の支援を行う生活介護事業所等、障害者の日中活動の場の拡充を図
ります。
◆新規参入者への支援
障害者の生活の質の向上、社会参加の促進等を目的にした NPO 等が運営する小規模
の通所型事業所の新規参入を促進するため、学校の空き教室の活用を検討する等の支援
に取り組みます。
55
第2部
各
論
◆施設相互利用の推進
社会資源の有効活用を図るため、一つの施設で異なる障害を持つ人にサービスが提供
できるよう施設の相互利用を促進します。
◆ケアマネジメント※手法の導入
障害者の心身の状況、社会活動や介護者、居住等の状況、サービスの利用意向等一人
ひとりのニーズに応じた数種のサービスを効果的に提供するため、ケアマネジメント手
法を導入し、障害者の地域での生活を支援します。
◆ホームヘルプサービスの充実
在宅の障害者やその家族が地域の中で安心して生活できるよう、入浴、排せつ、食事
の介護等を行うホームヘルプサービス事業について、社会福祉法人、医療法人、NPO
法人等の民間事業者による事業拡大を促進するとともに、介護給付費において、必要支
給量を確保します。
◆ショートステイの充実
介護者の疾病や冠婚葬祭等、用事により一時的に家庭での障害者介護が困難となった
家庭等を支援するため、短期入所事業の受け入れ体制を充実するとともに、社会福祉法
人、医療法人、NPO法人等の民間事業者による事業拡大を促進します。
◆補装具※の交付
身体障害者が日常生活を送るうえで、障害を補うために必要な車いすや補聴器等の補
装具について、医療機関、相談支援事業者、愛知県中央児童・障害者相談センターと連
携し、適切に購入費等を支給します。
◆支援ネットワークづくりの推進
ケアマネジメントや相談支援事業の円滑化を推進するため、保健・医療・福祉分野に
よる様々な機関関係者やボランティア等で構成される支援ネットワーク(自立支援協議
会)を構築します。また支援ネットワークを基盤に、障害に応じた、又はライフステー
ジに応じたケア会議の開催を促進します。
56
第2章
施
保健・医療・福祉サービス
策
(2)地域生活支援事業の確立
~相談支援や移動支援等の地域生活支援事業を確立する~
現状と課題
障害者の自立を支援するため、相談支援、移動支援、日常生活用具、手話通訳等の派遣
等地域生活支援事業の充実を図る必要があります。
アンケート調査結果をみると、日常生活で困ったときの相談相手は、親や配偶者、兄弟
姉妹等の家族が多くなっています。また、平衡機能障害、内部障害の人や精神障害者は、
医師や看護師等の専門職、障害児は学校の先生に相談することが多く、障害者の立場に応
じた相談機能の充実が求められます。今後も、障害者が、主体的にかつ適切にサービスを
選択し、利用することができるよう、当事者やその家族等の生活全般にわたる相談や、福
祉サービスの種類、組み合わせ、事業者情報についての相談等、総合的に応じることがで
きる体制を充実していく必要があります。
また、視覚障害者や聴覚障害者の生活支援としてコミュニケーション手段の確保は大変
重要な役割を果たします。障害者が地域において安心して生活できるよう、手話通訳者や
要約筆記者、点訳者をはじめとしたコミュニケーションを支援する人材の確保・養成・活
用を図る必要があります。
【市民会議等からの主な意見】
・住み慣れた地域で安心して暮らすためには、保健・医療・福祉の関係機関や地域住民
が互いに連携して、身近な相談窓口から必要とするサービスの利用へとつなげていく
ための総合的なケアマネジメントの充実が求められる。
・障害者、介助者が気軽に相談できる機関を確保し、関係機関がネットワークを組み、
サービスが効果的かつ円滑に提供されるようコーディネーターを配置して、総合的な
援助ができるシステムづくりをしてほしい。
・身近なところに日常生活等に関わるいろいろなことをサポートしてくれる場があれば、
子どもの自立に向けて親の考えや子どもの人生も変わってくる。
・中途障害者の場合、手話がわからないため、通院する時等要約筆記してくれる人が必
要である。そういう方を病院、役所等に配置してほしい。
57
第2部
各
論
【日常生活で困ったときの相談相手】
80%
60%
73.9
60.1
54.8
44.3
40.0
40%
30.4
27.8
20%
12.2
11.2
4.3
3.8
学校の先生
職場の同僚や上
司
友人や知人
ホームヘルパー
8.7 11.5 7.8
9.6
7.8
1.7
6.1
7.0 4.4
0.9 1.5 0.9 0.2 0.0
親戚
兄弟姉妹
孫
祖父母
子どもの配偶者
子ども
親
配偶者
0%
1.7
20.7
12.2
1.7
3.3
7.1
0.9 1.1 2.6 0.00.0
80%
60%
40%
20%
15.6
11.3
20.0
6.1
13.9
5.2
2.2
6.1
特にいない
その他
地
社域
会福
福祉
祉サ
協
議ビ
会ス
セ
のン
職タ
員
ー
)
ー
※「身体障害者相談員・知的障害者相談員」は身体・知的のみの選択肢
3.3 5.2 5.2 2.0 5.2 1.7 5.7 0.9 3.5
(
身体障害者相談員・知
的障害者相談員
1.3 2.6 0.9 2.4
民生委員・児童委員
市役所の職員
施設の職員
1.5 0.9
2.6 2.4
近所の人や
ボランティア
医師や看護師などの
専門職
0%
33.0
身体障害者(546)
知的障害者(115)
精神障害者(115)
( )内は有効回答数
市民等の取り組み
障害者本人・家族の取り組み
・広報やホームページ等を利用し、日常的なサービスや相談窓口について、知識を身に
つけます。
地域住民の取り組み
・障害者に対して地域だけでは解決が難しい問題は、民生・児童委員等と協力し、専門
的な相談窓口へつなぐ等、解決へ向けた支援を行います。
社会福祉法人・NPO・企業の取り組み
・障害者に対する地域を拠点とした福祉総合相談窓口を運営し、障害者の様々なニーズ
や問題の解決に対し支援します。
・障害者の社会参加の促進のため、移動支援サービスを提供します。
58
第2章
保健・医療・福祉サービス
市の取り組み
◆相談支援事業の充実
障害者が障害者福祉サービスやその他のサービスを利用しながら、その有する能力や
適正に応じて、自立した日常生活や社会生活を送れることができるよう、地域の障害者
の福祉に関する様々な問題やニーズについて、障害者や障害者の介護者からの相談に応
じて必要な情報やアドバイスを提供する等、障害者の権利の擁護のために必要な援助を
行う相談支援事業の整備を社会福祉法人や医療法人、NPO等とともに図ります。
◆コミュニケーション支援の充実
聴覚、言語機能、音声機能、その他の障害のため、日常生活において意志の疎通を図
ることに支障がある身体障害者のコミュニケーションを支援するため、手話通訳者や要
約筆記者の派遣を充実します。また引き続き市役所に手話通訳者を設置します。
◆日常生活用具の給付※
障害者の日常生活上の利便性の向上を図るため、ファックス、携帯用会話補助装置、
頭部保護帽等の日常生活用具給付制度の周知を図り、利用を促進します。
◆移動支援の充実
余暇活動、社会参加、通学等の日常生活において、障害者や障害のある児童が円滑に
外出できるよう、移動支援事業の充実に努めるとともに、その必要サービス量をサービ
ス提供事業者と連携して確保します。
◆地域活動支援センター
創作的活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進等の便宜を供与する地域活
動支援センターの利用を促進し、障害者の地域生活支援の充実を図ります。
◆訪問入浴等の充実
低額な料金で居室や設備を提供し日常生活に必要な支援を行う福祉ホーム事業や、家
庭において入浴することが困難な重度身体障害者に対する訪問入浴サービス事業のほ
か、下記事業の充実を図り、障害者やその家族の日常生活や社会生活支援します。
①居住サポート事業
(「第2章(1)◆生活の場の確保」関連)
②日中一時支援事業
(「第4章(1)◆日中一時支援の実施」関連)
③スポーツ・レクリエーション大会開催事業 (「第5章(1)◆スポーツ活動支援」関連)
④点字・声の広報等発行事業 (「第5章(1)◆情報提供の充実」関連)
⑤手話・要約筆記奉仕員等養成事業
(「第 4 章(2)◆ボランティアの養成」関連)
⑥自動車運転免許取得・改造助成事業 (「第5章(1)◆自動車利用の支援」関連)
59
第2部
施
各
論
策
(3)サービス提供者の質の向上
~専門性の高いサービス提供者の質・量を確保する~
現状と課題
利用者がより質の高いサービスを選択して利用できるよう、事業者自らサービスの質の
向上に取り組むことが必要です。
障害者が安心して適切なサービスを利用できるようにするためには、在宅福祉サービス
や施設サービスの充実とともに、その担い手となる人材の確保が重要です。サービスの内
容において、効率的にマンパワーを活用するとともに、幅広い知識と技術を身につけたマ
ンパワーの充実を図る必要があります。
また、サービスの選択に必要な各種情報の提供や相談体制等サービスの利用援助の機能
や、苦情対応等利用者の権利を擁護する機能の充実を図る必要があります。そしてこうし
た取り組みや、事業者、施設および第三者によるサービス評価の結果を、サービスの質の
向上につなげていくことが重要です。
今後、障害者サービスは、保健・医療・福祉の連携のとれた体制を整備することが求め
られています。そして、サービス提供にあたっては、行政のみならず、社会福祉法人、N
PO、民間福祉団体、ボランティア等、地域の様々な団体、個人の参加と協働により、推
し進めていくことが必要です
【市民会議等からの主な意見】
・福祉に関わる人材を育て、教育することが必要である。
・各事業所のヘルパーの質の向上を目的として、様々なハンディを持つ人の話を直接聞
くことのできるセミナー等を開催してほしい。
60
第2章
保健・医療・福祉サービス
市民等の取り組み
障害者本人・家族の取り組み
・サービス利用における疑問点は、事業者から十分に聞き取り、納得した上でサービス
の提供を受けます。
・いろいろなサービス事業者やヘルパー等を利用するようにし、同じ支援でも提供内容
が異なることを知ります。
・障害者自らが経験を生かし、サービス提供者となります。
社会福祉法人・NPO・企業の取り組み
・障害者からの福祉サービスの提供に係る苦情について、適切に対応するとともに、改
善内容等を公開します。
・ヘルパー等サービス提供者がより高い専門的な技能、技術を習得するため、事業主は
これらの者に対し、研修等の受講機会を確保します。
・事業者間交流研修や事例研究会を実施します。
・障害者やその家族に対し、サービス提供内容を十分理解いただけるよう説明責任を果
たします。
・サービス提供者は、第三者評価※制度を導入し、その評価内容を公開します。
市の取り組み
◆各種養成研修への参加促進
障害者福祉サービスや相談支援の質の向上のため、障害者福祉サービスや相談支援を
提供する者、これらの者に対して必要な指導を行う者の育成を目的とした各種養成研修
に対し、サービス提供者の受講の促進を図ります。
◆各種養成研修事業者支援
障害者に対する各種福祉サービスにおいて、質の高いサービス提供者を確保するため、
NPOや社会福祉法人等が愛知県等から委託や指定を受け実施する居宅介護従業者等
養成研修等の開催について支援します。
◆第三者評価事業の整備
事業者の提供するサービスの質を事業者や利用者以外の公正・中立な第三者機関が、
専門的かつ客観的な立場から評価する第三者評価事業の実施を愛知県と連携、推進し、
障害者福祉サービス事業者の質の向上を図ります。
61
第2部
各
論
◆苦情解決
福祉サービス利用者と事業者の間で生じた苦情について、公正・中立な第三者機関と
して、苦情解決援助を行う愛知県社会福祉協議会の運営適正化委員会について周知を図
り、利用者の権利を擁護し、サービスを適切に利用できるよう支援します。
◆公共サービス従事者の理解促進
障害者が地域において安心して生活できるよう、市の福祉担当者、保健師をはじめ各
種公共サービス従事者への障害に関する知識・理解の向上を関係機関と連携し図ります。
62
第2章
施
保健・医療・福祉サービス
策
(4)保健事業の推進
~障害の原因となる疾病等の予防や早期発見を図る~
現状と課題
住み慣れた地域で障害や疾病を抱えながらも安心して生活を送るためには、障害の早
期発見、早期療育体制の充実はもとより、継続的な地域ケア体制を充実していく上で、
保健、医療、福祉サービス等の連携が必要です。
アンケート調査結果をみると、身体障害者の障害の発生年齢は、50 歳代が最も多く、
発生原因は疾病によるものが約 5 割を占めています。疾病の主な原因は生活習慣病と考
えられ、生活習慣病を未然に防ぐことは、障害の発生を抑える効果があるため、より一
層の保健事業の推進が求められます。また、視覚障害、聴覚・平衡機能障害の場合は、
0~2 歳で発生する割合が高く、母子の健康管理等が重要となります。
知的障害者の障害の認定時期は、3~19 歳がピークとなっており、発達の遅れによ
る個人差がわかりはじめる 3 歳児健診は、早期に療育へつなげていく上で重要な役割を
担っています。
精神障害者の障害の発生年齢は、20 歳代がピークであり、社会人になったばかりの
時期での発生が多いと考えられます。社会的ストレスが増大するなか、身近な相談体制
や企業等でのメンタルヘルスに対する取り組みも重要となります。また、精神疾患は、
適切な治療の継続により、その症状を相当程度安定化させ、治療することも可能であり、
早期に適切な対応を行うことが重要です。
リハビリテーションの充実については、平衡機能障害、音声・言語障害、肢体不自由
の人からの要望が多くなっています。脳血管疾患等の生活習慣病による障害者が増加し
ていることや障害が重度化していることから、障害に応じたリハビリテーションが求め
られます。
63
第2部
各
論
【障害が発生した時期】
60%
40%
身体障害者(501)
知的障害者(112)
20%
精神障害者(108)
0%
( )内は有効回答数
0~
2歳
3~
19歳
20~
29歳
30~
39歳
40~
49歳
50~
59歳
60~
64歳
65~
74歳
75歳
以上
【障害と認定された時期】
60%
40%
身体障害者(498)
知的障害者(97)
20%
精神障害者(98)
( )内は有効回答数
0%
0~
2歳
3~
19歳
20~
29歳
30~
39歳
40~
49歳
50~
59歳
60~
64歳
65~
74歳
75歳
以上
【身体障害者の障害の主な原因(年代、障害の部位別)】
凡例
全体(514)
18歳未満(9)
年代別
18~64歳(254)
65歳以上(243)
障害の部位別
視覚障害(78)
聴覚障害(76)
交通事故 労働災害
3.5
5.4
3.3
11.1
音声・言語障害(33)
3.0
3.0
8.8
7.7
1.1
内部障害(心臓等)(176) 4.0 0.6
肢体不自由(上下肢・体幹)(182)
0%
出生時の
損傷
2.7
50.8
0.6
11.1
11.1
3.9
5.5 2.4
2.4
2.9
5.8 4.5 1.2
1.2
3.8 2.6
1.3
3.8 1.3
1.3
5.3 3.9 1.3
平衡機能障害(18)
その他の 戦傷、戦病、
疾病
事故
戦災
その他
の原因
先天性
14.6
19.1
77.8
16.9
7.4
0.8
55.2
22.2
29.5
34.6
30.3
7.9
24.4
22.4
27.6
5.6 5.6
38.8
66.8
6.0
51.1
40%
38.9
3.0
2.2
2.2
64.8
20%
19.7
4.3
47.3
1.7
60%
3.0
3.0
24.2
8.8
10.2
15.4
17.6
80%
100%
( )内は有効回答数
64
第2章
保健・医療・福祉サービス
【市民会議等からの主な意見】
・精神障害の場合は、高校や大学の途中で発病する人が多い。
・発達の遅れによる個人差がわかりはじめる3歳児健診は、早期に療育へつなげていく
上で重要な役割を担っている。
・精神疾患は、適切な治療の継続により、その症状を相当程度安定化させ、治療するこ
とも可能であり、そういうことから、早期に適切な対応を行うことが重要である。
・医療面の充実や働く場の保障、生活の場の保障を制度的に確立し、自殺防止や精神面
のケアサポートを自治体や精神科病院との繋がりの中で確立すべきである。
・近くに医療ケアを行ってくれる施設がないので、市内の病院や医療等で受け入れても
らえるようにしてほしい。
・リハビリは障害の種類によって、それぞれ対応が違う。生活していく上で必要な機能
を回復することと、精神面のリハビリも重要である。
市民等の取り組み
障害者本人・家族の取り組み
・医師との相互理解を深め、適切な医療を受けます。
地域住民の取り組み
・障害の早期発見・軽減に向けて、定期的に各種健診を受けます。
・生活習慣病に関する知識を身につけ、健康の維持に努めます。
・自分にあったストレス解消方法を見つけ、実行します。
・子どもの発育や成長に常に関心を持ち、不安があれば躊躇せず医療機関等の受診を受
けます。
社会福祉法人・NPO・企業の取り組み
・医師や看護師等は、身体、知的、精神障害を始め、高機能自閉症、学習障害、注意欠
陥多動性障害等の発達障害に対する知識向上を図ります。
・精神障害に関するカウンセリングの場をつくります。
65
第2部
各
論
市の取り組み
◆基本健康診査等の充実
身体障害の原因となる生活習慣病等の疾病の早期発見、慢性化を予防するため、基本
健康診査や各種がん検診等の健康診査体制の拡充に努め、受診率のより一層の向上を図
るとともに、事前、事後指導の強化を医療機関、福祉機関と連携し図ります。
◆健康づくり
障害を未然に予防し、明るくいきいきと暮らす市民を増やすため、市民に対する健康
づくり意識の高揚に努めるとともに、地域や家庭における市民の主体的な健康づくりを
市民と協働で広めます。
◆こころの健康づくり
こころの健康を保つため、ストレスや睡眠、こころの病気等に関する知識の普及啓発
を図るとともに、相談等のサポート体制の充実を、地域の保健・福祉・医療機関、学校、
企業分野等と連携し推進します。
◆母子保健や健康等相談の充実
すべての妊婦に母子健康手帳を交付し、保健指導の充実を図るとともに、出産・育児
の不安を軽減し、母子と家族の健康を支えるため、ハイリスク妊娠の妊婦に対する継続
支援を実施します。
また、妊婦や乳幼児の健康・育児に対し保健師や栄養士が家庭訪問をする等、誰でも
気軽に利用できる相談体制の充実を図ります。
◆障害の早期発見
乳幼児健診の充実を図り、すべての子どもたちが心身ともに健やかでいきいきと育つ
ことができるよう支援するとともに、障害の早期発見により、障害の程度や発達段階に
応じて適切な療育が受けられるよう、医療機関や福祉関係機関、保育所、学校等の連携
により、継続的な支援体制の充実を図ります。
◆自立支援医療の給付
障害者の心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活または社会生活が送れる
よう、自立支援医療を指定医療機関、身体障害者更生相談所、精神保健福祉センターと
連携し適切に給付します。
66
第2章
保健・医療・福祉サービス
◆リハビリテーションの充実
医療法人等による通所リハビリテーションや訪問リハビリテーション事業の利用促
進を図り、地域での医学的リハビリテーションを推進します。
◆在宅医療・訪問看護の推進
外出困難な障害者や高齢者に対する在宅医療・訪問看護の充実を医療機関等に働きか
け、訪問看護ステーション※の設置を促進します。
67
Fly UP