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情 報 報 告 - 日本産業機械工業会

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情 報 報 告 - 日本産業機械工業会
情 報 報 告
シカゴ
●米国環境産業動向
世界の大手企業 500 社の温室効果ガス排出量、2010-2013 年に 3.1%増加
世界の大手企業 500 社による温室効果ガス(GHG)排出量が、2010 年から 2013 年の間に 3.1%増
加したことがトーマス・ロイター社から 12 月 22 日に報告された。世界の国内総生産(GDP)の 28%
を占める同 500 社は、世界 GHG 排出量の 13.8%を排出しており、そのうち 79%は上位 50 社によるも
のである。平均気温の上昇幅を 2050 年までに 2℃以内に抑えるという国連の環境計画を満たすために
は、同時期に GHG 排出量を 4.2%削減する必要があり、現実と目標では 7.3%ものギャップがある。企
業別で見ると、2013 年の排出量が最も多い上位 3 社は、中国の石油ガス企業のペトロチャイナ
(PETROCHINA)、シノペック(Sinopec)、ルクセンブルクの鉄鋼大手アルセロール・ミタル
(Arcelor Mittal)社であった。一方、米国のコノコ・フィリップス(Conono Phillips)、バレロ・エ
ナジー(Valero Energy)、ドミニオン・リソースズ(Dominion Resources)社は 10%以上削減した。
EPA、石油・天然ガス産業からのメタン排出削減を目指す戦略
環境保護庁(EPA)は、石油・天然ガス産業から排出されるメタンと、スモッグの原因となる揮発性
有機化合物(VOC)を削減する計画を 1 月 14 日に発表した。メタンは CO2 の 25 倍も高い温室効果ガ
スであり、米国の 2012 年のメタン排出量の約 30%は石油と天然ガスの生産や加工、輸送に起因してい
る。また、VOC は地表レベルオゾン(スモッグ)の原因となる物質で、人々の健康に大きな影響を及
ぼしている。石油と天然ガス産業からのメタン排出量は 1990 年以降 16%減少しているものの、新しい
排出源が急速に成長しているため、さらなる対策を取らなければ今後 10 年で約 25%増加すると予測さ
れる。今回の計画は、具体的には、シェール層の水圧破砕やその注入水貯留井など新しい排出源に対す
る基準を確立し、業界や州が自主的に実施している排出削減活動を活用することなどが含まれる。
炭素回収貯留(CCS)プロジェクト、100 万トンの CO2 を回収
炭素回収貯留(CCS)技術の開発と普及を目指してイリノイ川流域で進められていた炭素回収貯留プ
ロジェクトが、2011 年 11 月の開始以来 100 万トンの二酸化炭素(CO2)を回収して地下深くの含塩層
に注入したことが、エネルギー省から 1 月 8 日に発表された。同プロジェクトは、イリノイ州ジケータ
ーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland)社のエタノール工場から
CO2 を回収して圧縮し、長さ 1 マイルのパイプラインで輸送して地下約 7,000 フィートのマウント・
シモン砂岩層に注入する。注入された CO2 は、厚さ 300 フィートのシェール層によって上方移動が封
じ込められ、100 年以上とどまると考えられる。注入試験は予想以上の成果を上げており、注入井の圧
力上昇も基準内で維持されている。このプロジェクトは、イリノイ州からインディアナ南西部まで 6 万
平方マイルにおよぶイリノイ盆地で、炭素回収貯留オプションが可能かどうかを評価するものである。
ワイオミング州、公立学校での地球温暖化教育を禁止する法律を撤回
ワイオミング州の下院議会では、人間活動の結果としての地球温暖化を公立学校の理科の授業で教え
ることを禁じる州法が、昨年 3 月に可決された。この理由は、化石燃料の燃焼を含めた人間活動が地球
温暖化をもたらすと生徒に教えることは、石炭採掘に頼る同州の経済にとって危険だという主張であっ
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情報報告 シカゴ
た。しかし、本年 1 月 23 日にこの州法を覆す法案が下院議会を通過し、現在上院議会の審議を待って
いる。現在、大半の科学者が人間活動による気候変動を事実だと考えている反面、公立学校でどう教え
るべきかについては意見が大きく分かれている。これまで 13 の州とワシントン DC が人間活動による
地球温暖化を学校の授業指針に取り入れた一方で、オクラホマ、サウス・カロライナ州では強硬な反対
にあっており、教育指針から禁止する方向で進んでいる。またウェストバージニア州は、紆余曲折のう
え、人間活動による地球温暖化を事実として取扱う方針を 1 月 14 日に固めた。
原油価格、5 年 7 ヶ月ぶりの最安値
石油価格の指標となるブレント原油の月間平均価格が、12 月に前月から$17 ドル値下がりして 1 バ
レル$62 ドルとなり、2009 年 5 月以来の最安値となったことがエネルギー省のエネルギー情報局
(EIA)から 1 月 13 日に報告された。6 ヶ月連続の原油価格の下落には、米国石油の増産、世界的な供
給増と世界景気予想の落込みなどが背景にあるという。2015 年のブレント原油平均価格は 1 バレル
$58、2016 年には$75 になると予想される。12 月の米国原油の平均日産量は 920 万バレルとなり、
2015 年には 930 万バレル、2016 年には 950 万バレルと、米国史上最高の 1970 年(平均日産量 960 万
バレル)に次いで高い水準に達すると予想される。原油価格の下落によって、米国の週平均ガソリン小
売価格は 1 月 12 日に 1 ガロン$2.14 となり、2009 年 5 月 4 日以来の最安値となった。2014 年のガソ
リン平均小売価格は 1 ガロン$3.36 であり、2015 年には$2.33、2016 年には$2.72 と予想される。米
国の平均的世帯のガソリン支出額は、2015 年に前年比で$750 減少するという。
米国のシェール石油の採掘が減速
米国では、シェール層の開発技術が進んで生産性が高まるにつれて 2008 年から 2013 年に石油生産
量が 49%増加したが、ここにきて原油価格が最高値から 60%近く下落するのにともない、米国の石油
生産量も減少傾向にあることがウェルズ・ファーゴ社から 1 月 23 日に報告された。昨年 11 月には陸上
油田の採掘リグが約 1,900 基操業していたが、現在は 1,676 基、この原油価格レベルが続けば 1/3 の
リグが操業停止する可能性があるという。伝統的な油田よりも採掘コストの高いシェール油田ではこの
動きはさらに顕著であり、テキサスとニューメキシコ州にまたがるパーミアン(Permian)盆地やノー
スダコタ州のバッケン・シェール(Bakken Shale)では、採掘リグの操業をすでに縮小している。ま
た、GE 社は石油ガス部門の事業を縮小して、テキサス州ラフキンにあるポンプ製造工場の全従業員の
約 45%に相当する 330 人を一時解雇する計画を 2 月 2 日に発表した。
世界のクリーンエネルギー投資額、3 年ぶりに増加に転じる
風力、太陽、バイオ燃料など、クリーンエネルギーへの 2014 年の世界の投資額が、前年比で 16%
増加して約 3,100 億ドルとなったことが、ブルームバーグ社から 1 月 9 日に報告された。原油価格の下
落、太陽パネル価格の値下がり、業界に打撃を与えた近年の米国や欧州の助成金撤廃にもかかわらず、
3 年ぶりに増加となった。国別では、ほとんどの再生可能エネルギーの分野で投資額が最高となった中
国が、前年比 32%増の 895 億ドルとなった。米国は、前年比 8%増の 518 億ドルとなり、2 年ぶりに増
加に転じた。日本は、太陽発電への投資が世界第 2 位となり、全体として前年比 12%増の 413 億ドル
となった。エネルギー部門別では、太陽エネルギー部門が前年比 25%増の 1,496 億ドルとなり、クリ
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ーンエネルギー投資総額に占める割合は過去最大となった。風力エネルギーは前年比 11%増の 995 億
ドルとなり、電気自動車部門への投資も、テスラ・モーターズ(Tesla Motors)社を中心に大きく伸び
た。
再生可能エネルギー発電、2013 年の米国の新設発電容量の 61%を占める
米国と世界の最新の再生可能エネルギー発電量、開発計画、投資額などをまとめた『2013 年再生可
能エネルギーデータブック(2013 Renewable Energy Data Book)』が、エネルギー省の国立再生可
能エネルギー研究所(NREL)から 1 月 20 日に発表された。2013 年に米国の水力発電とバイオマス発
電を含む再生可能エネルギー発電容量は、発電容量全体の 15%を占めるまで成長し、実際に発電され
た電力量の 13%を占めた。2013 年に米国で新しく設置された発電容量の 61%以上が再生可能エネルギ
ー電力であった。2013 年に米国で最も成長した発電テクノロジーは太陽発電であり、累積設備容量は
前年比で約 66%も増加した。また、世界の総発電量の 23%を再生可能エネルギー電力が占めた。
米国、2014 年に前年比 5 倍の風力発電を新設
米国で 2014 年に新しく設置された風力発電容量は、前年比で約 5 倍の 4,854MW となり、累積設備
容量では前年比 8%増の 65,879MW となったことが、米国風力発電協会(AWEA)から 1 月 30 日に報
告された。2013 年の落込みからは飛躍的に伸びたものの、2012 年の新設風力発電容量 13,000MW と
いう記録には及ばず、業界はこの理由を再生可能エネルギー生産税額控除の延長に関する連邦政府の方
針が不透明であったためだと見なしている。州別の新設風力発電容量では、テキサスが最も多く 1,811
MW、次いでオクラホマ(648MW)、アイオワ(511MW)、ミシガン(368MW)、ネブラスカ
(277MW)と続く。2014 年末現在で、23 州で 98 プロジェクト、全体で 12,700MW 以上の風力発電
が建設中であり、2014 年には 3,300MW 以上の電力売買契約が結ばれた。
カリフォルニアで全米初の高速鉄道の起工式
カリフォルニア高速鉄道局(California High-Speed Rail Authority)は、全米で初めてとなる高速
鉄道システムの起工式を 1 月 6 日に行った。最終的にはサクラメントからサンディエゴまで全長 800 マ
イルを結んで最高 24 の駅を建設するプロジェクトの第 1 段階では、カリフォルニアのセントラル・バ
レーのマデラ郡からフレスノ郡を結ぶ。2014 年 9 月現在で地元を中心とした 40 の中小事業者が総額 2
億 9,600 万ドルの契約を結んでおり、交通の流れや高架橋、トンネルなどを妨げないように、12 ヶ所
で鉄道線路を異なる高さで立体交差させる計画である。2029 年までにサンフランシスコとロサンジェ
ルスを時速 200 マイル(時速 320km)以上のスピードで 3 時間以内に結ぶ予定である。
BMW とフォルクスワーゲン社、東西海岸の主要道路に高速 EV 充電スタンド
BMW とフォルクスワーゲン社は、電気自動車(EV)の普及を阻む最大要因となっている充電スタ
ンド不足に取り組むため、米国の東海岸と西海岸の主要道路沿いに 100 ヶ所の高速充電スタンドを共同
出資で設置する計画を 1 月 22 日に発表した。東海岸と西海岸への高速充電機の設置は、すでにテスラ
社が同社 EV のみに充電可能なスタンドを建設しているが、今回の充電スタンドはほぼ全ての EV に利
用可能である。5 年前に各自動車メーカーが一斉に量産 EV の発売を開始したときには、消費者の自宅
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や会社で充電できれば十分だろうという思惑があった。しかし、航続距離によって行動範囲が制限され
るデメリットは予想外に大きく、昨年全米で販売された自動車台数 1,650 万台のうち EV はわずか 12
万台にとどまる。今回のプロジェクトを運営するチャージポイント(ChargePoint)社は、米国内にこ
れまで 2 万以上の充電スタンドを設置しているが、20 分ほどで充電できる高速充電機はそのうち 120
ヶ所に過ぎない。BMW とフォルクスワーゲン社がスタンド設置費を負担し、電力価格は未定である。
アルミニウム大手アルコア社、自動車向けに新しいアルミ成型テクノロジー
アルミニウム大手のアルコア(Alcoa)社は、鉄鋼よりも 30%軽いうえ、従来のアルミニウムよりも
40%成型しやすく 30%強固なアルミ合金の製造工程を開発したことを 12 月 5 日に発表した。厳しい燃
費基準のもとで車体の軽量化を目指す自動車業界にとって画期的といえる。北米で自動車に使われるア
ルミニウムの量は、2012 年から 2025 年に 11 倍に増加するとも言われており、既にフォード社の 2015
年型 F-150 ピックアップトラックはアルミ合金を使って 5,000 ポンドの車体を 700 ポンド軽量化して
いる。これまでアルミニウムの本格的な導入を阻んでいたのは柔軟性がなく成型が難しいことであった
が、アルコア社の新工程によってドアの内部パネルや外部フェンダーなどへの成型が容易になる。
大手農機メーカーのディア社、穀物価格の下落にともない 900 人を削減
世界最大の農業機器メーカーのディア(Deere)社は、穀物価格の下落にともなって農機の需要が落
ち込んだことから、アイオワ州の 2 工場で 865 人、イリノイ州の工場で 45 人、合わせて 900 人以上を
一時解雇する計画を 1 月 23 日に発表した。これは米国とカナダの従業員数の 3%に相当し、2 月初めに
も開始される予定である。トウモロコシと大豆の豊作によって穀物価格が値下がりしたことで農家の収
入が減って、農業機器へ向ける資金が減少していることが背景にある。トウモロコシ価格は 2013 年に
40%近く下落したうえ、2014 年にはさらに 6%減少した。
ハネウェル社、ハイドロフルオロカーボンの代替物 HFO-1234ze の商業生産を開始
ハネウェル(Honeywell)社は、強力な温室効果ガスであるハイドロフルオロカーボン(HFCs)の
代替素材として、HFO-1234ze をルイジアナ州バトンルージュ工場で本格的に生産開始したことを 1 月
6 日に発表した。ハイドロフルオロカーボンは、エアロゾール噴射剤、断熱材、冷却材として広く利用
されている。HFO-1234ze は、オゾン層を破壊せず、揮発性有機化合物でもないため引火性がなく、フ
ットプリント削減を目指す顧客のメーカーにとって革新的な素材といえる。同社は、2020 年までに
HFCs の年間生産量を 50%削減する計画を発表していた。同社は、HFO-1234ze を代替することで
2025 年までに CO2 にして 3 億 5,000 万トン以上の温室効果ガスを削減できると試算している。
家具メーカー大手のアシュレー社、過去 36 ヶ月に 1,000 件以上の事故で労働安全衛生局から罰金
大手家具メーカーのアシュレー家具(Ashley Furniture)社では、過去 36 ヶ月間にウィスコンシン
州アルカディア工場で 1,000 件以上の業務事故が起こっており、2014 年 7 月には危険な木材加工機を
操作中の作業員が 3 本の指を失うという深刻な事故があった。この事故をきっかけに、労働省の労働安
全衛生局(OSHA)が調査を行った結果、意図的な安全違反が 12 件、継続的違反 12 件、深刻な安全違
反が 14 件判明し、2 月 2 日にアシュレー社には 176 万ドルの罰金が課せられた。OSHA によると、同
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社は作業員が木材加工機の部品や刃の交換を行うときに、機械が予期せず動き始めるのを防ぐ必要な予
防ステップを取らず、それら動く部品と接触することを防ぐ安全装置も付けていなかったという。また
腐食性物質に晒される作業員へ保護装置を提供していなかったほか、電気系統では非常停止ボタンをす
ぐアクセスできる場所に装備していなかったという違反も確認された。
米国、インドに“スマートシティ”を開発する覚書に調印
米国の貿易開発局とインドは、インドの都市アジメール、アラハバード、ヴィシャカパトナムに“ス
マートシティ”を開発する覚書を 1 月 25 日に交わした。モディ首相は、今後数年間でインドに 100 の
“スマートシティ”を建設することを目指しており、今後は両国の業界代表も参加して協議が進められ
る。インド側としては、両国間の自由貿易協定の可能性やインド農産物に対する米国市場の開放を進め
たい一方、米国企業らは外国資本に対する規制やインド税制の混乱を議題に持ち込むと予想される。イ
ンドは、電子機器や医療機器など高度な製造業の基地として米国資本を呼び込みたい考えである。
乾電池大手エナジャイザー社、リサイクル材を使った AA 乾電池を発売
乾電池大手のエナジャイザー(Energizer)社は、世界で初めて使用済み電池をリサイクルして作っ
たアルカリ乾電池“エコアドバンスト(EcoAdvanced)”を 2 月 3 日に発売した。7 年の開発を経て完
成した AA(単 3)と AAA(単 4)のエコアドバンストは、同社製品の中で最高の性能を持つうえに寿
命が長い。価格は 4 個入りで$5 前後と若干割高である。米国では、1990 年代半ばにアルカリ乾電池へ
の有害な水銀の使用が段階的に廃止されてから、カリフォルニアを除く全州でアルカリ乾電池を一般ゴ
ミとして捨てることが認められている。大半がリサイクルされる自動車の鉛酸蓄電池とは異なり、家庭
向けのアルカリ乾電池のリサイクルは費用効果が薄いためにあまり一般的でない。現在、エコアドバン
ストのリサイクル材の含有量は 4%であるが、同社は 2025 年までに 40%へ高めることを目指している。
スーパーマーケットのセーフウェー社、有害廃棄物の不適切な処分で 987 万ドルの罰金
スーパーマーケットのセーフウェー(Safeway)社は、500 以上の店舗と流通センターで“日常的か
つ組織的に”7 年半に渡って乾電池や医薬品など有害廃棄物を不適切に処分していたこと、および顧客
の処方薬情報の保護も怠ったことに対し、987 万ドルの罰金を支払うことで 1 月 5 日にカリフォルニア
当局と合意した。同社は、販売期限の切れた日用洗剤、エアロゾールスプレー、毛髪剤、マスカラなど
潜在的に有害な廃棄物を他の廃棄物と一緒に埋立て廃棄したことを認めている。カリフォルニアでは近
年、大手小売業者に対する環境違反の厳しい取締りが行われており、2010 年にはウォルマート(WalMart)社に対して 2,760 万ドルの罰金、2011 年にはターゲット(Target)社に対して 2,250 万ドルの
罰金が課された。両社ともに、有害廃棄物の不適切な処分が理由であった。
アルミニウム圧延大手のノベリス社、自動車アルミのリサイクル工場に 4,800 万ドル投資
11 ヶ国でアルミニウム圧延とリサイクル活動を行う大手ノベリス(Novelis)社は、ニューヨーク州
オスウィーゴに 4,800 万ドルを投じて自動車アルミスクラップのリサイクル工場を建設したことを 1 月
26 日に発表した。同社は、北米における自動車アルミ板の需要増加に応えるため、過去 5 年間に同地
区に 4 億ドル以上を投資し 430 人以上を新たに雇用した。2020 年までにさらに 250 人を雇用する予定
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である。自動車アルミスクラップの分類、加工、保管するために 81,000 平方フィートの工場を建設し
たほか、トラック輸送の増加を見越して道路や駐車場などインフラを改善した。自動車メーカーとノベ
リス社の間に閉鎖リサイクル網を確立し、月間 1 万トンのアルミスクラップをリサイクルすることを目
指している。ノベリス社のアルミニウム製品は現在 180 種以上の自動車モデルに利用されている。
EPA、州や自動車業界とともに自動車ブレーキパッドの銅使用を削減する合意
環境保護庁(EPA)は、自動車業界や州とともに、自動車ブレーキパッドへの銅の使用を段階的に削
減する自発的な合意書に 1 月 21 日に署名した。ブレーキパッドの銅の含有量を 2021 年までに 5%以下
に、2025 年までに 0.5%以下に削減することを目標に掲げている。またこの合意書では、水銀、鉛、カ
ドミウム、アスベスト繊維、六価クロムなど他の物質の使用削減も求めている。ブレーキパッドの粉塵
に含まれる銅やこれらの物質は、雨水によって河川へ流出して魚類や植物へ害を与えることが懸念され
ている。カリフォルニアとワシントン州では同様の州基準を既に可決しており、これによって流出水に
含まれる銅の含有量を 61%削減できると試算している。
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