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米国環境情報 - 日本産業機械工業会

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米国環境情報 - 日本産業機械工業会
情報報告
シカゴ
●米国環境情報
気候変動対策に関する法案(APA)により炭素取引価格は 1 トン当たり平均 26 ドルへ
気候変動対策に関する法案(American Power Act:APA)に盛り込まれた炭素排出量取引制
度が実現すると、
米国で二酸化炭素 1 トン相当を取引するアロウワンスの 2013~2020 年の平
均価格は 26 ドルになるという予測が、市場調査企業ポイント・カーボン(Point Carbon)社
から発表された。この法案は 5 月 12 日にケリー、リーバーマン両上院議員から提出されたも
ので、電力、工業、商業部門が参加するキャップ&トレード制度によって、米国の温暖化ガ
スを削減するハイブリッドシステムを創造するとともに、石油産業を中心とする輸送部門か
らは、アロウワンスの市場価格を安定させるために四半期ごとに料金を徴収する。アロウワ
ンス取引量は、電力部門だけが参加する 2013 年には 25 億トン、2016 年には約 40 億トンに
増加すると予想される。同法案に新しい料金制度が盛り込まれたことによって、アロウワン
ス価格は 1 トン当たり 5 ドル低く抑えられるという。
米国環境保護庁、温暖化ガス排出量の許可制度の最終規則を発表
米国環境保護庁は 5 月 13 日、大気浄化法(Clean Air Act)のもとで、発電所や石油精製
所など大型の温暖化ガス排出源からの排出量を段階的に制限する最終規則を発表した。現在
ほかの汚染物質に対して大気浄化法の調査と許可が義務付けられている大型施設は、CO2、メ
タン、亜酸化窒素、HFC、PFC、六フッ化硫黄という 6 種類の温暖化ガス排出量が年間 75,000
トンを超える場合には、2011 年 1 月から温暖化ガスに対しても同様に許可が必要となる。こ
の許可制度では、温暖化ガス排出量を最小化するために実用可能な最高の制御技術の利用が
義務付けられる。毎年新たに 900 件が許可制度の対象となり、550 件の排出源が温暖化ガス
排出量のために初めて許可証が必要となるという。
大手企業の 70%が 2010~2012 年に気候変動対策への支出を増大させる予定
困難な経済状況や気候変動に関する規制の動向が不明であるにも拘らず、世界の大手企業
の 70%が、2010~2012 年に気候変動対策への支出を増加させる方針であることが、アーンス
ト&ヤング(Ernst & Young)社から 5 月 25 日に『行動と不確実性:気候変動に対する企業
の反応(Action amid uncertainty: the business response to climate change)
』で報告さ
れた。これは、16 ヶ国の年間売上高 10 億ドル以上の企業幹部 300 人を対象とした調査であ
り、回答者の半数近くが、売上高の 0.5%から 5%以上を気候変動対策に充てると答え、これ
は 10 億ドル規模の企業で年間 500 万ドルから 5,000 万ドルに相当する。
この投資傾向を促す
要因として、回答者の 89%が消費者の需要の変化を上げ、40%以上が証券アナリストは企業
価値評価に気候変動対策を含めていると信じている。
環境保護団体、バイオ燃料基準をめぐって米国環境保護庁を提訴
環境保護団体のクリーンエア・タスクフォース(Clean Air Task Force)とフレンズオブ
アース(Friends of the Earth)は 5 月 25 日、米国環境保護庁のバイオ燃料基準(RFS)に
関して連邦控訴裁判所に提訴するとともに、米国環境保護庁に土地利用転換に関する仮定を
見直すよう要請した。両団体の主張によると、米国環境保護庁が 2010 年 3 月に発表した RFS
の最終規則は、一部のバイオ燃料には従来のガソリンやディーゼルよりも正味の温暖化ガス
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排出量を増加させるとの指摘があるにも拘らず、楽観的な予測値を用いてライフサイクル排
出量を推定しており、2007 年のバイオ燃料の定義に違反するという。また、プランテーショ
ン開発による自然生態系の破壊はないという仮定を見直すよう米国環境保護庁に求めた。
米国のソーラー発電、2009 年に 36%成長
2009 年の厳しい経済環境にも拘らず、米国の太陽エネルギー業界は、収益を 36%伸ばして
総額 40 億ドルに達したことが、太陽エネルギー産業協会(SEIA)から報告された。住宅向け
太陽光発電市場が 2 倍に拡大するとともに、集中太陽熱発電所が新たに 3 つ加わり、米国の
ソーラー発電能力は全体で 37%増加した。州別トップはカリフォルニアで、ソーラー発電能
力の増加は 220MW、ニュージャージーが 57MW で第 2 位、フロリダ、アリゾナ、コロラド、ハ
ワイ、
ニューヨークと続く。
世界的には、
トップはドイツの 3,000MW であり、
イタリアが 700MW、
日本が 484MW、米国は 2009 年に新たにソーラー発電能力 481MW を加えて第 4 位となった。
ナショナル・グリッド社、ケープウィンド沖合風力発電から電力購入契約
内務省が、マサチューセッツ州ケープウィンド沖合風力発電の開発続行を認めたことを受
けて、その開発業者と、同州など 4 州に電力を供給するナショナル・グリッド(National Grid)
社は、15 年間の電力購入契約を結んだ。ナショナル・グリッド社は、発電施設が完成する 2013
年からケープウィンド発電量の 50%を1kWh 当り 20.7 セントで購入する契約であり、
この価
格は 15 年間で毎年 3.5%ずつ値上がりする。同社の試算によると、500kWh を消費する典型的
な世帯で、毎月の電気料金は$1.59 値上がりするという。同社は、この契約によって、投資
家所有の電力会社は総供給電力の 3%以上を再生可能原料からと義務付けるマサチューセッ
ツ州の規定を充たすことができる。
GE、五大湖の一つエリー湖沖合の風力発電を推進
GE とエリー湖エネルギー開発会社(Lake Erie Development Corp:LEEDCo.)は 5 月 24 日、
米国で初めての淡水沖合風力発電を開発する長期パートナーシップを結ぶことを発表した。
GE 社は、エリー湖オハイオ州水域の 20MW 沖合風力発電プロジェクトに向けて、GE 社製最大
の4MW 風力タービン 5 基とメンテナンスサービスを提供する。GE 社と LEEDCo.は、この初期
プロジェクトをはじめとして、五大湖における経済的に実現可能な沖合風力発電を目指し、
コスト削減の機会を探る戦略計画を進めていく。
西部電力グリッド、風力とソーラー電力を 35%まで取り込むことが可能
西部州の送電網は、風力と太陽エネルギーからの発電量を 35%まで取り込むことが可能で
あることが、エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)から 5 月 20 日に発表さ
れた。風力と太陽エネルギーの発電量は時間によって変動するものの、風力から 30%、太陽
エネルギーから 5%を、西部電力グリッドに統合することができる。追加的なインフラ建設
は必要ないものの、発電量の時間的な変化と配電をより頻繁に管理する必要がある。もし風
力と太陽エネルギーからの発電力を西部電力グリッド全体の 27%に利用した場合、炭素排出
量は 25~45%減少し、燃料と排出コストは 40%削減できるという。また、米国最大の東部送
電網に関しては、風力エネルギーの発電力を 20%取り込むことが 2024 年までに実現可能と
なることが、1 月 20 日に発表されている。
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ファースト・ソーラー社が 2009 年に世界最大のモジュール供給者へ、シャープは第 3 位
薄膜太陽光モジュールの大手製造者ファースト・ソーラー社が、2009 年に 1GW 以上の太陽
光モジュールを出荷して出荷量で世界第 1 位になったことが、IMS 研究所から 5 月 5 日に報
告された。日本企業のシャープ、京セラ、サンヨーは、2008 年に引き続きトップ 10 に入っ
たものの、初めて前回よりも順位を下げており、米国企業の総モジュール販売量は日本企業
のそれを上回った。2009 年は、トップ 10 企業の太陽光モジュール総出荷量が 75%も増加し
た驚異的な年であった。
スカイパワー社とコナジー社、カナダへ屋根式ソーラープロジェクトを導入する合弁事業
スカイパワー(SkyPower)社とコナジー(Conergy)社は、世界のソーラー技術をカナダ市
場に導入してカナダの商業ビルの屋根にソーラーシステムを配備することを目指し、画期的
な国際合弁企業を結成したことが 5 月 21 日に発表された。
両社は、
不動産企業、
大型小売店、
商業施設オーナー、政府機関からスペースを賃貸し、屋根式ソーラーシステムの設計、建設、
所有、管理運営までを行う。スカイパワー社は、オンタリオ州のファーストライト公園プロ
ジェクトで、90 エーカーの敷地に 126,000 枚のソーラーパネルを配備して、カナダで初めて
の太陽エネルギー公園を作り上げた実績を持つ。
東芝、バブコック&ウィルコックス社、原子力燃料サプライヤーの USEC 社へ投資
東芝とバブコック&ウィルコックス(Babcock & Wilcox:B&W)社は、原子力燃料の供
給者である USEC 社に 2 億ドルを共同投資するという最終合意書に署名した。
投資は 3 段階に
分かれており、それぞれ次に進む際には規制的な承認などの事前条件が必要となる。この投
資によって、USEC 社のオハイオ州パイクトンの遠心分離ウラン濃縮工場の開発が進むととも
に、原子力燃料サイクル全体に新たなビジネスチャンスが生まれると期待される。
オバマ大統領、トラック向けに燃料効率基準の策定を命じる
オバマ大統領は 5 月 21 日、中型と大型トラックに対して国家として初めて、燃費の向上と
温暖化ガス排出量の削減を目指す政策を策定するよう、米国環境保護庁と運輸省に命じた。
この指令の対象となるのは、2014~2018 年に生産される新トラックであり、米国のトラック
は毎日 200 万バレル以上の石油を消費し、その平均燃費は 1 ガロン当り 6.1 マイルである。
大統領はまた、2009 年 5 月 16 日に発表した 2012~2016 年の自動車と軽量トラックに対する
燃費と温暖化ガス排出量の全国プログラムを、2017 年以降も延長することを求めた。
テスラ自動車、カリフォルニアに電気自動車モデルSの工場を獲得
テスラ自動車(Tesla Motors)は 5 月 20 日、最近閉鎖された NUMMI(New United Motor
Manufacturing)社のカリフォルニア州の工場を獲得し、2012 年からモデルSの生産を開始
することを発表した。NUMMI 社は、トヨタが GM と提携して運営していたもので、4 月初旬に
トヨタのカローラセダンとタコマトラックの生産を停止している。
同工場は年産 50 万台の生
産能力がある。テスラ社は現在、2 人乗り完全電気自動車テスラ・ロードスターを生産して
いるが、この新工場では大人 5 人と子供 2 人が乗れる 4 ドアのモデルSを生産する予定であ
る。トヨタは、テスラ社に 5,000 万ドル投資して、電気自動車の開発で提携していくことを
発表している。
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運輸省、フロリダの高速鉄道プロジェクトなどに 8,000 万ドルの助成金
運輸省は 5 月 27 日、高速鉄道 プロジェクトを推進するために、フロリダ、カリフォルニ
ア、ニューメキシコ、ニューヨーク、ウィスコンシンの 5 州におよそ 8,000 万ドルの助成金
を交付することを発表した。このうち 6,660 万ドルが、フロリダ州のタンパとオーランドを
結ぶ長さ 84 マイル、
時速 168 マイルの高速鉄道計画のプログラム管理と準備エンジニアリン
グに向けられる。オバマ大統領は、2009 年 4 月に新しい大型の高速鉄道の開発に 80 億ドル
を投じる計画を発表している。
ニューヨーク市のバンクオブアメリカ、商業高層ビルとして米国初の LEED プラチナ認定
ニューヨーク市のバンクオブアメリカの 55 階建てビルが、米国グリーンビル評議会(U.S.
Green Building Council:USGBC)の LEED 格付で、米国の商業高層ビルとして初めて最高の
プラチナ認定を受けたことが 5 月下旬に発表された。高さ 360メートル、総工費およそ 20 億
ドルの高層ビルは、壁面総ガラス張りで日中の太陽光を最大限活用し、雨水や排水のリサイ
クルや最先端の空気浄化システムなどを採用している。また、ビルシステムの中核となる
4.6MW の天然ガス火力熱併給発電システムによって、日中のピーク電力需要を 30%削減でき
ると期待されている。
リコー社、NY のタイムズスクウェアに 100%ソーラー& 風力発電の広告看板を完成
デジタル事務機器の大手リコー社は、ニューヨークのタイムズスクウェアに 100%ソーラ
ー&風力発電による初めての電光看板を設置したことを、6 月 2 日に発表した。この電光看板
は、高さ 14.1m、長さが 37.8mで、4 つの風力タービンと 45 枚のソーラーパネルによって 1
日当り平均 98kwh の電力を供給して、16 の LED 投光照明を点灯させる。従来配電網からの電
力を使わないことを約束しているため、風量や日照量が不足すると暗くなることもある。
LED 照明、2020 年までに商業ビル照明市場の 46%に達する
LED(発光ダイオード)照明製品は、2020 年までに、米国の商業、工業、屋外設置向けラ
ンプ市場 44 億ドルの 46%に達するという予測が、パイク研究所(Pike Research)の市場調
査で報告された。既に交通信号や道路標識に広く使われている LED 照明製品は、今後 5 年間
で転換点に達し、半導体照明のコストが減少し性能が向上するにつれて、より多くの商業用
途へ利用されるようになるという。一方、LED 照明の技術的、経済的な課題を克服するには
まだ数年かかり、その移行期には、効率性と価格のバランスの良さから蛍光 T8、T5’ランプ
が白熱灯を凌駕していくという。
フロリダのゲーンズビル、100MW バイオマス発電所を建設
フロリダのゲーンズビル地方電力(Gainesville Regional Utilities:GRU)とアメリカン・
リニューアブルズ社は、ゲーンズビル再生可能エネルギーセンター(Gainesville Renewable
Energy Center)に 100MW バイオマス発電所を建設することを計画しているところ、その申請
がフロリダ公益事業委員会によって 5 月 27 日に承認された。この発電所では、都市の材木ゴ
ミ、木材加工ゴミ、伐採残渣といったバイオマスを燃料として発電し、GRU は、30 年契約の
もとで同発電所からの発電力を全て購入する。バイオマス発電は、フロリダ州にとって現在
のところ長期的に最も費用効果が高い選択肢だという。
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