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唾液及び皮膚表面脂肪酸の日内変動

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唾液及び皮膚表面脂肪酸の日内変動
唾液及び皮膚表面脂肪酸の日内変動
岐阜大学 工学部 生命工学科
生命情報工学第二講座
吉田(敏)研究室
1113025053 西本 茉那
背景
唾液腺
皮脂腺
<唾液の役割>
粘膜保護
洗浄
殺菌
う蝕予防
<皮脂の役割>
皮膚・毛髪の保護
保湿
抗菌
<共通点>
ステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸を分泌する。
外胚葉由来の外分泌腺である。
生体の脂肪酸分泌における日内変動についてはあまり
知られていない。
<研究目的>
非侵襲的にサンプル採取できる唾液と皮
脂を用いて測定と分析を行い、唾液腺と皮
脂腺の分泌に関係性があるか探る。
実験方法
唾液及び皮膚の採取
• 唾液
事前準備
歯を磨く
採取15分前に5回
うがい
遠心後の唾液上清
1 mLを使用
準備後、口内の
唾液をエッペン
チューブに採取
• 皮膚
事前準備
65% Methanolでの
テープ洗浄
(2 Hour×2回)
採取部分の洗浄
(水道水)
遠心1 hour
アズフロンテープ
採取後に65%
Methanol 2 mLで脂
質抽出し濃縮乾燥、
water 0.5 mL加えて
使用
EPI法による脂質抽出I
唾液/皮脂 1 Vol
Ethanol 3 Vol
Ethyl Propionate 1 Vol
酢酸 1/50 Vol
Ethyl Propionate:iso-octane(1:1)
4 Vol
室温で2 hour
静置
室温で5 min静置
10 min遠心
有機層を回収
脂肪酸メチルエステル化
内部標準TG C19:0 10 μL
5% HCl-Methanol 0.1 mL
脱水Methanol 0.4 mL
N2ガスで
濃縮乾燥
100℃ 1 hour
Hexane 5 mL
5 min遠心
Hexane層
を回収
N2ガスで
濃縮乾燥
Hexane 15 μL
入れて溶解
JMS-GCmateⅡ
1 μLをインジェクション
測定温度
温度
first
last
温度上昇速度
時間
130℃
2 min
130~200℃ 35℃/min
2 min
200~260℃ 6℃/min
10 min
260℃
6 min
使用カラム
DB-WAXETR
長さ …30 m
内径 …0.250 mm
膜厚 …0.25 μm
C18:0
C18:1
唾液の脂肪酸組成
C18:2
C18:3
C18:3
C18:2
C18:1
C18:0
ステアリン酸(C18:0)を基準に
各脂肪酸の比を算出し比較
〈11:30と14:30のt-検定〉
食事あり・・・8:00に朝食、12:30
食事あり・・・p = 0.0431
に昼食 (n=11)
食事なし・・・前日22:00以降食事
食事なし・・・p = 0.3260
摂取なし (n=5)
結果
オレイン酸(C18:1)の日内変動
皮膚 オレイン酸/ステアリン酸
0.6
0.6
0.5
0.5
Ratio (againstC18:0)
Ratio (againstC18:0)
唾液 オレイン酸/ステアリン酸
0.4
0.3
0.2
0.1
0.4
食事あり
0.3
食事なし
0.2
0.1
0
0
10:30
11:30
14:30
15:30
〈11:30と14:30のt-検定〉
食事あり・・・p = 0.0236
(n=17)
食事なし・・・p = 0.7510
(n=5)
-0.1
10:30
11:30
14:30
15:30
唾液中のオレイン酸は食事
の影響を受けて増加する。
皮脂中のオレイン酸は食事
の影響を受けて減少する。
〈11:30と14:30のt-検定〉
食事あり・・・p = 0.0392
(n=11)
食事なし・・・p = 0.1336
(n=5)
リノール酸(C18:2)の日内変動
唾液 リノール酸/ステアリン酸
皮膚 リノール酸/ステアリン酸
0.8
0.3
0.25
0.6
Ratio (againstC18:0)
Ratio(againstC18:0)
0.7
0.5
0.4
0.2
食事あり
0.15
0.3
0.2
食事なし
0.1
0.05
0.1
0
0
10:30
11:30
14:30
15:30
-0.05
〈11:30と14:30のt-検定〉
食事あり・・・p = 0.0027
(n=17)
食事なし・・・p = 0.7298
(n=5)
10:30
11:30
14:30
15:30
唾液中のリノール酸は食事
の影響を受けて増加する。
皮脂中のリノール酸は食事
の影響を受けて減少する。
リノール酸(C18:2)の食事摂取なしでの日内変動
食事摂取なしでのリノール酸/ステアリン酸比較
0.4
Ratio against C18:0
0.35
0.3
0.25
唾液
皮脂
0.2
0.15
0.1
0.05
0
10:30
11:30
14:30
15:30
皮脂の日内変動はほとんど変化がないが
唾液では昼頃から午後にかけて増加
唾液腺と皮脂腺におけるリノール
酸の分泌の日内リズムが異なる
可能性がある。
気温による唾液内脂肪酸量の変動
気温
Ratio against C18:0
p = 0.0063
25 0.35
(n=11)
0.3
20
15
10
y = 54.061x + 4.3912
R² = 0.5829
0.25
0 0.05
0
0
5
0.05
0.1
0.15
Ratio against C18:0
10月後半
11月
0.2
0.25
12月前半
0
12月後半
p = 0.0162
(n=11)
0.1
0.08
y = 160.13x + 6.0993
R² = 0.4917
0.04
5
5
0.02
10月前半
0.02
10
5
5
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
Ratio against C18:0
10月後半
11月
12月前半
0.5
12月後半
25
10
0.01
0
15
15
10
0
20
y = 26.19x + 4.9037
R² = 0.5218
10月前半
0.06
0
0.1
25
20
15
0
p = 0.0120
(n=11)
20
0.4
15
0.3
10
0.2
唾液α-リノレン酸/ステアリン酸と気温の
α-リノレン酸/ステアリン酸と平均気温
唾液
0.12
相関
気温
Ratio against C18:0
25
0.5
10
10月前半
20
20
0.2
5 0.1
25
0.6
15
0.15
唾液 リノール酸/ステアリン酸と平均気温
リノール酸/ステアリン酸と気温の
唾液
相関
25
Ratio against C18:0
気温
唾液
唾液
オレイン酸/ステアリン酸と気温の
オレイン酸/ステアリン酸と平均気温
相関
0.4
0.03
0.04
Ratio against11月
C18:0
10月後半
0.05
0.06
12月前半
0.07
12月後半
0
唾液中のオレイン酸、リノール酸、
α-リノレン酸は、気温を反映して
変動している可能性が高い。
0
気温による皮脂内脂肪酸量の変動
皮膚 オレイン酸/ステアリン酸と平均気温
皮脂 オレイン酸/ステアリン酸と気温の相関
0.5
20
Ratio against C18:0
気温
14
p = 0.0025
(n=11)
25
12
10
y = 20.244x + 6.8181
R² = 0.6567
0.4
15
8
10
6
0.3
0.2
4
5
0.1
気温C18:0
Ratio against
0.6
2
0
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
Ratio
against C18:0
12月前半平均
11月平均
0.5
0.6
0
12月後半平均
皮膚
リノール酸/ステアリン酸と平均気温
皮脂
リノール酸/ステアリン酸と気温の相関
0.18
25
0.16
20
0.14
14
p = 0.0024
(n=11)
12
y = 65.967x + 6.8968
R² = 0.6586
0.12
15
0.1
10
8
10
0.08
6
0.06
5
0.04
4
0
0.02
0
0
2
0.02
0.04
11月平均
0.06
0.08
0.1
Ratio against C18:0
0.12
12月前半平均
0.14
0.16
0.18
12月後半平均
皮脂
皮膚α-リノレン酸/ステアリン酸と気温の相関
α-リノレン酸/ステアリン酸と平均気温
25
0.04
0.035
20
p = 0.0028
(n=11)
12
y = 443.26x + 5.6057
R² = 0.648
Ratio against C18:0
気温
0.03
15
0.025
14
10
8
10
0.02
6
0.0155
0.01
0
0.005 0
4
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
Ratio against C18:0
0
11月平均
12月前半平均
0.03
2
0
12月後半平均
皮脂中のオレイン酸、リノール酸、
α-リノレン酸も、気温を反映して
変動している可能性が高い。
0
まとめ
被験者の唾液及び皮脂内の脂肪酸について
 オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)量は食事の影響を受けて変動するが、
変動の仕方は唾液と皮脂とでは異なり、唾液では増加し、皮脂では減少傾
向にある。
→食事が皮脂に与える影響として、食事内容よりも食事摂取という行動が代
謝に神経的な影響を与えたと考えられる。
 食事の影響がない場合のリノール酸において、皮脂の日内変動はほとんど
変化がないが唾液では昼頃から午後にかけて増加した。
→唾液腺と皮脂腺の分泌の日内リズムはそれぞれ異なる可能性が示唆さ
れる。
 唾液及び皮脂中の各脂肪酸は気温を反映させて変動している可能性が高
い。
→気温変化によって自律神経が影響を受け、唾液腺と皮脂腺で同じように
分泌をコントロールしたと考えられる。
補助資料
ピアソン相関係数の有意性を評価するためのP値を算出する関数
(2011、西岡)
(例)
X
1
2
3
4
5
6
7
相関係数
データ数
t分布
自由度
p値
R
N
t
phi
p
Y
0.15
0.25
0.32
0.48
0.53
0.57
0.62
0.979982
7
11.00673
5
0.000108
R二乗
0.960364
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