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平成27年産秋冬ねぎの栽培管理について
平 成 27年 産 秋 冬 ね ぎ の 栽 培 管 理 に つ い て 平 成 2 7 年 2 月 芳賀農業振興事務所 平 成 26年 産 の 反 省 点 ○温度管理の不徹底による発芽不良 → 発 芽 適 温 は 15~ 20℃ で す 。 必 ず 温 度 計 を 設 置 し ま し ょ う 。 →シルバーラブシート等のアルミ損失の無いものを使用しましょう。 →換気のタイミングを見極めて、遅れずに換気しましょう。 ○育苗中のかん水ムラによる生育のバラツキ →培土は乾き過ぎてしまうと水をはじいて吸水しにくくなるため、ゆっくり丁寧に 数回に分けてかん水しましょう。 →特に、トレイの端はかん水量が不足しやすいので注意しましょう。 ○黒斑病、軟腐病等の発生 →連作を避けましょう。 →排水不良地では、作付け前に深耕し、排水溝を設置しましょう。 →薬剤散布は病害の発生前から予防的に行いましょう。 <育苗準備> ○ 育 苗 は 、 2 20 穴 セ ル ト レ イ を 使 用 す る 。 本 ぽ 10 a 当 た り 約 65枚 必 要 と な る 。 ○ 培 土 は 、 み の る ソ リ ッ ド 培 土 、 ス ミ ソ イ ル N -80 0C ( い ず れ も 追 肥 不 要 ) 等 を 使 用 す る 。 本 ぽ 10a当 た り4~5袋必要となる。 ○ 育 苗 ハ ウ ス は 約 6 坪 ( 2 列 横 置 き で 約 1 2 m) の 床 面 積が必要。ハウス内は地面を平らにならし、除草 しておく。地面が凸凹では、乾燥や水たまりがで き生育不良の原因となる。 <播種> 播 種 時 期 は 3 月 2 5日 ~ 4 月 15 日 頃 (育 苗 期 間 約 60日 ) ○ 播 種 機 を 使 用 し 、 220穴 セ ル ト レ イ に コ ー テ ィ ン グ 種子を播種する。1穴当たり3粒播き。 ○播種後は、セルトレイを以下の手順で設置する。 ①平らにした場所に黒ラブシート又は黒マルチ(水 抜き穴を開ける)を敷き、根止め資材を敷く。 ②その上にセルトレイを平らに並べる。 ③ 十 分 に か ん 水 す る ( 30分 お き に 2 ~ 3 回 行 う )。 ④日中の高温抑制、夜間の保温のためシルバーラブ シート、太陽シート等をかける。 ※高温障害の原因となるアルミの損失の有無を確認 し、消失部分があれば新しいものと取り替える。 ⑤小トンネルを設置し、夜間は保温マットで被覆す る。 <発芽までの管理> 発 芽 適 温 : 15~ 25℃ 、 発 芽 最 低 温 度 : 1 ~ 4 ℃ 、 発 芽 最 高 温 度 : 33℃ 、 嫌 光 性 種 子 高温になると発芽が不良となり、低温では発芽が遅れる。 6日 12日 20日 30日 40日 50日 2~4℃ 7℃ 10℃ 16℃ 20℃ 25℃ 0 0 3 98 94 85 0 27 77 98 95 85 1 78 84 98 95 85 63 83 73 86 温 度 と ネ ギ 種 子 の 発 芽 率 (%)( 青 葉 、 1996) 30℃ 78 78 78 ○日中の高温はムレ苗が発生しやすくなり、夜間の低温は生育遅延となる。特に、4月以 降は日照が強くハウス内の温度が上がりやすい一方で、霜等による早朝の低温もあるの で、適正な温度管理に努める。乾燥する場合には、必要に応じてかん水する。 ○播種7日後頃に約8割が発芽したら、シルバーラブシート、太陽シート等を除去する。 部分的な発芽不良の場合には湿った新聞紙を載せておく。 ○被覆除去後は小トンネルの上に寒冷紗を被覆し、3~4日程度日中のみ遮光を行う。 <発芽後の管理> 生 育 適 温 は 15~ 20℃ ハ ウ ス 内 の 最 低 温 度 は 8 ℃ を 下 限 に 、 最 高 温 度 30℃ を 上 限 に 管 理 す る 。 ※苗の高さに温度計を設置し適正な温度を確保する。 ○かん水は天候をよく見て行い、かけ過ぎ、乾き過ぎに注意する。 ・発芽後~第2葉が出るまで:朝1回 ・ 第 2 葉 以 降 : 朝 、 昼 ( 12時 頃 ) 2 回 天候に応じて水量を調整し、夕方には培土を乾かし気味とする。 ○培土が乾いてしまった場合、水をはじいて吸水しにくいので、ゆっくり、数回に分けて かん水し、十分に湿らせる。乾くと生育が止まり、生育ムラの原因となる。 ○トレイの端はかん水量が不足しやすいので、多めにかん水する。 ○午後の遅い時間にかん水を行うと過湿状態になり、軟弱徒長し、病害の発生を助長する ため注意する。 ※揃った収穫物を得るためには苗の揃いが重要となる。 全自動移植機では、苗の分別ができないため、バラツキの小さい苗作りを心がける。 <剪葉> ○ 苗 の 生 育 を 揃 え 、 軸 を 太 く し 、 倒 伏 を 防 止 す る た め 、 生 育 に 応 じ て 12~ 15cmに 剪 葉 す る 。 ・ 1 回 目 : 葉 が 伸 び て き て 草 丈 14~ 15㎝ 以 上 に な っ た ら 10㎝ 程 度 に 葉 先 を 切 る 。 ・ 2 回 目 以 降 : 20㎝ 以 上 に な っ た ら 12㎝ 程 度 に 葉 先 を 切 る 。 定植までに随時3~4回葉先を切る。 ※切り取ったクズは、病害防止のため苗箱内に落とさないよう処分する。 ○剪葉を行った後や天候不順の場合は病気の発生予防のため薬剤散布を行う。 <追肥> ○ み の る の ソ リ ッ ド 培 土 、 ス ミ ソ イ ル N-800Cを 使 用 し た 場 合 は 原 則 追 肥 の 必 要 は 無 い 。 ○ そ の 他 の 培 土 を 使 用 し 、 育 苗 後 半 に 肥 料 が 切 れ て き た 場 合 は 、 く み あ い 液 肥 を 1000倍 に 希 釈 し て 、 セ ル ト レ イ 1 箱 当 た り 500㏄ を 目 安 に 、 1 週 間 お き に 実 施 す る 。 <本ぽの準備> ○ねぎは過湿に弱いので、水田に作付けする場合、定植前にサブソイラーで弾丸暗渠 を施工する。 ○タテ水が通るための土づくりとして、深耕ロータリーやプラソイラーで深耕する。 ○定植1か月前までに完熟堆肥や土壌改良資材を施用し十分耕起しておく。 ※ 酸 性 土 壌 は 生 育 が 劣 る の で 苦 土 石 灰 で 酸 度 矯 正 を 行 う ( 目 標 p H 6.0~ 6.5)。 ○土壌診断の結果を参考にして、定植2週間前までに元肥を施用する。 肥料名 完熟堆肥 苦土石灰 苦土重焼燐 BBねぎ専用 (燐 硝 安 加 里 ) 合計 元肥 2000㎏ 120㎏ 15㎏ 160㎏ 追肥 窒素 2 4 .0 りん酸 5 .3 2 4 .0 加里 2 4 .0 (20kg× 7回 ) 2 4 .0 2 9 .3 施 肥 設 計 の 目 安 ( 10a当 た り ) 2 4 .0 <排水溝の整備> ○ねぎは過湿に弱いので滞水しないよう、梅雨や集中豪雨、秋雨等に備えて、ほ場周辺の 排水溝を必ず整備する。 <定植溝(機械植え)> 施肥後に十分耕起した後、培土機で溝を掘る。 畝 間 90cm 排水溝 溝 幅 25~ 30cm 深 さ 15~ 18㎝ 防除機用通路 防除機使用(6畝散布)の場合の例 ( 排 水 溝 - 6 畝 - 通 路 - 12 畝 - 通 路 - 12 畝 - ・ ・ ・ - 6 畝 - 排 水 溝 ) <定植(全自動定植機)> ○ 畝 間 90cm、 株 間 9cm、 1穴 3粒 播 き の 場 合 、 約 37,000本 /10aの 定 植 本 数 と な る 。 ○ 覆 土 は 、 1 cm程 度 の 浅 植 え と す る 。 葉 の 部 分 に は 土 を か け な い 。 ○欠株及び1本しか定植できなかったところは補植する。 ○ 約 1 時 間 程 度 で 10a の 定 植 作 業 が 終 了 す る 。 ○定植時に、ネギアザミウマ・ネギハモグリバエの防除のため粒剤を株元施用する。 ※農薬の残留基準値の設定おいて、新たに短期暴露評価が導入されたことによって、 カルボスルファン及びベンフラカルブを成分とする以下の農薬は、ねぎでは使用で きなくなりました。容器に表示されたラベルの使用基準ではなく、チラシ等によっ て最新の農薬登録情報を確認してください。 オンコル粒剤1、オンコル粒剤5、グランドオンコル粒剤、ジャッジ箱粒剤、 オンコルスタークル粒剤、オンコルマイクロカプセル、オンダイアエース粒剤、 ガゼット粒剤、アドバンテージ粒剤、アドバンテージS粒剤 <定植後の管理> ○ 定 植 時 に 選 択 性 除 草 剤 を 利 用 し 初 期 の 雑 草 を 抑 制 す る ( 薬 害 に 注 意 )。 ○定植後の1か月間は、その後の生育を決める重要な時期になるので、特に計画的な作業 を行い、管理が後手にならないようにする。 <土入れ> ○植え付けた溝を3~4回に分けて埋め戻す。 ・ 1 回 目 : 定 植 後 7 ~ 10日 ( 活 着 し て 新 葉 が 伸 び て来た)頃に軽く溝かたの土を落とす。 初めはレーキ等で少しずつ行う。 ※ 削 り 込 み の 際 、 速 効 性 肥 料 を 窒 素 量 で 1~ 2kg 追肥する。 ・ 2 回 目 : 1 回 目 の 土 入 れ 後 10~ 15日 後 に 、 さらに溝の土を戻し、溝をV字型になるように する。2回目もレーキで行う。 ※葉鞘分岐部の上まで決して土がかからないよう に注意する。 ・ 3 回 目 : ね ぎ の 太 さ 8~ 9mmの 頃 に 、 深 さ 3~ 5cm程 度 に 土 を 入 れ る 。 ・ 4 回 目 : 茎 の 太 さ が 平 均 1.5cmに な っ た と き に 平 ら な 状 態 に 埋 め 戻 す 。 <土寄せ> ○土寄せは平らな状態から軟白部を作るために行う作業であり、ねぎにとっては負担のか かるものである。そのため、一度に寄せすぎると草勢が落ち、黒斑病やさび病の発生要 因となるので、生育に応じ適時、適量で行う。 ○ 地 際 か ら 首 ま で の 長 さ で 約 10cm伸 び て い る ( 定 植 後 約 1 か 月 半 頃 ) こ と を 確 認 し 、 1回目の土寄せを実施する。 ○特に夏の高温時は根を傷めるので、日中の高温時や乾燥した土壌状態での作業は控える。 土入れ・土寄せ法 夏の土寄せはM字型 <止め土> ○ 最 終 の 土 寄 せ は 10月 出 荷 は 収 穫 予 定 日 の 30日 前 、 11月 出 荷 は 収 穫 予 定 日 の 40日 前 が 目 安 と な る 。 ○葉鞘分岐部まで土を上げ、上がりが悪いところは手直しを行う。 ○収穫適期を守るため、労力に合わせた面積を数度に分けて行う。 ○一連の土寄せ作業の質と効率は、培土機の羽根や培土板の位置、 回転数等に大きく左右されるので適宜調整する。 <追肥> ○ 土 入 れ 作 業 や 土 寄 せ 作 業 に 合 わ せ て 、 窒 素 成 分 で 10a当 た り 1 ~ 5 kg程 度 の 追 肥 を 行 う 。 ○収穫までに合計7回程度、ねぎの生育を見ながら追肥する。 <病害虫防除> ○病害ではべと病、黒斑病、さび病が主要病害である。予防散布を基本として定期的な防 除を行う。 ○害虫は、ネギコガやネギアザミウマ、ヨトウムシ類が主要害虫である。発生状況に応じ た殺虫剤の散布を行う。 黒斑病 さび病 気象災害による農業被害を未然に防ぐため、 技術対策情報が 携帯電話等に直接メール配信される 「とちぎ農業防災メール」のご登録をお願いします! 併せて、気象警報・注意報等が直接メール配信される 「栃木県防災メール」のご登録をお願いします! ↑「とちぎ農業防災メール」 登録はコチラから ↑「栃木県防災メール」 仮登録はコチラから <新技術の紹介> 『大麦リビングマルチ栽培技術』 リ ビ ン グ マ ル チ と は 、「 生 き た 植 物 で 畑 を 被 覆 す る 」 技 術 で す 。 ね ぎ で は 、 大 麦 を 畝 間 に栽植することで、①盛夏期の地温抑制、②土着天敵の温存による害虫被害低減、③有機 物投入による土壌の物理性改善、④乾燥、過湿の軽減、⑤雑草の抑制などの効果が報告さ れています。ここでは、ねぎの大産地である埼玉県深谷市などで既に実用化されている 「ねぎの大麦リビングマルチ栽培技術」について紹介します。 (1)実 証 さ れ た 効 果 ( 平 成 25年 に 深 谷 市 に 設 置 さ れ た 展 示 ほ の 成 果 よ り ) ① ネ ギ ア ザ ミ ウ マ の 寄 生 頭 数 が 最 大 で 53%減 少 し 、 大 幅 に 被 害 が 軽 減 で き た 。 ② 盛 夏 期 に お け る ね ぎ の 株 元 の 地 温 が 最 大 で 約 11℃ 低 下 し た 。 ③ 大 麦 の す き 込 み に よ っ て 、 乾 物 量 で 平 均 260kg/10aの 有 機 物 が 供 給 で き た 。 ④ 夏 越 し 期 間 中 の ね ぎ の 残 存 数 は 、 慣 行 栽 培 に 比 べ 約 10%増 加 し た 。 (2)技 術 の ポ イ ン ト ①大麦の品種 大麦は、春に播種して、盛夏期の高温に遭 遇すると、出穂せずに自然に枯れる性質があ ります。リビングマルチに使用される品種 は 、「 百 万 石 」 や 「 て ま い ら ず 」 で す 。 ②播種時期 大麦は、ねぎを定植した後、5月~6月末 までに播種します。 5 月 上 旬 播 種 後 、 60日 経 過 し た 「 百 万 石 」 ③播種方法 ねぎの畝間にすじ播きします。播種機(ごんべえ等)を使用すると播種量が均一にな り 、 覆 土 ・ 鎮 圧 も 楽 に で き 、 作 業 が 簡 便 で す 。 10a当 た り 2 ~ 3 kgを 播 種 し ま す 。 ④雑草対策 大麦生育期間は、除草剤が散布できません。大麦播種時に必ず除草剤を使用します。 ⑤土寄せ 大麦が完全に枯れれば、そのまま土寄せができます。枯れるまでの期間は、播種後 約 60~ 80日 で す が 、 播 種 時 期 、 品 種 、 気 象 に よ っ て 異 な り ま す 。 ま だ 大 麦 が 青 い う ち に 土寄せをしたい場合には、刈り払い機であらかじめ刈る必要があります。 ⑥土着天敵の温存 非選択性殺虫剤(有機リンや合成ピレスロイド等)を散布すると土着天敵が死んでし まい、害虫の密度抑制効果が期待できなくなるため、害虫防除は粒剤を主体とします。 <土着天敵とは?> 自然界には害虫を食べてくれ る様々な天敵がいます。 例えば、大麦にはクサキイロ アザミウマ(ねぎには無害)が 発生し、これをエサにカブリダ ニ類やヒメハナカメムシ類など の天敵が発生します。 それらの天敵が、ねぎを加害 するネギアザミウマも食べてく れるため、害虫の被害が軽減さ れるのです。 ※ 以 上 の 内 容 は 、 埼 玉 県 及 び JAふ か や の ホ ー ム ペ ー ジ か ら 引 用 し ま し た 。