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無農薬で育ててみよう!借金なし大豆の育て方
《まきどき》 適期を知ると虫害がぐんと少なくなる! 借金なし大豆は晩生の品種です。山梨県都留市では 6 月 25 日~7 月 7 日あたりで播きます。 この時期にまくと、実が入るころには涼しくなるので、マルカメムシの活動が活発でなくなり結実後の 虫害が少なくなります。 これより早くまくと真夏の最も暑い時期と花の時期が重なってしまい、花が落ちたり実入りが悪くなっ たりします。 初めて作る時は、まきどきを数回に分けてずらしてまき、生育をくらべてみるといいかもしれません。 《播く前の準備》 豆を選別する。かびた豆・紫斑病(文字通り紫の斑が表皮にでるウイルス性の病気)の豆は徹底的に取り 除く。これをきちんとすると翌年の病気が少なくなります。種子用としては販売しているものは取り除 いてあります。 ★どれくらい播いたらいいのか? 直播きの場合も、苗植えの場合も以下に載せている間隔で播くとあまり変わりません。 1 ㎡につき 11 粒~16 粒程度です。 大豆 1 カップ(200ml)= 約 150g = 約 350 粒 → 100g = 約 230 粒 なので、 1 反(1000 ㎡)播く場合は 大豆種子 5~7 ㎏ ※鳥獣害や発芽不良のリスクを考えると、だいたい 1 反につき 8 ㎏くらい確保しておくと安心。 ★直播きと苗植えのメリットデメリットを知ろう 気になる収量は… 見た目としては、直播の方が生育旺盛ですが、一株につく実の量はあまり変わりがないようです。 大豆は葉ばかりしげっても実のつきは良くなりません。苗植えした場合、葉の量は少なく直播きに比べ て丈も低いですが、莢はたくさん付けます。反収もあまり違いがありませんでした。 以下の、育てる際のメリット・デメリットを参考にしてみてください。 直播きの場合…メリットとしては、定植に比べて播く作業の方が圧倒的に楽です。 デメリットは、発芽までに鳥獣害を受けやすいこと。豆が発芽する直前、水分を吸っ てやわらかくなった豆はサルやキジ、ハト、カラスの大好物です。鳥獣害の心配があ る場所では、ワラを上にかぶせて隠す、鳥除けの糸やネットを張る等の対策が必要に なります。 苗植えの場合…メリットの一つ目は発芽までの鳥獣害苗トレーを見つからないようにすれば鳥獣害 から守ることができ。二つ目のメリットは、ある程度の大きさになってから定植する ことで、雑草よりも優位にスタートすることができる点です。耕したばかりの畑に定 植すれば、雑草はまだ生えておらず種の状態で土の中にあるはずです。雑草との競争 を優位に始めさせることで、その後も「大豆優勢」の状態にしやすく草管理が楽にな ります。 デメリットは苗管理から定植までの作業量が多いこと。作付面積が多いと、育苗中の 毎日の水やりも苗植えもそれなりの労働量になりますので・・・。 《タネまき》 ★直播きの場合 株間 20~30 ㎝、条間 50~60 ㎝で播きます。1 か所 2 粒ずつまくと生育がいいようです。 鳥害の心配がある場合は、株間を 15~20 ㎝にするなど多めに蒔くようにします。 2~3 センチの深さの穴を指であけて蒔き、土をかけてかるく踏みます。 鳥除けに撒いた部分の上にワラをかけておきます。 量が多い場合は手押しの播種機「種まきごんべえ」を使っています。 ★苗を育てて植える場合 鳥害が多い畑や、発芽までの雨が少ないことが心配される場合は、苗をつくります。 量が多い場合は 128 穴のセルトレー(コメリで購入)に一粒ずつまきます。量が少ない場合は直径 10 ㎝ 程度のプラポットに 3 粒ずつ程度まくと良いかと思います。 (ちなみに NPO では 100 枚以上のセルトレーにまくこともあるので、専用のタネまき道具を使っていま す) トレーに土をかるく詰め、各セルに深さ 2~3 センチの穴をあけて 1 粒ずつまきます。 上から土をかけて指で押さえながらタネを埋めます。 水をたっぷりかけて、上から寒冷紗(鳥除け、保湿効果)をかけておきます。 サルやカラスが出る畑では、寒冷紗よりもワラを薄くかけて隠す方が有効でした。 人工的なものが見つかりやすいのですね。 播種後 5~10 日で発芽します。 左:播種後 8 日目。初生葉の開き初め。右:播種後 12 日目これくらいから植えられる。 芽が出そろったら寒冷紗・ワラを外します。 セルトレーの場合は毎日 2 回(朝夕)たっぷり水やりします。 発芽後 5~10 日で定植します。子葉の次の双葉(初生葉)が開ききり、本葉が少し出始めたころが目安。 定植が遅れるとひょろひょろした徒長苗になってしまい、その後修正できないので遅れないように注意 します。 試しにセルから引き抜いてみて、根がセルの形に沿って絡み合い始めたころが土も崩れにくく植えやす いです。 植えるときは株間 30cm・条間 30cm 間隔で碁盤の目のように植えます。間隔狭めですが、大豆が早めに茂 って地面を完全に多い隠し、雑草が出ないようにするのが狙いです。この場合は、通路が狭いので土寄 せせずに育てます。子葉が完全に埋まるくらい、少し深めに植えた方がよく定着します。 (図) 《その後の管理》 大豆の葉が茂って地面に日からが届かなくなるくらいになるまでは、 三角ホーや小型の管理機を使って株と株の間を除草します。三角ホーで軽く土を削って株元に寄せなが ら除草と土寄せを兼ねるようにします。土寄せすることで株の乾燥を防ぐことができます。刈った草は その場に刈り敷きます。初期の段階で、大豆優勢にしてあげることができると、その後、雑草が生えに くくなり管理が楽になります。 左:除草・土寄せしたところ。/右:これくらいに葉が広がれば、以降は雑草はかなり抑えられる。 8 月半ばにはピンク色の花が咲きます。このころ、雨が少ないと花が落ちてしまったり、実の付きが悪く なったりします。あまりに乾燥する場合は水をやります。プランターの場合は乾いたら水をたっぷりや ります。 ★根粒菌のはたらきと肥料について 大豆は空気中にある窒素を取り込み土中に固定する「根粒菌」という微生物と共生します。そのため取 り込まれた窒素を利用することができ、肥料分の少ない土地でもよく育ちます。 大豆を引き抜いてみると根に小さな丸い粒々がついています。これが根粒菌のいる証です。 粒々の数が 20 前後なら窒素分がちょうどよく、粒々が少ないと窒素過多、多ければ窒素不足、と指標に なります。私は肥料を一切入れませんが上手く作れた時は、無肥料でも反収 150 ㎏は超えています。 《収穫》 9 月末~10 月前半が枝豆の収穫期です。 その後 10 月後半~11 月頭にかけて、豆の登熟がすすみ枝豆から大豆に変わります。 収穫は、まだ莢に青みのあるうち(枝豆としては大きく固すぎるくらいが目安)に刈り取って干します。 (都留では 10 月中旬) もしくは、莢がカラカラに乾いて自然にはじけ始める直前に刈りとって数日干し、脱粒します。(10 月末 ~11 月上旬) 早めに刈り取って干しても乾燥するうちに大豆になります。 収穫期に雨にあたったり、風通しが悪く過湿になったりすると、カビや紫斑病の発生が多くなるので気 をつけます。 左:青いうちに刈り取って干す。/右:莢が茶色っぽく変わってから刈取り、小さい山のように立てか けて乾燥。 《脱粒~保存》 莢が完全に乾いてから、ブルーシートの上に広げて足で踏んだり、固いものに叩きつけて脱粒し、風で カラをとばします。 脱粒したあとさらに 10 日~2 週間、ゴザなどに広げて風通しの良い日陰で乾燥させます。 完全に乾燥したら冷蔵庫や冷凍庫で保存することもできます。 室温で保存する場合はビンや缶など密閉容器に乾燥剤とともに入れて冷暗所に保管します。