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最新号 - 三重県
平成26 年度 第2号 平成26 年 6 月 2 日 桑名地域農業改良 普及センター 発行 気象状況 本年は、11 月∼3 月の積算気温が過去 10 年間で 3 番目の低さとなり、寒い冬となりました。 しかし、3 月後半から急に気温が上がり始め、それ以降は平年並みとなっています。 一方、雨は短期間で集中して降る傾向が強く、それ以外は晴れとなった日が多くありました。 そのため、4∼5 月の積算日照時間は過去 10 年間で 2 番目となり、麦類の生育に良い条件とな りました。 なお、今後 1 ヵ月(6 月下旬まで)の気象は、気温が平年より高く、日照時間も多くなる見 込みです(名古屋地方気象台より)。そのため、麦類の収穫にとっては、作業のしやすい日が多 くなると思われます。 ○4/1∼5/27 の気象状況 積算気温 積算降水量 積算日照時間 今年の値 922℃ 315 ㎜ 432 時間 平年との比較 1℃高い 27 ㎜多い 41 時間多い 平年比 100% 109% 110% 小麦の収穫時期 ・収穫適期は水分が 27%以下に落ちた頃です。 ・立毛中は、1 日あたり 2∼3%程度ずつ乾燥していくので、水分測定は重要です。 ・「さとのそら」の成熟期は、「農林 61 号」よりも 3 日程度早い傾向があります。 ・成熟後の雨により穂発芽が起き、低アミロ麦となることがあります。こうなると、めん等への 加工適性が落ち、著しい品質低下となるため、成熟後は速やかに収穫を実施しましょう。 ○予想成熟期 播種日 11 月 1 日 11 月 10 日 11 月 20 日 12 月 1 日 さとのそら(長島) 6/2 頃 6/5 頃 6/7 頃 6/10 頃 さとのそら(大安) 6/6 頃 6/8 頃 6/11 頃 6/13 頃 あやひかり(東員) 6/5 頃 6/7 頃 6/9 頃 6/11 頃 水稲の栽培管理について 白未熟粒の対策 穂肥時(出穂 18 日前)の理想草姿 ■登熟期には穂肥を 登熟期の養分不足は、活力低下をまね き、白未熟粒の発生を助長します。基肥 一発タイプを利用している場合でも、肥 効切れの見られる場合は、追肥を行っ て、被害を軽減させましょう。 1.葉色が薄く、葉が直立 2.第 4∼5 節間が長すぎない(6 ㎝ぐらいまで) 3.草丈が長すぎない(コシヒカリでは 70 ㎝以下) 4.過剰な分げつが少なく、生育がよく揃っている 5.葉いもちの発生がない 6.下葉の枯れ上がりがない(根が健全) 中干し後は急に 入水せずに、通 し水した後、間 断潅水で根を慣 らす 穂肥後3∼4 日間は十分な 肥効のため、湛 水状態を保つ 出穂 25 日前∼出穂期 は最も 水が必 要な時 期。しかし、根には酸 素も必 要なの で間断 潅水を行う 落水が早いと未熟粒が 多くなる。収穫まで土 に水気があるように、 落水は収穫 7 日前以降 で 8月 9月 収穫 落水 出穂 穂肥 間断潅水 7月 間断潅水 通し水 6月 中干し ■落水は収穫直前に 早期落水は白未熟粒だ けでなく、胴割米の発生 も助長します。収穫直前 まで水気を保つために、 通水を行いましょう。ま た、かけ流しは地温を下 げる効果があり、白未熟 対策には有効です。 慣行栽培における水管理の一例(5 月上旬移植) 斑点米カメムシの対策 ■草刈りは出穂 10 日前までに 斑点米カメムシは、畦畔などの周辺雑草から侵入してきますので、出穂10日前までに周辺雑 草の草刈りを終わらせましょう。さらに、出穂の早い圃場では、集中的に加害される恐れがあり ますので、あきたこまち等や周辺より出穂が早い圃場では、特に防除が必要です。 ■薬剤防除は出穂期に 粉剤や液剤は、直接カメムシを殺虫するので、侵入ピークとなる出穂期に散布しましょう。昼 間は株元に潜んでいるので、朝夕や曇天時の散布が効果的です。また、粒剤は根から吸収されて 吸汁時に作用するため、出穂前に湛水状態で散布しましょう。 いもち病の対策 梅雨期間は、いもち病の発生が懸念される時期ですが、発生好適条件は以下の 3 つです。 ・湿潤時間中の平均気温が 15∼25℃ 温度(℃) 18 19 20 21 22 23 ・右表の各温度で、必要な湿潤時間を満たすこと 湿潤時間 15 12 11 11 10 10 ・当日を含めて、前 5 日間の平均気温が 20∼25℃ 今年は多雨が予想され、発生が懸念されるため、予防効果のある薬剤を使用するとともに、感 染源になり得る圃場内の置き苗は、早急に撤去するようにしましょう。 いもち病の発生予報を病害虫防除所のHPで公開予定。 三重県病害虫防除所/BLASTAM11→→ 三重県 ブラスタム で検索! 大豆の栽培管理について 圃場の準備 ■排水対策 麦同様に大豆も湿害対策が必要です。特に播種後∼生育初期の浸水や冠水は、苗立ち不足によ り大きな減収となりますので、播種前に湿害対策を行うことが重要です。 ・麦跡の排水溝を利用する際は、雑草の繁茂や排水口のつまりなどを点検すること ・再設置の場合、周囲溝だけでなく、圃場内(10m 間隔)にも施工し、排水路と連結すること ・圃場が乾きにくいときは、浅耕(5㎝)を行い、乾燥を促進すること ■土壌改良資材の施用 大豆の生育適正pHは6.0∼6.5です。 pHが低下すると、収量や百粒重の低下、縮緬じわの発 生率が高まる傾向があります(右表)。麦大豆連作やWC S跡などでpH低下が懸念されるところでは、以下によ り酸度矯正を行うと効果があります。 ○低pH土壌における大豆の減収程度 pH6.0∼6.5 と 土壌pH 比べた減収程度 4.6∼5.0 15∼20% 5.1∼5.4 10∼15% 5.5∼5.7 5∼10% 5.8∼6.0 0% ○土壌改良資材の種類と効果 資材名 pH1.0 上げるための必要量 灰色低地土 黒ボク土 85kg 165kg 生石灰 消石灰 110kg 220kg 炭酸石灰 130kg 250kg 苦土石灰 130kg 250kg 効果の遅延 速効性 やや遅効性 注意点 ・高pHまで改良可能 ・施用後、作付けまで 1 週間以上必要 ・微量要素の欠乏に注意 ・施用後、直ちに作付けが可能 ・苦土石灰は苦土(Mg)も補給 ■施肥管理 大豆はタンパク質を多く含むため、窒素が多く必要です。その吸収量は25∼30㎏/10a に もなり、うち約20kgは根粒菌の窒素固定により得ることができますが、残り約10㎏は地力 窒素や施肥からの供給となります。したがって、麦跡や連作により地力が低下している圃場では、 施肥による窒素供給は必須です。特に、根粒菌の活性が得られにくい土壌条件(湿田、低 pH)で は、より多くの施肥が必要となります。 ○各時期の施肥効果 生育初期 開花期 子実肥大期 時期 播種後 15∼30 日 播種後 45∼65 日 播種後 70∼90 日 効果 出芽後の初期生育の確保、根粒菌の着生促進 着莢数の増加、稔実の向上 大粒比率の向上、しわ粒の抑制 ○施肥時期と施肥量 時期 基肥(耕起∼播種時) 追肥(開花期∼10 日) 肥料種類 大豆化成、NK化成 硫安、尿素 施肥量(窒素量 kg/10a) 1∼2kg 4∼6kg 狭畦栽培 狭畦栽培とは、条間を 40 ㎝程度に狭く密植することにより、早期に葉面積を確保し、雑草を 抑制することで、中耕培土を省略する栽培方法です。倒伏の発生により収量は不安定ですが、7 月下旬の晩播となった場合には、有効な方法となります 作業事項 狭畦栽培 慣行栽培(中耕あり) 播種時期 7 月 20 日∼31 日 7 月 1 日∼15 日 播種密度 条間 35∼50cm 株間 30 ㎝ 条間 70∼75cm 株間 20 ㎝ 播種量 5∼6kg、1 株 2 粒播き 3.5∼4kg、1 株 2 粒播き 雑草防除 土壌処理(播種直後) 茎葉処理(大豆 2∼3 葉期) 土壌処理(播種直後) 中耕培土(1∼2 回) ・中耕培土による排水・乾燥効果がないため、明渠及び補助明渠を必ず施工すること ・条間が狭くなり種子が多く必要になるが、株間を広く取って 1 条あたりの種子量を調整し、 10a あたりの播種量を極端に多くしないこと 雑草の防除 大豆は畑作物の中でも被覆力が強いので、比較的速やかに繁茂し、播種後2ヵ月経過すると、 株間の相対照度は 10%以下まで低下します。そのため、初めの2ヵ月間の雑草防除が重要であ り、播種直後の土壌処理除草剤の使用が特に有効となります。そのため、以下の点に注意の上、 適切に土壌処理剤を使用しましょう。 ■砕土はしっかりと 表土の砕土率が悪いと、処理層を十分に作ることができず、除草効果は大幅に低下します。そ のため、一度荒く起こして土壌を乾燥させた後、再度耕起することで砕土性が高まり、除草効果 も安定します。 ■散布は「播種直後∼雑草出芽前」に ほとんどの除草剤は、出芽後の雑草に効果が劣るため、雑草の出芽前に処理しましょう。また、 大豆播種の4日以降の処理は、大豆の生育を阻害する場合があるため避けましょう。 ■散布水量を厳守 極端な乾燥条件では除草効果が十分に発揮できないため、ラベルに表示されている散布水量を 守り、土壌水分が低くならないよう注意しましょう。また、適度な降雨の前後に処理日を設定す ると効果的です。 発行元:桑名地域農業改良普及センター 電話:0594(24)3642 ホームページは、 桑名 普及 で検索!!