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第2学年数学科学習指導案 「自ら学ぶ意欲を育てる指導法の研究」
第2学年数学科学習指導案 指導者 1 単 元 2 校内研とのかかわり (1) 奥 山 信 一 「平行と合同」 (第4章) 数学科研究目標 「自ら学ぶ意欲を育てる指導法の研究」 (2) 数学科としてとらえる「学習意欲」について ・「なぜ?」という思いを抱き,それを解明しようと様々な方法に取り組もうとしている。 ・1つの解法で答えを求めた後に,別の解法で答えを求めようとしている。また,その中で,最も良い 方法はどれであるかを比較検討しようとしている。 ・自分だけの力で考えようとしている。 (※安易にヒントや考え方を求めない。) ・自分の考えだけでなく,他の生徒の考えや意見も受け入れ,自分の考えに反映しようとしている。 ・積極的に挙手発言して,自分が考えたことを広く全体に紹介しようとしている。 ・与えられた問題だけでなく,プリントやワークなどの類題などにも自主的・積極的に取り組もうとし ている。 ・周りに分からない仲間がいた場合,その仲間に積極的に関わろうとしている。 ・授業に対する(物と気持ちの)準備がしっかりとできている。 (持ち物・宿題・準備して待機等) ・授業で学習した内容を振り返り,その日のうちに家庭学習として行っている。 (3) 数学科の「やる気を引き上げる効果的な指導法」 ①「導入課題」(単元の導入,各授業の導入)の内容と提示の仕方の工夫をする。 ②多様な考えを引き出す「発問」や「授業展開」を工夫する。 ③「学習記録カード(自己評価カード) 」を利用して,「個に応じた指導」が行えるよう心がける。 ④グループ活動を利用し,お互いの意見が交換し合える場をもつ。 ⑤操作活動を取り入れる。 (特に図形領域において) ⑥日常に即した題材を取り上げるように心がける。 3 単元について (1)指導内容の系統(関連と発展) 図形領域において,小学校では,具体的な物の取り扱いを通して,平面図形についての基本的なことを 学習してきている。また,平行や垂直などの確かめ方を学びながら,簡単な空間図形(立体)についても学 習してきている。 中学1年では,小学校で学習してきた事項を用いて,平面図形の対称性や作図による操作活動を中心に 学習してきている。また,空間図形に対する理解を深め,図形に関する見方や考え方を伸ばすとともに, 論理的に考察するための基礎を培う学習活動を行ってきている。 本学年では,平行線と同位角,錯角に関する性質や多角形の角に関する性質,合同な三角形の関係など の平面図形に関する基本的な性質を見いだし,それをベースにしながら,図形(特に三角形と四角形)に 対しての理解を更に深めることを目的としている。 中学3年では,相似な図形,三平方の定理へと発展し,更に論理的な思考力を深めたり,実生活への応 用力を身につけたりしていく。 中学校の図形領域の主眼は,ただ単に知識を深めることにあるのではなく,「物事に対して論理的に筋 道を立て,正しい推論を行い,その推論の過程を的確に表現する能力を養うこと」を目指している。本単 元において初めて「論証(証明)」が登場するが,その意味を理解し,その有用性を感じ,表現方法を身 につけていく学習活動を行っていく必要があると考える。 (2)題材の考察 中学校の数学において問題視されていることの1つに,「図形の証明に関する問題を苦手とする生徒が 非常に多い」ということがある。このことは,教育課程実施状況調査からも明らかである。この現状は, 子どもたちが,“証明の必要性を感じていない”というところからきているのではないだろうか。 子どもたちは,入試には直接出題されることが少ない二等辺三角形の定理そのものの証明問題や平行四 辺形の定理そのものの証明問題1つ1つを丁寧に扱うことにややもすると意義を感じにくい。証明するこ との目的が,「正しいかどうかを示す」ことのみにあると勘違いするからであろう。中学校の論証指導の 主眼は,そうではなく,「体系の意識化」と「記述の練習」にあると考える。「体系の意識化」について, 二等辺三角形を例に挙げて述べると次のようなことが言える。 小学校4年生では,たくさんの三角形が並んでいて,その中から二等辺三角形や正三角形を見つけ出し -1- たり,与えられた長さの辺をもつ二等辺三角形や正三角形を定規とコンパスを使って作図する問題が扱わ れる。ここでの指導の目的は,そういった活動を通して,二等辺三角形という図形に馴染み,それ自体の 概念を形成していくところにある。 ① 2つの辺が等しい三角形を二等辺三角形という。 ② 二等辺三角形では,2つの角が等しい。 という2つの性質は,小学校卒業の段階では,本来の目的から考えても,まだ混然としていて当たり前な のである。中学校では,その混然としている図形の性質を,定義や定理,仮定と結論といった要素を通し て, 「体系」という観点を意識しながら扱うように心がけたい。 仮定と結論を指導する際,『 「 ならば』の前を仮定,『ならば』の後ろを結論というよ。さぁ,それでは 二等辺三角形の底角は等しいことを証明してみよう。仮定は,AB=AC・・・・・」といったような授 業展開になりがちであるが,この場合,本当は混乱しているのに,言葉面だけを覚えて「理解した」とい う錯覚に生徒を陥いらせてしまい,先ほど述べた“証明の必要性を感じない”状態をつくってしまうこと につながる。 「体系」というのは,与えるものではなく,生徒自身が自分の中で再構築していくべきものであると考 える。そのために教師サイドとして,図形と図形のつながりや性質と性質のつながりを常に意識しながら 指導する必要がある。 (3)単元の構成 本単元は,大きく次の4段階で構成する。 主な内容 1次 2次 3次 4次 4 平行線と角 合同な図形 単元のまとめ 課題学習 時 間 6時間 7時間 1時間 2時間 数 16時間 単元の目標 観察,操作や実験を通して,基本的な平面図形の性質を見いだし,平行線の性質や三角形の合同条 件をもとにして,それらを確かめることができるようにする。 ① 数学への関心・意欲・態度 ・ 図形への性質を,あることがらを根拠にして説明しようとする。 ・ 演繹的な推論の必要性に関心をもち,進んで証明しようとする。 ・ 観察,操作や実験を通して,平行線や角の性質を見いだし,それを確かめようとする。 ・ 多角形の内角の和や外角の和に関心をもち,それを三角形の内角の性質をもとにして調べようと する。 ・ 三角形のどの辺や角に着目すると2つの三角形が合同になるかということに関心をもち,それを 調べようとする。(本時) ② 数学的な見方や考え方 ・ 図形の性質を演繹的な推論や類推を用いて,予想したり考察したりすることができる。 ・ 2つの三角形が合同になる条件を調べ,合同条件を見いだすことができる。 ・ 根拠となることがらを明確にしながら図形の性質を証明することができる。 ③ 数学的な表現・処理 ・ 平行線の性質,多角形の内角の和や外角の和の求め方を説明することができる。 ・ 多角形の角や平行線と角の性質を利用して,角の大きさを求めたり,図形の性質を説明したりす ることができる。 ・ 合同な図形を記号「≡」を使って表すことができる。 ・ 三角形の合同条件を利用して,図形のいろいろな性質を証明することができる。 ・ 仮定,結論を区別し,それを式などで表すことができる。 ④ 数量,図形などについての知識・理解 ・ 平行線の性質や多角形の角の性質を理解する。 ・ 多角形の角や平行線と角に関する用語の意味を理解する。 ・ 証明することの意味を理解する。 ・ 2つの図形が合同であることの意味を理解する。 ・ 三角形の合同条件や,基本的な図形の性質を理解する。 ・ 仮定,結論の意味を理解する。 -2- 5 単元の指導計画及び評価計画(計16時間) ※別紙資料参照 6 生徒の実態 (1) CRT(目標基準準拠検査)の結果より(H18,3,7実施) この検査は,1年生の3学期に実施したものであり,旧クラスで実施しているが,データ分析は, 学年全体の傾向と現学級の生徒の数学科における4観点の評価に注目した。 【資料Ⅰ】 数学科観点別 A 学年集計 B C 学年 全国 学年 全国 学年 全国 ・数学への関心・意欲・態度 59% 52% 27% 33% 14% 15% ・数学的な見方や考え方 31% 28% 39% 30% 30% 42% ・数学的な表現・処理 58% 43% 25% 33% 17% 24% ・数量、図形などについての知識・理解 52% 51% 32% 29% 16% 20% 【資料Ⅱ】 数学科観点別 現2年4組集計 A B C ・数学への関心・意欲・態度 18人(58%) 5人(16%) 8人(26%) ・数学的な見方や考え方 11人(35%) 11人(35%) 9人(29%) ・数学的な表現・処理 17人(55%) 9人(29%) 5人(16%) ・数量、図形などについての知識・理解 13人(42%) 14人(45%) 4人(13%) 資料Ⅰのデータからは,現2年生は,4観点のすべてにおいて全国平均を上回っていることが分か る。しかし,数学的な見方や考え方に関しては,全国平均まではいかないもののCの割合が他の3観 点と比較して高いことから,指導をする際に特に配慮する部分と言えよう。 また,資料Ⅰと資料Ⅱを見ると,授業学級は学年・全国と比較し,数学への関心・意欲・態度の面 でCの割合が高く,意欲の高い生徒と低い生徒のギャップが大きいことが分かる。特にCの生徒の意 欲の高揚を図るべく,授業中の机間指導の際には,重点的に指導にあたるように心がけてきた。 (2) AAI(教研式 ① 学習適応性検査)の結果より(H18,5,25実施) 授業学級の数学の反応率は,英語に次いで2番目に高く,全国と比較しても高いことがわかる。 学級反応率 学年反応率 全国反応率 65 66 53 ② 授業学級では,学習指導上参考となる項目で,「授業で出された宿題は,できるだけ早くやるよ うにしている」「ノートにまとめるときには,自分なりの工夫をしている」「学期末やまとめのテ ストの時には,計画を立てて準備する」「テスト返却時は,得点だけでなく間違っている場所を調 べる」の項目が全国と比べて高く,望ましい傾向にあることがわかる。 ③ 授業学級の生徒の学習スタイルは,熟慮型が9名で,衝動型が6名,中間型が16名となってお り,他の学級と比較すると,熟慮型が多く,衝動型が少ない。(同学年のもう1つの学級は,熟慮 型が5名,衝動型が9名,中間型が16名) 以上のことから,授業学級の生徒は,内容は理解しつつも,少しでも自信がない場合,挙手をた めらったりしている生徒が多いことがわかる。「間違っていたら恥ずかしい」という気持ちの現れ であるので,間違った解答が出たとき,その間違った解答こそを大切に扱うように配慮し,指導し てきた。 -3- 7 本時の授業 (1) 題材 三角形の合同条件 (2) 本時のねらい(2次の2時) 2つの三角形が合同になるためには,どのような条件が整っていればよいかを考え,実際に作図 することを通して,それが正しいかどうかを検証できる。 (3) 学習活動における観点別評価規準(本時) 【数学への関心・意欲・態度】 三角形のどの辺や角に着目すると2つの三角形が合同になるかということに関心をもち,それを 調べようとする。 〔十分満足できる状況と判断する視点〕 ・三角形のどの辺や角に着目すると2つの三角形が合同になるかということに関心をもち,条 件をいろいろと変えて調べようとする。 【数学的な見方や考え方】 調べた結果をタイプ毎に分類することができる。 〔十分満足できる状況と判断する視点〕 ・調べた結果をタイプ毎に分類することができるだけでなく,調べる過程で,同じタイプのも のは実際に作図しなくてもかけることが推測できる。 (4) 授業の展開 ある三角形と合同な三角形を作図するためには,どんな情報(条件)が必要かを,実際に作図しな がら考え,2つの三角形が合同であるためには,最低限何がわかっていればよいか検証する。 「評価・配慮事項」欄の記号は,以下の通りである。 ◇ …指導上の配慮事項 ◆ …特にポイントとなる指導上の配慮事項 ○ …評価の場面で,「おおむね満足できる」状況と判断できる視点 ◎ …評価の場面で,「十分満足できる」状況と判断できる視点 〔 〕…カッコ内は,主な評価の方法 ・発言:授業の中で,生徒の発言を観察する。 ・机間指導:授業の中で,生徒の活動やつぶやきを観察する。 ・ワークシート:授業の中で,生徒のワークシートへの記述を観察する。 ・ノート:授業中のノートへの記述を観察したり,授業後にノートを回収して点検し たりする。 学習のねらいと発問 1.前時の確認 「『 合同』とは, どういうことでし たか。」 2.課題の把握 「問題について何 か質問があります か。 」 学習活動 評価・配慮事項 ◇合同の意味を再確認する。 ある2つの図形がピッタリと重ね合わ せることができるとき,その2つの図形 は合同であるという。 また,合同な図形では,対応する部分 (辺など)の長さや角の大きさは等しい。 課題 この袋の中には,ある△ABC(非提 示)が入っています 。「これと合同な三 角形をかいてください 。」と言われたと き,あなたならどうしますか。 ・適当な三角形ならいくつでもかけるが,あ る三角形と合同であること,もとの三角形 が見えないことからかけるわけがない。 ・何らかの情報(条件)が必要不可欠である。 -4- ◆もととなる三角形を見せないこ とで ,「どんな三角形なんだろ う 。」という生徒の興味・関心 をひく。 3.解決方法の検討 「どのような情報 (条件)があれば かけるのかな。」 ・辺の長さや角の大きさが分かれば何とかな ・△ABCの要素は次の通りであ りそうだ。 る。 ・辺と角を合わせると全部で6つの情報が考 えられる。 AB=10.6cm BC=12cm 「では,1つだけ ・1つの辺の長さを知った場合 CA=13cm 情報を伝えます。 →かけない。(3点のうち2点の位置は決ま ∠A=60° 何について知りた るが,残りの1点の位置が決まらない。) ∠B=70° いですか。 」 ・1つの角の角度を知った場合 ∠C=50° →かけない 。(3点のうち1点の位置は決ま るが,残りの2点の位置が決まらない。) ・情報が1つだけでは足りない。 ◇黒板上で実際にやってみること ・もっと情報がほしい。 で,かけないことを確認する。 「情報が足りない ようなので,もう 1つ情報を伝えた いと思います。」 4.課題解決(検証)① 「では,3つの情 報を同時に伝える ので,合同な三角 形がかけるか実際 に調べてみてくだ さい。」 ・1つの辺の長さと1つの角の角度を知った 場合 ・2つの辺の長さを知った場合 ・2つの角の角度を知った場合 →いずれもかけない。(いずれも3点の位置 が決定できない。 ) ・情報が2つだけでは足りない。 ・情報が3つあれば何とかなるのでは? 【3つの情報のパターン】(全20タイプ) Ⅰ…3つの辺の長さがわかっている。(①の1タイプ) Ⅱ…2つの辺の長さと1つの角の角度がわかっている。(②~⑩の9タイプ) Ⅲ…1つの辺の長さと2つの角の角度がわかっている。(⑪~⑲の9タイプ) Ⅳ…3つの角の角度が分かっている。(⑳の1タイプ) ・全20タイプ(添付資料の情報カード①~ ・全員に情報カードのセットとワ ⑳参照)から自由に選択し, その情報(条件) ークシートを配布する。 をもとに実際に作図して調べ,その結果を ◇開始から10分間は,自力のみ ワークシートにまとめる。 で考えるようにさせる。 ◇かけたら,合同な図形が正しく かけているかを,OHPシート 合同な三角形がかける 合同な三角形がかけない にかかれたもとの三角形を重ね 情報のタイプ 情報のタイプ ることで確認する。 ◇かけたものが確認できたり,か Ⅰ ①AB,BC,CA けないことが分かったら,別の タイプのカードを選んでかくよ Ⅱ ③AB,BC,∠B ②AB,BC,∠A うに伝える。 ⑦BC,CA,∠C ④AB,BC,∠C 関心・意欲・態度 ⑧CA,AB,∠A ⑤BC,CA,∠A ○三角形のどの辺や角に着目する ⑥BC,CA,∠B と2つの三角形が合同になるか ⑨CA,AB,∠B ということに関心をもち,それ ⑩CA,AB,∠C を調べようとする。 〔発言,机間指導,ワークシート〕 Ⅲ ⑪AB,∠A,∠B ⑫AB,∠B,∠C 〈努力を要する生徒への対応・手だて〉 ⑮BC,∠B,∠C ⑬AB,∠C,∠A ・20タイプの具体例を挙げ,そ ⑲CA,∠C,∠A ⑭BC,∠A,∠B の中から選択させるという形を ⑯BC,∠C,∠A とることで,取り組みやすいよ ⑰CA,∠A,∠B うにする。 ⑱CA,∠B,∠C ◎三角形のどの辺や角に着目する と2つの三角形が合同になるか Ⅳ ⑳∠A,∠B,∠C ということに関心をもち,条件 をいろいろ変えて調べようとす る。 5.課題解決(検証)② 「班になり,情報 交換をしよう。」 ・同じタイプの情報をもとにかいた生徒どう しで確認し合う。 -5- ◇10分経過したところで,班に なり,情報交換をするとともに, まだ班の中で誰も選んでいない 情報カードを班の中で分担して 「班で協力して, ・班長は班員がこれまで何番のタイプに取り つくる。 残りのタイプの情 組んだかを確認し,残りのタイプの担当者 見方や考え方 報をもとにかいて を割り振る。 ○調べた結果をタイプ毎に分類す みよう。」 ・班員は分担して作業をする。 ることができる。 〔発言,机間指導,ワークシート〕 「分かったことを ・情報はいくつかのタイプに分類できる。 〈努力を要する生徒への対応・手だて〉 班でまとめよう。」 ・20タイプの情報は,大きく分類すると, ・班活動を取り入れることで,友 3つの辺の長さがわかっているタイプ(① 達と情報交換したり,教え合う の1タイプ),2つの辺の長さと1つの角 ことができる場面を設定する。 の角度がわかっているタイプ(②~⑩の9 ◎調べた結果をタイプ毎に分類す タイプ),1つの辺の長さと2つの角の角 ることができるだけでなく,調 度がわかっているタイプ(⑪~⑲の9タイ べる過程で,同じタイプの物は プ),3つの角の角度が分かっているタイ 実際に作図しなくてもかけるこ プ(⑳の1タイプ)の4タイプに分類できる とが推測できる。 ことがわかる。 ・③⑦⑧は同じタイプだから,1つがOKで ◇班で発表する生徒をしっかりと あれば,他もOKだろう。 決めておくように指示を出す。 6.検証結果の発表 「△ABCと合同 な三角形をかくこ とができたできた タイプの番号はど れですか。 」 ○各班で調べた結果を発表し,確認する。 ・かけたのは・・・・・で,かけなかったの は・・・・・だった。 ・タイプによってかけるものとそうでないも のがあるようだ。 ・③⑦⑧は合同な三角形がかけたが,②④⑤ ⑥⑨⑩は2つの三角形がかけてしまって, 「各班から出たこ 1つに決まらない。 とをまとめると, ・③⑦⑧は選んだ辺や角のペアは違うが, 「選 どんなことが言え んだ角が選んだ2辺の間にある」という点 そうですか。」 で同じタイプである。 ・②④⑤⑥⑨⑩は③⑦⑧と違い,「角が2辺 の間にない」タイプである。 ・情報が辺2つ,角1つの場合は,角の位置 が2辺の間であればよいのではないか。 ・⑪⑮⑲は合同な三角形がかけたが,⑫⑬⑭ ⑯⑰⑲はかけない。 ・⑪⑮⑲は選んだ辺や角のペアは違うが, 「選 んだ2つの角が選んだ辺の両端にある」と いう点で同じタイプである。 ・⑫⑬⑭⑯⑰⑱は⑪⑮⑲と違い,「2角が辺 の両端にない」タイプである。 ・情報が辺1つ,角2つの場合は,角の位置 が1辺の両端(辺の位置が2角の間)であ ればよいのではないか。 7.確認 「みんなが調べて わかったことをま とめてみます。」 8.まとめ ①ある三角形と合同な三角形をつくるに は,辺の長さと角の大きさについて, 最低3つの情報(条件)が必要となる。 ②3つの情報のタイプによってつくれる タイプとつくれないタイプがある。 ③つくれるタイプを詳しく分類していく と,更にいくつかのタイプに分かれる。 ◇各班の結果(かけたかかけなか ったか)を1つの表にまとめ, 班による相違点を確認し,それ をもとに全体で考えさせる。 ◆②④⑤⑥⑨⑩の情報でかけた (1つに決まった)という生徒に は, 「本当にそれでよいのか?」 と投げかける。(他の生徒にも) ◆Ⅱについては,決定した角の位 置の違いで,1つに決まらない 場合(②④⑤⑥⑨⑩)があること を確認する。また,1つに決ま らない場合はかけない方に分類 されることを確認する。 ◆Ⅲの⑫⑬⑭⑯⑰⑱については, 三角形の内角の和を利用するこ とで,⑪⑮⑲と同様になるが, 直接の情報ではないためかけな い方に分類されることを確認す る。 ◇最低3つの要素が不可欠である ことをしっかりと確認する。 ・本時の授業について振り返り,「学習記録 ◇取り組みの中で良かった点を評 カード」に記入する。 価し,意欲を高める。 ・課題解決に向けて頑張った様子を評価し, ◇次時の予告をすることで,次時 次時の学習内容(本時に調べた結果を詳し への意欲づけとする。 く分類してまとめていくこと)を予告する。 -6- 8 1 研究のまとめ 数学科の研究主題 「自ら学ぶ意欲を育てる指導法の研究」 2 ・ ・ 数学科でとらえる学習意欲 「なぜ?」という思いを抱き、それを解明しようと様々な方法に取り組もうとしている。 1つの解法で答えを求めた後に、別の解法で答えを求めようとしている。また、その中で、最も良い 方法はどれであるかを比較検討しようとしている。 ・ 自分だけの力で考えようとしている。(※安易にヒントや考え方を求めない。) ・ 自分の考えだけでなく、他の生徒の考えや意見も受け入れ、自分の考えに反映しようとしている。 ・ 積極的に挙手発言して、自分が考えたことを広く全体に紹介しようとしている。 3 数学科の「やる気を引き上げる効果的な指導法」 ・ 「導入課題」(単元の導入、各授業の導入)の内容と提示の仕方の工夫をする。 ・ 多様な考えを引き出す「発問」や「授業展開」の工夫をする。 ・ 「学習記録カード(自己評価カード)」を利用して「個に応じた指導」が行える ・ グループ活動を利用し、お互いの意見が交換し合える場を持つ。 ・ 操作活動を取り入れる。(特に図形領域) よう心がける。 4 公開研究授業報告 (奥山信一 教諭 ) (1) 授業観察より ① 「やる気を引き上げる効果的な指導法」について ・ 言葉面の指導になりがちな三角形の合同条件を導くのに、導入課題がよく工夫されていた。提示 する課題の三角形を封筒に入れて、すぐに三角形を提示しなかったところは、生徒が情報をほしい と感じていてとてもよかった。 ② グループ活動について ・ 個ではどうにもならないものもグループの形態で授業を行うことで、集団の力で互いの意見を生 かす場としてとらえられると考えた。 (2) 研究討議の柱より ① 多様な考えを引き出す「発問」や「授業展開」について ・ 授業展開は、作図のための情報を20種類のカードにし、生徒一人一人 に配布したことで、生徒達が様々な考えを出し合う場面につながっていたと思う。 ・ 『1つの辺の長さがわかっただけでは合同な三角形は書けない』とか『2つの辺の長さがわか っただけでは合同な三角形は書けない』とかポイントをいうだけでなく、簡単でよいので板書し た方が生徒の頭の中もごっちゃにならずよいと思う。 ・ 作図の作業は、全員が意欲的に取り組んでいた。作図できることで達成感を感じていた生徒が 多く見られた。 ② 「学習記録カード」と生徒の意欲について ・ 学習記録カードについては、生徒一人一人が毎回の授業について細かく書いてあってすばらし いと思った。また、先生のコメントも細かく書かれていて生徒の意欲につながっていて良かった と思う。 (3) 指導主事からの指導助言 ・ 封筒を上手に利用して、生徒の目を引きつけるエネルギーとテクニックのある経験豊かな授業であ った。 ・ 学習記録カードの目的は振り返りである。その授業ごとのワークシートに書かせることも目的によ ってはあってもよいが、今回のように自分の学習の推移が読み取れるものも大変有効である。 ・ 総括表は、他の班の考え方との比較を目で見て確認できるという意味であってよかったと思う。 (4) 授業者からの反省 ・ 欲張りすぎて授業が延びてしまった。指導案をもう少し細かく検討すべきだった。また、授業の終 盤のまとめかたももう少し工夫すべきだった。 -7-