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興部町総合戦略 (PDF 1.92MB)
興部町総合戦略
平成 28 年3月
興部町
【 目 次 】
1. 興部町総合戦略について
2. 計画の期間
3. 位置づけ
-------------------------------------------- 01
------------------------------------------------------- 01
--------------------------------------------------------- 01
4. 国、道の総合戦略の概要
-------------------------------------------- 02
4-1 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略 ………………………………………2
4-2 北海道の北海道創生総合戦略 …………………………………………………3
5. 総合戦略の将来像・目標
-------------------------------------------- 04
5-1 基本的な考え方~人口ビジョンを踏まえて ……………………………… 05
5-2 興部町総合計画との関係 …………………………………………………… 05
5-3 目標 …………………………………………………………………………… 05
5-4 計画策定体制 ………………………………………………………………… 06
6. 具体的な施策、取り組み
-------------------------------------------- 07
6-1 安定した雇用を創出する …………………………………………………… 07
6-2 新しいひとの流れをつくる ………………………………………………… 10
6-3 若い世代の希望をかなえる ………………………………………………… 13
6-4 地域コミュニティの創出 …………………………………………………… 15
6-5 高齢者の生きがい推進 ……………………………………………………… 16
6-6 安心したくらしを守る ……………………………………………………… 17
7. 総合戦略の実現に向けて
-------------------------------------------- 18
興部町総合戦略
1.
興部町総合戦略について
【策定の趣旨】
わが国は現在、人口急減・超高齢化という大きな課題を抱えています。
これに対し国は、政府一体となって取り組みながら、各地域がそれぞれの特徴を活かした自
立的で持続的な社会を創生することを目指し、平成26年に「まち・ひと・しごと創生法」を
制定しました。これに伴い、都道府県、市町村においても「地方人口ビジョン」、「地方版ま
ち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定が努力義務とされました。(まち・ひと・しごと創生
法第9、10条)
これを受け、本町が策定する「興部町総合戦略」は、国の「まち・ひと・しごと創生総合戦
略」の趣旨を尊重しながら、「興部町人口ビジョン」で示した総人口2,761人を維持するとい
う将来展望の達成に向けて、地域の実情に応じた目標や施策の基本的方向、取り組むべき施策
等について取りまとめ策定します。
2.
計画の期間
平成27年度から平成31年度の5か年とします。
3.
位置づけ
本町では、若年層の都市流出、農業者の高齢化・担い手不足等による離農者の増加などによ
り、人口減少が続いており、今後も少子化の進展や雇用不足による労働人口の流出など減少傾
向は避けて通れない状況にあります。
このため、総合戦略は、第五期興部町総合計画のまちづくりのテーマを引き継ぎながら、人
口減少の抑制、少子高齢化に重点をおいて策定します。興部町人口ビジョンにおいて定める将
来人口に向かって地方創生に関する施策を推進するために、町の最上位計画である総合計画の
見直しも見据えて、総合戦略を策定します。
1
興部町総合戦略
4.
国、道の総合戦略の概要
4-1 国のまち・人・しごと創生総合戦略
<基本的な考え方>
1.人口減少と地域経済縮小の克服
・地方は、人口減少を契機に、
「人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口
減少を加速させる」という負のスパイラル(悪循環の連鎖)に陥るリスクが高くなって
います。人口減少を克服し、地方創生を成し遂げるため、以下の基本的視点から、人口、
経済、地域社会の課題に対して一体的に取り組むことが何よりも重要です。
①「東京一極集中」を是正します。
②若い世代の就労・結婚・子育ての希望を実現します。
③地域の特性に即して地域課題を解決します。
2.まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立
(1)しごとの創生:地域経済の活性化、産業の高付加価値化等による雇用の確保
(2)ひとの創生 :地方就労の促進や移住定住促進等による新しい人の流れ
(3)まちの創生 :安心できるくらしの確保や都市のコンパクト化、広域連携等
<「まち・ひと・しごと」の創生に向けた政策 5 原則>
(1)自立性 :各施策、構造的な問題に対処し、地方公共団体等の自立につなげます。
(2)将来性 :地方が自主的かつ主体的に、前向きに取り組むことを支援する施策に重点
を置きます。
(3)地域性 :各地域の実態に合った施策を支援することとし、国は受け手側の視点に立
って支援を行います。
(4)直接性 :最大限の成果を上げるため、直接的に支援する施策を集中的に実施します。
(5)結果重視:PDCA メカニズムの下に、短期・中期の具体的な数値目標を設定し、効果
検証と必要な改善等を行います。
<政策の基本目標(4 つの基本目標)>
基本目標① 地方にしごとをつくり、安心して働けるようにします
基本目標② 地方への新しいひとの流れをつくります
基本目標③ 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえます
基本目標④ 時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連
携します
2
興部町総合戦略
4-2 北海道の北海道創生総合戦略
<めざす姿>
「幅広い世代が集い、つながり、
心豊かに暮らせる包容力のある北海道」
<重点戦略プロジェクト>
北海道の強みや独自性といった観点から、総合戦略の中核となる施策を絞り込み、戦略の
推進期間である5か年を通して政策資源を集中投入するなど、重点的な展開を図ります。
1.安心のまち・暮らし「住まいる北海道」プロジェクト
2.北のめぐみ「資源・ひと・経済好循環」創出プロジェクト
3.未来を拓く「攻めの農・林・水産業」確立プロジェクト
4.輝く「アジアの HOKKAIDO」創造プロジェクト
5.多様な交流・連携と「北海道型地域自律圏」形成プロジェクト
<基本戦略>
全道的な観点から人口減少問題への総合的な対応を図るため、「少子化対策」、「生活環
境」、「産業・雇用」、「移住・定住」、「地域づくり」といった幅広い分野における政策
の基本的方向や主な施策を提示します。
1.子どもを生み育てたいという希望をかなえます
2.住み続けたいと思える生活環境を整えます
3.食や観光をはじめとする力強い産業と雇用の場をつくります
4.北海道らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻します
5.多様性を活かし、北海道らしい連携により地域を形づくります
<地域戦略>
基本戦略との整合を図りつつ、道内各地域の特性や資源を活かした取り組みを進めるため、
振興局が中心となって推進すべき政策の基本方向や主な施策を提示します。
●オホーツク地域における施策展開
国内外への販路拡大などによる農林水産業の強化 など
●振興局を超えた広域連携による施策展開
地域特性を活かしたスポーツ合宿適地としてのブランド化の推進(オホーツク・上川)な
ど
3
興部町総合戦略
5.
総合戦略の将来像・目標
5-1 基本的な考え方~人口ビジョンを踏まえ
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2060年(平成72年)における本町の人口
は、1,900人まで減少すると見込まれています。
しかし、人口の減少を抑制するための各種施策の実施により目標が達成されたとした場合に
おいては、本町の人口は2060年(平成72年)に2,761人(社人研推計値比約145%)とな
る見通しです。この場合、施策の実施によって見込まれる人口減少抑制効果は、861人程度と
想定されます。
特に、後述する具体的な施策分野のうち、「安定した雇用を創出する」で掲げられている、
バイオマス産業都市構想に基づく新たな産業構造の形成や、観光拠点である道の駅の再整備を
通して、町内における、主に若い世代の雇用が大きく促進された場合やグリーン・ツーリズム
に代表される体験型観光を通じて、町の魅力を伝えることにより、住んでもらえる施策展開な
どから、2060年における人口を3,000人程度維持できる可能性も十分にあると考えられます。
2060 年における本町の人口を
2,761 人以上維持する。
施策による抑制効果
図 興部町の総人口の推計
4
興部町総合戦略
5-2 興部町総合計画との関係
興部町総合戦略は、興部町総合計画に示されているまちづくりのテーマや基本目標を基に、
人口減少対策に特化した施策・事業を数値目標とともに示す計画です。
住民の意識や意向、各種団体などの意見や庁内各課における施策・事業の評価を基に新規事
業を立案し、興部町総合戦略に盛り込むとともに、興部町総合計画に反映します。
興部町総合計画
興部町総合戦略
総合計画との整合
 興部町の将来像やまちづくりの目標を明確に
し、本町の全ての計画の基本となる最上位の計
画。
 基本構想・基本計画・実施計画から構成され、現
在は、第五期の計画を推進中。
基本構想
・まちづくりのテーマ
・基本目標の設定
基本計画
・基本構想の実現に
向けた各種施策
実施計画
・基本計画の実現に
向けた具体的事業
 興部町第五期総合計画で示す目標のうち、人口
減少問題対策を行うための施策・事業を具体的
数値目標と共に示す計画。
 人口ビジョン及び、総合戦略から構成される。
興部町 人口ビジョン
人口減少問題対策に
特化した施策・事業
興部町総合戦略
人口減少対策に資する
具体的事業の反映
人口減少対策に資する具体的事業
(新規立案、既存事業の見直し・拡充)
図 興部町総合計画と総合戦略との関係
5–3 目標
本戦略では、総合計画との整合のもと、地方創生に向けた以下の6つの目標を設定します。
《総合戦略》 H27~31
《
総
合
計
画
基
本
計
画
(
後
期
)
》
H27
~
H30
人口ビジョン(2060年度基本)


人口分析(人口動向や将来推計の分析)
人口の将来展望(目指すべき将来の方向性や施策の方向性を
踏まえた人口の将来展望を示す
総計重点施策 = 総合戦略

政策議題ごとに、基本目標、方針、施策を立案
1. 安定した雇用を創出する
2. 新しいひとの流れをつくる
3. 若い世代の希望をかなえる
4. 地域コミュニティの創出
5. 高齢者の生きがい推進
6. 安心したくらしを守る
施
策

全33項目の施策項目について見直しを図る
改革を進める
“まちづくり”
安心して暮らせる
“まちづくり”
産業を育てる
“まちづくり”
健康をつくる
“まちづくり”
知識を高める
“まちづくり”
環境を守る
“まちづくり”
【住民生活分野】
【産業分野】
【保健・医療・福祉分野】
【教育・文化分野】
【環境分野】
【まちづくり・
行政分野】
 幼児教育・学校
教育の充実
 社会教育の推進
 スポーツの振興
 芸術・文化の振
興
 青少年の健全育
成
 環境の保全
 自然資源の活用
による観光振興
 ゴミ処理の充実
 環境衛生の充実
 公園・緑地の維
持・保全
 住民協働の推進
 定住の促進
 適正な行財政の
推進
 広域行政の推進
 道路・交通網の
整備
 情報通信網の整
備
 住宅環境の向上
 消防・救急体制
の充実
 防災体制の充実
 交通安全・防犯
対策の充実
 消費者保護対策
の充実
 上下水道の整備
事
業





農業の振興
林業の振興
水産業の振興
商工業の振興




保育対策の推進
医療体制の確保
地域福祉の推進
子育て環境整備
の推進
 高齢者福祉の推
進
 障害者福祉の推
進
 社会保障制度の
推進
全事業(新規・継続・改廃)を対象に施策項目の体系化
図 総合戦略の 6 つの目標
5
興部町総合戦略
5-4 計画策定体制
(1)興部町総合戦略策定委員会
興部町総合戦略の策定にあたっては、町民をはじめ、産官学金労等といった地域の様々
な分野で活躍されている方々の参画による「興部町総合戦略策定委員会」を設置し、その
方向性や具体策を検討するとともに、広く町民の意見を反映させた計画づくりを行います。
(2)興部町総合戦略策定本部(庁内体制)
町長を本部長として課長等で構成する「興部町総合戦略策定本部」を設置し、全庁的な
横断体制を確立した上で総合戦略の策定を行います。
また、総合戦略策定後は、興部町総合戦略策定本部が施策・事業と進行管理を行います。
(3)興部町政策課題研究会
関係部署の課長で構成する政策や課題に対する研究会を設置し、将来の「まちづくり」
を考えるため、課題解決の施策立案、執行に向けての調査・検討等を行います。
(4)議会
総合戦略の策定にあたっては、議会と執行機関が車の両輪となって推進していくことが
重要であることから、総合戦略の策定や効果検証の段階ごとに、常任委員会等の場におい
て十分な審議が行われるようにします。
オブザーバー
総合振興局
助言
興部町総合戦略策定委員会
答申
町長
【興部町総合計画策定審議会】
(委員13名)
町民の意見反映
意見
諮問
計
画
案
作
成
総合戦略策定推進本部
【企画財政課・委員会等の運営】
・総合戦略策定に資する調査・分析
・事務作業の総点検
各 課
町議会
興部町
総合戦略策定
点
検
・
指
示
総合戦略推進室
協議
計画素案の
提案
興部町政策課題研究会
主要施策案の作成
①各事業の精査・検討
②興部町職員まちづくり研究会
資料・情報等の
提供
支援業者
助言
各 課
①人口ビジョン策定
②観光・小さな拠点整備計画
③総合戦略策定支援
図 興部町総合戦略推進体制図
6
調
査
・
業
務
等
の
指
示
興部町総合戦略
6.
具体的な施策、取り組み
目標ごとの施策の方向性と具体的な取り組みは、以下の通りです。
6-1 安定した雇用を創出する
【現状と課題】
興部町の生産年齢人口(15~64 歳)は、2010 年(国勢調査)2,550 人で、30 年
前の 1980 年の 4,459 人と比べると 57%にまで減少しています。総人口に占める割合
も、1980 年には 67.3%を占めていたのが、2010 年には 59.3%に低下しています。
進学や就業に関する人の流れをみると、大学や高校への進学で多くの若者が町外に転出
している現状があります。その後、就職する年代になると一定数が町内に戻ってきますが、
10 代で転出した人数の概ね半分程度にとどまっています。高校生を対象にしたアンケー
トでも、興部町での進学・就職を希望する生徒は全体の 2 割程度にとどまっています。町
外に進学・就職を希望する生徒のうち、興部町に戻ることを希望しないのは全体の 8 割で、
その理由は「自分の好きな場所で働きたいから」
、
「興部町は働く会社が少なそうだから」
、
「興部町に働きたいと思う会社がなさそうだから」といった理由が上位を占め、興部町の
雇用環境への評価が低いことが伺えます。
人々が定着するためには、地域経済が活性化し、生活の糧となる安定的な所得が得られ
る就業の場が確保されることはもとより、経済活動に参加する一人ひとりが誇りと生きが
いを感じられる雇用環境、魅力を感じられる社会環境が必要です。
興部町では、農業、漁業をはじめとする第 1 次産業、製造業などの第 2 次産業が盛んで
すが、これら農・水産物の生産・加工を興部町の強みとして担い手を確保していくなど、
一層の産業振興を図っていく必要があります。特に本町では地場産業から排出される家畜
排せつ物、水産廃棄物、水産加工残さなどの積極的な活用による、再生可能エネルギーの
導入促進が期待されており、事業の展開にあわせて雇用の場の創出が求められます。
数値目標
①新たな産業創造等による新規就労者の増加
7
基準値
目標値(H31)
-
20人
興部町総合戦略
【基本的な方向】
(1)基幹産業の振興と雇用の創出
酪農をはじめとする、本町の基幹産業を支える担い手を将来にわたり確保するため、若
い世代の新規就業の支援や経営継承の支援を進め、農・水産物を加工・販売する事業者へ
の取り組みを展開し、地元産物を町外へ発信するとともに、本町の地域特性を活かした再
生可能エネルギーの導入・利活用をさらに進め、エネルギーの地産地消による地域経済の
活性化や雇用の創出を目指します。
■具体的な施策と客観的な重要業績評価指標(KPI)
具体的な施策・事業
重要業績評価指標(KPI)
①バイオマス産業都市構想に基づく産業の創造
【産業都市構想】
家畜排せつ物を中心としたバイオガス産業
バイオガスエネルギーを利活用した産
業創造による新規雇用者の増加
<目標> 5 人増
クラスターの構築により、悪臭の低減や水
環境の改善など地域環境との調和と新たな
産業創出を目指します。
■バイオガス利用産業の創出
■新たなバイオガス活用研究
■6 次産業化への付加価値研究
遊休施設や空き店舗を活用した新規起
②新規就業者等への支援
■新たな起業(創業)支援
業者への支援をすることによる就労者
■空き店舗等の利活用に対する支援
の増加
<目標> 10 人増
観光イベントや特産品販売(PR)の拡
③観光拠点の再整備
■道の駅の再整備による雇用創出
充に伴う雇用者の増加
<目標> 5 人増
8
興部町総合戦略
図 バイオマス産業都市構想に基づくまちづくりのイメージ
■原料の収集運搬・消化液や戻し堆肥の緑農地還元システム構築による運輸産業の創出
■バイオガス利用産業の創出
~ 発電事業、熱利用事業
~ 新たエネルギー活用(車両燃料、携帯燃料、非常燃料等への利用など)
■新たなバイオガス活用研究(高度利用)
~ 水素抽出、ナノカーボンなど
■その他バイオマス資源との活用連携
■6 次産業化への付加価値(クリーン&エコ FOOD)
■観光・教育コンテンツとしてのバイオガスプラント活用
9
興部町総合戦略
6-2 新しいひとの流れをつくる
【現状と課題】
興部町における年間の観光入込客数は、3 万 4 千人(平成 26 年度)で、オホーツク総
合振興局管内でも低い順位にあります。これは、道の駅の物産館をはじめとする町内の観
光施設が冬期間に閉鎖するなど、冬の観光施設が十分に活用されていないことが一因と考
えられます。このことから、冬期間にも人が訪れるよう、観光施設の稼働状況の改善を図
る必要があります。
また、高校生アンケートでは、町内の高校生が将来就きたい職業として、
「商業(販売・
接客など)に関する仕事」が上位にあがっており、本町の観光・交流機能の充実により、
町内で働く若い世代が増えることが期待されます。
町の活性化を図るためには交流人口の増大も重要です。本町を訪れ、宿泊や買い物等を
通じた町の経済の活性化、賑わいの創出が必要です。
数値目標
基準値
3万4千人
①観光入込客数の増加
(H26)
目標値(H31)
20%増
【基本的な方向】
(1)観光拠点の充実
「道の駅 おこっぺ」の物産館やイベント館、展示物の見直しなどにより、冬期間も地
場産品の販売ができる通年観光の拠点、特産品の開発販売の場所として、施設や地場産の
販売品目、公衆無線 LAN などサービス内容の充実、市街地内の店舗・飲食店を含めた観
光案内など運営体制の強化を努めるとともに、町内観光を道の駅のみに立ち寄る通過型と
するのではなく、いくつかの魅力あるエリアを周遊し、滞在型・体験型の多様な観光メニ
ューを提供するため、既存の観光施設の充実を図ります。
また、オホーツクの夏を楽しむ「沙留海水浴場」では、岩場の多い特徴を生かした個性
的な海水浴場・キャンプ場周辺環境の再整備、コテージの利用促進を図るとともに既存の
乳製品の直売所などについても、自然と産業と食とが結びついた、興部ならではの観光エ
リアの創出を図ります。
特に自然といった魅力的な地域資源の強みをより効果的に発揮するため、西紋市町村が
広域的に連携・協力し、一体的かつ効果的な施策展開を目指します。
10
興部町総合戦略
■具体的な施策と客観的な重要業績評価指標(KPI)
具体的な施策・事業
重要業績評価指標(KPI)
①観光・小さな拠点づくり
■道の駅施設改修(簡易宿泊施設・駐車場等)
■特産品の通年販売
■道の駅周辺環境の整備(観光案内・防災情報等)
②観光拠点施設の再整備
■沙留海水浴場の再整備
道の駅を町の観光拠点と位置づけ、特
産品PRと地場産品を通年販売するこ
とにより、観光入込数の増加を図ります。
<目標> 5%増
沙留海水浴場やキャンプ場の再整備、
コテージの利用促進により、利用者の
増加を図ります。
<目標> 2%増
夏まつりをはじめとするイベントの一
層の充実を図り、参加者の増加を見込
みます。
<目標> 3%増
都市圏での観光PR
<目標> 年 1 回
③各種イベントの充実
■イベント実施団体等への支援
④広域観光連携事業
■西紋地域で連携した広域観光ルートの拡充
■都市圏での観光 PR 活動
⑤交流事業
くらし体験等利用者数
■酪農・漁業の生産現場、さらにはオホーツク (グリーン・ツーリズム)
農業科学研究センターでの食品加工など、工
<目標> 100 名(H31 年度まで)
夫による体験型観光で移住を促します。
【道の駅の充実について】
(1)短期的対応
冬期の集客力低下を克服するため、通年における物産販売機能を確保します。このため
冬期閉鎖中の物産館の販売機能の一部を交通記念館棟内に設置します。
(2)中長期的対応
建物増築及び施設再配置により、市場的空間の創出など物産販売機能の充実、駐車場の
拡充等を図るとともに、イベント館を町民交流サロンとして活用します。
図 道の駅施設内の間取り変更プラン
11
興部町総合戦略
図 都市と農山漁村の共生・対流概念図
図 都市と農山漁村の共生・対流とグリーン・ツーリズム
12
興部町総合戦略
6–3 若い世代の希望をかなえる
【現状と課題】
全国的な少子化の流れを受け、興部町においても 15 歳未満の人口は減少傾向にあり、
推計では 2040 年には 2010 年の約半分の 285 人にまで減少することが推計されてい
ます。
若い世代の減少は、合計特殊出生率の低下と進学・就職世代の町外流出が原因であると
考えられます。
町内の結婚・出産・子育て世代を中心としたアンケート調査によると、結婚を決断する
際に必要なこととして「経済的なこと」
、「職業や仕事のこと」が多く挙げられています。
また、子育てに必要なこととして「子どもの医療負担の軽減」、
「小児科の設置・充実」、
「産
婦人科の設置・充実」などが挙げられています。
このことから、若い世代の減少・流出をできるだけ抑えるべく、結婚・出産・子育てに
つながる雇用の確保や経済的な支援、医療サービスの充実などが求められます。
※合計特殊出生率~1 人の女性が一生の間に産む子どもの平均数
数値目標
①合計特殊出生率
基準値
目標値(H31)
1.61
1.80
【基本的な方向】
(1)少子化対策としての子育て支援
若い世代が安心して家庭をつくり、子どもを生み育てたいという希望を実現するために
は、
「子どもは将来を担う宝である」という認識に立ち、社会全体で子ども・子育てを支援
していくという意識と環境、具体的な支援体制を確保することが重要です。
そのため、結婚、出産、育児を行うことのできる魅力ある雇用環境の創出や医療、保育、
教育など切れ目のない支援体制の充実・強化、子育てに対する意識の向上など社会的理解
の促進を図り、子育て世代の抱える負担の軽減に総合的に取り組むことで、出生率の向上
を目指します。
13
興部町総合戦略
■具体的な施策と客観的な重要業績評価指標(KPI)
具体的な施策・事業
重要業績評価指標(KPI)
①少子化対策としての子育て支援事業
医療、保育料の軽減や子育て支援の充実に
■医療費助成対象の拡大
より、安心して出産し、子育て出来る環境
■保育料の軽減
を整えることで出生数の増加を目指しま
■学童保育等の充実
す。
■その他子育て対策支援の拡充
<目標> 10 人
②若年者と高齢者との交流
■集いの場として空き店舗の活用を検討
<目標> 10 件増
〇利用者支援事業
〇地域子育て支援拠点事業
〇妊婦健康診査
〇乳児家庭全戸訪問事業
〇養育支援訪問事業
〇ファミリー・サポート・センター事業
〇一時預かり事業
〇延長保育事業
〇病児保育事業
〇放課後児童クラブ
図 子育て支援事業
14
興部町総合戦略
6-4 地域コミュニティの創出
【現状と課題】
人口の減少を背景に、各地区のコミュニティの衰退が懸念されています。
中心市街地においても、経営者の高齢化や後継者不足の問題等により、空き店舗が各所
にみられ、防犯面や景観面での住環境への影響が懸念されます。
このため、空き店舗の利活用による再整備に加えてイベント活動などソフト面の充実を
図り、より魅力ある商店街の形成が求められています。
数値目標
基準値
1件
①空き店舗の活用件数
(H26)
目標値(H31)
5件増
【基本的な方向】
(1)中心市街地の活性化
町、商工会と連携した対策により空き店舗等の改修や起業希望者を募り、支援していく
ことにより、中心市街地の活性化に努めます。
また、空き店舗を活用した若年者と高齢者の交流(世代間交流の場)など多様なコミュ
ニティ形成やイベントの開催、アンテナショップの開設などで中心市街地の賑わい向上を
図ります。
商店街の空洞化が進行している状況であり、有効な利活用を図るための支援など商工会
とも連携した対策を進めます。
■具体的な施策と客観的な重要業績評価指標(KPI)
具体的な施策・事業
重要業績評価指標(KPI)
①中心市街地活性化事業
若年者と高齢者との世代間交流や各種イ
■空き店舗の有効活用
ベント開催などで有効活用して市街地の
〇マルシェ、アンテナショップ、児
活性化を図ります。
童・生徒のイベント開催等に活用
〇新たな起業等への活用
空き店舗活用件数
<目標> 10 件増
15
興部町総合戦略
6-5 高齢者の生きがい推進
【現状と課題】
全国的な少子高齢化を背景に、興部町でも高齢化は進行しており、2010 年の高齢化率
(65 歳以上の総人口に占める割合)は、27.9%、将来推計では、このままの状態が続く
と高齢化率は 2040 年に 37.6%にのぼると推計されています。高齢化に伴い、寝たきり
や認知症という介護を必要とする高齢者の一層の増加が予想されることから、医療・介護
を含めた総合的な予防対策が重要になってきています。
一方、元気な高齢者の活力は、豊かな高齢化社会を築くうえで大きな力になります。誰
もが住み慣れた地域で自立した生活が送れるよう、高齢者が健康で生きがいを持ち、自ら
積極的に行動し参画できる環境づくりを進めていくことが必要です。
数値目標
①高齢者活動への参加数
基準値
目標値(H31)
既存高齢者サロンの参加人数(延べ人数)
(H26 延べ439名)
10%増
【基本的な方向】
(1)健康と生きがい対策の推進
高齢者が地域で住み続けられるよう、介護予防のための各種事業、除雪サービスなどの
日常生活支援をはじめとする包括的なケア体制の構築を図ります。
介護予防活動への支援を進めるとともに、集まり・憩いの場となる高齢者サロンに対す
る支援等を行います。
また、高齢者が活動しやすい市街地づくりのため、民間活力も視野に入れた高齢者向け
住宅の確保や「高齢者下宿」の再整備により中心市街地への機能の集約化を図ります。
■具体的な施策と客観的な重要業績評価指標(KPI)
具体的な施策・事業
①高齢者交流活動支援
重要業績評価指標(KPI)
高齢者の生きがいづくりの場としてサー
クル活動を支援します。
高齢者活動への参加数
<目標> 10%増加
②高齢者向け住宅の再整備
高齢者の意向を踏まえた住宅の再整備数
<目標> 1 棟
16
興部町総合戦略
6-6 安心したくらしを守る
【現状と課題】
町内雇用の減少による若年層の町外流出や事業所の規模縮小、撤退などにより、人口の
減少が進んでおり、今後も人口の流出が懸念されることから、医療、福祉、保健サービス
や地域コミュニティの充実、住環境を整備することにより、人口減少に歯止めをかけるこ
とが求められています。
また、日常生活において安心して暮らせるための防災情報伝達について、多様な手段で
より確実に情報を届けられるような体制の構築が必要です。
数値目標
①社会増減数の減
(平成26年度:転入212人・転出238人)
基準値
目標値(H31)
26人
26人減
【基本的な方向】
(1)定住(移住)の促進
産業振興による新たな雇用の創出や少子化対策としての子育て支援など、他地域に暮ら
す人々に魅力を感じさせる生活環境の整備により定住・移住を促進します。
また、町外から来た人が自治会活動などを通じて、地域のコミュニティに積極的に関わ
れ地域に溶け込めるようサポート体制を構築します。
災害情報については、携帯電話による一斉メール配信サービスを活用するなど、確実な
情報伝達に努めます。
広域連携による二次医療圏の体制の充実については、地域医療体制の確保に向け連携体
制の強化を図り、必要不可欠な医療体制を維持・確保します。
■具体的な施策と客観的な重要業績評価指標(KPI)
具体的な施策・事業
①定住の促進事業
■従業員住宅の建設整備
重要業績評価指標(KPI)
住宅建設の増加
<目標> 20 件(H31 年度まで)
■民間業者による住宅建設
②防災情報伝達整備事業
防災情報メール配信サービス登録者数
■自治会、消防等への迅速な伝達体制整
<目標> 町民登録割合 80%
備(メール配信サービス等)
17
興部町総合戦略
7.
総合戦略の実現に向けて
本総合戦略は、興部町の将来の人口減少対策として重要な位置づけとしており、今後におい
て関係機関が連携を基に目標実現に向け、より具体的かつ実効性のある検討・協議を継続的に
行うことが重要です。
そのため、各数値目標等をもとに、PDCAサイクルにより、実施した施策・事業の効果を検
証し、必要に応じて総合戦略を見直すこととします。
検証に際しては、その妥当性・客観性を担保するために、総合計画の実施における事務事業
評価の中で進行管理、事務事業の見直しをするとともに、町と町議会が車の両輪となって「総
合戦略」が推進されるよう十分な審議を経るものとします。
図 PDCA サイクルのイメージ
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