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107 刈払機のハンドル形状に関する基礎研究 山岸憲幸・ 花山裕希 1
刈払機のハンドル形状に関する基礎研究 山岸憲幸・○花山裕希 1) ・川越紅葉 1) ・亀崎秋恵 2) ・御手洗正文 2) (神崎高級工機製作所・ 1) 宮崎大院農・ 2) 宮崎大農) 【目的】 析法による結果において,作業面傾斜角度の違いに 現在,農林業における除草作業においては大型機 よるハンドル形状間には有意差が認められなかっ 械が使用できないため狭い場所や傾斜地で多様な た。 肩掛け式刈払機が使用されている。また,傾斜地の (2) %MVC の APDF 解析では,傾斜角度が 0°~ 刈払い作業は,作業者の転倒や刈刃のキックバック 30°において U 字型が最も低い値を示した。しか 等による事故を起こしやすいだけでなく,不安定な し,45°以上になると逆に最大値を示し,負荷が 姿勢による身体疲労が蓄積し,腰痛や肩こりなどの 大きいことが判明した。斜面傾斜角 45°及び 60° 局所疲労を引き起こす原因となっている。そこで本 ではツーグリップ型が最も低い値を示し,作業性に 研究では,傾斜地での刈払い作業において,市販刈 優れていることが判明した。 払機のハンドル形状と身体負荷の関係を調査し,傾 (3) ハンドル形状の総合評価では,傾斜角 0°~ 斜角度に対する最適なハンドル形状を明らかにし 30°までが U 字型,また,傾斜角 45°以上ではツ ようとした。 ーグリップ型が最も作業性に優れている形状であ 【試験方法】 ることが明らかになった。ループ型に関しては他の 1)試験条件 2 種より作業性がやや劣っていることが明らかに 被験者は男性 3 名,年齢 23.7±0.6 歳,身長 169.0 ±5.3cm,体重 57.3±9.3kg である。供試機は なったが,垂直面やマイナス傾斜角についても調査 する必要がある。 KIORITZ Green AT203G (全長 181.0cm,重さ 4.71kg)を使用した。ハンドル形状は U 字型,ツ ーグリップ型,ループ型の三種類のハンドルを比較 した。試験は 0°~90°まで自由に作業面の傾斜角 度を変えることができる可変傾斜装置を作製した。 傾斜面は幅 1.8m,長さ 4.2m である。試験条件と して作業時の刈幅は 1.8m としたが,15°及び 30° の試験時のみ刈払い作業姿勢を維持するために,刈 幅をそれぞれ 1.3m,1.5m に設定した。 評価は,①主観的作業強度(RPE),②疲労部位 図1 %MVC の APDF 解析結果 調査,③階層分析法,④%MVC,⑤APDF 解析, 表 1 ハンドル形状の総合評価 ⑥心拍増加率を用いた。 【試験結果および考察】 傾斜角度に応じた最適なハンドル形状を明らか にするために,市販刈払機のハンドル形状と作業面 傾斜角度ならびに身体への負荷の関係を室内モデ ル試験により調査した結果,以下の事が明らかにな った。 (1) 主観的作業強度(RPE),疲労部位調査,階層分 ─ 107 ─ p105-124postercs6.indd 107 2014/07/31 15:47:43