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1/3 ページ 更新日 平成26年1月15日 動物用からヒト用へ、広がる『リゾープス麹』の可能性 ~株式会社牛越生理学研究所~ 産業部 製造産業課 株式会社牛越生理学研究所では、創業者の発見した『リゾープス菌』を用いた動物用医薬品や 混合飼料を製造販売しています。様々な効果が期待されるリゾープス菌発酵生産物のヒト用健康 食品等への応用を目指す同社の取り組みをご紹介します。 ■リゾープス菌の発見と企業設立の経緯 同社の創業者である牛越郁夫氏は、戦前の台湾に て土壌改良などの研究に携わっており、終戦後にはい くつかの土壌微生物を研究成果として日本に持ち帰り ました。その後は土壌微生物の研究を続けるとともに 農芸化学関係の仕事に従事し、麹の製造などを行って いました。その際、低温環境にも関わらず麹の製造時 にある特定のカビが生えてしまうことがあり、カビが生 えた麹は鶏のエサにしていたそうです。 当時飼育していた鶏は非常に良く卵を産むため知人 培養中のリゾープス麹 に鶏を譲ったところ、産卵率が突然低下するということ が起きました。これに疑問を持ち調べた結果、特定の カビが生えた麹を与えた場合に鶏の産卵率が大きく上昇することを突き止めました。そして、このカ ビが台湾より持ち帰った土壌菌の一つである『リゾープス菌(Rhizopus oryzae)』であり、同氏は退 職後に周囲からの後押しを受け、この菌の研究や活用を目的とした牛越生理学研究所を設立しま した。 ■リゾープス麹とその効果 2/3 ページ このリゾープス菌を培養した麹から抽出したリゾープ ス菌発酵生産物には、前述の鶏の産卵率の上昇以外 にも、家畜の発情誘導や受胎向上、ペットのホルモン 安定化や皮膚疾患改善、脱毛症に対する育毛・発毛効 果などがあることが報告されており、同社で製造販売を 行っている各種の動物用医薬品や混合飼料は、家畜 繁殖・ペット医療などの現場で獣医師から非常に高い 評価を得ています。特に犬などで発症する特殊な脱毛 症に対しては劇的な改善の見られる症例があり、学会 での発表時には非常に大きな反響を呼びました。 こういった動物の健康に与える効果については学会 や学術論文等でも報告されているものの、作用メカニ ズムについてはほとんど解明が進んでおらず、脳下垂 体への何らかの作用により様々なホルモンの放出に影 響を与えていると考えられています。また、非常に興味 脱毛症状が数ヶ月で改善 深いことに、同社の保有するリゾープス菌の菌株と、同 種や近縁種の菌株とで比較したところ、同社保有の菌株による発酵生産物に特に高い効果がある ことが分かっています。 ■動物用からヒト用への転換 同社の保有するリゾープス菌とその発酵生産物につ いては、獣医学などの動物向けの分野だけでなく、ヒト 用の健康食品等としての効果も期待されており、幅広 い分野の研究者から注目が集まっています。近年では 独立行政法人産業技術総合研究所や麻布獣医学園麻 布大学をはじめ、様々な研究機関や企業とともに共同 研究を行っています。 平成24年度には公益財団法人千葉県産業振興セン ターを事業管理機関としてコンソーシアムを組み、戦略 獣医師でもある牛越設男社長(右)と 的基盤技術高度化支援事業(以下、サポイン事業)に 研究開発に携わる専務以下3名 応募しましたが、残念ながら不採択という結果となりま した。その後一年間をかけ、同センターの主導により事業計画のブラッシュアップや実験データの 積み重ねを行い、平成25年度にサポイン事業に再度応募し、無事採択を受けることが出来ました。 同社は現在、リゾープス菌発酵生産物に含まれる生理活性物質の特定や作用メカニズムの解明、 動物用からヒト用の健康食品等への転換に向けて、様々な協力者とともに研究を進めています。 創業者の言葉である「自由な発想」「自由な研究」のもと、牛越生理学研究所の『リゾープス菌』を 活用した取り組みは続きます。 株式会社牛越生理学研究所 ◇住所 ◇代表者名 ◇設立 ◇資本金 ◇従業員 千葉県佐倉市石川601-1 代表取締役 牛越 設男 1967年(昭和42年)10月 27,000千円 8人 3/3 ページ ◇業務内容 ◇URL 動物用医薬品等製造業 http://www.ushikoshi.com/ ●関連施策 戦略的基盤技術高度化支援事業 http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chusho/sinrenkei/index_sinrenkei.html 過去の「企業情報」はこちら ホームページへ戻る|TOPへ戻る 発行元: 〒330-9715 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地1 さいたま新都心合同庁舎1号館 関東経済産業局広報・情報システム室 電話:048-600-0216 FAX:048-601-1310 Copyright (C) 2010 Kanto Bureau of Economy, Trade and Industry. All rights reserved.