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技術力とビジネス展開力 この両輪が成功のカギ

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技術力とビジネス展開力 この両輪が成功のカギ
い金属の表面を連続的な放電によっ
金子 ありがとうございます。当社
の主力事業である放電加工機は、硬
みに大変感銘を受けました。
てこられた。そうした一連の取り組
である古川利彦会長が次々と発明し
う「ローラン技術」などを、創業者
いた側面の仕上げまでも一括して行
路」や、それまでは不可能とされて
いて画期的となる「電極無消耗回
望月 「ソディック通信」という冊
子を読みました。放電加工技術にお
す。その意味で御社と共通する部分
造も含めすべて自前でやっていま
ば実現できないとの考えのもと、製
お客様が満足する製品やお客様の期
になっています。しかし当社では、
するいわゆる「ファブレス」が主流
リー(半導体受託生産会社)に委託
望月 半導体業界では、設計だけは
するものの製造は外部のファウンド
技術を自社で開発してきました。
用のセラミックスなど、さまざまな
フトウエア、リニアモーター、支持
て除去しながら金型や部品などを加
が多いように感じます。
ニーズやアイデアから
待を上回る製品は自前技術がなけれ
工していく装置なのですが、初期の
しまうという大きな問題があり、穴
製品は放電用の電極自体も消耗して
開け加工ぐらいにしか使えないのが
新たな事業領域が広がる
ても寛容で、「失敗からは多くの経
ジの結果としての失敗に関してはと
普段は熱血漢なのですが、チャレン
創業者であるボブ・スワンソンは、
がとても印象に残りました。当社の
望月 配線を間違えるという、いわ
ば「失敗」からスタートしたところ
ました。
加工技術は一気に発展を遂げていき
ない条件が見つかり、そこから放電
ったところ、偶然にも電極が消耗し
では実現できない、たとえば内部に
いくため、除去するだけの放電加工
粉末を薄く積層しながら凝固させて
ターの開発も手掛けています。金属
では数年前から精密金属3Dプリン
するお客様のニーズに応えて、当社
金子 おっしゃる通りかもしれませ
ん。より複雑な形状の金型を必要と
りですね。
が、御社の取り組みもまさにその通
が当社の掲げるスローガンなのです
望月 「お客様の難問を解決する、
それが私たちの仕事です」というの
実態でした。当時、現会長の古川が
験が得られる」といつも語っていま
射出成形用の3次元冷却配管を設け
回路の配線を間違えたまま実験を行
す。
た複雑な金型も簡単に作れます。
また、金型を作るだけではなく、
金型を使うところでもお客様のお役
術を応用しているうちに広がってい
ったという感じですね。
望月 中核となる技術と製品を軸に
しながら、複雑な金型を実現できる
金属3Dプリンターなどに事業範囲
を拡大して顧客価値を高めるなど、
いわばビジネスの「展開力」に優れ
ていると感じました。まさに今の日
本企業に求められているところかも
しれません。
ところで顧客価値という観点で
は、当社はお客様からの需要がある
限り製造中止をしないことをお約束
中止はしないという御社の取り組み
て、長期保守という点からも、製造
切に使い続けているお客様にとっ
すが、これらの放電加工機を今も大
の半導体製品は以前から使っていま
少なからずいらっしゃいます。御社
金子
年以上も前に納めた放電加
工機を今も使い続けているお客様も
要であるとの考えです。
を実現する堅牢(けんろう)なワイ
望月 当社では、センサーからのデ
ータ収集に適した「切れない無線」
な、という印象です。
た。ですから、やっと時代が来た
たため、ほとんど使われませんでし
ークになかなかつないでくれなかっ
ィーを気にされて加工機をネットワ
います。以前はお客様がセキュリテ
ション名でずいぶん前から展開して
金子 放電加工機などにセンサーを
付けて状態を監視する仕組みは、当
しています。半導体製品の仕様書に
はとてもありがたく思っています。
ヤレスソリューションをそろえてい
は書かれていないそうした価値が重
高度なアナログ技術で
カメラやセンサーの数も増えていま
00個以上のマイコンが搭載され、
速に進んでいて、1台の乗用車に1
動車の世界では電動化と電子化が急
本の製造業をけん引しています。自
望月 かつての家電やパソコンに代
わり、自動車と産業計測が現在の日
ことができるようになります。
ば、システムの異常箇所を推定する
の変化傾向をビッグデータ分析すれ
発しました。「電圧・電流・温度」
装置)から常時監視できるICを開
て、これらをCPU(中央演算処理
るほか、システムの健康状態は「電
社も「ミエマース」などのソリュー
IoT時代の価値創出に臨む
す。そのため、熱を出さず、電波ノ
金子 なるほど、面白い発想です
ね。そうしたセンシングとデータ分
圧・電流・温度」に表れると考え
イズが小さく、コンパクトに実装で
析はお客様へのサービスにもつなげ
られます。これからも御社が得意と
きる半導体製品が求められていま
す。
案に期待しています。
見せています。その切り札の一つと
で新しい価値を生み出してきた御社
望月 金子社長からいろいろお話を
伺った中で、技術力と展開力の両方
するアナログ領域での新しい価値提
一方、産業計測分野では、製造ラ
インやシステムのダウンタイムをゼ
して注目されているのがIoT(モ
の取り組みは、日本メーカーの一つ
ロにしたいというニーズが高まりを
ノのインターネット化)です。設備
本日はありがとうございました。
のお手本ではないかと感じました。
などにセンサーを付けて異常を早期
に検知できれば、故障が起こる前に
対処することができます。
リニアテクノロジー
て、金型の製造に用いられる放電加工機で業界をリードするソディック。内製化の
推進によって製品価値の向上を図るなど、一つのロールモデルを示してくれている。
対談
氏
望月 靖志
また、御社は多くの技術を自前で
手掛けていらっしゃいますね。たと
えば、放電加工機には絶縁性に優れ
に立てるようにと、
年ほど前から
温度による変形の少ない支持材が必
射出成形機もやっています。
アでお客様を喜ばせたい、というの
要ということで、専用のセラミック
金子 1976年の創業以来、数値
制御によって高精度な加工を実現す
が技術屋のモチベーションとしてあ
どの事業もそうなのですが、何で
もトライしてみたい、自分のアイデ
る世界初のNC放電加工機などを手
りますので、放電加工機で培った技
ス素材を開発されました。
掛けてきました。
金型づくりに携わるお客様のニー
ズを形にしようとすると、外部から
調達したものではどうしても対応で
きない場合が生じてしまいます。
やりたいことを実現するには自分
たちで作るしかないだろうというこ
企画・制作=日本経済新聞社クロスメディア営業局
20
氏
金子 雄二
ソディック 代表取締役社長
(リニアモーター駆動)精密金属
3Dプリンター「OPM250L」
によるプラスチック成形革命
優れた技術力に加えてビジネスの展開力を兼ね備えた企業が生き残る今日におい
同社の金子雄二代表取締役社長と、アナログ半導体で業界をリードするリニアテク
ノロジーの望月靖志代表取締役との対談をお届けする。
技術力とビジネス展開力
この両輪が成功のカギ
アナログ技術が変えるものづくり
とで、放電を制御する電源回路、ソ
代表取締役
20
企画制作グループ・金井 (株)エナジー・櫻田
M・10月下旬・Next Challenge(リニアテクノロジー対談)・10段・1割・4校
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