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第 7 回:歪み系のエフェクト

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第 7 回:歪み系のエフェクト
野木幹男:エフェクターを使いこなす!
DAW ソフト全盛時代になって大きく様変わりしたのがエフェクターまわり。手軽に多くの種類のエフェクター
を使えるようになり、そのルーティンも自由自在に設定できるようになりました。ただフレキシビリティが高く
なった分、使いこなすのは難しくなったと言うこともできます。複数のエフェクターをかけ合わせるにしても、
どんなエフェクターをどんな順番でかけるか、どんな音源に、どのようなプロセスでかけるのかといったことに
よって、その効果は大きく異なります。1 つ 1 つのエフェクト効果やパラメーターに習熟すると同時に、その組
み合わせやかけ方に関しても詳しく考察していきましょう。
第 7 回:歪み系のエフェクト
( 2009 年 3 月 14 日 )
ロック系で多用される代表的なエフェクトと言えば、なんといっても歪み系のアイテムでしょう。ワイルドなサウンドを
作るにはこれなしでは無理だとといってもいいくらいです。今回はこの歪み系のエフェクトにスポットを当ててみたいと
思います。
fig.1 REASON4 に付属する歪み系エフェクト。
■歪み系エフェクトの仕組み
歪み方をいろいろと調整できる。
まずは歪み系のエフェクト(fig.1)の仕組みを簡
単に説明しておきましょう。
歪み系のエフェクトはインプットされた信号を何らかの方法で、ある一定以上のレベルのところで波形を切り取ってしま
います(fig.2&3)。
fig.2 原音をクリップさせる
fig.3 よりマイルドなクリップ
こうすることによって加工前にはなかった新たな倍音が付け加えられてダイナミックなサウンドになるのです(fig.4)。こ
のように波形を一定レベルで切り取ることをクリップするなどと呼びます。歪み方もいろいろで fig.2 のようにエッジの立
ったものから fig.3 のように少し丸みのかかったものなどがあります。丸みのかかった波形の方が見た目の通り、サウンド
もマイルドなものになります。
■歪み系エフェクトの種類
fig.4
歪み系エフェクターによる倍音の増加
歪み系のエフェクトとひと言で言っても、その種類はいくつ
かあります。中でもファズ、ディストーション、オーバード
ライブなどの呼び名のものが有名なところでしょう。その違
いはというと、明確な定義のようなものがあるわけではあり
ませんが、大まかに次のような感じになります。
ファズは古くからある歪み系のエフェクトで単に極端にゲイ
ンを上げて音を歪ませたといったニュアンスのものです。倍
音も非常に多く、かなり刺激的な感じのサウンドのものが多いようです。オーバードライブはアンプをフルボリュームで
ドライブして得られる歪んだサウンドをシミュレートしたものです。これは一種のアンプ・シミュレーターと呼べないこ
ともないでしょう。ファズに比べてナチュラルな歪みを得られるものが多いようです。ディストーションは一般的にオー
バードライブよりも過激でワイルドなサウンドが得られます。
エフェクターで歪みを発生させるデバイスとしてはトランジスタやダイオードのものが多いですが、真空管を使うと倍音
成分の構成が音楽的になって、よりマイルドな歪みが得られます。そこで、実際に真空管を使用してそのようなサウンド
を得ようという製品も見受けられます。
■歪み系エフェクトのパラメーター
歪み系のエフェクトのパラメーターはさほど多くありません。たいていはドライブなどというネーミングで歪みの発生量
を調整するものがメインとなっています。これを好みの歪みが得られるように調整すればいいのです。あとは EQ とかフ
ィルターなどの音質を調整する要素が付属するくらいで使い方は簡単です。
外部のエフェクターと組み合わせるときは接続の順序を考えましょう。歪み系のエフェクターは倍音を増加させるので EQ
やフィルターなどは後に接続した方が、加工の効果が大で有利です。逆に歪み系のエフェクターの前に入れたのではせっ
かく調整した音質もあまり変わり映えのないものになってしまいます。また、コーラス、フランジャーなども倍音が多い
ほど効果的なので後ろに接続するのがよいでしょう(fig.5)。歪み系のエフェクターはノイズを増やす傾向があるので、ノ
イズゲートなどは前段に配置すると効果的です。
fig.5 歪み系エフェクターと
他のエェクターの接続例
次回は自宅録音で手軽にハイ・クオリティなサウンドが得られて重宝するアンプ・シミュレーター、マイク・シミュレー
ターについて解説していくことにしましょう。
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