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資料21:村井本部員資料

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資料21:村井本部員資料
資料21
2001 年 11 月 7 日(水) 村井 純
1. 「人と組織の強化と国際関係に焦点を充てたインターネットセキュリティ基盤体制について」
2. 「正確な位置を知る権利を提供する国土」 高 精 度 測 位 基 盤 の 国 家 的 な 構 築
3. 統合的インターネット基盤にかかわる国際戦略の策定
4. ワールドカップ2002の情報環境について
1. インターネットセキュリティ基盤体制について。
インターネット基盤のセキュリティ対策に関して、IT 本部などを軸としたセキュリティ体制の整備と見
直しが進んでいる。ここでは、電子政府でのセキュリティへの取り組み、JPCERT を軸とした IRT(イ
ンシデント・レスポンス・チーム)の強化など組織面、制度面の整備が課題として取り組まれてきた。
その結果、インターネット環境は自律分散協調システムとして稼動していることを背景に、次の点へ
の取り組みが緊急課題となっている。
A) (人材)官民学を問わず、組織の情報担当人材に対する緊急セキュリティ教育の体制・制度の
整備および実施のガイドラインと補助。
B) (組織)インターネットの基盤整備・基盤維持にかかる整備計画の組織における負担に関する
施策
C) (国際)グローバルインターネット運用にかかわるわが国の責任分担を前提に、大規模サイバ
ーテロをシナリオとした、インターネット運用に関する体制の整備。
D) (技術)グローバルインターネット運用用基盤技術のセキュリティに関する研究開発
2. 高 精 度 測 位 基 盤 の 構 築
高度情報通信ネットワーク社会のために、携帯電話、ワイヤレスインターネットや IPv6による移動を
伴う通信環境基盤が確立しつつある。また、ITS や GIS など高度な位置情報を前提とした情報環境
は eJAPAN 計画の中でも重点領域として推進されている。わが国での国土地理院などの地殻の変
化を目的とした位置情報のインフラストラクチャの整備は世界最先端である。これらの更なる発展と、
携帯網による電波の測位などのいくつかの測位基盤を統合的に利用できる、「いつでも正確な位
置を必要に応じて知ることの出来る国土」の整備はわが国の情報基盤の先進性を確立する極めて
有効な方法である。
(1)
目的
・ 移動を伴ったユーザ・機器・自動車等が、日本全国どこでも位置がわかるような位置情報
インフラを構築すること
・ 「位置を知る権利」を確立すること
・ 測位精度を向上させること(衛星が陰るビルの谷間対策を含める)
(2)
サービス
a) 地域情報提供
携帯電話のインフラを活用した測位に基づき、地域情報提供などのサービスが始まっている。
今後、より高精度かつインフラに依存しない測位を可能にすることで、現在、携帯電話のイン
フラに依存して提供されている情報をより細かく、誰でも利用および提供ができる環境を構築
する。そのためには、これから急速に成長するであろう、Mobile Internet の活用は測位基盤
の構築が不可欠である。
b) 交通システム
現在、地図情報と衛星測位による測位情報を利用した運転支援システムが存在する。これら
にはカーナビゲーションシステムや、前方にカーブがある場所で自動的に減速するようなも
のがある。道路における正確な位置の把握は、こうした交通システムに大きな影響を与え
る。
現状では、これらのシステムは測位精度や誤測位の問題のため、あくまで運転の補助と
いう立場をとっているが、高精度かつ確実な測位を可能にすることで、自動運転や歩行者
ナビゲーションなど多くのシステムへ発展できる。
また、既にインターネット ITS など、インターネットを基盤とした自動車の情報
化が進んでおり、自動車の位置を把握出来る基盤を提供することで、情報産業の新たな成
長や国民の安全を支援することが見込まれる。
c)国土の安全管理
運送システムや自動運転等の ITS の高度化、放牧された家畜の管理(狂牛病対策)、自然
現象の解明など、インターネットを始めとする通信分野や地理情報との協調により、国土の安
全管理が可能となる。
また、緊急時の通報と同時に位置を特定し、迅速な対応を実現することが考えられる。既に
米国では E911 法が施行され、携帯電話に測位装置を組み込むことを義務づけ、で緊急時に
通報を受けた時点で場所を特定する仕組み作りを推進している。
(3) 技術開発および国際連携の必要性
これらの測位技術は、最も有用とされる衛星測位を諸外国に頼っているのが現状である。現在
利用できる衛星は GPS(米国)、Glonass(ロシア)2つである。加えて EU が Galileoと呼ばれる衛星測
位システムを構築する予定である。このため、諸外国の事情によって測位精度が左右されるなどの
弊害が生じる危険がある。GPS はもともと軍事用の衛星であり、国際情勢によっては精度の低下な
どの可能性がある。Glonass や Galileo は予算面で難を抱えており、十分な精度を提供し続けること
は保証されていない。
このため、諸外国のシステムに依存しない基盤を構築するとともに、GPS、Glonass
等のシステムと相互連携を考慮し、グローバルな規模でこれらの技術を使うことができる基盤を提
供する必要がある。
(4)具体的施策
a)「位置を知る権利」の確立
・自分の位置を自由利用するための法整備
・プライバシの確保のための法整備
・高層建築物等による測位障害への保証の考え方の整理
b)高精度測位技術の開発
・衛星測位を補強する技術の開発(VRS, Pseudolite 等)
・衛星測位のための国際協力
・ 衛星に依存しない測位技術の開発 (電波三角測量、レーンマーカー、ビーコン等)
c) 測位基盤の整備
・ビルの谷間や地下における測位インフラの整備
・インターネットを利用した衛星測位補強システム(VRS システム等)のインフラ整備
・電界強度地図の整備
・国土地理院が持つ電子基準点のインターネットを利用した有効利用
・インターネットを使った地理位置情報基盤の構築
d)位置応用技術の開発
・POIX 等の地理位置情報を利用した情報流通の仕組みの確立
3.統合的インターネット基盤にかかわる国際戦略の策定
1) 高度教育・研 究開発インターネットの国際関係の推進
わが国では、文部科学省による SINET による大学・研究機関の高速ネットワーク環境、総務省によ
る JGN(日本ギガビットネットワーク)による情報通信技術の研究開発のためのネットワーク環境など
国内の教育・研究用インターネットの整備が充実しつつある。
一方、これらを国際的に接続する部分は、各分野での研究体制と予算に依存したそれぞれ独立し
た狭帯域の接続が各国に対して存在し、効率が悪い。元科学技術庁によって推進された省際ネッ
トワーク IMNET は、分野を超越した国研を接続した研究用サービスインターネットであったが、この
国際部分を担当する TransPAC は、わが国の研究開発ネットワークの連合による対米接続を実現
し、米国の Internet2 との対等な関係を確立しつつある。
わが国は、アジア太平洋諸国、ヨーロッパ、アフリカ、南米などの地域とも、研究開発ネットワークの
総合的な計画を策定し、効率のよい、戦略的な推進を図る必要がある。
2) 通信技術とサービスの国際展開と貢献
次のようなわが国の優位性・先進性により大きな国際展開と貢献を期待できる分野に焦点をあて、
官民学一体となって推進する体制を整備する。
A) IPv6やワイヤレスインターネットなどの基盤技術
B) ITS、GIS などのさまざまな産業分野での応用技術
C) デジタルコンテンツの安全で健全な流通基盤の国際展開
3) IT 人 材 の 戦 略 的 な 育 成 と 交 換
ASEM などで策定されつつある E-education や、各ODA などでの人材育成プログラムに対して、IT
戦略本部としての統合的な調査を行い、それに基づいた戦略的な国際人材資源の充実を計画す
る。
4.ワールドカップ2002の情報環境について
ブロードバンドインターネット大国である韓国での対応の調査・把握と、わが国としてのプレゼンス
の IT の側面からの対応が急務。
以上
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