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図 - 日本妊娠高血圧学会
第9章8帝王切開術 産科領域における静脈血栓塞栓症予防のガイドライン 最高リスク 血栓症素因/既往/合併の帝王切開術 ヘパリン製剤 かつ IPC 高リスク 高齢肥満妊婦の帝王切開術 血栓症素因/既往/合併の経腟分娩 ヘパリン製剤 IPC かつGCS 中等度リスク 帝王切開術 (高リスク以外) 低リスク 正常分娩 または IPC かつ/または GCS 早期離床および積極的運動 切迫早産に伴う長期臥床例などについてはリスクレベルを上げて判定するか否かは施設の判断に任せられている。 血栓性素因:先天性素因としてはアンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、 後天性素因として抗リン脂質抗体症候群 IPC:間欠的空気圧迫法 GCS:弾性ストッキング 表―1 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症予防ガイドライン作成委員会2004改変 第9章8帝王切開術 分娩後のVTE危険因子 第1群 分娩後抗凝固療法が必要な女性 1)VTE既往が1回以上ある 2)妊娠中にVTE予防(治療)のため長期間抗凝固療法が実施された 第2群 分娩後抗凝固療法あるいは間欠的空気圧迫法が必要な女性 1)血栓性素因があり、3群に示す危険因子を有している 2)BMI>40kg/m2 3)以下のような疾患(状態)を有している 心疾患、肺疾患、SLE(免疫抑制剤服用中)、悪性腫瘍、炎症性消化器疾患、多発関節症、ネフローゼ症候群、鎌状赤血球症 第3群 分娩後抗凝固療法あるいは間欠的空気圧迫法が考慮される女性 1)以下の危険因子を2つ以上有している 帝王切開、35歳以上、BMI>30kg/m2、3回以上経産婦、喫煙者、分娩前安静臥床2週間以上、表在性静脈瘤が顕著、 全身感染症、四肢麻痺・片麻痺、産褥外科手術、妊娠高血圧腎症、分娩所要時間36時間以上、輸血を必要とする分娩時出血、 両親のいずれかにVTE既往 表―2 産婦人科診療ガイドライン産科編2014年版CQ004-2改変 産褥期評価と管理 (分娩時評価する必要あり) 図ー1 VTE既往あり 妊娠中LMWHを要する患者 陣痛発来後の緊急帝王切開 症候既往なしの血栓性素因 (先天性または後天性) BMI > 40 kg/m2 長期入院 内科合併症など 例 心肺疾患, SLE, 癌, 炎症性疾患, ネフローゼ症候群 経静脈的薬物治療中患者 年齢> 35歳 肥満 (BMI > 30kg/m2) 経産回数 ≥ 3 喫煙 選択的帝王切開 産褥期での外科的治療 広範な静脈瘤 全身性感染 活動制限 例 片麻痺 長距離旅行 妊娠高血圧腎症 回旋鉗子分娩 分娩遷延(> 24時間) 分娩後出血 > 1 Lまたは輸血 分娩後評価と管理 第9章8帝王切開術 高リスク 少なくとも産褥6週間の LMWHによる予防 中リスク 少なくとも産褥7日間の LMWHによる予防 注: もし持続するリスクもしくは2個以上のリスク因子が ある場合LMWHを延長して投与することを考慮 2 個以上のリスク因子あり 1個以下のリスク因子 低リスク 早期離床と脱水予防 Royal College of Obstetricians and Gynaecologists Green-top Guideline No37 April 2009 より改変 第9章8帝王切開術 VTE リスク因子群 3%の頻度の産褥VTEをひきおこす Major risk factors (OR . 6): 少なくとも1個以上のリスク Minor risk factors (OR . 6 因子の存在は産褥VTE (3%の頻度)のリスクが存在するこ とを示唆する Immobility (分娩前の1週間以上の絶対床上安静) 1,000 ml 以上の産褥出血 (観血的処置に伴う) VTE既往 胎児発育遅延を伴う妊娠高血圧腎症 血栓性素因 アンチトロンビン異常症 第 V血液凝固因子ライデン型(homozygous or heterozygous) プロトロンビンG20210A (homozygous or heterozygous) 内科的背景 SLE 心疾患 輸血 産褥子宮感染症 複数併存時): 少なくとも2個 のリスク因子または緊急帝王切開時での1個のリスク因子 の存在は産褥VTE (3%の頻度)のリスクが存在することを示 唆する BMI . 30 kg/m 2 多胎 産褥子宮出血 > 1000 mL 喫煙 10 本/日 胎児発育遅延(gestational age 1 sex-adjusted birth weight , 25th percentile) 血栓性素因 プロテイン C 異常症 プロテイン S 異常症 妊娠高血圧腎症 1個のmajor riskまたは2個以上のminor riskが存在している帝王切開患者では 予防的LMWH投与、また、薬剤禁忌患者には理学的予防が示唆される。(G2B) 9thACCP guideline 2012 thrombophilia antithrombotic therapy and pregnancyより改変 表―3 第9章8帝王切開術 低分子量ヘパリン投与の禁忌 (2009 RCOG Green-top guideline No.37a 改変) 出血と凝固のリスクバランスを考慮し低分子量ヘパリンの投与を行わない、中止、もしくは延期すべき例 • • • • • • • • 持続する分娩前もしくは産褥期出血を呈している例 大出血のリスクが上昇していると考えられる例(たとえば前置胎盤) von Willebrand 病、血友病、後天性凝固障害などの出血傾向を示す例 血小板減少症(血小板数が7万5千/μl以下)の例 過去4週間以内の脳血管障害(虚血性もしくは出血性)の例 重症腎疾患 (GFRが30ml/min/1.73m2以下) 重症肝疾患 (プロトロンビン時間が正常範囲を超えている) 降圧不良高血圧 (収縮期血圧200 mmHg以上 もしくは 拡張期血圧120 mmHg以上) 妊婦でのエビデンスが乏しいことから臨床診断もしくは検査値については非妊婦のデータに基づいている 表―4 第9章8帝王切開術 日本妊娠高血圧学会「重症PIHにおける帝王切開時の抗凝固療法と麻酔法に関する検討委員会」報告 対象症例の内訳 行っていない 無回答 一部の症例(出血) 肥満* を除いて全例 血栓症既往あり** 症例によっては行っている 図ー2 長期臥床*** 年齢 具体的な基準の記述なし 血栓症、血栓性素因の家族 歴あり 血栓性素因 APS 早剥既往 多胎 Dダイマー高値 PIH 26 11 10 8 7 6 6 5 3 3 2 2 図ー2 凝固異常 高度静脈瘤 喫煙 下肢腫脹 正期産多胎で多量出血 血栓症と診断された症例 羊水過多 母体発熱(CAM疑い) 脱水が疑われる例 遷延分娩例 硬膜外麻酔なしの症例 日本血栓止血学会の基準による 糖尿病合併 自己免疫疾患 主治医が判断した症例 予防ガイドライン産科領域の最高リス クの場合 *肥満の記述のみ:13、高度肥満:1、BMI25以上:2、27以上:2、28 以上:2、30以上:4、35以上:2 **長期臥床の記述のみ:7、2週間以上:2、48時間以上:1 N=66 ***35歳以上:4、40歳以上:3、高齢:1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1