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第5学年 算数科学習指導案

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第5学年 算数科学習指導案
第5学年
算数科学習指導案
平成 27年 11月 25 日
(水) 5校時
高原小学校 5年3組 男子 17名 女子 16 名 計 33 名
授業者
T1:平良菜見子
共同研究者 屋宜 ルミ
1
2
単元名
単元目標
図形の面積
「台形の面積」
T2:松尾龍輔
知花 智代
服部
章吾
年間指導計画 P17(11月)指導内容
◎平面図形の面積が計算で求める事の理解を深め,面積が求められるようにする。〔B(1)〕
3
○三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を考える。
〔B(1)ア〕
○多角形の面性を三角形などに分けて求める。
〔B(1)ア〕
単元について
(1) 教材観
本単元は平行四辺形,三角形,台形,ひし形などの基本図形について求積に必要な長さを測り,公式を用
いて面積を求めることができるようにすることがねらいである。この指導で大切なことは,学習過程におい
て,既習の知識・技能をもとにして,新しい基本図形の求積公式を導き出す経験を児童にさせることである。
三角形や四角形などの基本図形のほとんどは,既習の図形に帰着して求積することができる。このことを,
具体的な操作活動を通しながら,児童自らの活動で求積公式を導き出させていくことが,数学的な見方や考
え方を伸ばすために特に重要であると考える。
(2) 児童観
① 単元・教材に対する児童観
本単元は4年の「面積」で既習している縦×横の公式を活用できる単元であるため,児童にとっては馴
染みのある内容となっている。しかしながら,公式の暗記のみで表面上の理解になると,活用や思考の深
まりがなくなり,形式的な数操作に陥る恐れがある。そのため児童は公式を学習する上で,着実に式の意
味理解を行う必要がある。授業では操作活動を取り入れながら,児童自らが等積変形を行い既習の内容を
活用して求積できるような流れをつくることで,求積公式の意味を理解させるものにしたい。
② 児童の実態
【レディネステスト (131 名 11/4 実施)】
内 容
①長方形の面積を求める
②正方形の面積を求める
③正方形の求積公式
④長方形の求積公式
⑤単位換算
正答率
90.1%
89.3%
92.3%
94.6%
55.7%
⑥複合図形の面積を求める
65.6%
備 考
誤答:答えの単位がcmまたは㎤
誤答:答えの単位がcmまたは㎤
誤答:縦×横,横×縦
誤答:横×縦,一辺×一辺
誤答:1 ㎡=100C㎡ 1㎡=1000C㎡
1 ㎡=1000000C㎡
誤答:周りの長さを適当にかけている
立体の求め方で計算しているなど
(分析結果)
・体積の後だったため,単位を㎤にしたり,縦×横に別の辺の長さをかけて計算する児童がみられた。
・正方形,長方形の求積公式はほとんどの児童が理解していた。
・単位換算の問題では,1 ㎡=100cm×100cm であることを理解していない児童が半数近くいた。
・複合図形の面積を求める問題では,図形の周りの長さを足したりかけたりする児童がいた。
※複合図形の面積の求め方については,別のワークシートを用い,その解き方を全体で確認した。
- 59 -
【アンケート調査結果 (131 名
9/17 実施)
】
アンケート調査①では,77%の児童がこれまでに
習った事を使って,課題を解決することができる,
またはどちらかといえばできていると答えた。
あまりできていないと答えた児童に関しては,今後
補習などの時間を活用し,既習事項を復習する
ことで,更に授業で活かせるようにしたい。
アンケート調査②では,式以外に自分の考えを言
葉や図,絵で表し,工夫して問題を解くことができ
る,またはどちらかといえばできている児童は 64%
だった。しかしながら,計算の跡や図などを
かいても,消してしまう児童も多く,いざ考えを振
り返る際,その材料がノートに残っていない場合が
ある。今後は,
「考えの足跡」をしっかり残す指導も
必要である。
アンケート調査③では,81%の児童がノートを分
かりやすくまとめている,またはどちらかといえば
できていると実感していた。
今後は,相手の意見や発表を聞いて,質問し合った
内容や,考えが変わったり,気づいた事などがあった
場合,ノートに書き加えさせるような手立ても必要
だと考える。
アンケート調査④では,自分の考えを相手に分か
るように説明できる,またはどちらかといえばでき
ていると答えた児童は 55%だった。
普段から自力解決やノートにまとめることはできて
いても,それを発表したり説明したりする児童が限
られており苦手と感じている児童も少なくない。
ペアやグループ学習を通して,相手に説明する活動
も取り入れていきたい。
アンケート調査⑤では,79%の児童が相手の説明
を自分の考えと比べながら聞くことができる,または
どちらかといえばできていると答えた。
今後は,相手の説明を聞きながら質問を考えたり,
良いところを見つけ知らせたり,説明の手助けをし
たりしながら,主体的に思考する場面を増やしてい
きたい。
- 60 -
(3)指導観
平行四辺形,三角形,台形,ひし形などの基本図形について,長方形や正方形の面積の求め方を基にし
ながら,具体物を用いて必要な部分の長さを測定し,計算によって求められることを実感できる学習を行
う。見通しの段階で,前時までに学習した内容を掲示物で振り返ったり,課題解決の上でどんな形にかえ
れば面積が求められるかを確認したりしながら,既習の図形の学習に帰着させることを大事にしていきた
い。
全体の話し合いの前に,ペア学習やグループ学習を取り入れ,互いに意見交換を行う場を設け,小集団
で意見を交わすことにより,自分の考えを振り返り,情報の共有化を図ることができると考える。また,
自分の考えを振り返ることや友達との共通点,相違点に気付かせることで,学級全体の話し合いに対する
意欲を高めさせ,数量や図形にかかわる意味や概念等を理解させるとともに,数学的な思考力・判断力・
表現力を育んでいきたい。
4
本校における自己肯定感向上3観点
A 居場所
「学習のきまり」を徹底
B 貢献
学び合いの工夫
C 達成感
形成評価による児童の実態把握と
個別指導
○学習スタンダードの徹底
○自分の考えを説明する機会を増やす ○教材プリントの工夫
・学習規律とルール
為に,ペアで自分の考えを説明させる。 ○学習の振り返り(自分の言葉で)
・基本的な発言の話形指導
○お互いに学び合ったり,考えを練り上 ○自己評価
・丁寧な言葉の指導
げたりする為にグループで説明し合う。 ○机間指導による子どもへの賞賛
○聞く姿勢,すわる姿勢
○ペア学習やグループ学習で出てきた ○ノート点検
考えを学級全体で確認し合い,よりよい ・子どもとの良好な人間関係の構
考えへと練り上げる。
築(助言や励ましの言葉)
○子どもの考えや方法を,カードやボー ・子どもの学習状況を把握
ドに記入させ,発表させた後,提示する。 ・予習と復習等と関連させて,子
○ICT 機器の活用
5
どもの学習習慣の改善
研究主題との関連
今年度の研究主題は,昨年度に引き続き「思考力を高める授業の創造」
,サブテーマ「『書く活動』を重視し
た言語活動の充実を通して」を設定し研究を深めていく。
算数科における「言語活動の充実」のねらいは,子どもの思考力・判断力・表現力の育成と捉え,指導内容
や活動を具体的に示していきたい。特に,根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言葉や数,
式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,互いに自分の考え
を表現し合ったりすることなどの指導を充実させていくために,以下の5つの視点を重点に取り組んでいきた
い。
(1) 「書く活動」を取り入れた日常的な取り組み
①
子どもの思考の足跡が分かる板書
児童一人一人が思考力を深め,学習内容を確実に理解するためには,授業の内容を思考の流れに沿って
整理したり,構造的に捉えたりすることができるよう板書を工夫することが大切である。
子どもの思考の足跡が分かる板書の工夫として,学習内容の定着を図るための板書,視覚に訴える板書
の基本の二つの視点を確認しながら取り組んでいく。
- 61 -
視点1:学習内容の定着を図るための板書
視点2:視覚に訴える板書の基本
①
説明する場面と板書する場面をはっきり区別する。
②
発言内容を板書する際には,発言を最後まで聞き,問い ② 児童の発達段階に合わせて,字の大きさ
返しなどを行って,趣旨を整理して,キーワードやキーセ
ンテンスを板書する。
③
① 楷書で,正確に書く。
や位置,1行の文字数などに配慮する。
③ 線や図は定規を使う。
板書の分量は,1時間の授業を振りかえることができる ④ チョークの色使いを効果的に活用する。
ように黒板1枚に収める。
⑤ 図や写真・イラストを効果的に活用す
④
学習の流れや子どもの思考の流れが分かるようにする。
る。
⑤
子どもの考えを整理したり,分類したりする。
⑥
構造図や関係図などを用いる。
難を感じている子どもにも配慮して,見え
⑦
子どもの考えや方法を,カードやボードなどに記入さ
やすくする。
⑥ 照明や日光,色や囲み,色の見え方に困
せ,発表させた後,提示する。
②
考えをより確かにするノート指導
自分の考えや調べたことなど,これまでの学習経過が分かるようなノート指導,友だちの意見や考え方
を記録することにより,自分の考えをさらに広げたり,深めたりすることができるノート指導を工夫して
いく必要がある。そのために,書かせる内容や量,書く時間の設定,ノートの形式などについて,共通理
解を図ることが大切である。また,子どものやる気を引き出すようなノート点検や評価も行っていきたい。
(ノートの使い方)
・ノートのページは,1単位時間で見開き2ページを使う。
・学習の流れが分かるように,日付,単元名,めあて,問題,考え方,まとめを書かせる。
・書く位置や文字の大きさに気をつける。
・教師が説明や指示をしているときは写さない。
・自分の考えは式だけでなく,図や言葉(ふきだしも含む)で書かく。
・自分の思考過程を残す。
(間違いは消さない)
・友だちの考えや,集団で話し合って明らかになった考えも書く。
・授業のまとめを自分の言葉で書く。
(わかったことや感想,自己評価など)
(ノート点検や評価の工夫)
・ノートの回収,教師の評価を定期的に行い,助言や励ましの言葉,感想を添える。
・ノートの取り方の上手な例を学級便りやコピーの提示によって紹介し,互いの頑張りを認め合う。
(2)思考を促す発問の工夫
発問は,子どもが学習を進める上で重要な役割をもっている。子ども一人一人が意欲的に学習できるよ
う,学習内容に対する興味・関心を喚起し,学習の見通しをもたせ,多様な考えを引き出し,思考を促す
ことができる発問や指示を計画することが必要である。ここでは,学習過程における発問の例を参考にし
て,発問を吟味・精選し,比較することで子どもの思考を促す働きかけを工夫していきたい。
場
面
疑問・課題
方
法
・既習の内容との比較
発
問
「これまでの学習と何が違いますか。」
・既有の方法や考えとの比較 「これまでの学習で使えそうな方法や考えはありませんか。
」
見通し・考え ・教材や資料との比較
・結論と根拠の比較
「2つを比べて考えられることは何ですか。
」
「あなたが○○と考えたのはなぜですか。」
- 62 -
気付き
納得
・他の考えとの比較
「みなさん,Aさんはなぜ○○と考えたのですか。
」
・相違点と共通点の検討
「2つの考えで違うこと,同じことは何ですか。
」
・考えてきたことの整理
「新しくできたこと,わかったことは何ですか。
」
・自他の考えの発展
「この考えや方法は,ほかの場合に使えそうですか。
教師の言葉の精選を
「間」を大切に
発問の言い回し,言い換え,繰り返しは,児童生 教材提示や発問後の「間」が大切です。児童生徒が黙っ
徒の集中力を低下させます。自ら発する言葉の精 て教材とかかわる時間にその子らしい見方や考え方が
選を常に意識し,1 回の働きかけで児童生徒が動 現れます。一問一答型の授業からの脱却を図る 1 つの手
く発問や指示に心がけることが大切です。
立てとして「間」をとることが大切です。
『思考を促す発問』(中越教育事務所資料より)
(3) 学年に応じた語彙力の育成
児童が言語を基に対象に関する概念を構築していくためには,体験したことを整理して,それを言葉で表
すなどの言語活動が必要となる。算数においては以下のことに気をつけたい。
①
判断と理由の関係を明確にして表現する。
②
算数用語を用いて適切に表現する。
③
比較の視点(例 大きさ,色,形,位置など)を明確にして表現する。
④
時系列(例 まず,次に,そして,など)で表現する。
⑤
互いの話を集中して聞き,話題に沿って話し合う。
⑥
書いた物を読み合い,良いところを見つけて感想を伝え合う。
⑦
文章の内容と自分の経験を結びつけて,自分の思いや考えをまとめ,発表し合う。
(4) 全員参加型の授業
全員参加型の授業は,ペア,グループ,一斉を目的に応じて使い分けると,より効果的に学び合い活動を
行うことができると考える。
ペアでは,自分の考えをかき表したノートやワークシートをもとにして,自分の考えを相手に説明する経
験を積ませる。また,グループでは,相手の考えを聞いたり,読み取ったり,相手の考えを代わりに説明し
たりする経験を積ませる。さらに,ペア学習やグループ学習で出てきた考え方を学級全体で確認し合い,よ
りよい考え方へと練り上げていく活動を展開していきたい。
(5) ICT 機器・デジタル教材の効果的な活用
言葉や黒板だけで理解しにくいものでも,ICTを効果的に使えば映像を通してイメージしやすく,児
童の理解を助けることになる。本単元では,デジタル教材や書画カメラを使って教科書の図や動画を提示し,
児童の興味関心を高めるとともに,課題を明確につかませたい。さらに,学習内容の確実な定着をめざし,
フラッシュ型教材を使い繰り返し学習も取り入れたい。
6
教材の関連・系統性
- 63 -
7
単元の目標・評価計画
関心・意欲・態度
目
標
A
B
8
平行四辺形や三角
形,ひし形,台形の面
積の求め方を,既習の
正方形や長方形の面積
の求め方に帰着して考
えようとしている。
平行四辺形や三角
形,ひし形,台形の面
積の求め方を,既習の
正方形や長方形の面積
の求め方をもとに帰着
して考え,そのよさに
気づき,進んで活用し
ようとしている。
平行四辺形や三角
形,ひし形,台形の面
積の求め方を,既習の
正方形や長方形の面積
の求め方に帰着して考
えようとしている。
数学的な考え方
技能
既習の正方形や長方形の
求積方法をもとにして,倍
積変形,等積変形の考えを
用いて,平行四辺形や三角
形,台形,ひし形の面積の
求め方を,具体物や図,式
を用いて考えている。
既習の正方形や長方形の
求積方法をもとにして,倍
積変形,等積変形の考えを
用いて,平行四辺形や三角
形,台形,ひし形の面積の
求め方を,具体物や図,式
を用いて考え,求積公式か
ら導き出している。
既習の正方形や長方形の
求積方法をもとにして,倍
積変形,等積変形の考えを
用いて,平行四辺形や三角
形,台形,ひし形の面積の
求め方を,具体物や図,式
を用いて考えている。
知識・理解
求積公式を活用
し,平行四辺形や三
角形,台形,ひし形
の面積を求め るこ
とができる。
平行四辺形や三角形の面
積の求め方や求積公式の意
味を理解している。また,
平面図形の面積の大きさに
ついての豊かな感覚を持っ
ている。
図形に応じた求
積公式を用いて,平
行四辺形や三角形,
台形,ひし形,及び
それらを組み 合わ
せた図形の面 積を
求めることが でき
る。
求積公式を活用
し,平行四辺形や三
角形,台形,ひし形
の面積を求め るこ
とができる。
平行四辺形や三角形の面
積の求め方や求積公式の意
味を理解し,説明している。
また,平面図形の面積の大
きさの見当をつけられるな
ど,平面図形の面積の大き
さについての豊かな感覚を
もっている。
平行四辺形や三角形の面
積の求め方や求積公式の意
味を理解している。また,
平面図形の面積の大きさに
ついての豊かな感覚をもっ
ている。
単元の指導計画・評価計画
次 時
1 1
平
行
四
辺
形
の
面
積 2
3
◎○評価基準
□評価方法
◎平行四辺形を長方形に等積変形して,面積
◎平行四辺形の面積を,等積
を求める。
変形の考えで求めようと
・1㎝²の正方形がい
○周りの長さが等しい長方形と平行四辺形の
している。
く つ 敷 き め ら れ る 【関・意】
面積の大小について話し合う。
□観察
かという面積の意
○イの平行四辺形の面積を求めるために,必
味にたち返るよう
要な長さを考える。
話し合いを方向づ
○平行四辺形を長方形に等積変更すれば,面
ける。
積が求められることに気づく。
◎平行四辺形の面積を求めるために必要な長
◎等積変形の考えを使って,
さについてまとめる。
既習の図形の求積公式か
◎底辺,高さという用語を知り,求積公式を ・ 平 行 四 辺 形 の 高 さ
ら新しい図形の求積公式
作り,面積を求める。
を導きだしている。
が,等積変形したと
○ウの平行四辺形の面積を求めるために,必
き の 長 方 形 の ど こ 【考え方】 □観察,ノート
要な長さを考える。
の長さになるかに
○平行四辺形の面積を求めるために必要な長
着目させる。
さについてまとめ,求積公式を作る。
・底辺に対して高さが
○平行四辺形の必要な長さを測って,面積を
決まることを理解
求める。
させるようにする。
◎平行四辺形の高さが分かりにくい場合につ
◎平行四辺形の求積公式を
いて,面積の求め方を考える。
もとにして,底辺の長さを
◎底辺と高さが等しい平行四辺形の面積を考
求めることができる。
・教科書の図形を児童 【技能】 □観察,ノート
える。
に配布。
◎平行四辺形の面積と高さから,底辺の長さ
○どんな形の平行四辺形で
を求める。
も,公式を適用して面積を
○底辺に垂直に引いた直線が向かい合った辺 ・底辺と高さの等しい
平
行
四
辺
形
を
た
く
もとめることができる。
に交わらない場合について,面積の求め方
◎ね ら い
○学習内容
指導上の留意事項
- 64 -
2 4
三
角
形
の
面
積
5
6
7
3 8
台 本
形 時
の
面
積
4 9
ひ
し
形
の
面
積
を考える。
さんかかせてみる。 【考え方】 □児童との対話
○高さの測り方に気づく。
○底辺と高さの等しい平行四辺形は,面積が
等しいことに気づく。
○平行四辺形の面積と高さが分かっている場
合に,底辺の長さの求め方を考える。
○平行四辺形の求積公式をもとにして,底辺
の長さを求める
◎三角形を既習の図形(長方形・平行四辺形) ・教科書の図形を児童 ◎三角形の面積を,等積変形や
に変形したり,倍積変形のしかたを工夫し
に配布。
倍積変形の考えで求めようと
たりして,三角形の面積を考える。
・縦軸が「長方形・平
している。
○平行四辺形や長方形をもとにして,三角形
行四辺形」,横軸が 【関・意】
□観察
の面積を求める。
「等積・倍積」とな ◎既習の長方形や平行四辺
るように板書する。
形に変形して考えている。
・複数の方法でやって 【考え方】
□ノート
いる児童の賞賛。
◎三角形の面積を求める公式を考える。
◎等積変形の考えを使って,
○三角形の求積に必要な長さを調べて,三角 ・小数値がでること,
既習の図形の求積公式か
誤差が生じること
形の面積を求める。
ら新しい図形の求積公式
を知らせる。
○調べたことをもとにして,三角形の求積公
を導き出している。
式をまとめる。
【考え方】
□ノート
○三角形の面積を求める場合,底辺と高さが相
□児童との対話
対的に決まることを,操作を通して理解し,
○底辺をどこにとるかで高
必要な長さを測って面積を求める。
さが決まることを理解し
ている。
【知・理】□観察,ノート
◎頂点から底辺に引いた垂線(高さ)が,底辺 ・教科書の図形を児童 ◎三角形の高さが底辺の延
の延長上で交わる場合の三角形の面積の求
に配布。
長上にくる場合も求積公
め方を考える。
・既習の図形に変形す
式にあてはめて求められ
○三角形の高さが底辺の延長上にくる場合の
れば公式が適用で
ることを理解している。
面積の求め方を考える。
き る こ と か ら 考 え 【知・理】
□観察
させる。
◎底辺も高さも等しい三角形の面積を考え ・「面積と底辺を手が ◎三角形の底辺と高さが等
る。
かりに高さをもと
しければ,形が変わっても
○底辺の長さと高さが等しいいくつかの三角
めよう」と学習課題
面積は変わらないことを
形の面積を求め,面積が等しくなることを
を設定する。
理解している。
確かめる。
【知・理】□児童との対話
○直角三角形の斜辺を底辺としたときの高さ
○三角形の求積公式から,高
を求める。
さを求めることができる。
【技能】
□観察
◎台形は,3か所の長さを調べれば計算で面 ・教科書の図形を児童 ◎既習の考えを使って,台形
積が求められることに気づく。
に配布。
の面積を求めようとして
○台形の面積の求め方を考える。
いる。
○台形は,既習の図形に等積変形,倍積変形 ・式は1つにまとめさ 【関・意】 □ノート
せず,何を求めたか ◎台形を既習の求積公式が
すれば,面積が求められることに気づく。
が分かるようにい
○台形の求積公式を考える。
使える形に変えて,面積の
くつかに分けて書
求め方を考えている。
かせる。
【考え方】 □観察,ノート
◎ひし形は,対角線の長さを調べれば,計算 ・教科書の図形を児童 ◎既習の考えを使って,ひし
で面積が求められることに気づく。
に配布。
形の面積を求めようとし
○ひし形の面積の求め方を考える。
ている。
○ひし形は既習の図形に等積変形すれば,面
【関・意】
□観察
積が求められることに気づく。
◎ひし形を既習の求積公式
○ひし形の求積公式を考える。
が使える形に変えて,面積
の求め方を考えている。
【考え方】
□観察
- 65 -
10 ◎ひし形の面積の求め方の理解を深める。
○ひし形の面積を求める。
○対角線が直交する四角形の面積を,ひし形
の求積公式を利用して求める。
5 11 ◎一般の四角形や五角形は,いくつかの既習
面
の図形に分割すれば,面積が求められるこ
積
とに気づく。
の
○一般の四角形や五角形の面積の求め方を考
求
える。
め
○求積のできるいくつかの既習の図形に分割
方
すれば,面積が求められることに気づく。
の
く
ふ
う
6
チ
ャ
レ
ン
ジ
12 ◎式や図,説明を読む活動を通して,面積の
求め方の理解を深める。
○ひし形の面積の求め方で,対応する式,図,
説明をそれぞれ選ぶ。
○提示されたひし形の面積を求める。
◎ひし形の求積公式を理解
している。
【知・理】
□ノート
○いろいろな考え方で,対角
線が直行する四角形の面
積を求めようとしている。
【関・意】
□観察
◎既習の考えを使って,一般
の四角形や五角形の面積
を求めようとしている
【関・意】
□観察
◎一般の四角形や五角形を
既習の求積公式が使える
形に分割して,面積の求め
方を考えている。
【技能】
□観察
◎ひし形の面積を求める考
え方を,問題解決に活用し
ている。
【考え方】 □観察,ノート
7 13 ◎既習事項の理解を深める。
練
○いろいろな図形の面積を求める。
習 14 ◎既習事項の確かめをする。
○いろいろな図形の面積を求める。
○面積が等しい三角形をかき,等しいわけを
説明する。
○面積と高さが分かっている三角形の底辺の
長さを求める。
9
本時の指導
「図形の面積」
(8/14時間)
(1) ねらい
①台形は,3か所の長さを調べれば計算で面積が求められることに気づく。
②台形の面積を求める公式を考える。
(2) 本時の評価規準
評価の観点
【関】既習の考えを使って,台形の面積を求めようとしている。
【考】台形を既習の求積公式が使える形に変えて,面積の求め方を考えている。
評価規準
既習の平行四辺形や三角形の求積方法を基に,倍積変形,等積変形の考えを用
い,台形の面積の求め方を具体物や図,式を用いて考えている。
評価方法
授業内:ノートにおいて思考の流れを確認する。
授業後:練習プリントをさせる。
(3) 本時の工夫点
場 面
導入の場面
問題提示の場面
自力解決の場面
工夫点(手立て,方法)
・ICTの活用
・どんな形に変えれば解決できるか
意見を出させる。
・教材・教具の活用
理由
・本時の学習につなげることができる。
・三角形や平行四辺形がキーワードになっている
ことに気づかせる。
・教具や図を使うことで,考えを導き出せること
に気付かせる。
・シナリオをもとに自分の考えを説明できる。
自分の考えを説明す ・発表シナリオの活用
る場面(グループ)
全体の場面
・発表シートや教具を使って, 発 ・いろいろな求め方があることに気づかせる。
表させる。
- 66 -
(4) 展開
過程
導
学習活動・内容 ◇発問
予想される児童の反応
指導上の留意点,評価等
1
既習を振り返る。
・縦に切ってつなげる。
・ICT を利用して学習の振り返り(平
◇
図形の面積(平行四辺形, ・横に切ってつなげる。
行四辺形と三角形の面積)をさせ
三角形)は,どんな方法で
入
求めることができました
5
か。
・2倍にする。
る。(T2)
分
2 課題をつかむ。
◇ これは何という四角形で
すか。また,どんな特徴が
ありますか。
◇ 台形も面積を求められる
でしょうか。
めあて
展
開
・ICT を利用して,台形の性質を復
習する。(T2)
・平行四辺形や三角形の
・既習の平行四辺形や三角形の面積を
求め方を考えたときの 想起させることで,
既習を使って説け
ように求められそう。 そうだという見通しを持たせる。(T2)
・1組の辺が平行
台形を平行四辺形や三角形に変えて,面積を求めることができる。
3 自力解決する。
(15分) ・高さを半分にして平行 ・ヒントカードを用意し,並べたり,
◇今までの学習を生かして, 四辺形に変える。
切ったりする活動をさせる。
台形の面積を求めましょ
・合同な台形を組み合わ ・補助線の入ったヒントカードを用意
う。
せ て 平 行 四 辺 形 に 変 え し,必要に応じて渡す。
30
る。
分
・大きな三角形に変える。 面積の求め方を考えている。
【考】既習の図形に帰着して,台形の
・2つの三角形に分ける。 ・求積について以下の点を書かせる。
①どのように知っている形にかえ
4 グループで自分の考えた
求め方を説明する。
(5分) ・同じ方法で考えたけど,
◇どのような工夫で台形の面 式が違う。
積を求めたのか説明しまし
・違う方法だけど,式が
ょう。
同じ。
全体で練り上げる。
(10 分)
(1)自分の考えた求め方を
発表する。
(4,5名)
(2)比較・検討する。
◇友達の考えで似ているとこ
ろはどこでしょうか。
たのか。
②式を考える。
③それぞれの数字が,どの長さ
(または操作)を表しているか。
5
・解決方法を分類する。
(分割,等積
変形,倍積変形)
・どれもたし算がある。
・既習の求積だけで台形の面積を求め
・÷2がある。
ることができたことを確認する。
・どれも3か所の長さを
・答えがどれも 16 ㎠
使っている。
6
ま
と
め
10
分
まとめをする。
◇台形の面積は次のように求
めることができます。
2つの平行な辺・・・上底
下底
台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2
7
適応問題に取り組む。
・公式を使って問題を解決させる。
8
振り返り
・数人へ発表させる。
- 67 -
10
板書計画
めあて
台形を平行四辺形や三角形に
[2つの三角形]
[1つの三角形]
2×4÷2=4
変えて,面積を求めることができる。
6+2=8
6×4÷2=12
8×4÷2=16
も 台形の面積の求め方を考えましょう。
○
4+12=16
2+6=8
2+6=8
4÷2=2
8×4=32
8×2=16
[高さを半分]
三角形
32÷2=16
[面積を 2 倍に]
平行四辺形
まとめ
台形の面積の公式
高さを半分に
上の辺+下の辺
2つの平行な辺・・上底
している。
をしているよ。
台形の面積は,
下底
(上底+下底)×高さ÷2
11
授業の様子~資料編~
考えを発表する際の文の組立て例
児童が発表した考えをまとめ,既習事項として掲示
思考の助けとなる学習活動のアイディア
多様な考えを可視化した掲示
- 68 -
(授業の様子 ~授業編~)
導入で前時の振り返りを ICT 活用にて
動きや色を工夫して,理解しやすくしている
児童自身が思考する時間を十分に確保した
操作活動も取り入れ,多様な思考を促す
互いの考えを共有するグループ活動
自身の考えを相手に発表することで
考えを確かめることもできる
児童の発表を基に公式を導き出す
全体発表で,大切な考えを共通理解
- 69 -
12
授業研究会
指導助言者:北中城村立北中城小学校
和泉 康彦 先生
(1) 授業者反省及び学年の取り組み紹介
菜見子・・・検証授業でも時間がオーバーだったので,前半部分をさっと流した。
発表シートを配るのが遅く,時間が少しかかった。
同じ切り方しかおらず,他のやり方もした方が良かったのか。
台形だけが1時間扱いで公式までやらないといけない。他は2時間扱い。これで良かったのか
教えて頂きたい。
ルミ・・・・多様な考えをどのようにまとめていくか。児童が出した考えの中から1つ決めておき,これ
を使って公式に繋げていく。これで良かったのか教えて頂きたい。適応問題の時,私自身が台
形の高さを書くのを忘れたが,子どもたちがそれに気づき,高さについて着目できた。
智代・・・・台形を平行四辺形や三角形に変えて考えさせたいが,その他の図形に置き換えて考える子ど
も達もいたがそれで良いのか。適用問題では,台形の上底を空欄にしたところ,子どもたちが
気付き上底を意識させることができた。
松尾・・・・子ども達の多様な発想に感動。多様な発想を式に持っていく,表現することへうまく繋がら
ないのが課題。子ども達はやっていくうちにパターンがわかり,できるようになってきた。公
式を体で 覚えていくのは良かった。
章吾・・・・子ども達は色々多様な考えを出してくるので,集約して公式に持っていくノウハウができな
かったことが反省。菜見子先生の授業では,2人の子どもの考えを使いながらその1つ台形を
2枚使った平行四辺形を使って共通点を使って公式を導き出すのが良かった。
(2) 授業の感想・質疑応答
子どもたちがとっても元気があり,担任が声掛けすると即座にかえってくるのが良かった。ICT の活用
は,視覚に訴えるので理解しやすい。求積で,どの求め方でもこの公式が当てはまることを6年生でも行
った。公式を使うとき,今の6年生もカッコを意識して言っている。公式の中のカッコを声に出して読
み,意識させるのはとても良いと感じた。
Q:台形の求積で,ヒントカード(色画用紙の包含紙)ではなく,ワークシートに書かせたのはどうしてか?
A:最初からはあげなかった。ワークシートの中で考えてやる子もいるので,必ずしも全員必要ではないと
感じたので,台形の形のカードをヒントカードとした。イメージしてできる子にとっては必要ではない。
思考力を培うにはいい方法だと思う。
(3) 指導助言・・・和泉 康彦先生
マス目があるからこの線は引ける。ポイントは,真ん中をとおること。三角形の合
同条件を確認しな
いといけない。絵で描いた場合は,合同条件が必要。図形を変形させて考える場合は,長さと角を意識しな
いといけない。切る良さと描く良さがある
合同じゃないといけない
先生が話したときに,手に何かを持っていたり一部の子どもが反応したりする。
質問してすぐに答えを担任が言うと,考える時間を奪う。
質問した手を挙げる。まだ挙げてない子をまつ。ほんの1・2秒を待つことでそろう。考えきれない子ど
も達がついて行けない。そこを気をつけなければならない。
教科書の流れとして3つぐらいの考えがある。それぞれにやりたい事が沢山入れたい大阪・京都を中心に
作っている。だからそのところにいる先生の声は届きやすい。おかしかったらかえる必要がある。大きく変
わったところは,5年生の単位換算がなくなった。先生方も教材研究をしていかなければならない。
70
最初の三角形と平行四辺形が長かった。子ども達の考えに名前をつける。例,切る型。2倍型,つきたし
型。切る型→たて・よこ・ななめ
切る型
たて
2倍型
よこ
つきだし
ななめ
→
長・正・三・平・台
みえなかったのは,斜めになっている図形。これはわかっているのか。高さの概念を間違わないためにも,
地面に平行な置き方はしない方が良いのでは。
斜めにおいた台形に高さを書きたすのを子ども達にさせて意識させる。
→
正方形から少しずらしていくと面積はどうなるか。
少しでもずれたら高さが低くなる。この概念をしっかり
つけさせたい。
お菓子の空き箱を使って簡単に教材を作ることができる。
高さ
高さ
高さ
*木では2つの高さを考えられるが,人間では斜めではできない。
高さの概念をどの教材を使って説明するか。教材研究が大切。
A:
1つしか考えられていない子に声かけするか。
Q:
声かけはしない。類似問題をして乗り越えさせていく。声かけをするとその子の思考が停止する。
A: 相手の発表を聞いているだけで終わる。学び合いのポイント。
Q: ①必ず発表させる。②質問を必ずさせる。
拍手をして他には?という声かけをしたら間違えていると感じない。
間違えてもいいので答えを出す練習。発表するまで座れない。そうすると仲間が減るので発表するよう
になる。
Q:
思考力を育てるには
A:
最初は,選ぶ。なぜ選んだか説明,文字にする。式を3~5考える。というふうにすると子どもは考え
るようになる。同じ言葉をいわせるのも良い。アウトプット。また,ペアで言わせて座るというのも良
い。コミュニケーションもとれる。笑いが起こる。学級経営に繋がる。
Q:
子どもからあがってきたアイディアをまとめるには,子どもの言葉?教師の言葉?
A: A か B ではなく,A も B も大切。公式を使いこなせた方が良いが,思考力の方が大切。試行錯誤をさせ
る中で,どの考えが良いのか選ばせる。選ばせることで良さが分かる。人によって良さが違うので,決め
なくても良いのでは。
試行錯誤をするのなら,綺麗なノートはできないのでは。ノートに計算・メモ等をかけるスペースをつく
ってあげてはどうか。発表するだけで偉いので,心から褒めてあげる。
71
13
成果と課題
(1) 成果
① 子どもの思考の足跡が分かる板書の工夫として,学習内容の定着を図るための板書,視覚に訴える板書
を確認しながら取り組んだ。その結果,授業の内容を思考の流れに沿って整理し,学習内容の理解につな
げることができた。
②
学習課題(問題)について,自分の考えや気づいたことをノートに書くことで,自分の考えや意見をも
って話し合い活動に参加することができた。
③
全体の話し合いの前に,ペア学習やグループ学習を取り入れ,互いに意見交換を行う場を設け,小集
団で意見を交わすことにより,自分の考えを振り返り,情報の共有化を図ることができた。
④
フラッシュ教材を使うことにより,短時間で前時の振り返りができ,学習内容の理解につなげること
ができた。さらに,児童の興味関心を高め,本時の課題設定につなげることができた。
(2) 課題
①
子ども一人一人が学習内容に対する興味・関心を持ち,多様な考えを引き出し,思考を促すことがで
きる発問や指示を計画することが必要である。
② 「ノートには書けているのに,発表しようとしない」
「発表し合うだけで,意見交換ができない」
「質問
はありませんかと聞いても何も出ないので,そこでとぎれてしまう」これらの子どもたちの実態を踏まえ,
今後,コミュニケーション能力を高めるための指導の工夫と改善が必要である。
(参考文献)
・
『琉球新報「未来へ いっぽ,にほ」コラム』(2014,和泉 康彦)
・
『わかる授業 Support Guide』
(H25 沖縄県教育委員会)
・
『函館市学校教育指導資料「わかる授業づくりに向けて」~学習指導ポイント 10~』(H21 年,函館市
教育委員会)
・
『学校訪問資料 見える授業改善のススメ』
(H22,中越教育事務所)
・『算数・数学科における,筋道を立てて考えたり,自分の考えを表現したりする力を育成するための具
体的なあり方』
(京都市総合教育センター研究論文)
・
『あきたのそこぢから-授業の基礎・基本-』
(2011,秋田県総合教育センター)
・
『小学校算数「数学的な考え方」を育てるノート指導の技術』
『(2012,小島 宏)
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