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Ⅴ. 料理デモンストレーション

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Ⅴ. 料理デモンストレーション
Ⅴ. 料理デモンストレーション
日本から欧州への主要な輸出品目は、お茶、酒を除いては、調理をする必要がある調味
料など加工食品が多い(生鮮食品はほぼ皆無)。これらの加工食品の購入を一層促進するた
めには、それを使用して調理する方法を普及することが肝要である。
そこで、「簡単でヘルシー」をキーワードに、日本的な8つのメニューを紹介し、日本パビリ
オンの商品購入を促すこととした。具体的には、訪問客に料理デモンストレーションを見て試
食をしてもらい、レシピカードを配布して、家庭で作ってみようと思われたお客様に商品の購
入を勧めて販売促進を行った。
1.概要
2月23日から3月2日までの毎日、10 時から 19 時まで、休憩時間を除き、継続的に料理
デモを実施。
インストラクターは、パリ在住で、フランス人に日本料理を教える経験の豊富な二人の日本
人料理人。日本料理に関してほぼ素人のフランス消費者にわかりやすく教える必要があるた
め、教えたことのある経験が重要であった。
インストラクター: オプティ美保氏 (主婦による家庭的なレシピ)
光永茂樹氏 (プロの日本料理人による伝統料理)
オプティ美保氏:
フランス家庭料理のレシピを紹介する「あの日を見つけに―フランスの四季、シンプルでお
いしい家庭料理」(情報コミュニケーションズ)の著者。フランスでフランス家庭料理教室を開き、
日本の料理をフランス人に教えるなど経験が豊富。
光永茂樹氏:
フランスの日本食レストラン「愛」勤務、「伊勢」料理長、「青葉」経営者を経て、ABC クッキン
グスタジオパリ校の責任者としてフランス人に日本の料理を教えるなど経験が豊富。
2.メニュー
フランスの身近な生鮮食材と日本の食材を組み合わせて簡単に作ることができる、オーソド
ックスな日本食のレシピを紹介。
レシピカード(ハガキサイズ、8種各 5,000 枚)及びデモのスケジュールは、報告書の最後に
参考資料として添付。
<料理デモンストレーションレシピ>
メニュー
使用した出展物
粉末だし、醤油
現地調達した主な食材
じゃがいも、だいこん、たまご(こ
おでん
んにゃく)
おかず
肉じゃが(すき焼き風味付けのも 醤油、みりん、粉末だし 牛肉、玉ねぎ、じゃがいも
の)
米、醤油、みりん、粉末 鶏肉、にんじん、干ししいたけ、
ごはん 五目炊き込みご飯
だし
サヤインゲン、油揚げ
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汁物
寿司いろいろ(押し寿司、ばら寿 米、酢、醤油、のり、わさ 鮭、えび、白身魚など生の海産
物、卵
司、手巻き寿司。酢めしの作り方 び
の説明を含める)
豚汁(基本のみそ汁の説明も含 酒、醤油、粉末だし、み 豚肉、にんじん、じゃがいも、長
そ
ねぎ、だいこん
める)
石狩鍋
焼うどん
麺
うどん入り茶碗蒸し
粉末だし、みそ、酒、み 鮭 、 だ い こん 、 長 ネ ギ 、 に ん じ
りん
ん、じゃがいも、こんにゃく、豆腐
うどん、醤油、のり
豚肉、にんじん、玉ねぎ、キャベ
ツ
うどん、醤油、粉末だし 卵、鶏ささみ肉、エビ、生シイタ
ケ、いんげん
3.特別デモ
会期中、パリの蕎麦レストラン円(YEN)の桜井氏、松下氏による蕎麦打ちの実演、「みどり
のしま」(酒ブース出展者)須田氏による酒を使ったデザートレシピの実演を行った。
4.来場者の反応
連日、デモのたびに人だかりができる大盛況となった。1日 400∼500 人、9日間で約 4,000
人が試食をした。基本的に無料試食。特に寿司については、無料試食に殺到する状況であっ
たので、2回目からは寿司のみ有料としたが、それでも多くの来場者が食べることを希望し
た。
レシピカードは9日間でほぼ 5,000 枚×8種類を配布しきった(自由に持って行っていただく
方法で。)。寿司、肉じゃが、焼うどんのレシピカードが早目になくなり、おでん、うどん入り茶
碗蒸しが少し残った。8種類をすべて持っていかれた来場者、できそうなものだけを選んで取
られた者など様々だが、少なく見積もっても 5,000 人以上に情報提供できた。
以下、メニューごとに特徴的な来場者の反応などを記す。
・ 寿司いろいろ: 日本食といえば寿司と認識されており、最も人気のあったメニュー。今
回は、家庭でも簡単に楽しめるように、握り寿司ではなく、押し寿司、手巻き寿司、ちら
し寿司を紹介。
・ 焼うどん: 寿司に次いで、人気のあったメニュー。パスタなどフランスでも一般的な「炒
め麺」として親近感を持たれたためと考えられる。
・ 肉じゃが: 同じく、寿司に次いで、人気のあったメニュー。じゃがいもと牛肉というフラン
ス人が最も好む素材の組み合わせのためと思われる。酒(みりん)、醤油、だしが日本
的な味わいの大きなベースとの説明に興味を示す来場者が多かった。
・ 五目炊き込みご飯: 食べた感じが軽いのに味わいがあると驚く来場者が多かった。ヨ
ーロッパで一般的な米料理のピラフ、パエリアなどと違い、油脂をまったく使わない調
理法も注目を集めていた。子供にも好評。
・ 豚汁: 味噌の健康に対する効能を強調すると、多くの来場者が関心を示した。その味
噌に豊富な野菜、豚肉のだしが絡んだやさしい味わいが、「身体によい料理」としての
説得力を持たせたようである。一方、宗教上の理由で豚肉を食さない来場者も少なか
らず見られた。
・ 石狩鍋: 魚と野菜をおいしく食べられるスープとして興味を示した女性が多かった。鮭
は一般に親しまれている人気の魚である点も興味を引いた理由と思われる。
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・
・
うどん入り茶碗蒸し: 「やさしい味わい」、「ライトなのにしっかりおいしい味がする」と、
年齢層の高い訪問客、女性に人気だった。
おでん: 色味が地味だったためか、人気は薄かった。試食した人は、脂質の少ないラ
イトな食感と、しょうがと組み合わせた豚肉の味に興味を示した。
特別デモの蕎麦打ちは、職人の精緻な動作と特殊な舞台装置(蕎麦打ち台、棒、大型鉢)
が大いに興味を引き、大盛況となった。
日本酒のジュレとブラマンジェ、シャーベットのデモは、酒ブースの出展者である「みどりの
しま」の方が実演した。酒ブースの運営だけでも大変であったところ、本デモンストレーション
で日本パビリオンを盛り上げたことは高く評価される。
5.その他
・ 国産米は、全農から無償提供された米を使用。
・ 今年は国際じゃがいも年であったため、フランスのじゃがいも関連業者委員会(CNIP
T)にパートナーシップを提案し、日本パビリオンでじゃがいものパンフレットを配布する
ことと交換で、料理デモ用じゃがいもを無償提供していただいた。会期中には、セーヌ・
マリティム県レ島の製塩業者が、自発的に無償商品提供を申し出てきた。もともと SIA
はフランス中の農業従事者が集い、誇りとしている農業の価値向上を目指すイベントで
あるため、このようにフランスの農産品とポジティブにタイアップすることは、訪問客にも
とても受けが良かった。
・ 寿司の有料化は、結果的には、来場者の効果的な選別につながった。一定の認知度
がある寿司のような場合には、単に無料だから食べるという来場者から、作り方に関心
があるなど日本食材の潜在的購入客を選別する上で、有料化は有効な手段と思われ
る。(ただし安価である必要。)
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