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04 強度行動障害とは - 栃木県障害施設・事業協会

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04 強度行動障害とは - 栃木県障害施設・事業協会
テキストp.12-33
1日目
11:30
【講義】
強度行動障害とは
社会福祉法人とちぎ健康福祉協会
桜ふれあいの郷
浅見 武男
この講義の位置づけ
強度行動障害支援者養成研修【基礎研修】全体の
「土台」となるものです。
①「強度行動障害」とはどのような状態に置か
れた人たちのことなのか
②その状態が支援によってある程度は改善する
ということ
③そのためには一貫したチームアプローチによる
支援をする必要があること
などについてこれから学んでいくための言わば
「足がかり」になる講義です。
この講義の内容
1. 強度行動障害とは
 事例映像
 どのような人が強度行動障害になるのか
 なぜ強度行動障害になるのか
 支援はどのように考えて行ったら良いのか
2. 支援上の留意点
 福祉と医療の連携
 緊急時の対応
 さまざまな評価の方法
 情報の収集
強度行動障害とは|事例映像
まずはこちらの映像をご覧ください。
強度行動障害とは|定義Ⅰ
精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的
他害(噛み付き、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱
れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない
頻度と形式で出現し、その養育環境では著しい処遇の困
難な者であり、行動的に定義される群
家庭にあって通常の育て方をし、かなりの養育努力が
あっても著しい処遇困難が持続している状態
(行動障害児者研究会、1989年)
強度行動障害とは|定義Ⅱ
自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険に
つながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩い
たり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらし
に影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別
に配慮された支援が必要になっている状態のこと
(厚生労働省, 2014)
強度行動障害の多様なイメージ
適切な支援がしっかりされていれば…
支援区分の行動関連項目10点以上
(2.5万人程度)
強度行動障害特別処遇
支援事業の対象者
(8千人程度)
難治群?
(千人程度?)
 厳密な定義より、やや穏やかな状態像の人たち。
 障害特性にマッチした適切な支援で生活をしっか
り支えれば、行動改善が見られる。
 その後は、特別で専門的な支援を少しずつフェー
ドアウトしても安定して生活できる。
長期間専門的な支援が出来る体制が必要
 研究スタート当初の基準に合致した人たち。
 障害特性にマッチした適切な支援を相当人材を厚
くして提供することで、2~3年後にはかなり安定
した生活が可能。
 ただし、専門的な支援は半永久的に必要であり、
医療等の密接な連携も欠かせない。
福祉サービスで対応できるのか…
 行動改善が極めて難しい、生物学的要因の大きな
人たち。
 障害特性にマッチした専門的な環境設定や日中活
動、個別の療育的アプローチを相当集中的に行っ
ても数年単位では行動改善が見られない。
 医療に強く依存。
強度行動障害になりやすいのは①
標
準
境界域
非行・虞犯
触法行為等
知
的 軽 度
障
害
の 中 度
程
度
重
急性期の
精神科症状
反社会的行動
興奮・混乱
混迷・拒絶等
強度行動障害
自傷・他傷・破壊
非衛生的・異食
極端な固執行動等
度
最重度
強い
自閉症の特徴
弱い
強度行動障害になりやすいのは②
知的障害
〔知的発達症〕
自閉症
〔自閉症スペクトラム症〕
強度
行動障害
「発達」と「障害特性」の両面から見る必要がある
知的障害とは|IQの目安
知的障害の定義
発達期(おおむね18歳未満)に遅れが生じること
 遅れが明らか(IQ70以下)であること
 遅れにより日常生活への適応に困難があること

35
20
最重度
重度
50
中度
70
軽度
85
境界域
標準
知的障害とは|ICD-10の分類
軽度(Mild mental retardation : IQ 50-69)
…B2/Ⅳ
成人期においてその精神年齢は概ね9歳から12歳相当。学齢時に学業不振が表面化
する場合が多い。社会的な興味は年齢相応である。成人になってから、仕事に就
き、良好な人間関係を保ち、結果的に地域社会の一員として周囲から評価されてい
る事例が多く、そのような能力をもっている。
中度(Moderate mental retardation : IQ35-49)
…B1/Ⅲ
成人期においてその精神年齢は概ね6歳から9歳相当。幼児期から発達の遅れが顕著
であるが、基本的な身辺自立やコミュニケーション能力、そして読み書きについて
は一定レベルの学習は可能である。社会生活や就業生活に必要な支援の程度には個
人差がある。
重度(Severe mental retardation : IQ20-34)
…A2/Ⅱ
成人期においてその精神年齢は概ね3歳から6歳相当。12歳頃までに2語文程度を用
いる。人生のどの時期においても、生活のさまざまな場面で他者からの継続的な支
援が必要である。
最重度(Profound mental retardation : IQ 20以下) …A1/Ⅰ
成人期においてその精神年齢は概ね3歳未満。身辺自立や節制(がまん)、コミュニ
ケーション能力、さらには外出・移動において相当の制限がある。
知的障害とは|社会生活能力の目安
軽度(Mild mental retardation : IQ 50-69)
…B2/Ⅳ
【時間管理】~分後に待ち合わせはOK、通勤時間の質問に多くは回答できる
【金銭計算】日常の買い物や銀行振込、通帳記帳等はOK、ただし金銭管理は支援必要
【ストーリー理解】コミックや簡単な小説から、筋書きや人間関係の理解がある程度可能
【コミュニケーション】少人数のグループで適切な会話が可能
中度(Moderate mental retardation : IQ35-49)
…B1/Ⅲ
【時間管理】~時~分に待ち合わせはOK、~分後に○○の理解は難しい
【金銭計算】日常の買い物は可能。振込や引き落としなどには支援必要
【ストーリー理解】文章の読みは可能だが、理解や記憶は部分的
【コミュニケーション】1対1で個別で確認しながらの話し合いが必要
重度(Severe mental retardation : IQ20-34)
…A2/Ⅱ
【時間管理】時計(デジタル)の読みは可能であっても、日常生活に応用できる時間管理は難しい
【金銭計算】買い物場所(コンビニ等)や品物、金額などは限定されるが買い物は可能
【ストーリー理解】文章の読みと理解は結び付きにくい。単語で表現できる指示が必要
【コミュニケーション】2~4語程度の指示理解は可能。言語のやり取りは1~2往復程度。
最重度(Profound mental retardation : IQ 20以下) …A1/Ⅰ
【時間管理】時計による行動コントロールは困難。タイマー等の利用が可能の場合も
【金銭計算】自動販売機や特定の商品のみの金銭利用が可能な場合も、多くは他者に依存
【ストーリー理解】比較的限定された単語の理解が可能な場合も、発語と意味とは無関係な場合もある
【コミュニケーション】意思の疎通には、本人の生活パターンの理解が必要になる
自閉症とは|三つ組の障害
【三つ組】
社会的相互作用の
質的な障害
人に対する独特な
関わり方
【その他】
 感覚過敏・鈍麻
 多動
 睡眠の問題
想像力の障害
コミュニケーションの
質的な障害
見通しが持ちにくく
急な変更が苦手
言葉や表情等の使い方
や理解の仕方が独特
自閉症とは|社会的相互交渉
社会的相互作用の4つのタイプ

「孤立群」「受容群」「積極・奇異群」
「形式ばった大仰な群」
独特の関わり方

人への無関心



一方的な関わり



名前を呼ばれても反応せずに自分の活動に没頭
道具のように人と接する(例:クレーン)
相手の反応を気にせずに一方的に話しかける
相手の話には興味を示さない
ルールへのこだわり・過度に堅苦しい態度
社会的相互交渉の質的な障害
障害特性
実際の場面で想定される行動
①人を意識しにくい
または過剰に反応する
・無視しているような反応
・一方的に話す、質問する
②相手の立場に立ちにくい
共感性が乏しい
・見知らぬ人に話しかける
・相手の思いや事情を汲み取れない
③表情や感情を読み取るのが苦手
・相手が嫌がることも繰り返す
・相手が怒っても平然としている
④場の雰囲気を読み取るのが苦手
空気が読めない
・静かにすべきところでも騒がしい
⑤人よりも物に愛着を示す
・友だちとの遊びよりもミニカーに
夢中になる
⑥自分と人の物の区別がつかない
・断りなく人の物を持っていく
・人も食べ物を食べてしまう
自閉症とは|コミュニケーション
独特の伝達の仕方
 知っている言葉を会話でうまく使えない



伝える意図のない独語
意味を伴わないフレーズの繰り返し、オウム返し(エコラリア)
言葉以外の手段をうまく使えない


視線が合わない、過剰に目が合う
抑揚のない話し方
独特の理解の仕方
言葉自体の理解ではなくパターンによる理解
 字句どおりの解釈
 冗談や皮肉の理解が難しい

コミュニケーションの質的な障害
障害特性
実際の場面で想定される行動
①話し言葉をコミュニケーションの
道具としてうまく使えない
・言葉を使わず直接行動する
・言葉で伝えてもうまく伝わらない
・気に入ったフレーズの繰り返し
②文字は読めても意味までは伝わり
にくい
・伝えている内容が伝わらず勘違い
しやすい
・字義通りに受け取ってしまう
③オウム返し(エコラリア)
・伝えられたことをそのままオウム
返しする
④身振りやジェスチャーの理解が
難しい
・ジェスチャー等が(暗黙では)
伝わらない
⑤独特のコミュニケーション方法
・人を叩いてジュースを要求する等
自閉症とは|想像力・反復的な行動
目の前にないことの理解が困難
 物事の先の展開(これからどうなるのか)
 その展開に至った背景(どうしてそうなったのか)
 急な予定の変更を苦手とする
 過去の経験や知識を生かすことを苦手とする
興味や関心の偏り・反復的な行動
 ごっこ遊びよりも感覚遊び(幼児期)
 パターン化したこと以外の見通しを持ちにくい
 特定の物やパターンへの執着
 いつも同じ状態であることへの強いこだわり
想像力の障害
障害特性
実際の場面で想定される行動
①興味関心が乏しい・狭い・偏る
限局した興味関心に没頭する
・レジャー施設に行っても無関心
・店の商品を並べ替える
②物事や行動の意味理解が難しい
ルールや手続きどおりに行動する
・家のトイレには決まった時間に
行くが、外ではトイレに行けない
・毎日、同じ服を着ようとする
③経験していないことは難しい
・初めての場所では不安が強く、
行動停止する
・指示があるまで待っている
・経験したやり方だけにこだわる
④目に見えないことを想像できない
・時間や予定がイメージできずに
待てない
⑤見通しが持ちにくい
・予定が変更されるとパニックに
その他の特性
障害特性
実際の場面で想定される行動
①感覚の過敏さ、鈍感さ
・偏食が目立つ
・ケガをしても平然としている
②五感への反応が独特で一貫性が
ない
・子どもの声には過敏だがTVは
大音量で見る
③感覚の選択性の問題
情報の取捨選択ができない
・電車のアナウンスや周囲の音、親
の声が一度に入ってきて、ひとつ
に注目できない
④シングルフォーカス
一部に意識が向きがちで全体に
注意が向かない
・車が好きかと思ったらタイヤを
見るのが好きだった
⑤能力の発達がアンバランス
・名前は書けないが計算は得意
・計算は得意だが支払いはできない
知的障害と自閉症
まとめ
情報を受け取ること・表現することが難しい
 感じ方や考え方が独特で共有しにくい

⇒「わかろうとする努力」と「伝える工夫」が必要
知的障害と自閉症の併存
知的障害が重度であればあるほど、自閉症の併存率
は高くなる
 IQ30以下では併存率は7割以上(杉山, 2008)

⇒診断がついていなくても自閉症の人はいる
知的障害と自閉症|ヒントシート
想定される
リフレ-ミング(強みの表現に変換)してみると
障害特性
社
会
性
①
ことばを聞いて理解することが苦手
②
表情や身振りを、誤って理解してしまう
③
人や場面によって態度を変えられない
④
他の人の興味あることに関心が薄い
⑤
全体をとらえて関係性をつかむことが苦手
⑥
別のやり方を探したり臨機応変な対応が苦手
⑦
集団で一斉に行動することが苦手
⑧
「いつ終わる」かを理解するのが苦手
⑨
抽象的、あいまいなことの理解が苦手
⑩
経験していないことを想像することが苦手
⑪
特定の物事に強く固執
⑫
記憶することが苦手
⑬
発達(認知能力)がアンバランス
⑭
特定の行動を何度もくりかえしてしまう
⑮
期待されていることに注意が向かない
・落ち着きがなく、その場にとどまっていられない
・結果をかえりみず突然反応してしまう
⑯
特定の感覚が過敏、または鈍い
意
思
疎
通
●
●
● ●
●
●
●
●
●
●
●
●
遅発
れ 達
と の
偏
り
そ
の
他
●
●
●
● ●
●
●
● ●
●
●
●
●
▷
目で見た情報は理解しやすい
▷
明瞭に(はっきりと)区別された指示を好む
▷
ルールをきっちりと守ろうとする。物怖じしない
▷
状況に左右されず、自分の好きなことに取り組むことができる
▷
細部に、強く意識を向けることができる
▷
状況に左右されず、ねばり強く取り組むことができる
▷
マイペースに課題を完了することができる
▷
決められたことを、やり続けようとする
▷
具体的で、はっきりとしたことを好む
▷
経験したことは、しっかりと覚える
▷
興味があること(趣味・仕事)に、積極的に取り組める
▷
繰り返し体験することで記憶する
▷
興味・関心、好きなことは抜群にできる ▷
決まったパターンを几帳面に行うことができる
▷
興味・関心があるものに、強く注意・集中を向けることがでことができる
▷
些細な違いや変化に気がつくことができる、または非常に我慢強い
なぜ強度行動障害になるのか?
環境
(物理的な環境、支援者、その他の人、状況等)
情報・刺激が
■偏ったり
■分かりにくい
■独特な形で
入ってくる
「分からない」
の積み重ね
人や場に対する
嫌悪感・不信感
伝えたいことを
■言葉ではない
■独特の表現や
行動を通して
伝えようとする
「伝わらない」
の積み重ね
障害特性 × 環境要因 ⇒ 強度行動障害
➡ 行動障害は「本人が困っているサイン」
強度行動障害の推移
(人)
25
20
15
10
5
0
0-2歳
3-6歳
小学校
前期
小学校
後期
中学校 高等学校 卒業後
Fig. 行動障害が最も大変だったと思う時期
強
度
行
動
障
害
判
定
基
準
の
全
体
得
点
平
均
30
25
20
15
10
5
0
高 15 16
卒業後
1 2 就学前
3 4 5 6 7 8小9 10 11中12 13 14
17 18
Fig. 強度行動障害得点の時期別の平均
 最初から強度行動障害なのではない ➡あくまでも状態像
 中学校、高校、高校卒業直後に問題が大きくなるケース
が多い
 学校卒業後に比較的落ち着くケースもある
社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会(2012)「強度行動障害の評価基準等に関する調査について報告書」より引用
強度行動障害対策の歴史的経緯
1958年~
1943年
1961年~
自閉症
重度知的障害児施設
重症心身障害児対策
(初めての症例報告)
(国立秩父学園)
(島田療育園)
1970年代
動く重症児対策
1988年~
強度行動障害対策
2005年~
行動援護事業の開始
医療機関を中心とした
「重度」の障害児への対応
入所施設を中心に本格的な
対策が取られる時代に
入所施設で支える仕組みから
地域生活を支える仕組みへ
強度行動障害
研究事業
強度行動障害に有効だった支援
(n=32)
構造化
コミュニケーション
薬物療法
キーパーソン
静音環境
生活リズム
成功体験
時間をかける
許容導入
障害理解
対処方法獲得
折り合い
安定集団
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(飯田, 2004)
共通する支援の枠組み
 構造化された環境の中で
 医療と連携しながら
 リラックスできる強い刺激を避けた環境で
 一貫した対応をできるチームを作り
 自尊心を持ちひとりでできる活動を増やし
 地域で継続的に生活できる体制づくりを進める
大切なキーワード「構造化」
 本人の強みを活かし、情報を整理して、その人が理解でき
る環境を作る
 試行錯誤を重ねて変化に合わせてアップデートする
さまざまな環境の構造化
物
理
的
な
環
境
■苦手な刺激を取り除く
※直接的な対処:イヤーマフ、遮光カーテン、パーテーション
※根本的な対応:日課の変更、場所の変更
■場所と活動を1対1対応にする
■トランジッションエリア(中継地点)を設定する
時
間
的
な
環
境
■やることや予定を写真等で提示する
※作業手順や中・長期のスケジュール(1日、1週間、1ヶ月)
※予定の変更を写真で知らせる/予め練習して慣れる
■待ち時間を視覚化する(トークン・エコノミー、タイマー等)
■ひとりでできる活動の用意(自立課題・ワークシステム)
人
的
な
環
境
■本人に理解できる写真等の視覚刺激、短い言葉で伝える
■本人の要求や拒否の仕方を理解して読み取る
■話ことばに頼らないコミュニケーション手段(PECS等)
■本人の取り組みや努力に対する強化(報酬)を明確にする
■人によって対応が変わらないよう一貫した対応をする
福祉と医療の連携|事例より
Bさんは中度の知的障害と自閉症のある18歳の男性です。
特別支援学校高等部卒業後に利用し始めた通所先が合わず、
1ヶ月程度で通うのをやめてしまいました。やがて家ではお
母さんに対して殴る・物を投げる等の暴力が目立つように
なり、とうとうお母さんの骨折を機に精神科病院に緊急入
院することになりました。
病院にて急性期の症状への治療を進める一方、相談支援事
業所が中心となり、行動援護や短期入所等の家族のレスパ
イトを継続的に利用できるように調整を進めています。ま
た、通所先の確保や家庭での対応についても話し合いを進
めているところです。
福祉と医療の連携|それぞれの役割


強度行動障害の人にとって薬物療法は必須
福祉+医療を機能させるために情報交換を
福祉ができること
医療ができること
 生活全般の組み立て
 通院による薬物療法
• 精神科薬
• 睡眠、てんかん等
 環境の整備
• 居住の場の提供
• 移動の支援
• 日中活動の提供
• 家族のレスパイト
 家族や関係機関との
連携
 入院治療
• 急性期症状の治療
• 家族や本人の保護
• 破綻した生活のリ
セット
緊急時の対応|基本的な指針
大きな問題が目の前で起きたら
 「何とかしなくては!」という焦りが危険
 周囲あるいは本人の「安全確保」に頭を切り替
える
 防災訓練と同じく単純な手順をマニュアル化し
ておく
家庭からヘルプコールが来たら
 日頃から家族と緊急時の対応について取り決め
をしておく
 警察や精神科救急とも連携をして駆けつけても
らえる体制を
緊急時の対応|一般的な手順
もし可能ならば、その行動に必要以上に注目をしない
ようにする。
※本人または周囲に危険がなく、注目することで悪化する場合
1. 危険にさらされている人をその場から遠ざけて安
全を確保する。
2. 本人や周囲の人の身体に危険が及ばないように防
御する。
3. 別の行動をとるように指示(手がかり)を出す。
4. その行動が収まるまで見守る。
評価の方法|強度行動障害の判定
強度行動障害判定基準〔1993~2004〕テキストp.30
 強度行動障害児(者)研究会(1988-89)作成
 「ひどい自傷」や「ひどい他傷」等の11項目
 10点以上が強度行動障害、20点以上が強度行動障
害特別処遇事業となった
行動援護の支給決定基準〔2014~〕テキストp.31
 障害支援区分の行動関連項目より
 11項目+てんかんに関する1項目
 10点以上が対象となる要件のひとつ
評価の方法|その他のアセスメント
自閉症スペクトラム障害
広汎性発達障害日本自閉症
協会評定尺度(PARS-TR)
適応行動/不適応行動
日本版Vineland
適応行動尺度Ⅱ
異常行動チェックリスト
日本語版(ABC-J)
行動の原因
知的な能力/発達の状況
ウェクスラー式成人
知能検査(WAIS-Ⅲ)
ウェクスラー式児童用
知能検査(WISC-Ⅳ)
田中ビネー知能検査Ⅴ
自閉症・発達障害児
教育診断検査(PEP-3)
機能的アセスメント/
ABC分析/機能分析(FBA)
※これらは「フォーマル」な評価と呼ばれ、他にもさまざまな評価方法があります
例:小児自閉症評定尺度(CARS)、青年期・成人期心理教育診断評価法(AAPEP)など
※日常の行動観察や背景情報などをもとにした「インフォーマル」な評価も非常に重要です
情報の収集|組織として取組む支援
相手を理解するために必要な場合もある情報



医療情報(既往歴や、これまでの経過、等)
家族の情報(家族の状況・構成、生育歴、住居の構造、等)
支援や教育の情報(これまでの取組みや結果、等)
情報の入手手続き【厳守】




サービス管理(提供)責任者に聞く
サービス管理(提供)責任者が情報を収集する
支援者・ヘルパー個人の独断で情報を収集するのではなく、組
織として情報を得る
普段からの意見交換が大切
まとめ|強度行動障害とは
❍ 重度・最重度の知的障害を伴う自閉症児者が中心
 コミュニケーションが苦手な人たち
 自閉症に特有の「障害特性」にも留意が必要
 反社会的な行動のある人、精神科的な症状が顕著な人は
別の枠組みで考える
❍ 強度行動障害は環境との相互作用で引き起こされる
 行動障害になるにはそれなりの理由がある
 行動障害は本人の特性と環境とが合っていないサイン
❍ 強度行動障害への支援にはスタンダードがある






キーワードは「構造化された環境」
医療とも連携しながら
リラックスできる強い刺激を避けた環境で
一貫した粘り強い取り組みができるチームを作りを
自尊心を持ちひとりでできる活動を増やし
地域で継続的に生活できる体制づくりを進める
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