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チーム力を高める - 日本大学文理学部

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チーム力を高める - 日本大学文理学部
チーム力を高める
日本大学文理学部体育学科
0901215 竹岡
信泉
スポーツ心理学演習
0901219 中澤
光
0901546 平井
宏明
はじめに
『チームスポーツにおいてチーム力を高め試合に勝つにはどうすればよいか。』というこ
とを目的として、個人の能力とチームワークのメリット、デメリットに重点を置いて現在
スポーツをやっている人たちから実際にアンケートを取ってみた。また、競技スポーツに
は欠くことのできない監督(指導者)、リーダーがチームに与える影響についても文献やイ
ンターネットで調べることにした
1、個性
「個々の能力がチームに与える影響力(メリット・デメリット)」
(体育学科 3 年生 12 人に対するアンケート調査より)
メリット
・ 能力の有能な選手に刺激を受けて、チームが活性化する。
・ エースの存在がチームに安定感をもたらす。
・ その一人の力を補うために他のプレーヤーが協力し合って、その力の劣る人が良
いプレーをした時により一層盛り上がって次にもつなげる。
・ スタンドプレーというか個人のイマジネーション(想像力)一つで流れを一気に
打開できる。
・ みな能力が高ければチームプレーより個人プレーに走って失敗しても誰かがそ
れを補えることができる。
・ 能力が高い者が集まることによって今までになかった新たな戦術やプレーの幅
が広がる。(人間関係や連携の問題が生じる)
・ 良い選手がチームにいるとチーム作りしやすい。
・ 個々の能力特徴が違えばプレーに創造性が出来てくる。
・ いい意味でわがままな選手がいれば相手にも脅威にある。(この場合まとめられ
る選手が必要)
・ 協調性、団結心を個人が持ち合わせてるチームであれば相乗効果で一人一人の能
力を合わせた以上の力を発揮できる。
・ 相乗効果によりお互いの意識、技術が高められる。
・ 負けてる時に引っ張ってく選手がいてみんながそれについて行けば盛り上がり
逆転にもつながる。
デメリット
・ あまりにも前に出すぎるとチームワークが乱れる。(試合の流れを読まないプレ
ー)
・ エースに頼りっきりだと怪我でいなくなってときにチームはぐだぐだになる。
・ 自分勝手な選手がチームの方針に背くようなプレイをするとチームがまとまら
ない。
・ チーム内で能力に差がありすぎるとワンマンチームや個人プレーが多くなりチ
ームワークを乱しチームとしての団結力が欠ける傾向がある。
・ 試合に負けた原因が能力の低い人に責任を押し付けてしまう恐れがある。
・ 能力の低い人に出番が回ってきた時に諦めてしまう。
・ 流れを打開出来ない状況や切り札を入れてもどうにもならなかった場合にリス
クがかかり余計にチームに悪影響を及ぼすことがある。
・ 人間関係が悪かったりしたら各能力が発揮されずに空回りする可能性がある。
・ 能力が高くても非協力的なチーム、独裁者がいるとチームの能力がさがる。
・ 実力者が下級生であった場合レギュラーの座を奪われた上級生が挫折を感じ競
技を断念することがある。
・ 個々の自由を作りすぎるとチームとしてまとまらない・
・ 負けてる時に諦めてしまう選手がいるとそれにつられ周りの人も元気がなくな
っていく。
アンケートの結果から個性にはやはり性格の面でも能力の面でもメリットデメリットはあ
る。メリットにおいてはチームを引っ張れる存在能力の高い者、エース的存在がチームの
活性化や安定感につながると考えている人が多いと思われる。個々が能力を高めることに
よりチーム全体が刺激され競争心も沸いてくるといった相乗効果も期待できる。しかし、
そのチームの核にあたる人が前に出すぎたり能力の低いものにあたるなどワンマンプレー
に走ってしまうと逆にチームとしてマイナスに作用してしまうことが多くあげられた。
個々が自由にプレーをしてしまうことが、機能しなくなってしまうのではと恐れている人
も多く見られた。
2、チームワーク
① チームワークの意味
チームワークとは、協力とか共同作業という意味を持つ。スポーツ集団では、集団のメン
バーがそれぞれの役割に応じてその責任を果たすことによって目標の達成に貢献し、互い
に信頼しあって集団としてよくまとまって行動することを言う。つまり人間関係を意味し
て用いられている。
② 技能との関係
スポーツにおいて無視出来ないのが技能である。試合においてチームワークはチームの目
標達成のために、成員相互がどのように関係するかということである。すなわちチームワ
ークが良いということはまとまりがあり目標達成に近づくことが用意である。逆にチーム
ワークが悪いというのは成員の気持ちがばらばらであることをさすことが多い。集団スポ
ーツでは個人の能力とチームのパフォーマンスが必ずしも一致しない。個人能力の他に、
成員が協力して集団の能力を発揮することが大切となる。ただ自分のチームの成員を励ま
すだけでは、チームワークとはいえないし試合に勝つことはできない。フォーメーション
を例にとってみる。フォーメーションは連携的なプレーであるから、共同作業ということ
ができる。成員の技能がそろって高ければフォーメーションは多くなる。一人の優れたプ
レーヤーだけではフォーメーションを多く作ることはできない。全体的に技能水準が低け
ればフォーメーションは基本的なものだけになる。このように技能の面から見るならば、
チームワークは自己の持つ技能水準、自己のチームの成員の持つ技能水準、相手チームの
技能水準が関係し、成員がそろってある技能水準を持っていることがチームワークを発揮
しやすいチームであると言える。
③ チームワークの効果
チームワークの良い集団に所属している競技者ほど、競技場面で実力を発揮しやすい。こ
のことは、特に球技などの集団的な種目で顕著である。それは精神的なものが関係してい
ると考えられる。試合の場面は緊張場面であるから、実際にプレーをする時の精神面での
状態は練習時とはまったく異なる。このようなとき、そのプレーヤーが心理的に安定する
ような精神面での協同ということがチームワークにつながってくる。
④ まとめ
試合が非常に緊迫した状態において精神的な面での協同が技能面の協同に影響するものが
大きいといえるだろう。もしまったく同じ技能を持ったチーム同士が試合をするのであれ
ば、その勝敗はチームワークによるものだと思う。チームワークは試合に勝つために欠か
せない要素の 1 つである。
3、チーム力向上のための指導者の役割
∼コミュニケーション・スキル∼
1.コミュニケーション・スキル
チーム力向上の鍵を握る一つの要素として、良い指導者が求められると考えられる。強
いチーム作りに指導者が担う役割はどのような事なのだろうか。
日本初のビジネスコーチ育成のための事業を展開している鈴木義幸氏は、
「コーチングは、
相手の自発的行動を促進させるためのコミュニケーション技術である」と述べている。
この鈴木氏の定義は、スポーツのコーチングにも当てはまる。情報を共有しあい円滑な
人間関係をつくりあげていくという意味から、コーチングをスキルと定義づけていること
にも肯首できる。
「コミュニケーション(communication):伝達、意思疎通」という言葉は、もともとは
「他の人と分かち合う」
、あるいは「共有する」という意味のラテン語「コンムーニカーテ
イオー(communicatio)」が語源であると言われている。したがって、この語源から、コミュ
ニケーションとは互いの意見や考えを交換し合い、分かち合うことであり、そのための技
能が「コミュニケーション・スキル」である。
コーチがプレーヤーに対して自分自身の考え方や論理を一方的に主張するような一方通
行的行為は本質的には良い指導者とはいえない。コーチにプレーヤーの意見や考え方を尊
重し共有しようとする姿勢、すなわちコミュニケーションを大切にしようとする姿勢がな
ければ、コーチングは成立しない。
ラグビー日本代表前監督の平尾誠二氏は“知識創造型の集団”を目指し、「“決定・命令
型”の指導から“提案・誘導・納得型”の指導に変えなければならない」といっていた。
<コミュニケーションの基本>
・ “言わなければならない”“わからないことはすぐに尋ねる”
・ 自分の立場、疑問点などを正確に主張できる技術を獲得する必要がある。
<コミュニケーションを促進するために>
・ 自己主張する技術だけでなく、他者を理解するための技術も持ち合わせていなければ
ならない。
・ 会話の内容や言葉に輝きを与えられるような技術を獲得する必要がある。
このように指導者のレベルを高めるということは、一方的な教授方法を高めることが中
心ではなく、双方向の意思疎通のレベル、すなわちコミュニケーション・スキルのレベ
ルを高めることである。そしてこの要素が、チーム力向上への一つの鍵であるといえる。
「知的コーチングのすすめ」
勝田
隆著
2002 年
より引用
2.コミュニケーション・スキルを高めるために。
コミュニケーション・スキルは、コーチとプレーヤーの信頼関係を構築するのに重要
である。またコーチは、プレーヤーのやる気を促進させるためにも、コミュニケーショ
ン・スキルを身につけなくてはならない。コミュニケーション・スキルのポイントを「観
察する」「耳を傾ける」「尋ねる」「受け入れる」「提案する」の5つの分野に分けて、そ
れぞれの分野で、コーチングの鍵となる要素について調べてみた。
1)観察するための鍵
すべての出発点は観察から始まる。目の前の現象を具体的かつ的確に分析し把握する
能力は、コーチングの生命線とも言える。
2)耳を傾ける時の鍵
プレーヤーに何かを与えているという発想ではなく、与えられているという姿勢が重
要である。プレーヤーから課題を得なければ、コーチングは成立しない。
3)尋ねる時の鍵
プレーヤーの要求やプレーヤーを導く方向を明確にしていくには、適切な質問をタイ
ミングよく投げかけることが必要となる。質問することが相手に対する興味や理解を
示すメッセージにもなる。
4)受け入れるための鍵
プレーヤーとコーチの信頼関係は、互いに認め合うことで成立する。プレーヤーをど
のように受け入れているのか、どう評価しているのか、コーチが自分自身の胸のうち
を確かめてみる必要がある。ネガティブな意識はどんなに繕っても、必ずプレーヤー
に伝わる。コーチとしての度量を問われるファクターである。
5)提案する時の鍵
自ら積極的に取り組むような姿勢を啓発するためには、やらされているという意識を
植え付けない。そのためには、命令型ではなく、提案型のコーチングを心がけるべき
である。言葉の提案だけではなく、やって見せるという提案のスキルも重要である。
「知的コーチングのすすめ」
勝田
隆著
2002 年
より引用
このように、コーチもチームの一員としてプレーヤーとの信頼関係を築くことがチーム
としての第一歩である。プレーヤーと共に戦っていく上でも、命令型の指導ではなくプレ
ーヤーと共に考え、レベルアップしていく必要がある。そのような指導によって逆にプレ
ーヤーから考えさせられる点もたくさん出てくると思う。チーム力向上のために指導者が
担う役割は大変重要であるといえる。
結論
以上のことから、試合に勝つには何が重要とかではなくそのチームにあった方針、プレ
ースタイル、目標を立てて活動することが求められることがわかった。その上でリーダー
や指導者もチームに密接に関わっていき、チーム内でのコミュニケーションで信頼関係を
作り、協調性を高めその中でも個々の個性を生かせることが強いチームと言えるのではな
いだろうか。
参考および引用文献
・スポーツ心理学概論
松田岩男著
・新しい体育・スポーツ理論
・知的コーチングのすすめ
不昧堂出版
宇土正彦著
勝田隆著
1979年
大修館書店
大修館書店
1994年
2002年
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