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昨年はハイチでの大地震に始まり、チリや中国でも大
きな地震災害がありました。今年に入り2月にニュージー
ランドで悲惨な地震の犠牲が出たのもつかの間、年度末
の3月にはわが国東北地方を中心にプレート型の史上最大
規模とされるような大地震が発生し、大津波を伴って太
平成22年度
国建協業務を
振り返って
理事長
山川朝生
平洋沿岸部で壊滅的な打撃を与えました。これまで海外
での災害に援助活動をしてきた日本が今度は世界各国か
ら支援を受けています。地震に限らず頻発する大規模自
然災害に対して、地球レベル・国レベル・地域レベルの
リスク対応力を高めることが喫緊の課題となっています。
世界経済に不透明感が漂う中、先進国・新興国・開発途
上国がそれぞれの問題を抱え、利害対立が生じる場面も
ありますが、共通の課題に対して協力関係を強めること
が益々重要になっていると思います。
平成22年度の国建協の自主業務として、JICAとの意見
交換会、プロジェクトの発掘・形成支援、会員の人材育
成を目的としたIDIセミナーを実施しました。また、台風
委員会等これまで関係してきた国際会議を中心として、
積極的に参加・発表を行っています。
国土交通省も、諸外国からの要請に応えるとともにわ
が国建設産業の発展に資するため様々な政策を実施して
おり、それらの政策をサポートする発注業務のうち、国
建協の趣旨に沿い、特性を活かせる業務に応札し、受注
した業務を適切に実施しました。
その中には、「第4回都市開発に関する日印交流会議」
(インド開催)や「第4回ベトナム高速道路セミナー」(日
本開催)など、国際交流にかかわる会議の運営業務も含
まれています。
また、海外の建設分野に係る制度、基準等に関連する
調査として、JICA発注の「フランス国における道路・橋
梁分野の技術基準状況調査」(JV参加)の実施や、政府
が主導する官民連携によるインフラ案件発掘、形成のた
めの「海外道路PPP協議会」及び国別ワーキンググルー
プの開催支援、また「民活インフラ案件形成等調査」(新
日本有限責任監査法人発注)を実施しました。
公益法人等の見直しや新しい公益法人制度への移行な
どの改革が進められている中、国建協としてもこれまで
蓄積した内外諸機関とのネットワークや信頼関係を維持
しつつ、新しい時代へ向けての使命が果たせるよう組織
運営体制の一層の効率化を図っていく所存です。今後と
も皆様の一層のご支援を心よりお願い申し上げます。
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1
[プロジェクト支援調査]
当協会の公益事業の一環として実施している。会員企業に調査経費の一部を補助金として支給し、会員が主体的に現
地調査を実施している。
平成22年度は以下の6件の調査に対して現地調査団を派遣し、報告書をとりまとめた。
プロジェクト支援調査
カザフスタン国東カザフスタン州セミパラティンスク市イルティッシュ河橋梁(吊橋)
に関する健全性調査と維持管理のフォローアップ調査
カンボジア国プレアヴィヒア州エコビレッジ開発計画及びコミュニティインフラ整備計画
ベトナム国南北高速道路整備事業に伴う「道の駅」パイロット調査
インドネシア国重点海岸における気候変動適応策としての海岸保全整備
カンボジア国災害に活かせる安価で施工の速い舗装技術の適用可能性検討調査
スリランカ国橋梁維持管理能力向上プロジェクト
4
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
5
プロジェクト支援調査
カザフスタン国東カザフスタン州セミパラティンスク市イルティッシュ河橋梁
(吊橋)に関する健全性調査と維持管理のフォローアップ調査
調査の目的
現地調査結果と今後の方針
カザフスタン国の北東部、東カザフスタン州セミパ
ラティンスク市に位置するイルティッシュ河橋梁(吊
橋)(全長1,086m、中央支間長750m)は、日本の円借
款により2001年に完成した長大吊橋であり、主要幹線
道路の安全且つ円滑な交通を確保し、地域経済の活性
化に寄与している。
架橋地点は年間の温度差が極めて大きく(-50℃∼+
50℃)、世界でも類を見ない厳しい自然環境にある。
このような環境下においては、設計時点では想定でき
ない損傷や腐食が早期に発生している可能性が否定で
きない。
本調査の目的は、現地を訪問し、吊橋の概観検査及
び、関係各署からのヒアリングを実施して、下記につ
いての確認及び必要な対策を提案することにある。
① ケーブルシステム、塔、桁及びアンカレッジの構
造的健全性の確認調査
② メインケーブルの発錆状況の確認とその対応策の
提案
③ 維持管理状況の調査
プロジェクトサイト位置図
イルティッシュ河橋のたもとに管理会社があり、そ
ばには料金所の跡があった。開通当初は有料道路だっ
たが、すぐに無料化されたそうである。
気候状況としては、夏は+40∼+50℃、冬は-30~-50℃
になるとのこと。制限速度は、夏:60km/h、冬:
40km/hとしている。また、風向は西からの風が一般的
に多いがそれほど強くはないとのことで、風による通
行規制はまだかけたことはないとのことであった。
今回の調査結果に基づき、優先度の高い順に今後の
方針を提案する。
(1)メインケーブルは、内部に滞水している可能性が
非常に高いことが確認された。従って早急にケー
ブルの開放調査を行い、内部の状況を把握するべ
きだと考える。
ケーブル内部の水分を取り除く対策としては、
現時点ではケーブル内送気乾燥システムが最良と
考えられているので、開放詳細調査を行うと共に、
ケーブル送気乾燥システムの導入を行うのが、工
事工程上も合理的であると考えられる。国際吊橋
管理者会議においても、既設吊橋のメインケーブ
ルに対する詳細調査が推奨された。日本を含めて
世界的に、主要な吊橋に対して既に送気乾燥シス
テムが導入されている。
(2)アンカレッジ内部の湿気がひどく、アンカレッジ
内部の除湿(シート囲い+除湿機)が最優先の対
策だと考えられる。その後、アンカレッジの漏水
対策を行うことが推奨される。
(3)メインケーブルの送気乾燥システムの導入と、ア
ンカレッジ内部の除湿対策は、構造物の重要性か
らも優先度は同等で、早ければ早いほど良いと思
われる。
(4)ケーブルバンド軸力の管理がなされていないため、
早急に調査を行い、所定の軸力が得られているか、
確認を行う必要があると考えられる。
(5)外面の塗装などは、架橋場所が内陸で乾燥してい
るため環境が良いせいか(本四等の海上橋より
は)、完成後10年経過後としては良好な状態と判
断される。また、チョーキングもほとんど確認さ
れなかった。
(6)優先順位としては、ケーブル、アンカレッジの対
策を先行して行うべきであり、その後、桁・主塔
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の塗替え塗装、ハンガーロープの塗替え塗装を行
うのが良いと考える。
(7)管理会社が設立されているとはいえ、吊橋固有の
維持管理が行われてはいない。また、そういった
維持管理・補修についての経験・知識が非常に不
足しており、現地の方々もその認識を持っている。
本橋は日本の企業が建設した橋梁であり、メンテ
ナンスについても最先端の技術を有している日本
が、維持管理についての技術援助を行う必要があ
ると考える。
※上記のプロジェクト支援調査は、当協会の賛助会員
企業である(株)IHIインフラシステムからの提案
を受けて、同社と国建協が調査経費を分担して実施
し、その成果を取り纏めたものである。
調査対象橋梁一般図
6
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
プロジェクト支援調査
カンボジア国プレアヴィヒア州エコビレッジ
開発計画及びコミュニティインフラ整備計画
背景と目的
カンボジアには、2つの世界文化遺産が指定されて
いる。一つはアンコールワットをはじめとするアンコ
ールであり、もうひとつは2008年に世界文化遺産に登
録されたカンボジア北部のプレアヴィヒア寺院であ
る。プレアヴィヒア寺院周辺の「Samdech Hun Sen,
Eco-village」開発エリア(約440km2)は、森林地帯な
どを有する自然環境豊かな区域で、今後、カンボジア
北部地域が持続的に発展できるよう、無秩序な開発を
防止しつつ戦略的な地域開発を行う区域に定められて
いる。また、カンボジア政府は、プレアヴィヒア寺院
の保護に係わるとともに、プレアヴィヒア寺院の保護
を通じた地域の生活環境の改善と経済活動の活性化、
周辺地域への波及効果を図るため、プレアヴィヒア寺
院の約20km南にエコビレッジ(約65km2)を整備する
こととしている。エコビレッジでは、今後、道路等の
基盤整備をはじめ、安全で衛生的な生活環境を確保し、
また、自然エネルギーの有効活用や資源リサイクルに
配慮した飲料水、電気・エネルギー等のインフラ整備
を行い、豊かな自然とともに暮らすエコロジカルなま
ちづくりを行うことによって、地域住民の持続的な経
済活動を支援する農業、工芸、観光等の地場産業や地
域経済振興を図ることとしている。 本調査は、日本の
技術を活用した自然エネルギーの有効活用、地球温暖
化の防止、持続的な経済活動の支援などの条件に配慮
したプロジェクトの形成を図ることを目的とした。
調査の結果
わが国は、カンボジアに対し資金協力による社会経
済インフラの復旧・整備を行うと共に、人材育成と制
度構築のための技術協力を中心に、あらゆる分野にお
いて協力を行ってきた。カンボジアにとってわが国は
最大の援助供与国であり、また、各国も様々な援助を
行ってきている。このようにこれまで多くの国がカン
ボジアを支援してきたが、カンボジアの貧困率は2008
年で約34%と高い水準であり、今後もわが国をはじめ
各国からの支援が必要となっている。 現在、エコビレ
ッジでは、幹線道路や学校、保健センター、貯水池、
博物館等の整備が進められている。また、プレアヴィ
ヒア寺院への広域的な幹線道路の整備が進められてい
ることから自動車によるアクセスが容易になりつつあ
る。今後、エコビレッジの計画的な整備は、教育施設、
保健医療施設、水供給施設、自然エネルギー供給施設
等のコミュニティインフラの整備による生活環境の改
善効果、プレアヴィヒア州の主産業である農業振興、
世界遺産を観光資源とする観光産業や工芸産業といっ
た地場産業の育成による産業振興効果に加え、観光客
との国際交流による活性化効果も期待され、これらの
相乗効果はカンボジアの新しい生活拠点の形成を促
し、貧困軽減に大きく寄与すると考えられる。しかし、
これらの施設整備に必要な資金について、カンボジア
政府による調達の目途がたっておらず技術者等も不足
している状況である。また、水供給、水処理や、太陽
光発電等自然エネルギー供給施設の整備には、わが国
が保有する先進技術が求められ、カンボジア政府によ
る日本の資金、先進技術力に対する期待は大きい。そ
こで、わが国による資金面、技術面、運営面を含めた
支援が必要である。なお、エコビレッジを効果的・効
率的に進めるためには、エコビレッジにおいて優先順
位の高い施設の選定が必要であることから、今後、マ
スタープランの検証、整備対象施設の段階的整備計画
と年毎事業費の算定による実行計画を策定すること
が、援助のために必要である。
今後の方針
カンボジア国 エコビレッジ位置図
エコビレッジの整備は、プレアヴィヒア州をはじめ
とするカンボジアの貧困軽減に大きく寄与するとこ
から、わが国として援助を行っていくことが必要で
ある。また、今後、カンボジア国内の他地域の発展
を行う際の地方開発方策のモデルとして技術移転さ
れることが考えられ、エコビレッジは、プレアヴィ
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ヒア州における生活環境の確保の先導的な役割を果
たすことが期待される。しかし、現在、プレアヴィ
ヒア寺院周辺で世界遺産の登録を契機にタイとの国
境問題が再燃し、2008年10月以降数回にわたり同寺
院周辺のタイ・カンボジア国境にて両国軍が交戦す
る事態に発展しており、未だ根本的解決をみていな
い。そこで、わが国による開発援助を実施する時期
Location Map of the Eco-Village Project Area
については、両国の国境問題が沈静化するのを待っ
て実施することが望ましい。
※上記のプロジェクト支援調査は、当協会の正会員企
業である(株)エイト日本技術開発からの提案を受
けて、同社と国建協が調査経費を分担して実施し、
その成果を取り纏めたものである。
対カンボジアODA額(1992-2007)
エコビレッジプロジェクトの主要施策
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国際協力プロジェクトの形成・推進支援
プロジェクト支援調査
ベトナム国南北高速道路整備事業に伴う
「道の駅」パイロット調査
背景と目的
ベトナム国において2008年12月に承認された高速道
路マスタープランでは、ハノイとホーチミンを結ぶ南
北高速道路の総延長は東側と西側をあわせると
3,262kmとなっている。(東側1,941km、西側1,321km)
ベトナム・インフラマップ2010によると、南北高速道
路(東側)のうち、ホーチミン、ハノイ、ダナン周辺
において、事業化が進められており、建設中や事業化
中の区間が存在する。また、それらに隣接した、ニン
ビン∼ビン間、カントー∼カマウ間が調査段階とされ
ている。一方、一体の高速道路として整備、管理する
ための組織や法制度は整備されていない。なお、南北
高速道路は、国家予算やBOT、PPP等の民間資金、国
際援助による整備が想定されている。高速道路の整備
は進められているものの、VRA及びMOTに対する聞き
取り調査では、高速道路の全体計画に対する休憩施設
の設置計画や設置基準は考えられておらず、事業化さ
れた区間について、設計段階において休憩施設の設置
が計画されており、50kmを目安に設置を考えていると
のことであった。南北高速道路は、今後、民間を含む
様々な資金による整備が想定されており、事業主体の
収入源となる休憩施設が、事業主体の意向に沿って設
置され、道路利用者の不利益となることも考えられる。
そのため、高速道路の全体計画を踏まえた、休憩施設
の配置計画や設置基準の策定が望まれる。本調査は、
ベトナム国の高速道路建設において、「道の駅」の考
え方を用いた休憩施設の導入が、「道路利用者」「道路
整備主体」「沿道住民・行政」が共にメリットを享受
し、高速道路建設を推進する可能性について検討する
ことを目的とした。
調査の結果
図-1
調査対象位置図
現況として、ベトナムでは経済成長や人口増加が継
続しており、交通需要は増大することが予測されてい
る中で、旅客輸送や物流輸送における道路の役割はま
すます増大する。調査対象区域であるタインホア省と
ゲアン省は、人口が多く増加傾向にあるが、人口当た
りの工業生産額は低調である。また、両省は、歴史や
自然資源を活かした観光施設や特産品などがあり、観
光交流の拡大が進められている。しかし台風がたびた
び上陸し、水害が発生している。この状況下で南北高
速道路の整備は、順次事業化が進められており、今後
の整備にむけ、民間資金の導入を含めた様々な手法が
検討されている一方で、一体的な高速道路としての整
備や維持管理を行うための組織や法制度が整備されて
いない。また、高速道路の休憩施設は、事業化された
区間において検討されているものの、路線全体を見通
した、配置計画や設置基準が明確でない。休憩施設と
しては、一般道では、沿道に立地する多くの民間施設
において休憩サービスが提供されていて、休憩サービ
スとしては、飲食、物販、ガソリンスタンドのほか、
修理工場が多く見られる。沿道の民間施設は地域住民
の生活の場にもなっていることから、提供されるサー
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ビスに地域毎の大きな違いは見られなかった。また、
駐車場を持たないサービス施設も多く、路上に駐車す
る車両も多く見られた。ハノイ周辺の自動車専用道路
では、休憩施設が整備されていない状況であり、路肩
に停車し、バスの乗降やトイレ休憩、物品の購入など
が行われている。公的資金により整備された休憩施設
も数カ所あり、物販や飲食を含むサービスを提供して
いるが、十分に機能していないというのが現況である。
には相応の時間を要している。そのため、急速な経済
発展を遂げているベトナム国において、「道の駅」の
コンセプトを早急に周知・定着させることを目的に、
今後の方針
社会経済状況や地域と休憩施設の現況を踏まえた上
で、「整備主体」「道路利用者」「沿道地域」の3つの視
点から高速道路の休憩施設整備に向けた課題を整理
し、ベトナム国における高速道路及び高速道路休憩施
設整備に向けて以下の事項を提案する。なお、本提案
の実施にあたっては、ベトナム国側の高速道路の運営
や維持管理について、高速道路全体を包括して所管す
る組織体制の構築が必要となる。高速道路の整備によ
り、既設の幹線道路から高速道路に交通が転換され、
現道の沿道地域にとっては、マイナスの経済効果が発
現することも懸念されることから、高速道路休憩施設
の設置にあたっては、沿道の地域発展及び経済の向上
についても考慮する必要がある。従って、より多くの
国民に望まれる高速道路整備を実現するため、高速道
路側の収益アップ、道の駅側の地域経済発展の両立を
図る高速道路の休憩施設のあり方(「道の駅」の一体
型休憩施設など)について検討する。
また道路休憩施設と地域を結びつけ、地域の活性化
を図る「道の駅」のコンセプトは、今後、モータリゼ
ーションの急速な進展が想定されるベトナム国にとっ
て必要な考え方であるが、その考えを理解し実践する
までには時間が必要であり、日本においても定着まで
表-1
図-2
MOT高速道路計画
南北高速道路の区間毎の計画
表には次の区間が含まれてない:Bac Ninh-Phap Van区間(40km)、Phap Van-Cau Gie区間(30km)
出典:MOTマスタープラン(2007年11月)
10
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
既存の一般道の休憩施設を活用しながら、地域との結
びつきを持った「道の駅」の成功例を創出するための
取り組みについて検討する。また、次期事業化予定区
間等の南北高速道路の区間(ギソン∼バイボット間等)
について、路線検討にあわせ「道の駅」のコンセプト
導入を念頭に置いた休憩施設の配置整備・運営方法を
検討し、休憩施設の整備・運営を含めた高速道路の事
業化について検討する。
高速道路事業化区間の休憩施設は、既に計画設計が
実施されているが、現在は、高速道路全体の配置計画
がないため単に設計基準にもとづいた設計がなされて
いる状況である。一方で南北高速道路事業は現状では
完成後の道路管理者が未だ決まっておらず、完成後の
維持管理及び事業採算性をどのように計画検討してい
くか不明な状況である。そのような中で、休憩施設配
置や内容は、高速道路の維持管理、交通安全、交通量
及び採算面(収益性向上)に大きく影響するものであ
る。今後事業化される区間では、PPPの導入も検討さ
れており、通行料収入とともに重要な収入減となり得
る休憩施設を捉えた事業化検討が求められる。そのた
め、休憩施設の適正な配置計画、ベトナムの道路交通
事情を踏まえた導入機能の検討及び規模設定のために
必要となる諸条件の設定を行う「全国高速道路休憩施
設マスタープラン調査」を実施することを提案する。
※上記のプロジェクト支援調査は、当協会の正会員企
業である大日本コンサルタント(株)からの提案を
受けて、同社と国建協が調査経費を分担して実施し、
その成果を取り纏めたものである。
図-3 南北高速道路(東側)の整備状況
出典:ベトナム・インフラマップ2010(ジェトロ 2010年4月)
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プロジェクト支援調査
インドネシア国重点海岸における気候変動適応策
としての海岸保全整備
背景と目的
インドネシア国(以下イ国)では、近年のめざまし
い経済発展に伴い、海岸域でのインフラ施設や居住地
拡大、観光リゾート開発等、の高度利用が加速してい
る。一方、温暖化に起因すると思われる異常気象や海
水位の上昇による高潮・高波被害、海岸侵食、沿岸施
設への損傷が報告され、気候変動に伴う海岸域におけ
る防災面での脆弱性は更に高まっている。しかしなが
ら、イ国では海岸域の利用形態の違いや経済効果に基
づく、長期的かつマクロ的視点での海岸保全整備に関
するロードマップがなく、また例えばリゾートエリア
としての海岸保全と、インフラ・居住地における海岸
防護といった異なる海岸域の利用形態に対しても、画
一的な海岸防護の実施により、海岸域の荒廃や損傷を
助長している事例も見られる。イ国において、我が国
の円借款事業として実施されたバリ島海岸保全事業
は、リゾートとしての利用、景観、海岸環境を考慮し
た適応策として位置付けられるが、同様に各海岸の利
図-1
バリ島での踏査地点
用形態や海岸脆弱性に対する緊急度に応じた海岸保全
計画を策定、実施していくことが、イ国における長期
的な海岸保全および海岸環境保持には不可欠である。
現在、我が国はイ国に対して第二次気候変動プログラ
ムローンとして374億円を供与し、イ国における温暖
化対策に対する財政支援を行っている。
本調査は、イ国公共事業省による事前の調査により、
海岸侵食に対する深刻度や利用面から重点海岸として
挙げられている4地点の海岸について、緊急性と各海
岸利用状況を考慮した優先度を調査し、整備の優先順
位、および円借款(または技術協力)プロジェクトと
しての候補地・可能性を見いだすことを目的としたも
のである。
調査の結果
海岸侵食及び保全の現況調査は、ジャワ島バンテン
州、スマトラ島ブンクル州、バリ島東部及び南部、ロ
ンボク島の各地区を対象として行った。
以下に、バリ島を対象とした調査結果について概説
する。
1.キャンデイダサ(Candi Dasa)海岸の状況
当海岸は1980年代にビーチリゾートとして開発さ
れ、南部のサヌール、ヌサドア海岸と同様の白砂のサ
ンゴ礁海岸だが、70 ∼80 年代に建築材料取得のため、
サンゴ採掘が活発に行われ、水深増加の結果、波浪の
増大が、海岸侵食の直接的な原因とされている。90 年
代には公共事業省による海岸整備が実施され、20 基を
超える突堤や離岸堤が建設されたが、その効果はほと
んど見られず、これと並行して海岸沿いの各ホテルに
よる個別な護岸建設が進められた。その結果、現在海
岸線のほとんどは護岸で固められ、砂浜はほとんど消
写真-1
12
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
バリ島での海岸浸食状況
失し、満潮時には波がホテルエリアまで侵入する状況
である。
2.ジンバラン(Jimbaran)海岸の状況
Jimbaran海岸は、バリ島南部の空港滑走路を挟んだ
南側エリアに位置し、以前は小さな漁村であったが、
90 年代以降、サヌール、ヌサドア、クタに続いて積極
的なリゾート開発が行われ、現在5つ星の高級リゾー
トホテルが建ち並んでいる。当海岸は滑走路と岬に囲
まれたポケットビーチであり、基本的には顕著な海岸
侵食は見られない海岸であったが、近年、砂浜の後退、
それに伴う顕著な浜崖が生ずる頻度が増しており、浜
辺を利用したシーフードレストランの営業に支障を来
している。
3.バリ等での海岸状況のまとめ
・周辺海岸域のほぼ全エリアで海岸侵食が顕在化して
おり、2007年時点で海岸線延長の約2割で整備が必
要とされている。
・島の東部および南部の海岸域には、ビーチリゾート
として重要な多くの海岸が点在している。ビーチリ
ゾートの中心は南部エリアに集中しているが、近年
の南部での交通渋滞等の弊害から、東部および西部
への観光エリアの分散化が図られている。
・バリ島での海岸侵食要因として、1)サンゴ礁海岸
における大規模なサンゴ採掘、2)通常の砂浜海岸
においては、河川改修や土砂採取等による土砂供給
量の減少、3)外力変化(高波浪の襲来頻度の増加
等)、などが考えられる。
・東部エリアにおけるビーチリゾートの中心である
Candi Dasa海岸では、これまでに公共事業省による
海岸保全対策が実施されてきたが、十分な効果が得
られず、途中で中断した。近年、南部エリアで実施
された海岸改修も、黒い山砂の投入により、元来の
サンゴ礁の白砂海岸から一変してしまった。
・南部エリアのビーチリゾートエリアの中心である
Sanur, Nusa DuaおよびKuta海岸では、日本の円借款
による海岸保全事業の実施により、海岸域への高い
集客効果が見られる。一方、養浜上での違法施設の
設置や、養浜後の砂移動による部分的な顕著な汀線
後退等、事業実施後の海岸管理に起因する問題が生
じている。
・プロジェクト隣接区域では、新たな海岸侵食による
ビーチリゾートとしての利用上の問題が生じている
(例えばNusa Dua、Jimbaran海岸、等)。
トとしての魅力の低下、それに伴う経済損失、
また現在観光開発を進めている中での不適切な
海岸整備の実施、海岸事業実施後の海岸管理体
制の不備から生じる海岸環境の悪化
2)沿岸域に立地しているインフラ施設(国道や石
油施設)への影響、危険度の高まり
3)沿岸域での居住地への高波・浸水被害、それに
伴う海岸域から内陸への住民移転
5.海岸侵食の原因
各海岸で生じている海岸侵食の根本要因としては、
気候変動に伴う外力条件の変化(外力増大や高波頻度
の増大)や河川改修等、流域上流における開発に伴う
流下土砂量の減少といった、海岸域あるいは海岸管理
者だけの問題として解決できない諸要因がある一方、
本調査で問題として浮かび上がったのは、河口部での
建材取得のための土砂採取、サンゴ採掘、港湾浚渫の
土砂の陸揚げ等による供給土砂量の減少、海岸施設構
築に伴う沿岸漂砂バランスの崩れ、不適切な位置での
護岸等海岸施設の設置、といった、海岸の知識・能力
不足に起因する要因により、海岸侵食が助長されてい
る点等である。
今後の方針
本調査では、イ国各地の海岸調査の結果、日本とイ
ンドネシアの二国間関係、日本の“顔の見える援助”
先として大きなプロジェクト効果が期待できるバリ島
地区の海岸保全事業の優先度が高いと判断した。
海外保全を効果的に実施していくためには、特に実
務に関わるイ国側海岸技術者の海岸保全事業に関わる
能力向上、また保全事業をモニタリングするとともに、
その効果を検証し、かつ結果を次の海岸整備にフィー
ドバックしていく順応化管理手法に基づく維持管理能
力・体制の構築が不可欠であると判断した。そのため
の能力向上・海岸維持管理構築プログラムを日本の
ODA事業で実施するための具体的提案を、今回の調査
成果として行った。
※上記のプロジェクト支援調査は、当協会の正会員企
業である日本工営(株)からの提案を受けて、同社
と国建協が調査経費を分担して実施し、その成果を
取り纏めたものである。
4.海岸侵食が後背地へ及ぼす影響
海岸侵食が後背地へ及ぼす影響のうち、主要なもの
を示すと、
1)リゾートエリアにおける砂浜消失によるリゾー
I D I No.238
13
プロジェクト支援調査
カンボジア国 災害に活かせる安価で施工の速い
舗装技術の適用可能性検討調査
背景と目的
調査の結果
わが国は、内戦等で疲弊したカンボジアの復興支援
のために多くの支援を行ってきたが、道路を中心とし
た国家を形成する主要な社会経済インフラは依然とし
て不足している。道路の現状を見ると、舗装率は各国
の支援により1 級国道では100%近いが、2級国道では
30%、地方道では僅か2%に満たない。運輸交通分野
における対象は全国的な視点から地方各州に広げる検
討が必要である。さらにメコン川流域では大規模な洪
水により、道路等に甚大な被害が発生し、災害に強い
インフラ整備が強く求められている。効率よく道路整
備できる技術や、災害に強い道路作りに対する技術支
援がさらに必要とされている。
上の状況を鑑み、舗装打ち換えの際に現地発生する
路盤材料の一部を再生、乳剤と混合することで原位置
にて舗装の再生が可能なスタビライザー工法を適用し
て路盤を強化する工法を現地へ紹介し、同国の今後の
道路整備に寄与することに繋がることを期待し、現地
でのワークショップへ参加した。同工法は、工事費が
安価で、短期に道路整備が出来ることから、カンボジ
ア国の要望にこたえる極めて有効な工法である。現地
調査では、国道の破損や土質状況に関する情報収集を
行い、スタビライザー工法の適用性の検証を行った。
日カンボジア防災気候変動ワークショップへの参加
ワークショップ開催に関する表敬訪問
カンボジア防災委員会とプノンペン都副知事に対し
ワークショップ開催に関する表敬訪問を行った。カン
ボジア防災委員会では副委員長のMr. NHIM VANDA氏
他幹部の方々と、プノンペン都では副知事他幹部の
方々とお会いしワークショップへの期待について懇談
した。
現地調査での実施項目は以下のとおり。
1. 防災委員会のセミナー出席と災害に強い舗装工法
(スタビライザー工法)の技術紹介
2. 道路破損箇所の実態調査
3. スタビライザー工法の適用性調査
図-1
14
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
カンボジアの道路網
ワークショップ参加と舗装工法(スタビライザー工法)
の技術紹介
ワークショッップでは、両国における洪水対策、防
災対策及び水環境問題への対策について情報交換を行
うとともに、今後の協力について意見交換が行われた。
このワークショップにて災害に強い舗装工法としてス
タビライザー工法の技術紹介を行った。
道路調査結果
① 国道2号調査結果
国道2号はプノンペンからタケオを経由してベトナ
ム国境まで南下する国道で、大部分はDBSTである。
前回の水害で冠水し現在も破損しているという箇所を
調査した。場所はプノンペンから1時間あまりChambak
というところで約1kmに渡って路面に凹凸があり、と
ころどころでポットホールが発生していた。ここは変
状が非常に大きく、ポットホールまたは大きくえぐれ
た穴に粒状材を入れただけで直ぐに壊れている。この
ような破損の原因は路床(盛土)部分の支持力低下、
不等沈下などと見られ、打換えが必要である。ここ以
外は打換えの必要は無く路盤、表層部分の補修で済み
そうで、既設の材料を再利用する再生路盤工法が適し
ている。
② 国道6A号、7号、11号、1号調査結果
舗装はプノンペン市郊外と国道1、6A号はAs舗装で
あるがそれ以外はDBSTである。平坦性はAs舗装ほど
ではないが比較良くかなりの高速で走行できる。
DBSTで補修された箇所が連続しており路面維持管理
は非常に多く行われているが、それだけ交通量の多い
国道ではDBSTでの舗装寿命が短い表れと見ることが
できる。
国道11号線カンポンチャム付近のDBST表層を補修
している現場を見ることができた。手順は、初め補修
箇所の表層を剥がし(約3cm厚)、その後表面処理(2
層式)を行っていた。国道11号線のカンポンリ付近で
も同様の補修を行っていた。両方の箇所で使用してい
る機械はかなり古いものであった。さらにここでは打
換え工事が行われていた。工事の規模は大きく、バッ
クホーで既設の表層と路盤材を撤去し新規に路盤を構
築していた。既設の路面の破損が大きく表面処理では
対応できないと判断されたものと思われる。なお残念
ながら表層の施工は見られなかった。このような打換
え工事では既設材の再利用を行う路上再生路盤工法が
非常に効果的であり、本格的なAs舗装化へこの工法の
採用が望まれる。
さらに南下して国道1号に入り、フェリでメコン川
を渡って(日本の支援で架橋が設計中)プノンペン市
に向った。国道1号では日本の援助で拡幅As舗装化が
行われていた。
③ 国道5号調査結果
5号線はトンレサップ湖の南側にある路線で反対側
の北側には6号線がある。本路線は国道1号と共にアジ
アハイウエイに位置づけられている。舗装はプノンペ
ン市郊外を抜けるとDBSTになる。状況は6号線7号線
と同様2車線道路、平坦でほとんどが直線のかなり走
りやすい道路である。舗装はDBSTであるが6号線7号
線に比べ補修箇所は少ないように思われた。途中短い
区間で非常に壊れている箇所が2から3箇所あり、通行
に障害がある状態にもかかわらず放置されていた。
54号はトンレサップ湖畔までの延長5km程度の未舗
装道路で、土質的にはラテライトに礫材料を混合した
表-1
道路と橋梁の現況(2009年)
表-2
主要道路の舗装種別
砂利道とみなせる。国道にアクセスする道路はこのよ
うな砂利道が多く見られたが、これらを舗装化するに
は、耐水性を高めるためセメント等で安定処理を行い、
表層は交通量に応じ簡易舗装でも対応できるものと考
えられる。
今後の方針
DBST舗装が非常に多いがこれの維持は非常にこま
めに行われている。しかし補修工法は同じDBSTで行
っており、これ以外の応急舗装工法は見られなかった。
DBSTによる補修は再度破損が懸念されるため、破損
原因とそれに対応する工法の多様化・選定など合理性
が必要である。
カンボジアの舗装構造は、RCCの技術者の話による
と路床のCBRを10以上にしており、路盤以下はしっか
り作られている。そのことが踏査した国道において、
支持力不足で破損している状況があまり見られなかっ
た原因と考えられる。しかし表層部分はBBSTであり
アスファルト混合物でも薄く作られており、寿命が短
く交通量が増大することを考慮すると路盤・表層の強
度を高める必要がある。
国道で打換え現場を見ることが出来たが、既設材料
は撤去、新規材料が搬入という通常の工法であった。
路床の支持力は確保されていることから、このような
補修に対しては、現場において既設材料を再利用し強
い路盤を構築できる再生路盤スタビライザー工法は最
適であると思われる。
国道以外のアクセス道路・地方道は舗装されていな
I D I No.238
15
いラテライト道路が大半であった。このような道路の
構成特に路床の支持力については調査できなかった
が、ラテライト材については、スタビライザーにより
セメントなどで安定処理して強固な路盤の構築が可能
と見られる。表層はDBST 等で行い、交通量が増加し
てきたら再度表層を舗設するステージコンストラクシ
ョン方式を取ることも出来る。
以上からカンボジアの道路に対する課題を整理す
ると
① 舗装率の向上
州道においても2%以下という舗装率の向上、生活
環境向上のための生活道路の舗装
② DBST舗装のグレードアップ
国道クラスでも多いDBSTの本格アスファルト舗装化
③ 計画的・合理的な維持管理手法の確立
破損に対する即応体制の強化
16
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
今後の方向は以下の通りである。
① 舗装に関する基準類の調査
② 公共事業省、プノンペン都に対する維持管理手法マ
ニュアルの提案
維持工法の多様化と選定方法
安価で施工の速い舗装技術スタビライザー工法の提案
③ 施工に係わる費用(舗装材料、機械の賃料など)の
調査
以下に調査した道路の箇所を図に示す。
※上記のプロジェクト支援調査は、当協会の賛助会員
企業である酒井重工業(株)からの提案を受けて、
同社と国建協が調査経費を分担して実施し、その成
果を取り纏めたものである。
プロジェクト支援調査
スリランカ国 橋梁維持管理能力
向上プロジェクト
背景と目的
スリランカ国(以下、ス国)には、同国政府道路開
発庁(Road Development Authority : RDA)の管理する
国道上の道路橋が4,000橋以上ある。橋長は30m以上の
ものが365橋で全体の8.3%を占め、10m以下の橋梁が
大半を占めている。橋歴を有する約2,000橋の中には、
供用後100年以上経過する橋梁が約680、50年以上経過
する橋梁が約630あり、建設年代が古くとも修繕を経
てきた橋梁の中には問題なく使用されているものもあ
るが、近年建設された橋梁でも、コンクリート橋の
塩害、鋼橋の腐食等、損傷が著しく進んでいるもの
がある。
日本も無償資金協力事業で橋梁建設や2005年の津波
災害後の橋梁の架け替え事業などで橋梁整備に貢献し
表-1
ス国の国道沿いの橋種別内訳
てきた。これに対し橋梁のメンテナンスを担当する
RDAの維持管理体制は充分に機能していない。RDAの
橋梁維持管理の重要性への認識は低く、財源不足や橋
梁メンテナンスに関する技術的ノウハウが充分に蓄積
されていないことなどが上の事情を招いている。人の
移動や物流を支える道路インフラへの依存度が極めて
高いス国にとって、橋梁の維持管理は国の経済発展を
支える上で重要な役割を果たしており、RDAによる道
路インフラの運営・維持能力の向上は、地域、惹いて
は国の発展に寄与すると云える。
このため、同分野における日本の経験を踏まえ、管
理手法やアセットマネージメントの考え方、橋梁点検
手法や点検結果のデータ整理、管理方法の充実を目指
すためのプロジェクトを計画する。
今回提案するプロジェクト内容は、最初にモデル工
区を選定して上記活動の実地研修をRDAに対して行う
ことを『JICA技術協力プロジェクト』として実施する
ことを提案した。
調査の結果
1.橋梁の現況
国道沿いに位置する橋梁の現況を把握するため、幾
つかの橋梁を対象として目視点検を行った。
① Kiul Linda Langa橋の例
主桁が腐食して貫通している。曲線橋で横断勾配の
下の部分の腐食が進んでいる。主桁の腐食が進行し
ウェブに穴が空いている。水処理対策が施されてお
らず、桁のフランジや桁下に滞水が発生する状況と
なっている。
図-1
調査対象箇所
② 52/1橋の例
海岸線沿いの幹線道路
の橋梁で主鉄筋の破断が
観察された。海岸部であ
るがコンクリート被りの
増厚等の対策は見られ
ず、スラブ下面のコンク
リートが広範囲にわたっ
て剥落しており、スター
ラップおよび主鉄筋が腐
食し破断に至っている。
図-2
主桁腐食
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17
③ 橋梁維持管理に対する技術水準
道路維持管理に関するRDAの技術者向けのマニュア
ルがある。橋梁の維持管理に関する記述がある冊子だ
が、なかなか参照されていない状況である。
図-3
③ 53/1橋の例
②に同じく海岸沿
いの幹線道路の橋
梁下部の損傷状況。
被りコンクリート
は剥落し、スター
ラップのみならず
PC鋼線が腐食破断
していることが観
察された。
スターラップ、主鉄筋腐
図-4
PC鋼線の腐食
2.橋梁維持管理上の現況と問題点
① 管理事務所による点検作業の現状
管理事務所による点検作業が適切に実施されていな
い事象や、点検を殆ど実施していない事務所もあるこ
とが確認された。本来は各管理事務所からRDA本部計
画部にそれぞれ管轄の橋梁の点検結果を年2度報告す
ることになっているが、提出していない事務所も多い。
また収集データについても、点検実施の時期が不明な
ものも多く、また報告内容が不明瞭であったり。信頼
性の低いことが確認されている。
② 組織の機能
上述の如く、橋梁の維持管理を所掌する管理事務所
により適切かつ充分な点検作業及び維持管理作業が実
施されておらず、これらをモニターする機能も働いて
いない。現地からのデータの信頼性が低いことから、
橋梁の維持修繕の判断を行なうために、計画部では別
途、現地視察を実施していることが多い状況である。
今後の方針
橋梁ストックの増加、各橋梁の経年劣化・損傷の進
行が国道沿いの橋梁の各所で散見され、道路管理者の
橋梁の維持管理に対する意識向上を図る必要がある。
今後、時間の経過と共に橋梁の老朽化が更に進行する
ことは確実であり、国内の物流のみならず、社会・経
済活動に大きな影響が生じることが懸念される。
対策としては、アセットマネージメントの考え方を
導入し、橋梁維持管理の効率を上げることで予算の適
性配分と節約を実現することを目指すと同時に、維持
管理部門の技術者の橋梁点検、維持管理技術の向上に
より、RDA全体の維持管理能力の向上を図るための取
り組みが必要と考える。
ス国の橋梁の維持管理能力向上に必要と考えられる
活動内容を以下に示す。
① 現地調査の追加実施による橋梁の情報追加
② 維持管理マニュアルの改定
③ 管理組織の改革
④ RDAの橋梁維持管理に対する意識改革
⑤ 橋梁点検作業の手法に関する説明
⑥ 橋梁点検書類のデータベース化
⑦ 計画部と維持管理部門でデータの共用化
⑧ 点検データの本部への報告の改善
⑨ 橋梁補修技術の技術移転
⑩ 自立的・継続的技術向上のためのフォローアップ
本調査では、上記の各活動を含むODA事業の実現の
ための提案を行った。
※上記のプロジェクト支援調査は、当協会の正会員企
業である(株)日本構造橋梁研究所からの提案を受
けて、同社と国建協が調査経費を分担して実施し、
その成果を取り纏めたものである。
図-5
18
国際協力プロジェクトの形成・推進支援
橋梁の維持管理組織図(出典:RDA)
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J a p a n
国際協力
際協力・国際交流
国際交流の推進
際交流 推進
社会資本整備分野における開発途上国への技術的支援
国際洪水ネットワーク(IFNet)関連
20
国際建設フォーラムの活動
20
建設コンサルタント等の海外展開支援
講演会・セミナー等の紹介
21
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19
社会資本整備分野における開発途上国への技術的支援
国際洪水ネットワーク(IFNet)関連
当協会に事務局を置く国際洪水ネットワーク(IFNet)
は、洪水被害の軽減を目的として、世界各地で取り組
まれているさまざまな活動がより効果的なものとなる
よう情報交換の場を提供するとともに、洪水関係情報
の収集と情報発信、国際会議への参加等を通じて洪水
問題の重要性を広く訴えることを活動方針としてい
る。このため、情報交換を広く活発に行えるよう、
IFNetは開かれたネットワークとして自由に参加できる
形態をとっており、2011年3月時点で622の国際機関、
国家および地方政府の代表者、研究・教育団体、NGO、
洪水関連活動にかかわる個人などが登録している。
平成22年度のIFNet関連の活動は、
① IFNet会員等との情報交換・共有化
② 当協会から提供されるGFAS(グローバル・フラ
ッド・アラート・システム:NASAがホームペー
ジ上で公開している複数個の地球観測衛星で観測
された地球降雨情報を、洪水予警報に活用しやす
いよう、図化および確率評価による大雨情報とし
て提供するシステム)による大雨情報の発信
③ 平成22年6月には、土木研究所(ICHARM)と共
催で、ミャンマー国ネピドーにおいてGFAS研修
会を開催、GFAS及び衛星を活用した流出解析シ
ステム(IFAS)の普及活動を実施
④ 衛星降雨情報の防災への活用方策についてJAXA
と研究を実施、平成23年3月時点ではJAXA、土木
研究所(ICHARM)、当協会の三者共同研究協定
を締結調整中
国際建設フォーラムの活動
国際建設フォーラムは、在日外国大使館等の建設分
野担当の参事官・書記官等の外交官と、国土交通省・
関係機関との交流の場を設け、我が国から海外への情
報発信に努めることにより、1)建設分野の国際協力、
国際交流推進のための全般的情報交換および地球環境
問題、地球規模の大規模プロジェクト等、多国間に共
通する課題に関する情報交換を推進し、2)国際的な
相互理解を深めることを目的とし、1992年に設立され
20
国際協力・国際交流の推進
たもので、国土交通省と(社)国際建設技術協会が関
係機関の協力を得て定期的に開催している。
なお、平成22年度は、各高速道路会社及び(独)都
市再生機構の協力を得て平成23年3月16日に講演会・
現地視察の開催を予定していたが、3月11日の東日本
大震災の発生により中止となった。
建設コンサルタント等の海外展開支援
講演会・セミナーの開催
IDIセミナー
IDIセミナーでは、建設分野の国際協力など話題とな
っているテーマや当協会が実施する研究成果の報告な
どを取り上げ、協会会員や関係機関を対象に講演を行
っている。平成22年度のIDIセミナーを以下の通り、
開催した。
第50回(平成22年9月28日)
「インドネシアにおける道路セクターの動向・課題
ついて」
講師:恒岡伸幸氏(国土交通省大臣官房付・前イン
ドネシア国JICA長期専門家(道路政策アドバ
イザー))
講演では、恒岡氏が以下の項目を含む内容について
紹介した。
・インドネシアにおける道路及び道路交通の所掌分担
2層構造と3層構造
1. 道路管理者
道路建設、維持管理
2. 道路交通管理者
道路交通の運営、サービス提供
3. 交通警察
エンフォースメント
・インドネシアにおける道路分野の課題
1. 権限・所掌分担
2. 道路維持管理
3. 幹線道路の建設設備
第51回(平成22年10月21日)
「パキスタン洪水の概況と復興ニーズ」及び「ADB
のコンサルタント調達と受注に向けて」
講師:竹谷公男氏(アジア開発銀行Senior WaterRelated Disaster Management Specialist
(Consultant)(水関連防災) )
講演では、竹谷氏が以下の項目を含む内容について
紹介した。
「パキスタン洪水の概況と復興ニーズ」
・Location & Geological Character of Pakistan
・River Morphology of Indus 1, 2
・インダス川の堤防
・World Bank Support
・ADB’s Response
・Flood Risk Management Counter Measures
「ADBのコンサルタント調達と受注に向けて」
・Basic Principle
・QCBSの基本思想
・Selection Methods & QCBS
・Three types of Technical Proposal
・Variation of Evaluation
講演者の竹谷公男氏
講演者の恒岡伸幸氏
第52回(平成22年10月29日)
「第1回PPP勉強会」
講師:奥村康博氏(国土交通省国際建設技術企画官)
山田哲也氏(JICA民間連携室連携推進課長)
講演では、奥村氏が「官民連携による海外インフラ
プロジェクトの推進」について以下の項目を含む内容
を紹介した。
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21
・海外のインフラ需要
・我が国の成長戦略
・官民連携の枠組み「PPP協議会」
・海外展開の具体事例
・我が国の支援体制
また、山田氏が「JICAの PPPインフラへの取り組み」
について以下の項目を含む内容を紹介した。
・途上国のインフラをめぐる状況
・PPPインフラ市場概観
・途上国のPPPインフラの特徴と取組上の課題
・JICAの役割、取り組み
・PPPインフラ事業FS支援制度について
また、岡野氏が「PPP事業における実務」について
以下の項目を含む内容を紹介した。
・海外PPP事業の動向
・海外PPP事業の基本構成
・海外PPP事業で特に問題となりやすい点
・海外PPP事業への参画に向けて
講演者の宮本和明氏
講演者の岡野幹夫氏
講演者の奥村国交省国際建設技術企画官
第53回IDIセミナ−の様子
講演者の山田JICA民間連携室連携推進課長
第53回(平成22年12月17日)
「第2回PPP勉強会」
講師:宮本和明氏(東京都市大学環境情報学部環境
情報学科教授)
岡野幹夫氏((株)三菱総合研究所 社会システ
ム研究本部インフラビジネスグループ研究員)
講演では、宮本氏が「PPPによるインフラ整備・運
営」について以下の項目を含む内容を紹介した。
・PFI/PPPに関わる最近の情勢
・PFI、PPP、コンセッションとは?
・英国の道路PFIおよびコンセッション
・PFIの要:リスク分析
・これからのインフラPFI事業への一つの提案
22
国際協力・国際交流の推進
第54回(平成23年2月10日)
「アジアハイウェイとTransアジアの鉄道に沿ったド
ライポートの開発について“Development of dry ports
along the Asian Highway and Trans-Asian Railway”」
講師:Madan B. Regmi氏(国連アジア太平洋経済社
会委員会(ESCAP)交通部経済担当(東京工
業大学客員研究員))
講演では、Regmi氏が以下の項目を含む内容につい
て紹介した。
・Status of development of dry ports
・Intergovernmental Agreement on dry ports
・Guiding principle for development and operation
・Examples of dry ports development in Asia
・Facilitation of international transport
講演者のMadan B. Regmi氏
第54回IDIセミナ−の様子
その他
国際建設プロジェクトの契約管理セミナー
(平成22年11月18∼19日、エンパイヤビル(八丁堀)
)
(社)海外建設協会との共催で平成13年度から実施
している。海外で建設プロジェクトにかかわる人を対
象に、契約管理の基礎知識、契約管理の実務・クレー
ム事例などについての講義を行った。
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受託事業 紹介
受託事業の紹介
当協会は、国際建設技術研究所を中心に、前述のプロジェクト支援調査に加え、海外における建設各分野の技術的諸
問題および国際協力の効果的実施等に関する調査・研究を企画競争等による業務受注を通じて実施している。
平成22年度に実施した調査・研究活動他を紹介する。
国土交通省関係事業
(独)国際協力機構(JICA)事業
その他事業
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受託事業の紹介
25
31
43
国土交通省関係事業
インドネシア国事業監理能力向上支援業務
■工 期:
平成22年10月15日∼平成23年3月18日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
インドネシア国において、実施機関の事業監理体制
(入札契約制度、技術審査、品質管理、安全管理等)や先
方のニーズを調査し、また現地セミナーの実施支援等を
行うことにより事業監理能力向上の支援を行うもの。
■業務概要:
① 調査項目
・当該地域における社会基盤整備及び経済状況
・実施機関の事業監理体制(入札契約制度、技術審査、
品質管理、安全管理等)
・先方のニーズ
② 規程・マニュアルの骨子案の作成
・事業監理体制や先方のニーズについての調査結果お
よび課題の分析を受け、インドネシア国における事
業監理に関する規程・マニュアルの骨子案を作成
③ 現地セミナーの実施支援
・セミナーは1回実施
・セミナー資料(英語)及び開催にあたって必要とな
る資料(日・英)を作成
・会場手配、設営、進行補助、逐次通訳(日英)
の手配
・セミナー資料の整理、必要資料の和訳、議事録作成
カンボジア国防災・気候変動対策等検討
業務
■工 期:
平成22年11月5日∼平成23年3月25日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
気候変動に脆弱な途上国に対し、我が国の優れた技術
の移転及び利活用を促進すること。
また、防災分野での協力が必要な途上国に対し、我が
国が持つ防災技術・ノウハウの普及を促進すること。
■業務概要:
(1)アジア地域における災害状況の文献調査
アジア地域における近年の災害状況を把握するため
に、近年の比較的大規模な自然災害(死者50名以上程
度)における災害発生状況、被害状況等について、可
能な限り最新の情報を用いてとりまとめる。
(2)カンボジア国における気候変動対策等に係るワーク
ショップの開催支援
① 現地調査等により支援ニーズを把握し、我が国の
優れた技術を活用した気候変動対策を検討する。
② ①の検討を元に、想定される気候変動等に伴う被
害の状況及び可能な対応策等を共有・検討するた
めのワークショップ(以下、
「WS」とする)の開
催を支援する。
具体の支援内容としては、次のことなどがある。
・WS資料及びWS開催にあたって必要となる資料を
作成する。
・WS開催・運営にあたり、会場手配・設営・進行補
助・逐次通訳手配を行う。
・現地視察にあたり、視察先との調整、通訳手配、
車両手配等の補助作業を行う。
・WSについて、議事録の作成、WS資料の整理、必
要資料の和訳等を行う。
(3)インドネシア国における気候変動・防災対策に係る
現地調査の実施及び全体計画の策定
インドネシア国における気候変動・防災対策につい
て資料収集や現地調査を行い、また、政策対話の実施
のための支援を行う。加えて、計画的な気候変動・防
災対策を実施するための「全体計画(当該国の気候変
動・防災対策に係る現状と技術的・財政的課題、援助
機関からの支援の可能性等を考慮した上で、当該国が
実施すべき取組みや優先事業を総合的に検討・提案す
るもの)
」を策定する。
(4)ブラジル国における気候変動・防災対策に係る現地
調査の実施及び全体計画の策定
ブラジル国における気候変動・防災対策について資
料収集(必要に応じて現地調査を実施)を行い、また、
政策対話の実施のための支援を行う。加えて、計画的
で現地の風土等を考慮した気候変動・防災対策を実施
するための「全体計画(当該国の気候変動・防災対策
に係る現状と技術的・財政的課題、援助機関からの支
援の可能性等を考慮した上で、当該国が実施すべき取
組みや優先事業を総合的に検討・提案するもの)
」を策
定する。
政策対話実施のための支援に係る具体の内容として
は、次のことなどがある。
・先方政府との調整、通訳手配、車両手配等の補助作
業を行う。
I D I No.238
25
国際協力ネットワーク構築支援業務
■工 期:
平成22年4月28日∼平成23年3月19日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
建設分野における草の根国際協力推進方策検討、海外
派遣者等関係者間のネットワーク強化のための情報整備
等を行うことにより、国際協力ネットワーク構築を支援
するものである。
■業務概要:
(1)草の根国際協力推進方策検討
建設分野において、先導的と考えられる活動を推進
するため、建設分野における草の根レベルでの国際協
力活動を行う団体を対象に先導的な活動テーマ案の募
集を行い、有識者委員会の開催により、モデル調査と
してのテーマ選定作業を支援するとともに、モデル調
査の成果に関する報告会の開催支援を行う。また、モ
デル調査結果を分析し、今後の活動方針方策について
検討を行う。
(2)建設分野の国際協力に携わる関係者間のネットワー
クの強化
既存のウェブシステムを活用し、国際関係者間のネ
ットワークの強化を行う。具体的には、新規海外派遣
者のウェブシステムヘの登録、共有すべき情報の更新
を行うとともに、草の根国際協力活動の成果に関する
情報共有方策について検討を行う。
平成22年度 建設分野における国際協力
推進業務
■工 期:
平成22年4月28日∼平成23年3月30日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
本業務は、二国間交流を通じた国際連携・協力の強化
や、わが国建設技術の海外展開促進を図ることを目的と
して、第4回都市開発に関する日印交流会議、第4回ベト
ナム高速道路セミナー、第8回日仏協力会議の開催に際し、
事前に実施する相手国のニーズ調査と、会議運営を補助
するとともに、会議結果を踏まえ、今後、協力・連携を
進める技術、ノウハウについて検討しとりまとめるもの
である。
26
受託事業の紹介
■業務概要:
(1)第4回都市開発に関する日印交流会議
6月頃を目途にインドで開催する。会議1日、現地視
察1日を予定しており、これらの準備及び会議結果の整
理を行う。また、会議結果を踏まえ、協力・連携を進
める技術、ノウハウについて検討し、とりまとめる。
1)会議開催準備
2)会議結果とりまとめ
(2)第4回ベトナム高速道路セミナー
5月頃を目途に日本で開催する。会議1日、現地視察1
日を予定しており、これらの準備及び会議結果の整理
を行う。また、会議結果を踏まえ、協力・連携を進め
る技術、ノウハウについて検討し、とりまとめる。
1)会議開催準備
2)会議結果とりまとめ
(3)第8回日仏協力会議(ITS分野)
3月に日本で開催する。会議1日、現地視察1日を予
定しており、これらの準備及び会議結果の整理を行う。
また、会議結果を踏まえ、協力・連携を進める技術、
ノウハウについて検討し、とりまとめる。
1)会議開催準備
2)会議結果とりまとめ
なお、上記業務内容のうち、第8回日仏協力会議につい
ては、今年度の開催中止が確定した平成23年3月14日時
点までとする。
地球地図の利活用の方策検討及び促進業務
■工 期:
平成22年8月12日∼平成23年3月18日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
環境・防災等の分野で政策決定・研究における地球地
図の国際的な利活用を促進することを目的に、国際会議
(気候変動枠組条約COP16等)で利活用事例を発表・展
示するために資料を作成するとともに、地球地図の閲覧
ホームページの英訳及びデザイン・レイアウトの調整を
行う。
■業務概要:
(1)地球地図の利活用事例の整理
地球地図の利活用事例に関する情報を収集し、将来
的な発展性の観点から整理する。特に環境・防災分野
における政策決定に資する事例を対象とする。
(2)地球地図の利活用方策の検討
上記(1)の発展性が高い事例について、政策決定に
資する将来的な地球地図の利活用方策を検討する。利
活用方策の検討にあたっては、政策上の課題や活用に
よる効果を想定し、具体性の高い方策の検討を行う。
(3)地球地図利活用促進ツールの作成
上記(1)および(2)における利活用事例、利活用
方策をもとに、地球地図の利活用促進を目的とした資
料の原稿案を作成する。国内外での配布が可能なよう
に、日本語・英語を併記するものとする。
(4)地球地図の閲覧ホームページの調整
既存の地球地図の閲覧ホームページの英訳を行う。
また、ホームページを見やすくするためにデザイン・
レイアウトの調整を行う。
海外道路PPP推進業務
■工 期
平成22年9月29日∼平成23年3月25日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
平成22年5月に発注者が設置した「海外道路PPP協議会」
は、海外における道路分野のPPPプロジェクトの案件形
成を一層進めるため、対象国を限定せずに広く議論する
場として、情報共有・意見交換を行なうこととしている。
また、海外における個別の案件を目に見える形で進捗さ
せるため、協議会の下に設置する国別ワーキンググルー
プにおいて、国別の案件や課題につき議論・検討するこ
ととしている。
本業務はこれらの場において、より具体的かつ効率的
に議論・検討が行われるための基礎資料の作成等を実施
するものである。
■業務概要:
本業務では、海外における道路分野のPPPプロジェク
トについて、わが国の技術・ノウハウを活用した具体化
を進めるための作業を実施する。具体的作業については、
以下のとおりとする。
1)国別案件整理(各国におけるプロジェクトの内容整
理、課題の抽出)
2)当該プロジェクトの進捗状況、関連ドナーの動向等
の整理
3)我が国の技術・ノウハウの活用を考慮した整備及び
運営・維持・管理手法の提案
4)自動料金支払いシステム(ETC)をはじめとした我
が国のITS技術の国際スタンダード化に向けた海外
展開戦略の提案
以上の項目については、過年度実施業務による成果も
踏まえ、現地調査等により、最新情報を入手し対応する。
5)上記を踏まえ、具体的かつ個別の案件形成を進める
ことを目的に、発注者による海外道路PPP協議会及
び国別に個別の議論を行う国別ワーキンググループ
の実施の支援及び発注者が行う相手国政府との政策
対話、関係機関への働きかけへの支援を行う。作業
については、下記のとおりとする。
○ 海外道路PPP協議会及び国別ワーキンググループ
開催準備・支援
・同協議会及び同ワーキンググループ開催は、日
本国内とする。
・同協議会及び同ワーキンググループ資料(日本
語及び外国語)及び開催にあたって必要となる
資料を作成する。
・開催・運営にあたり、会場手配・設営・進行補
助・逐次通訳手配を行う。
・資料作成に必要となる現地調査、相手国政府及
び関係機関への訪問等にあたり、調査・訪問先
との調整、通訳手配、車両手配等の補助作業を
行う。
○ 会議結果等取りまとめ
・会議資料の整理、記録、必要資料の和訳等を
行う。
アジア・アフリカ広域道路網推進調査検
討業務
■工 期:
平成22年12月1日∼平成23年3月18日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
経済成長が続くアジア及びアフリカ地域において、経
済成長と貧困削減の基盤となる広域道路網の整備推進に
向けた調査・検討を行う。
■業務概要:
(1)本業務の具体的作業
① アジアにおける国際的な広域幹線道路網プロジェク
トであるアジアハイウェイプロジェクトの具体化の
一つとして、新たな展開及び我が国プレゼンスの向
上に向けた方策を検討するとともに、ラオス国ビエ
ンチャン∼タイ国ノンカイ第一友好橋道路橋併設計
画など現地のニーズに対応した具体的な案件形成の
調査検討を行う。
② アフリカ地域におけるCOMESA(東南部アフリカ市
I D I No.238
27
場共同体)
、SADC(南部アフリカ開発共同体)等の
イニシアチブにより進められている広域道路網整備
計画を調査し、整備推進及び我が国技術を活かした
国際協力の方策検討を行う。さらに、当該地域の発
展の核となることが見込まれるケニア国において、
広域道路網の具体的な建設・技術協力プロジェクト
の案件形成のための調査検討を行う。
(2)調査検討内容
・地域共同体、国家又は地域レベルにおける広域道路
網計画の位置付け
・当該地域における社会基盤整備及び経済状況
・他ドナーの援助状況
・具体的なプロジェクトの計画素案、裨益効果及び当
該プロジェクト実現に向けた進め方
・本邦技術活用制度の適用可能性の検討
(3)業務の実施方法
対象国に調査団をアジア、アフリカ各1回派遣し、政
府関係機関等との意見交換や現地調査等を実施。これ
から得られる情報、資料等に検討を加え調査報告書を
作成する。
衛星データを活用した河道及び流域モニ
タリング手法検討業務
■工 期:
平成22年8月11日∼平成23年3月25日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
現在、直轄河川では、澪筋や砂州の移動や土砂堆積状
況、植生の繁茂状況などを把握するため、現地調査や航
空写真撮影等を行っているが、今後も河道及び流域の状
況を継続的に把握していくためには、効率的な調査方法
の導入が不可欠となる。また、大洪水の発生直後等には、
土砂流出等が河川に与える影響を迅速に把握する必要が
ある。
本業務では先端技術の活用により迅速かつ効率的に河
道及び流域の状況を把握し、大規模な洪水や河川改修が
河川に与える影響を適確に把握する方法を確立すること
を目的に、衛星データの河川管理への活用について検討
を行うこととする。
■業務概要:
(1)計画準備
(2)衛星データの河川管理への適用可能性の検討
人工衛星のうち河川管理に活用可能な解像度を有す
る衛星データを取得できる衛星について調査し、デー
28
受託事業の紹介
タの精度、更新頻度、取得費用等の観点からの活用可
能性について検討する
(3)衛星データの河川管理への適用可能性の検討
i)流域も含めた洪水被害の影響の把握
ii)河川改修の河道の変化の把握
(4)課題の整理
(5)報告書作成
諸外国における水災害被害の整理及び直
近の特徴的な洪水の詳細調査に係る業務
■工 期:
平成22年9月29日∼平成23年3月25日
■発注機関:
国土交通省
■業務目的:
本業務は、海外で生じた大規模または想定を超える豪
雨等による水災害を調査し、水災害の激化の実態と、そ
れらの水災害の発生に対応した河川管理の実態について
調査するとともに、近年国内外で発生した洪水・土砂災
害の原因となった豪雨の気象学的な特徴を時系列的に整
理し、過去の降雨実績との比較から豪雨発生時期・規模
の特徴や傾向および災害被害の傾向と、現状の河川管理
の課題を整理することを目的とする。
■業務概要:
本業務の概要は次のとおり。
1)計画準備
2)気象学的な特徴に基づく大規模水災害被害に関する
整理
地球温暖化に伴う水災害激化の実態について把握
するため、過去10年に国内外で発生した大規模な洪
水・土砂災害(途上国において死者が100名、先進国
において死者が生じた主要な災害)の原因となった
豪雨の気象学的な特徴(時間雨量、日雨量、日最大
風速、日最大瞬間風速、気温、気圧等)について分
析する。なお、とりまとめに当たっては行政機関・
国際機関またはそれに準じる機関のデータを用いる
こととする。
3)水災害被害の整理・分析
EM-DATのデータベース(http://www.emdat.be/)
を用い、1990年以降の水災害被害の推移を災害報告
数、死者数、被災者数、経済被害等について地域別
(欧州、北米、南米、アフリカ、アジア、東南アジア、
全体)に表及びグラフに整理するとともに、災害の
傾向について分析する。
また、EM-DATがどのように災害事例を収集して
いるかについても整理する。
4)特徴的な洪水の詳細調査
平成21年度にはこれまで洪水が少ないと考えられ
ていた国々で洪水被害が生じたり、欧州等の先進国
において破堤被害が発生している。台湾では4日間で
3,000mm弱の降雨を記録するなど、世界各国におい
て甚大な洪水被害が生じた。IPCC第4次報告書では
今後地球温暖化に伴う気候変動の影響により、激甚
な災害が増加することを予想しており、今後我が国
においても未曾有の水災害に遭遇する恐れがある。
そこで、我が国において激甚な水災害に対応するた
めの河川管理方法について検討するため、以下4災害
を対象に詳細調査を実施し、現行の管理方法の課題
等について整理する。
(ア)平成22年2月にヨーロッパ西部の広範囲にわた
って発生した洪水
(暴風雨「サンティア(Xynthia)
」によりフラ
ンス西部地方では堤防が決壊した事例)
(イ)平成21年6月∼7月の中央ヨーロッパの洪水
(治水対策が進んでいて河川特性が日本と類似
している国における事例)
(ウ)平成22年度に先進国(2ヶ国(ヨーロッパ、米
国を想定)
)において発生した激甚な水災害
(先進国において想定以上の外力により災害が
発生した事例)
上記4件に対しては以下の事項等を踏まえて調査を
行う。なお、調査にあたっては現地調査を行うこと
とする。
Ⅰ)災害の詳細な内容
Ⅱ)災害被害対策費用の確保
Ⅲ)災害時対応について
Ⅳ)河川構造物の建設・管理方法の課題
Ⅴ)災害を踏まえた建設・管理方法について
Ⅵ)その他
5)我が国における治水対策の課題の整理
6)報告書の作成
東南アジア諸外国に関する資料整理及び
調査業務
■工 期:
平成22年9月29日∼平成23年1月31日
■発注機関:
国土交通省 国土技術政策総合研究所
■業務目的:
本業務は、インドネシア、ベトナム他アジア諸国にお
ける舗装、橋梁、ITS等に関する環境関連分野の研究ニー
ズを把握する等の基礎的調査を実施し、国土技術政策総
合研究所とインドネシア、ベトナム他アジア諸国との効
果的な国際研究連携の推進に寄与することを目的とする。
■業務概要:
(1)調査の準備と整理
研究ニーズを把握するために必要な機材の準備、関
連資料の整理を行なう。
(2)研究ニーズの把握等の調査の実施
①(1)を踏まえた調査計画の立案と調査様式の作成
② 下記の環境関連分野における研究ニーズの把握
③ 舗装
④ 橘梁(過積載関連対策を含む)
⑤ ITS
⑥ その他必要と考えられる1分野
(3)資料の整理と報告書の作成
(1)
、
(2)を整理し、報告書を作成する。
諸外国の国土整備への建設関連技術の適
用に関する調査業務
■工 期:
平成22年11月17日∼平成23年2月25日
■発注機関:
国土交通省 国土技術政策総合研究所
■業務目的:
環境・インフラ分野におけるアジア諸国との技術協力
覚書等の締結段階から個別の適応技術に基づく事業実施
に係る課題の整理を行う。
■業務概要:
1.計画準備・打合せ
2.関連情報の収集・課題の整理
① 環境・インフラ分野におけるJICAやアジア開発銀行
等を通じたアジア諸国との技術協力覚書等を収集
し、当該協力に係る参画者や適応技術を整理した上
で、以後の計画・事業に戦略的に結びつけるための
協力締結段階に係る課題・留意事項を整理する。
② 研究協力以後に、相手国計画に個別の適応技術を位
置づけ、当該技術を有する者による事業の実施を図
る上で想定される、相手国計画へのコミット、当該
技術を有する主体の形成(合弁会社等)
、事業実施
に係る契約等の課題を整理する。
③ ①及び②をもとに、研究協力から事業実施に至るプ
ロセスにおいて留意すべき事項、克服すべき課題を
とりまとめる。
3.報告書作成
I D I No.238
29
アジア諸国における多様な調達方法に関
する調査業務
■工 期:
平成23年1月8日∼平成23年2月28日
■発注機関:
国土交通省 国土技術政策総合研究所
■業務目的:
国土技術政策総合研究所は、調査、計画、設計、施行、
維持管理といった一連の建設生産システムを構成する各
段階を通じた調達方法に関して、産学官の連携を図りつ
つ研究をしているところである。本年度は、その一環と
して、土木分野の国際展開を視野に入れつつ、近年建設
市場が拡大しているアジア諸国において適用されている
多様な調達方法に着目して、我が国の建設生産システム
との比較検討とあわせて、我が国の土木分野の海外展開
を支援する方策について研究を推進することとしている。
本業務は、そのための基礎資料として、アジア諸国の
土木分野における調査、計画、設計、施工、維持管理
といった一連の調達方法の実施状況について、調査・
整理を行うと共に、我が国の土木分野における公共調
達等との比較及び産学官の連携により土木分野の海外
展開を支援するにあたっての課題を抽出して整理を行
うものである。
■業務概要:
本業務における業務内容は、下記のとおりとする。
1. 計画準備
2. アジア諸国における調達方法等の実施状況・事例に
関する調査・整理
3. 我が国の土木分野の公共調達等との比較検討及び産
官学の連携によって土木分野の海外展開を支援する
にあたっての課題検証
4. 打ち合わせ
5. 報告書作成
基盤地図情報フォーラムに関する運営支
援業務
■工 期:
平成22年6月11日∼平成22年11月26日
■発注機関:
国土交通省 国土地理院
■業務目的:
地理空間情報の活用推進を目的として、平成19年8月
に地理空間情報活用推進基本法が施行され、さらに平成
20年4月に地理空間情報活用推進基本計画(以下、
「基本
30
受託事業の紹介
計画」という。
)が閣議決定された。基本計画では、広く
国民一般を対象にG空間社会(地理空間情報高度活用社
会)の実現に向け、新たな産業・サービスの創出や既存
のサービスの高度化・発展に関して、民間の提案や創意
工夫を掘り起こすため、
「G空間EXPO」を開催すること
としており、平成22年9月19日から21日までの3日間、横
浜で開催を予定している。
基盤地図情報の整備・提供を推進する立場にある国土
地理院は、G空間社会の実現に向け基盤地図情報に関連
する情報の発信・交換の促進を目的として、「G空間
EXPO」において、地理空間情報や基盤地図情報の活用
等に関するシンポジウムとこれに関する施策紹介で構成
する「基盤地図情報フォーラム」を開催する。
本業務は、国内外の地理空間情報や基盤地図情報の活
用等に関するシンポジウムの運営支援、地理空間情報の
整備・提供及び活用推進の施策紹介に係る運営支援及び
フォーラム来場者調査を含む開催報告のとりまとめを行
うものである。
■業務概要:
(1)フォーラム(シンポジウム)の運営支援業務
(2)フォーラム(施策紹介)の運営支援業務
(3)フォーラム開催報告のとりまとめ
平成22年度公共測量実態調査結果分析作業
■工 期:
平成22年12月3日∼平成23年2月10日
■発注機関:
国土交通省 国土地理院
■業務目的:
本作業は、公共測量の現状及び平成21年度における公
共測量の実施状況等を分析することにより、今後の公共
測量行政の的確かつ効率的な執行に資する定量的な資料
を得ることを目的とする。
■業務概要:
本作業における作業内容は次のとおりとする。
1. 貸与する平成22年度公共測量実態調査実施作業の集
計結果を用いて、公共測量の実態及び動向を分析す
ること。
なお、これらの分析に当たっては、文章だけでな
く、その内容を的確に示す図表も作成するとともに、
貸与資料の平成19年度公共測量実態調査報告書を参
考に、過去の調査結果と比較した時系列的な分析を
行うこと。
2. 1.に関する報告書を作成すること。
(独)国際協力機構(JICA)事業
フランス国における道路・橋梁分野の技
術基準状況調査
■工 期:
平成22年3月4日∼平成22年11月19日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■JV構成:
(社)国際建設技術協会
(株)アンジェロセック
■業務目的:
2008年5月に開催されたTICADIVにおいて、我が国政
府はアフリカ向け年間ODA実績金額を9億ドル(2003年
∼2007年の実績平均値)から2012年に18億ドルに倍増す
ること及び5年間で新規円借款を最大40億ドル供与する
ことをコミットした。右コミットを達成するためには、
当該地域の迅速かつ着実な案件実施が求められる。
アフリカでは、インフラ整備へのニーズが大きく、仏
語圏アフリカにおいても一定量のインフラ整備案件が見
込まれている。仏語圏アフリカでは、基本的にフランス
の技術基準が準用されており、我が国の資金協力事業に
おいて、本邦コンサルタント、コントラクターは当該国
の技術基準(フランスの技術基準に準拠)を参考にしつ
つも、試行錯誤しつつ、適宜、日本の道路構造令やアメ
リカ合衆国のAASHTO基準を取り入れ設計・施工を行っ
ている。
しかしながら、フランスの技術基準に精通している本
邦技術者は少数であることから、当該地域で業務を実施
できる本邦コンサルタント、建設会社は限られ、また、
我が国で得られるフランスの技術基準に関する既存資料、
情報も限られているのが実態である。
無償資金協力事業においては、事業実施の担い手の底
辺を広げ、調達環境をより改善する必要があるとともに、
資金協力事業全般について、今後、事業実施機関からフ
ランス技術基準との一層の整合を求められる事態が想定
される。また、設計・施工に関する紛争調整を伴う事態
が発生した場合に適切な対応を取り、円滑かつ効果的に
事業を進捗させられるよう、本邦コンサルタント、コン
トラクターのフランス技術基準に関する知見を向上させ
る必要がある。
これらの背景から、本調査では、道路・橋梁分野を事
例に、フランスの技術基準に関する資料を収集・整理し、
その全体像を把握する。また、本邦関連企業とも情報共
有をすることで当該国実施機関との設計・施工に関する
調整や事業実施管理の改善に資することが期待される。
■業務概要:
[1]第1次国内作業
(1)実施方針の策定
(2)フランス道路技術基準にかかる関連資料・情報
の収集・分析
(3)フランスにおける主要な工種の基準類にかかる
資料収集・整理
(4)フランスにおける契約マネジメントにかかる資
料収集・整理
(5)アフリカにおける道路技術基準類の資料収集
(6)国内におけるヒヤリング調査
[2]第1次現地調査
(1)フランスにおける関係機関ヒヤリング調査
[3]第2次国内作業
(1)第一次現地調査の取りまとめ
[4]第2次現地調査
(1)仏語圏アフリカにおける道路技術基準類の運用
状況にかかる調査
[5]第3次国内作業
(1)調査結果の取りまとめ
(2)ファイナル・レポートの作成
(3)セミナーの実施
(4)アフリカにおける舗装分野の実態把握
ヌアクショット首都・近郊デジタル地図
作成計画(第3年次)
(技術評価審査)
■工 期:
平成22年3月17日∼平成22年5月14日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
モーリタニア国の人口は約280万人であり、人口の6割
強が都市部に集中している。現在では同国の総人口の3分
の1は首都のヌアクショット市及びその郊外に居住してお
り、同市はアフリカでも人口成長率の高い都市の1つとな
っている。
このため、人口に対する都市インフラの不足により、
交通混雑や水質汚染、廃棄物など各種の問題が生じてお
り、都市機能の著しい低下が問題となってることから、
同市においては、インフラの整備に主眼を置いた都市開
発計画の策定及び既存インフラの改修、維持管理が喫緊
の課題となっている。
しかしながら、計画策定の基礎となる同市の地形図は
2000年に策定されたものであり、現在のヌアクショット
I D I No.238
31
都市圏のエリアを全てカバーしていないことや、地形図
に含まれる情報が古く、既存のインフラの状況を正しく
反映していないことから、モーリタニア国政府は我が国
に対し、ヌアクショット市の開発計画策定及び効率的な
インフラの改修、維持管理を行うために必要となるデジ
タル地形図作成及びGISの構築に係る協力を要請してき
た。この要請に基づき我が国は事前調査団を派遣し、
2006年12月15日にS/Wを署名交換した。ヌアクショット
市中心部を中心に、約1,200km 2の範囲において1/10,000
デジタル地形図の作成を行い(空中写真撮影範囲は
2,000km2)
、GIS活用のためのサンプル作成を行うととも
に、併せてこれらの作成を通じて技術移転を図ることと
し、今般、この方針のもとで本格調査を実施することに
なった。
本技術評価審査では、本格調査を受注したコンサルタ
ントが実施する業務のうち、地形図作成について技術的
観点から評価審査を行い、また、地図作成技術の定着を
目指して実施される技術移転(技術研修含む)について
も妥当性の審査を行うことを目的としている。
■業務概要:
(1)準備期間
ア 第3年次の調査内容について、基本図計画担当の
調査団員から報告を受け、担当分野に関する業
務方針を検討する。
イ 本格調査受注コンサルタントが作成する調査業
務計画書、プログレス・レポート(PR/R)
、ド
ラフトファイナル・レポート(DF/R)を通じ、
技術移転及び地理情報普及業務の実施に向けた
計画内容について、その妥当性を審査する。
(2)派遣期間
ア DF/R協議に参加して、本格調査受注コンサルタ
ントによるDF/R内容の説明がカウンターパート
機関に対して適切に行われたか審査する。
イ 現地で開催される技術移転ワークショップヘの
参加、カウンターパート機関へのヒアリング等
を通じて、本格調査受注コンサルタントが実施
する技術移転が、適切な手法・人員配置で実施
されカウンターパートの能力が計画通り向上し
ているか進捗状況を審査する。
ウ 本格調査受注コンサルタントが実施する地理情
報普及に向けた計画や活動の進捗状況を、カウ
ンターパートへの聞き取り等を通じて審査する。
(3)整理期間
ア 本格調査受注コンサルタントが成果品として作
成する地理情報(デジタル地形図、GISデータ基
盤等)について、海外測量作業規程(2006)に
基づき、成果品の精度を審査する。
32
受託事業の紹介
イ 本業務における技術評価審査の作業結果を報告書
にとりまとめ、JICAに提出する。
雇用機会を創出するための住民参加型生
活道路整備の技術移転事業
(4年次)
■工 期:
平成22年4月1日∼平成22年12月16日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
当該国(モンゴル国)の住民参加型生活道路整備の技
術向上による雇用機会の創出に資するため。
・対象国及び地域
ウランバートル市チンゲルテイ区、ハンオール区
・事業の相手国関係者
① 関係省庁
道路・運輸・観光省(Ministry of Road, Transport
and Tourism)
② カウンターパート機関
モンゴル道路・運輸・観光省道路局( R o a d
Department in the Ministry of Road, Transport and
Tourism)
③ ターゲット・グループ
モンゴルの行政関係者、道路技術者、ウランバー
トル市ゲル地区の住民(Officials of Mongolian
administrative body, Road engineers, Residents in
Ger Area in Ulaanbaatar)
1)低コスト生活道路の整備によりゲル地区のアクセス
性が向上し、住民が抱える生活環境の問題が改善さ
れる。
2)生活道路整備事業の計画立案から運営に至る一連の
ノウハウが移転される。
3)舗装マニュアルの実践的活用法を指導する。
4)住民参加による生活道路整備を事業展開するための
行政手法について教育する。
■業務概要:
1)現地環境条件や住民の要望を把握し、カウンターパ
ートとの協議により工事箇所を選定し、住民参加に
よる舗装工事を実施する。事業実施中においては住
民と密に連携を取り、道路の舗装による生活改善へ
の検証活動を行う。
2)新規事業の計画立案、箇所選定、工法決定、施工計
画など、事業準備段階のノウハウについて技術指導
し、舗装工事の実施において住民参加手法のノウハ
ウを指導する。舗装実施後の維持管理、運営手法な
どについても技術指導する。
3)中央政府、自治体、民間建設会社を対象に、舗装マ
ニュアルを用いて工事現場で直接指導し、また工事
に参加した住民に対して、工事に必要な技能を習得
させる。
舗装工事を踏まえ、必要に応じて舗装マニュアル
の改訂を行う。
4)本事業が失業対策事業のモデルケースとして手引き
となるよう、事業過程を記録し、カウンターパート
と共にフィードバックし効果を確認する。
ゲル地区住民を含め事業関係者を招集してセミナ
ーを聞催し、先行プロジェクトの効果を紹介するこ
とにより、持続的な失業対策事業としての有効性、
および地域が一体となって事業に取り組むことの意
義を理解してもらう。
法律の制定、予算の確保から自治体における実施
体制等、日本の事例を紹介するための説明会を開催
する。
先行プロジェクトの事例を参考に、雇用手法、体
制、その後のバガヌール独自の資金による実施例な
どを基礎資料として、継続事業実現に向けた方策を
モンゴル側と検討する。
中央政府、自治体、民間工事会社、及び住民の役
割分担と体制を盛り込んだアクションプラン作成を
支援する。
道路運輸観光省、財務省をはじめモンゴル行政関
係者に継続事業実現のための予算確保に向けた働き
かけを行う。
国土空間データ基盤構築のための基本地図
データベースプロジェクト詳細計画策定調査
(デジタル地形図計画/機材計画)
■工 期:
平成22年7月28日∼平成22年9月3日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
モルドバ国(以下「モ」国)は、農業、観光が主な産
業であり、一人当たりの国民総所得(GNI)は1,500USD
(2008年、世界銀行)と低い水準に留まり、2005年の対
ロシア国輸出の規制や2007年の干ばつを主な原因として、
経済成長が失速している。
これに対し、世界銀行と国際通貨基金(IMF)が協力
して2008年-2011年を計画年度とする国家開発戦略の実施
のためのアクションプランを策定し、この中で政策の優
先順位や戦略目標を実現するための技術的なツールとし
て国土空間情報の基盤整備(NSDI : National Spatial Data
Infrastructure)が優先課題として位置づけられている。
「モ」国は1991年の旧ソ連からの独立以降、世界銀行や
ノルウェー国による支援によって、土地情報の整理、土
地財産の管理、土地台帳の作成に成果を挙げてきている
が、一方で、地理情報技術、マッピング、写真測量等の
分野では、欧州や他近隣国に遅れを取っており、既存の
地形図で最も新しいのは、1980年代に作成された旧ソ連
時代のもので、都市部では都市機能や農業的土地利用の
大幅な変化や農地の統合のため速やかに地形図情報の更
新が必要となっている。また、国土基本図に関してはデ
ジタル地図への変換が行われておらず、紙地図をスキャ
ンすることによって活用するのが現状であり、国土管理、
災害モニタリング及び防災計画、森林資源管理、情報通
信施設管理等の需要に対応するデジタル形式での地理空
間情報の整備は緊急性の高い課題である。
このような状況を踏まえ、今後のインフラ整備のため
の空間データ整備に関し、
「モ」国政府は、
「モ」国土地
籍庁(ALRC : Agency for Land relations and Cadastre)に
おいて、国家開発戦略アクションプランの期間中である
2009年から2011年にかけて、NSDIの整備を図るため、
①国家測地網の構築と維持管理、②基本地図情報の整備
並びにGISの構築、③GISの国際標準(ISO/TC211)への
統合を実践することとし、これに関し我が国に技術支援
が要請された。
この要請に基づき、我が国は調査団を派遣し、要請背
景及び「モ」国の地理情報の状況、実施機関となる
ALRCの組織体制等を調査し、「モ」国のデジタル地形
図を作成するプロジェクトに必要な基礎情報収集とプロ
ジェクトフレームワークの策定、さらにはプロジェクト
の前提となる事項の協議、S/W、M/M署名を目的に実施
する。
■業務概要:
「モ」国における1/5万縮尺の地理情報整備のために、
デジタル地形図作成計画の立案、作成条件の検討、必要
な機材の計画(案)を作成する等、地理情報整備のため
の各種作業内容の検討を行う。
具体的担当事項は次のとおりとする。
[デジタル地形図計画/機材計画]
(1) 国内準備期間
ア 要請背景・内容を把握し、要請書及び関連報告書
等の資料から情報の収集及び分析を行う。
イ 「モ」国全土(以下「対象地域」
)の衛星画像や航
空写真に関する情報(対象地域のアーカイブ状況
の有無、概算金額)を収集する。
I D I No.238
33
ウ 担当分野に係る調査計画・方針案を検討する。
エ 担当分野に係る質問票(案)
(英文)を検討する。
オ 担当分野に係る対処方針(案)
、S/W(案)
、事前
評価表(案)を検討する。
カ 対処方針会議等に参加する。
(2)現地派遣期間
ア デジタル地形図作成計画を立案する。
(ア)対象地域の開発計画、地形図整備状況、地形図
の必要性・活用状況等を調査する。
(イ)対象地域においてデジタル地形図の作成が必要
とされる範囲決定に係る情報収集を行う。
(ウ)実施機関の組織・人数・予算・所有機材・技術
能力等の評価を行い、現地と国内作業の調査手
法や調査工程等の概要を立案する。
イ デジタル地形図作成条件を検討する。
(ア)現地踏査や既存資料を基に、既設測地網の整備
状況を確認し、当該調査で使用可能とされる標
定点を確定させるとともに、新設すべき標定点
の数や位置を検討する。また、関連資料を収集
し、実施機関との協議によって、図式や座標系
について確定させる。
(イ)航空写真撮影許可や既存航空写真・既存地図
(原図を含む)
、成果品地図の国外持ち出し許可
等の諸手続き・規制、著作権についての取り扱
いについて調査する。
(ウ)調査対象地域での移動性(道路状況、給油地、
宿泊地等)や安全性について調査する。
(エ)本格調査での車両の借り上げの方法や価格につ
いて調査する。借り上げが不可能と判断された
場合は、調査用車両の現地調達方法や価格につ
いて調査する。
(オ)その他、本格調査での現地作業に必要となるロ
ーカルコンサルタント、ガソリン、宿泊等の実
勢単価について調査する。
ウ 機材計画を立案する。
(ア)地形図作成作業やデータベース構築作業に使
用する関連機材の所有状況及び稼動状況を確
認する。
(イ)本格調査時に購入しなければならない資機材の
リストを作成し、調達時期、方法、価格等につ
いて検討する。特に、調査終了後、先方へ譲渡
予定の機材については、効率的運用が可能か検
討する。
エ 協力内容の検討を行う。
(ア)S/W、M/Mに関する担当分野に係る協議に参加
する。
(イ)担当分野に係る本格調査への基礎的検討(実施
34
受託事業の紹介
手法及び規模:調査範囲、内容、工程、所要経
費等)を行う。
(3)帰国後整理期間
ア 担当分野に係る現地で収集した資料、情報を整理
し、本格調査への活用について検討を行う。また、
新たに必要とされる情報を整理し、入手方法につ
いて取りまとめる。
イ 事業事前評価表(案)
(和文)の作成に協力する。
ウ 担当分野の詳細計画策定調査報告書(案)
(和文)
を作成する。
エ 調査報告書(和文)の取りまとめに協力する。
オ 帰国報告会に参加し、担当分野に係る調査結果を
報告する。
国土空間データ基盤構築のための基本地図
データベースプロジェクト詳細計画策定調査
(技術移転計画/GIS計画)
■工 期:
平成22年7月28日∼平成22年9月3日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
モルドバ国(以下「モ」国)は、農業、観光が主な産
業であり、一人当たりの国民総所得(GNI)は1,500USD
(2008年、世界銀行)と低い水準に留まり、2005年の対
ロシア国輸出の規制や2007年の干ばつを主な原因として、
経済成長が失速している。
これに対し、世界銀行と国際通貨基金(IMF)が協力
して2008年-2011年を計画年度とする国家開発戦略の実施
のためのアクションプランを策定し、この中で政策の優
先順位や戦略目標を実現するための技術的なツールとし
て国土空間情報の基盤整備(NSDI : National Spatial Data
Infrastructure)が優先課題として位置づけられている。
「モ」国は1991年の旧ソ連からの独立以降、世界銀行や
ノルウェー国による支援によって、土地情報の整理、土
地財産の管理、土地台帳の作成に成果を挙げてきている
が、一方で、地理情報技術、マッピング、写真測量等の
分野では、欧州や他近隣国に遅れを取っており、既存の
地形図で最も新しいのは、1980年代に作成された旧ソ連
時代のもので、都市部では都市機能や農業的土地利用の
大幅な変化や農地の統合のため速やかに地形図情報の更
新が必要となっている。また、国土基本図に関してはデ
ジタル地図への変換が行われておらず、紙地図をスキャ
ンすることによって活用するのが現状であり、国土管理、
災害モニタリング及び防災計画、森林資源管理、情報通
信施設管理等の需要に対応するデジタル形式での地理空
間情報の整備は緊急性の高い課題である。
このような状況を踏まえ、今後のインフラ整備のため
の空間データ整備に関し、
「モ」国政府は、
「モ」国土地
籍庁(ALRC : Agency for Land relations and Cadastre)に
おいて、国家開発戦略アクションプランの期間中である
2009年から2011年にかけて、NSDIの整備を図るため、
①国家測地網の構築と維持管理、②基本地図情報の整備
並びにGISの構築、③GISの国際標準(ISO/TC211)への
統合を実践することとし、これに関し我が国に技術支援
が要請された。
この要請に基づき、我が国は調査団を派遣し、要請背
景及び「モ」国の地理情報の状況、実施機関となる
ALRCの組織体制等を調査し、「モ」国のデジタル地形
図を作成するプロジェクトに必要な基礎情報収集とプロ
ジェクトフレームワークの策定、さらにはプロジェクト
の前提となる事項の協議、S/W、M/M署名を目的に実施
する。
■業務概要:
「モ」国における1/5万縮尺の地理情報整備のために、
現在の地理情報の収集(他ドナーのこれまでの協力成果
を含む)
、現状の把握、技術レベルの調査等を行い、技術
移転計画(案)を作成する等、地理情報整備のための各
種作業内容の検討を行う。
具体的担当事項は次のとおりとする。
[技術移転計画/GIS計画]
(1)国内準備期間
ア 要請背景・内容を把握し、要請書・関連報告書等
の資料から情報の収集及び分析を行う。
イ 「モ」国全土(以下「対象地域」
)の衛星画像や航
空写真に関する情報(対象地域のアーカイブ状況
の有無、概算金額)を収集する。
ウ 担当分野に係る調査計画・方針案を検討する。
エ 担当分野に係る質問票(案)
(英文)を検討する。
オ 担当分野に係る対処方針(案)
、S/W(案)
、事前
評価表(案)を検討する。
カ 対処方針会議等に参加する。
(2)現地派遣期間
ア 以下の項目について調査を行い、実施機関や対象
地域でデジタル地形図作成及びGIS活用に携わる
機関の技術者の技術水準について検証を行い、技
術移転のための研修計画案を提案する。
(ア)過去の地形図に係る実績
(イ)対象地域におけるGISデータ作成方針の検討
(ウ)デジタル地形図及びGISデータに係る整備計画
立案能力
(エ)担当分野に係る
「モ」国所有の資機材の運用能力
イ 現地コンサルタントの機材所有状況や技術レベル、
処理能力を調査し、各工程での現地再委託実施に
係る可能性、現地再委託を実施する際の手法や必
要とされる工期等を整理する。
ウ 実施機関及び「モ」国関係機関からヒアリングを
行い、GIS活用ニーズや関連データの有無、技術
者の技術水準の確認を通して、「モ」国における
GIS活用状況及び今後の方針について調査する。
また、関係省庁等GIS活用に携わる機関の技術者
の技術水準について検証を行い、技術移転のため
の研修計画案を作成する。
エ 「モ」国における地理情報に関する他ドナーのこ
れまでの成果及び現在の動向を調査し、成果の活
用や技術的な協力内容、機材等について類似調査
との重複を確認する。また関連する調査との連携
等について検討を行う。
オ 協力内容の検討を行う。
(ア)S/W、M/Mに関する協議に参加する。
(イ)担当分野に係る本格調査の基礎情報の検討(実
施手法及び規模:調査範囲、内容、工程、所要
経費等)を行う。
(3)帰国後整理期間
ア 担当分野における現地で収集した資料、情報を整
理し、本格調査への活用について検討を行う。ま
た、新たに必要とされる情報を整理し、入手方法
について取りまとめる。
イ 事業事前評価表(案)
(和文)の作成に協力する。
ウ 担当分野の詳細計画策定調査報告書(案)
(和文)
を作成する。
エ 調査報告書(和文)の取りまとめに協力する。
オ 帰国報告会に参加し、担当分野に係る調査結果を
報告する。
メグナ川流域管理計画策定支援調査プロ
ジェクト準備調査
■工 期:
平成22年9月2日∼平成23年3月31日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■JV構成:
(社)国際建設技術協会
八千代エンジニヤリング(株)
■業務目的:
本調査は以下のコンポーネントを含むものであり、そ
の目的は次のとおりである。
I D I No.238
35
地域特性・地理的条件に則した効果的な洪水制御対策
を含む河川流域管理計画に係る基礎的調査を通じて、後
継案件(協力準備調査(その2)
)の余地・方向性を検討
すると共に、現地リソース(人材、素材)を有効活用し、
長期的な生計向上に資する自然環境保全に配慮した持続
可能なインフラ整備やその実施能力向上を目的とした、
バングラデシュ国において汎用性のある案件群の概要に
ついても検討を行う。
〔BWDBを実施機関として想定〕
・調査対象地域
メグナ川流域(主としてアッパー(upper)・メグ
ナ流域)及びその中のハオール地域
■業務概要:
(1)国内準備作業
1)既存資料の収集
2)調査計画の策定
3)インセプション・レポート(IC/R)
4)事前勉強会への参加
(2)第1次現地調査
1)既存データの収集・確認を通じた基本情報の整理
2)気象、水文、河川及び農漁業に係る現状、ニーズ
及び課題の確認
3)ハオール地域の経済活動と生活環境に係る現状と
課題の確認
4)バングラデシュ国側実施機関の体制、事業内容の
確認と課題の整理
5)他ドナー・NGOの事業概要・成果
6)環境社会配慮の制度、留意点の確認
(3)国内作業
1)第1次現地調査の結果概要をJICA担当部へ報告
2)提案事業の概要検討とJICA担当部への説明・協議
(4)第2次現地調査
1)上記(2)の2)及び3)に係る乾季の状況の追加
調査・確認
2)地域特性を踏まえた流域管理手法及び洪水制御手
法の予備的検討と支援事業の検討
3)土工材料、堤防道路材料・工法及び利用可能な植
生材料の調査
4)案件群の概要検討
(5)帰国後作業
1)ドラフト・ファイナル・レポート(DF/R)の作
成・提出
2)ファイナル・レポート(F/R)の作成・提出
36
受託事業の紹介
国家地図インフラ整備プロジェクト詳細
計画策定調査
(デジタル地形図作成計画)
■工 期:
平成22年9月28日∼平成22年11月19日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
セネガル国(以下「セ」国)はIMF・世銀の主導する
構造調整計画のもと、国営企業の民営化や輸入価格自由
化等の様々な構造改革を行うことによって経済は成長基
調にあり、GDP、GNIともに1994年以来上昇している。
一方で、国内には持続的な経済成長を牽引する産業は存
在しておらず、全人口における貧困人口の割合は57%
(地方農村部では65%)と依然として高い。
「セ」国は他
にも人口増加、都市への人口流入、貧富の格差拡大、砂
漠化、高い失業率等の問題を抱えており、
「セ」国の経
済・社会・環境構造は依然として脆弱な状況にある。こ
のような中、
「セ」国では、①「富の創出」②「基礎社会
サービス」③「グッドガバナンスと地方開発」④「社会
保護と災害予防と管理」を4つの柱とした第2次貧困削減
戦略文書を2006年に策定した。①の柱については、首相
府主導で「経済成長戦略」を打ち出し、大規模な経済イ
ンフラ整備を通した産業の振興及び経済開発を目指して
いる。
その中でも持続的な経済成長のための基盤づくりとし
て、村落から都市部へのインフラ整備や、域内市場への
流通・輸送インフラ整備、西アフリカの玄関口を念頭に
置いた西部インフラ整備等広域インフラ整備に重点を置
いている。これを受け、同整備計画を実施する上で、
「セ」
国政府は開発の基礎となる地理情報整備の必要性を認識
し、開発関係者が詳細な地理情報に容易にアクセスでき
る情報基盤の整備を進める方針を固めた。
「セ」国では広域インフラ計画に活用される5万分の1の
地理情報は海岸線からモーリタニア国及びマリ国境周辺
のみで整備されており、かつ1955年から1991年に作成さ
れた地形図であるため更新を必要としている。我が国は、
地理情報整備に係る協力を1989年より継続して行い、ダ
カール首都圏の地形図作成や西部及びマリ国境付近の地
形図作成等を行ってきた。しかしGISやGPS等デジタル化
も含め技術が急速に発展しており、地理情報の新規整備
や更新を行う体制が整っていないのが現状である。その
ため、
「セ」国全土の20万分の1の地形図を作成したEUプ
ロジェクトの成果を基盤としつつ、広域の地域計画策定
に有用な「セ」国全土の5万分の1のデジタル地形図の作
成及び同地理情報の有効的な活用を図るため、インター
ネットを活用したアクセス基盤の整備等を我が国に対し
て要請してきた。
本調査では、要請背景及び「セ」国の地理情報の状況、
実施機関である地理・地図局の組織体制、成果品の活用
ニーズ等を調査し、
「セ」国のデジタル地形図を作成する
プロジェクトに必要な基礎情報収集とプロジェクトフレ
ームワークの策定、さらにはプロジェクトの前提となる
事項の協議、S/W、M/M署名を行う。
■業務概要:
「セ」国における1/5万縮尺の地理情報整備のために、
デジタル地形図作成計画(案)の検討、作成条件の検討、
必要な機材の計画(案)を作成する等、地理情報整備の
ための各種作業内容の検討を行う。
具体的担当事項は次のとおりとする。
[デジタル地形図作成計画]
(1)国内準備期間
ア 要請背景・内容を把握し、要請書及び関連報告書
等の資料から情報の収集及び分析を行う。
イ 「セ」国全土(以下「対象地域」
)の衛星画像や航
空写真に関する情報(対象地域のアーカイブ状況
の有無、概算金額)を収集する。
ウ 担当分野に係る調査計画・方針案を確認する。
エ 担当分野に係る質問票(案)
(和文)を検討する。
オ 担当分野に係る対処方針(和文)
(案)
、S/W(案)
(和文・英文)
、事業事前評価表(案)
(和文・英文)
を確認する。
カ 対処方針会議等に参加する。
(2)現地派遣期間
ア JICAセネガル事務所と調査に関する打ち合わせを
行う。
イ デジタル地形図作成計画(案)を作成する。
ウ デジタル地形図作成条件を確認する。
エ 機材計画(案)を立案する。
オ 技術移転のための研修計画(案)を作成する。
カ デジタル地形図利活用計画(案)を検討する。
キ 他ドナーのこれまでの成果及び動向を調査する。
ク 協力内容(案)の検討を行う。
ケ JICAセネガル事務所に担当分野に係る調査結果に
ついての報告を行う。
(3)帰国後整理期間
ア 担当分野に係る現地で収集した資料、情報を整理
し、本格調査への活用について検討を行う。
イ 帰国報告会に参加し、担当分野に係る調査結果を
報告する。
ウ 事業事前評価表(案)
(和文)の作成に協力する。
エ 担当分野の詳細計画策定調査報告書(案)
(和文)
を作成し、取りまとめに協力する。
地形測量データベース設置計画 詳細計画
策定調査
(デジタル地形図作成計画)
■工 期:
平成22年11月26日∼平成23年1月17日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
トーゴ国は1970年代にリン鉱石、綿花、コーヒー、カ
カオ等一次産品の国際価格の上昇に伴い高度経済成長を
遂げたが、1980年をピークにこれら一次産品の価格は下
落の一途をたどり、以来経済が停滞している。また1990
年代以降の政治的混乱により、主要援助国は長らく本格
的な援助を控えてきた経緯があり、2007年10月の国民議
会選挙の実施に伴って再開された主要援助国の援助もよ
うやく緒についたばかりである。
このような背景から同国は、経済の停滞、劣悪なイン
フラ、基礎的社会サービス(教育、保健医療、給水等)
の不備、自然災害による被害、沿岸部の漁村や幹線道路
を脅かす海岸浸食の進行等、国家開発上のさまざまな困
難を抱えている。
各種産業の開発やインフラ整備による経済成長基盤の
強化、病院整備や学校建設等人的資源開発を支える社会
基盤整備、貧困削減に関する各種課題は、トーゴ国の国
家開発計画(PRSP)に組み込まれ、各行政機関はそれぞ
れの分野で活動を展開している。
また、各種開発計画の基本情報となる国土地理情報に
関しては関係機関で最新データを共有する方針のもと、
1980年に地形情報一般、地図作成、土地台帳に関する政
策の実施を担当する国家行政機関として、国土地図・土
地台帳局が設立された(2001年に地図・土地台帳総局
(DGCC)と改称)
。
一方で、トーゴ国が所有する地図は、1946年に作成さ
れた縮尺1/5万及び1987年に作成された縮尺1/20万(とも
に紙地図)が最新の地形図となっており、現在の国土の
状況を反映しているとは言えず、各行政機関の計画策定
等の業務に支障をきたしているのが現状である。そのた
め、国土基本図として、現在の国土の状況を反映した、
地形図(縮尺1/5万、全国)の作成支援について我が国に
要請があった。
これを受けてJICAは、要請背景及び卜ーゴ国の地理情
報の状況、実施機関である地図・土地台帳総局の組織体
制、成果品の活用ニーズ等を調査し、トーゴ国のデジタ
ル地形図を作成するプロジェクトに必要な基礎情報収集
とプロジェクトフレームワークの策定、さらにはプロジ
ェクトの前提となる事項の協議、S/W、M/M署名を行う。
I D I No.238
37
■業務概要:
この中において、コンサルタント団員は、作成条件の
検討、成果品の活用方法に係る情報収集を行い、地理情
報整備のための各種作業内容の検討を行う。
具体的担当事項は次のとおりとする。
[デジタル地形図作成計画]
(1)国内準備期間
ア 要請背景・内容を把握し、要請書及び関連報告書
等の資料から情報の収集及び分析を行う。
イ トーゴ国の地形図対象地域の衛星画像や航空写真
に関する情報(対象地域のアーカイブ状況の有無
及び概算金額)を収集する。
ウ 担当分野に係る調査計画・方針案を検討する。
エ 担当分野に係る質問票(案)
(英文)を検討する。
オ 担当分野に係る対処方針
(案)
、S/W
(案)
を検討する。
カ 対処方針会議等に参加する。
(2)現地派遣期間
ア JICAブルキナファソ事務所と打合せを行う。
イ 対象地域の開発計画、地形図整備状況、地形図の
必要性・活用状況等を調査する。
ウ 対象地域においてデジタル地形図の作成が必要と
される範囲決定に係る情報収集を行う。
エ 実施機関の組織・人数・予算・所有機材・技術能
力等の評価を行い、現地と国内作業の調査手法や
調査工程等の概要を立案する。
オ 現地踏査や既存資料を基に、既設測地網の整備状
況を確認し、当該調査で使用可能とされる標定点
を確認し、新設すべき標定点の数や位置を検討す
る。また、関連資料を収集し、実施機関との協議
によって、図式や座標系確定のための検討を行う。
カ 航空写真撮影許可や既存航空写真・既存地図(原
図を含む)
、成果品地図の国外持ち出し許可等の諸
手続き・規制、著作権についての取り扱いについ
て調査する。
キ 調査対象地域での移動性(道路状況、給油地、宿
泊地等)や安全性について調査する。
ク 本格調査での車両の借り上げの方法や価格につい
て調査する。借り上げが不可能と判断された場合
は、調査用車両の現地調達方法や価格について調
査する。
ケ 他、本格調査での現地作業に必要となるローカル
コンサルタント、ガソリン、宿泊等の実勢単価に
ついて調査する。
コ デジタル地形図活用ニーズ及び活用方法について
関係省庁等に情報収集を行い、成果品の利活用促
進策を検討する。
サ S/W、M/Mに関する担当分野に係る協議に参加
38
受託事業の紹介
する。
シ 担当分野に係る本格調査への基礎的検討(実施手
法及び規模:調査範囲、内容、工程、所要経費等)
を行う。
(3)帰国後整理期間
ア 担当分野に係る現地で収集した資料、情報を整理
し、本格調査への活用について検討を行う。また、
新たに必要とされる情報を整理し、入手方法につ
いて取りまとめる。
イ 事業事前評価表(案)
(和文)の作成に協力する。
ウ 担当分野の詳細計画策定調査報告書(案)
(和文)
を作成する。
エ 詳細計画策定調査報告書(和文)の取りまとめに
協力する。
オ 帰国報告会に参加し、担当分野に係る調査結果を
報告する。
地形測量データベース設置計画 詳細計画
策定調査
(技術移転計画/機材計画)
■工 期:
平成22年11月26日∼平成23年1月17日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
トーゴ国は1970年代にリン鉱石、綿花、コーヒー、カ
カオ等一次産品の国際価格の上昇に伴い高度経済成長を
遂げたが、1980年をピークにこれら一次産品の価格は下
落の一途をたどり、以来経済が停滞している。また1990
年代以降の政治的混乱により、主要援助国は長らく本格
的な援助を控えてきた経緯があり、2007年10月の国民議
会選挙の実施に伴って再開された主要援助国の援助もよ
うやく緒についたばかりである。
このような背景から同国は、経済の停滞、劣悪なイン
フラ、基礎的社会サービス(教育、保健医療、給水等)
の不備、自然災害による被害、沿岸部の漁村や幹線道路
を脅かす海岸浸食の進行等、国家開発上のさまざまな困
難を抱えている。
各種産業の開発やインフラ整備による経済成長基盤の
強化、病院整備や学校建設等人的資源開発を支える社会
基盤整備、貧困削減に関する各種課題は、トーゴ国の国
家開発計画(PRSP)に組み込まれ、各行政機関はそれぞ
れの分野で活動を展開している。
また、各種開発計画の基本情報となる国土地理情報に
関しては関係機関で最新データを共有する方針のもと、
1980年に地形情報一般、地図作成、土地台帳に関する政
策の実施を担当する国家行政機関として、国土地図・土
地台帳局が設立された(2001年に地図・土地台帳総局
(DGCC)と改称)
。
一方で、トーゴ国が所有する地図は、1946年に作成さ
れた縮尺1/5万及び1987年に作成された縮尺1/20万(とも
に紙地図)が最新の地形図となっており、現在の国土の
状況を反映しているとは言えず、各行政機関の計画策定
等の業務に支障をきたしているのが現状である。そのた
め、国土基本図として、現在の国土の状況を反映した、
地形図(縮尺1/5万、全国)の作成支援について我が国に
要請があった。
これを受けてJICAは、要請背景及び卜ーゴ国の地理情
報の状況、実施機関である地図・土地台帳総局の組織体
制、成果品の活用ニーズ等を調査し、トーゴ国のデジタ
ル地形図を作成するプロジェクトに必要な基礎情報収集
とプロジェクトフレームワークの策定、さらにはプロジ
ェクトの前提となる事項の協議、S/W、M/M署名を行う。
■業務概要:
本コンサルタント団員は、トーゴ国における縮尺1/5万
の地理情報整備のために、現在の地理情報の収集、現状
の把握、技術レベルの調査等を行い、技術移転計画
(案)/機材計画(案)を作成する等、地理情報整備のた
めの各種作業内容の検討を行う。
具体的担当事項は次のとおりとする。
[技術移転計画/機材計画]
(1)国内準備期間
ア 要請背景・内容を把握し、要請書・関連報告書等
の資料から情報の収集及び分析を行う。
イ デジタル地形図作成に必要な機材について我が国
国内での価格、調達可能性、輸出に係る留意事項
等情報収集を行う。
ウ 担当分野に係る調査計画・方針案を確認する。
エ 担当分野に係る質問票(案)
(英文)を検討する。
オ 担当分野に係る対処方針(案)
、S/W(案)
、事前
評価表(案)を検討する。
カ 対処方針会議等に参加する。
(2)現地派遣期間
ア JICAブルキナファソ事務所と打合せを行う。
イ 以下の項目について調査を行い、実施機関や対象
地域でデジタル地形図作成に携わる機関の技術者
の技術水準について検証を行い、技術移転計画
(案)を提案する。
(ア)過去の地形図に係る実績
(イ)対象地域におけるGISデータ作成方針の検討
(ウ)デジタル地形図及びGISデータに係る整備計画
立案能力
(エ)担当分野に係るトーゴ国所有の資機材の運用
能力
ウ 地形図作成作業やデータベース構築作業に使用す
る関連機材の所有状況及び稼動状況を確認する。
エ 本格調査時に購入しなければならない資機材のリ
ストを作成し、調達時期、方法、価格等について
検討する。
オ 現地コンサルタントの機材所有状況や技術レベル、
処理能力を調査し、各工程での現地再委託実施に
係る可能性、現地再委託を実施する際の手法や必
要とされる工期等を整理する。
カ 実施機関及びトーゴ国関係機関からヒアリングを
行い、デジタル地形図活用ニーズや関連データの
有無、技術者の技術水準の確認を通して、トーゴ
国におけるデジタル地形図活用状況及び今後の方
針について調査する。
キ トーゴ国における地理情報に関する他ドナーのこ
れまでの成果及び現在の動向を調査し、成果の活
用や技術的な協力内容、機材等について類似調査
との重複を確認する。また関連する調査との連携
等について検討を行う。
ク S/W、M/Mに関する協議に参加する。
ケ 担当分野に係る本格調査の基礎情報の検討(実施
手法及び規模:調査範囲、内容、工程、所要経費
等)を行う。
(3)帰国後整理期間
ア 担当分野における現地で収集した資料、情報を整
理し、本格調査への活用について検討を行う。ま
た、新たに必要とされる情報を整理し、入手方法
について取りまとめる。
イ 事業事前評価表(案)
(和文)の作成に協力する。
ウ 担当分野の詳細計画策定調査報告書(案)
(和文)
を作成する。
エ 詳細計画策定調査報告書(和文)の取りまとめに
協力する。
オ 帰国報告会に参加し、担当分野に係る調査結果を
報告する。
カブール首都圏開発計画推進プロジェクト
LBT(Labor Based Technology)導入
可能性検討調査(ファスト・トラック制度適
用案件)
■工 期:
平成22年12月1日∼平成23年3月31日
I D I No.238
39
■発注機関:
(独)国際協力機構
■JV構成:
(株)エイト日本技術開発
(社)国際建設技術協会
■業務目的:
本業務は、インフラ整備における効果的かつ効率的な
LBTの適用方法・実施方法の検討及びモデル(案)策定
を行い、技術協力プロジェクト「カブール首都圏開発計
画推進プロジェクト」で実施するパイロット事業への
LBTの適切な導入手法を作成すること、あわせて右パイ
ロット事業の実施状況を踏まえ、アフガニスタン国をは
じめとする紛争影響国及び一般の途上国における効果的
なLBTアプローチを考察することを目的とする。
・調査対象地域
アフガニスタン
現地調査については、アフガニスタンの他に、東
ティモール、タンザニア、ケニア等で実施予定。
文献調査については途上国全般を対象とする。
■業務概要:
第一年次
(1)国内準備作業
1)インセプション・レポートの作成
2)既存文献のレビュー
3)機構及び他ドナーの実績分析
4)LBTモデル・プロトタイプ(案)の作成
(2)現地調査
下記紛争影響国と途上国におけるLBT案件に関し
現地調査を行い、ケーススタディを行うとともに上
記(1)を補強・補完する情報を収集し、LBTモデル
のプロトタイプ(案)の精緻化を行う。具体的には、
下記の国において、公共事業省等インフラ整備を管
轄する機関及びLBTの実績を有するドナー等を対象
にヒアリング調査を行い、LBTの導入率、LBT実施
時の効果や留意事項についての情報を収集する。な
お、現地調査はアフガニスタン国の他に以下の国で
実施することを想定しているが、上記(1)の結果に
応じ変更する可能性もある。なお、2010年度のアフ
ガニスタン国での現地調査期間は2週間程度を予定し
ていた。
(ア)紛争影響国:東ティモール(10日間程度)
(イ)途上国:タンザニア、ケニア(各10日間程度)
(3)国内作業
第二年次
(1)国内作業
1)LBTモデル(案)の作成
2)LBTモデル(案)適用手法の検討
40
受託事業の紹介
(2)現地調査
1)パイロット事業開始時
2)パイロット事業終了時
(3)国内作業
平成22年度集団研修「環境地図(地球地
図)作成」コースに係る委託契約
(研修員数:8人)
■工 期:
平成22年5月24日∼平成22年10月1日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
各国内で地球環境保全や気候変動対策等に対応する関
係機関において、持続可能な開発のための基礎資料とし
て地球地図の利用が促進される。
各国の国家地図作成機関において、アクションプラン
に基づき適切に地球地図の作成/更新がなされると共に、
地球地図データの地球環境問題等への利活用について、
職場内で知識が共有される。
■業務概要:
研修員(マレーシア、フィリピン、東ティモール、ミ
ャンマー、ブータン、バングラデシュ、ケニア、ウズ
ベキスタン)に以下の単元目標を達成するための研修
を実施。
1. 自国における地球地図プロジェクトの取組みや概況
を分析/説明できる。
2. 地球地図、GIS/リモートセンシング、地理情報の
標準化の概要を説明できる。
3. 地球地図データを作成、更新できる。
4. 地球環境問題の概要及びその対策としての地球地図
データの利用法について説明できる。
5. 自国での地球地図の作成/更新、地球環境問題への
利活用の促進のための方策を策定し、詳細を説明で
きる。
6.(事後活動)アクションプランに従い、他機関を含
めた普及活動を行い、結果をファイナルレポートと
して提出する。
平成22年度集団研修「総合的な河川及び
ダム管理」コースに係る委託契約
(研修員数:7人)
■工 期:
平成22年8月17日∼平成23年1月17日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
自国における洪水・土砂災害対策、水資源管理方策、
ダム管理方策、河川環境保全対策等に係る改善方策案が
策定される。
■業務概要:
研修員(インドネシア、フィリピン、ベトナム、イラ
ク、シリア、ミャンマー)に以下の単元目標を達成する
ための研修を実施。
1. 自国の治水、水資源管理に関する現状と課題を整理
する。
2. 水分野における世界的潮流とともに、日本の河川事
業の歴史や現在の制度・法律等を理解し説明できる。
3. 治水(砂防含む)
、利水、ダムに関する計画・設計技
術の知識を理解し説明できる。
4. 本邦研修で得られた知識を活かして、自国の課題を
克服すべく、業務改善計画「(インテリムレポー
ト)‐行動計画を含む」を作成する。
5. 帰国後、所属機関においてインテリムレポートの発
表を行い、所属機関からの指摘を踏まえ、ファイナ
ルレポートを作成する。
平成22年度地域別研修「気候変動適応策
水分野における政策策定能力向上」コー
スに係る委託契約
(研修員数:7人)
■工 期:
平成22年11月8日∼平成23年1月10日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務目的:
気候変動適応の水資源分野に関する中央省庁又はそれ
に準じる機関の政策決定レベルの地位にある者が、気候
変動適応に係る能力を向上する。
単元目標として
1)気候変動分野に係る最新の知識・経験が日本・参
加国間で共有される。
2)日本の気候変動関連官庁と研修員との気候変動
分野に係る意見交換を通じて新たな着想が生ま
れる。
■業務概要:
研修員(フィリピン、インドネシア、ベトナム、ミャ
ンマー、カザフスタン)に以下の研修を実施。
1. 講義
テキスト・レジュメ等を準備し、必要に応じて視聴
覚教材を利用して研修員の理解を高めるよう工夫する。
2. 演習
講義との関連性を重視し、テキストを参照しながら
講義で学んだ内容の確認と応用力を養えるように工夫
I D I No.238
41
し、帰国後の実務に役立つことを目指す。
3. 見学・研修旅行
講義で得られた知見を基に、関係者との意見交換を
通じて、日本における水分野の気候変動適応策が研修
員に理解できるような見学・旅行計画を策定する。
4. レポート作成・発表
各レポートの作成・発表に当たっては、各研修員の
問題意識について研修員・日本側関係者間で相互理解
を深めるよう配慮し、併せて帰国後の問題解決能力を
高めるよう努める。
平成22年度(集団研修)
「道路行政」に
係る委託契約
(研修員数:20人)
■工 期:
平成22年11月12日∼平成23年1月31日
■発注機関:
(独)国際協力機構
■業務概要:
1. 研修日程調整及び日程表の作成
2. 講師・見学先・実習先の選定
3. 講義依頼、講師派遣等依頼及び教材作成依頼文書の
作成・発信
4. 教材の複製や翻訳についての適法利用の確認
5. 講師・見学先への連絡・確認
6. JICA、省庁、他関係先等との調整・確認
7. 講義室・会場等の手配
8. 使用資機材手配
9. テキストの選定
10. 講師への参考資料(テキスト等)の送付
11. 講師からの原稿等の取り付け、配布等の調整、教材
利用許諾範囲の確認
12. 講師・見学先への手配結果の報告
13. 研修監理員との連絡調整
14. コースオリエンテーションの実施
15. 研修員の技術レベルの把握
16. 研修員作成の技術レポート等の評価
17. 研修員からの技術的質問への回答
18. 研修旅行同行依頼文書の作成・発信
19. 評価会、技術討論会の準備、出席
20. 閉講式実施補佐
21. 研修監理員からの報告聴取
22. 講義・見学先謝金支払い、明細書送付を含む諸経費
支払い手続き
23. 業務完了報告書作成(教材の著作権処理結果含む)
、
42
受託事業の紹介
経費精算報告書作成
24. 関係機関への礼状の準備・発信、資材資料返却
その他事業
降水観測ミッション(PMM)研究公募
共同研究契約(第6回 平成22年度)
(研究題目:Improvement and promotion of
GFAS system through installation of
GSMaP)
■工 期:
平成22年4月1日∼平成23年3月31日
■発注機関:
(独)宇宙航空研究開発機構
■業務目的:
発展途上国においてフラッシュフラッド等による災害
被害軽減を目的とする。
■業務概要:
IDIで運営しているGlobal Flood Alert System(GFAS)
において、発展途上国においてフラッシュフラッドによ
る災害被害軽減を目的としたシステムの改良と、洪水被
害を受ける恐れのある地域住民にとって被害の軽減に役
立つ情報の提供方法の研究を行う。
アフリカにおける技術プロジェクト形成
調査企画業務
■工 期:
平成21年6月10日∼平成22年6月4日
■発注機関:
西日本高速道路(株)
■業務目的:
NEXCO西日本は、アフリカ(サブサハラ地域)にお
いて道路関係機関におけるキャパシティビルディング
(組織・人材育成)に寄与することを目的として、継続的
な技術支援プロジェクトの実施に向けて、国内外の関係
機関より各国の政治・経済・治安・言語・民族・道路関
係機関の概要・道路に関する課題等についての情報収集
を行っている。本業務は、上記の趣旨に沿った技術プロ
ジェクトの案件形成を円滑に実施するため、現地調査を
含む情報収集、対象国選定のための提案、およびプロジ
ェクト企画提案のための資料作成を行う業務である。
■業務概要:
(1)既存情報整理および対象国選定
既存情報整理および対象国選定とは、NEXCO西日本
が道路関係機関におけるキャパシティビルディングに
関する継続的な技術支援プロジェクトを実施する対象
国の選定及び技術プロジェクトの案件形成に寄与する
ため、既存資料および公開されている情報を整理・収
集する業務をいう。なお、支援対象国については3カ国
の候補国を提案する。
(2)国内関係機関ヒアリング
上記(1)で提案した対象国を中心に、国内の関係機
関から詳細情報を得るためヒアリング調査を実施する。
(3)アフリカ現地調査
上記(1)で提案した対象国についてプロジェクト具
体化のための現地機関との協議を行い、必要に応じて
現地調査を実施して技術プロジェクトの案件形成のた
めに必要な情報を入手する。
(4)プロジェクト企画提案書作成
上記(1)で提案した対象国のうち、NEXCO西日本
が指定する2カ国について、対象国政府への技術プロジ
ェクト申請書原案を作成するため、プロジェクト企画
提案書を作成する。なお、企画提案書は日本語および
英語にて作成するものとする。
(5)既存情報整理および対象国選定A
既存情報整理および対象国選定とは、NEXCO西日本
が道路関係機関におけるキャパシティビルディングに
関する継続的な技術支援プロジェクトを実施する対象
国の選定及び技術プロジェクトの案件形成に寄与する
ため、既存資料および公開されている情報を整理・収
集する業務をいう。なお、支援対象国については1カ国
の候補国を追加提案する。既存情報整理および対象国
選定Aとは当初想定候補国数からの変更部分を指すも
のとする。
(6)国内関係機関ヒアリングA
上記(5)で提案した対象国について、国内の関係機
関から詳細情報を得るためヒアリング調査を実施する。
(7)アフリカ現地調査A
(1)及び(5)で提案した対象国についてプロジェク
ト具体化のための現地機関との協議を行い、必要に応
じて現地調査を実施して技術プロジェクトの案件形成
のために必要な情報を入手する。アフリカ現地調査A
とは当初想定日数からの変更部分を指すものとする。
(8)プロジェクト企画提案書作成A
上記(1)で提案した対象国のうち、NEXCO西日本
が指定する2カ国について、対象国政府への技術プロジ
ェクト申請書原案を作成するため、技術プロジェクト
に加えて、それに付随する専門家派遣計画の企画提案
書を作成する。なお、企画提案書は日本語および英語
にて作成するものとする。プロジェクト企画提案書作
成Aとは専門家派遣計画に関する企画提案書を指すも
のとする。
I D I No.238
43
平成22年度民活インフラ案件形成等調査
(インドネシア・タンジュンプリオク港アク
セス道路PPP事業調査)
■工 期:
平成22年11月30日∼平成23年2月21日
■発注機関:
新日本有限責任監査法人
■JV構成:
(社)国際建設技術協会
日本工営(株)
八千代エンジニヤリング(株)
(株)三菱総合研究所
■業務目的:
本提案では、インドネシア・タンジュンプリオク港ア
クセス道路における一部未整備区間をPPP案件として整
備・運営することを提案している。本調査は、当該道路
事業に対して円借款と民間資金を活用した道路整備事業
の実現可能性ならびに道路運営手法について調査・検討
を行うことを目的とする。
今回提案の対象となるタンジュンプリオク港アクセス
道路は、ジャカルタ外郭環状道路とタンジュンプリオク
港を連絡するために計画された有料道路である。代替路
が確保されていないため、港周辺の道路では深刻な渋滞
が顕在化し、港湾へのアクセスに非常に多くの時間を要
し、経済活動の妨げとなっている。現在、円借款等によ
り一部区間の建設が開始したものの、資機材調達費の高
騰などによりコストオーバーランが発生し、当初計画し
ていた区間全ての工事に着手することが困難となってい
る。不足分の予算については、日本からの追加借款や現
地政府の予算のみでは賄いきることができず、新たな整
備手法が求められている。
インドネシア国は、国土交通省が取組みを進める「海
外道路PPP協議会(平成22年5月設置)
」の中で道路PPP
案件のニーズが高い国との認識より「国別ワーキンググ
ループ」を設置し、案件形成・実現に向けて検討が行わ
れるなど、国土交通省ならびに日本企業より道路PPP案
件の実現に対して非常に高い関心が寄せられている国の
一つである。
■業務概要:
本調査では資機材の高騰等により生じたコストオーバ
ーランによって、現在財源の見込みが立っていないW
(1, 2)区間の建設(建設費:約350億円)に対して、一
部民間資金を導入し整備を行い、他区間(E1, E2, E2A,
NS-Link)を含めたアクセス道路全体を一体的に運営・
維持管理及び料金徴収するPPP事業としての実現可能性
について検討を実施する。
44
受託事業の紹介
本プロジェクトの技術的側面と財務的・制度的側面の
調査を行う。
(1)プロジェクトの技術的側面の調査
ア)建設事業計画検討
イ)運営維持管理手法の検討
ウ)環境社会配慮に関する検討
(2)財務・制度的側面の調査
ア)PPP制度の検討
イ)PPPスキームの検討
ウ)経済財務分析検討
作業内容としては
(1)国内準備作業
JICA関係部局を訪問し、日本がこれまでに実施した
関連調査など過去の支援の取組みを把握し、これに関
係する資料を入手する。その他、既存報告書やweb等、
国内で閲覧可能な資料を収集・整理し事業計画を策
定する。
それまでに得た情報をもとに、現地調査での訪問
機関やヒアリング項目を整理するとともに、現地調
査時に議論のベースとなる資料として以下の項目で
課題整理ならびに事業の実施方針についての提案事
項(素案)の整理を行う。
・課題整理項目:事業の前提条件、維持管理手法、
PPP制度・スキーム、最適なリスク分担、ITS導入
方策、工事計画、環境社会配慮等
(2)第1次現地調査
道路総局、道路公社ならびにJICA等の本邦ならび
に現地関係機関を訪問し、対象事業に関する過去の
取組みや現状を把握し、有料道路PPP・BOT事業に
関する政府方針・最新状況などを確認するとともに、
これに関係する資料を入手する。調査団からは事業
手法に関する基礎的な方向性について説明・提案を
行う。また、事業予定地ならびに近郊道路、市内有
料道路を訪問し、インドネシア国の道路事情や環境
社会配慮に関する事項について確認する。
(3)第1次国内作業
第1次現地調査で得られた意見や情報を基に、イン
ドネシア国に適切かつ日本企業の参入可能な維持管
理手法、PPPスキーム案を検討・作成し、事業のキ
ャッシュフローを算出の上、NPV、FIRR、EIRR、
B/Cなど諸指標について計算を行う。
(4)第2次現地調査
道路総局、道路公社ならびにJICA等の本邦ならび
に現地関係機関を訪問し、これまでに検討・整理し
たPPP事業の提案を行い、事業の実施可能性につい
て意見交換を行う。
(5)第2次国内作業
第2次現地調査で得られた意見を基にインドネシア
国に適切かつ日本企業の参入可能な維持管理手法、
PPPスキーム最終案の整理を行う。また、案件の実
現に向けた課題と対応策(案)を整理する。
(6)報告書作成および新日本有限責任監査法人および
関連機関への報告等
アジア地域パッケージ型インフラ海外展
開に係る市場調査(建設編)
■工 期:
平成23年1月31日∼平成23年3月31日
■発注機関:
(社)海外建設協会(
(独)国際協力機構業務の補強)
■業務目的:
本調査は、日本の建設企業の海外展開によるアジアで
の質の高いインフラ整備を促進するために、①まず、日
本の建設業の特性(業界の特徴、技術的・コスト的・総
合的な競争力)を整理した上で、②日本企業の主な競争
相手国の一つとして想定される中国について、同国の建
設企業の実力(技術的、コスト的、総合的な競争力)と
海外展開等の動向を調査・分析し、③さらに、アジア
(主に東南アジア諸国)の建設分野での各国企業の受注状
況を概観した上で、日本の建設企業の海外展開の可能性
と、官民連携(特にJICA)による支援の可能性を検討す
ることを目的とする。
■業務概要:
コンサルタントは以下に示す内容の調査を実施する。
この調査で扱う「建設業」は防災関連の技術(耐震、地
すべり対策、軟弱地盤対策、治水技術等)
、橋梁(主に長
大橋梁)
、トンネル(シールド工法、地下構造物施工等)
、
環境関連技術(汚染土壌対策技術、建設リサイクル技術)
など、日本の建設企業が技術的に優位性を持っている分
野とする。
(対象技術はコンサルタントの提案も踏まえ確
定することとする。
)
なお、本調査業務の計画・実施については、機構と十
分な協議の上、遂行するものとする。
(1)日本の建設セクターの特性と海外展開力
ア 日本の建設業の国内・海外マーケットでの需給の
現況・将来シナリオ
イ 日本の建設業の海外受注実績と国際競争力(技術
力、コスト、総合力)
ウ 円借款の本邦技術活用条件(STEP)の適用を可能
とする技術・資機材の競争優位性
エ 日本政府による建設業の海外展開に係る支援策と
その現状
(外交・通商政策、輸出優遇税制、政策・計画面へ
の関与、規準認証、金融ツール整備等)
オ 日本の建設業の海外展開にあたっての課題
(2)中国における建設セクターの特性と海外展開力
ア 中国の建設業の国内・海外マーケットでの需給の
現況・将来シナリオ
イ 中国国内における海外企業の受注状況
ウ 中国企業の海外受注実績と国際競争力(技術力、
コスト、総合力)の現況と今後の見通し
エ 中国政府による建設業の海外展開に係る支援策と
その現状
(外交・通商政策、輸出優遇税制、政策・計画面へ
の関与、規準認証、金融ツール整備等)
オ 中国の建設業の海外展開にあたっての課題
(3)主なASEAN諸国における建設業の市場調査(インド
ネシア、フィリピン、ベトナム等)
ア 中国企業の東南アジア地域における事業展開戦略
と受注実績
(活用した技術の水準、建設先の政府の評価等を
含む)
イ 欧米企業、韓国企業の東南アジア地域における事
業展開戦略と受注実績
ウ 日本企業(外国企業との連合を含む)による東南
アジア地域での事業展開戦略と受注実績
エ 上記(ウ)の受注を可能にした強み及び問題点に
関する考察
(4)上記(1)∼(3)を踏まえた、今後の東南アジアの
インフラ案件(円借款)での日本の建設企業の受注
可能性に関する考察と、官民連携(JICAを含む)に
よる支援の可能性の提言
「高速道路の交通安全と高度道路交通シ
ステム」
(研修員数:荘国欽以下3名)
■工 期:
平成22年9月13日∼平成22年9月17日
■発注機関:
台北駐日経済文化代表処
■業務概要:
イ. 研修の実施(付属書Ⅰの「研修計画書」に基づいて
実施するものとする。
)
ロ. 研修結果の評価
ハ. その他上記イ.及びロ.に関する付帯業務
I D I No.238
45
I n f r a s t r u c t u r e
D e v e l o p m e n t
I n s t i t u t e
-
J a p a n
そ 他 活動
その他の活動
46
その他の活動
海外の各種機関との覚書に基づく多角的なインフラ関連の調査・研究、
情報と人的な交流(協定関係)
47
部会の活動
48
広報活動
49
第29回「小沢海外功労賞」の表彰
50
海外の各種機関との覚書に基づく多角的なインフラ関連
の調査・研究、情報と人的な交流(協定関係)
ESCAPとの協定に関係して
ESCAP/WMO台風委員会
平成22年9月にマカオで行われた台風委員会(メンバ
ー14カ国/地域)の主催する気象・水文・防災合同ワー
クショップに参加し、ハザードマップの推進等について
各国関係機関との協議を行った。また、国土交通省と当
協会のこれまでの活動に対し、台風委員会事務局長より
感謝状(平成23年1月31日付)が贈られた。
合同ワークショップ開会式の様子
ラスキ−ニョ台風委員会事務局長のご挨拶
I D I No.238
47
部会の活動
コンサルタント部会
コンサルタント部会(部会長:畑尾成道 日本工営(株)
参与)は、正会員コンサルタント会社35社で構成され、
会員のコンサルティング活動を通じて国際協力の推進に
寄与することを目的に活動している。
平成22年度の活動の概要は次の通りである。
(1)部会の開催
平成22年9月15日
議題:1. 工事執行体制における三者構造のそれぞれ
の役割
2. 工事約款におけるFIDIC・MDB版導入の
課題
3. 建設業界(OCAJI)との意見交換の枠組み
と内容
(2)平成21年度海外コンサルティング業務等受注実績調
査の実施
(社)海外コンサルティング企業協会(ECFA)、
(社)海外農業開発コンサルタンツ協会(ADCA)、
(社)海外運輸協力協会(JTCA)と共同で、各会員企
業の受注実績調査を実施し、その結果を報告書に取り
まとめた。
平成21年度の受注額は793.6億円で、前年度に比べ
約113億円の増加となった。
(3)平成21年度海外コンサルティング業務受注にかかわ
る財務状況調査を実施
(4)国際協力機構(JICA)との勉強会の開催
ECFA、ADCA、JTCAと共同で、4団体の会員コン
サルタントとJICAとの勉強会(3カ月に1回)を開催し、
意見交換を行った。平成22年度の主な議題は、事業仕
分けの結果と業界への影響、「業務指示書の手引き」
の改正、コンサルタント等契約における積算基準の改
定、アフリカ支援とアフガニスタン支援の進捗、契
約・精算の改善等である。
48
その他の活動
測量部会
測量部会(部会長:鶴見英策(株)パスコ国際統括事
業部技師長)は、会員の地理情報にかかわる活動を通じ
て国際協力の推進に寄与することを目的としている。
平成22年度の活動は次の通りである。
(1)測量部会の開催
平成23年3月23日に測量部会を開催し、企画・技術
両委員会より活動報告を受けるとともに、来年度の活
動予定について議論した。
(2)企画委員会
平成22年度は9回開催した。アフリカにおける地理
空間情報整備戦略等に関する検討を行った。
(3)技術委員会
平成22年度は8回開催した。JICAによる地形図作成
案件で活用される海外測量作業規程類について、改
訂すべきと考えられる項目の取りまとめ作業を実施
した。
広報活動
広報誌の発行
「国建協情報」
(月1回)
、国建協の平成21年度の活動を
まとめた「IDI(No.237)
」を発行、関係官庁および関係
機関、在外公館、正会員、賛助会員などに配布し、協会
の事業および国際協力の推進に資する広報を行った。
「IDI Quarterly」誌の発行
国内の建設関連情報(大規模事業、新工法・新技術、
日本企業紹介)を世界にアピールする目的で、平成8年よ
り年4回発行されているPDF形式の英文季刊誌、平成22
年度までに54号発行されている。
世界96ヶ国約900人の各国政府関係者、国際機関、大
学関係者、在日公館、民間企業などに電子メール配信す
るとともに、ウェブ上にも公開されている。
新聞等を通じての広報活動
建設関係新聞記者との懇談会を適宜開催し、新聞等を
通じた広報に対応している。
国建協ホームページによる情報提供
会報や季刊誌の公開、プレスリリース情報の公開など、
ホームページによる情報提供を行っている。
I D I No.238
49
第29回「小沢海外功労賞」の表彰
「小沢海外功労賞」は、
“海外における国土開発に対す
る協力について功労のあった者を表彰することによりそ
の労に報いる”ことを目的として、故 小沢久太郎 初代
会長の基金により表彰を行っているものである。
平成22年5月28日、第54回通常総会の席上、第29回表
彰を行った。受賞者は次の通り(個人4名、法人は該当
なし)
。
個人の部(所属・役職は受賞時のもの)
石倉 善弘 氏
(株)横河ブリッジ 工事第一部 計画課
国内の大型斜張橋の施工経験を基に、香港の新空港へ
の道路・鉄道併用の連絡橋として世界一の斜張橋である
汲水門橋(主径間長430m)の工事JVに会社を代表する副
所長(Deputy PM)として約5年間従事し、返還に間に合
うよう竣工させ、客先の信頼を獲得した。この実績を基
に、国際入札で中央径間長が1,000mを超える世界最大級
の斜張橋であるストーンカッターズ橋(主径間長1,018m)
を受注し完成させた。ここでも、工事JVに会社を代表す
る副所長として、鋼桁とケ−ブル架設工事における日本
の高い技術力を示し、客先エンジニアの信頼を獲得し工
事を6年弱の間、現地にて円滑に進めた。この他にも、海
外プロジェクトの受注活動に伴う施工計画・工程・コス
ト算出などに、数々の技術的アイデアで工費低減や、工
期の短縮に貢献した。
早田 輝俊 氏
鹿島建設(株) 海外支店 支店次長
1974年に入社後、3年間本土復帰直後の沖縄でダム工
事に従事し、アルジェリアのハッシルメルLNGプラント
建設工事に赴任して以来、一貫して海外の土木工事に携
わってきた。その後、シンガポールで2つの橋梁工事で経
験を積み、次の赴任地タンザニアでは、ダルエスサラー
ム港改修工事にて工務主任、タンザニア・イリンガ農業
流通改善2期工事、タイ・ワットナコンイン橋工事、マレ
ーシア・下水処理施設建設工事では所長として従事し、
現場の安全を図りながら工期内引渡しに注力した。20年
以上に及ぶ海外現場勤務において、現地作業員や現地業
者を積極的に活用し、現場での施工を通じて現地への技
術移転に大きく貢献した。いずれの工事も工期内に、且
つ死亡災害ゼロで竣工させ各国関係者の技術、品質、安
全の面での信頼に応え、多くの関係者の称賛を得ている。
都築 和夫 氏
日本工営(株) コンサルタント海外事業本部
エネルギー開発部 副理事
入社後38年間、一貫して海外部門に所属し、ODA事業
を中心とした発展途上国における社会基盤整備に係わっ
てきた。ダム、水資源開発、水力発電等の土木技術を専
門とし、特に事業の設計、施工監理業務に多くの功績が
ある。中でも韓国・住岩多目的ダム事業、スリランカ・
サマナラウェワ水力発電事業、インドネシア・ルヌン水
力発電事業では、現場に長期間常駐し、建設技術の移転
と普及および人材育成に係る貢献により、相手国から高
い評価を受けている。従事したプロジェクトは、完成後
も順調に運用され、社会経済基盤として途上国の経済発
展に寄与している。また、プロジェクトを通じてわが国
の建設技術の普及と移転に尽力し、政府機関やローカル
コンサルタントの数多くの技術者を指導・育成し、途上
国の建設技術のレベル向上に貢献した。
百瀬 和文 氏
(株)東京設計事務所 海外事業部 特任理事
40年間に亘り上下水道、衛生環境改善に係る調査・計
画・設計等のコンサルティング業務に従事し、国内外の
水道施設に関する専門的かつ学術的な知識を有し、業務
経験は、南アジア、東南アジア、中東、東欧、アフリカ、
南米に亘っている。また、多くの開発調査及び無償資金
協力案件において、総括及び業務主任として従事し、相
手国政府との交渉・説明・協議、日本側の官団員や現地
専門家との共同作業、他ドナー・国際機関等との協議調
整を行っており、現地調査での的確な技術・運営面の指
導業務等を円滑に進めることにより、高いプロジェクト
マネージメント能力と合わせて、プロジェクトの遂行に
大いに寄与してきた。多くの発展途上国における上下水
道に関するインフラの整備とそれに繋がる幅広い人々の
生活環境の改善において、多大に貢献している。
小沢海外功労賞表彰式
50
その他の活動
会員一覧
正会員(個人) 205名
正会員(法人) 35社
[コンサルタント]
(株)
アルメック
(株)
アンジェロセック
いであ(株)
(株)エイト日本技術開発
(株)エヌジェーエス・コンサルタンツ
応用地質(株)
(株)
オオバ
(株)
オリエンタルコンサルタンツ
(株)片平エンジニアリング・インター
ナショナル
川崎地質(株)
(株)建設技研インターナショナル
(株)建設技術研究所
(株)建設技術センタ−
(株)公共計画研究所
セントラルコンサルタント
(株)
(株)創建
大日本コンサルタント
(株)
(株)長 大
(株)東京建設コンサルタント
(株)東京設計事務所
東電設計(株)
(株)
日水コン
日本工営(株)
(株)
日本構造橋梁研究所
日本水工設計(株)
(株)ニュージェック
(株)パデコ
復建調査設計(株)
三井共同建設コンサルタント
(株)
(株)三菱総合研究所
八千代エンジニヤリング(株)
[測量]
朝日航洋(株)
アジア航測(株)
国際航業(株)
(株)パスコ
[高速道路]
首都高速道路(株)
中日本高速道路(株)
西日本高速道路(株)
阪神高速道路(株)
東日本高速道路(株)
本州四国連絡高速道路(株)
[メーカー]
(株)IHIインフラシステム
(株)川金コアテック
(株)
クボタ
(株)駒井ハルテック
酒井重工業(株)
JFEエンジニアリング(株)
(株)拓 和
ニチレキ(株)
日鉄トピーブリッジ(株)
マルマテクニカ
(株)
(株)宮地鐵工所
(株)横河ブリッジ
[商社]
伊藤忠商事(株)
賛助会員 36社
[建設]
(株)大林組
鹿島建設(株)
(株)熊谷組
(株)鴻池組
五洋建設(株)
清水建設(株)
大成建設(株)
大日本土木(株)
東洋建設(株)
戸田建設(株)
飛島建設(株)
西松建設(株)
日本道路(株)
(株)NIPPO
(株)間 組
前田建設工業(株)
三井住友建設(株)
(平成23年5月末現在)
I D I No.238
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